懇親会の費用はどこまで落とせる?|交際費の線引きを知る

「セミナーの後に懇親会をやりたいのですが、費用は落ちますか」。イベントの企画で必ず出てくる問いです。答えは条件によって変わり、同じ懇親会でも参加者の顔ぶれで扱いが分かれます。しかも2024年に基準のひとつが変わっており、以前の感覚のまま運用していると、受けられるはずの扱いを取り逃していることがあります。この記事では、イベント運営の目線で費用の線引きと必要な記録を整理します。
カメ先生懇親会の費用の扱いは、参加者の顔ぶれで変わることをご存じですか。
カメ子金額だけで決まるものだと思っていました。1人いくらまで、という話ですよね。
カメ先生金額の基準もありますが、その前に社外の方が入っているかどうかで扱いが分かれます。ここを外すと基準の話にも進めません。
カメ子社内の打ち上げと、お客様を招く会は別物なんですね。
- 飲食費のうち1人当たり1万円以下のものを交際費等から除く扱いは、2024年4月1日以後の支出から
- 自社の役員や従業員だけの飲食は、金額にかかわらずこの除外の対象にならない
- 除外を受けるには、日付、相手の氏名と関係、人数、金額と店の情報を記録した書類の保存が要る
懇親会の費用が経理で止まる場面
イベントの精算で差し戻される理由は、たいてい記録の不足です。領収書は貼ってあるのに、誰と行ったのかが書かれていない。参加した人数が分からない。その結果、本来なら受けられる扱いの判断ができず、保留になります。現場から見れば理不尽に感じますが、記録が要件になっている以上、避けられません。
もうひとつの理由は、支出の性格が混ざっていることです。セミナーの参加者を招いた懇親会に、自社の社員が多く参加し、さらに二次会まで続いた。こうなると、ひとつの領収書の中に性格の違う支出が混ざり、整理に時間がかかります。
防ぐには、企画の段階で費用の性格を決めておくことです。誰を招く会なのか、自社から何人出るのか、予算はいくらか。この3点が決まっていれば、精算の記録は自然に揃います。終わってから思い出して書くから、抜けが出るのです。
なお、税務の取り扱いは会社の状況や個別の事情で変わります。この記事は制度の考え方を整理したもので、実際の処理は顧問の税理士に確認したうえで社内の運用を決めてください。判断の分かれる場面では、専門家の意見が最も確実な材料になります。
交際費とは何を指すのか
交際費として扱われるのは、取引先など事業に関係のある相手に対して、接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用とされています。飲食に限らず、手土産や記念品、ゴルフや観劇への招待も含まれます。相手との関係を良好にするための支出、と捉えると分かりやすくなります。
会社の規模によって、この交際費を経費として認める範囲が定められています。中小の法人では、一定額までを損金として算入できる枠と、接待のための飲食費の一定割合を算入する方法のいずれかを選べる仕組みがあります。枠を超えた分は経費として認められません。
ここで大切なのが、そもそも交際費に当たらないものを分けておくことです。会議に伴う茶菓や弁当、従業員の福利のための費用、宣伝のための費用などは、交際費とは別の区分で扱われます。区分が変われば、枠の消費も変わります。
イベントの運営では、この区分の判断が頻繁に出てきます。セミナー中に出す飲み物は会議に伴うものか。終了後の立食は接待か。配布する記念品は贈答か宣伝か。判断の基準を先に決めておかないと、毎回ゼロから議論することになります。
2024年に基準が変わった
飲食費のうち、1人当たりの金額が一定以下のものは、交際費等から除いて扱えるという仕組みがあります。この基準額が、2024年4月1日以後に支出するものから5,000円以下から1万円以下に引き上げられました。実務への影響は小さくありません。
以前の基準では、取引先との会食は多くの場合1人当たり5,000円を超え、除外の対象になりませんでした。1万円になったことで、都市部での一般的な会食の相当部分がこの除外の範囲に入ってきます。枠の消費を抑えられるため、交際費の枠が窮屈だった会社ほど効きます。
ただし、この変更を知らないまま5,000円の内規で運用している会社が少なくありません。内規は税制の基準と一致させる義務はありませんが、税制の基準より厳しい内規を惰性で続けているなら、見直す価値があります。実際の運用に合わせて上限を設定し直してください。
1万円の判定は1人当たりで行う
判定は、支出した金額を参加した人数で割った額で行います。総額ではなく1人当たりなので、10人で9万円なら1人9,000円となり、総額が大きくても除外の対象になり得ます。ここを取り違えて、総額で判断してしまう例が見られます。
