AIに渡す前に伏せる項目一覧|消しすぎると使えなくなる

AIに渡す前に伏せる項目一覧|消しすぎると使えなくなる

「氏名と会社名を消してから貼っています。ただ、これで足りているのかを誰も確かめていません」「消しすぎたのか、要約が当たり障りのない文章になってしまいました」——問い合わせや商談の記録をAIに読ませ始めた部署から出てくる声です。作業の丁寧さの問題ではありません。本当は、伏せる作業には「取りこぼし」と「消しすぎ」という向きの違う2つの失敗があり、片方を減らすともう片方が増えるからです。だから「完全に消す」を目標にすると、必ずどちらかで詰まります。この記事では、何をどこで伏せるか、どこまで残すかを、実測の数値をもとに手順として整理します。


カメ先生カメ先生

個人情報を伏せてから渡すのって、氏名を消すことだと思われがちなんだけど、本当は「どこまで残せば仕事になるかを決めること」なんだ。


カメ子カメ子

消す作業ではなく、残す作業ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。全部消せば安全だけれど、そうすると何も読み取れない文章になる。逆に足りないと、消したつもりで誰のことか分かってしまう。


カメ子カメ子

多すぎても少なすぎても困る、という話なんですね。


この記事のポイント
  • 伏せる作業は「探す」と「置き換える」の2つ。失敗も取りこぼしと消しすぎの2方向に分かれる
  • 自動の伏せ字は、1件でも漏れたら0点という測り方にすると成績が大きく落ちる。全件確認は無くせない
  • 決めるのは3つ。残す項目と粒度、伏せる場所、人が抜き取りで確かめる量

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目次

伏せる作業は、探すことと置き換えることに分かれている

前提を1つ置きます。この記事は、AIに渡してよいと決まった後の話です。そのデータをその目的で使ってよいかという判断は先にあり、個人情報保護委員会が2023年6月に出した注意喚起も、個人情報を含む入力について「特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること」を求めています。渡してよいかを決めてから、何をどう落とすかに進みます。順番が逆だと、伏せたから大丈夫という説明になってしまいます。

そのうえで、伏せる作業は2つに分かれます。1つは探す。文書のどこに個人を示す記載があるかを見つける作業です。もう1つは置き換える。見つけた箇所を、消すのか、記号にするのか、別の言葉に置くのかを決めて実行する作業です。この2つは必要な力が違い、任せられる度合いも違います。

失敗も2方向あります。探す側の失敗が取りこぼし、置き換える側の失敗が消しすぎです。この2つは向きが逆で、片方を減らそうとするともう片方が増えます。すべて伏せれば取りこぼしはゼロになりますが、残った文章からは何も読み取れません。逆に必要な所だけを狙って伏せると、拾いきれなかった記載が残ります。

だから、作業の目標は「完全に消すこと」ではありません。取りこぼしの許容範囲と、残す粒度を先に決めることです。この2つが決まっていない状態で道具を選ぶと、成績の良し悪しを判断する物差しが無いまま比較することになります。比較表を作っても結論が出ないのは、たいていここが空白だからです。

何を伏せるか1:それだけで人にたどり着ける項目

まず、単独で個人にたどり着ける記載です。氏名、電話番号、メールアドレス、住所、口座番号、社員番号や会員番号、免許や資格の番号、端末を識別する番号。ここは迷いません。迷わない項目ほど、機械に任せる価値が高い領域です。書き方の型が決まっているものは、決まった形を探す仕組みで拾えます。

実務で漏れやすいのは、本文ではないところです。ファイル名、表計算の見出し、文書の作成者の情報、送信元の署名、引用したやり取りの末尾。問い合わせの記録をそのまま貼るとき、署名欄が付いたまま渡されることは珍しくありません。本文だけを見て伏せたつもりになるのが、最初の落とし穴です

  • 氏名(姓のみ、名のみ、旧姓、通称、あだ名を含む)
  • 電話番号、メールアドレス、住所、部屋番号
  • 社員番号、会員番号、案件番号など、社内で個人に紐づく番号
  • 口座番号、請求の宛名、決済に使う識別の番号
  • ファイル名、文書の作成者、更新者、送信元の署名
  • 画像として貼られた名刺、画面の写し、手書きの控え

