「AI搭載」と書いてよいのはどこから?|機能の呼び方と人手の開示

「AI搭載」と書いてよいのはどこから?|機能の呼び方と人手の開示

「少しでもAIを使っていれば、AI搭載と書いて問題ないはずだ」「効果の数字は社内の検証で出たのだから、そのまま載せてよい」。自社の製品紹介や営業資料を作る場面で、こう考える人は少なくありません。しかし「AI搭載」と書けるかどうかは、中にAIの技術が入っているかどうかで決まるのではありません。本当は、読んだ人が思い描く働き方と、製品の実際の働き方が一致しているかで決まります。この記事では、自社の製品やサービスをAIと呼ぶときに、どこまでなら名乗ってよいか、どこが人の手かをどう書き分けるかを整理します。


カメ先生カメ先生

「AI搭載」という言葉は、技術が入っているかどうかの話だと思われがちなんだ。本当は、読んだ人が「機械が自分で判断してくれる」と受け取るかどうかの話なんだよ。


カメ子カメ子

一部だけAIを使っていても、全体をAIと呼ぶと誤解される、ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。海外ではAIの言い過ぎを当局が実際に問題にし始めている。だから、どの工程を機械が判断していて、どこを人が確かめているかを先に分解して、呼び方を決めるんだ。


カメ子カメ子

AIと書くのをやめるのではなく、どこまでがAIかを正直に書く、ということですね。


この記事のポイント
  • 「AI搭載」と書けるかは技術の有無ではなく、読み手の受け取り方と実態が一致するかで決まる
  • 言い過ぎは、営業資料の先走り・一部の工程の拡大・人の工程の省略・数字の条件の省略から起きる
  • 表現の洗い出しと書き分け案はAIに任せ、どの工程を機械が判断しているかの事実確認と最終表現は人が決める

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目次

「AI搭載」かどうかは、使っている技術では決まらない

製品紹介のページで「AI搭載」と書かれていると、読み手は多くの場合、機械が状況を読み取って判断し、人の代わりに作業を進めてくれる姿を思い浮かべます。ところが実際の製品では、AIが担っているのは入力された文章の分類だけで、その後の判断と作業は人が行っている、ということがよくあります。技術としてAIが入っているのは事実でも、読み手が思い描いた働き方と実際の働き方がずれていれば、それは言い過ぎです。

こうした、実態以上にAIを打ち出す表現は、海外で「AIウォッシング」と呼ばれています。技術が入っているかどうかではなく、AIがどのように語られているかに焦点を当てた言葉です。AIという言葉には先進的で手間がかからない印象があるため、少しでも関われば使いたくなります。だからこそ、自社の側で線を引いておかないと、表現は放っておくほど膨らんでいくのです。

ここで注意したいのは、言い過ぎの多くが悪意からではなく、善意の積み重ねで生まれることです。開発者は「ここに機械学習を使っている」と正確に説明し、企画が「AIを活用」とまとめ、営業が「AIが自動で判断」と言い換え、広告が「AIにお任せ」と縮める。一人ひとりは少しずつ丸めただけでも、最後に顧客へ届く言葉は、最初の事実から大きく離れていることがあります。

海外では、当局がAIの言い過ぎを取り締まっている

米国の連邦取引委員会は、2024年9月に「オペレーション・AIコンプライ」と名付けた取り組みを始め、AIの利用やAIがもたらす効果について根拠のない、あるいは誤解を招く主張をする事業者を相手に、まとめて措置を取りました。法律事務所の解説によれば、2025年にもAIの言い過ぎに関わる事案を十数件手がけ、消費者向けだけでなく事業者向けの販売表現も対象にしているとされています。AI専用の新しい法律ではなく、既存の「不公正または欺瞞的な行為」を禁じる規定で取り締まっている点が重要です。