人数には、社外の参加者と自社の参加者の両方を含めて数えます。自社から多く出れば1人当たりの金額は下がりますが、だからといって人数合わせで社員を増やすのは本末転倒です。実際に参加した人数を正確に記録することが要件です。
飲食に伴う費用のうち、席料や場所の使用料、サービスの料金も、飲食に伴うものであれば含めて考えるとされています。つまり、料理と飲み物の代金だけでなく、請求の総額から1人当たりを計算するのが基本の考え方です。
| 場面 | 1人当たりの計算 | 扱いの目安 |
|---|---|---|
| 社外5名と自社3名で6万円 | 8名で割ると7,500円 | 除外の対象になり得る |
| 社外2名と自社2名で5万円 | 4名で割ると12,500円 | 除外の対象外(交際費等) |
| 自社の社員だけで3万円 | 金額にかかわらず | この除外の対象外 |
| 会議中の弁当と飲み物 | 通常必要な程度 | 会議に伴う費用として別区分 |
この表は考え方を示す目安です。実際の判定は、会の目的や参加者の関係、支出の内容によって変わります。迷う場面は必ず出るので、判断に困った例を社内で集めておき、まとめて税理士に確認する運用が効率的です。
社内だけの飲食は対象外
最も重要な例外がこれです。自社の役員や従業員、またはその親族だけを相手にする飲食の費用は、金額にかかわらずこの除外の対象になりません。1人当たり3,000円であっても、社内だけの飲食であれば除外は使えません。
イベントの運営では、この線引きが問題になる場面が2つあります。ひとつは、セミナーの後に運営スタッフだけで行う打ち上げ。もうひとつは、懇親会が終わったあとに社員だけで続ける二次会です。どちらも社内だけの飲食に当たります。
ただし、社内の飲食であっても全社的な行事として行われる慰安のための費用は、別の区分で扱われる場合があります。また、会議に伴う通常必要な飲食は、参加者が社内だけでも会議に伴う費用として扱われます。社内だから全て交際費、という単純な話ではありません。
実務としては、領収書を分けてもらうことが最も確実な対処です。社外の方が帰られた時点でいったん締め、そこから先は別の会計にする。同じ伝票に混ざってしまうと、後から分けるのは困難です。
除外を受けるための記録
1万円以下の除外を受けるには、定められた事項を記載した書類の保存が求められます。記載するのは、飲食のあった年月日、参加した取引先などの氏名または名称とその関係、参加した人数、費用の金額と店の名称と所在地、そしてその他参考となる事項です。
領収書にこれらが全て書かれていることはないので、別に記録を作ります。多くの会社では、精算の申請書にこれらの欄を設けて対応しています。紙でもデータでも構いませんが、後から探せる形で保管する必要があります。
招く相手と自社の参加者を一覧にします。当日の欠席は後で修正します。
欠席や飛び入りを反映した実数を記録します。この数が1人当たりの計算の分母になります。
社外の方が同席する部分と、社内だけになった部分は会計を分けます。
日付、相手の氏名と関係、人数、金額、店の名称と所在地を書き残します。翌日には記憶が薄れます。
特に2つ目と4つ目が抜けやすい工程です。当日は運営で手一杯になり、人数を数える余裕がありません。そこで、受付の名簿をそのまま懇親会の記録に流用する仕組みにしておくと、負担なく実数が残ります。
会議に伴う費用との違い
会議に際して出す茶菓や弁当、通常必要と認められる程度の飲食の費用は、交際費ではなく会議に伴う費用として扱われます。取引先を招いた打ち合わせで昼食を出す場合も、会議としての実態があれば別の区分になり得ます。
判断の分かれ目は、会議としての実態があるかどうかです。議題があり、資料があり、業務上の打ち合わせが行われている。その一環として食事が出ているのであれば会議に伴う費用ですが、食事が主で打ち合わせが付け足しなら、性格は変わります。
イベントで言えば、セミナー中に出す飲み物や軽食は会議に伴う費用として整理しやすく、終了後の懇親会は接待の性格が強くなります。同じ日の支出でも区分が変わるので、会計を分け、それぞれに記録を残す運用にしておきます。
セミナー後の懇親会をどう扱うか
セミナーの後の懇親会は、参加者との関係を深める目的で行われるので、接待の性格を持ちます。参加費を取らずに自社の負担で行う場合は、交際費として整理されるのが基本です。1人当たり1万円以下であれば、除外の対象になり得ます。
参加費を徴収する場合は、考え方が変わります。受け取った参加費は収入となり、支出との差額が自社の負担分になります。1人当たりの判定も、自社の負担額を基準に考えることになります。この場合の扱いは複雑になるので、事前に確認しておくのが安全です。
