データガバナンスで決める5項目|AIに渡す前の整え方

データガバナンスで決める5項目|AIに渡す前の整え方

「AIで分析したいのですが、どのデータを渡してよいのか誰も答えられません」「名簿はあるのに、持ち主が決まっていないので手を付けられません」——AIの活用が具体的な段階に入った部署で、決まって最初に詰まるところです。データガバナンスは、データを守って使わせないための締め付けではありません。本当は、「誰に聞けば使ってよいと分かるか」を先に決めておく仕組みです。決まっていないから止まる、という順番になっています。この記事では、マーケ部門が実際に抱えているデータを題材に、決めるべき5項目とその順番、決まっていないと何が起きるかを整理します。


カメ先生カメ先生

データガバナンスって、情報を囲い込んで使わせない話だと思われがちなんだけど、本当は「使ってよい範囲を先に決めておく」ことなんだ。


カメ子カメ子

決めておくと、かえって使いやすくなるということですか。


カメ先生カメ先生

そうなるね。持ち主と使い道が書かれていないデータは、誰も許可を出せないから止まる。止まらないようにするための決めごとなんだ。


カメ子カメ子

守りの話に見えて、実は先に進むための整備なんですね。


この記事のポイント
  • 決めるのは5つ。分類・持ち主・使い道の登録・品質の基準・置き場所と期間。この順番で決める
  • AIが入って新しくなったのは、同じデータが分析にも学習にも流れることと、AIが作ったデータが元のデータに混ざること
  • 2026年7月17日に公布された改正個人情報保護法で、統計の作成などを目的とした提供と、顔の特徴の情報の扱いが変わる

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目次

データガバナンスとAIガバナンスは何が違うのか

先に線を引きます。AIガバナンスはAIの使い方を決めるものです。どの業務にAIを使うか、誰が承認するか、出てきたものを誰が確かめるか。対象はAIの側にあります。データガバナンスはデータそのものを決めるものです。どのデータが社内にあり、誰が持ち主で、何のために集めたもので、いつまで置くのか。AIがあるかどうかに関係なく必要になります。

この2つを混ぜると、決めごとが宙に浮きます。「顧客データをAIに入れてよいか」という問いは、AI側の判断のように見えて、実はそのデータを何のために集めたのかが書かれていないと答えが出ません。データガバナンスが決まっていない組織では、AIの利用ルールをいくら精緻にしても、個別の相談が全部持ち込まれてきます。

整備の話を始めると守りに寄りがちですが、設計の指針では攻めと守りを分けて並べるのが定番です。守りは漏らさない・誤らせないための決めごと、攻めは使いたい人が自分で判断できる状態を作るための決めごとです。マーケ部門で効くのは後者で、区分と持ち主と既定値が書かれているほど、企画の立ち上がりが速くなります。

順番としては、データの側を先に決めます。ある調査会社は2026年4月16日の発表で、AIの取り組みがうまくいっている組織は、データの品質やガバナンスといった土台に、売上に対する比率で最大4倍を投じていると述べています。差が出ているのはAIの選び方ではなく、その手前だという指摘です。

マーケ部門が抱えている4種類のデータを並べる

抽象的に「データ」と呼ぶと決まりません。マーケ部門が実際に持っているものを並べると、迷いどころが種類ごとに違うことが見えてきます。

データの種類中身の例AIに渡すときの迷いどころ
顧客名簿会社名、部署、氏名、連絡先、取引の有無集めたときに伝えた目的の範囲を超えないか
行動の記録サイトの閲覧、資料の開封、配信への反応個人と結び付いているかどうかで扱いが変わる
商談の記録議事、担当者の所感、次の一手他社の従業員についての評価が書かれていることがある
アンケートの回答選択式の集計、自由記述、名刺情報回答者が想定していない使い道になっていないか

