観光船の事業者が、フォームとメールで届く貸切・団体の問い合わせから日時・人数・航路を Zapier で抜き出し、運航表の空きを添えた返信の下書きを作る
観光船に Web フォームとメールで届く貸切・団体の問い合わせから、希望日・時間帯・人数・航路・貸切か団体かを抜き出します。空きは運航表の式で確かめ、空きと代わりの便を添えた返信の下書きを窓口に渡します。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- その他/宿泊/飲食
- 対象部門
- カスタマーサポート
- 対象業務
- データ入力・転記/問い合わせ対応
- 主な課題
- 入力作業が多い/問い合わせが多い/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 抽出
- 主な効果
- 対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 窓口がメールとフォームの通知を開き、問い合わせを読む
- 貸切か、定期便への団体かを判断する。書かれていなければ人数と文の調子から推す
- 第1〜第3希望の日付と時間帯、人数、航路を読み取る。「来月の第2土曜」は暦を見て日付に直す
- 運航表または貸切枠の表を開き、希望日ごとに空きを確かめる
- 空きが無ければ、前後の便や別の日を探す
- 返信の文面を書く。空き、代わりの便、料金の目安、運航の条件を添える
- 問い合わせの一覧に、差出人・希望・返信の日を書く
- 自動フォームの送信、またはメールに「団体問い合わせ」のラベルが付いたことをきっかけに Zapier が動く
- 自動AI by Zapier が問い合わせから種類・希望日(3つまで)・時間帯・人数の下限と上限・航路の番号を抜き出す
- 自動抜き出した値をスプレッドシートの「問い合わせ」シートに1行で書き込む
- 自動シートの式が、運航表または貸切枠の表から、希望ごとの空きと代わりの便を出す
- 自動式の結果を読み、空きの状況で分岐して、返信の下書きを Gmail に作る
- 人窓口が下書きと「問い合わせ」シートの行を見比べ、日付・人数・航路を確かめて送る
- 人先方が仮押さえを望めば、窓口が貸切枠の表または運航表に仮押さえを入れる
各工程の詳しい説明を読む
- 窓口がメールとフォームの通知を開き、問い合わせを読む
- 貸切か、定期便への団体かを判断する。書かれていなければ人数と文の調子から推す
- 第1〜第3希望の日付と時間帯、人数、航路を読み取る。「来月の第2土曜」は暦を見て日付に直す
- 運航表または貸切枠の表を開き、希望日ごとに空きを確かめる
- 空きが無ければ、前後の便や別の日を探す
- 返信の文面を書く。空き、代わりの便、料金の目安、運航の条件を添える
- 問い合わせの一覧に、差出人・希望・返信の日を書く
(a)返信が翌日にずれる。 4番目と5番目は、希望が3つあれば3回、運航表を開き直します。窓口は電話と桟橋の受付も兼ねているので、メールは手の空いたときにまとめて読むことになり、返信が翌日にずれます。 旅行会社は複数の事業者に同時に問い合わせていることが多く、早く返した事業者に決まります。
(b)読み取りの誤りが当日に出る。 「40〜45名」を40名で見て空きありと返し、確定の段で45名と分かって席が足りない。「午後」を14時台の便と読んだが、先方は13時の便を考えていた。 問い合わせの段で誤った数字は、予約の段でそのまま引き継がれます。
(c)貸切と団体の取り違え。 「30名で乗りたい」は、貸切の相談か、定期便に30名でまとまって乗りたいのか、文面だけでは分かりません。貸切のつもりの団体に定期便の残席を返すと、話がかみ合わないまま1往復が無駄になります。
(d)問い合わせの一覧が埋まらない。 7番目は後回しになり、返信していない問い合わせがどれか、一覧からは分かりません。
- 【自動】 フォームの送信、またはメールに「団体問い合わせ」のラベルが付いたことをきっかけに Zapier が動く
- 【自動】 AI by Zapier が問い合わせから種類・希望日(3つまで)・時間帯・人数の下限と上限・航路の番号を抜き出す
- 【自動】 抜き出した値をスプレッドシートの「問い合わせ」シートに1行で書き込む
- 【自動】 シートの式が、運航表または貸切枠の表から、希望ごとの空きと代わりの便を出す
- 【自動】 式の結果を読み、空きの状況で分岐して、返信の下書きを Gmail に作る
- 【人】 窓口が下書きと「問い合わせ」シートの行を見比べ、日付・人数・航路を確かめて送る
- 【人】 先方が仮押さえを望めば、窓口が貸切枠の表または運航表に仮押さえを入れる
4番目が、この構成の要です。 空きを数えるのは表の式で、AIは関わりません。AIの誤りが起きても、それは「抜き出した値」の列に出るので、窓口は6番目で原文と見比べれば気づけます。