人数の見積りも実務上の課題です。申込の人数と実際の参加人数は必ずずれます。会場に払う金額は事前の人数で決まることが多く、欠席が出ると1人当たりの金額が上がります。見積りの段階で欠席率を織り込んでおくと、基準を超える事故を減らせます。
展示会での手土産や記念品
展示会で配る記念品は、不特定多数に配る宣伝のための費用として整理されることがあります。一方、特定の取引先に対して個別に渡す手土産は、贈答として交際費に近い扱いになります。配る相手が特定されているかどうかが分かれ目のひとつです。
金額も判断に影響します。少額で、社名やロゴが入っており、来場者に広く配る性質のものであれば、宣伝のための費用として扱いやすくなります。反対に、高額な品を個別に渡すのであれば、贈答の性格が強くなります。
- 不特定多数に広く配る少額の品は、宣伝のための費用として整理されることが多い
- 特定の相手に個別に渡す品は、金額にかかわらず贈答としての性格を持つ
- 記念品の制作費と配布の実績を記録に残しておくと、区分の説明がしやすい
実務では、配布の実績を残しておくことが効きます。何個作り、どの会場で何個配ったのか。記録がないと、在庫として残っている分と配った分の区別がつかず、説明が難しくなります。
一次会と二次会をまたぐとき
懇親会の後に場所を変えて続ける場合、会計は必ず分けます。同じ会の続きだからと合算すると、1人当たりの金額が基準を超えたり、社内だけになった部分が混ざったりします。分けておけば、それぞれを適切な区分で処理できます。
参加者も変わります。一次会には社外の方が多く、二次会には社内の人間だけが残る、というのはよくある展開です。この場合、二次会は社内だけの飲食となり、前述のとおり除外の対象になりません。
運用としては、場所を移す前にいったん解散を宣言する会社もあります。「ここまでが会社の会で、この先は各自の判断です」と伝えることで、会計を分ける理由が参加者にも伝わります。言わずに場所を移すと、同じ会の続きとして扱われてしまい、後から分けるのが難しくなります。手続の都合を隠さず伝えるほうが、現場でも経理でも角が立ちません。
運用としては、「二次会は割り勘」という内規にしている会社もあります。経理の処理を簡潔にする狙いですが、参加する社員の負担にもなります。処理の手間と社員の納得の両方を見て決めるべき論点で、正解はひとつではありません。
予算を組むときの実務
イベントの予算では、懇親会の費用を1人当たりの単価で置きます。総額で置くと、参加人数が変わったときに基準を超えるかどうかが読めません。単価に上限を設けておけば、人数が変わっても超えません。
上限の設定は、税制の基準と社内の方針の両方から決めます。税制上は1万円が除外の分かれ目ですが、社内の方針としてそれより低い水準に抑えることもあります。重要なのは、その水準がなぜその金額なのかを説明できることです。
会場の選定でも、この単価が効いてきます。飲み放題の込みの料金で1人当たりの上限内に収まる会場を選ぶ。追加の注文が発生しにくい形にする。当日に単価が読めない形の会場は、精算で苦労します。
会場の下見では、価格以外も確かめます。立ったまま話せる配置になっているか、声が通る広さか、名刺を交換できる明るさがあるか。席が固定された配置だと、隣の人とだけ話して終わります。懇親会の目的が関係づくりなら、動ける配置を選ぶほうが成果につながります。費用の管理と会の狙いは、会場の選定という同じ判断の中で両立させる必要があります。単価と配置の両方を見て決める。
経理に渡す情報を現場で揃える
最後に、運営の担当がすべきことを整理します。会の前に参加者の一覧を作り、当日に実数を記録し、会計を性格ごとに分け、その日のうちに記録を残す。この4つが揃っていれば、経理での判断は迷いなく進みます。
- 招く相手と自社の参加者の一覧を、会の前に作ったか
- 当日の実際の参加人数を記録したか
- 社外の方が同席する部分と社内だけの部分で会計を分けたか
- 日付、相手の氏名と関係、人数、金額、店の名称と所在地を書き残したか
- 参加費を徴収した場合、その金額と人数を記録したか
この一覧を、イベントの運営の手順書に組み込みます。精算のときに思い出すのではなく、当日の運営の作業として組み込む。そうすれば、担当が変わっても記録の質が落ちません。経理の要件を、現場の手順に翻訳しておくのが運営側の仕事です。
割り勘や相手負担のときの扱い
会費を出し合う形で行った場合、自社が負担した金額が費用になります。総額ではなく自社の負担分で考えるので、1人当たりの判定も自社が実際に払った金額を基準にします。相手が全額を負担した会に参加した場合は、自社の支出が発生しないため、そもそも費用になりません。
紛らわしいのが、自社がいったん全額を払い、後から相手の分を受け取る形です。この場合、受け取った金額を差し引いた残りが自社の負担になります。受け取った事実を記録しておかないと、全額を負担したものとして扱われます。授受の記録は必ず残してください。
