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バイク便の会社がメールで届く配送の依頼を Zapier で受け、集荷先・届け先・時間の指定・荷物を抜き出して配車表に1件ずつ入れ、急ぎと確認の要る依頼を配車係に知らせる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

バイク便の会社に届く配送の依頼メールを Zapier で受け、AIが本文から配送を1件ずつに分けて集荷先・届け先・時間の指定・荷物を抜き出し、配車表に行を足します。急ぎの依頼と確認の要る依頼は、配車係にすぐ知らせます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
その他/物流
対象部門
物流
対象業務
データ入力・転記/分類・仕分け
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/確認ミスが多い
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
120h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
75%
年間削減
1,080h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 受注用のアドレスに依頼メールが届く
  2. 配車係が本文を読み、送り主から顧客を特定する
  3. 配車表に、集荷先・届け先・連絡先・集荷の時刻・届ける期限・荷物・往復・受領の証明を写す
  4. 足りない情報があれば、顧客にメールか電話で聞き返す
  5. 急ぎの依頼なら、無線で近くのライダーを探す
  6. ライダーを割り当て、顧客に受付の返信をする
導入後(After)
  1. 【顧客】 受注用のアドレスに依頼メールを送る
  2. 自動受注用のアドレスから Email by Zapier のアドレスへ転送され、Zap が動く
  3. 自動送り主のアドレスで顧客の一覧を引き、顧客と請求先を特定する
  4. 自動AI by Zapier が、本文を配送1件ずつに分けて項目を抜き出す
  5. 自動配車表に配送の件数分の行を足す
  6. 自動配車表の式が、区域・料金の区分・種類(即配・時間指定・当日中)・バイクに積めるかを出す
  7. 自動急ぎの依頼と確認の要る依頼を、配車係に知らせる
  8. 人配車係が、知らせのあった依頼を先に見て、ライダーを割り当てる
  9. 人確認の要る依頼は、顧客に聞き返す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 受注用のアドレスに依頼メールが届く
  2. 配車係が本文を読み、送り主から顧客を特定する
  3. 配車表に、集荷先・届け先・連絡先・集荷の時刻・届ける期限・荷物・往復・受領の証明を写す
  4. 足りない情報があれば、顧客にメールか電話で聞き返す
  5. 急ぎの依頼なら、無線で近くのライダーを探す
  6. ライダーを割り当て、顧客に受付の返信をする

(a)写すのに時間がかかる。 1件の配送で、集荷先と届け先の住所・建物名・階・担当者・電話番号、時刻、荷物を写します。1件4分でも、1日90件なら6時間です。 電話の受注と無線の対応の合間に写すので、メールの処理は後回しになりがちです。

(b)1通に複数件の依頼で写し漏れる。 「A社とB社に同じ書類を1部ずつ」「集めたものを全部こちらに戻して」のような依頼は、配送が何件になるかを読み解く必要があります。1件分だけ写して残りを忘れると、届け先から「まだ来ない」と電話が来て初めて気づきます。

(c)急ぎの依頼に気づくのが遅れる。 メールは届いた順に処理されるので、30分後の集荷を頼むメールが、当日中の依頼のメールの後ろに並びます。 本文を開くまで急ぎかどうか分かりません。

(d)往復や受領の証明の指定が埋もれる。 「受領印をお願いします」「返送の書類を受け取ってきてください」は、本文の最後の一文に書かれがちです。写し忘れると、ライダーは片道で帰ってきて、もう一度走ることになります。

(e)書き方が配車係ごとに揃わない。 同じ「15時までに」を、期限の欄に書く人と備考に書く人がいます。建物名と階を住所の欄に続けて書く人も、別の欄に分ける人もいます。配車表の書き方が揃っていないと、ライダーが行の中から時刻と階を探すことになり、月末に請求のために件数を数えるときにも読み替えが要ります。

  1. 【顧客】 受注用のアドレスに依頼メールを送る
  2. 【自動】 受注用のアドレスから Email by Zapier のアドレスへ転送され、Zap が動く
  3. 【自動】 送り主のアドレスで顧客の一覧を引き、顧客と請求先を特定する
  4. 【自動】 AI by Zapier が、本文を配送1件ずつに分けて項目を抜き出す
  5. 【自動】 配車表に配送の件数分の行を足す
  6. 【自動】 配車表の式が、区域・料金の区分・種類(即配・時間指定・当日中)・バイクに積めるかを出す
  7. 【自動】 急ぎの依頼と確認の要る依頼を、配車係に知らせる
  8. 【人】 配車係が、知らせのあった依頼を先に見て、ライダーを割り当てる
  9. 【人】 確認の要る依頼は、顧客に聞き返す

