Media > AI活用ユースケース > 営業 > 施主との設計打合せ(Teams)の文字起こしから、決定事項・施主の宿題・設計変更の候補を打合せ記録にまとめ、前回までの決定と食い違う発言を拾う

施主との設計打合せ(Teams)の文字起こしから、決定事項・施主の宿題・設計変更の候補を打合せ記録にまとめ、前回までの決定と食い違う発言を拾う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

施主との設計打合せ(Teams)の文字起こしから、決定事項・保留・施主の宿題・設計変更の候補を打合せ記録にまとめます。前回までの記録と照らし、決定と食い違う発言を一覧にして、次回の前に施主へ確かめます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
不動産/建設
対象部門
営業
対象業務
内容確認・チェック/記録・議事録作成
主な課題
引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
要約
主な効果
品質標準化/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
60%
年間削減
432h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当の建築士が、打合せ中に手元のノートとスケッチにメモを取る
  2. 打合せが終わったら、メモと記憶から Word の様式に打合せ記録を書く
  3. 決定事項を Excel の一覧に足す
  4. 施主の宿題(家具の寸法を測る、設備の色を選ぶなど)と事務所の宿題を記録の末尾に書く
  5. 前回までの記録を読み返し、今日の要望が前の決定と違わないかを確かめる
  6. 記録を施主にメールで送り、確認の返事をもらう
導入後(After)
  1. 人担当が打合せのTeams会議を主催し、冒頭で施主に文字起こしを使うことを伝え、文字起こしを始める
  2. 人打合せのあと、担当が会議の Copilot に決まった指示を出し、決定事項・保留・宿題・設計変更の候補を表で出させる
  3. 人担当が表を打合せ記録の様式に貼り、聞き違いと言い換えを直す
  4. 人担当が直した記録を、案件の SharePoint のフォルダに保存する
  5. 人担当が案件の Copilot Notebooks で、今日の記録を前回までの記録と決定事項の一覧に照らし、食い違う発言の候補を出させる
  6. 人担当が候補を確かめ、施主に確かめる事項として記録の末尾に書く
  7. 人担当が記録を施主にメールで送り、返事が来たら決定事項の一覧に足す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当の建築士が、打合せ中に手元のノートとスケッチにメモを取る
  2. 打合せが終わったら、メモと記憶から Word の様式に打合せ記録を書く
  3. 決定事項を Excel の一覧に足す
  4. 施主の宿題(家具の寸法を測る、設備の色を選ぶなど)と事務所の宿題を記録の末尾に書く
  5. 前回までの記録を読み返し、今日の要望が前の決定と違わないかを確かめる
  6. 記録を施主にメールで送り、確認の返事をもらう

(a)打合せ記録の作成が夜に回る。 打合せは平日の夕方や土日に入ることが多く、記録は次の日の夜か週明けになります。 書くのが遅れるほど、記憶の細かいところが落ちます。

(b)前の決定と違う要望に、その場で気づけない。 5番目は時間がかかるので、急ぐ週は省かれます。20回を超える打合せの記録を読み返して、3か月前の決定と照らすのは、担当にとっても重い作業です。

(c)施主の2人の意見の違いが記録に残らない。 夫は「書斎は要らない」、妻は「小さくてもほしい」。記録には声の大きかったほうだけが残り、後で「私は言ったのに」になります。

(d)担当が替わると経緯が分からない。 担当の休職や異動で案件を引き継ぐと、なぜこの間取りになったのかは、記録の行間にしか残っていません。

  1. 【人】 担当が打合せのTeams会議を主催し、冒頭で施主に文字起こしを使うことを伝え、文字起こしを始める
  2. 【人】 打合せのあと、担当が会議の Copilot に決まった指示を出し、決定事項・保留・宿題・設計変更の候補を表で出させる
  3. 【人】 担当が表を打合せ記録の様式に貼り、聞き違いと言い換えを直す
  4. 【人】 担当が直した記録を、案件の SharePoint のフォルダに保存する
  5. 【人】 担当が案件の Copilot Notebooks で、今日の記録を前回までの記録と決定事項の一覧に照らし、食い違う発言の候補を出させる
  6. 【人】 担当が候補を確かめ、施主に確かめる事項として記録の末尾に書く
  7. 【人】 担当が記録を施主にメールで送り、返事が来たら決定事項の一覧に足す