相手の側にも事情があります。取引先の規定で接待を受けられない会社は少なくありません。特に公的な性格を持つ組織や、上場している企業の一部では、会費を出し合う形でなければ参加できないという決まりがあります。招く前に確かめておくと、当日の気まずさを避けられます。
実務としては、案内の文面に会費の有無を明記します。「会費制」と書いてあれば、相手は社内の承認を取りやすくなります。無料と書くと、参加したいのに参加できない人が出ます。会費制にすることが参加率を上げる場面もあるというのは、覚えておくと使える知恵です。
支払いの方法で記録の残し方が変わる
同じ懇親会でも、支払いの方法によって記録の作り方が変わります。会社の名義の決済手段を使った場合、利用の明細は自動で残りますが、参加者や人数の情報は明細に載りません。別に記録を作る必要があるのは、この方法でも同じです。
担当者が立て替えて後から精算する場合は、領収書の宛名に注意します。個人名の領収書でも精算できる会社もありますが、会社名で受け取っておくほうが説明が簡単です。宛名を書いてもらう手間を惜しむと、後で差し戻される確率が上がります。
会場に請求書で払う場合は、請求書の内訳を確かめます。料理と飲み物、席料、サービスの料金が分かれているか。内訳が分かれていないと、1人当たりの計算の根拠が示せません。予約の時点で、内訳の分かる請求書を出してもらえるか確認しておきます。
いずれの方法でも、領収書や請求書だけでは要件を満たしません。日付、相手、人数、金額、店の情報を記した記録が別に要ります。支払いの方法にかかわらず、記録を作る作業は省けません。ここを理解しておくと、精算のやり直しが減ります。
交際費の枠を年間で管理する
交際費として扱われる支出には、経費として認められる枠があります。年度の後半になって枠が足りなくなると、予定していた会合を見送る判断が必要になります。枠の消費状況を四半期ごとに把握しておくと、こうした事態を避けられます。
枠を圧迫しないための工夫としては、1人当たり1万円以下に収める運用を徹底することが第一です。除外の対象になれば枠を消費しません。次に、会議に伴う費用として整理できるものを交際費に混ぜないこと。区分を正しく分けるだけで、枠の消費は変わります。
- 1人当たりの単価を決めずに会場を予約し、当日の追加注文で基準を超える
- 社外の方が帰った後の二次会を同じ会計にまとめる
- 領収書だけを提出し、参加者と人数の記録を作らない
- 会費を受け取ったのに、その記録を残さず全額を自社の負担として処理する
枠の管理は経理の仕事ですが、使うのは現場です。残りの枠を現場に共有しておくだけで、意識は変わります。年度の初めに使える枠の目安を伝え、四半期ごとに消費の状況を返す。この往復があると、現場も単価の上限を守る理由を理解できます。
よくある質問
1万円を少しでも超えたらどうなりますか
その飲食の費用は除外の対象にならず、交際費等として扱われます。超えた分だけが対象外になるのではなく、その支出の全額が対象外になる点に注意してください。1人当たり1万100円になった場合、全額が交際費等として枠を消費することになります。
参加した相手の氏名は全員分を書く必要がありますか
記載が求められているのは、参加した取引先などの氏名または名称と、自社との関係です。人数が多い場合の書き方については実務上の取り扱いがあるため、自社の規模と会の性格に合わせて税理士と相談して様式を決めるのが確実です。少なくとも、参加した会社名と人数は必ず残してください。
オンラインの懇親会の飲食代はどう扱いますか
参加者それぞれに飲食物を送る形の場合、接待としての性格や1人当たりの金額の考え方について従来と異なる整理が必要になることがあります。取り扱いが定まっていない部分もあるため、実施する前に税理士に確認し、記録の残し方まで含めて決めておいてください。
まとめ
懇親会の費用は、参加者の顔ぶれと1人当たりの金額、そして記録の有無で扱いが決まります。2024年4月1日以後の支出から基準が1万円に引き上げられており、5,000円の内規のまま運用している会社は見直す価値があります。一方、自社の役員や従業員だけの飲食は金額にかかわらずこの除外の対象になりません。実務では、会の前に参加者を確定し、当日に実数を数え、会計を性格ごとに分け、その日のうちに記録を残す。この4つを運営の手順に組み込んでください。個別の判断は、必ず顧問の税理士に確認したうえで決めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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