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酒蔵が新酒・季節の商品の説明を ChatGPT で英語に訳して輸出先向けの商品紹介文にそろえ、酒造用語の訳のぶれと誇大に読める表現を挙げる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

新酒や季節の商品の日本語の説明と規格表から、輸入者向けの商品シートと英語の通販ページの紹介文を作ります。あわせて、酒造用語の訳のぶれ、数値の食い違い、誇大に読める表現を言い換え案付きで一覧にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
EC/商社/製造
対象部門
マーケティング
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
36h/月
AI導入後
14h/月
想定削減
61%
年間削減
264h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 営業企画が、新しい商品の日本語の説明(味わい・香り・おすすめの飲み方・料理との組み合わせ)を書く
  2. 製品の規格表から、特定名称・原料米・精米歩合・アルコール分・日本酒度・酸度などを写す
  3. 海外営業が、過去の商品シートを下敷きにして英語の説明を書く
  4. 酒造用語の訳し方を、過去の商品シートと見比べて合わせる
  5. 杜氏に、酒質の表現が実際の味わいと合っているかを確かめてもらう
  6. 輸入者ごとの商品シートの形や、通販ページの欄に合わせて書き直す
  7. 輸入者に送り、現地の表示や販売の都合で直しの依頼があれば応じる
導入後(After)
  1. 人営業企画が、日本語の説明を書き、規格表の該当の行を確かめる
  2. 人ChatGPT の「英語の商品説明」プロジェクトで新しいチャットを開き、日本語の説明・規格表の行・出し先(輸入者の名前か通販ページ)を貼る
  3. 自動プロジェクトの指示に従い、ChatGPT が出し先の形の英語の説明を作る
  4. 自動続けて、用語の照合表、数値の照合表、誇大に読める表現の一覧を返す
  5. 人営業企画が数値の照合表を規格表と照らし、用語の照合表で「用語集に無い」と出た語を確かめる
  6. 人海外営業が、英語の説明と誇大に読める表現の一覧を読み、言い換えを決める
  7. 人杜氏が酒質の表現を確かめ、輸入者に送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 営業企画が、新しい商品の日本語の説明(味わい・香り・おすすめの飲み方・料理との組み合わせ)を書く
  2. 製品の規格表から、特定名称・原料米・精米歩合・アルコール分・日本酒度・酸度などを写す
  3. 海外営業が、過去の商品シートを下敷きにして英語の説明を書く
  4. 酒造用語の訳し方を、過去の商品シートと見比べて合わせる
  5. 杜氏に、酒質の表現が実際の味わいと合っているかを確かめてもらう
  6. 輸入者ごとの商品シートの形や、通販ページの欄に合わせて書き直す
  7. 輸入者に送り、現地の表示や販売の都合で直しの依頼があれば応じる

(a)用語の訳が商品ごとにぶれる。 ある年の商品シートは「Junmai Daiginjo (super premium)」、別の年は「Junmai Daiginjo, rice polished to 50%」。生酒は unpasteurized のときも raw のときもあります。下敷きにした年によって、同じ言葉の訳が変わります。

(b)数値の写し間違いが起きる。 規格表から日本語の説明へ、日本語から英語へと2回写すので、精米歩合とアルコール分の写し間違いが起きます。英語の商品シートの数値の誤りは、輸入者の側で現地のラベルに使われることがあります。

(c)日本語の販促の言い回しが、英語で強く読める。 「蔵の最高峰」をそのまま the pinnacle と訳す。「金賞受賞」の受賞の年や対象の酒を書かずに award-winning と書く。日本語では慣用の表現でも、英語では品質や受賞を言い切る文になります。

(d)英語の説明が1人に頼っている。 海外営業が不在の週は説明づくりが止まり、季節の商品の出荷に英語の資料が間に合わないことがあります。

  1. 【人】 営業企画が、日本語の説明を書き、規格表の該当の行を確かめる
  2. 【人】 ChatGPT の「英語の商品説明」プロジェクトで新しいチャットを開き、日本語の説明・規格表の行・出し先(輸入者の名前か通販ページ)を貼る
  3. 【自動】 プロジェクトの指示に従い、ChatGPT が出し先の形の英語の説明を作る
  4. 【自動】 続けて、用語の照合表、数値の照合表、誇大に読める表現の一覧を返す
  5. 【人】 営業企画が数値の照合表を規格表と照らし、用語の照合表で「用語集に無い」と出た語を確かめる
  6. 【人】 海外営業が、英語の説明と誇大に読める表現の一覧を読み、言い換えを決める
  7. 【人】 杜氏が酒質の表現を確かめ、輸入者に送る