会社名だけは扱いを分けます。相手の会社名を消すと、業種や規模が分からなくなって分析に使えなくなることがあるためです。会社名は、単独ではなく重なりで効く項目として次の節で扱います。ここで一律に消してしまうと、後の分析でやり直しになります。

何を伏せるか2:単独では効かないが、重なると効く項目

単独では誰のことか分からないのに、いくつか重なると特定できてしまう項目があります。所属と役職、地域、年齢の帯、入社や退職の時期、業種、従業員数の帯、そして日付。判断が難しいのはここです。1つずつ見ていくと、どれも消す理由が見つかりません。

どれくらい重なると効くのかには、目安になる研究があります。2019年7月に科学誌に載った研究は、不完全なデータからの再特定の起きやすさを見積もる方法を示し、15個の属性があれば、ある州の住民の99.98%が一意に定まると報告しました。同じ研究の例では、郵便番号と生年月日と性別の3つだけで、ある人物を正しく言い当てられる確からしさが0.77と見積もられ、そこに子どもの人数を1つ加えると99.8%まで上がっています。

実務に置き換えます。氏名を消した商談の記録に「関西の従業員300名規模の製造業、情報システム部の部長、来期4月に組織変更」と書いてあれば、業界の人には誰のことか分かります。伏せるかどうかを項目ごとに決めていると、この重なりは最後まで見えません1件の文書に、重なると効く項目が何個残っているかを数えるという見方に切り替えると、判断ができるようになります。

運用に落とすときは、上限を数で置きます。たとえば「重なると効く項目は1件につき3つまで」。超えたら粒度を粗くします。地域なら市区町村ではなく地方、規模なら実数ではなく帯、日付なら日ではなく月。消すのではなく粗くするのが、この種の項目の扱い方です。

  • 単独では特定に至らない項目でも、重なった数で判断する
  • 上限の数を決め、超えたら粗くする(消すのではなく段を下げる)
  • 業界が狭いほど、少ない項目で特定に至る。同じ基準を全部署に当てない

何を残すか:消すと仕事にならない項目を先に決める

伏せる項目を決める前に、残す項目を決めます。順番が逆に見えますが、こちらが先です。何のためにAIに渡すのかが決まっていないと、どこまで消してよいかの判断ができないからです。ここを飛ばすと、担当者は迷うたびに消す側へ倒し、最後に使えない文章だけが残ります。

たとえば、問い合わせの記録を要約させて多い相談の型を出したい場合。要るのは、相談の中身、対象の製品、時期の粗さ、業種、規模の帯です。要らないのは、担当者の氏名、連絡先、金額の具体値。要る側を先に書き出すと、残りは全部消してよいことになり、判断が速くなります。

同じ記録でも、失注の理由を分析したい場合は、金額の帯と競合の有無が要ります。目的が違えば残す項目が変わります。目的ごとに「残す項目の表」を作るのが、この作業で最も効く準備です。1つの万能な伏せ方を作ろうとすると、どの目的にも足りない中途半端なものになります。

裏返すと、目的が言えないなら渡さないという線も要ります。とりあえず入れておいて後で考える、という運用は、消しすぎと取りこぼしを同時に起こします。残す項目の表が書けない依頼は、依頼のほうを詰め直してもらいます。

自由記述が最大の抜け道になる

定型の欄を伏せても、自由記述が残っていれば意味がありません。ここが実装で最も苦しいところです。医療の記録を題材にした2025年8月公表の研究では、200件の文書から手作業で見つけた個人を示す記載が1,449件あり、その内訳は日付と時刻が48.2%、人名が44.1%、地名が6.6%でした。電話番号や識別の番号は、それぞれ1%に届きません。

つまり、書き方の型が決まっている番号の類は全体のごく一部で、大半は文章の中に自然な言葉として現れる名前と日付です。営業や問い合わせの記録でも同じことが起きます。「田中部長が」「先方の山田さんから」「3月の展示会で」。定型の欄には無い記載が、本文に散らばります。