この構成に自動で動く部分はありません。 全工程を担当が Copilot に指示し、結果を確かめます。施主との約束の記録なので、AIが作った文がそのまま施主に届く経路を作らないのが理由です。

5番目が、この設計の分かれ目です。 記録を速く書けるだけでは、③の15分が省かれる状態は変わりません。前回までの記録を読み返す作業を Copilot に任せ、担当は候補を確かめるだけにします。 これで、急ぐ週も食い違いの確認が残ります。

02今回想定するシステム構成

構成図
施主との設計打合せ(Teams。オンライン/打合せ室での対面)
   │  事務所の担当が主催し、文字起こしを始める
   ▼【トリガー】打合せの終了
会議の Copilot(会議のチャットの「まとめ」タブ)
   │  文字起こし+会議のチャットから
   ├──▶ 決定事項・保留・施主の宿題・事務所の宿題・設計変更の候補(表)
   ▼
【担当が聞き違いと言い換えを直す】 → 打合せ記録(Word)を案件のフォルダに保存
   ▼
Copilot Notebooks(案件ごとに1つ)
   │  参照:これまでの打合せ記録(施主が確かめた版)/決定事項の一覧/要望書
   └──▶ 前回までの決定と食い違う発言の候補(根拠の発言と、照らした決定の日付)
   ▼
【担当が候補を確かめ、施主に確かめる事項として記録に書く】
   ▼
施主にメールで送り、返事を決定事項の一覧に足す
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Teams 会議の Copilot と Copilot Notebooks)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(案件ごとのフォルダ)社内のファイルサーバー
会議Microsoft Teams(事務所が主催する会議と文字起こし)対面の打合せの録音

新しく足すのは、設計担当8名分の Copilot のライセンスだけです。 打合せ記録の様式も、決定事項の一覧も、いまのものをそのまま使います。

会議の Copilot を使うには、文字起こしが要ります。 公式のページでは、文字起こしが無くても会議の Copilot を始められるものの、会議のあとに Copilot に質問したり、やり取りの履歴を見たりするには、会議中に文字起こしを始めておく必要があるとされています。会議の後は、会議のチャットと「まとめ」(Recap)タブから Copilot を開け、回答には使った情報源が示されます。

会議を主催するのは、必ず事務所の側です。 公式のページでは、Copilot は参加者の組織の外で主催された会議では動かないとされています。施主の勤め先のTeamsから招待された会議では、事務所の担当の Copilot は使えません。

管理者の設定も確かめておきます。 公式の管理者向けのページでは、会議の方針(-Copilot の設定)で、主催者の既定を「会議中と会議後」にできるとされ、既定値は文字起こしの保存を必須とする設定です。主催者が Copilot を「オフ」にすると、録画と文字起こしもオフになるとされています。

前回までの記録と照らすのは、Copilot Notebooks です。 公式のページでは、ノートブックの Copilot は追加した参照だけを使い、OneDrive の全体、メール、Teams のチャット、Webには行かないとされています。施主との約束の照合に、ほかの案件の記録や個人のメモが混ざりません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

打合せの終了をきっかけに、担当がその日のうちに始めます。 打合せの直後なら、Copilot の表を読んで「ここは違う」と担当がすぐに気づけます。記録を書く時間を、翌日の夜から打合せ当日の30分に移すのが、この構成の狙いです。

文字起こしは、打合せの冒頭で始めます。 担当は最初に「記録のために文字起こしを使います」と施主に伝え、了承を得てから始めます。了承が得られない施主の打合せは、これまでどおり手で記録します。

