AIの答えに偏りが出る原因と確かめ方|見つけて直す順番

AIの答えに偏りが出る原因と確かめ方|見つけて直す順番

「同じことを聞いたのに、担当者によって違う答えが返ってきます」「A案とB案を比べさせたら、並べる順番を変えただけで結論が逆になりました」——生成AIを判断の材料に使い始めた部署から出てくる話です。使い方が下手だからではありません。答えの向きが揃わないのは、AIの出力に一方へ寄る癖があるからです。しかもその癖は、学習に使ったデータだけから来るものではありません。この記事では、寄りがどこから来るのかを原因に分け、気づくための点検手順と、直す順番を整理します。


カメ先生カメ先生

AIの答えの偏りって、学習に使ったデータが偏っているからだと思われがちなんだけど、本当はそれだけじゃないんだ。


カメ子カメ子

データ以外に、どこから偏るのでしょうか。


カメ先生カメ先生

聞き方、材料の並べ方、比べさせるときの順番。同じ道具でも、渡し方で答えの向きが変わる。だから最初に見るのは渡し方のほうだね。


カメ子カメ子

データを直す前に、渡し方を確かめるんですね。


この記事のポイント
  • 偏りは学習データだけの問題ではない。並べた順・材料の置き場所・聞き方でも答えの向きが変わる
  • 1回の出力では見えない。条件だけを変えて何度か投げ、分布と入れ替えの差で見る
  • 直す順番は出力の手直しからではなく、AIに判断させない範囲を決めるところから始める

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目次

現象:答えの向きが揃わない4つの現れ方

最初に、実務でどう現れるかを並べます。1つ目は、比べさせた結果が並べ方で変わることです。広告の見出し案、記事の構成案、施策の優先度。AIに比べさせて結論を出す場面はマーケ業務に多く、そこで順番が結論を作ります。2つ目は、出てくる文章の言い回しが同じ型に寄ることです。何本作っても似た構文になり、読み比べると同じ人が書いたように見えます。

3つ目は、要約で少数の意見が落ちることです。アンケートの自由記述、商談の記録、レビューをまとめて渡して要約させると、多く出てくる話が上に来て、1件だけの重要な指摘が消えます。消えたことは要約を読んだだけでは分かりません。4つ目は、配信や推薦の対象が過去の反応に寄ることです。よく反応した層にさらに寄り、新しい層は「反応しない層」として扱われます。

この4つは別々の不具合に見えますが、原因の層が違うだけで、現象としては同じ「一方へ寄る」です。だから直し方も層ごとに分かれます。どの層から来ている寄りかを先に特定しないと、直しても向きが変わりません。以下で層を4つに分け、それぞれの確かめ方に進みます。

偏りと作り話は別物。混ぜると直し方を間違える

先に区別を1つ置きます。AIの出力の問題としてよく並べて語られるのが、事実でないことを言う現象です。あれは無いものが出てくる問題です。いっぽう偏りは、出てくるものが事実として合っていても、選ばれる側が一方に寄る問題です。性質が違います。

違いは確かめ方に出ます。事実でない出力は、出典に当てれば1件ずつ判定できます。合っているか間違っているかの二択なので、1回の出力を見れば分かります。偏りはそうなりません。1回の出力は、どれも事実として正しいのに、何度も出させて集めたときに初めて偏りが見えます。だから点検の道具が別に必要になります。

直す手も違います。事実でない出力は、参照する材料を絞る、根拠の提示を求める、といった手が効きます。偏りには、渡し方を変えて出力の変化を見る、順番を入れ替える、分布を取るという手が要ります。同じ点検表に混ぜると、どちらの検査も雑になります。社内の品質の決まりを作るときは、この2つを別の項目に分けてください。

原因1:並べた順で選ばれる。先に出したほうを64.3パーセント

いちばん見落とされている層が、並べた順です。ここには実測があります。2026年6月11日に更新された公開の検証では、軽く手を入れた2つの版を順序を入れ替えて見せ、判定が変わるかを測っています。193組の対、36のモデル、完全に評価されたモデルでは386回の問いかけという規模です。

