名簿の保存期間で決める項目一覧|消す運用まで作る

5年前の展示会で集めた名刺のデータが、配信の名簿に残っている。3年前に一度だけ資料を取った人も、退職した担当者の名前も残っている。いつまで持っていていいのか。法律には保存の期間の定めがありません。代わりに、必要がなくなったときは遅滞なく消すよう努める義務があります。期間を決めるのは事業者の側です。この記事では、決め方の考え方と消す運用の作り方を整理します。なお個別の判断は取扱いの実態によるため、顧問の弁護士に確かめてください。
カメ先生名簿をいつまで持っていいのか分からない、という相談を受けました。
カメ子法律で何年と決まっているのではないのですか。
カメ先生保存の期間の定めはありません。必要がなくなったら消すよう努める義務があるだけです。
カメ子つまり、自分たちで期間を決める必要があるということですね。
- 個人情報保護法には、取得した情報の保存期間の定めがない
- 利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努める義務がある
- 第三者提供の記録には、原則3年間の保存が定められている
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いつまで持つのかという問いに答えがない
名簿の管理で必ず出る問いが、保存の期間です。3年か、5年か、それとも消さなくてよいのか。法律に答えを探しても、期間の定めは見つかりません。
公表されている解説でも、個人情報保護法では取得した個人情報の保存期間や削除・消去する時期については定められていないと説明されています。
これは、期間を自由に決められるという意味ではありません。別の形で義務が置かれています。利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努める、という形です。
この義務は努力義務とされています。必ず消さなければならないという義務ではありません。しかし努めることが求められている以上、何も決めずに放置する状態は望ましくありません。
また「遅滞なく」についても具体的な期間は定められていません。つまり、いつまでに消すかも事業者が判断することになります。
以下では、この枠組みを確かめたうえで、期間を決める考え方、記録の保存の決まり、そして消す運用の作り方を順に整理します。
この問いに答えを持っていないことの不都合は、監査や取引先の調査で聞かれたときに表れます。「保存の期間はどう決めていますか」と問われて答えられない状態は、管理ができていないことの表れになります。期間そのものが長いか短いかより、決めて運用しているかが見られます。3年でも5年でも、根拠を持って決めていれば説明できます。決めていないことが最も答えにくい状態です。
消去の努力義務という枠組み
枠組みの中心にあるのが、その取扱いに係る個人データを利用する必要がなくなったときは、遅滞なく消去するよう努めなければならないという定めです。
この定めの要点は二つあります。一つは「利用する必要がなくなったとき」という条件。もう一つは「努めなければならない」という義務の強さです。
前者について考えると、利用する必要があるかどうかは事業者が判断することになります。取得した目的に照らしてまだ使うのかどうかです。
たとえば、資料請求を受けて案内を送るために取得した情報であれば、案内を送らなくなった時点で必要がなくなったと言えます。
しかし実務では、「まだ使うかもしれない」という判断になりがちです。将来の可能性を理由に持ち続けると、いつまでも消せません。この状態が多くの会社で起きています。
そのため、期間を先に決めておく方法が取られます。「最後の接点から3年で消す」と決めておけば、個別の判断が要らなくなります。この決め方を後の節で扱います。
努力義務という言葉から、守らなくてもよいという読み方をするのは適切ではありません。努めることが求められている以上、何もしていない状態は努めているとは言えません。期間を決めて運用していれば、努めている形になります。完璧に消しきることを求められているのではなく、仕組みを持っていることが問われます。この理解に立てば、着手のしかたも見えてきます。難しく考える必要はありません。
短期の保存でも開示の対象になる
関連する重要な変更があります。6か月以内に消去する短期の保存のデータも、保有個人データとして扱われるようになりました。令和2年の改正によるものです。
この変更の意味は、保存期間にかかわらず各種の請求に対応する義務が生じるという点です。利用目的の通知、開示、訂正・追加・削除、利用停止・消去・第三者提供の停止。
改正前は、短期間で消すデータは対象から外れる扱いでした。改正後は期間の長短で扱いが変わりません。
実務での影響は、一時的に持つデータについても管理の対象になることです。イベントの受付で一時的に持つ名簿、検証のために作った複製。こうしたものも対象です。