2番目で営業企画が英語の説明を作り始められるのが、この構成の分かれ目です。 英語を書く作業は ChatGPT に移り、海外営業の仕事は、書くことから読んで決めることに変わります。 海外営業が不在の週も、下書きと点検の一覧までは進められます。

6番目の言い換えを人が決めるのは、販売の判断だからです。 「最高峰」を言い換えるか、自社の中での位置づけとして残すかは、蔵の銘柄の中での位置づけと、輸入者の売り方によるので、AIには候補を出させるだけにします。

02今回想定するシステム構成

構成図
日本語の商品説明(営業企画)+ 製品の規格表の行
   │  出し先:輸入者A/輸入者B/英語の通販ページ/展示会の資料
   ▼【トリガー】営業企画が日本語の説明を確定
ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト「英語の商品説明」)
   │  プロジェクトの指示:訳し方、表の形、してはいけないこと
   │  Sources:蔵の用語集、表示の決まりの要点、出し先ごとの形、過去の採用済みの英文
   ├──▶ 出し先の形の英語の説明
   ├──▶ 用語の照合表(原語・使った訳・用語集の訳)
   ├──▶ 数値の照合表(規格表の値・英文の値)
   └──▶ 誇大に読める表現の一覧(箇所・理由・言い換え案)
   ▼
【営業企画が数値と用語を、海外営業が表現を確かめる】→ 杜氏の確認 → 輸入者・通販ページへ
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト機能)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
保管共有のドライブ(用語集・規格表・採用済みの英文)社内のファイルサーバー
共有メール(輸入者への送付)通販サイトの管理画面

新しく足すのは、ChatGPT の業務用ワークスペースと、その中のプロジェクトだけです。 規格表、通販サイト、輸入者への送り方は変えません。英語の説明を書いて点検する工程だけを、プロジェクトに移します。

プロジェクトは、関連するチャット・ファイル・指示をまとめておく機能です。 公式の案内では、プロジェクトの指示はそのプロジェクトのチャット全体に適用され、アップロードしたファイルは Sources の欄に置かれて、プロジェクトのチャットで使えるとされています。用語集と表示の決まりの要点を Sources に置けば、営業企画の2名と海外営業が、同じ用語集・同じ点検の物差しで英語の説明を受け取れます。

プロジェクトはパソコンのフォルダを直接は見ません。 公式の案内にも、プロジェクトはパソコンのフォルダに直接アクセスしないとあります。用語集を更新したら、Sources のファイルを差し替える手順を決めておきます。

業務用のワークスペースを選ぶのは、発売前の商品の情報を扱うためです。 公式の案内では、Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータは既定でモデルの学習に使われないとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

営業企画が日本語の説明を確定した時点を起点にします。 季節の商品は、出荷の1〜2か月前に味わいが決まり、日本語の説明が書かれます。日本語の説明が決まる前に英語を作ると、日本語の直しのたびに英語を作り直すことになります。

定番の商品の英語の説明は、輸入者から新しい形の商品シートを求められたときに作ります。 このときは日本語の説明の確定ではなく、輸入者からの依頼のメールが起点です。過去の採用済みの英文がある商品は、それを元に出し先の形へ直す指示を使います。