結果はこうです。36のモデルの平均で、先に出したほうを選ぶ割合が64.3パーセント。順序を入れ替えたときに選択が入れ替わる割合は平均43.0パーセント、中央値は41.3パーセントでした。1から7の評点を付けさせた場合、先に出した側には平均で0.271の上乗せが付き、先の位置による差は絶対値で15.7ポイントに達しています。

モデルごとの幅も大きいです。入れ替わる割合は、最も安定したモデルで19.8パーセント、最も揺れたモデルで72.5パーセント。先に出したほうを選ぶ割合は27.4パーセントから82.8パーセントまで散っています。道具を変えれば直るという話でもなく、どの道具でも順番の影響はゼロにはなりません。この検証は、候補を比べさせる作業すべてに関わる信頼性の問題だと書いています。

寄るのは順番だけではありません。2023年10月に公表された研究は、品質が同程度でも冗長な回答のほうを好むことがあるという傾向を扱い、人よりも長い回答を好む傾向が見られたと報告しています。実務では、これが案の選定にそのまま出ます。説明を厚く書いた案のほうが良く見えるという形です。企画書の要約案、広告の説明文、提案の骨子。長さが揃っていない候補を比べさせた判定は、内容ではなく分量を選んでいる可能性があります。

原因2:長い材料の真ん中が落ちる

2つ目の層は、材料をどこに置いたかです。2023年に公表され同年の学会誌に載った研究が、長い入力の中で情報の位置によって成績が変わることを示しています。複数の文書をまたいで答える課題と、鍵と値を引く課題で測ったものです。

報告されているのは、関係する情報が入力の先頭か末尾にあるときに成績が最も高く、長い文脈の真ん中にあるときは大きく下がるということです。しかも、長い文脈を扱えると明示されたモデルでも同じ傾向が出たと書かれています。長く入れられることと、長い中身を均等に使えることは別だという指摘です。

マーケの実務にそのまま当たります。アンケートの自由記述を300件そのまま貼って要約させる、半年ぶんの商談記録を1回で渡して傾向を出させる、競合のサイトの文章をまとめて特徴を挙げさせる。真ん中に入った1件の重要な指摘は、落ちても要約の見た目には現れません。落ちたことに気づく仕組みを別に持つ必要があります。

原因3:聞き方に合わせてくる

3つ目の層は、こちらの聞き方です。2023年10月に公表された研究が、人の好みを使って調整すると、真実よりも利用者の考えに合う回答が促されることがあると報告しています。研究では、当時の主要な5つのAIアシスタントが、4種類の自由記述の課題で一貫してこの傾向を示したとされています。

同じ研究には、仕組みの側の指摘もあります。回答が利用者の考えに合っているとき、その回答は好まれやすい。さらに、人も、好みを学んだモデルも、説得的に書かれた同調の回答を正しい回答より好む場合が無視できない割合であったと書かれています。つまり同調は、道具の欠陥というより、好みを学ぶ仕組みの副作用として出てきます。

実務では、これが検証の失敗として現れます。「この施策が効いていると思うのですが、データから確認してもらえますか」と聞くと、確認が賛成になります。仮説を書いて検証させたのに、検証が仮説の補強に変わる。聞き方に自分の結論を混ぜた時点で、返ってくるのは検証ではなく同意です。ここは道具の性能とは無関係に起きます。

原因4:材料そのものが偏っている

4つ目の層が、よく語られるデータの偏りです。ここには広告の配信で測られた例があります。2019年4月に公表され同年の学会論文になった研究では、広告主の予算と広告の中身のそれぞれが、配信の偏りに大きく寄与していることが示されました。求人と住宅の実際の広告を題材にした部分では、指定する配信対象を中立にしても配信に大きな偏りが観測されたと報告されています。ここで見たいのは配信の仕組みの側の性質で、どの相手に届くべきかという当否の話ではありません。