そのため、「短期間だから管理しなくてよい」という判断はできません。どこにどんなデータがあるかを把握しておく必要があります。
把握の方法としては、データの所在の一覧を作ります。配信の道具、顧客の管理の仕組み、表計算のファイル、担当者の手元。この一覧が管理の出発点になります。
第三者提供の記録には期間の定めがある
保存期間の定めがない一方で、記録については期間が定められている部分があります。第三者提供に関する記録です。
個人データを第三者に提供したときは、提供の年月日、提供先、本人を特定する事項、個人データの項目などを記録し、原則として3年間保存する必要があるとされています。
この3年という期間は、名簿そのものの保存期間ではありません。提供した事実の記録の保存期間です。混同されやすいので分けて理解しておきます。
また、令和2年の改正により、第三者提供の記録の開示の請求もできることとなりました。本人が自分のデータがどこに提供されたかを確かめられる仕組みです。
実務では、この記録を作っていない会社が多くあります。共催のイベントでリードを分けた、グループの会社に名簿を渡した。こうした場面で記録が必要になります。
| 対象 | 保存の期間 | 根拠の性質 |
|---|---|---|
| 名簿そのもの | 定めなし(自分で決める) | 必要がなくなったら消すよう努める |
| 第三者提供の記録 | 原則3年 | 規則で定められている |
| 提供を受けた際の記録 | 規則で定める期間 | 規則で定められている |
| 短期で消すデータ | 定めなし(管理の対象になる) | 保有個人データとして扱われる |
表を見ると、定めがあるのは記録の側で、名簿そのものには定めがないという構造が分かります。つまり名簿の期間は自分で決め、記録の期間は決まりに従うことになります。
期間を決める考え方
では、名簿の保存期間をどう決めるか。取得した目的と、実際の商談の周期から考えます。
取得の目的が「案内を送るため」であれば、案内を送り続ける期間が保存の期間になります。送らなくなったら必要がなくなったと言えます。
商談の周期も材料になります。検討に半年から1年かかる商材で、検討が止まってから再開することがあるなら、その期間は持つ理由があります。
実務での目安としては、最後の接点から何年で消すか、という形で決めるのが扱いやすいです。最後に反応があった日から3年、5年といった形です。
期間を決めるときは、業界の慣行も参考になります。分野によってはガイドラインで目安が示されている場合があります。
決めた期間は、個人情報の取扱いの案内に書くこともできます。書いておけば、本人に対して扱いを明示したことになります。問い合わせへの対応も楽になります。
反応がない相手をどう扱うか
実務で最も多いのが、反応のない相手の扱いです。メールを送っても開かれない、リンクも押されない。この状態が数年続いている相手です。
こうした相手を持ち続けることには、二つの不都合があります。一つは管理の対象が増えること。もう一つは配信の到達に影響することです。
開かれないアドレスに送り続けると、送信元の評価が下がる場合があります。結果として届けたい相手にも届かなくなります。持ち続けることが成果を下げる形です。
そのため、反応のない相手を一定期間で外す運用が広く行われています。外すことは捨てることではありません。配信の対象から外すだけです。
外す前に一度確かめる方法もあります。「今後も案内を受け取るか」を尋ねる連絡を送り、反応があれば残す。なければ外す。この一手を入れると納得感が高まります。
外した相手のデータを完全に消すかどうかは別の判断です。配信からは外し、記録としては残す。この中間の扱いもあり得ます。どう扱うかを決めておきます。
取得のときに使い方を伝えておく
保存期間の問題は、取得の段階から考えると扱いやすくなります。何のために取得し、どう使うのかを取得のときに伝えておく。これが後の判断の根拠になります。
フォームに利用の目的を書いておけば、その目的の範囲で使えます。目的が終わったときが必要がなくなったときになります。判断の基準が取得のときに作られる形です。
目的を広く書きすぎると、いつまでも必要があることになります。「当社のサービスの案内のため」と広く書いておけば永久に使えるように見えます。
しかし、実際に案内を送っていない相手について、必要があると言えるかは疑わしいです。書き方だけで持ち続ける根拠にはなりません。
実務としては、目的を具体に書き、併せて保存の期間の考え方も案内に書いておく形が整った運用になります。
展示会で名刺を受け取る場面でも同じです。何に使うのかを伝えておけば、後の連絡が唐突になりません。伝えることが、管理の負担を減らす面もあります。使い方を絞れるためです。
道具ごとに期間を分ける
保存の期間は、すべてのデータで同じにする必要はありません。道具ごと、用途ごとに違う期間を設定できます。