用語集を改めたときは、月に一度、通販ページの英語の説明を見直します。 用語集を変えても、すでに載っている説明は古い訳のままだからです。変えた語を含む商品を一覧にし、順に直します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
日本語の商品説明味わい・香り・飲み方・料理との組み合わせ・蔵の思い営業企画が書いたもの
規格表の行特定名称、原料米と使用割合、精米歩合、アルコール分、日本酒度、酸度、加熱処理の有無、容量製品の規格表
出し先の形輸入者ごとの商品シートの項目と字数、通販ページの欄Sources の「出し先ごとの形」
蔵の用語集日本語の用語、英語の書き方、説明の文、使ってはいけない訳Sources の用語集
表示の決まりの要点特定名称の要件、任意記載事項の要件、表示禁止事項、地理的表示の要点Sources(営業企画が国税庁の資料からまとめる)
採用済みの英文過去に輸入者が受け入れた商品シートの英文Sources

質を決めるのは、用語集と表示の決まりの要点です。 用語集が無ければ、ChatGPT は毎回それらしい訳を選びます。選び方が毎回違えば、第3章の(a)は直りません。

用語集の土台には、国税庁の清酒の表示基準の用語を使います。 特定名称は、吟醸酒、大吟醸酒、純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒、本醸造酒、特別本醸造酒の8種類で、精米歩合とこうじ米の使用割合などの要件が決まっています。任意記載事項には、原料米の品種名、清酒の産地名、貯蔵年数、原酒、生酒、生貯蔵酒、生一本、樽酒などがあり、それぞれに表示できる条件があります。

用語表示できる条件(国税庁の概要から)英語の書き方の例(蔵で決める)
純米大吟醸酒精米歩合50%以下、こうじ米の使用割合15%以上などJunmai Daiginjo(説明の文を添える)
生酒製成後、一切加熱処理をしない清酒Namazake(unpasteurized の説明を添える)
生貯蔵酒加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理した清酒Nama-chozo(pasteurized once before shipping)
原酒製成後に加水調整をしない清酒(1%未満の調整は差し支えない)Genshu(undiluted)
原料米の品種名使用割合が50%を超える場合に、使用割合と併せて表示できる例:Yamada Nishiki 100%

右の列は、蔵が決めるものです。 国税庁の資料が決めているのは日本語の用語と表示できる条件で、英語の書き方を決めているわけではありません。 用語集では、条件の列を「この訳を使ってよい商品か」を確かめる材料に使います。

Step3

データの取得方法を決める

プロジェクトの Sources に、4つのファイルを置きます。 用語集、表示の決まりの要点、出し先ごとの形、採用済みの英文の抜粋です。

ファイル形更新の頻度
蔵の用語集表(日本語|英語の書き方|説明の文|使わない訳|使ってよい条件)新しい語が出るたび
表示の決まりの要点文書(特定名称、任意記載事項、表示禁止事項、地理的表示)国税庁の資料が改正されたとき
出し先ごとの形文書(輸入者ごとの項目・字数・語調、通販ページの欄)輸入者が形を変えたとき
採用済みの英文文書(商品ごとに、輸入者が受け入れた英文)四半期に一度

日本語の説明と規格表の行は、Sources ではなくチャットに貼ります。 公式の案内では、チャットに添付したファイルはそのチャットだけに適用され、Sources のファイルはプロジェクトのチャット全体で使えるとされています。商品ごとの情報をチャットに、全商品に共通の物差しを Sources に置くことで、別の商品の数値が混ざるのを防ぎます。

規格表は、商品の1行だけを貼ります。 全体を貼ると、隣の行の値を写す取り違えが起きやすくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 規格表の行を確かめる … 精米歩合・アルコール分・原料米の使用割合が、最新の仕込みの値になっているかを営業企画が確かめます
  2. 日本語の説明の固有名詞を確かめる … 銘柄名・蔵の名前・原料米の品種名の表記を、用語集の書き方に合わせます
  3. 受賞の記述の根拠をそろえる … 日本語の説明に受賞のことを書くなら、賞の名前、年、対象の酒を説明の末尾に書いておきます
  4. 地理的表示の扱いを書いておく … その商品が地理的表示の名称を使えるかどうかを、規格表の行に書き添えます
  5. 出し先を1つに決める … 1つのチャットで出す形は1つにします。輸入者Aと通販ページの両方が要るなら、チャットを分けます

3番目と4番目が、誇大に読める表現の点検の材料になります。 根拠が書いてあれば、ChatGPT は「受賞の記述に年と賞の名前を添える」という言い換えを出せます。根拠が無ければ、受賞の記述を削る案しか出せません。