自由記述を機械だけで伏せ切るのは、いまのところ現実的ではありません。取れる手は3つです。1つ目は、自由記述そのものを渡さず、人が作った要約だけを渡す。2つ目は、渡す前に人が1度読む。3つ目は、機械で伏せたうえで後述する抜き取りの確認を必ず入れる。どれを選ぶかは件数で決まります。

月に数十件なら人が読めます。月に数千件なら読めません。読めない量を扱うなら、取りこぼしが一定の割合で残る前提で、出力の側と共有範囲の側にも備えを置くことになります。件数を確かめずに仕組みだけを入れると、この判断が抜けたまま運用が始まります。

自動で伏せる仕組みは、どれくらい取りこぼすか

数値を見ます。同じ2025年8月の研究は、公開されている伏せ字化の道具2つを、英国の脳神経外科の記録200件(2012年から2022年)に当てて成績を測っています。一方は見つけられた割合が0.74、伏せたもののうち当たっていた割合が0.51。もう一方は0.79と0.35でした。

読み方が要ります。前者は取りこぼしの少なさを表し、後者は関係のない語まで伏せてしまっていない度合いを表します。0.35というのは、伏せた語の3分の1ほどしか当たっていないということです。取りこぼしが2割あり、同時に伏せすぎも起きている。片方だけを見て良し悪しは決められません。

この数値は医療の記録が題材なので、営業や問い合わせの記録にそのまま当てはめることはできません。ただ、その分野の専門の道具でも、この水準から始まるという目安にはなります。社内で軽く作った文字の並びの一覧が、これを大きく上回ることは考えにくい、という見立てを置いておくほうが安全です。

導入の判断は、こう置きます。自動の伏せ字は、人が確認する量を減らすためのもので、確認を無くすためのものではない。取りこぼしがゼロになる前提の運用を組まない。この一文を運用の文書に書いておくと、事故が起きたときに「機械が伏せたはずだ」という説明が出てこなくなります。

1件でも漏れたら0点、という測り方に変える

平均の成績には落とし穴があります。2025年に公表された別の研究は、大規模言語モデルを使った伏せ字化で、伏せたもののうち当たっていた割合が0.9769、見つけられた割合が0.9525、両者をまとめた総合値が0.9646という成績を出しました。数字だけを見れば、ほぼ完成しているように見えます。

ところが同じ研究は、もう1つの測り方を併記しています。ある文書の中で1件でも取りこぼしがあれば、その文書を0点とする測り方です。この物差しに変えると、成績は0.79に落ちました。比較対象として挙げられた既製の仕組みは0.75と0.90です。

意味するところは単純です。平均で見れば9割半ばでも、文書の単位で見れば5件に1件は取りこぼしが残っている。個人情報の事故は平均では起きません。1件の文書に1つ残っていれば、それが事故になります。測る単位を、記載の数から文書の数に変えるだけで、判断が変わります。

同じ研究は、弱い項目も挙げています。落ちるのは地名と識別の番号で、理由として記載の形が揃わないことが挙げられています。名前や連絡先は形が決まっているので拾えるが、地名は文章の中でどう書かれるかを予測しにくい。著者自身も、取りこぼしの可能性がゼロにはならないと明記しています

自社で試すときは、この測り方をそのまま使えます。検証用に20件ほど用意し、人が全部読んで正解を作り、1件でも漏れた文書を0点として数える。半日で終わります。この数字を見てから、人が確認する量を決めます。逆の順番にすると、確認の量が根拠なく決まります。

どこで伏せるか:手元か、間に挟む層か、集める時点か

伏せる場所は3つあります。渡す前に手元で伏せるか、AIとの間に層を挟んでそこで伏せるか、そもそも集める時点で分けておくか。どれが良いというより、件数と、扱う人の数で決まります。

伏せる場所向いている場面強いところ弱いところ
手元で人が伏せる月に数十件、扱う人が数名文脈を見て判断できる。自由記述に強い件数が増えると続かない。人ごとに基準がぶれる
間に層を挟んで自動で伏せる件数が多い、扱う人が広い基準が揃う。何を伏せたかの記録が残る取りこぼしが一定の割合で残る。文脈は読めない
集める時点で欄を分けるこれから集め始める場合伏せる作業そのものが減るすでにあるデータには使えない