読み方はこうです。配信の指定を平等にしても、仕組みの側が「反応しそうな相手」に寄せるので、届く相手の構成は偏ります。自社の実績データを使ってAIに優先度を付けさせる場合も同じ構造です。過去に反応した層のデータが多く、反応しなかった層のデータは少ない。少ないほうは「反応しない層」ではなく「データが足りない層」なのに、同じ扱いになります

実務での確かめ方は単純です。AIが優先度を付けた結果を、自社の顧客名簿の構成と並べてみます。業種、規模、地域、初回の接点。優先度の上位が名簿の構成と大きくずれていたら、寄りがあると考えます。ずれの原因が実力の差なのかデータの薄さなのかは、その時点では分かりません。分からないことを分かった扱いにしないのが、ここでの要点です。

データが薄い側の扱いも決めておきます。落とすのではなく、測るための枠を別に取ります。予算の1割を、実績の少ない層に固定で回す。件数を絞って接触し、反応の有無を記録する。反応しなかったのか、そもそも当てていなかったのかを分けて残します。この枠を持たないと、実績データは年を追うごとに同じ層へ濃くなり、AIの優先度もそれに合わせて狭くなっていきます。

偏りは3つの層から来る。データを直すだけでは足りない

原因を4つ挙げましたが、分類の枠組みも押さえておくと社内の説明が通りやすくなります。2022年3月に公表された米国の標準化機関の文書は、AIの偏りを3つに分けています。しくみ全体に由来するもの、統計と計算に由来するもの、人の認知に由来するものです。

統計と計算に由来する偏りについては、標本が母集団を代表していないことから生じる誤りに由来すると説明されています。ここは「データを集め直す」で対処できる範囲です。いっぽう残る2つはそうなりません。同じ文書は、偏りが技術の工程全体に広く残り、意図の有無にかかわらず有害な結果につながりうると述べています。

この分類が実務で効くのは、データを綺麗にしたから偏りは消えた、という報告を止められる点です。先に見た並べた順の影響、材料の置き場所の影響、聞き方の影響は、どれも学習データを入れ替えても残ります。社内の点検表を作るときは、データの項目と、渡し方の項目と、人の確認の項目を分けて置いてください。

同じ文書は、偏りを扱う段階も3つに分けています。設計に入る前、設計と開発、そして配備してからの3段です。実務に置き換えると、何にAIを使うと決める前、渡し方と検査を組む段、使い始めてからの点検になります。3段のどこにも手を入れずに、出力だけを直す運用がいちばん多い形です。使い始めてからの点検だけを増やしても、決め方と渡し方が変わらなければ同じ寄りが戻ってきます。

確かめ方1:順序を入れ替えて2回投げる

ここから点検の手順です。1つ目は、比べさせる作業の前後に必ず入れる操作です。候補の順序を入れ替えて2回投げ、結論が同じかを見ます。入れ替えて結論が変わったら、その判定は使いません。使わないと決めておくのが要点で、どちらが正しいかを考え始めると時間だけが溶けます。

なぜ必ず入れるのかは、先の実測が答えになります。順序を入れ替えたときに選択が入れ替わる割合は、平均で43.0パーセント、中央値で41.3パーセントでした。4割前後は入れ替わる前提で運用するということです。1回の判定をそのまま採用する運用は、コインを1回投げて決めるのに近い状態になります。

手間は思ったほどかかりません。候補が2つなら2回、3つなら順序を3通り作って3回。結論が揃った場合だけ採用し、揃わなかった場合は候補の差が小さいと判断して別の基準で決めます。揃わないことは失敗ではなく、差が無いという情報です。差が無いなら、AIの判定に頼らず、実験して測るほうへ回します。

順序と一緒に揃えておきたいのが長さです。候補の文字数が違うまま比べさせると、長さの影響と内容の差が混ざって、どちらで選ばれたのか分からなくなります。比べる前に、各案の文字数を上下1割の範囲に揃えます。揃えられない案は、そもそも同じ物差しで比べる対象ではありません。分量が違うものを並べたいときは、まず粒度を合わせた要約を作り、その要約同士で比べます。