定例の打合せを、Teams の定期的な会議の1つの系列にしないでください。 公式のページでは、定期的な会議で後の回が文字起こしされると、それまでの回の Copilot とのやり取りの履歴は使えなくなるとされています。打合せは回ごとに別の会議として立て、Copilot の表はその日のうちに Word の記録に移します。

会議の設定は、テンプレートでそろえます。 公式の管理者向けのページでは、会議の Copilot の設定を会議のテンプレートに入れられるとされています。「施主打合せ」のテンプレートを作り、Copilot を「会議中と会議後」にしておけば、担当ごとに設定がばらつきません。 担当は予定表からこのテンプレートで会議を立て、施主に招待を送ります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文字起こし発言者、時刻、発言の文Teams の会議(事務所が主催)
会議のチャット共有した図面のファイル名、URL、施主が書き込んだ要望Teams の会議のチャット
これまでの打合せ記録施主が確かめた版の記録(回、日付、決定事項、保留、宿題)案件の SharePoint のフォルダ
決定事項の一覧決定の内容、決めた日、打合せの回、決めた人(施主のどちらか)案件の Excel
要望書設計の最初に施主が書いた要望(家族構成、部屋の数、予算の考え方)案件の SharePoint のフォルダ
記録の決まり区分の付け方、書かない内容、用語設計部が用意する文書

質を決めるのは、3行目の「施主が確かめた版」です。 案件のフォルダには、施主に送る前の下書きや、担当の手書きのメモの写真も残っています。下書きを照合の参照にすると、施主が直した内容より前の版と照らしてしまいます。 施主の確認の返事が来た記録だけを、ファイル名に「確定」と入れて別のフォルダに置きます。

【記録の決まり(抜粋)】
区分:決定(施主が「それでお願いします」と言ったもの)/保留(次回までに考える)/
      施主の宿題/事務所の宿題/設計変更の候補(前回までの決定と違う要望)
書かない内容:施主の家計・勤め先・健康など、設計に要らない個人の事情
用語:「LDK」「造作」「下がり天井」は図面の表記に合わせる
発言者:施主が2人のときは、名字ではなく「施主A」「施主B」と書く
Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
文字起こしと会議のチャット会議の Copilot(会議のチャットか「まとめ」タブ)その日の決定・保留・宿題・設計変更の候補
これまでの打合せ記録(確定)「確定」のフォルダをノートブックに追加前回までの決定との照合
決定事項の一覧ファイルをノートブックに直接追加決定の日付と回の根拠
要望書と記録の決まりファイルをノートブックに追加最初の要望との照合と、区分の付け方

会議の Copilot は、文字起こしだけでなく会議のチャットも使います。 公式のページでは、文字起こしがあれば、会議の前24時間までのチャットも含めてチャットと文字起こしの両方を情報源にするとされています。施主が会議の前にチャットへ書き込んだ「やっぱり和室は要らないかも」も、候補に入ります。

会議のオプションで、チャット・ライブキャプション・文字起こしのコピーと転送を止めないでください。 公式のページでは、この設定をオンにすると、Copilot の回答を Word や Excel へ書き出せないとされています。施主の情報を守るつもりで止めると、表を記録の様式に移す手間が増えます。守る手立ては、第13章の権限と Web検索の方針で取ります。