3つ目は見落とされがちですが、最も効きます。問い合わせのフォームで、氏名の欄と相談内容の欄を最初から分けておく。相談内容の欄には氏名を書かないよう案内を1行入れる。これだけで、後から伏せる量が大きく減ります。集め方を変えられる場面なら、ここから手を付けます。

層を挟む方式には注意点が1つあります。伏せたものを元に戻す対応表を持つかどうかです。持てば分析の後で個別の案件に戻せますが、対応表そのものが管理の対象になります。対応表を持つなら、置き場所と、いつ消すかを先に決めます。決めずに作ると、消せない表が増えていきます。

手元で伏せる方式は、扱う人が3人を超えると基準がぶれ始めます。同じ文書を2人に伏せてもらうと、違いがはっきり出ます。導入の前に一度やっておくと、手順書に書くべき項目がそのまま出てきます。

置き換え方で、後の使い道が変わる

置き換え方は3通りあり、選び方で後の使い道が変わります。1つ目は削除。該当の語を消して詰めます。文が壊れやすく、要約の質が落ちます。2つ目は記号への置換。黒い四角などに置き換えます。文の形は残りますが、同じ人物が何度出てきても区別できません。

3つ目は、一貫したラベルへの置換です。「担当者1」「取引先A」「拠点X」のように、同じ対象には同じラベルを当てます。これだけで、誰と誰のやり取りかという構造が残ります。要約や分類に使うなら、この方式が最も無理がありません。

ラベルにするときの注意は2つ。1つは、ラベルの付け方に意味を持たせないこと。役職の順に番号を振ると、番号から役職が読めてしまいます。もう1つは、文書をまたいでラベルを共通にするかどうかを決めること。共通にすると横断の分析ができ、共通にしないと突き合わせができなくなります。目的の側から決めます。

なお、置き換えたつもりが置き換わっていない場所があります。表計算のセルの中、画像の中の文字、コメント欄、変更の履歴。見えている本文だけを処理すると、これらが残ります。渡す前に、文字だけの形に変換して中身を確かめる工程を1つ挟むと防げます。

消しすぎの線:分析に要る粒度を先に決める

消しすぎにも実測があります。前述の200件の研究では、関係のない語まで伏せてしまった数が、道具の一方で1文書あたり中央値10語、もう一方で5語でした。1件の文書から10語が意味を失っていることになります。研究では、意味のある記載が失われることへの懸念として書かれています。

何が消えるかというと、日付と地名と組織の名前です。3月末という記載が消えれば時期の比較ができません。関西という記載が消えれば地域の差が見えません。伏せる基準を厳しくするほど、分析の材料そのものが減っていきます。強くすれば安全になる、という単調な関係ではありません。

対処は、消すか残すかの二択をやめることです。粗くして残すという段を作ります。日付は年月まで、地域は都道府県か地方まで、規模は帯まで、金額は桁まで。この段を用意しておくと、伏せる側の判断も楽になります。迷ったら1段粗くする、という決め方ができるからです。

どこまで粗くするかは、分析の単位から逆算します。月次で見るなら日は要りません。地方別で見るなら市区町村は要りません。先に集計の単位を決めておけば、粒度は自動的に決まります。単位を決めずに伏せ始めると、後から「もう少し細かく残しておけばよかった」という手戻りが出ます。

なお、法律の側には仮名加工や匿名加工という別の枠があり、そちらは加工の基準や公表の扱いまで決まっています。ここで扱っているのは、その枠に乗せる話ではなく、AIに読ませる前に手元でどこまで落とすかという運用の話です。2つを混ぜて説明すると、社内で話が通らなくなります

伏せたのに、出力から戻ってくる場面

入力の側だけを見ていると抜ける論点があります。伏せたはずの情報が、出力の側から戻ってくる場面です。個人情報保護委員会の注意喚起も、一般の利用者への留意点として、入力された個人情報が学習に使われ「他の情報と統計的に結びついた上で、また、正確又は不正確な内容で」出力されるリスクに触れています。