4つのうち、持ち主が最も曖昧なのが行動の記録です。計測の仕組みはマーケが入れ、数値は営業も経営も見ます。誰が定義を決め、誰が変更を承認するのかが書かれていないことが多く、結果として「触ると怖いので誰も触らない」状態になります。

最も扱いが重いのは商談の記録です。自社のデータのように見えて、書かれているのは他社の従業員に関する記述です。人物の性格や決裁の癖まで書き込まれていることがあり、そのままAIに渡して要約させると、社内で共有される範囲が一気に広がります。

決める順番を間違えると、途中で止まる

5項目には順番があります。分類、持ち主、使い道の登録、品質の基準、置き場所と期間。この順でないと決まらない理由があります。

分類が先なのは、分類がないと持ち主を割り当てる単位が作れないからです。「顧客に関するデータ全部」の持ち主を1人に決めると、その1人に全社の相談が集まって止まります。逆に、項目ごとに持ち主を決めると数が増えすぎて維持できません。先に区分を切り、区分ごとに持ち主を決めると、数が現実的な範囲に収まります。

使い道の登録が3番目なのは、持ち主が決まっていないと登録を審査する人がいないからです。品質の基準が4番目なのは、使い道が分からないと「どこまで揃っていれば足りるか」が決まらないからです。置き場所と期間が最後なのは、ここまでが決まって初めて、どれを残しどれを消すかの判断ができるからです。

よくある失敗は、置き場所から入ることです。データを1か所に集める仕組みを先に入れると、分類も持ち主も決まっていないデータが同じ場所に並びます。集めた結果として、触ってよいものと触ってはいけないものが混ざるという前より悪い状態になります。

1つめ:分類——区分は3段か4段で足りる

分類は細かくすると使われません。実務で回っているのは3段か4段です。国内のシステム開発会社が2026年7月に公開した設計指針でも、4段の区分とそれに応じたアクセスの管理、伏せ字にする処理や個人が分からない形への加工が骨格として並べられています。

マーケのデータに当てると、たとえば次のように切れます。公開してよいもの(公表済みの実績、公開資料)、社内で共通に見てよいもの(集計済みの数値、区分ごとの傾向)、限られた範囲だけが見てよいもの(個人が特定できる名簿、行動の記録)、特に強く守るもの(要配慮の情報、顔の特徴のように本人が気づかないうちに取られる情報)。

区分を切るときの実務のコツは、データの種類ではなく、漏れたときの困り方で切ることです。「アンケート」という種類で切ると、集計結果と自由記述が同じ区分に入ってしまいます。自由記述には氏名や社名が書き込まれていることがあり、困り方はまったく違います。

区分が決まったら、区分ごとにAIに渡してよいかの既定値を書きます。ここを書いておくと、個別の相談が激減します。上の例なら、上2つは既定で渡してよい、下2つは既定で渡さない、例外は持ち主が判断する、という形になります。

2つめ:持ち主——部門ではなく、人の名前まで落とす

持ち主の役目は、使ってよいかを判断することと、定義の変更を承認することです。「マーケティング部が持ち主」と書いても、判断する人がいません。区分ごとに人の名前まで落とします。異動があれば書き換える、という運用込みで決めます。

持ち主と、日々の面倒を見る係は分けます。国内外の設計指針で共通しているのは、判断する役と、品質を見張る役を別に置く形です。判断する役は部門の責任者、見張る役は実務担当者になります。前者は月に数回、後者は毎週手を動かします。役目を1人に集めると、判断が滞るか点検が飛ぶかのどちらかになります。

マーケ部門で持ち主が決まりにくいのは、複数部門が同じデータを使う場合です。名簿は営業も使い、行動の記録は経営も見ます。ここは入力する側ではなく、定義を決める側を持ち主にすると整理できます。項目の意味を決めているのが誰かを見れば、たいてい1人に絞れます。

