Media > AI活用ユースケース > 営業 > 生地の卸がアパレルの客からメールで届く見本(スワッチ)の請求を Zapier で受け、品番・色・送り先を抜き出して発送の表に1色ずつ入れる

生地の卸がアパレルの客からメールで届く見本(スワッチ)の請求を Zapier で受け、品番・色・送り先を抜き出して発送の表に1色ずつ入れる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

アパレルの客から届く見本の請求メールを Zapier で受け、品番と色番を1色ずつに分けて、見本の種類・枚数・送り先と一緒に発送の表へ入れます。営業事務は、本文を読み写す作業から、表を見て発送するかを決める作業に移ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
商社/小売/製造
対象部門
営業
対象業務
データ入力・転記/内容確認・チェック
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/確認ミスが多い
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
48h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
67%
年間削減
384h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 営業事務が、見本の請求用のアドレスに届いたメールを開く
  2. 本文から品番と色番を拾い、1色ずつ発送の表に写す
  3. 見本の種類と枚数、必要な日を読み、同じ行に書く
  4. 署名や本文から会社名・部署・担当・郵便番号・住所・電話を拾い、行ごとに写す
  5. 品番の台帳を開き、品番があるか、廃番でないか、見本が残っているかを1色ずつ見る
  6. 書き違い・廃番・種類の書き漏れがあれば、客に聞き返すメールを書く
  7. そろった行を発送の係に回し、宅配便の送り状を出す
導入後(After)
  1. 自動見本の請求用のアドレスに届いたメールに、Gmail のフィルタでラベルを付ける
  2. 自動ラベルの付いたメールで Zap が動き、送り主のアドレスで顧客の一覧を引く
  3. 自動AI by Zapier が本文と署名を読み、品番と色番を1色ずつに分けて写し取る
  4. 自動発送の表に、色の数だけ行を足す
  5. 自動表の式が、品番を整えて台帳と照らし、廃番・見本切れ・品番の不一致を出す
  6. 自動確かめの要る行がある請求は、聞き返しの下書きを Gmail に作る
  7. 人営業事務が、発送の表の「確認」の列が立った行だけを見て、下書きを直して送る
  8. 人営業事務が、送り先の出どころが本文以外の行を確かめる
  9. 人発送の係が、「発送可」の行を見本の種類ごとにまとめて用意し、送り状を出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 営業事務が、見本の請求用のアドレスに届いたメールを開く
  2. 本文から品番と色番を拾い、1色ずつ発送の表に写す
  3. 見本の種類と枚数、必要な日を読み、同じ行に書く
  4. 署名や本文から会社名・部署・担当・郵便番号・住所・電話を拾い、行ごとに写す
  5. 品番の台帳を開き、品番があるか、廃番でないか、見本が残っているかを1色ずつ見る
  6. 書き違い・廃番・種類の書き漏れがあれば、客に聞き返すメールを書く
  7. そろった行を発送の係に回し、宅配便の送り状を出す

(a)1通が何行にもなる。 1通に品番が3つ、色が合わせて8つ並んでいれば、8行です。送り先は8行とも同じなのに、行ごとに写すため、写し間違えた1行だけが別の住所になることがあります。

(b)書き違いは、台帳を見ないと分からない。 「TX2041」「TX-2O41」(数字のゼロではなく英字のオー)「tx-2041」。目で見ると同じに見え、台帳で引くと当たりません。 忙しい時期には5番を省き、廃番の色を「在庫なし」の連絡もしないまま放置することがあります。

(c)送り先が署名に埋もれる。 本文には品番しか書かれず、送り先は署名の中、それも本社と企画室の2つが並んでいることがあります。どちらに送るかを決めずに写すと、見本が本社の受付に届いて企画の担当まで回りません。

(d)展示会の前後に集中する。 普段は1日に数通でも、展示会の直後は1日に20通を超えます。2名で写していると、届いてから発送までが3日、4日と延び、企画の締め切りに間に合わなくなります。

