リアルタイム営業支援AIとは?|通話中に出す一言の線引き

リアルタイム営業支援AIとは?|通話中に出す一言の線引き

「通話中に切り返しが画面に出る仕組みを入れたら、新人が画面を読むだけになりました」「相手の話を聞いているのか、画面を見ているのか分からない電話が増えた気がします」——通話中に動くAIを試したインサイドセールスの現場から聞こえてくる声です。米国の研究では、会話の最中にAIが返し方を示す仕組みを5,179人の窓口担当者に時期をずらして入れたところ、1時間あたりに解決した件数が平均で14%増え、経験の浅い人では34%増えた一方、熟練した人にはほとんど効果が見られませんでした。効く人と効かない人がはっきり分かれる道具だということです。リアルタイム営業支援AIは、話し方の正解を画面に流してくれる機械ではありません。本当は、どの場面で、何を、誰の画面に出すかを人が決めて初めて役に立つ、通話の横の補助線です。この記事では、画面に出るものの種類、逆効果になる場面、場面ごとに出すか出さないかの線引きを整理します。


カメ先生カメ先生

通話中に次の一言を出すAIは、うまく話せる台本が画面に流れてくるものだと思われがちなんだ。でも本当は、聞き取った言葉をきっかけにして、あらかじめ決めておいた知らせを出す仕組みなんだよ。


カメ子カメ子

台本を読み上げる道具とは違う、ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。だから何を出すかより、どこで出さないかのほうが大事でね。値引きや納期の話で候補が出てしまうと、担当者がそのまま口にして、会社の約束になってしまうこともあるんだ。


カメ子カメ子

出す場面と出さない場面を、使う前に人が決めておくということですね。


この記事のポイント
  • 通話中のAIが画面に出すのは、次の一言・切り返しの候補・言い漏れの知らせ・製品の数字の4種類で、それぞれ効き方が違う
  • 経験の浅い人ほど効き、慣れた人には効きにくい。画面の読み上げと相手の話の聞き逃しという逆効果もある
  • 聞き取り・知らせ・候補の提示まではAIに任せ、値引き・納期・約束につながる発言の線と、出す場面は人が決める

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目次

リアルタイム営業支援AIとは:通話を聞き取り、横で知らせる仕組み

リアルタイム営業支援AIは、インサイドセールスの電話やオンライン商談の最中に、相手と自分の発言を文字に起こし、その言葉をきっかけにして担当者の画面へ短い知らせを出す仕組みです。海外では会話分析の製品が「通話中の指導」として売り出しており、相手が懸念を口にした瞬間に切り返しの例を出す、競合の名前が出たら比較の要点を出す、決められた説明をまだしていなければ知らせる、といった機能が並びます。通話が終わってから振り返る道具ではなく、通話が続いているあいだに働く道具だという点が、この呼び名の中心にあります。

仕組みを分けると3段になります。1段目は聞き取りで、発言を文字にして誰が話したかを分ける。2段目はきっかけの判定で、「高い」「他社も見ている」「上に相談しないと」といった言葉や話題を拾う。3段目は表示で、拾ったきっかけに結びつけた文面や数字を画面の端に出す。3段目に何を出すかは、機械がその場で考えているように見えて、実際には導入する側が用意した資料と設定で決まります。社内の資料が古ければ古い数字が出ますし、切り返しの例が雑なら雑な例が出ます。

販売元の説明では、表示までの遅れを1秒未満に抑えることが売りにされています。遅れが数秒になると、知らせが出たときには話題が次に移っていて、かえって邪魔になるからです。裏を返せば、この道具は「速く出ること」と「出たものが短いこと」がそろって初めて使えるものだということです。長い文章が速く出ても、読んでいるあいだに会話は先へ進んでしまいます。

画面に出るものは4種類あり、効き方がそれぞれ違う

ひとくちに「次の一言を出す」と言っても、画面に出るものは大きく4つに分かれます。1つ目は次の一言で、会話の流れから次に聞くべきこと・話すべきことを短く示すもの。2つ目は切り返しの候補で、相手の懸念や反論を拾って返し方の例を出すもの。3つ目は言い漏れの知らせで、決められた確認事項や説明をまだ口にしていないときに印を出すもの。4つ目は製品の数字で、料金の区分・対応している機能・導入にかかる期間など、聞かれたことに答えるための事実を出すものです。