8番目が、この設計の分かれ目です。ライダーの割り当ては自動にしません。 どのライダーがどこにいて、何件抱えているかは、無線でやり取りしている配車係が知っています。この構成が受け持つのは、配車係が割り当てに使う時間を空けることです。

7番目で急ぎを知らせるのは、メールの順番を崩すためです。 届いた順ではなく、集荷の時刻の近い順に配車係の目に入るようにします。

02今回想定するシステム構成

構成図
顧客(依頼メール)
   │  受注用のアドレスから自動転送
   ▼【トリガー】Email by Zapier(New Inbound Email)
Zapier(Zap)
   ├──▶ Google Sheets … 送り主のアドレスで顧客の一覧を引く
   ▼
AI by Zapier ── 配送を1件ずつに分け、項目を抜き出す(リストで返す)
   ▼
Google Sheets ── 配車表に件数分の行を足す(Create Multiple Spreadsheet Rows)
   │              式が区域・料金の区分・種類・積めるかを出す
   ▼
Paths ── 急ぎ → 配車係にすぐ知らせる
     ├── 確認が要る → 聞き返しの下書き
     └── それ以外 → 配車表に並ぶだけ
   ▼
【配車係がライダーを割り当てる】
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Email by Zapier、Google Sheets、Paths)Make、n8n、Power Automate
生成AIAI by Zapier(リストで返す抜き出し)ChatGPT(OpenAI)、Claude
集計Google スプレッドシート(配車表・区域と料金の表・積載の上限の表・顧客の一覧)Zapier Tables
通知配車係の業務用のメール・スマートフォン社内のチャット

受け口は Email by Zapier です。 Zapier が用意する @zapiermail.com のアドレスに届いたメールで Zap が動く仕組みで、受注用のアドレスからの自動転送で使います。 メールは添付を含めて10MB未満である必要があります。

AIは AI by Zapier を使います。 出力の項目を決められ、「Return a list of results」を有効にすると、明細のような繰り返しをオブジェクトの配列で返せます。1通の依頼を、配送の件数分の行にするのに使います。

配車表への書き込みは、Google Sheets の Create Multiple Spreadsheet Rows です。 明細(line item)に対応し、1回のステップで1行以上を足せます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

受注用のアドレスに届いたメールを、Email by Zapier のアドレスへ自動転送して起点にします。 転送を始めるときに、@zapiermail.com のアドレスの確認が求められることがあり、Zap の試しの画面で確認のメールを開いて確認のURLを踏みます。

送り主のアドレスが無いメールでは動きません。 Email by Zapier の受信を担う外部のサービスは、送り主の欄にアドレスの無いメールを受け付けないとされています。メーリングリストやグループからの自動の通知は、送り主が空のため Zap を動かしません。 顧客がグループのアドレスから送ってくる場合は、この経路に乗らないので、配車係が受注用のアドレスで直接見る運用を残します。

1通ずつ、届いたらすぐ動かします。 バイク便の依頼は分単位で動くので、まとめて処理する理由がありません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼メール送り主、件名、本文、届いた時刻Email by Zapier
顧客の一覧送り主のアドレス、顧客コード、請求先の部署、いつもの集荷先、よく使う届け先の略称Google スプレッドシート
区域と料金の表住所の区・町名から区域を引き、区域の組と種類で料金の区分を出す表Google スプレッドシート
積載の上限の表バイクに積める大きさ(3辺の合計)と重さの上限、積めない物Google スプレッドシート
締めの時刻当日中・時間指定を受ける締めの時刻Google スプレッドシート

質を決めるのは、顧客の一覧の「よく使う届け先の略称」の列です。 常連の顧客は「いつもの裁判所」「本社」「例の印刷所」と書きます。この略称と正式な届け先の組を一覧に持たせ、AIに渡します。 渡さなければ、AIは「いつもの裁判所」を確認事項にするしかありません。