  1. 【自動】 見本の請求用のアドレスに届いたメールに、Gmail のフィルタでラベルを付ける
  2. 【自動】 ラベルの付いたメールで Zap が動き、送り主のアドレスで顧客の一覧を引く
  3. 【自動】 AI by Zapier が本文と署名を読み、品番と色番を1色ずつに分けて写し取る
  4. 【自動】 発送の表に、色の数だけ行を足す
  5. 【自動】 表の式が、品番を整えて台帳と照らし、廃番・見本切れ・品番の不一致を出す
  6. 【自動】 確かめの要る行がある請求は、聞き返しの下書きを Gmail に作る
  7. 【人】 営業事務が、発送の表の「確認」の列が立った行だけを見て、下書きを直して送る
  8. 【人】 営業事務が、送り先の出どころが本文以外の行を確かめる
  9. 【人】 発送の係が、「発送可」の行を見本の種類ごとにまとめて用意し、送り状を出す

7番目と8番目が、人の残る場所です。 全行を見直すのではなく、表の式とAIが「確認」を立てた行だけを見ます。 全行を読み直す運用にすると、写す作業が読み直す作業に置き換わるだけで、時間はほとんど減りません。

6番目は下書きまでです。 聞き返しは客とのやり取りで、品番の候補を挙げるか、廃番の代わりに別の生地を勧めるかは営業の判断です。Zap がメールを送ることはしません。

02今回想定するシステム構成

構成図
客(見本の請求メール)
   ▼ 見本の請求用のアドレス(Gmail)
   │  フィルタでラベル「見本請求」を付ける
   ▼【トリガー】Gmail(New Labeled Email)
Zapier(Zap)
   ├──▶ Google Sheets … 送り主のアドレスで顧客の一覧を引く
   ▼
AI by Zapier ── 1色ずつに分けて写し取る(リストで返す)
   ▼
Google Sheets ── 発送の表に色の数だけ行を足す(Create Multiple Spreadsheet Rows)
   │              式が品番を整え、台帳と照らして判定の列を出す
   ▼
Paths ── 確かめの要る行がある → 聞き返しの下書き(Gmail の Create Draft Reply)
     └── すべて照合できた → 何もしない(発送の表に並ぶ)
   ▼
【営業事務が「確認」の行だけ見る → 発送の係が用意する】
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Gmail、Google Sheets、Paths)Make、n8n、Power Automate
生成AIAI by Zapier(リストで返す抜き出し)ChatGPT(OpenAI)、Claude
集計Google スプレッドシート(発送の表・品番の台帳・顧客の一覧)Zapier Tables
メールGmail(見本の請求用の共有のアドレス)Outlook

新しく足すのは Zap と、発送の表の判定の列だけです。 品番の台帳と顧客の一覧はいまあるスプレッドシートをそのまま使い、Zap は台帳に書き込みません。

入口は Gmail の New Labeled Email です。 Zapier の Gmail の連携の一覧では、メールにラベルが付いたときに動き、会話に返信が加わったときにも動くとされています。客が同じスレッドで「追加で KN810 の 05 も」と返してきたときにも Zap が動くので、返信のメールは追加の請求として扱い、元の請求の行は書き換えません。

AIは AI by Zapier です。 公式のヘルプでは、出力の項目を名前・型・説明・必須かどうかで決められ、詳細設定の「Return a list of results」を有効にすると、1つのオブジェクトではなくオブジェクトの配列で返すとされています。1通の請求を、色の数だけの行にするのに使います。

提供元は OpenAI・Anthropic・Google Gemini・Azure OpenAI・Amazon Bedrock(自社の鍵を持ち込む場合)から選べます。 モデルの区分には Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍)のタスクの消費があり、新しく足したステップの既定は Premium です。 写し取るだけの用途なので、まず Standard で試し、取りこぼしが多いときだけ上げます。AI by Zapier のステップを含む Zap は、Professional 以上のプランでないと公開できません。

行の足し方は、Google Sheets の Create Multiple Spreadsheet Rows です。 明細(line item)に対応し、1回のステップで1行以上を足せるとされています。顧客の一覧は Lookup Spreadsheet Row で引きます。列と値で行を探し、見つかれば行全体を返すアクションです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