この4つは、担当者にかける負担が違います。言い漏れの知らせは「まだ聞いていない項目」に印が付くだけなので、読む量がほとんどありません。製品の数字も、聞かれたことに答える材料なので、見る理由がはっきりしています。これに対して次の一言と切り返しの候補は文章として出るため読む量が多く、読んでいるあいだは相手の話が耳に入りにくくなります。読む量が多い表示ほど、逆効果になりやすいと覚えておくと、どれから入れるかを決めやすくなります。

導入を検討するときは、候補の製品が4つのどれを得意としているかを分けて確かめてください。会話分析の製品には、通話後の採点や要約を土台にして通話中の機能を後から足したものと、最初から通話中の表示を中心に作ったものがあり、性格が違います。欲しいのが言い漏れの知らせだけなら、切り返しの文章を大量に出す製品は要らないということもあります。何でも出せる製品ほど、出さない設定に手間がかかる点も見落とせません。

通話の後の要約・採点とは、求められるものが違う

通話を文字に起こして要約する、話した割合や沈黙の長さを測って後から助言する、といった機能は、国内の電話営業向けの道具でも広く見られます。これらは通話が終わってから働くもので、時間をかけて全体を読めるぶん、まとめの精度を上げやすい。通話中の表示はその逆で、会話の途中までしか聞いていない状態で、数秒のうちに出すかどうかを決めなければなりません。全体を見てから判断できないぶん、的外れな知らせが混ざるのは避けられません。

海外の比較記事でも、「リアルタイム」と名乗りながら、実際には通話の数時間後や数日後に助言が届く製品があると注意されています。選ぶ側は、試用やデモの場で「相手役が懸念を口にしてから、何秒で、何が、どのくらいの長さで出るか」を実際に見て確かめるのが確実です。資料に書かれた機能の名前だけで比べると、通話中に働くものと通話後に働くものの区別がつきません。

もう一つの違いは、間違ったときの影響です。通話後の要約が間違っていても、読んだ人が直せば済みます。通話中の知らせが間違っていると、担当者がそのまま口にした時点で相手に届き、取り消せません。だから通話中の表示は、間違ったときに相手へ届いてしまうものから順に、出さない側へ寄せていくのが基本になります。通話が終わった後の議事録や要約の扱いは、商談議事録の記事で扱っているので、ここでは通話の最中に絞って話を進めます。

研究が示しているのは「誰に効くか」の差

通話中の支援がどれほど効くかについて、よく引かれるのが米国の経済学者らによる研究です。2023年に公表され、2025年に経済学の学術誌に掲載されました。対象は顧客対応の窓口で働く5,179人の担当者で、会話の最中に生成AIが返し方を示す仕組みを時期をずらして導入し、導入の前後を比べています。結果は、1時間あたりに解決した件数が平均で14%増え、経験の浅い人や成績の低い人では34%増えた一方、経験を積んだ人や成績の高い人にはほとんど効果が見られませんでした。

この研究は営業ではなく問い合わせ窓口のものなので、数字をそのまま営業に当てはめることはできません。ただ、示している構造は営業にも通じます。AIが示す返し方は成績のよい人の話し方を下敷きにしているため、まだその話し方を身につけていない人には近道になり、すでに身につけている人には同じことの繰り返しになる。研究では、顧客の反応が良くなったことや、担当者が辞めにくくなったことも報告されています。

ここから言えるのは、全員に同じ表示を出すのが最善ではないということです。慣れていない人には候補を多めに、慣れた人には言い漏れの知らせだけ、という出し分けが理にかなっています。また、研究の対象は文字でやりとりする窓口の仕事で、声で話しながら画面を見る営業の電話とは、画面に目を移す余裕がまったく違います。声の会話では、同じ量の表示でも負担はずっと重くなると差し引いて読む必要があります。