いつもの集荷先も同じです。 集荷先が書かれていない依頼は、送り主の事務所からの集荷であることが多く、一覧の「いつもの集荷先」を既定の値として渡します。 ただし、既定の値を使ったことは配車表に印を付けます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどうやって
依頼メール受注用のアドレス自動転送 → Email by Zapier の New Inbound Email
顧客顧客の一覧Lookup Spreadsheet Row(送り主のアドレスで引く)
抜き出した配送AI by Zapier出力の項目を決め、「Return a list of results」で配列にする
配車表の行配車表Create Multiple Spreadsheet Rows(配列の要素ごとに1行)
区域・料金・積めるか配車表の式行が足されたときに式が計算する

顧客の一覧は、送り主のアドレスで引きます。 当たらなければ新規の顧客として、配車表に「顧客未確認」の印を付けます。同じ事務所でも担当者ごとにアドレスが違うので、一覧にはドメインの列も持たせ、アドレスで当たらなければドメインで引き直します。

区域・料金・積めるかは、Zapier では計算しません。 配車表の列に式を置き、行が足されたときに計算させます。料金の表や上限が変わっても、Zap を止めずに表だけ直せます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 過去のやり取りの引用に気をつける … 返信の形で依頼が来ると、本文の下に前回の依頼が引用されて続きます。前回の配送を今回の配送として拾わないよう、いちばん新しい部分だけを見るように指示で書きます
  2. 署名を残す … 署名には送り主の事務所の住所と電話番号があり、集荷先の既定になります。落とさずに渡します
  3. 届いた時刻を渡す … 「30分後に」「今から」を時刻に直す基準にします
  4. 顧客の情報を渡す … いつもの集荷先と、よく使う届け先の略称の組を渡します
  5. 添付の有無を見る … 添付のファイルは AI に渡さず、添付があれば配車表に「添付あり」の印を付けます

5番目で添付を渡さないのは、添付が配送する書類そのものであることが多いからです。 「この契約書を印刷して届けて」のような依頼もありますが、届ける書類の中身を読む必要はありません。 添付で依頼の内容を送ってくる顧客は、配車係が開いて確かめます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、本文から配送を1件ずつに分け、それぞれの項目を抜き出すことだけです。

項目中身書かれていないときの扱い
集荷先名称、住所、建物・階、担当者、電話番号いつもの集荷先を使い、印を付ける
届け先名称、住所、建物・階、担当者、電話番号略称の一覧で引けなければ確認事項へ
集荷の希望時刻「すぐ」「14時以降」など空(式で即配とみなさない)
届ける期限「15時まで」「本日中」確認事項へ
荷物書類か小物か、通数・個数、大きさ・重さの記載大きさの記載が無ければ空
往復届け先で受け取って戻るものがあるかなし
受領の証明受領印、受け取った人の名前、写真なし
確認事項顧客に聞くこと-

大きさと重さは、書かれた文のまま抜き出させます。 「A4の封筒」「段ボール小1箱、5kgくらい」を、積めるかどうかの判断にAIは使いません。積めるかは、積載の上限の表と式が決めます。 AIに判断させると、「小さめの段ボールなので積めます」と書きます。

させないこと理由
ライダーの割り当て位置と抱えている件数は配車係が知っている
時間に間に合うかの判断道路の状況とライダーの位置で決まる
料金の計算区域と料金の表で決まる
バイクに積めるかの判断積載の上限の表で決まる
書かれていない住所の推測名称だけで住所を補わない

5行目がいちばん起きやすい失敗です。 「〇〇地方裁判所」と書かれていると、AIは住所を知っていて補います。同じ名前の建物が複数ある、移転している、といったことがあり、間違った住所にライダーが走ります。 住所は、本文か顧客の一覧の略称の組からだけ取ります。

Step6

指示内容を固定する

あなたはバイク便の会社の配車係で、届いた依頼メールを配車表に入れる準備をしています。
本文と、渡した顧客の情報だけを見て、配送を1件ずつに分けて項目を抜き出してください。

【配送の分け方】
- 集荷先と届け先の組が1つで1件です。
- 「A社とB社に1部ずつ」は2件です。
- 「集めたものを全部こちらに戻して」は、集荷先ごとに1件です。
- 往復(届け先で受け取って戻る)は1件のまま、round_trip を yes にしてください。
- 本文の下に引用された過去のメール(「>」で始まる行や「〜 wrote:」の後)の
  配送は拾わないでください。