4番目は特に大事です。 国税庁の酒類の地理的表示の表示基準は、地理的表示の名称を、その産地以外の酒類や生産基準を満たさない酒類に使ってはならず、名称を翻訳して使う場合も同様としています。また、地理的表示を使っていない酒類に「地理的表示」「Geographical Indication」「GI」の文字を使ってはならないとしています。ここでの「使用」には、輸出する行為や、広告・価格表・取引書類に付ける行為も含まれます。 英語の商品シートは、まさにこの取引書類や広告に当たりえます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、英語の説明を作ることと、3つの照合表を作ることです。

させること中身
英語の説明出し先の形・字数・語調で、用語集の書き方を使って訳す
用語の照合表日本語の説明に出た酒造用語ごとに、使った訳と用語集の訳、一致か、用語集に無いか
数値の照合表規格表の行の値と、英文に書いた値。単位も含めて並べる
誇大に読める表現の一覧英文の該当の箇所、理由の区分、言い換え案

誇大に読める表現の理由は、決まった区分で返させます。

区分何を拾うか根拠にする決まり
superlativethe best、No.1、the finest、unrivaled など最上級を意味する表現表示禁止事項(業界で最上級を意味する用語)
award賞の名前・年・対象の酒が無い受賞の表現表示禁止事項(受賞したかのように誤認させる用語)
official官公庁が推奨しているように読める表現表示禁止事項(官公庁が推奨しているかのように誤認させる用語)
premium_wordpremium、superior、special など品質が優れている印象を与える語任意記載事項(客観的に説明できる場合に限る)と、「特別」の使い方
giJapanese Sake、産地の名前、GI の文字の使い方地理的表示の表示基準
term_condition条件を満たさない商品に付いた用語(原酒・生一本・樽酒など)任意記載事項の条件
health体に良い、効能があるように読める表現蔵の決まり(輸出先の規制は輸入者が確かめる)

premium_word を別の区分にしているのは、全部が駄目なわけではないからです。 国税庁の概要では、「極上」「優良」「高級」などの用語は、自社に同じ種別や銘柄の清酒が複数あり、使用原材料などから客観的に説明できる場合に、自社の中のランク付けとして表示できるとされています。他社の清酒と比べるためには使えません。 言い換え案は「削る」だけでなく、「蔵の銘柄の中での位置づけとして書く」という案も出させます。

させないこと理由
規格表に無い数値を書く精米歩合やアルコール分を、特定名称から推し量って書かない
用語集に無い訳を黙って使う新しい訳は用語の照合表で「用語集に無い」と知らせる
輸出先の規制に合っているかの判断輸入者と現地の専門家が確かめる
酒質の表現の付け足し日本語の説明に無い香りや味わいを足さない
受賞の記述の補い賞の名前や年を推し量って書かない

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 「華やかな香り」を訳すうちに、notes of melon and pear のような具体的な香りを足してくる。英語の説明としては自然でも、杜氏が書いていない味わいです。 指示で禁じ、杜氏の確認でも見ます。

Step6

指示内容を固定する

プロジェクトの指示(全チャットに適用):

あなたは清酒の蔵の営業企画で、海外の輸入者と英語の通販ページ向けに
商品の英語の説明を作り、点検する担当です。

【使うもの】
- Sources の「蔵の用語集」の英語の書き方を必ず使ってください。
- Sources の「出し先ごとの形」から、チャットで指定された出し先の形を使ってください。
- 数値は、チャットに貼られた規格表の行だけから写してください。

【作るもの(この順で)】
1. 出し先の形の英語の説明
2. 用語の照合表:日本語の用語|使った英語|用語集の英語|判定(一致/不一致/用語集に無い)
3. 数値の照合表:項目|規格表の値|英文の値|判定(一致/不一致/英文に無い)
4. 誇大に読める表現の一覧:英文の箇所|区分|理由|言い換え案
   区分は superlative / award / official / premium_word / gi / term_condition / health の
   いずれかです。