ノートブックには、案件ごとに決まった参照を追加します。 公式のページでは、参照にはファイルだけでなくフォルダも追加でき、本人がアクセスの権限を持つものだけが使われるとされています。Microsoft Copilot のユーザーは300を超える参照を追加でき、根拠に使われるのは最初の300までとされており、1案件の記録30回分には十分です。参照のファイルが更新されると、ノートブックの答えにも反映されます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 文字起こしの言語を確かめる … 会議の話す言語が日本語になっているかを、文字起こしを始めるときに確かめます
  2. 発言者の名前を確かめる … 打合せ室の1台のパソコンから話すと、施主2人の発言が同じ発言者になります。対面の打合せでは、施主にも自分の端末で会議に入ってもらうか、記録の段で人が分けます
  3. 共有した図面の名前を書き込む … 画面に映した図面の版(「平面図 第5版」)を、担当が会議のチャットに書き込みます。「この壁」「ここ」が、どの図面の話かを後で引けるようにします
  4. 確定の記録をフォルダに移す … 前回の記録に施主の返事が来ていれば、「確定」のフォルダに移します
  5. 決定事項の一覧を最新にする … 前回の決定が一覧に足されているかを確かめます
  6. 前回の宿題を会議のチャットに貼る … 前回の記録の「施主の宿題」「事務所の宿題」の行を、打合せの前に会議のチャットへ貼ります。会議の Copilot は会議の前24時間までのチャットも使うので、今日の発言と照らせます

3番目を省かないでください。 打合せの発言の多くは、図面を指しながらの「ここを少し広く」です。文字起こしには「ここ」としか残らず、どの部屋の話かは図面の版と時刻が無いと分かりません。 Copilot に「ここ」を推して部屋の名前に置き換えさせないための準備です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、その日の発言を区分ごとに分けて書き出すことと、前回までの決定と違って見える発言を、根拠を付けて並べることです。

見るもの見方判断できないときの扱い
決定施主がはっきり了承した発言だけ了承が言葉に無ければ「保留」
保留次回までに考える、比べたい、と言った事項そのまま保留
施主の宿題施主が持ち帰って調べる・選ぶ・測る事項と期限期限が無ければ「期限なし」
事務所の宿題担当が持ち帰る事項と期限同上
設計変更の候補前回までの決定と違う要望、決定の取り消し「要確認」として根拠を付ける
施主2人の意見の違い2人が別の希望を言った事項どちらにも寄せず、両方を書く
前回の宿題の報告チャットに貼った前回の宿題ごとに、今日報告があったか報告が無ければ「報告なし」

「了承が言葉に無ければ保留」が、この表でいちばん大事な点です。 打合せでは、担当の提案に施主がうなずいただけで次の話題に移ることがよくあります。文字起こしにはうなずきは残らないのに、Copilot は流れから「決定」と書きがちです。 記録の決定は施主との約束なので、言葉で了承した発言だけを決定にします。

最後の行も外せません。 施主2人の意見が違う事項を、Copilot は「施主は〜を希望」と1つにまとめがちです。どちらの希望かが消えると、第3章の(c)が繰り返されます。

させないこと理由
設計変更として扱うかの決定施主と担当が確かめて決める
追加の設計料・工事費・工期への影響の見積根拠の無い数字が記録に残る
法令(建ぺい率、採光、確認申請など)への適合の判断建築士が図面で確かめる
「ここ」「これ」を部屋の名前に置き換えること図面の版と時刻が無いと分からない
施主の気持ちや理由の推測言っていない理由を記録に残さない
Step6

指示内容を固定する

打合せのあと、会議のチャットの Copilot に次の指示を出します。

この打合せの文字起こしとチャットだけを使って、施主との打合せ記録の下書きを作ります。

【やること】
次の列の表を作ってください。
区分|内容(50字以内)|発言者|時刻|根拠の発言(文字起こしのまま)

区分は「決定」「保留」「施主の宿題」「事務所の宿題」「施主の意見の違い」のどれかです。

【決まり】
- 「決定」は、施主が「それでお願いします」「それで進めてください」のように
  言葉で了承した事項だけにしてください。了承の言葉が無ければ「保留」にしてください。
- 施主が2人のときは「施主A」「施主B」と書き、2人の希望が違う事項は
  「施主の意見の違い」として両方の発言を根拠に書いてください。1つにまとめないでください。
- 「ここ」「これ」「この壁」のように場所が分からない発言は、言い換えず、
  内容に「(場所は図面で確認)」と書いてください。
- 宿題の期限は、発言に日付や「次回まで」があるときだけ書き、無ければ「期限なし」と書いてください。
- 費用、工期、法令への適合について、文字起こしに無い数字や判断を書かないでください。
- 施主の家計、勤め先、健康など、設計に要らない個人の事情は書かないでください。
- チャットに貼った前回の宿題の1行ごとに、今日報告があったかを「報告あり」「報告なし」で
  別の表にしてください。報告があれば根拠の発言を書いてください。