【各配送の項目】
pickup / dropoff:名称、住所、建物・階、担当者、電話番号
- 住所は本文か、【よく使う届け先】の組に書かれているものだけを使ってください。
  名称から住所を補わないでください。
- 集荷先が書かれていなければ、【いつもの集荷先】を入れ、
  pickup_defaulted を yes にしてください。
pickup_time:集荷の希望。「すぐ」「今から」は届いた時刻を入れ、
  pickup_asap を yes にしてください。
deadline:届ける期限。「本日中」はそのまま書いてください。
item_type:document / small_parcel / unclear
item_size_text:大きさ・重さ・数の記載をそのまま写してください。
round_trip:yes / no
proof_of_delivery:stamp / name / photo / none
questions:顧客に確かめることを、聞く文の形で。

【厳守事項】
- バイクに積めるか、料金、時間に間に合うかは書かないでください。
- 「至急」の言葉だけで pickup_asap を yes にしないでください。
  集荷の時刻が書かれていれば、その時刻を入れてください。
- 届け先の住所が分からないときは、空にして questions に入れてください。
- 配送の依頼ではないメール(請求の問い合わせ・苦情など)なら、
  配送を作らず request_type にその種類を書いてください。

【届いた時刻】{received_at}
【いつもの集荷先】{default_pickup}
【よく使う届け先】{known_destinations}
【本文】{body}

配送の分け方を例で書いているのは、分け方が会社の決まりだからです。 往復を2件にする会社もあれば1件にする会社もあり、料金の数え方と配車表の行の持ち方に合わせて決めます。

「至急」だけで急ぎにしない指示は、急ぎの知らせを本物の急ぎに絞るためです。 顧客は習慣で「至急」と書くことが多く、そのまま急ぎにすると、配車係に届く知らせの半分が急ぎでない依頼になり、知らせが読まれなくなります。

Step7

出力形式を固定する

AI by Zapier の出力の項目を決め、「Return a list of results」を有効にして、配送ごとのオブジェクトの配列で受け取ります。

[
  {
    "pickup_name": "", "pickup_address": "", "pickup_floor": "",
    "pickup_contact": "", "pickup_phone": "", "pickup_defaulted": "yes | no",
    "dropoff_name": "", "dropoff_address": "", "dropoff_floor": "",
    "dropoff_contact": "", "dropoff_phone": "",
    "pickup_time": "", "pickup_asap": "yes | no", "deadline": "",
    "item_type": "document | small_parcel | unclear", "item_size_text": "",
    "round_trip": "yes | no", "proof_of_delivery": "stamp | name | photo | none",
    "questions": ""
  }
]

たとえば、次のメールは2件の配送になります。

件名:本日の配送のお願い
お世話になっております。〇〇法律事務所の△△です。
14時以降に当事務所で集荷のうえ、
・東京地裁の民事受付(いつもの裁判所)へ書面1通、受領印をお願いします
・新橋の□□株式会社 総務部 ××様へ契約書2部、16時までに。
  先方から署名済みの1部を受け取って戻ってください。
行集荷先届け先時刻往復受領の証明
1いつもの集荷先(印あり)略称の組から引いた裁判所の受付14時以降に集荷、期限なしnostamp
2いつもの集荷先(印あり)□□株式会社 総務部 ××様(住所は空)14時以降に集荷、16時までyesnone

2行目は届け先の住所が本文に無いので、questions に「□□株式会社様のご住所」が入り、確認が要る道に進みます。 1行目は期限が書かれていないので、questions に期限が入ります。

1つ目の理由は、配列の要素がそのまま配車表の行になることです。 Create Multiple Spreadsheet Rows で、要素ごとに1行を足します。1通に3件の配送があれば、3行が足されます。 第3章の(b)の写し漏れは、ここで無くなります。

2つ目は、配車表の式と Paths の条件を項目で書けることです。 式は、住所から区域を、区域の組と種類から料金の区分を、item_size_text とは別に配車係が入れる大きさの列から積めるかを出します。

Paths の道条件
急ぎどれかの配送の pickup_asap が yes、または集荷の時刻が届いた時刻から60分以内
確認が要るどれかの配送の questions が空でない、または item_type が small_parcel
それ以外配車表に並ぶだけ