見本の請求用のアドレスに届いたメールに、Gmail のフィルタでラベル「見本請求」を付け、そのラベルで Zap を動かします。 送り先のアドレスで絞るフィルタにしておけば、営業の個人のアドレスに混ざって届く請求は拾いません。個人のアドレスに届いたものは、営業が見本の請求用のアドレスに転送する決まりにします。

ラベルを起点にするのは、人が手で付け直せるからです。 迷惑メールのフォルダに入っていた請求も、営業事務がラベルを付ければ同じ経路に乗ります。

返信でも Zap が動くことを前提にします。 同じスレッドへの返信は、追加の請求か、聞き返しへの答えか、お礼のどれかです。AIに「このメールに新しい請求が書かれているか」を判定させ、書かれていなければ行を足しません。 聞き返しへの答え(「07 ではなく 09 でした」)は、元の行を直すのではなく、答えの内容を新しい行として足し、元の行には人が「取消」を付けます。

処理が終わったメールには、Zap の最後で「見本請求済」のラベルを足します。 Gmail の Add Label to Email のアクションで付けられます。「見本請求」が付いていて「見本請求済」が付いていないメールが、まだ表に入っていない請求です。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
請求のメール件名、本文、送り主の名前とアドレス、受信の日時、スレッドのIDGmail
顧客の一覧送り主のアドレスのドメイン、会社名、担当の営業、登録済みの送り先、過去の請求の数Google スプレッドシート
品番の台帳品番、色番、品名、廃番かどうか、見本の種類ごとの残りの数、代わりの品番Google スプレッドシート
品番の書き方の対応表旧品番と新品番、客がよく使う略し方(例:「T2041」→「TX-2041」)Google スプレッドシート

AIに渡すのは、上の2つだけです。 メールと、顧客の一覧から引いた会社名と登録済みの送り先。品番の台帳はAIに渡しません。 台帳を渡すと、書き違えた品番をいちばん近い実在の品番に直して返すようになり、書き違いを見つける機会がなくなります。 台帳との照らし合わせは、行を足した後に表の式で行います。

品番の書き方の対応表は、表の式で使います。 品番を改めたときの旧品番と、客がよく使う略し方の一覧です。AIに覚えさせるのではなく、表の式が引く表として持ちます。 対応表に足すのは営業事務の仕事で、足した内容は次の請求から効きます。

Step3

データの取得方法を決める

メールは、トリガーの出力に件名・本文・送り主・スレッドのIDが入ってきます。 本文はテキストの版を使います。HTMLの版を渡すと、署名の表組みや画像の代わりの文字がまざり、送り先の行が崩れます。

顧客の一覧は、送り主のアドレスのドメインで Lookup Spreadsheet Row を使って引きます。 前段で Formatter の Text の Split Text を区切りの文字「@」・Segment Index「Last」で使い、ドメインだけを取り出します。同じ会社から担当が替わって届いても、ドメインで当たります。 フリーメールのアドレスで届いた場合は当たらないので、当たらなかったことを「顧客未登録」としてAIに渡します。

取るものどこから何に使うか
件名・本文(テキスト)Gmail のトリガー品番・色番・種類・枚数・送り先の写し取り
送り主の名前とアドレスGmail のトリガー顧客の一覧の照合、送り先の担当の候補
スレッドのIDGmail のトリガー返信の判定、聞き返しの下書きの返信先
会社名・登録済みの送り先顧客の一覧(Lookup Spreadsheet Row)「いつもの所」のときの送り先の候補