逆効果1:画面を読み上げて、会話が不自然になる

通話中の表示で最初に起きやすいのが、画面の文章をそのまま読み上げてしまうことです。候補の文章は書き言葉で整っているので、読むと声の調子が変わり、相手には「急に台本になった」と伝わります。とくに切り返しの候補は、相手の懸念に対して正しいことを並べるように作られているため、そのまま読むと、相手の言葉を受け止めずに説明を始めたように聞こえます。

読み上げが起きる理由は、担当者の怠慢ではありません。画面に完成した文章が出れば、それを使うのがいちばん安全に見えるからです。完成した文章を出す設計そのものが、読み上げを招いていると考えたほうが対策を立てやすくなります。後で扱うように、文章ではなく要点の言葉だけを出す、1回に出す候補の数を絞る、といった表示の作り方で読み上げは減らせます。

読み上げの害は、その通話の印象だけにとどまりません。担当者が自分で考えて返す機会がなくなり、画面がないと話せない人が育ってしまいます。仕組みの不調で候補が出ない日に通話の質が大きく落ちるようなら、支援ではなく依存になっているということです。導入のときから、画面なしで話す日を意図的に作っておくのも一つの手です。

逆効果2:画面を見ていて、相手の話を聞かなくなる

2つ目の逆効果は、画面に気を取られて相手の話を聞かなくなることです。販売元の比較記事でも、担当者が画面を読んで相手との会話に集中できなくなる点が落とし穴として挙げられています。人は、文章を読みながら別の人の話を同時に理解するのが得意ではありません。候補を読んでいる数秒のあいだに、相手が口にした大事な一言を聞き逃すことが起きます。

聞き逃しは、通話の後になって気づくことが多いのがやっかいです。文字起こしを読み返して初めて、相手が「実は来月から担当が替わる」と言っていたのに、こちらは切り返しの候補を読んでいて拾えていなかった、と分かる。画面の知らせに反応した回数が増えるほど、相手の言葉に反応した回数は減るという関係を前提に、表示の量を決めてください。

対策は、表示を減らすことと、表示を見る時間を決めることです。相手が話しているあいだは画面を見ない、相手が話し終えて自分の番になったときにだけ目を移す、という約束を最初に決めておくと、聞き逃しは減ります。表示の側でも、相手の発言中は新しい知らせを出さず、間が空いたときにまとめて出す設定ができる製品であれば、そちらを選ぶほうが安全です。

逆効果3:値引きや約束につながる候補を出してしまう

3つ目の逆効果がいちばん重い。相手が「高いですね」と言ったときに、画面に「期間限定の割引があります」と出れば、担当者は助け舟だと思って口にするかもしれません。「いつから使えますか」に対して「最短で来週から」と出れば、それが約束として相手に残ります。海外の製品には、価格の目安や交渉の組み立てを通話中に出す機能をうたうものもあります。値引き・納期・約束に触れる候補は、担当者が口にした瞬間に会社の約束になるという前提で扱ってください。

こうした候補が出てしまう原因は、多くの場合、候補の元になる資料の選び方にあります。成績のよい人の通話記録から返し方を学ばせると、その人が特定の案件で使った値引きの話し方まで拾ってしまう。過去の提案書を読み込ませれば、そのとき限りの条件が、誰にでも言える答えのような顔をして出てくる。候補の中身は、読み込ませた資料の中身を超えないので、何を読み込ませないかを先に決める必要があります。

そのうえで、出させない言葉と話題を設定で止めます。割引・値引き・無料・保証・確約・最短・必ず、といった言葉を含む候補は表示しない。料金は公開している価格表の範囲だけを出し、個別の条件は「担当から改めてご案内します」と返す形に固定する。AIに判断させないのは、値引きをするかどうか、納期をいつにするかという判断そのものです。機械に任せるのは、相手がその話題に触れたことを知らせるところまでにとどめます。