「根拠の発言を文字起こしのまま」を列に入れないと、決定の欄が言い換えだけになります。 言い換えはきれいでも、施主が本当にそう言ったかを担当が確かめられません。

食い違いは、記録を保存したあと、案件のノートブックで次の指示を出します。

このノートブックの参照だけを使ってください。
「今日の打合せ記録(第{n}回)」の各行を、「確定」の打合せ記録と決定事項の一覧に照らして、
前回までの決定と違って見える行だけを、次の列の表にしてください。
今日の内容|今日の根拠の発言|照らした決定の内容|決定の日付と回|違って見える点(1文)
違って見えるかどうか分からないものは入れないでください。
設計変更かどうか、費用がかかるかどうかは書かないでください。
要望書の内容と今日の内容が違うものは、別の表にしてください。

「決定の日付と回」の列が、施主に確かめるときの根拠になります。 「第8回(7月12日)に床はフローリングと決めましたが、今日はキッチンだけタイルとのお話がありました。変更として進めてよいですか」と、日付と回を添えて聞けば、施主も思い出せます。

Step7

出力形式を固定する

会議の Copilot とノートブックの結果を、列を決めた表で受け取ります。 どちらも API で構造化した結果を返す仕組みではないので、表の列を指示で固定し、Word の打合せ記録の様式に貼ります。

【第12回 打合せ記録(下書き)】
| 区分 | 内容 | 発言者 | 時刻 | 根拠の発言 |
| 決定 | 玄関の収納は可動棚で進める | 施主A | 00:14 | 「可動棚で、それでお願いします」 |
| 保留 | 2階トイレの有無 | 施主A・B | 00:22 | 「次回までに2人で話します」 |
| 施主の意見の違い | 書斎の要否 | 施主A/施主B | 00:31 | A「要らない」/B「小さくてもほしい」 |
| 施主の宿題 | 冷蔵庫の幅を測る | 施主B | 00:40 | 「来週までに測ってきます」 |

【前回までの決定と違って見える発言】
| 今日の内容 | 照らした決定 | 決定の日付と回 | 違って見える点 |
| キッチンの床をタイルに | 1階の床はすべてフローリング | 7月12日 第8回 | 床材の決定と違う |

1つ目の理由は、根拠の発言で確かめられることです。 担当は、時刻を見て文字起こしの該当箇所を開き、本当に了承の言葉があったかを確かめます。

2つ目は、決定の行だけを一覧に移せることです。 施主の確認の返事が来たら、区分が「決定」の行だけを決定事項の一覧(Excel)に、日付と回とともに足します。

3つ目は、食い違いの表をそのまま施主への確認に使えることです。 記録の末尾に「ご確認いただきたい事項」として貼り、施主の返事を待ちます。

前回の宿題の表は、「報告なし」の行を次回の記録の宿題に持ち越します。 施主が冷蔵庫の幅を測り忘れたまま2回続けば、キッチンの図面がそこで止まっていることが記録から分かります。事務所の宿題の「報告なし」は、担当の持ち越しとして所長が毎週見ます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Teams の会議事務所の担当が主催し、文字起こしを始める文字起こしとチャット
打合せ記録(Word)人が貼る担当が直した下書き
案件のフォルダ人が保存し、確定した記録を「確定」のフォルダへ移す照合の参照
Copilot Notebooks「確定」のフォルダと一覧を参照に追加食い違いの候補
施主へのメール人が送る記録と確認の依頼