登録済みの送り先は、候補として渡すだけです。 本文に送り先が書かれていればそちらを使い、書かれていないときだけ登録済みの送り先を入れて、出どころを「顧客の一覧」と記録します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 引用の部分を外す … 返信のメールでは、過去のやり取りが引用として本文の下に続きます。Split Text を自社のメールの引用の見出しの文字列で区切り、Segment Index「First」で前だけを残します。引用を残すと、前回の請求の品番をもう一度行にします
  2. 全角と半角をそろえない … 品番の「TX-2041」は、AIに渡す前には直しません。 書かれたとおりを残し、そろえるのは表の式の側で行います
  3. 添付を確かめる … 前の季節の見本帳を撮った写真や、品番を並べた表計算のファイルが付いてくることがあります。添付がある請求は、本文の写し取りに加えて「添付あり」の印を付け、営業事務が添付を開きます
  4. 送り主が自社のアドレスでないかを見る … 営業が転送したメールは、送り主が自社です。本文の転送の部分から元の送り主を取り出し、そのアドレスで顧客の一覧を引き直します

2番目が直感に反するところです。 そろえてから渡したほうがAIは読みやすいのですが、そろえる処理で「O」と「0」まで直してしまうと、書き違いが消えます。 品番の照合は表の式で行い、そろえ方の規則はそこに1か所で持ちます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、1通の請求を1色ずつに分け、書かれていることを書かれたとおりに写し取ることです。

写し取るもの写し方書かれていないとき
品番書かれた文字列のまま空にして needs_check
色番書かれた文字列のまま。「全色」は1行にして all_colors空にして needs_check
見本の種類カット/ハンガー/A4台紙/小切り のどれかunknown にして needs_check
枚数数字。書かれていなければ空空(表の式が既定の1を入れる)
必要な日書かれた文字列のまま(「来週中」「展示会前」も)空
送り先会社名・部署・担当・郵便番号・住所・電話登録済みの送り先を入れ、出どころを記録
送り先の出どころ本文/署名/顧客の一覧/不明unknown
新しい請求か返信のメールで、新しく請求が書かれているかfalse(行を足さない)

品番と色番の組み立てが、いちばん手のかかるところです。 「TX-2041 の 03、07」は2行、「TX-2041 03/KN810 12」は2行、「TX-2041 と KN810 の 12」はどちらも 12 なのかが曖昧です。曖昧なものは、どちらかに決めずに needs_check を立て、理由を短く書かせます。

させないこと理由
品番を直す・補う書き違いを見つける機会がなくなる。照らすのは表の式
廃番・在庫の判断台帳を見て決めるのは表の式と営業事務
送り先の住所を補う郵便番号から町名を足す、番地を推測するとそのまま誤配になる
代わりの生地を提案する何を勧めるかは営業の判断
客への返信の送信下書きまで。送るのは人

3行目は、AIが親切のつもりでやりがちなことです。 住所を推測で埋めると、確かめるべき行が確かめなくてよい行に見えてしまいます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは生地の卸の営業事務として、見本(スワッチ)の請求メールを
発送の表の行に写し取る係です。メールに書かれていることだけを写してください。

【分け方】
- 1つの行は「1つの品番の1つの色」です。
  「TX-2041 の 03、07、12」は3行です。
- 「全色」「全色展開」と書かれていれば、色番を空にして all_colors を true にし、1行にしてください。
- どの色がどの品番のものか決められないときは、決めずに needs_check を true にし、
  check_reason に「色番の対応が曖昧」と書いてください。

【写し方】
- item_code と color_code は、書かれた文字列をそのまま写してください。
  ハイフンを足す、全角を半角にする、O を 0 に直すことをしないでください。
- swatch_type は cut/hanger/a4_board/small_piece/unknown から選んでください。
  「カット」「スワッチ」は cut、「ハンガー」は hanger、「台紙」「A4」は a4_board、
  「50cm」「小切り」は small_piece です。書かれていなければ unknown です。
- quantity は数字だけ。書かれていなければ null です。
- needed_by は書かれた言葉のまま写してください。日付に直さないでください。

【送り先】
- 本文に送り先が書かれていれば、それを使い ship_to_source を body にしてください。
- 本文に無く署名にあれば signature にしてください。署名に住所が2つあれば、
  どちらか決めずに needs_check を true にしてください。
- 本文にも署名にも無く、下の【登録済みの送り先】があればそれを入れ、
  ship_to_source を customer_list にしてください。
- 郵便番号・住所・電話は書かれたとおりに写し、足りない部分を補わないでください。
  記載がなければ空にしてください。