【厳守事項】
- 規格表の行に無い数値を書かないでください。特定名称から推し量らないでください。
- 日本語の説明に無い香り・味わい・料理の組み合わせを足さないでください。
- 用語集に無い語を訳すときは、訳したうえで用語の照合表に「用語集に無い」と書いてください。
- 受賞を書くときは、日本語の説明に書かれた賞の名前・年・対象の酒だけを使ってください。
  書かれていなければ、受賞の記述を英文に入れず、一覧の award に挙げてください。
- 地理的表示の名称(Japanese Sake、産地の名前)と GI の文字は、
  規格表の行に「地理的表示:使用可」とある場合だけ使ってください。
- 輸出先の国・地域の規制に合っているかは書かないでください。
- 言い換え案は、削る案と、事実に置き換える案の両方を出してください。

チャットごとに貼る文:

出し先:輸入者A(商品シート、英語、200語以内)
【日本語の説明】{営業企画が書いた説明}
【規格表の行】{特定名称/原料米と使用割合/精米歩合/アルコール分/日本酒度/酸度/
              加熱処理/容量/地理的表示:使用可・不可}

指示をプロジェクトとチャットに分けるのは、変わるものと変わらないものを分けるためです。 訳し方と点検の物差しはプロジェクトの指示に1度だけ書き、商品ごとに変わる説明と規格表の行だけをチャットに貼ります。 担当者ごとに指示の文面が変わる余地がなくなります。

「削る案と、事実に置き換える案の両方」を求めるのは、削るだけでは販売の文として弱くなるからです。 the pinnacle of our brewery を削る代わりに、「蔵の銘柄のうち最も精米歩合の低い1本」のように、規格表の事実に置き換える案があれば、海外営業が選べます。

Step7

出力形式を固定する

英語の説明と3つの表を、決まった順と列で受け取ります。

【1. 英語の説明(輸入者A/商品シート)】
Product: ○○ Junmai Daiginjo Namazake
Junmai Daiginjo: made only from rice, rice koji and water, with rice polished to 50% or less of its original weight.
Namazake: unpasteurized sake. Keep refrigerated.
...(本文)

【2. 用語の照合表】
日本語の用語|使った英語|用語集の英語|判定
純米大吟醸|Junmai Daiginjo|Junmai Daiginjo|一致
生酒|Namazake (unpasteurized)|Namazake (unpasteurized)|一致
しぼりたて|freshly pressed|-|用語集に無い

【3. 数値の照合表】
項目|規格表の値|英文の値|判定
精米歩合|50%|50%|一致
アルコール分|16度|16% ABV|一致
原料米|山田錦 100%|Yamada Nishiki 100%|一致
日本酒度|+2|-|英文に無い

【4. 誇大に読める表現の一覧】
英文の箇所|区分|理由|言い換え案
"the finest sake of our brewery"|superlative|最上級を言い切る表現|削る/"our most highly polished sake"
"award-winning"|award|賞の名前・年・対象の酒が無い|削る/日本語の説明に賞の記載を足してから書く

表に分ける理由は3つあります。

1つ目は、確かめる人を分けられることです。 数値の照合表と用語の照合表は営業企画が規格表と用語集で確かめ、誇大に読める表現の一覧は海外営業が読みます。英語を読めない担当者も、数値と用語の点検には加われます。

2つ目は、「用語集に無い」が用語集を育てることです。 例の「しぼりたて」のように用語集に無い語が出たら、営業企画が訳し方を決めて用語集に足します。3か月もすれば、季節の商品に出る言葉はほぼ用語集に入ります。

3つ目は、区分で件数を数えられることです。 月末に区分ごとの件数を数えれば、日本語の説明のどの書き癖が英語で問題になりやすいかが分かり、日本語の書き方の側を直す材料になります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
製品の規格表営業企画が該当の行を写して貼る数値の出どころを1つにする
ChatGPT のプロジェクト画面の操作英語の説明と3つの表を受け取る
共有のドライブ営業企画の保存確定した英文と3つの表を商品ごとに残す
輸入者海外営業のメール確定した商品シートを送る
通販サイト営業企画の管理画面の操作確定した英文を英語のページに載せる