3つめ:使い道の登録——集めたときの目的を書いて残す

3つめは、そのデータを何のために集めたのかを書いて残すことです。ここが空欄だと、AIに渡す判断ができません。名簿はセミナーの申し込みで集めたのか、資料の請求で集めたのか、名刺交換で得たのか。集めた経路によって、伝えた目的が違います。

2026年7月に公布された改正法の実務解説でも、企業が取り組むこととして「保有する個人情報を整理し、どのような目的で収集・利用しているのかを改めて確認し、実際の運用と公表している利用目的との整合性を確保する」ことが挙げられています。公表している文言と、実際の使い方がずれていないかという点検です。

登録の粒度は、区分ごとに1行で足ります。書くのは、集めた経路、伝えた目的、いま使っている用途、AIに渡してよいかの既定値、判断した人と日付。長い申請書にすると誰も書きません。1行で書けるようにしておくと、新しい使い道が出たときに追記されます。

この登録があると、後から効いてきます。「この名簿でこの案内を送ってよいか」という問いに、担当者が自分で答えられるようになります。持ち主に聞かなくても分かる状態を作るのが登録の目的です。聞かなければ分からないままだと、忙しい時期に確認が飛ばされます。

4つめ:品質の基準——揃っていないと何が起きるか

品質は「きれいにする作業」の話ではなく、どこまで揃っていれば使ってよいかの線を決める話です。線がないと、整える作業がいつまでも終わりません。区分ごとに、必須の項目、表記の形、更新の間隔を決めます。

マーケのデータで効く線は3つです。会社名の表記が揃っているか(同じ会社が別会社として数えられていないか)、連絡先が生きているか(届かない先が何割あるか)、いつの情報かが分かるか(更新日が入っているか)。この3つが崩れていると、AIに分析させても答えが出てきません。

AIに渡す前提が加わって変わったのは、間違ったまま通ってしまう点です。人が集計すれば、会社名の表記ゆれには気づきます。AIに要約させると、ゆれたまま自然な文章が返ってきます。品質の問題が、目に見える不具合ではなく、もっともらしい間違いとして出てくるようになりました。

だから基準を書くだけでなく、基準を満たしていないことが分かる形にします。件数を出す、欠けている項目の割合を出す、最終更新から何日経ったかを出す。設計指針でも、品質基準は定義とあわせて形骸化を防ぐ運用が論点として挙げられています。書いただけの基準は守られません。

5つめ:置き場所と期間——増やすより減らす設計にする

最後が、どこに置き、いつまで置くかです。ここは増やす設計になりがちです。消す判断には責任が伴うので、誰も決めなければ全部残ります。残ったデータは、漏れたときの被害と、AIに渡したときの誤りの両方を増やします。

期間の決め方は、区分ごとに基準の日付を決めるのが実務的です。最後に接触した日から何年、契約が終わった日から何年、というように起点を書きます。「不要になったら消す」と書くと、不要かどうかを誰も判断しないので消えません。

置き場所については、同じデータが何か所にあるかを数えます。マーケのデータは分散しやすく、配信の仕組み、表計算のファイル、共有フォルダ、個人の端末に同じ名簿の断片が散らばります。消す運用は、置き場所の数だけ手間がかかります。集約は、消せる状態を作るための作業でもあります。

履歴を残すデータと、最新の状態だけでよいデータを分ける論点もあります。行動の記録は履歴に意味がありますが、連絡先は最新だけで足りることが多いです。全部に履歴を持たせると、消す作業のたびに過去の断面まで追う必要が出てきます。

決まっていないと、こういう形で表に出る

5項目が決まっていない状態は、たいてい「AIが使えない」ではなく別の形で現れます。

  • 同じ会社が名簿に3件あり、案内が3通届いて先方から指摘される
  • 分析を頼まれた担当者が、使ってよいか判断できず持ち主を探す時間のほうが長い
  • 退職者が作った表計算のファイルに名簿の断片が残り、誰も消せない
  • アンケートの自由記述をそのままAIに要約させ、氏名や社名が社内資料に載る
  • 公表している利用目的にない使い方が現場で始まり、後から止められる
  • 保存期間が決まっていないため、5年前の名簿が現役の名簿と同じ場所にある