【返信のメール】
- 引用の部分は読まないでください。
- 新しい品番・色の請求が書かれていなければ is_new_request を false にし、行を返さないでください。

【しないこと】
- 品番が正しいか、廃番か、在庫があるかを判断しないでください。
- 代わりの生地を提案しないでください。

【メール】件名:{subject}
送り主:{from_name} <{from_email}>
本文:{body_plain}
【顧客の一覧の照合】{customer_name}(未登録なら「顧客未登録」)
【登録済みの送り先】{registered_ship_to}

「O を 0 に直さない」まで書くのは、書かないと直すからです。 AIは品番らしい文字列を見ると、品番らしい形に整えて返します。整えた結果が台帳にある品番と一致してしまうと、書き違いだったことに誰も気づきません。 別の色が届いて初めて分かります。

Step7

出力形式を固定する

AI by Zapier の出力の項目を次のように決め、「Return a list of results」を有効にします。 1色が1つのオブジェクトになり、配列で返ります。

[
  {
    "is_new_request": true,
    "item_code": "TX-2041",
    "color_code": "07",
    "all_colors": false,
    "swatch_type": "hanger",
    "quantity": null,
    "needed_by": "来週の企画会議まで",
    "ship_company": "株式会社〇〇アパレル",
    "ship_dept": "企画室",
    "ship_person": "山田",
    "ship_postal": "150-0000",
    "ship_address": "東京都渋谷区〇〇1-2-3 〇〇ビル5F",
    "ship_phone": "03-0000-0000",
    "ship_to_source": "signature",
    "needs_check": false,
    "check_reason": ""
  }
]

JSONにするのは、項目ごとに表の列へ入れるためです。 自由文で返されると、送り先の会社名と部署の区切りが毎回変わり、表の列に入りません。

発送の表は、AIが埋める列と、式が出す列を分けます。

列埋めるもの中身
受信日時・メールのID・スレッドのIDZapメールとの対応
品番(原文)・色番(原文)〜送り先の出どころAI by Zapier上のJSONをそのまま
品番(整形)表の式全角を半角、小文字を大文字、対応表で旧品番を新品番に
台帳の照合表の式一致/品番なし/色番なし/廃番
見本の残り表の式種類ごとの残りの数。0なら 見本切れ
確認表の式AIの needs_check、照合が一致以外、出どころが本文以外、のどれかで立つ
発送の可否・担当・送り状の番号人営業事務と発送の係

「O」と「0」の取り違えは、整形では直しません。 整形した品番が台帳に無いときに、「O を 0 にすると一致する品番がある」ことを別の列に出すだけにします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
GmailNew Labeled Email(トリガー)ラベル「見本請求」の付いたメールで動く
顧客の一覧Lookup Spreadsheet Row送り主のドメインで会社名と登録済みの送り先を引く
AI by ZapierZap のステップ1色ずつの写し取り(リストで返す)
発送の表Create Multiple Spreadsheet Rows色の数だけ行を足す
発送の表Lookup Spreadsheet Row足した行の「確認」の列を読み直す
GmailPaths の中で Create Draft Reply確かめの要る請求の聞き返しの下書き
GmailAdd Label to Email処理済みのラベルを付ける

Paths の分け方は、表の式の結果で決めます。 行を足した直後に、そのメールのIDで発送の表を引き直し、「確認」の立った行があるかを見ます。確認の行があれば、聞き返しの下書きを作る道へ、無ければ何もしない道へ進みます。 公式のヘルプでは、Paths は最大10本の道を持て、Paths と Filter のステップそのものはタスクを使わず、動いた道の中のステップだけが数えられるとされています。Paths も Professional 以上のプランです。

聞き返しの下書きは、AI by Zapier にもう1回書かせます。 渡すのは確認の行の品番(原文)・色番(原文)と、表の式が出した照合の結果だけです。「TX-2O41 は弊社の品番に見当たりません。TX-2041 のことでしょうか」のような、確かめたいことだけを並べた短い文面にさせます。 代わりの生地の提案は書かせず、営業事務か営業が足します。