6番目で送信を人に残すのは、空きの案内が先方の手配を動かすからです。 旅行会社は返信を見てツアーの行程を組みます。誤った空きを自動で送ると、その行程が丸ごと組み直しになります。
02今回想定するシステム構成
Web フォーム(Zapier Forms) / メール(Gmail のラベル) ▼【トリガー】フォームの送信 / New Labeled Email Zapier ▼ AI by Zapier ── 種類・希望日・時間帯・人数・航路を抜き出す ▼ Google スプレッドシート「問い合わせ」シートに1行書き込む │ 式が運航表・貸切枠の表を引き、希望ごとの空きと代わりの便を出す ▼ Lookup Spreadsheet Row ── 式の結果を読む ▼ Paths(全希望に空き/一部に空き/空き無し/要確認) ▼ Gmail ── 返信の下書き(Create Draft) ▼ 【人】窓口が確かめて送信・仮押さえ
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Zapier Forms、Gmail、Paths、Filter) | Make、Power Automate、n8n |
| 生成AI | AI by Zapier(出力項目を定めた抜き出し) | Claude、ChatGPT(OpenAI) |
| 台帳 | Google スプレッドシート(運航表・貸切枠の表・問い合わせ) | Zapier Tables |
新しく入れるのは Zapier と、サイトのフォームの置き換えです。 Zapier Forms はすべてのプランで使え、リンクか埋め込みのコードでサイトに置けます。送信の後の動きとして「Run a Zap」を選ぶと、送信された内容が Zap に渡ります。いまのフォームを残したい場合は、フォームの通知メールを Gmail のラベルの経路に乗せれば同じ形で動きます。
AIの部分は AI by Zapier の1ステップです。 指示と、返してほしい出力項目(名前・型・説明・必須)を決めて置きます。AI by Zapier は Professional・Team・Enterprise のプランで使え、Free では使えません。 Paths も Free には含まれません。
運航表は、すでに表計算で持っている前提です。 列は「日付・便(出航時刻)・航路・船・定員・予約済・残席」で、残席は式で出します。貸切枠の表は「日付・枠・船・定員・状態(空き/仮押さえ/確定)」です。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
入口は2つで、Zap も2つ作ります。 フォームの送信で動く Zap と、Gmail のラベルで動く Zap です。2つ目以降のステップは同じ形にして、複製で作ります。
メールの側は Gmail の「New Labeled Email」を使います。 ラベルは、旅行会社のドメインと、件名の「貸切」「団体」などで Gmail のフィルタが付けます。フィルタに当たらなかった問い合わせは、窓口が手でラベルを付ければ同じ経路に乗ります。 このトリガーは同じ会話に返信が付いたときにも動くので、先方からの返事も流れてきます。 返事は新しい問い合わせとして扱わず、第7章の「例外処理」の手順で窓口に回します。
「New Email」や「New Email Matching Search」でも組めますが、検知の対象は直近1時間のメールに限られます。 Zapier が一時止まっていた後で取りこぼさないよう、ラベルの経路にします。
定時にまとめて動かす形にはしません。 第3章の(a)のとおり、この業務の価値は返信の早さにあります。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 問い合わせ | フォームの各欄、またはメールの差出人・件名・本文(引用と署名を除く)・受信日時 | Zapier Forms / Gmail |
| 受けた日 | 問い合わせを受けた日付と曜日 | トリガーの日時 |
| 航路の一覧 | 航路の番号・名前・所要時間・よく使われる呼び方 | スプレッドシート |
| 時間帯の決まり | 「午前」「昼」「午後」「夕方」が指す便の出航時刻の範囲 | スプレッドシート |
受けた日を渡すのは、AIに日付を計算させるためではありません。 「10月30日(金)」のように曜日付きで書かれた日付の年を決めるため、と、「来月の第2土曜」のような書き方が来たときに、それを日付にしないで原文で残す判断をさせるためです。
航路の一覧の「よく使われる呼び方」が、抜き出しの質を決めます。 先方は「島を回るやつ」「1時間のコース」「夕日の便」のように呼びます。一覧の番号から選ばせ、一覧に無い呼び方なら「不明」にさせます。