具体的な事案を見ると、何が問題にされたかがよく分かります。2025年4月には、AIが書いた文章かどうかを見分ける道具を「98%の精度」とうたっていた事業者に対し、同委員会が命令を出しました。独立した検証では、一般的な文章での精度は53%で、偶然に当てるのと大差がなかったとされています。命令では、信頼できる根拠なしに精度をうたうことを禁じ、効果の主張の根拠資料を保管すること、4年間にわたって報告することを求めています。

証券の分野でも動きがあります。米国の証券取引委員会は2024年3月、実際には持っていないAIの能力を宣伝していた投資助言会社2社に、合わせて40万ドルの民事制裁金を科しました。2025年1月には上場企業として初めてAIの言い過ぎを理由に処分した事案が出ており、報道によれば、第三者の音声認識技術を自社製のように説明し、人が注文を受ける作業をなくしたとしながら、実際には多くの注文で人の介在が必要だったことが問題にされました。人が関わっている工程を隠すこと自体が、言い過ぎとして扱われうるという点は、日本の会社にとっても示唆があります。

日本では、どう考えればよいか

日本には、製品に「AI搭載」と書くための専用の基準や、AIを使ったことの表示を一般に義務づける規定は、現時点ではありません。一方で、景品表示法は、商品の品質や内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示を優良誤認表示として禁じています(5条1号)。AIの働きを実際以上に見せる表示は、この優良誤認に当たりうるという構造で理解しておくのが現実的です。

あわせて知っておきたいのは、景品表示法が規制するのは原則として「表示」であり、書かなかったこと自体は対象外とされている点です。ただし、「専門家が一件ずつ確認」と書きながら実際はAIの出力をそのまま使っていた場合のように、書いた内容が実態と違えば別です。また、効果をうたう表示には、当局から合理的な根拠を示す資料の提出を求められ、示せなければ不当な表示とみなされる仕組み(不実証広告規制)もあります。

事業者向けの製品の場合、景品表示法の対象になるかは、その表示が誰に向けられ、誰が目にするかによって判断が分かれます。一般消費者も買える製品や、小規模な事業者が購入する製品では、対象になる可能性を考えておくべきでしょう。どの法律に当たるかの最終的な判断は、この記事では断言できません。迷う表現は、公開する前に法務や専門家に確かめることを前提に、ここからは社内で言い過ぎを起こさないための考え方を整理します。

原因1:営業資料の言い回しが先に走る

AIの言い過ぎがどこで生まれるかを調べると、製品の仕様書よりも営業資料や展示会の配布物が起点になっていることがよくあります。営業資料は、商談で相手の関心を引くために作られるため、言葉が短く、強くなりがちです。そして一度資料に載った言い回しは、ウェブサイトや広告に転記され、いつのまにか会社の公式の説明になります。

典型的なのは、開発中の機能を先取りして書くケースです。「AIが問い合わせに自動で回答」と資料に書いた時点では、実際にはまだ人が回答を作っており、半年後にAIに切り替える予定だった。ところが予定が遅れ、資料だけが先に世に出続ける。法律事務所の解説でも、将来の計画や目標と、今すでにできることとしての主張を区別することが勧められています。予定している機能を、今の機能として書かないことが、最初の歯止めになります。

この原因への対策は、営業資料を作る人に製品の実態を確かめる窓口を用意することです。資料を作るたびに開発に聞くのは現実的でないので、次の節以降で説明する「工程ごとの呼び方の表」を1枚作り、営業資料はその表の言葉から選ぶ、という決まりにしておくと、先走りが起きにくくなります。

原因2:一部の工程だけAIなのに、全体をAIと呼ぶ

製品やサービスは、たいてい複数の工程でできています。たとえば問い合わせの対応を支援するサービスなら、問い合わせを受け付ける、内容を分類する、担当者に振り分ける、回答を作る、回答を確認して送る、という工程に分けられます。このうちAIが担っているのが分類だけでも、製品名の横に「AI搭載」と書けば、読み手は回答まで機械が作ると受け取るかもしれません。