場面1:初回の接触では、出すものを最小にする

ここからは、通話の場面ごとに何を出して何を出さないかを比べます。最初は初回の接触、つまり相手と初めて話す数十秒から数分の場面です。この場面で担当者に必要なのは、名乗り・用件・相手の時間をもらえるかの確認といった、決まった流れを落とさないことです。相手の反応は短く、話題も広がらないので、次の一言や切り返しの長い候補を出す余地はほとんどありません。

初回の接触で役に立つのは、言い漏れの知らせです。名乗ったか、用件を一言で言ったか、録音していることを伝える運用ならそれを伝えたか。こうした項目に印が付けば、担当者は画面を一瞬見るだけで済みます。反対に、初回の接触で文章の候補を出すと、ほぼ確実に読み上げになるので、ここは出さない側に置いてください。

例外は、相手がいきなり「どこでこの番号を知ったのか」「前にも電話があった」と言ってきたときです。こうした問いには答え方を決めておく必要があり、その答えを短く出すのは意味があります。ただし答えの中身は、個人情報の扱いに関わるため、法務や上長が確認した文面に限ります。機械が過去の通話から作った答えをそのまま出すのは避けてください。

場面2:ヒアリングでは、聞き漏れの知らせがいちばん効く

2つ目の場面は、相手の状況や課題を聞き取るヒアリングです。この場面では、聞くべき項目が決まっているのに、話が弾むと一部を聞き忘れるということがよく起きます。予算の時期、検討に関わる人、今使っている仕組み、いつまでに決めたいか。こうした項目のうち、まだ話に出ていないものに印を付けて知らせるのが、通話中の支援の中でいちばん素直に効く使い方です。

聞き漏れの知らせがよく効くのは、相手の話を遮らないからです。担当者は、相手が話し終えたときに印の付いていない項目を一つ選んで聞けばよく、画面の文章を読む必要がありません。聞き取りと知らせは機械が得意で、どの項目から聞くかは人が選ぶという分担が、この場面ではきれいに成り立ちます。

注意したいのは、相手が話したことを機械が「聞けた」と判定する精度です。相手が「来期に入ってからですね」と言っただけで予算の時期に印が付くこともあれば、はっきり話したのに印が付かないこともある。印を信じ切らず、通話の最後に担当者が自分で聞けた項目を確かめる手順を残してください。「次は予算を聞きましょう」という次の一言まで出す必要はなく、印の付いていない項目が見えれば十分です。

場面3:反論への対応では、候補を1つに絞り要点で出す

3つ目の場面は、相手の懸念や反論への対応です。「今は忙しい」「他社のものを使っている」「社内で決められない」といった言葉に、どう返すか。この場面は通話中の支援が最も期待される場面であり、同時に読み上げが最も起きやすい場面でもあります。相手は懸念を口にした直後で、こちらがどう返すかを注意して聞いているからです。

出すなら、候補は1つに絞り、文章ではなく要点の言葉で出します。たとえば「他社を使っている」に対して、「今の不満を聞く」「乗り換えの手間に触れる」といった短い方針だけを出す。返し方の方針は機械が出し、言葉にするのは担当者という形にすれば、声の調子が崩れにくくなります。候補を3つも4つも並べると、選んでいるうちに間が空いてしまいます。

反論への切り返しを事前にどこまでそろえるかは、通話の前に作るトークスクリプトの仕事です。通話中の表示は、その中から今の場面に合うものを1つ思い出させる役に限ったほうがよく、そろえる作業は別に進めてください。スクリプトの作り方は、トークスクリプトの記事で扱っています。通話中の表示に、スクリプトを丸ごと流し込むような設定は避けたほうが安全です。

場面4:条件の詰めでは、候補を出さず確認済みの事実だけを出す

4つ目の場面は、料金・導入の時期・契約の条件を詰める場面です。ここでは、次の一言も切り返しの候補も出さないのが原則です。相手は具体的な条件を聞いており、担当者の一言がそのまま検討の材料になります。この場面で候補の文章が出ると、読み上げと約束という2つの逆効果が同時に起きます。

出してよいのは、確認済みの製品の数字だけです。公開している料金の区分、標準の導入期間、対応している連携先など、社内で確定していて誰が答えても同じになる事実に限ります。そして数字には、どの資料の、いつ時点の値かという根拠を必ず添えて表示する。根拠を書かせることで、担当者は古い数字かどうかをその場で見分けられ、後から確かめることもできます。