時間帯の決まりは、第3章の(b)を防ぐ表です。 「午後」が13時と15時の便のどちらを含むかを、事業者の側で先に決めておきます。AIに選ばせるのは「午後」という言葉までで、どの便が当たるかは表で決めます。
データの取得方法を決める
フォームは、送信の内容がそのまま Zap に渡ります。 メールは、トリガーが本文と差出人を渡します。
空きの確認は、Zapier が運航表を読むのではなく、表の側で計算させます。 流れは2段です。
| 段 | 操作 | 中身 |
|---|---|---|
| 書き込む | スプレッドシートの行の作成 | 「問い合わせ」シートに、問い合わせID と抜き出した値を1行で書く |
| 読む | Lookup Spreadsheet Row | 問い合わせID の列で同じ行を引き、式が出した結果の列を読む |
「問い合わせ」シートには、結果を出す式の列を先に用意しておきます。 たとえば「希望1の残席」は、運航表から日付・航路・時間帯の範囲が一致する便の残席を引く式、「希望1の判定」は人数の上限と残席を比べる式です。貸切なら、貸切枠の表から状態が「空き」で定員が人数の上限以上の枠を引きます。 代わりの便も、同じ日の前後の便から式で1つ選びます。
Lookup Spreadsheet Row は、列と値で1行を探し、見つかれば行全体を返します。 問い合わせID は1件ごとに一意なので、1行だけが返ります。
なぜ Zapier の側で運航表を読まないのか。 複数の行を返す操作(Lookup Spreadsheet Rows (Advanced))もあり最大500行まで取れますが、取った行のなかから条件に合う便を選ぶのは、ノーコードの部品では組みにくく、AIに任せたくなります。 表の式に置けば、窓口がいつでも開いて計算を確かめられます。
AIへ渡す前に整形する
- 自社からのメールを止める … 差出人が自社のドメインなら Filter で止めます
- 引用と署名を落とす … 返信の区切りの文字列から後ろを落とします。残すと、前のやり取りの希望日を新しい希望として拾います
- フォームの欄を文にそろえる … フォームの「希望日」「人数」「備考」を、欄の名前付きの1つの文にして渡します。備考に第2希望が書かれていることが多いので、欄ごとに別々に渡しません
- 受けた日と曜日を添える … トリガーの日時から作ります
- 航路の一覧と時間帯の決まりを文にする … 「1: 島めぐり60分(島を回る、1時間のコース)」のように番号付きで渡します
- 全角と漢数字を残したまま渡す … 「四十名」「45名」を前処理で数字に直そうとすると、「四十〜五十」のような幅の書き方を壊します。数字への直しは AI の抜き出しに任せ、出力の型を数字に決めておきます
3番目を軽く見ないでください。 フォームの「人数」の欄に「40」、備考に「最大45名になるかもしれません」と書かれるのは普通です。欄だけを渡すと40で計算され、第3章の(b)がそのまま起きます。
AIに処理させる
させるのは、問い合わせから次の項目を決まった形で抜き出すことだけです。
| 抜き出すもの | 形 | 書かれていないとき |
|---|---|---|
| 種類 | charter(貸切)/group(定期便の団体)/unknown | unknown |
| 希望日(3つまで) | YYYY-MM-DD。日付が明記されているものだけ | 空にして、原文を date_text に写す |
| 時間帯 | morning/noon/afternoon/evening/便の時刻(13:00)/any | any |
| 人数の下限・上限 | 数字。「40〜45」なら40と45、「約40」なら40と40 | 空 |
| 航路 | 航路の一覧の番号 | unknown |
| 先方の種別 | travel_agency/company/group/individual | unknown |
| 聞き返すこと | 決められなかった項目の一覧 | - |
人数を下限と上限に分けるのが、この表でいちばん効く点です。 空きの判定は上限で行い、返信の下書きにも「最大45名様として確認しました」と書きます。上限で見ておけば、確定の段で人数が増えても席が足りなくなりません。
種類の unknown は、遠慮なく出させます。 「30名で乗りたい」だけなら unknown にし、返信の下書きで「貸切と、定期便に団体でご乗船の2通りがございます」と両方の空きを案内します。AIに推させて片方だけを返すより、1往復が確実に減ります。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 空きの判断 | 表の式で決める。AIは運航表を見ない |
| 相対的な日付の計算 | 「来月の第2土曜」を日付にしない。受けた日の解釈で1週ずれる |
| 人数の丸め | 「40〜45」を「約42」にしない |
| 料金の計算 | 料金表と割引の決まりは窓口が当てる |