これは、部分の事実を、全体の説明に使ってしまうという問題です。分類にAIを使っていること自体は正確な事実なので、書いた本人に言い過ぎの自覚はありません。しかし読み手が受け取るのは部分ではなく全体の印象です。「分類にAIを使用」と「AIで問い合わせ対応を自動化」は、同じ製品について書いていても、読み手に与える印象がまったく違います。

外部の技術を組み込んでいる場合も、同じ構造の言い過ぎが起きます。他社の生成AIの仕組みを呼び出しているだけなのに「独自のAI」「自社開発のAI」と書く例です。米国の事案でも、第三者の技術を自社製のように説明したことが問題にされました。独自と書くなら、何が独自なのかを一文で説明できるかを確かめます。独自なのが使い方や組み合わせであれば、そう書けば足ります

原因3:人が確認している工程を書かない

AIを使ったサービスの多くは、品質を保つために、どこかで人が確認しています。AIが作った回答を担当者が読んでから送る、AIが抽出した数字を人が原本と照らし合わせる、といった工程です。これは製品として誠実な設計ですが、紹介文からは抜け落ちやすい部分です。人の手が入っていると書くと、先進的でない印象を与えると考えてしまうからです。

ところが、人の確認を書かないと二つの問題が起きます。一つは、顧客が「全部機械がやっている」と誤解したまま契約し、あとで対応の遅さや人の判断の揺れに不満を持つことです。もう一つは、米国の事案のように、人の介在をなくしたと説明していたのに実際は人が大量に関わっていた、という構図が言い過ぎとして扱われうることです。人の確認は、隠すものではなく、品質の説明として書くものだと考え方を変える必要があります。

実際、法人の顧客にとっては、人が確認していることがむしろ安心材料になる場面が多くあります。契約書や数字を扱うサービスなら、「AIが下書きし、専門の担当者が確認してお届けします」と書かれていたほうが、導入を社内で通しやすいはずです。人の工程を書くことは、言い過ぎを防ぐだけでなく、選ばれる理由にもなりえます。

原因4:効果の数字の条件を書かない

「AIで作業時間を7割削減」「精度95%」といった数字は、製品紹介で最も目を引く部分です。しかし、その数字がどんな条件で出たものかが書かれていないことがよくあります。社内の特定の業務で、特定の期間に、特定の種類のデータで測った結果を、どの顧客にも当てはまるかのように書いてしまうのです。前述の文章判定の道具の事案は、まさに条件を外した精度の数字が問題になった例です。

数字の条件で欠けやすいのは、次の4つです。何を対象に測ったか(業務の種類やデータの種類)、どの期間に測ったか、何と比べた削減なのか(以前の手作業か、他社の製品か)、そして人の確認の時間を含めた数字かです。とくに最後の点は見落とされがちで、AIが下書きを作る時間だけを比べて「9割削減」と書き、人が確認して直す時間を含めると削減が半分になる、ということが起こります。

数字の根拠となる資料をどう揃え、どう保管するかという一般的な進め方は、効果をうたう前の根拠づくりを扱った別の記事に譲ります。ここで押さえておきたいのは、AIの効果の数字は条件によって大きく変わりやすいという点です。検証した条件と違う使い方をする顧客には、同じ数字が出ないことを前提に、条件を数字のすぐ近くに書いておきます。

  • 数字の条件は、ページの末尾の注記ではなく、数字のすぐ近くに書く。離れた場所の注記は読まれない
  • 検証の記録は、表現を公開した時点のものを残す。あとから検証し直した結果で、過去の表現の根拠にはならない

対策の出発点:工程ごとに「誰が判断しているか」を書き出す

4つの原因に共通するのは、製品の実態を工程に分けて把握しないまま、全体をひとことで表現しようとしていることです。対策の出発点は、表現を考える前に、製品を工程に分解し、それぞれの工程で誰が判断しているかを書き出すことです。