小物を確認に回すのは、積めるかを人が見るためです。 書類は封筒の大きさで決まりますが、小物は大きさの記載があいまいなことが多く、積載の上限の表で判定できる数字がそろわないからです。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
受注用のアドレス自動転送依頼メールを Email by Zapier のアドレスへ
顧客の一覧Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row送り主から顧客を引く(読むだけ)
AI by ZapierZap のステップ配送ごとの項目を配列で返す
配車表Google Sheets の Create Multiple Spreadsheet Rows配送ごとに1行を足す
配車係業務用のメール急ぎと確認の要る依頼を知らせる

顧客への受付の返信は、自動では送りません。 返信は、ライダーの割り当てが決まってから配車係が送ります。受付だけを自動で返すと、顧客は手配が済んだと受け取ります。

Step9

人が確認する

配車係は、配車表の全部の行を割り当てのときに見ます。抜き出しの確認として開くのは、知らせのあったものと印のある行です。

  1. 急ぎの知らせを先に見る … 集荷先と期限を見て、すぐにライダーを探します
  2. 確認が要る依頼の聞き返しを送る … 届け先の住所や期限が分からないものを、まとめて1通で聞きます
  3. 印のある行を見る … いつもの集荷先を使った行、顧客未確認、添付ありの行を本文と見比べます
  4. 小物の積めるかを決める … 大きさの列を入れ、式の結果を見ます
  5. 直したら記録する … どの項目を、どの値に変えたかを残します

3番目のいつもの集荷先の行は、本文を一読するだけで済みます。 「今日は支店から」と書かれていれば、AIは集荷先を抜き出しているはずですが、既定の値が使われた行は、念のため人の目を通します。

目標は、1,800件をならして1件1分です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
送り主の無いメール(グループの通知など)Zap が動かない。配車係が受注用のアドレスで直接見る
10MB以上のメールEmail by Zapier に届かない。受注用のアドレスで直接見る
配送の依頼ではないrequest_type を見て、請求や苦情の窓口へ
顧客の一覧で当たらない新規の顧客として「顧客未確認」の印を付ける
届け先の住所が分からない空のまま確認が要る道へ
締めの時刻を過ぎた当日中の依頼式が印を付け、配車係が顧客に相談する
内容が利用の方針に触れてステップが失敗配車表に「抜き出し待ち」で本文を残し、配車係へ
同じ依頼が2回届く(転送と CC)送り主・件名・届いた時刻で配車表を引き、5分以内の同じ依頼は1回にする
同じ依頼を電話でも受けた配車係が電話で受けた行と見比べ、重なる行に印を付けて片方を消す
届け先が営業の区域の外区域の表で当たらない。式が印を付け、配車係が提携先に回すか断るかを決める
依頼の取り消し・変更のメールrequest_type で見分け、元の行を配車係が直す。自動では消さない

2行目は見落としやすい例外です。 配送する書類を PDF で添付して「これを印刷して届けて」と頼む顧客は、添付が大きくなりがちで、Email by Zapier に届かないまま、Zap が動いたことにも動かなかったことにも気づきません。 受注用のアドレスで、配車表に行の無いメールを1日の終わりに見る運用を残します。

Step11

記録を残す

  • 依頼メールの本文と、届いた時刻・送り主
  • AIが抜き出した配送の配列と、使ったプロンプトの版
  • 配車表の行(区域・料金の区分・種類・積めるかの式の結果を含む)
  • 配車係が直した項目と、聞き返しの記録
  • 割り当てたライダー、集荷と届けた時刻、受領の証明

最後の行は、何か起きたときの記録になります。 届かなかった、遅れた、と言われたときに、依頼の本文から届けた時刻までを1つの行で追えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:本文を手でAIの画面に貼り、配送ごとに抜き出させる / 配送の分け方と項目の抜き出し
半自動化:上記+Email by Zapier で受け、配車表に行を足す / 抜き出しと配車表への入力
本格構成:上記+式で区域・料金・種類・積めるかを出し、Paths で急ぎと確認の要る依頼を知らせる / 受注から配車の前までの全体