6つのうち、実務で一番損をしているのは2つめです。判断できる人が明示されていないと、確認の往復が発生します。1件あたり数日の待ちが積み上がると、AIを入れた効果が確認待ちで消えます。決めごとの目的は速さだと考えたほうが、整備が進みます。

4つめは実際に起きやすい形です。自由記述には、回答者が「この会社の中で読まれる」と思って書いた内容が入っています。要約して社内資料に載せた時点で、想定より広い範囲に出ます。区分を切るときに自由記述を分けておく理由がここにあります。

AIが入って新しく問題になったこと

データガバナンス自体は前からある考え方です。AIが入って本当に新しくなったのは2つだけです。1つめは、同じデータが分析にも学習にも流れることです。集計のために渡したデータが、そのまま学習の材料になっていないか。外の仕組みに渡した場合、渡した先での扱いを契約で確かめる必要が出てきます。

2つめは、AIが作ったデータが元のデータに混ざることです。要約、分類、想定質問、下書き。生成されたものが記録として保存され、次の分析の材料になります。ある調査会社は2026年1月21日の発表で、検証されていないAI生成データが増えることを背景に、2028年までに組織の50%がデータを無条件に信用しない前提のガバナンスを採ると予測しています。

この2つに効くのは、大きな仕組みではなく1つの列です。そのデータが人が入れたものか、AIが作ったものかを記録に残します。列が1つあれば、分析のときに外せます。混ざってから見分けようとすると、もう分けられません。

  • AIが作ったものを混ぜてはいけないという話ではない。混ざっていることが分かる状態にしておく
  • 要約や分類の結果を保存するときは、元のデータの場所も一緒に残す。後から確かめられなくなる
  • 外の仕組みに渡す場合は、渡した先で学習に使われるかを契約と設定の両方で確かめる

2026年公布の改正法で、前提が変わる部分

2026年7月10日に成立し、同月17日に公布された「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(令和8年法律第56号)で、データの扱いの前提が変わります。マーケ部門に関わる範囲を3つに絞って押さえます。

区分内容時期
公布改正法が公布された(令和8年法律第56号)2026年7月17日
罰則の一部先に動き出す規定がある公布から6か月後の2027年1月17日
課徴金や統計の作成などの特例を含む本体政令で定める日から公布から2年を超えない範囲内

1つめは、統計の作成などを行う第三者に提供する場合について、本人の同意が不要になる仕組みが入ることです。ここは期待されやすいのですが、留保が大きい点に注意が必要です。法律事務所の解説では「AI開発であれば当然に特例が利用できるわけではありません」とされ、最終の成果が個人に関する情報でないこと、取扱いの目的の全部が統計の作成などであること、そして対象の範囲が今後の規則に合致することが条件として挙げられています。

2つめは、顔の特徴のように、本人が気づかないうちに取られてしまう身体の特徴の情報に、新しい規律が置かれることです。顔の骨格や目や鼻の位置や形から抽出した特徴のデータが例として挙げられています。単なる顔写真は原則として対象外ですが、特徴を数値として抽出して本人を見分けるために使う場合は対象になり得ます。イベントの受付や来場者の写真の使い方に関わります。

3つめは、16歳未満の情報について、本人ではなく法定代理人を相手にする読み替えが入り、16歳未満の本人からは違法な扱いがなくても停止の請求ができるようになることです。アンケートやキャンペーンで年齢を集めていない場合、そもそも該当者がいるか分かりません。年齢を集めるかどうかも設計の一部になります。

委託先についても、委託された個人情報を受託した業務の遂行に必要な範囲を超えて扱ってはならないことが明記されます。外部の会社に分析やAIの構築を頼む場合、渡した範囲と使い道を書面で確かめる作業が、これまでより効いてきます。