STEP1
製品の働きを工程に分ける

受け付け、分類、判断、作成、確認、送付のように、顧客から見た流れで5〜8工程に分けます。

STEP2
工程ごとに、判断しているのが機械か人かを書く

「機械が判断し、そのまま実行」「機械が候補を出し、人が選ぶ」「人が判断」の3つで区別します。

STEP3
機械の部分に、何の技術を使っているかを書く

生成AI、機械学習の分類、決まった規則による自動処理を区別します。規則による自動処理はAIとは呼びません。

STEP4
人の部分に、何を確かめているかを書く

誤りの確認、最終承認、例外の対応など、人が担っていることを具体的に書きます。

STEP5
開発と営業の両方が読んで合意する

開発だけで書くと専門的すぎ、営業だけで書くと丸まります。両方が読んで、事実として正しいと言える表にします。

この表ができると、表現の議論が「どう書けば格好よいか」から「この事実をどう正確に伝えるか」に変わります。とくに3番目の手順で、決まった規則で動く自動処理をAIと区別しておくことが重要です。条件分岐で動く仕組みを「AIが判断」と書くのは、自動化であってもAIではないものを、AIと呼ぶ典型的な言い過ぎだからです。

呼び方の判定表

工程の表ができたら、それぞれの状態に合う呼び方を選びます。次の表は、工程の実態ごとに、使ってよい言い方と避けたい言い方を並べたものです。自社の製品に合わせて書き換えて使います。

工程の実態使ってよい言い方の例避けたい言い方の例
機械が判断し、人が見ずにそのまま実行するAIが自動で振り分けます(実態どおりなら言い換え不要)
機械が候補を出し、人が選んで実行するAIが候補を提案し、担当者が選びますAIが自動で判断します
機械が下書きし、人が確認・修正してから出すAIが下書きし、専門の担当者が確認しますAIが自動で作成します
一部の工程だけにAIを使う問い合わせの分類にAIを使用していますAI搭載の問い合わせ対応サービス
決まった規則で動く自動処理条件に合わせて自動で処理しますAIが判断して処理します
他社のAIの仕組みを組み込んでいる外部の生成AIを組み込み、当社の手順で運用しています独自開発のAI
開発中で、まだ提供していない今後、AIによる自動回答を追加する予定です(時期を明記)AIが自動で回答します

表で最も大切なのは、上から2行目と3行目の区別です。候補を出すのか、下書きするのか、実行まで行うのかで、読み手の受け取り方は大きく変わります。「AI搭載」という言葉を使ってよいのは、製品の中心となる働きを実際にAIが担っていて、その範囲をすぐ近くで説明している場合だと考えておくと、判断に迷いにくくなります。

「一部自動」「人が確認」をどう書き分けるか

工程の実態が分かっても、紹介文でそれを長々と書くわけにはいきません。短い言葉で正確に伝えるには、主語と動詞を工程に合わせることが基本です。「AIが〜します」の後ろに来る動詞を、「提案します」「下書きします」「分類します」「抽出します」のように、実際にAIがしていることに限定します。「判断します」「対応します」「解決します」のような広い動詞は、人が関わる工程を含んでしまうので避けます。

人の工程は、AIの文の直後に続けて書くと自然です。「AIが契約書の論点を抽出し、法務の経験者が確認してからお届けします」のように、1つの文の中で機械と人の役割がつながっていれば、読み手はどこまでが機械かを誤解しません。見出しや広告のように字数が限られる場所では、見出しでAIを打ち出すなら、本文の最初の段落で範囲を説明するという組み合わせにします。見出しだけが一人歩きしないようにするためです。

また、書き分けは一度決めて終わりではありません。製品が改良されて人の工程が減れば、表現も変えられます。逆に、品質の問題で人の確認を増やしたのに、表現が「完全自動」のまま残っているのは危険です。工程の表と表現を同じ場所で管理し、工程が変わったら表現も見直す流れを作っておきます。