| 運航できるかの約束 | 運航は当日の気象と海の状態で決まる |
2行目が、いちばん起きやすい失敗です。 生成AIは「来月の第2土曜」を親切に計算して日付にします。月の境目や、受けた日が月末かで結果がずれ、ずれた日付の空きが返信に載ります。 日付にするのは、窓口が先方に確かめてからです。
指示内容を固定する
あなたは観光船の予約センターで、貸切と団体の問い合わせから
空きを確かめるのに必要な項目を抜き出す係です。
空きの判断、料金、運航できるかどうかは書きません。
【抜き出す項目】
- kind: charter(船を貸し切りたい) / group(定期便に団体で乗りたい) / unknown
- wishes: 希望を3つまで。各希望に date, date_text, time_slot を入れる
- date: 年月日が明記されているときだけ YYYY-MM-DD。
曜日だけ付いて年が無い日付は、【受けた日】以降で最も近い年にしてよい
- date_text: 問い合わせに書かれた日付の言葉をそのまま
- time_slot: morning / noon / afternoon / evening / 時刻(例 13:00) / any
- party_min, party_max: 人数の下限と上限(数字)
- route_no: 【航路の一覧】の番号。決められなければ "unknown"
- client_type: travel_agency / company / group / individual / unknown
- ask_back: 決められなかった項目の名前の一覧
【厳守事項】
- 「来月の第2土曜」「連休の初日」「再来週あたり」のような書き方を、日付に直さないでください。
date を空にし、date_text に原文を写し、ask_back に入れてください。
- 人数に幅があるときは、下限と上限に分けてください。丸めたり平均したりしないでください。
- 「30名で乗りたい」のように貸切か団体かが書かれていなければ、kind は unknown です。
- 航路の一覧に無い名前を作らないでください。
- 空いているか、乗れるか、料金はいくらかを書かないでください。
- 書かれていない項目を推測で埋めないでください。
【受けた日】{received_date}({weekday})
【航路の一覧】{routes}
【問い合わせ】{inquiry_text}
曜日付きの日付だけ年を決めてよいとしているのは、旅行会社の問い合わせのほとんどが「11/14(土)」の形だからです。 ここまで禁じると、ほぼすべての日付が ask_back に入り、聞き返しのメールばかりになります。年の補い方を「受けた日以降で最も近い年」と1つに決めたうえで、それ以外の推測を禁じます。
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力項目を次のように定めて受け取ります。
{
"kind": "group",
"wishes": [
{ "date": "2026-11-14", "date_text": "11/14(土)", "time_slot": "afternoon" },
{ "date": "", "date_text": "その翌週の土曜", "time_slot": "afternoon" }
],
"party_min": 40,
"party_max": 45,
"route_no": "1",
"client_type": "travel_agency",
"ask_back": ["wishes[1].date"]
}
1つ目の理由は、そのまま表の列に書き込めることです。 希望1〜3の日付・時間帯、人数の下限と上限、航路の番号が、「問い合わせ」シートの列に1対1で入ります。表の式はこの列を前提に組んであるので、形が崩れると式が空を返します。
2つ目は、date と date_text を両方残せることです。 窓口は返信の前に、AIが日付にしたものと原文を横に並べて見られます。
式が出した結果を読むと、次のような行になります。
| 列 | 例 |
|---|---|
| 希望1の判定 | available(13:00の便、残席52) |
| 希望2の判定 | needs_date(日付が決まっていない) |
| 代わりの便 | 11/14 15:00 の便、残席60 |
| 全体の判定 | partial |
全体の判定は all(全希望に空き)・partial(一部)・none(空き無し)・check(要確認)の4つで、これも式で出します。 check は、種類が unknown、航路が unknown、人数が空のいずれかです。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Zapier Forms | 送信の後の「Run a Zap」 | フォームの内容を Zap に渡す |