配信の名簿は短く、商談の記録は長く。こうした分け方が実務では合理的です。用途によって必要な期間が違うためです。
配信の名簿を短くする理由は、反応のないアドレスを持ち続けると到達に影響するためです。3年程度で外す運用が広く行われています。
商談の記録を長く持つ理由は、検討が再開することがあるためです。3年前に見送った案件が動き出すことは珍しくありません。この場合、記録があることが商談の武器になります。
ただし、長く持つならその理由を説明できる必要があります。「いつか使うかもしれない」ではなく、「検討が再開する周期がこれくらいある」という形で示せるようにします。
実際の周期は記録から測れます。見送った案件が何年後に動いたかを調べる。この数字があれば、保存の期間の根拠になります。感覚で決めるより説明しやすくなります。
担当者の手元にある名簿
管理の対象で最も抜けやすいのが、担当者の手元にあるデータです。書き出した表計算のファイル、送信済みの電子メール、手元の名刺。これらも対象です。
書き出したファイルは、本体を消しても残ります。共有の場所に置かれたもの、個人の端末に保存されたもの。所在を把握できていないことが多くあります。
対処としては、書き出しの記録を残す仕組みが有効です。誰がいつ何を書き出したかを記録すれば、後で回収できます。
あるいは、書き出しをしなくても済む仕組みにする方法もあります。必要な集計を道具の中で完結できれば、書き出す理由が減ります。
紙の名刺も対象です。受け取った名刺を担当者が机に溜めている状態は把握できていません。データ化した後の紙の扱いを決めておきます。
決めるのは、データ化したら紙は処分するのか、一定期間保管するのか。保管するならどこに置くのか。この三つを決めておけば、溜まり続ける状態を避けられます。
退職や異動のときの扱い
担当者が退職や異動をするときも、名簿の扱いを確かめる必要があります。手元に持っているデータを引き継ぐか処分するかを決めます。
引き継ぐ場合は、共有の場所に移します。個人の端末から会社が管理する場所に移す作業です。移した後に元を消します。
持ち出しの防止もこの機会に確かめます。退職の前に顧客の名簿を書き出す行為は起きることがあります。書き出しの記録があれば、後から確かめられます。
契約の面での備えもあります。秘密の保持についての取り決めに顧客の情報が含まれているかを確かめます。退職の時点で確認の書面を取る運用も広く行われています。
異動の場合も、同じ確認が必要です。別の部署に移った人が以前の部署の名簿を持ち続ける状態は望ましくありません。
この確認を退職や異動の手続きの一覧に入れておけば、抜けが出ません。人事の手続きと一緒に流れる形にするのが最も確実です。
消す運用を作る
期間を決めても、実際に消す作業が行われなければ意味がありません。消す運用を仕組みにする必要があります。
最も確実なのは、定期の作業として予定に入れることです。年に一度、期間を過ぎたデータを洗い出して処理する。
配信の道具、顧客の管理の仕組み、表計算のファイル、担当者の手元。どこに何があるかを書き出します。
配信の名簿は3年、商談の記録は5年。所在ごとに期間を決めます。同じ期間にする必要はありません。
最後の接点の日付で絞り込みます。日付が記録されていなければ、まず記録する仕組みを作ります。
進行中の商談に関わる相手が含まれていないかを確かめます。営業の側に一度見てもらう工程を入れます。
いつ、どの範囲を、どう処理したかを記録します。後で問われたときに答えられる形にします。
この5工程のうち、三番目でつまずくことが多くあります。最後の接点の日付が記録されていないと、洗い出せません。記録の仕組みが先に必要になります。
四番目の確認も省けません。機械的に消すと、進行中の商談の相手を消してしまうことがあります。営業の確認を挟む工程を入れておきます。
消すという言葉の意味を決める
運用を作るときに決めておくべき点があります。消すとは何をすることかという定義です。会社によって考えている内容が違います。
考えられる段階がいくつかあります。配信の対象から外す。画面から見えなくする。データを削除する。複製も含めて削除する。それぞれ違う作業です。
配信から外すだけなら、データは残っています。本人から消去の請求があった場合、外すだけでは対応したことにならない可能性があります。
一方、完全に削除すると元に戻せません。誤って消した場合の影響が大きく、段階を分けて運用する形が実務では取られます。
段階を分けるなら、それぞれの段階で何ができるかを決めます。外した状態のデータを分析に使ってよいのか。この点も決めておきます。
複製の所在も忘れられません。書き出した表計算のファイル、検証のために作った複製、担当者が手元に持つ一覧。本体を消しても複製が残っていれば消したことになりません。
本人からの請求への備え
保存期間とは別に、本人からの請求への対応が必要です。保存期間にかかわらず、各種の請求に対応する義務があります。