効果の数字を出すときの条件と、根拠の残し方

効果の数字を紹介文に載せるなら、先に挙げた4つの条件を数字の近くに書きます。たとえば「社内の問い合わせ対応業務で2026年4月から6月に測定。以前の手作業との比較。担当者の確認時間を含む」といった一文です。長くなるなら、少なくとも「当社の検証条件による」と書き、条件の詳細にすぐたどり着けるようにしておきます。

根拠を残すうえで大事なのは、表現を公開した時点の検証記録を、その表現と組にして保管することです。米国の文章判定の道具の事案でも、命令の中に効果の主張の根拠資料を保管することが含まれていました。法律事務所の解説も、検証や性能のデータを、主張と同じ時期に記録しておくことを勧めています。後から聞かれたときに、当時の条件と結果をすぐに出せる状態にしておくことが、社内で言い過ぎを防ぐ仕組みにもなります。

顧客の事例の数字を使う場合は、さらに注意が要ります。ある顧客で出た削減の数字は、その顧客の業務とデータの条件でたまたま出たものかもしれません。事例として紹介するなら、「一例であり、効果を保証するものではない」と添えるだけでなく、その顧客がどんな使い方をしたかを数字と一緒に書きます。条件の違う顧客が同じ数字を期待しないようにするためです。

言い過ぎの書き方

ここまでの内容を、実際によく見る言い過ぎの書き方としてまとめます。自社の紹介文やページに同じ型がないか、確かめる目安にしてください。どれも、書いた本人は事実の一部を書いたつもりでいるものです。

  • 「AI搭載」だけを見出しに置き、範囲をどこにも書かない:一部の工程の事実が、製品全体の説明として読まれる
  • 「AIが自動で判断」と書き、人の確認を省く:実際には担当者が選んでいる工程が、機械の判断に見える
  • 決まった規則の自動処理を「AI」と呼ぶ:自動化とAIの区別がつかず、中身を問われたときに説明できない
  • 他社の仕組みを組み込んだだけで「独自AI」と書く:何が独自なのかを一文で説明できない
  • 開発中の機能を現在形で書く:提供していない働きを、今できることとして示している
  • 条件のない「〇割削減」「精度〇〇%」:特定の業務・期間・比較対象での結果が、どの顧客にも当てはまるように読める
  • 「人手ゼロ」「完全自動」:例外の対応や確認で人が入る工程があるのに、それを否定している

このうち「人手ゼロ」「完全自動」は、とくに慎重に扱うべき言葉です。例外の処理や障害の対応で人が入る工程が一つでもあれば、事実として言い切れません。使いたくなったら、工程の表を見て、本当に人が一度も関わらないかを確かめます。

AIに任せるのは、洗い出しと書き分け案まで

自社のウェブサイト、営業資料、広告、展示会の配布物には、AIにまつわる表現が思った以上に散らばっています。これを人の目だけで拾い集めるのは手間がかかるので、洗い出しには生成AIが役に立ちます。ページや資料の文章を渡し、「AI」「自動」「精度」「削減」「独自」「人手」といった語を含む表現を抜き出させ、どの資料のどこにあるかを一覧にさせます。

洗い出しの一覧は、あとで人が確かめやすい形で出させます。列は、資料の名前、ページや枚数の位置、表現そのもの、判定表のどの行に当たりそうか、その理由、確かめる担当者の6つが目安です。資料の種類が多い会社では、ウェブサイト、営業資料、広告、契約書類のように束ごとに分けて回すと、同じ表現がどこに転記されているかも見えてきます。転記の元をたどれば、先に挙げた営業資料の先走りがどこから始まったかも分かり、直す順番を決めやすくなります。

一覧ができたら、先の判定表と工程の表を渡し、それぞれの表現について書き分けの案を下書きさせることもできます。ただし、ここで任せられるのは案までです。どの工程を機械が判断しているかという事実は、AIには分からないからです。AIは渡された文章から推測するしかなく、推測で書き分けた案は、別の形の言い過ぎを生むことがあります。書き分け案には、判定表のどの行に当てはめたかを根拠として書かせ、人が工程の表と照らして確かめます。