| Gmail | New Labeled Email | ラベルの付いた問い合わせを受け取る |
| AI by Zapier | Zap の中のステップ | 項目の抜き出し |
| 「問い合わせ」シート | 行の作成 → Lookup Spreadsheet Row | 値を書き、式の結果を読む |
| Gmail | Create Draft | 返信の下書きを窓口の受信箱に作る |
分岐は Paths で、全体の判定の4つの値で分けます。 1つのまとまりに分岐は10本まで置け、当たらなかったものは Fallback に流せます。Fallback は check と同じ扱いにし、「下書きを作らず窓口に知らせる」にします。 判定の値は文字の条件「Exactly matches」で見ます。文字の条件は大文字と小文字を区別しません。
| 分岐 | 下書きの中身 |
|---|---|
all | 希望ごとの便と残席、運航の条件、仮押さえの期限の案内 |
partial | 空きのある希望と、空きの無い希望の代わりの便 |
none | 代わりの便と、別の日の候補を問う一文 |
check・Fallback | 下書きを作らず、窓口への知らせと聞き返しの文案だけ |
返信の下書きの文面は、Zapier の側の定型の文に式の結果を差し込んで作ります。 AIに文面を書かせないのは、空きの数字を文の中で言い換えさせないためです。「残席52」が「50席ほど」になると、確定の段で話がずれます。
運航表と貸切枠の表には書き込みません。 仮押さえを入れるのは窓口です。
下書きは窓口の共有の受信箱に作ります。 3名のうち手の空いた人が開けるようにし、だれが送ったかは「問い合わせ」シートの担当の列に、送った人が自分で書きます。 同じ下書きを2人が送る事故は、この列を見る習慣で防ぎます。
人が確認する
下書きはすべて窓口が開いて送ります。 確かめるのは3つです。
- 日付 …
dateとdate_textを見比べ、年と曜日が合っているか - 人数 … 上限で判定されているか。備考の「増えるかも」を拾えているか
- 航路と種類 … 先方の呼び方が一覧のどの航路に当たったか、貸切か団体か
check の問い合わせは、窓口が原文を読んで手で返します。 その多くは「来月の第2土曜」のような日付と、貸切か団体かの不明です。聞き返しの文案だけは下書きに入れておくので、手で書く量は減ります。
仮押さえは窓口が表に入れます。 先方から「その便で押さえてください」と返事が来たら、運航表または貸切枠の表に、期限付きの仮押さえを書きます。
最初の2週間は、下書きとは別に窓口が自分でも運航表を開いて空きを確かめます。 式の判定と窓口の判断が食い違った件を数え、食い違いが無くなってから、運航表を開くのをやめます。 式の誤りは、窓口がいちばん早く気づきます。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 先方からの返事が同じ会話で届く | 「問い合わせ」シートに同じスレッドの行があれば、新しい問い合わせにせず窓口へ知らせる |
| 1通に複数の団体の問い合わせ | 旅行会社が複数のツアーをまとめて送ってくる。check にして窓口が分ける |
| 人数が船の定員を超える | 式の判定は none になる。2隻に分ける案内は窓口が判断する |
| 希望日が運航の期間外 | 運航表に行が無く、式が空を返す。check として窓口へ |
| 運航表が更新中で式がエラー | 結果の列が空なら check として扱う |
| AIのステップが失敗する | ラベルを「団体問い合わせ-未処理」に付け替え、窓口が朝と昼に見る |
| 個人の予約がフォームに来る | individual は定期便の予約サイトの案内の下書きにする |
| 同じ問い合わせがフォームとメールの両方で届く | 差出人と希望日が同じ行が直近にあれば、2件目は下書きを作らず窓口へ知らせる |
1行目の扱いが、運用の手間を左右します。 返事を新しい問い合わせとして流すと、「では13時で」という1行から人数も日付も取れず、check が積み上がります。スレッドの ID で前の行を探し、見つかれば窓口に知らせるだけにします。
記録を残す
- 「問い合わせ」シートの全行(受けた日時、経路、抜き出した値、式の結果、全体の判定)
- 窓口が直した記録 … 日付・人数・航路・種類を、何から何に変えたか
- 返信を送った日時と、受けてから送るまでの時間
- 仮押さえにつながったか、確定したか、断られたか
- 月ごとの、経路別・先方の種別・航路別の件数
2つ目は、航路の一覧の呼び方と時間帯の決まりを直す材料です。 「サンセット」が航路の unknown に何度も出るなら、一覧の呼び方に足します。
3つ目の「受けてから送るまでの時間」が、この構成の効き目を測る数字です。 第3章の(a)が減ったかどうかは、ここに出ます。