品番の台帳には書き込みません。 見本の残りの数を減らすのは、発送の係が実際に見本を取り出したときです。Zap が請求のたびに減らすと、聞き返して取り消した請求の分まで減ります。

Step9

人が確認する

営業事務が見るのは、「確認」の列が立った行と、送り先の出どころが本文以外の行です。 「確認」の立っていない行は、発送の係が直接用意します。

  1. 聞き返しの下書きを直して送る … 品番の書き違いの候補を出すか、廃番の代わりを勧めるかを決めます。送るのは営業事務か営業です
  2. 送り先の出どころが signature や customer_list の行を確かめる … 署名の住所が企画室か本社か、登録済みの送り先が今も正しいかを見ます
  3. 添付ありの請求を開く … 写真や表計算のファイルに品番が書かれていれば、行を足します
  4. 見本切れの行を営業に知らせる … ハンガーが出払っているときに、カットで代えるか、補充を待つかは営業が決めます

2番目を省かないでください。 品番の誤りは送り直せば済みますが、企画中の生地の見本が他社に届くと取り返しがつきません。

「確認」の行の想定は全体の2割から3割です。 それより多い月は、対応表に足すべき略し方が溜まっています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
品番が台帳に無い「品番なし」。整形で一致する候補があれば別の列に出し、聞き返しの下書きに入れる
廃番の色が請求された「廃番」。代わりの品番が台帳にあれば列に出すが、勧めるかは営業が決める
見本が出払っている「見本切れ」。営業に知らせ、種類を替えるか補充を待つかを決める
「全色」と書かれている1行で返り、表の式が台帳から色の数を出す。行に展開するのは営業事務が確かめてから
送り先が書かれていない・顧客未登録出どころが unknown。聞き返しの下書きで送り先を尋ねる
返信に新しい請求が無い行を足さない。処理済みのラベルだけ付ける
同じ請求が二度届く同じ送り主・品番・色番の行が直近7日にあれば、表の式で「重複の疑い」を立てる
送り主が競合の会社・個人と思われる顧客未登録のものは、営業事務が見てから発送する
AI by Zapier のステップが失敗するZap の実行の履歴に残る。処理済みのラベルが付かないので、ラベルで拾い直せる

「全色」をすぐに行に展開しないのは、色の数が多いからです。 1品番に30色あれば30行になり、ハンガー見本1本で済む請求を、カットスワッチ30枚として用意してしまいます。 「全色」は、見本の種類と合わせて営業事務が読みます。

Step11

記録を残す

  • 元のメールのIDとスレッドのID(発送の表の各行に残す)
  • AI by Zapier が返したJSON(Zap の実行の履歴と、発送の表の原文の列)
  • 表の式が出した照合の結果と、そのときの「品番(整形)」
  • 人が直した内容 … 品番を書き換えた、送り先を替えた、行を取り消した、を別の列に残す
  • 聞き返しの下書きを作った日時と、送った日時
  • 発送の日・送り状の番号

4つ目の「人が直した内容」が、対応表を育てる材料になります。 同じ書き違いを何度も直しているなら、その略し方を品番の書き方の対応表に足します。直した内容を原文の列に上書きしないでください。 原文が消えると、何を直したのかが追えなくなります。

04実装レベルの3段階

最小構成:手元のAIサービスにメールを貼り、行の形で返させる / 1通ごとの写し取り
半自動化:Zapier でラベルの付いたメールを受け、AI by Zapier が写し取り、発送の表に行を足し、式が台帳と照らす / 写し取り・転記・台帳の照合・聞き返しの下書き
本格構成:上記+発送の係が「発送可」の行から送り状の発行のデータを作り、見本の残りの数を発送の記録から減らす / 送り状のデータと見本の在庫の管理まで