施主へのメールを Copilot から直接送ることはしません。 記録は施主との約束の証拠で、担当が読んで直したものだけを送ります。

決定事項の一覧への追加も、人が行います。 施主の返事が来る前に一覧に足すと、施主が直した内容と一覧が食い違います。

Step9

人が確認する

この構成では、施主に送るすべての記録を担当が確かめます。

  1. 決定の行の根拠を確かめる … 時刻から文字起こしを開き、了承の言葉があるかを見ます。ここは流し見しません
  2. 「場所は図面で確認」の行を直す … 図面の版と時刻から、どの部屋の話かを書き足します
  3. 施主の意見の違いを確かめる … 2人の発言が本当に違う希望か、言い方の違いかを確かめます
  4. 食い違いの候補を確かめる … 照らした決定の日付と回を開き、本当に違うかを見ます。違わないものは消します
  5. 聞き違いを直す … 建材の名前や設備の品番は、文字起こしで崩れやすいので図面と見積で確かめます

1番目を省かないでください。 記録に「決定」と書いた事項は、施主が確かめて返事をした時点で約束になります。うなずいただけの事項を決定として送ると、施主はそのまま了承の返事をすることが多く、後で「そんなつもりではなかった」になります。

4番目で消した候補も、消した理由を一言残します。 「第8回の決定は1階の居室の床。キッチンは対象外と同じ回に話している」のように残しておけば、次に同じ候補が出たときに、確かめ直さずに済みます。

目標は、1件あたり24分です。 記録を書く時間が、根拠の発言を確かめる時間に置き換わります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
施主の勤め先のTeamsから招待されたCopilot は動かない。事務所から会議を立て直すか、手で記録する
文字起こしを始め忘れた会議後の Copilot に質問できない。メモから手で記録し、次回から冒頭のチェックに入れる
施主が文字起こしを望まない手で記録する
施主2人の発言が同じ発言者になった記録の段で人が分ける。次回は施主にも端末で入ってもらう
定期的な会議の系列で前回の履歴が消えた回ごとに別の会議にし、表はその日のうちに Word に移す
建材や品番の聞き違い図面と見積で人が直す
現場での打合せで Teams を使えない担当のメモから手で記録し、食い違いの照合だけノートブックで行う

上の2行がいちばん起きやすく、どちらも打合せの前の準備で防げます。 予定表の会議の招待を事務所から出すことと、冒頭で文字起こしを始めることを、打合せの始めのチェックとして決めておきます。

Step11

記録を残す

  • 打合せの会議の文字起こし(Teams の保存のしかたに従う)
  • 会議の Copilot の表と、担当が直した後の打合せ記録
  • 施主に送った記録と、施主の確認の返事
  • 食い違いの候補の表と、施主の返事(変更として進める/前の決定のまま)
  • 決定事項の一覧(日付、回、決めた人)

Copilot とのやり取りの記録は、組織の Microsoft 365 の中に残ります。 公式のページでは、利用者の指示と Copilot の応答は組織のほかのコンテンツと同じ約束に沿って処理・保存され、管理者は Microsoft Purview で保持のポリシーを決められるとされています。設計図書の保存の期間と合わせて決めます。

04実装レベルの3段階

最小構成:過去の打合せの会議の Copilot に指示を出し、当時の記録と比べる / 1回分の記録の下書き
半自動化:毎回の打合せで会議の Copilot の表を記録に貼り、案件のノートブックで食い違いを照らす / 記録の下書きと食い違いの候補
本格構成:上記+決定事項の一覧を図面の版と結び付け、確定した決定を設計の作業の指示(図面の修正の依頼)に回す / 記録から図面の修正の依頼の手前まで