統計の作成などの特例を使う場合の要件も、軽くはありません。解説で挙げられているのは、規則で定められた事項を公表すること、提供する側と受け取る側で書面による合意を交わすこと、公表を続けること、公表した範囲を超えて扱わないこと、受け取ったデータをさらに別のところへ渡さないこと、そして安全管理の措置を講じることです。同意を取らなくてよくなる代わりに、書いて公表する手間が増えるという構造です。

この構造は、5項目のうち使い道の登録と直結します。登録に集めた経路と目的が1行で書かれていれば、特例を使えるかの検討はその行を見るだけで始められます。書かれていなければ、まず全件をたどり直すところから始まります。制度が動く前に整えておく価値があるのは、この差です。

行動の記録は「個人と結び付くか」で扱いが変わる

4種類のうち、判断の分かれ目がはっきりしているのが行動の記録です。閲覧や開封の履歴が、誰のものか分からない形で溜まっているのか、名簿の1件と結び付いているのか。同じ画面で見ていても、この2つは扱いが違います。結び付いた瞬間から、個人のデータとして扱うのが原則です。

結び付き方は、たいてい途中で変わります。最初は誰のものか分からない履歴として溜まり、フォームに入力された時点で過去の履歴までさかのぼって1人に紐づく。この切り替わりが自動で起きる仕組みは珍しくありません。区分を切るときは、結び付いた後の状態を前提に置くほうが安全です。

2026年7月に公布された改正法では、それ単体では個人が特定できないが連絡が取れてしまう情報について、規律が強められる方向が入っています。第三者から受け取ったデータを自社の名簿に突き合わせて使う場面が該当します。提供を受ける側が確かめる範囲も広がるため、外部から名簿や行動の記録を受け取る運用があるなら、受け取り方の記録を残しておく必要が出てきます。

実務としては、行動の記録の区分を2つに分けます。誰のものか分からない集計だけを見る用途と、個人と結び付いた履歴を見る用途。前者は既定でAIに渡してよく、後者は持ち主の判断を挟む。この2段にしておくと、分析の相談のたびに立ち止まらずに進みます。

アンケートの回答が、いちばん迷う

4種類のうち、判断が難しいのがアンケートです。理由は3つ重なっているからです。自由記述に何が書かれているか分からない、回答者が想定した読まれ方の範囲が狭い、そして集めた目的が「今回の企画のため」と限定されがちなことです。

実務では、集める段階で分けておくのが唯一の解決です。選択式の回答と自由記述を別の区分として扱い、自由記述は既定でAIに渡さないと決めます。渡す必要が出たときは、氏名と社名を落としてから渡す手順を先に決めておきます。集めてから分けようとすると、全件を人が読む作業になります。

もう1つ決めておくとよいのは、回答の保存期間です。企画のための回答は、企画が終われば使い道がありません。それでも残るのは、次の企画で使えるかもしれないと考えるからです。ここは使い道の登録に書けるかどうかで判断します。書けないなら消します。

進め方——棚卸しから4段で立ち上げる

5項目を一度に決めようとすると止まります。手を動かす順に組みます。

STEP1
あるものを数える

マーケ部門が持っているデータを、種類ごとに数えます。置き場所も一緒に書きます。ここで想定より多いことに気づくのが普通です。

STEP2
区分に振り分ける

漏れたときの困り方で3段か4段に振り分けます。判断に迷うものは重いほうの区分に置きます。自由記述は必ず分けます。

STEP3
区分ごとに持ち主とAIの既定値を書く

人の名前と、AIに渡してよいかの既定値を1行で書きます。ここまでで、日々の相談の8割は担当者が自分で答えられるようになります。

STEP4
期間と消す担当を決める

区分ごとに起点と年数を書き、消す作業を誰がいつやるかを決めます。決まっていないと、置き場所が増え続けます。

この4段で、5項目のうち品質の基準だけが残ります。品質は使い道が具体化してから決めたほうが実態に合います。先に完璧な基準を書くと、使われない項目を揃える作業に時間が消えます。