本記事の想定は半自動化です。 写す・照らす・下書きを作るまでを Zap に任せ、発送の可否と送り先の確かめは人に残します。 本格構成で増えるのは、発送の後の作業です。 送り状の発行の画面への取り込みと、見本の残りの数の管理です。どちらも誤ると客に届かない・在庫がずれる作業なので、半自動化で「確認」の割合が落ち着いてから足してください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
6 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  480件 × 6分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 480件 × 2分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
32h
削減率
67%
年間削減時間
384h
年間金額換算(時間単価2,800円)
108万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. アパレルのデザイナー・企画・生産の担当から、見本の請求をメールで受けている生地の卸・テキスタイルの商社・機屋。1通に複数の品番と色番が並び、営業事務が本文と署名を読んで発送の表に1色ずつ写している場合。展示会や企画の時期に請求が重なり、書き違いの品番や廃番の色に気づかないまま発送してしまうことがある場合。品番の台帳をスプレッドシートで持っている場合。
向いていない
  1. 見本の請求をすでに自社の Web の注文画面で受け、品番と色が選択式になっている場合。請求が月に数十件で、営業事務が目で追える場合。反物の切り売りや有償の見本が中心で、価格や数量の交渉が要る場合。なお、どの客に見本を出すか、廃番の代わりにどの生地を勧めるかの判断は営業が行うもので、この構成は代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の見本の請求メールから20通を選ぶ(品番が多く並ぶもの、署名に住所が2つあるもの、返信で追加されたものを混ぜる)
  2. その20通から、当時営業事務が発送の表に写した行を書き出しておく
  3. 手元のAIサービスの画面に、第7章の指示文と1通の本文を貼り付ける
  4. 返ってきた行を、当時の発送の表と突き合わせる
  5. 品番を直して返していないか、送り先を補っていないかを見る

見るのは、行の数と、品番の原文です。 行の数が当時と合っていれば、1色ずつに分けることはできています。品番を整えて返していたら、指示文の書き方を直します。

出てきた内容判断
行の数と品番・色番が当時と合うZap の組み立てに進む
品番を整えて返す、住所を補う指示文に禁止を足せば直る。構成は有効
色番の対応が曖昧なものを決めてしまうneeds_check の書き方を強める
送り先の取り違えが多い署名の住所の書き方が客ごとに違う。顧客の一覧の登録済みの送り先を整える

品番の台帳との照らし合わせは、この段階では人がやります。 最小構成で確かめたいのは、写し取りが当時の人の写しと同じになるかだけです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが品番を整えて返す「書かれたとおり」「O を 0 に直さない」を指示に明記する。整えるのは表の式
引用の部分の品番がもう一度行になる前処理で引用より前だけを残す
返信のたびに行が増えるis_new_request で新しい請求が無ければ行を足さない
署名の住所が2つある決めさせずに確認を立てる。顧客の一覧の登録済みの送り先を正にする
「全色」が30行に展開される1行で返させ、展開は人が確かめてから
郵便番号から住所を補ってしまう補わないことを指示に明記し、空のまま確認を立てる
既定の Premium でタスクが早く尽きるStandard から試し、取りこぼしが多いときだけ上げる
Free のプランで Zap を公開できないAI by Zapier を含む Zap は Professional 以上
転送されたメールで顧客が当たらない転送の部分から元の送り主を取り出して引き直す
見本の残りの数がずれるZap では減らさない。減らすのは発送の記録から

上の2行が、運用に乗るかどうかを分けます。 品番を整えて返されると、書き違いが見えなくなり、引用の品番が行になると、同じ見本が二度届きます。どちらも、出てきた行の数と品番の原文を見れば最初の週に分かります。

下の2行は、始めて1か月ほどで効いてきます。 タスクの消費は請求の多い月に急に増えます。展示会の前に、その月の通数で消費を見積もっておいてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 客の会社名・部署・担当の名前・会社の住所と電話、そして企画中の生地の品番です。個人の住所は通常含みませんが、在宅の勤務の担当が自宅を送り先に書いてくることがあります。