最小構成では件数がさばけません。 1日90件の依頼を手で貼ることはできないので、抜き出しの分け方が当時の配車表と合うかを確かめる段階です。 半自動化で、1件4分が2分程度になります。 写す作業は無くなりますが、区域と料金を引き、急ぎを見分ける作業が手で残ります。本格構成で1分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の配車表を2週間見ると、略称の届け先、いつもの集荷先の使われ方、急ぎの書き方の癖が顧客ごとに分かります。顧客の一覧を整えてから知らせを入れたほうが、知らせが本物の急ぎに絞られます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
1,800 件
1件あたり現在時間
4 分
1件あたり導入後時間
1 分
現在  1,800件 × 4分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 1,800件 × 1分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
90h
削減率
75%
年間削減時間
1,080h
年間金額換算(時間単価2,800円)
302万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 法律事務所・広告制作・設計事務所・病院の事務部門などから、書類や小物の急ぎの配送をメールで受けているバイク便の会社。メールの依頼が1日に数十件あり、配車係が本文を読んで配車表に写している場合。1通に何件もの配送が書かれていたり、往復や受領の証明の指定が本文の中に埋もれていたりする場合。
向いていない
  1. 依頼のほとんどが電話で、メールが1日に数件の場合。依頼を自社の Web の注文画面で受け、項目がすでに分かれている場合。トラックの貸切や大型の荷物が中心で、車格や積み方の判断が要る配車の場合。なお、どのライダーに割り当てるか、時間に間に合うかの判断は配車係が行うもので、この構成は代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去1か月の依頼メールから50通を選ぶ(うち数通は、1通に複数件の配送、往復、受領の証明があるものを入れる)
  2. その50通について、配車表に写された行を書き出す
  3. 手元のAIサービスの画面に、本文と顧客の情報を貼り、第7章のプロンプトで抜き出させる
  4. 抜き出した配送の件数と項目を、当時の配車表の行と突き合わせる

件数が多い業務なので、30件ではなく50通で見ます。 1通に複数件の配送がある依頼は全体の一部で、30件だとほとんど入らないことがあります。

出てきた内容判断
当時の写し漏れの配送を件数として拾ったZap を組む段階に進む
名称から住所を補った指示の書き方で直る。構成は有効
略称の届け先を確認事項にした顧客の一覧の略称の組を足す
「至急」で急ぎにした時刻を優先する指示を強める

3行目が多く出たら、AIの問題ではありません。 常連の顧客の癖が、まだ一覧に書き出されていないということです。

50通は、混む時間帯のメールを多めに選んでください。 混む時間帯の依頼ほど短く、略称や「いつもの」が多くなります。空いている時間帯の丁寧なメールだけで試すと、抜き出しがうまくいくように見えて、本番の混む時間帯に確認事項が増えます。 あわせて、返信の形で届いた依頼(本文の下に前回の依頼が引用されているもの)も数通入れ、前回の配送を拾わないかを見ます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
1通に複数件の配送が1行になる「Return a list of results」で配列にし、Create Multiple Spreadsheet Rows で行にする
名称から住所を補う住所は本文と略称の組からだけ取ると指示する
「至急」が全部急ぎになる時刻を優先し、言葉だけで急ぎにしない
往復・受領の証明が落ちる項目として必ず返させ、配車表の列にする
グループのアドレスからの依頼で Zap が動かない送り主が空のメールは受け付けられない。直接見る運用を残す
大きな添付のメールが届かない10MB未満の制限。1日の終わりに行の無いメールを見る
小物を積めると判断してしまう積めるかは表と式。AIに判断させない
AI by Zapier のタスクの消費が多い既定の Premium を Standard に変えて試す
区域と料金の表が古い表を直せば Zap を止めずに反映できる

上の4行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、ライダーが間違った場所へ走るか、片道で帰ってくる形の失敗です。AIの精度より、分け方の決まりと項目の持ち方のほうが効きます。

下の5行は、運用を始めてから気づくことが多いものです。 とくにメールが届かない2つの経路(送り主の無いメールと10MB以上のメール)は、Zap の画面に何も残らないので、配車表に行の無いメールを1日の終わりに受注用のアドレスで数える運用を、最初の週から入れておきます。 数がゼロの日が続けば、その確認は週1回に減らせます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧客の事務所の名称・住所・担当者・電話番号、届け先の名称と担当者、届ける物の種類、時刻です。法律事務所や病院の依頼では、届け先の名前だけで事件や患者の事情が推し量れることがあります。