決めたものを運用に定着させる

整備がうまくいかない理由の大半は、決め方ではなく続け方にあります。一度作った表が半年で実態と合わなくなり、誰も見なくなる。これを防ぐ仕掛けを最初から入れます。

効くのは3つです。1つめは点検の頻度を決めて当番にすることです。月に1回、区分ごとに持ち主の名前が現職かを確かめ、新しく増えたデータがないかを見ます。作業は30分程度に収まる分量にします。2つめは変更のきっかけを決めることです。新しい仕組みを入れたとき、新しい案内を始めたとき、異動があったとき。この3つを合図に登録を見直します。

3つめは、決めごとを作業の手前に置くことです。データを新しく集める企画書に、区分と持ち主と保存期間の欄を作ります。企画の段階で書かせれば、後から棚卸しする作業が減ります。逆に、集めた後で登録させようとすると、忙しさに負けて空欄のまま流れます。

点検を軽くする工夫として、見る項目を減らす手もあります。毎月見るのは、区分と持ち主と保存期間の3つだけにする。品質の数値や由来の記録は四半期ごとに回す。毎月の点検で見るものを3つに絞ると、当番が交代しても引き継げます。項目が10あると、忙しい月に飛ばされて、そのまま止まります。

運用が回り始めた合図は、相談の内容が変わることです。「使ってよいですか」ではなく「この区分に入れてよいですか」という問いが来るようになったら、判断の基準が共有された状態です。ここまで来ると、AIの活用の話は前提の確認から始まらなくなります。

用語の整理

会話が噛み合わないことが多い言葉を、実務での意味に絞って並べます。

  • 持ち主:そのデータを使ってよいかを判断し、定義の変更を承認する人。部門ではなく個人の名前で置く
  • 世話役:日々の品質を見張り、欠けや重複を直す担当。持ち主とは分ける
  • 区分:漏れたときの困り方で切った段。段ごとに、見てよい人とAIに渡してよいかの既定値を書く
  • 使い道の登録:集めた経路、伝えた目的、いまの用途、AIの既定値を1行で書いた記録
  • 目録:社内にどんなデータがどこにあるかを引ける一覧。区分と持ち主が引ける状態が最低条件
  • 由来:そのデータがどこから来て、どう加工されたか。人が入れたのかAIが作ったのかもここに入る

目録は、専用の道具を入れる前に表計算の1枚から始めて構いません。条件は、区分と持ち主が引けることだけです。道具は後から替えられますが、引けない一覧は道具を替えても引けるようになりません。

この6つのうち、後回しにされやすいのが由来です。分析の結果が想定と違ったとき、たどれるのは由来だけです。加工の履歴が残っていないと、間違いの原因を探せず、作り直すしかなくなります。

まとめ

データガバナンスで決めるのは5つです。漏れたときの困り方で区分を切ること、区分ごとに人の名前で持ち主を置くこと、集めた経路と目的を1行で登録すること、どこまで揃っていれば使ってよいかの線を引くこと、そして起点と年数で期間を決めて消す担当まで書くこと。この順で決めると、途中で止まりません。

マーケ部門で最初に手を付けるなら、アンケートの自由記述と商談の記録です。この2つは中身が読めないまま溜まりやすく、AIに要約させた瞬間に想定より広い範囲に出ます。区分を分け、既定では渡さないと決めておくだけで、事故の形が1つ減ります。

AIは、渡されたデータが使ってよいものかを判断できません。使い道の登録も、保存期間の判断も、人が決めた記録を読むしかありません。だからこそ、整備の目的は制限ではなく速さです。誰に聞かなくても分かる状態を作るほうが、結果としてデータは動きます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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