本記事の想定は半自動化です。 1件60分が24分になります。差が大きいのは、記録を書く作業と、前回までを読み返す作業が、確かめる作業に変わるからです。 本格構成に進むかは、決定事項の一覧の整い方で決めます。 決定の1行ごとに図面の版が付いていれば、決定と図面の食い違いまで照らせます。半自動化を数か月回すと、決定事項の一覧が回と日付で埋まっていきます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
24 分
現在  60件 × 60分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 60件 × 24分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
36h
削減率
60%
年間削減時間
432h
年間金額換算(時間単価4,000円)
173万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 戸建て住宅・店舗・小規模な事務所ビルなどの設計を受ける建築設計事務所や、注文住宅の設計を担う工務店・不動産会社の設計部門。施主との設計打合せが案件ごとに月に数回あり、打合せをTeamsで行うか、対面の打合せでもTeamsの会議を立てて文字起こしを残せる場合。打合せ記録の作成が担当の建築士の残業になっており、前回までに決めたことと違う要望が出ても、その場で気づけないことがある場合。Microsoft 365 を使っていて、Microsoft Copilot のライセンスを設計担当に配れる場合。
向いていない
  1. 施主との打合せが年に数回の大型案件だけで、打合せ記録を専任の担当者が丁寧に作れている場合。打合せのほとんどが現場や施主の自宅で、文字起こしを残せない場合。施主の側が主催するTeams会議でしか打合せができない場合(この構成のCopilotは、参加者の組織の外で主催された会議では動きません)。なお、設計変更として扱うかどうか、追加の設計料や工事費、法令への適合の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 最近の打合せのうち、文字起こしが残っている5回を選ぶ(施主が2人で来た回と、前の決定と違う要望が出た回を必ず入れる)
  2. その回の会議のチャットで、第7章の指示を Copilot に出す
  3. 出てきた表を、担当が当時書いた打合せ記録と比べる
  4. 案件のノートブックを作り、当時までの確定の記録と決定事項の一覧を参照に追加して、食い違いの指示を出す
  5. 当時担当が気づいた食い違いと、気づかなかった食い違いを数える

当時の記録と比べるのが大事です。 正解が分かっている回でしか、うなずいただけの事項が決定に入るかどうかは確かめられません。

出てきた内容判断
決定と保留の分け方が当時の記録とほぼ同じ全案件の打合せに広げる
うなずいただけの事項が決定に入った指示の書き方で直る。「了承の言葉」を強める
食い違いを照らす決定が古い版だった確定の記録のフォルダの整理が先。 Copilot の問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
うなずいただけの事項が決定になる了承の言葉がある発言だけを決定と指示し、根拠の発言を列に入れる
施主2人の希望が1つにまとめられる「施主A」「施主B」で分け、違う希望は両方を書かせる
施主の側が主催した会議で Copilot が動かない会議は事務所から立てる
文字起こしを始め忘れる打合せの始めのチェックに入れる
「ここ」が別の部屋に置き換えられる言い換えを禁じ、図面の版をチャットに書き込む
下書きの記録と照らしてしまう施主が確かめた版だけを「確定」のフォルダに置く

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、記録が読みやすくなるほど施主の言葉から離れる誤りで、根拠の発言を列に残すことで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 施主の氏名、家族構成、住まいの間取りと暮らし方、土地の所在、予算の考え方、打合せの音声の文字起こしです。施主の家の中の暮らしがそのまま記録に入ります。

  1. 文字起こしは施主の了承を得てから始める … 冒頭で目的を伝え、了承が無ければ手で記録します
  2. Web検索を止める … 公式のページでは、Web検索が有効なとき、Copilot は指示から検索語を作って Bing に送り、アプリの中で開いている文書の内容がその検索語に影響しうるとされ、この検索語には Microsoft のデータ保護の補足条項(DPA)が適用されないとされています。管理者が「Allow web search in Copilot」のポリシーでこの業務の利用者の Web検索を止める前提にします
  3. 案件のフォルダの権限を絞る … Copilot は、利用者が閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。権限の広いフォルダの記録は、ほかの担当の Copilot からも見えます。 案件のフォルダは担当と所長に絞ります
  4. 設計に要らない個人の事情を記録に書かない … 施主の家計や健康の話は、記録の決まりで書かない内容にします
  5. 学習への利用 … 公式のページでは、指示、応答、Microsoft Graph から取ったデータは基盤となる大規模言語モデルの学習に使われないとされています