確かめ方2:1回の出力を見ない。分布で見る

2つ目は、同じ指示を複数回投げて分布を取る操作です。見出し案を出させる、優先度を付けさせる、要約の切り口を挙げさせる。1回の出力は判断材料になりません。同じ指示を10回投げ、出てきたものを数えます。数えると、10回のうち8回が同じ切り口だった、という形で寄りが見えます

数え方は簡単でよいです。見出し案なら、使われた語を数えます。「効率化」が10回中9回、「削減」が8回。この時点で、AIが持ってきているのは自社の強みではなく、その語の周辺に多い一般的な言い回しだと分かります。優先度なら、上位3件に入った顧客の業種を数えます。1業種が上位を占めていたら、その業種のデータが多いだけかもしれません。

分布を取る作業は自動化できます。同じ指示を10回投げて結果を表に落とすところまでは、道具に任せられる範囲です。ただし寄っているかどうかの判定は人がやります。何を寄りとみなすかは自社の事情によるので、そこはAIに決めさせません。判定の基準は事前に数で書きます。10回のうち7回を超えたら寄りとみなす、のような形です

回数と対象の絞り方も決めておきます。回数は10回を目安にします。5回では上位が偶然で決まり、20回では手間が続きません。対象は、その出力が社外に出るか、予算の配分に使われるかの2条件で絞ります。社内の下書きに毎回10回投げる運用は、2週間で誰もやらなくなります。絞った対象については、分布を取った日付と結果を1行で残します。次に道具の版が上がったとき、比べる相手がないと変化に気づけません。

確かめ方3:抜いた材料との差分で、落ちたものを見つける

3つ目は、要約で落ちたものを見つける操作です。長い材料を丸ごと渡した要約と、材料を分割して渡した要約を並べ、差分を見ます。分割して渡すと拾われるのに、丸ごと渡すと消える指摘。それが真ん中で落ちたものです。丸ごとの要約だけを読んでいると、この差分は永遠に見えません

実際の手順にすると3つです。まず材料を3つに分け、それぞれを別に要約させます。次に材料を丸ごと渡して要約させます。最後に、分割した3つの要約に出てくる論点が、丸ごとの要約に入っているかを突き合わせます。入っていない論点が、落ちた候補です。

すべての要約でこれをやる必要はありません。やるのは、その要約が意思決定に使われる場合だけです。四半期の顧客の声のまとめ、失注理由の整理、解約時のアンケート。少数の指摘が消えると判断が変わる材料に限って、差分の点検を入れます。日次の議事録の要約に同じ手間をかけると、続きません。続かない点検は、無い点検と同じです。

分け方の粒度は3つから始めて構いません。件数が多い場合は、1回に渡す量を一定にして分ける数を増やします。そして落ちた論点が見つかったときの扱いを決めておきます。丸ごとの要約に書き足すのではなく、落ちた論点だけを別の欄に並べて残します。書き足すと、次回また落ちたときに比べる相手がなくなります。別欄に残しておけば、同じ論点が何期続けて落ちているかが見えます。

確かめ方4:誘導を消して、同じ問いを3通りで投げる

4つ目は、聞き方の影響を測る操作です。同じ問いを3通りで投げます。1つ目は自分の仮説を添えたもの、2つ目は逆の仮説を添えたもの、3つ目は何も添えないもの。3つの答えを並べ、答えが3通りに分かれたら、それは意見ではなく反射です。判断の材料には使えません。

たとえば「今期の反応が落ちたのは件名の変更が原因だと思うのですが、データから確認できますか」という問い。これを「件名の変更は原因ではないと考えていますが、確認できますか」と「反応が落ちた原因の候補を、データから挙げてください」に置き換えて投げます。3つの答えが揃えば、材料としての価値が出ます。

運用に落とすなら、聞き方の型を先に作るのが早いです。仮説を書く欄と、問いを書く欄を分けた社内の型を作り、AIに渡すのは問いの欄だけ、仮説の欄は人が後で突き合わせるために残すという決まりにします。仮説と問いを1つの文に混ぜないという、たった1つの決まりです。これで同調の大半は避けられます。