実務でよく起きるのは、もっと手前です。要約の中で、伏せたはずの人物が肩書きと状況から復元される。「関西の製造業の情報システム部長が、来期の組織変更を理由に見送りを判断した」という要約は、氏名が無くても特定に近づきます。伏せたのは入力ですが、出力は元の文脈を組み直します。

対処は2つ。出力にも入力と同じ基準を当てて確認すること、そして出力の共有範囲を入力と同じ扱いにすることです。伏せた文書は限られた人だけ、その要約は誰でも見てよい、という運用にすると経路がねじれます。入力と出力を別の扱いにしないのが原則です

もう1つ、応答に不正確な個人情報が混ざる可能性もあります。前述の注意喚起は、応答が確率的な相関関係にもとづいて生成されるため、不正確な内容の個人情報が含まれるリスクがあると述べています。伏せたうえで出てきた名前らしきものを、そのまま事実として扱わないという線も要ります。

AIに判断させない範囲:定義と最終の可否は人が持つ

この作業でAIに任せてよいのは、候補を挙げるところまでです。何を伏せるかの定義と、伏せた結果を渡してよいかの判断は、人が持ちます。理由は単純で、この判断の誤りは、後から見ても分からないからです。取りこぼした語は、そこに何があったかを知っている人にしか見えません。

線を具体的に引きます。任せてよいのは、文書の中から個人を示しそうな記載を列挙すること、粗くする候補を提案すること、伏せ漏れがありそうな箇所を指摘すること。任せないのは、その項目を伏せるかどうかの決定、残す粒度の決定、この文書を渡してよいという最終の判断です。

定義を人が持つ効き目は、道具を替えたときに出ます。定義が文書として残っていれば、道具が替わっても同じ基準で測り直せます。定義が道具の設定の中にしか無いと、乗り換えのたびに基準が作り直しになります。設定の画面ではなく、社内の文書に書いておきます。

あわせて、伏せた結果にも根拠を書かせます。どの語を、どの分類として、なぜ伏せたか。この3点が残っていると、誤って伏せた語を見つけるのが速くなります。根拠の無い伏せ字は、消しすぎの原因を追えません。原因が追えないものは、直しようがありません。

伏せる手順

ここまでを工程に落とします。前半は準備で、道具を選ぶ前に終わらせておく部分です。順番を入れ替えると、後の判断ができなくなります。

STEP1
目的を書き、残す項目の表を作る

何のためにAIに渡すのかを1行で書き、そこから要る項目を並べます。要る項目が並ばない依頼は、この時点で差し戻します。

STEP2
重なると効く項目の上限と、粗くする段を決める

1件につき何個まで残してよいかを数で決め、日付・地域・規模・金額のそれぞれについて、どこまで粗くするかを書きます。

STEP3
伏せる場所を決める(手元か、間に挟む層か、集める時点か)

件数と扱う人の数から選びます。集め方を変えられるなら、まず欄を分けることを検討します。対応表を持つなら、置き場所と消す時期も同時に決めます。

STEP4
検証用の20件で、1件でも漏れたら0点という測り方をする

人が全部読んで正解を作り、文書の単位で数えます。地名と番号、そして自由記述の中の名前と日付を重点的に見ます。

STEP5
抜き取りの量と頻度を決めてから、運用に載せる

導入直後は多め、安定したら減らす形にします。抜き取りの結果は4項目だけ記録し、基準を緩めてよいかの材料にします。

抜き取りで確かめる:全件は見られない

全件を人が見ることはできません。だから、抜き取りで見る量と頻度を先に決めます。決めておかないと、忙しい時期に真っ先に省かれ、省いたことも記録に残りません。

目安は、導入の直後は多めに、安定したら減らす。最初の1か月は1割を人が読み、取りこぼしが出なくなったら数パーセントに落とします。数え方は、記載の数ではなく文書の数です。前段の測り方と揃えておくと、比較ができます。

  • 抜き取りの割合と頻度を、運用の文書に数字で書く
  • 数えるのは記載の数ではなく、取りこぼしが1件でもあった文書の数
  • 見つかったら、その文書を止めるだけでなく、同じ書き方が他に無いかを検索する