最終的な表現を決めるのは、製品の実態を知る開発の担当者と、表現に責任を持つ人です。AIが出した一覧は、見落としを減らすための道具として使い、事実の確認と最終表現は人が決めるという線をはっきりさせておきます。法的な当てはめが必要な表現は、AIの判断ではなく法務や専門家に確かめます。

表現を決める社内の流れを作る

言い過ぎを一度直しても、新しい資料や広告が出るたびに同じことが起きます。そこで、AIにまつわる表現を決める流れを社内に1本作っておきます。流れの中心になるのは、先に作った工程の表と呼び方の判定表です。新しい資料を作る人はこの2枚の表から言葉を選び、表にない表現を使いたいときだけ、開発の担当者と表現の責任者に確認を求めます。

見直しの時機も決めておきます。製品の機能が変わったとき、効果の数字を更新したとき、新しい広告や展示会の資料を作るときの3つが最低限です。機能を変える側が、表現を見直す合図を出すことを決まりにしておくと、表現だけが古いまま残る事故が減ります。あわせて、半年に1回ほど、全体の洗い出しをAIで回し直し、表から外れた表現が紛れ込んでいないかを確かめます。

この流れは、表現を萎縮させるためのものではありません。AIが実際に担っている働きを正確に書ければ、その製品の強みはかえって伝わりやすくなります。どこまでがAIで、どこからが人かを書き分けられる会社は、それだけで中身を分かっている会社だと受け取られます。

表現を直すときに、あわせて確かめること

表現を直す作業に入ると、紹介文だけでなく周辺の文書にも手が及びます。見落としやすいのは、利用規約や契約書の中の製品説明、営業担当が個別に作っている提案書、そして過去に出したプレスリリースです。紹介ページだけを直しても、契約書に「AIにより自動で処理する」と書かれたままなら、顧客との間では古い説明が生き続けます。海外向けのサイトや資料を持っている会社は、先に挙げた米国の動きがそのまま関わりうるので、そちらも同じ表で見直しておきます。

また、直した表現を営業担当に伝えることも欠かせません。資料の言葉を変えても、商談の場で口頭で「全部AIがやってくれます」と言っていれば意味がありません。書き分けの理由を、営業が自分の言葉で説明できるところまで共有することが必要です。人が確認している工程を、品質の説明として話せるようになれば、営業にとっても使いやすい言葉になります。

表現を直すときに一緒に確かめる文書
  • 製品紹介のページと、その見出し・広告文
  • 営業資料・提案書の雛形・展示会の配布物
  • 利用規約・契約書の中の製品説明
  • 過去のプレスリリースや導入事例の記事
  • 営業担当が口頭で使っている説明の言い回し

まとめ

「AI搭載」と書いてよいかは、製品にAIの技術が入っているかどうかではなく、読み手が思い描く働き方と実際の働き方が一致しているかで決まります。米国では、連邦取引委員会が2024年9月から、AIの言い過ぎに根拠のない主張として措置を取り続けており、精度の数字や人の介在を隠した説明が問題にされてきました。日本では、AIの働きを実際以上に見せる表示が景品表示法の優良誤認に当たりうるという構造で考え、迷う表現は法務や専門家に確かめます。言い過ぎは、営業資料の先走り、一部の工程の拡大、人の確認の省略、数字の条件の省略から生まれます。対策は、製品を工程に分けて誰が判断しているかを書き出し、判定表に沿って動詞を選び、人の工程を品質の説明として書くことです。AIには表現の洗い出しと書き分け案の下書きまでを任せ、どの工程を機械が判断しているかの事実確認と最終表現は人が決めます。まずは自社の製品の働きを5つほどの工程に分け、それぞれを機械と人のどちらが判断しているかを書き出すところから始めてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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