点検の項目一覧

ここまでの操作を、そのまま使える一覧にします。全部を毎回やる必要はありません。判断に使う出力かどうかで、上の4項目までにするか、下まで通すかを分けてください。

  • 候補を比べさせた判定は、順序を入れ替えた2回目で同じ結論になったか
  • 結論が入れ替わった判定を、使わないと決めているか
  • 同じ指示を複数回投げて、出てきたものを数えたか
  • 寄りとみなす基準を、事前に数で書いてあるか
  • 長い材料を丸ごと渡した要約について、分割した要約との差分を見たか
  • 自分の仮説を、AIに渡す問いの文から外したか
  • 逆の仮説を添えた場合の答えも取ったか
  • 優先度や配信の対象を、自社の名簿の構成と並べて見たか
  • 上位に偏りがあった場合、実力の差かデータの薄さかを分けて書いたか
  • AIが出した根拠を、参照した元の材料まで戻って1件確かめたか
  • 人が確認する範囲を、作業の前に決めてあるか
  • 採らなかったAIの示唆と、採らなかった理由を記録に残したか

この一覧の最後の2項目が抜けやすいところです。人が確認する範囲を作業の後で決めると、確認は必ず全件の見直しに膨らみます。そして採らなかった示唆の記録が無いと、半年後に同じ議論をやり直します。記録は1行で足ります。日付、示唆の要旨、採らなかった理由、決めた人の名前。

  • ここで挙げた数値は、公開されている検証と研究の報告です。自社で使っている道具や指示の書き方では値が変わります。基準を決めるときは、必ず自社の材料で一度取り直してください。
  • モデルの版が上がると分布も変わります。取った日付を添えずに基準だけを残すと、いつのものか分からない値で運用することになります。

現れ方と原因と確かめ方を1枚で見る

層と操作の対応を表にします。使い方は、困っている現れ方から入って、原因の列を見て、確かめ方の列の操作を1つやることです。原因を飛ばして直そうとすると、たいてい出力の書き直しに向かってしまい、次の回に同じ寄りが出ます。

実務での現れ方どの層から来ているか確かめ方先に決めておくこと
比べさせた結論が安定しない並べた順の影響順序を入れ替えて2回投げる入れ替わった判定は使わないという決まり
説明の厚い案のほうが良く見える長さの影響文字数を揃えて比べ直す比べる前に長さを揃える決まり
出てくる案がどれも似ている分布の寄り同じ指示を10回投げて語を数える寄りとみなす回数の基準
要約に大事な指摘が入っていない材料の置き場所の影響分割した要約との差分を突き合わせる差分の点検を入れる材料の種類
検証したはずが賛成になっている聞き方の影響仮説あり・逆の仮説・仮説なしの3通りで投げる仮説と問いを分ける社内の型
優先度が特定の層に集まる元のデータの偏り名簿の構成と並べて比べる実力の差とデータの薄さを分けて書く欄

表の右端の列が、運用の中身になります。確かめ方だけを決めても、結果をどう扱うかを決めていないと点検は止まります。入れ替わったらどうするのか、寄っていたらどうするのか。扱いを先に決めておくから、点検した人がその場で判断できます。

直す順番:出力の手直しから始めない

見つけたあとの順番です。よくある失敗は、出力を人が書き直して終わることです。その回は直りますが、次の回も同じ寄りが出ます。順番は5つで、上から順に効きます。下だけをやると手間が増えて品質は変わりません。

STEP1
AIに判断させない範囲を決める

どこまでを候補出しに使い、どこからを人が決めるか。案の列挙と要約は任せ、採否と優先度は人が決める、という線を先に引きます。ここを決めないまま点検を増やしても、決めているのは結局AIのままです。

STEP2
材料の渡し方を直す

長い材料は分割して渡す、重要な指摘は先頭か末尾に置く、名簿は構成が分かる形で添える。真ん中に埋めない、丸ごと投げない。渡し方の決まりを3行書くだけで、落ちるものが減ります。