請求の種類は複数あります。利用目的の通知、開示、訂正・追加・削除、利用停止・消去・第三者提供の停止。そして第三者提供の記録の開示です。
請求が届いたときに答えられるには、どこに何があるかを把握している必要があります。所在の一覧がここでも効いてきます。
特に難しいのが第三者提供の記録の開示です。記録を作っていなければ、開示することもできません。共催のイベントやグループ内での受け渡しについて記録があるかを確かめておきます。
- データの所在の一覧を作り、複製の場所も含めて把握する
- 第三者提供をしている場合は、記録を作って原則3年保存する
- 請求が届いたときの窓口と対応の手順を決めておく
- 消すという言葉の意味を段階に分けて定義しておく
- 個別の判断は取扱いの実態によるため、顧問の弁護士に確かめる
一覧の三番目については、手順を決めておくだけで対応の速さが変わります。請求が届いてから手順を考えると対応が遅れます。
なお、請求への対応には期限や手続きの決まりがあります。この記事では詳しく扱いませんが、対応の手順を作るときにはその部分も確かめておく必要があります。
やってしまいがちな失敗
保存期間に関わる失敗を並べます。決めていないことから生まれる失敗が中心です。
最も多いのは、何も決めずに持ち続けることです。期間を決めていないため、消す機会も来ません。データは増え続けます。
- 保存の期間を決めておらず、取得したデータをすべて持ち続ける
- 最後の接点の日付を記録しておらず、期間を過ぎたデータを洗い出せない
- 本体のデータだけを消し、書き出した複製が残っていることに気づかない
- 第三者提供をしているのに、記録を作っていない
- 短期間で消すデータだから管理の対象外だと考える
- 反応のないアドレスに送り続け、配信の到達に影響が出る
三番目は、運用の中で最も起きやすい失敗です。複製の所在を一覧にしていないと、必ず残ります。所在の一覧を作る作業に複製も含めることが必要です。
五番目は、令和2年の改正で扱いが変わった部分です。改正前の理解のまま運用していると、対象外だと考えてしまいます。一度確かめておく価値があります。
社内の決まりに落とす
決めた内容は文書にします。担当が代わっても同じ運用が続く形にすることが目的です。書く量は多くありません。
書く内容は五つです。データの所在の一覧。所在ごとの保存の期間。消すという言葉の定義。定期の処理の時期。請求が届いたときの窓口。
この五つが書かれていれば、運用としては十分です。細かい手順は実際に処理するときに決められます。
文書は年に一度見直します。新しい道具を導入していれば所在の一覧に足す。道具が増えるたびにデータの所在も増えます。見直しの機会がないと一覧が実態と合わなくなります。
見直しの時期は、定期の処理と同じ時期にすると作業がまとまります。年に一度、一覧を確かめて処理する。この形が回りやすいです。
なお、決めた期間を個人情報の取扱いの案内に書くかどうかは判断の分かれるところです。書けば明示したことになりますが、変更するときに案内も直す必要があります。運用の安定を見て決めます。
確かめる項目
最後に、名簿の管理について確かめる項目を並べます。一度確かめて決めれば、以後は年に一度の見直しで足ります。
- データの所在を一覧にしているか(複製の場所も含めて)
- 所在ごとの保存の期間を決めているか
- 最後の接点の日付が記録されているか
- 定期に処理する時期を決めているか
- 消す前に営業の確認を挟む工程があるか
- 消すという言葉の意味を段階に分けて定義しているか
- 第三者提供をしている場合、記録を作って保存しているか
- 本人からの請求が届いたときの窓口と手順を決めているか
- 処理した記録を残しているか
この一覧の三番目が、実務では最初の関門になります。最後の接点の日付がなければ、期間を決めても運用できません。記録の仕組みから着手する必要があります。
なお、ここで整理した内容は枠組みの理解のための目安です。保存期間の考え方や請求への対応の手続きは取扱いの実態や事案によって変わり、制度も改正されます。実際の運用を決める際は、顧問の弁護士に確かめてから進めてください。
まとめ
顧客の名簿の保存期間には、法律に定めがありません。代わりに、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努める義務があります。期間を決めるのは事業者の側です。
決めるべきことは五つです。データの所在の一覧。所在ごとの保存の期間。消すという言葉の定義。定期の処理の時期。請求が届いたときの窓口。この五つを文書にしておけば、担当が代わっても運用が続きます。第三者提供の記録には原則3年の保存が定められているので、こちらは併せて確かめておきます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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