04実装レベルの3段階
本記事の想定は半自動化です。 窓口に残るのは、下書きの確認と送信、check の手での返信、仮押さえです。1件15分が6分になる見込みはこの段階のものです。 本格構成でも、運航表への書き込みは窓口の承認の後にします。 仮押さえの候補を作るところまでを自動にし、表に書くのは人です。運航表は桟橋の受付も見ている表で、誤った仮押さえは当日の乗船を止めます。 段階を飛ばさないでください。 最小構成の30件で、日付と人数の抜き出しの決まりを固めます。この決まりが固まらないまま式を組むと、式の側で例外を拾う列が増え続け、だれも式を読めなくなります。
05工数削減シミュレーション
導入後 240件 × 6分 ÷ 60 = 24 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 定期便と貸切の両方を運航し、旅行会社・企業・地域の団体から貸切と団体の問い合わせが月に数百件届く観光船・遊覧船の事業者。問い合わせの受付が Web フォームとメールに分かれ、窓口が運航表を開いて空きを確かめてから返信しているため、返信が翌日以降になりがちな場合。
- 予約のほぼすべてが予約サイトや予約システムの上で完結し、問い合わせのメールがほとんど無い場合。運航表を紙やホワイトボードで管理していて、表計算に移す予定が無い場合。空きの返事をそのまま予約の確定として扱いたい場合は、この構成では扱いません。
07最小構成で試す方法
- 先月の貸切・団体の問い合わせから30件を選ぶ(人数に幅のあるもの、「来月の第2土曜」のような書き方、貸切か団体か分からないものを必ず入れる)
- 航路の一覧と時間帯の決まりを文で用意する
- 手元の生成AI(ChatGPT、Claude、Gemini など)の画面に、第7章のプロンプトと1件ずつの問い合わせを貼り付ける
- 出てきた値を、当時窓口が読み取った値と突き合わせる
- 運航表の空きの確認は、これまでどおり手で行う
最小構成では、空きの式はまだ作りません。 確かめるのは、抜き出しが窓口の読み取りと同じになるかだけです。
当時の読み取りのほうが誤っていた、という件が出ることもあります。 備考の「最大45名」を当時の窓口が見落としていた、などです。その件は失敗ではなく、第3章の(b)が実際に起きていた証拠として数えておきます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 日付・人数・航路が当時の読み取りと合う | Zapier と表の式の組み立てに進む |
| 相対的な日付が日付に直されている | 指示の禁止を強め、例を足す |
| 人数の幅が1つの数に丸められる | 下限と上限の指示を明記する |
| 航路の呼び方が一覧に当たらない | 一覧の「よく使われる呼び方」を足す |
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 相対的な日付が日付に直される | 日付にしてよい書き方を1つに決め、それ以外を禁じる |
| 人数の幅が丸められる | 下限と上限に分け、判定は上限で行う |
| 貸切か団体かを推して片方だけ返す | unknown を許し、両方の空きを案内する |
| 備考の第2希望が落ちる | フォームの欄を1つの文にそろえて渡す |
| 先方の返事が新しい問い合わせになる | スレッドの ID で前の行を探す |
| 式の結果を読むときに空が返る | 空なら check として扱い、窓口へ |
| 下書きの空きの数字が丸められる | 文面をAIに書かせず、定型の文に差し込む |
| AIのステップの既定が Premium のまま | Standard に替えて試す |
| 「午後」の便が人によって違う | 時間帯の決まりを表にする |
| 運航の期間外の日付で式が空を返す | 期間外は check にし、運航期間を下書きの定型の文に入れる |
| 2隻に分ける案内が要る | 式では判定せず、窓口が判断する |
上の2行が、当日の桟橋の問題につながります。 日付と人数を誤ったまま空きを返すと、その数字が確定まで引き継がれます。どちらも「AIに決めさせない」ことで防ぎます。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 問い合わせた人の氏名・会社名・電話番号・メールアドレス、団体の人数と日程、旅行会社のツアーの企画の情報です。
- AIに渡す範囲を絞る … 抜き出しに電話番号やメールアドレスは要りません。フォームの連絡先の欄は AI のステップに渡さず、下書きの宛先にだけ使います
- 空きの案内を自動で送らない … 送信は窓口が行います。誤った空きは先方の行程を組み直させます
- 運航を約束する文を書かない … 運航は当日の気象と海の状態で決まります。下書きの定型の文に、運航の可否は当日判断であることを必ず入れます