  1. 企画中の品番は、客にとっての営業秘密に近い … どの客がどの生地を検討しているかは、競合の客に知られたくない情報です。発送の表の閲覧の範囲を、営業事務と発送の係と担当の営業に限ります
  2. AIの提供元の扱いを確かめる … AI by Zapier は提供元を選べ、自社の鍵を持ち込む方式もあります。入力したデータが学習に使われるかどうかは、提供元とプランの条件で確かめてから決めてください
  3. 自宅の住所が来たら扱いを変える … 担当の自宅は個人情報です。送り先の出どころが本文で、住所が会社のものと違うときは、発送の後に表から消すか、閲覧を絞る列に移します
  4. 送信は人が行う … 聞き返しの下書きは、送るかどうかを人が決めます。品番の候補の挙げ方ひとつで、客の企画の中身に触れることがあります
  5. 顧客未登録の請求は発送の前に見る … 競合の会社や転売の目的の請求が混ざることがあります。無償の見本でも、誰に出すかは営業が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、別の会社に見本が届くことと、書き違いの品番のまま別の生地が届くことの2つです。 前者は送り先の出どころの確かめで、後者は品番を原文のまま残して台帳と照らすことで防ぎます。どちらも、AIに補わせないという同じ方針から来ています。

10まず何から始めるか

1週目:20通で写し取りを試す

先月の見本の請求メールから20通を選び、第7章の指示文で手元のAIサービスに写し取らせます。当時の発送の表と行の数・品番の原文を突き合わせ、品番を整えて返していないかを最優先で見ます。

2週目:発送の表に判定の列を足す

品番を整える式と、台帳との照合の式を書きます。品番の書き方の対応表に、旧品番と、客がよく使う略し方を10個から20個入れます。 20通の写し取りの結果を貼り付け、照合の列が当時の営業事務の判断と合うかを見ます。

3週目:Zap をつなぐ

Gmail のフィルタでラベルを付け、New Labeled Email で Zap を動かし、AI by Zapier から Create Multiple Spreadsheet Rows までをつなぎます。この時点では聞き返しの下書きを作らず、行が正しく足されるかだけを見ます。

4週目:Paths と下書きを足す

確認の行がある請求に聞き返しの下書きを作る道を足し、処理済みのラベルを付けます。営業事務が下書きをどれだけ直したかを数えます。

2か月目以降: 人が直した内容から対応表を育て、確認の行の割合が2割から3割に落ち着くかを見ます。展示会の直後の月に、届いてから発送までの日数が縮んだかを測った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-29/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
Gmail の New Labeled Email がラベルの付いたときと、会話に返信が加わったときに動くこと。New Email Matching Search が検索の条件で動くこと。Create Draft Reply・Add Label to Email のアクションがあることZapier: Gmail integrations2026-10-29
AI by Zapier の出力の項目を名前・型・説明・必須で決められること。「Return a list of results」でオブジェクトの配列で返すこと。提供元に OpenAI・Anthropic・Google Gemini・Azure OpenAI・Amazon Bedrock(自社の鍵)があること。Standard が1倍・Advanced が3倍・Premium が5倍のタスクで、新しいステップの既定が Premium であること。Professional・Team・Enterprise で使え、Free では公開できないことZapier Help: AI by Zapier2026-10-29
Google Sheets の Create Multiple Spreadsheet Rows が明細(line item)に対応して1行以上を足せること。Lookup Spreadsheet Row が列と値で行を探し、行全体を返すことZapier: Google Sheets integrations2026-10-29
Formatter の Text の Split Text が区切りの文字で分け、Segment Index で First・Last などを選べること。Professional 以上で使えることZapier Help: Use Formatter to split text2026-10-29
Paths の1つのグループが最大10本の道を持てること。Paths と Filter のステップがタスクを使わず、動いた道の中のアクションだけが数えられること。Free では使えず Professional 以上であることZapier Help: Paths2026-10-29

見本の種類(カット・ハンガー・A4台紙・小切り)、品番の付け方、確認の行の割合は本記事の例です。 実際には自社の見本の扱いと品番の規則に合わせて置き換えてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-2282)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次