どこにも自動では書き込みません。 月24件であれば、画面の操作で回ります。通販ページに載せるのも、杜氏と海外営業の確認を経た後です。

Step9

人が確認する

  1. 営業企画が数値の照合表を見る … 「不一致」と「英文に無い」を規格表と照らします。特定名称・精米歩合・アルコール分は、一致と出ていても規格表を開いて確かめます
  2. 営業企画が用語の照合表を見る … 「用語集に無い」の語の訳し方を決め、用語集に足すかを決めます
  3. 海外営業が英語の説明と誇大に読める表現の一覧を読む … 言い換えを選び、英文として自然かを確かめます
  4. 杜氏が酒質の表現を確かめる … 日本語の説明に無い味わいが足されていないかを見ます
  5. 輸入者に送る前に、地理的表示と受賞の記述をもう一度見る … 規格表の行の「使用可・不可」と、受賞の根拠の記載を照らします

1番目の3項目は、輸入者の側で現地のラベルに使われうる数値です。 照合表の写し間違いは、一致と出ても誤りです。

目標は、1件35分です。 営業企画の数値と用語の確認に15分、海外営業の表現の確認に15分、杜氏の確認と送付の準備に5分を見込みます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
規格表の値がまだ決まっていない(仕込みの途中)英語の説明を作らず、値が決まってから作る
用語集に無い語が多い商品先に用語集を足してから作り直す
輸入者が独自の項目を求めてくる出し先ごとの形に項目を足してから作る
受賞の根拠が見つからない受賞の記述を英文に入れない
地理的表示の扱いが分からない規格表の行を「不可」として作り、扱いを確かめてから直す
輸入者から現地の規制による直しが来る直した理由を採用済みの英文の欄に書き、用語集か表示の決まりの要点に反映するかを決める
英語以外の言語を求められる用語集にその言語の列を足してから作る。列が無い言語は作らない
誇大に読める表現の一覧が長すぎる日本語の説明の言い回しを先に直して作り直す

最後の行は、日本語の説明の「最高峰」「究極」を先に事実の言葉に直すほうが速く、国内向けの資料の点検にもなります。

Step11

記録を残す

  • 商品ごとに、日本語の説明・規格表の行・確定した英文・3つの表
  • 人が言い換えを選んだ記録 … どの表現を、どの区分で、どう直したか
  • 用語集の変更の記録(足した語、変えた訳、変えた日)
  • 輸入者に送った日と、輸入者からの直しの依頼の内容

2つ目と3つ目が、蔵の英語の書き方の決まりそのものになります。 担当が替わっても、用語集と言い換えの記録があれば、同じ書き方を引き継げます。 第3章の(d)の1人への依存は、ここで解きます。

チャットの保持は、ワークスペースの設定に従います。 公式の案内では、会話の保持はワークスペースの設定に従い、削除したチャットは一般に30日以内に完全削除の予定に入るとされています。確定した英文と表は、チャットではなく共有のドライブを正本にします。

04実装レベルの3段階

最小構成:過去の商品5品で、プロジェクトの英文と表を当時の商品シートと比べる / 用語集と指示の確かめ
半自動化:上記+新しい商品の英語の説明をすべてプロジェクトで作り、用語集を育てる / 英文の下書きと3つの照合表
本格構成:上記+規格表と用語集を API で渡し、出し先の形を一度に作って照合表を表計算に書き出す / 複数の出し先の英文と照合の一覧化