この構成は、設計変更として扱うか、追加の費用、法令への適合を判断しません。 それらは担当の建築士と所長がこれまでどおり決めます。

誤りが起きた場合のリスクは、施主が了承していない事項を決定として記録し、施主との約束が食い違うことです。 根拠の発言を列に残し、担当が確かめてから送る設計で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:記録の決まりを文書にする

区分の付け方、施主2人の書き方、書かない内容を1つの文書にします。「了承の言葉」の例を、長く担当している建築士から集めます。

2週目:過去の打合せで試す

文字起こしが残っている5回で会議の Copilot に指示を出し、当時の記録と比べます。うなずいただけの事項が決定に入らないかを最優先で見ます。

3週目:確定の記録のフォルダを作る

動いている案件ごとに、施主が確かめた版の記録だけを「確定」のフォルダに移し、ノートブックで食い違いを照らします。

4週目:管理者と方針を確かめる

会議の Copilot の方針、Web検索の方針、案件のフォルダの権限を確かめます。ここが済むまで、施主の打合せには使いません。

2か月目: 設計担当8名の打合せで、記録の下書きと食い違いの照合を始めます。3か月目以降: 1件60分が何分になったかを実測します。前の決定と違う要望に次の打合せの前に気づけ、担当が替わっても決定の経緯を回と日付で追えるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
文字起こしが無くても会議の Copilot は始められるが、会議の後に質問や履歴の確認をするには会議中に文字起こしを始める必要があること。参加者の組織の外で主催された会議では動かないこと。会議の後は会議のチャットと「まとめ」タブから使え、回答に情報源が示されること。会議の前24時間までのチャットを含めること。定期的な会議で後の回が文字起こしされると、前の回の Copilot とのやり取りの履歴が使えなくなること。チャット・ライブキャプション・文字起こしのコピーと転送をオフにすると Copilot の回答を Word や Excel に書き出せないことMicrosoft Support: Use Copilot in Microsoft Teams meetings2026-10-15
会議の Copilot を「会議中と会議後」「会議中のみ」「オフ」で設定できること。会議の方針の -Copilot の既定値が文字起こしの保存を必須とする設定であること。主催者が Copilot をオフにすると録画と文字起こしもオフになること。エンドツーエンド暗号化の会議では使えないこと。会議のテンプレートに Copilot の設定を入れられることMicrosoft Learn: Manage Teams meeting transcription(Copilot in Teams meetings and events)2026-10-15
ノートブックの Copilot は追加した参照だけを使い、OneDrive の全体・メール・Teams のチャット・Webには行かないことMicrosoft Support: How Copilot Notebooks works2026-10-15
参照にフォルダを追加でき、本人がアクセスの権限を持つものが使われること。Microsoft Copilot のユーザーは300を超える参照を追加でき、根拠に使われるのは最初の300までであることMicrosoft Support: Add reference files to your Copilot Notebooks2026-10-15
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。指示・応答・Microsoft Graph から取ったデータが基盤モデルの学習に使われないこと。やり取りの記録が組織のほかのコンテンツと同じ約束で保存され、Microsoft Purview で保持のポリシーを決められることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-15
Web検索が有効なとき、Copilot が指示から検索語を作って Bing に送り、アプリ内で開いている文書がその検索語に影響しうること。生成された検索語に DPA が適用されないこと。管理者が「Allow web search in Copilot」のポリシーで Web検索を止められることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for web search in Microsoft Copilot2026-10-15

設計変更として扱うか、追加の費用、法令への適合は、担当の建築士と所長が決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1595)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次