個別の値引き、特急での導入、例外の条件は、画面に一切出さないように設定します。相手から求められたら、担当者は「持ち帰って確認します」と返し、決める権限のある人に回す。条件の詰めの場面で機械が役に立つのは、話に出た条件を聞き取って記録に残すところまでで、その条件を受けるかどうかは人が決めます

場面ごとに出すか出さないかを1枚にする

ここまでの4つの場面を、表示の種類ごとに並べると次のようになります。導入のときは、この表を自社の商材に合わせて書き直し、チームで合意してから設定に移してください。表の空欄を埋める作業そのものが、出す場面を人が決める作業になります。

場面言い漏れの知らせ次の一言切り返しの候補製品の数字
初回の接触出す(名乗り・用件・告知)出さない出さない(決めた問いへの答えだけ例外)出さない
ヒアリング出す(まだ聞いていない項目に印)出さない(印で足りる)出さない聞かれたときだけ出す
反論への対応出す出さない1つだけ要点で出す聞かれたときだけ出す
条件の詰め出す(聞き取った条件を記録)出さない出さない確認済みの値を根拠つきで出す

表を見ると、次の一言はどの場面でも「出さない」になっています。これは次の一言が役に立たないという意味ではなく、慣れていない人の最初の期間などに限って使うものだからです。全員に常に出す表示は、言い漏れの知らせだけに絞るくらいで始めると、逆効果が出にくくなります。

表は一度作って終わりではありません。導入後の数週間は、通話の記録を読み返して、表示が出た直後に会話が不自然になった箇所や、候補が的外れだった箇所を拾い、表を直していきます。拾う作業は文字起こしをAIに読ませて候補を挙げさせてもよいですが、どこをどう直すかは人が決めます。

慣れていない人と慣れた人で、表示を変える

先の研究が示したとおり、通話中の支援は経験の浅い人ほど効き、慣れた人には効きにくい。だから表示も、人によって変えるのが自然です。入って間もない人には、言い漏れの知らせに加えて反論への要点と製品の数字を出す。数か月たって自分の返し方ができてきたら、反論への要点を外す。慣れた人には言い漏れの知らせだけを残す。表示は、減らしていくことを前提に設計するのが、この道具との付き合い方です。

慣れた人に候補を出し続けると、自分の返し方と画面の候補が食い違ったときに迷いが生まれます。どちらを言うか考える一瞬が、会話の間になって表れる。慣れた人にとっての画面は、助けではなく雑音になりやすいということです。本人が表示の量を選べるようにしておくのも一つの方法です。

表示を減らす時期は、期間ではなく状態で決めます。たとえば、候補が出ても使わずに自分の言葉で返した割合が一定を超えた、聞き漏れの印が付いたまま終わる通話がほとんどなくなった、といった状態です。どの状態になったら外すかの基準は、上長と本人が話し合って決め、機械の点数だけで決めないでください。

読み上げずに、自分の言葉で言う運用を作る

表示の作り方を工夫しても、運用がなければ読み上げは残ります。最初に決めておきたいのは、「画面の言葉はそのまま言わない」という約束です。候補は考えるきっかけであって、読む原稿ではない。これをチームの約束として言葉にし、新しく入った人にも最初に伝えます。

練習の場も用意します。通話の記録から候補が出た場面を切り出し、「この要点を自分の言葉で言うとどうなるか」を声に出して試す。3人で集まって1人が相手役になり、同じ要点から3通りの言い方を出してみると、要点が同じでも言い方は人によって違ってよいことが体で分かります。AIを客役にした練習は別の記事で扱っているので、ここでは要点を自分の言葉に直す練習に絞っています。

運用が根づいているかは、通話の記録で確かめます。候補が出た直後の担当者の発言と候補の文面を並べて、ほぼ同じ文になっている割合を見る。割合が高い人には、表示を減らすか、要点の言葉をさらに短くする。並べる作業はAIに任せられますが、読み上げかどうかの最終的な見立ては、実際に録音を聞いた人がします。