本記事の想定は半自動化です。 1件90分が35分になるのはこの段階で、下敷きを探す①と、訳し方を合わせる②の大半がなくなるためです。 本格構成は、季節の商品が増えて出し先が3つを超えるようになってから考えます。 API で組むなら、使うサービスの公開の仕様で、構造化した出力の受け方とデータの扱いを確かめてからにします。月24件なら、画面のプロジェクトで十分に回ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
24 件
1件あたり現在時間
90 分
1件あたり導入後時間
35 分
現在  24件 × 90分 ÷ 60 = 36 時間/月
導入後 24件 × 35分 ÷ 60 = 14 時間/月
月間削減時間
22h
削減率
61%
年間削減時間
264h
年間金額換算(時間単価3,500円)
92万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 清酒を海外の輸入者や英語の通販サイトを通じて輸出しており、新酒・夏酒・ひやおろしなどの季節の商品と定番の商品の英語の説明を毎月作っている酒蔵。英語の説明を海外営業の担当1人が書いていて、担当の休みや繁忙期に止まる場合や、商品ごとに「Junmai Ginjo」の説明や生酒の訳し方が違ってきている場合。製品の規格表(精米歩合・アルコール分・原料米など)が商品ごとにそろっている場合。
向いていない
  1. 輸出が年に数回のスポットの取引だけで、英語の説明を毎月作る必要が無い場合。英語の説明を輸入者や現地の代理店がすべて書いており、蔵からは日本語の資料を渡すだけの場合。製品の規格表が無く、商品ごとの数値を誰も一覧で持っていない場合。なお、輸出先の国・地域の表示や広告の規制に合っているかの判断は、輸入者と現地の専門家が行うもので、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 去年の季節の商品から5品を選び、日本語の説明・規格表の行・当時の英語の商品シートを用意する
  2. 蔵の用語集の最初の版を、当時の商品シートで使った訳から作る(20語ほど)
  3. ChatGPT のプロジェクトを作り、用語集と表示の決まりの要点を Sources に置き、第7章の指示を入れる
  4. 5品を1品ずつチャットで作らせる
  5. 出てきた英文と3つの表を、当時の商品シートと見比べる
出てきた内容判断
当時と同じ水準の英文が、用語集どおりの訳で出た半自動化に進む
当時の商品シートの数値の誤りが、照合表で見つかった当時の写し間違い。 構成は有効
日本語の説明に無い味わいが足された指示の禁止を強めれば直る
誇大に読める表現の一覧に、当時そのまま送った表現が出た海外営業と、その表現を残すかを決める

4行目が出たら、それが一番の収穫です。 当時は誰も気にしなかった award-winning や the finest が、国内の表示の決まりを物差しにすると引っかかるということです。輸入者に今後も使うかを確かめる材料になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
日本語の説明に無い香りや味わいを足す指示で禁じ、杜氏の確認で必ず見る
特定名称から精米歩合を推し量って書く数値は規格表の行だけから写させ、照合表で確かめる
用語集に無い訳を黙って使う「用語集に無い」を照合表に出させ、営業企画が決める
隣の商品の数値が混ざる規格表は商品の1行だけを貼る。1チャット1商品にする
award-winning が根拠なく入る受賞は日本語の説明に書かれた賞の名前・年・対象だけにさせる
Japanese Sake や GI を使えない商品に使う規格表の行に「地理的表示:使用可・不可」を書き、指示で縛る
premium をすべて削ってしまう削る案と事実に置き換える案の両方を出させる
用語集を変えても通販ページが古いまま月に一度、変えた語を含む商品を一覧にして直す
Sources の用語集が古い版のまま用語集を更新したら Sources のファイルを差し替える手順を決める
輸出先の規制に合っていると思い込むこの構成は国内の決まりを物差しにした点検まで。現地の確認は輸入者に頼む

上の2行が、輸出の資料としての信用を決めます。 足された味わいや推し量った数値は、英文としては自然なので、読む人には区別がつきません。 規格表と日本語の説明から外れていないかを、照合表と杜氏の確認の両方で見ます。

最後の行も、早いうちに輸入者と共有してください。 国内の表示の決まりに沿っていても、輸出先の表示や広告の規制に合っているとは限りません。照合表は、輸入者と確かめるための材料として渡します。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 発売前の商品の説明と規格表、輸入者ごとの商品シートの形、過去の英文です。個人情報はほぼ扱いません。 機密として気をつけるのは、発売前の商品の情報と輸入者との取引の条件です。