  1. AIに渡す範囲を絞る … 本文と、顧客の一覧のうち集荷先と届け先の略称の組だけを渡します。添付のファイルは渡しません。 届ける書類の中身は、配送に要らないからです
  2. 顧客の一覧を外に出さない … 顧客ごとのよく使う届け先は、顧客の取引先の一覧そのものです。AIには、その顧客の分だけを渡します
  3. AIの提供元の扱いを確かめる … AI by Zapier は OpenAI・Anthropic・Google Gemini などの提供元のモデルを使います。どの提供元のモデルを使うかを決め、データの扱いを確かめておきます
  4. 受付の返信を自動にしない … 顧客は返信で手配が済んだと受け取ります。返信は、割り当てが決まってから配車係が送ります
  5. 事故の記録に使えるよう残す … 国土交通省は、貨物軽自動車運送事業者に事故記録の作成と3年間の保存、一定規模以上の事故の報告を義務付けています。業務記録の作成・保存の義務付けからはバイク便事業者は除かれていますが、事故記録と事故報告は対象です。 何を、いつ、誰が運んでいたかを配車表の行で追えるようにしておくと、事故の記録を作るときの材料になります

誤りが起きた場合のリスクは、配送の写し漏れで届かないことと、間違った住所へ走ることの2つです。 前者は配列で行を作ることで、後者は住所を補わせないことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:顧客の一覧を整える

依頼の多い顧客の上位30社について、送り主のアドレス・ドメイン・いつもの集荷先・よく使う届け先の略称を一覧にします。配車係が覚えている「いつもの」を書き出す作業です。

2週目:50通で試す

第8章の手順で50通を抜き出させ、1通に複数件の配送を件数として拾えるか、名称から住所を補っていないかを最優先で見ます。

3週目:表と式を作る

区域と料金の表、積載の上限の表、締めの時刻を配車表の式につなぎます。配送の分け方(往復を1件とするか)を、料金の数え方に合わせて決めます。

4週目:メールから配車表までをつなぐ

受注用のアドレスから Email by Zapier へ転送し、AI by Zapier で抜き出し、配車表に行を足すところまで作ります。この時点では Paths を置かず、配車表の行を配車係が見ます。

2か月目: Paths で急ぎと確認の要る依頼の知らせを足します。直した項目を毎週数えます。3か月目以降: 1件4分が何分になったかを実測します。急ぎの依頼に気づくまでの時間が数分に収まり、届け先から「まだ来ない」と言われる写し漏れが無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-28/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
Email by Zapier が @zapiermail.com のアドレスで受けたメールで Zap を動かすこと(New Inbound Email)。メールは添付を含めて10MB未満であること。自動転送で使えること、アドレスの確認が要ることがあること。送り主のアドレスの無いメール(グループの自動の通知など)では動かないことZapier Help: Trigger Zaps from new emails2026-10-28
AI by Zapier の出力の項目を名前・型・説明・必須で決められること。「Return a list of results」で明細をオブジェクトの配列で返せること。提供元に OpenAI・Anthropic・Google Gemini などがあること。Standard が1倍・Advanced が3倍・Premium が5倍のタスクで既定が Premium であること。Professional 以上で使えることZapier Help: AI by Zapier2026-10-28
Paths のステップ自体はタスクを使わず、動いた道の中のステップだけが数えられること。Professional 以上のプランで使えることZapier Help: Paths2026-10-28
Google Sheets の Create Multiple Spreadsheet Rows が明細(line item)に対応して1行以上を足せること。Lookup Spreadsheet Row が列と値で行を引くことZapier: Google Sheets integrations2026-10-28
貨物軽自動車運送事業者に、事故記録の作成と3年間の保存、一定規模以上の事故の国土交通大臣への報告を義務付けたこと。業務記録の作成・保存、貨物軽自動車安全管理者の選任の義務付けからはバイク便事業者を除くこと国土交通省: 貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための省令等の公布(報道発表)2026-10-28
貨物軽自動車運送事業の安全対策を令和7年4月より強化したこと。事故記録・業務記録の様式例が示されていること国土交通省: 貨物軽自動車運送事業における安全対策の強化2026-10-28

依頼の種類(即配・時間指定・当日中)、配送の分け方、積載の上限は本記事の例です。 実際には自社の料金表と運用に合わせて置き換えてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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