取りこぼしが見つかったときにやることも、先に決めておきます。その文書を止めるだけでは足りません。同じ型の記載が他にも残っていないかを検索します。1件見つかったら、同じ書き方で他にもあると考えるのが基本です。原因が1件かぎりであることは、まずありません。

記録は軽くします。抜き取った件数、取りこぼした件数、種類、直した内容。4項目で足ります。重い様式にすると続かず、続かない記録は無いのと同じです。この記録が、次に基準を緩めてよいかを決める材料になります。

よくある失敗

止まる形はだいたい決まっています。共通しているのは、道具の性能ではなく、決めていない項目が原因になっている点です。

  • 氏名だけを消して足りたことにする。日付と地名と肩書きの重なりで特定に近づく
  • 残す項目を決めずに伏せ始める。迷うたびに消す側へ倒れ、使えない文章だけが残る
  • 平均の成績で道具を選ぶ。文書の単位で見ると取りこぼしの残る割合が大きく変わる
  • 本文だけを処理する。ファイル名、署名、画像の中の文字、変更の履歴が残る
  • 出力の共有範囲を入力より広くする。伏せた意味が下流で消える
  • 対応表を作ったまま、置き場所と消す時期を決めていない

2つ目は特に多い失敗です。判断の基準が無いと、担当者は安全側に倒します。結果として、要約が当たり障りのない文章になり、使えないから誰も見なくなるという終わり方をします。冒頭の声の後半は、この形です。

3つ目も見落とされがちです。比較表に並ぶ数字は、たいてい記載の単位で測られています。同じ道具でも、文書の単位に変えると順位が入れ替わることがあります。自社の文書20件で測り直すほうが、比較表を眺めるより速く結論が出ます。

よくある質問

氏名を消せば足りますか

足りません。前述の研究では、手作業で見つけた個人を示す記載のうち、人名は44.1%で、日付と時刻が48.2%を占めていました。氏名を消しても、半分近くが残ります。加えて、所属や地域や時期が重なると、氏名が無くても特定に近づきます。

社内だけで使うなら、伏せなくてよいですか

扱いは変わりますが、判断を省いてよいことにはなりません。社内で使う場合でも、誰が見られる場所に置かれるか、どこまで残るかを決める必要があります。渡してよいかの判断は、この記事の前段にある別の論点です。伏せる作業の設計とは分けて考えます。

伏せる作業もAIにやらせてよいですか

候補を挙げさせるところまでは有効です。ただし、伏せるかどうかの決定と、渡してよいという最終の判断は人が持ちます。取りこぼしは、後から見ても分からないという性質があるためです。抜き取りの確認と組み合わせて使います。

どこまで粗くすれば安全と言えますか

安全と言い切れる線はありません。決められるのは、重なると効く項目を1件につき何個まで残すか、という自社の上限です。業界が狭いほど、少ない項目で特定に至ります。全社で同じ基準にせず、扱う相手の広さに応じて変えるほうが実態に合います。

対応表は持つべきですか

目的次第です。分析の後で個別の案件に戻す必要があるなら持ちます。必要が無ければ持たないほうが管理は軽くなります。持つと決めたら、置き場所と、いつ消すかを同時に決めます。後から決めようとすると、消せない表が残ります。

まとめ

AIに渡す前の伏せ字は、探すことと置き換えることに分かれ、失敗も取りこぼしと消しすぎの2方向に分かれます。片方を減らすともう片方が増えるので、完全に消すことを目標にすると必ず詰まります。単独で特定に至る項目は機械に任せられますが、重なって効く項目は数で管理し、消すのではなく粗くします。自動の伏せ字は、平均では9割半ばでも、1件でも漏れたら0点という測り方にすると0.79まで落ちました。全件の確認は無くせないという前提で、抜き取りの量と頻度を先に決めます。そして、何を伏せるかの定義と、渡してよいという最終の判断は人が持つ。残す項目の表と、粗くする段と、抜き取りの数字。この3つが書けていれば、伏せる作業は続きます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?

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