- 旅行会社の企画を外に出さない … ツアーの日程や人数は先方の営業上の情報です。「問い合わせ」シートの共有は予約センターに限ります
- 個人の問い合わせは別の経路へ … 個人の予約は予約サイトで受けます。フォームに来た個人の情報は、下書きを作ったら行に残しすぎないようにし、保存の期間を決めます
- Zap を触れる人を絞る … Zap の設定と実行の記録には、問い合わせの本文が通ります。Zapier のアカウントで Zap を共有する相手を予約センターと管理者に限り、問い合わせの本文が社内の広い範囲に見えないようにします。 退職や異動のときに共有を外す手順も決めておきます
誤りが起きた場合のリスクは、空いていない便を空いていると案内することです。 空きの判断を表の式に置き、送信を人に残すのは、この1つを防ぐためです。
10まず何から始めるか
1週目:表を2つ作る
航路の一覧(番号・名前・よく使われる呼び方)と、時間帯の決まり(「午後」は13時と15時の便、など)を作ります。窓口3名で、問い合わせによく出る呼び方を出し合います。
2週目:30件で試す
先月の問い合わせから30件を選び、手元の生成AIで抜き出させます。相対的な日付が日付に直されていないか、人数の幅が丸められていないかを最優先で見ます。
3週目:「問い合わせ」シートと式を作る
抜き出した値の列と、運航表・貸切枠の表を引く式の列を作ります。2週目の30件の値を手で入れて、式の判定が窓口の判断と同じになるかを確かめます。
4週目:メールの経路から Zap を作る
Gmail のラベルから下書きの作成までを作ります。この時点では、窓口が自分で返信を書き、下書きと見比べるだけにします。
2か月目: 下書きを使って返信を始め、フォームの経路を足します。check の件数と、窓口が直した項目を毎週数えます。3か月目以降: 受けてから送るまでの時間と、1件15分が何分になったかを実測します。問い合わせの当日に空きの返信が出るのが普通になった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| AI by Zapier が指示と出力項目(名前・型・説明・必須)で動くこと。モデルの段階が Standard(1タスク)・Advanced(3タスク)・Premium(5タスク、新しいステップの既定)であること。Professional・Team・Enterprise で使え Free では使えないこと | Zapier: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-10-28 |
| Zapier Interfaces が Zapier Forms に改称されたこと。すべてのプランで使え、リンクか埋め込みのコードで共有できること。送信の後に「Run a Zap」で Zap に内容を渡せること | Zapier: Create forms in Zapier Forms | 2026-10-28 |
| Gmail の New Labeled Email がラベルが付いたときと会話に返信が付いたときに動くこと。New Email・New Email Matching Search の検知の対象が直近1時間であること。Create Draft の操作 | Zapier: How to get started with Gmail on Zapier | 2026-10-28 |
| Lookup Spreadsheet Row が列と値で1行を探し、行全体を返すこと。Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) が最大500行を返すこと | Zapier: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets | 2026-10-28 |
| Paths が1つのまとまりに最大10本の分岐と Fallback を置けること。Free に含まれないこと | Zapier: Add branching logic to Zap workflows with Paths | 2026-10-28 |
| 文字の条件(Exactly matches など)が大文字と小文字を区別しないこと | Zapier: Filter and path rules in Zaps | 2026-10-28 |
運航の可否と、気象・海の状態による欠航の基準は、各事業者の安全管理の決まりに従ってください。 本記事は Zapier の公開情報で確認できた範囲の構成を扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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