  1. 業務用のワークスペースを使う … 公式の案内では、Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータは既定でモデルの学習に使われず、通信中も保存時も暗号化されるとされています。発売前の商品の情報を、個人のアカウントに貼らないでください
  2. 取引の条件を Sources に入れない … 出し先ごとの形には、項目と字数と語調だけを書きます。価格や数量の条件は入れません
  3. 点検の結論を法的な判断として扱わない … 誇大に読める表現の一覧は、国内の表示の決まりを物差しにした候補です。輸出先の規制への適合は、輸入者と現地の専門家が確かめます
  4. 地理的表示の扱いは蔵が決めて書いておく … 「使用可・不可」の判断をAIにさせず、規格表の行に人が書きます
  5. 送る前の確認を省かない … 英語の商品シートは、輸入者の側で現地のラベルや販促に使われることがあります。数値と用語の誤りは、蔵の外に出てから直すのが難しくなります

誤りが起きた場合のリスクは、誤った数値や条件を満たさない用語が輸入者の資料に使われることと、根拠の無い受賞や最上級の表現が蔵の名前で広まることの2つです。 どちらも照合表と人の確認で防ぐもので、送付を自動にしない理由はここにあります。

10まず何から始めるか

1週目:用語集の最初の版を作る

過去の商品シートで使った訳を集め、20語ほどの用語集の最初の版を作ります。特定名称の8種類と、生酒・生貯蔵酒・原酒・原料米の品種名から始めます。海外営業と、迷った語の書き方を決めます。

2週目:表示の決まりの要点をまとめる

国税庁の清酒の表示基準の概要と、酒類の地理的表示の表示基準から、特定名称の要件、任意記載事項の条件、表示禁止事項、地理的表示の要点を1枚にまとめます。規格表に「地理的表示:使用可・不可」の列を足します。

3週目:過去の商品5品で試す

プロジェクトを作り、去年の季節の商品5品で英文と照合表を作らせます。当時の商品シートと見比べ、味わいが足されていないか、数値が規格表どおりかを最優先で見ます。

4週目:次の季節の商品で使う

次に出る季節の商品から、英語の説明をプロジェクトで作ります。「用語集に無い」と出た語を、その都度用語集に足します。

2か月目: 定番の商品の商品シートの作り直しにも広げ、言い換えの記録を月末に見直します。3か月目以降: 1件あたりの時間を実測し、誇大に読める表現の区分ごとの件数を見て、日本語の説明の書き方を直します。海外営業が不在の週も英語の資料が出荷に間に合い、すべての商品の英語が同じ用語集に沿った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
特定名称が8種類で、精米歩合・こうじ米の使用割合などの要件があること。任意記載事項(原料米の品種名は使用割合50%超で使用割合と併せて表示、原酒、生酒、生貯蔵酒、生一本、樽酒など)の条件。「極上」「優良」「高級」等が自社の同一の種別・銘柄の中で客観的に説明できる場合に限られ他社との比較に使えないこと。表示禁止事項(最上級を意味する用語、受賞したかのように誤認させる用語、官公庁が推奨しているかのように誤認させる用語、特定名称に類似する用語)。国内産米のみを使い国内で製造された清酒に限り「日本酒」と表示できること国税庁: 「清酒の製法品質表示基準」の概要2026-10-15
地理的表示の名称を産地以外の酒類や生産基準を満たさない酒類に使ってはならず、翻訳して使う場合も同様であること。「使用」に輸出する行為や広告・価格表・取引書類に付ける行為が含まれること。地理的表示を使っていない酒類に「地理的表示」「Geographical Indication」「GI」の文字を使ってはならないこと国税庁: 酒類の地理的表示に関する表示基準を定める件2026-10-15
プロジェクトの指示がプロジェクトのチャット全体に適用されること。アップロードしたファイルが Sources に置かれてプロジェクトのチャットで使えること。チャットに添付したファイルはそのチャットだけに適用されること。プロジェクトがパソコンのフォルダに直接アクセスしないことChatGPT ドキュメント: Projects2026-10-15
Business・Enterprise・Edu のワークスペースのデータが既定で学習に使われないこと。通信中・保存時に暗号化されること。会話の保持がワークスペースの設定に従い、削除したチャットが一般に30日以内に完全削除の予定に入ることChatGPT ドキュメント: Work cloud security2026-10-15

輸出先の国・地域の表示・広告の規制に合っているかは、輸入者と現地の専門家に確かめてください。 本記事は国税庁の清酒の表示基準の概要と地理的表示の表示基準で確認できた範囲だけを、点検の物差しとして使っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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