出させない線を先に書く

導入の前に、出させない線を文書にしておきます。対象は大きく3つです。1つ目は出さない言葉と話題で、値引き・無料・保証・確約・納期の約束・他社を悪く言う言い方など。2つ目は候補の元にしない資料で、個別の見積り、特定の顧客向けの提案書、古い料金表など。3つ目は出さない場面で、先の表で「出さない」とした場面です。人が確認する範囲を先に決めることが、この道具を安全に使う出発点になります。

  • 成績のよい人の通話記録を丸ごと読み込ませ、値引きの話し方まで候補に出る状態で動かす
  • 製品の数字を根拠なしで表示し、改定前の古い料金が相手に伝わる
  • 全員に同じ量の候補を出し続け、慣れた人の会話まで崩してしまう
  • 表示の設定を販売元に任せきりにし、どの言葉を止めているか社内の誰も説明できない
  • 候補を使った回数を評価に入れ、読み上げを増やしてしまう

この線を販売元の設定画面で実現できるかどうかは、導入前に確かめてください。禁止する言葉を設定できるか、読み込ませる資料を選べるか、場面や人ごとに表示を切り替えられるか。設定できない線は、運用で守ろうとしても守り切れないので、設定できないなら出す範囲そのものを狭めます。

小さく試してから広げる手順

最後に、導入の進め方を順番にまとめます。いきなり全員に入れるのではなく、少人数で試し、表と線を直してから広げるのが基本です。

STEP1
出す場面と出させない線を決める

場面ごとの表と、出させない言葉・資料の一覧を作り、営業の責任者と法務が確認します。候補の元にする資料も、この段階で選んで古いものを外しておきます。

STEP2
相手への告知を整える

通話を文字に起こして機械が聞き取る以上、録音と同じように相手に伝える運用が要ります。録音を告げる文面がすでにあるなら、聞き取りの仕組みを使っていることも同じ場面で伝えられるよう見直します。

STEP3
少人数で数週間試す

入って間もない人と慣れた人の両方を含めた数人で試します。表示は言い漏れの知らせから始め、反論への要点は慣れていない人にだけ出します。

STEP4
記録を読み返して表を直す

表示の直後に会話が止まった箇所、候補が的外れだった箇所、読み上げになった箇所を拾い、表と線を直します。拾う作業はAIに候補を挙げさせ、直す判断は人がします。

STEP5
表示を減らしながら広げる

対象を広げるときは、人ごとの表示の量も合わせて決めます。慣れた人には最初から言い漏れの知らせだけを出します。

録音への同意の取り方、記録の保管期間、社内で誰が見られるかといった詳しい扱いは、商談の録音の記事で扱っています。ここでは、通話中の聞き取りは相手の声を記録して処理することだと押さえ、告知の文面を導入前に見直しておいてください。

  • 紹介した研究の数字は、文字でやりとりする問い合わせ窓口を対象にしたもので、営業の電話に同じ効果が出るとは限りません
  • 表示までの遅れや表示できる内容は製品ごとに違います。試用の場で、実際の通話に近い形で確かめてください

まとめ

リアルタイム営業支援AIは、通話を聞き取り、きっかけとなる言葉を拾って、担当者の画面に短い知らせを出す仕組みです。出るものは次の一言・切り返しの候補・言い漏れの知らせ・製品の数字の4種類で、読む量が多いものほど読み上げと聞き逃しを招きます。研究では経験の浅い人ほど効き、慣れた人にはほとんど効かないことも示されているため、表示は人によって変え、減らしていく前提で作ります。場面ごとに見ると、初回の接触とヒアリングは言い漏れの知らせが中心、反論への対応は要点を1つだけ、条件の詰めは根拠つきの確認済みの数字だけで、値引き・納期・約束につながる候補は出しません。AIに任せるのは聞き取り・知らせ・候補の提示までで、出す場面と出させない線は人が決めます。まずは、自社の通話を4つの場面に分けて、場面ごとに出すか出さないかの表を1枚書くところから始めてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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