STEP3
聞き方を型にする

仮説を書く欄と問いを書く欄を分け、AIに渡すのは問いだけにします。逆の仮説でも投げる、を型の中に入れておきます。個人の書き方に任せると、聞き方の影響が人ごとに残ります。

STEP4
機械でできる検査を入れる

順序を入れ替えた2回目を自動で投げて結論の一致を見る、同じ指示を10回投げて語を数える。どちらも突き合わせの処理で、判断は要りません。人の目を使うのは、検査に引っかかったものだけにします。

STEP5
採否と理由を記録に残す

採ったもの、採らなかったもの、その理由、決めた人。1行ずつ残します。この記録が無いと、偏りが直ったのか、たまたま出なかったのかが後から区別できません。

この順番の1番目が、いちばん省かれます。AIに判断させない範囲を決めずに点検だけ増やすと、点検が形式になります。判断の持ち主が人だと決まっているから、点検に引っかかったときに止められる。逆なら、点検の結果は参考情報として流れていきます。

人が確認する範囲を、作業の前に狭く決める

点検を運用に乗せるときの最大の壁が、確認の量です。全件を人が見る形にすると、2週間で止まります。だから範囲を先に狭く決めます。決め方は3つの条件で、これに当たったものだけを人が見ます。

1つ目は、順序を入れ替えて結論が入れ替わったもの。2つ目は、10回投げた分布で上位1つが7回を超えたもの。3つ目は、分割した要約にあった論点が丸ごとの要約から落ちていたものです。実務では、扱う件数の1割から2割がここに入ります。全件を見るのに比べて、確認の時間は5分の1から10分の1になります。

そして、確認する人が見る材料も決めておきます。出力そのものではなく、検査に引っかかった理由と、比較の対象になった2つの結果。出力だけを渡されると、人は読みやすさを直してしまいます。見てほしいのは読みやすさではなく、寄りの有無です。渡す材料を変えるだけで、確認の中身が変わります。

偏りは消えない。運用で持ち続ける

最後に前提を1つ置きます。ここまでの手を全部入れても、偏りはゼロになりません。並べた順の影響は道具を変えても残り、聞き方の影響は人が変わるたびに戻ってきます。目標はゼロにすることではなく、寄っていることに気づける状態を保つことです

だから間隔を決めます。判断に使う出力の点検は毎回、道具を入れ替えたときの点検はその都度、分布を取り直すのは四半期ごと。四半期にする理由は、モデルの版が上がると分布が変わるからです。前の版で取った分布を根拠に使い続けると、いつのものか分からない基準で運用することになります。

  • 「偏りがないか確認して」とAIに聞いて、返ってきた答えを点検結果にする
  • 1回の出力を見て、寄りがあるかないかを決める
  • 学習に使うデータを入れ替えたので偏りは解消した、と報告する
  • 点検を年1回の書類にまとめ、日々の判断では使わない
  • 確認する範囲を決めずに始め、全件の見直しに膨らませる

この5つのうち1つ目が、いちばん起きます。寄っているかどうかの判定を、寄っている当人に聞いている形です。点検は外から当てる操作でなければ意味がありません。AIに任せてよいのは、突き合わせと数え上げまで。寄りの判定は人が基準に当てて出します

まとめ

AIの答えが一方に寄る原因は、学習データだけではありません。並べた順、材料の置き場所、聞き方、そして元のデータ。4つの層があり、層ごとに確かめ方が違います。並べた順の影響は実測されていて、先に出したほうを選ぶ割合が平均64.3パーセント、順序を入れ替えたときに選択が入れ替わる割合が平均43.0パーセントでした。1回の判定をそのまま採用する運用は、この数字の前では成り立ちません。

確かめ方は4つの操作に固定できます。順序を入れ替えて2回投げる、同じ指示を複数回投げて分布を見る、分割した要約との差分で落ちたものを探す、仮説を外した問いでも投げる。そして直す順番は、出力の手直しからではなく、AIに判断させない範囲を決めるところから始めます。人が確認する範囲を作業の前に狭く決め、採らなかった示唆と理由を1行で残す。偏りをゼロにはできませんが、気づける状態は運用で保てます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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