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広告代理店がインフルエンサーから届く投稿の案を、画面の見え方のスクリーンショットごとステルスマーケティングの表示の決まりに照らして判定し、投稿者ごとの直しの依頼を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

インフルエンサーから届く投稿の案を、キャプションの文面だけでなく、スマートフォンの画面でどう見えるかのスクリーンショットごと判定します。広告である旨の表示が見えにくいものには、投稿者ごとの直しの依頼を作ります。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/ChatGPT/Claude
連携・自動化
Python
対象業界
EC/その他/小売/広告
対象部門
マーケティング/法務
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
判定
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
60%
年間削減
432h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 投稿者が提出フォームで、キャプションの文面と画面のスクリーンショットを出す
  2. 審査の担当が、案件の台帳でその施策の広告主・商品の提供の有無・広告主の表示の指定を確かめる
  3. キャプションを読み、「PR」「広告」「〇〇社から商品提供」などの表示があるかを探す
  4. 画面のスクリーンショットを開き、表示が見える位置にあるか、文字が小さすぎないか、背景に溶けていないかを見る
  5. ハッシュタグが多い投稿は、表示がその中に埋もれていないかを見る
  6. 直しが要る投稿者に、どこをどう直すかをメールで書いて送る
  7. 直した案が届いたら、もう一度3番から見る
導入後(After)
  1. 人投稿者が提出フォームで、キャプションと画面のスクリーンショットを出す(ここは変わらない)
  2. 自動提出をきっかけに、案件の台帳から施策の条件(広告主・提供の有無・表示の指定)を引く
  3. 自動画像の形式・大きさ・枚数を確かめ、足りない画面があれば投稿者に再提出を頼む
  4. 自動Claude API が、キャプションと画面から、表示の有無・位置・見えやすさを項目ごとに判定する
  5. 自動判定と広告主の表示の指定から、`pass` / `fix` / `review` を機械的に決める
  6. 自動`fix` のものに、投稿者あての直しの依頼の下書きを作る
  7. 人審査の担当が `fix` と `review` を開き、画面で根拠を確かめ、直しの依頼を直して送る
  8. 人`pass` のものは、施策ごとの一覧で画面の縮小図を流し見て通す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 投稿者が提出フォームで、キャプションの文面と画面のスクリーンショットを出す
  2. 審査の担当が、案件の台帳でその施策の広告主・商品の提供の有無・広告主の表示の指定を確かめる
  3. キャプションを読み、「PR」「広告」「〇〇社から商品提供」などの表示があるかを探す
  4. 画面のスクリーンショットを開き、表示が見える位置にあるか、文字が小さすぎないか、背景に溶けていないかを見る
  5. ハッシュタグが多い投稿は、表示がその中に埋もれていないかを見る
  6. 直しが要る投稿者に、どこをどう直すかをメールで書いて送る
  7. 直した案が届いたら、もう一度3番から見る

(a)画面のスクリーンショットまで見きれない。 文面に「#PR」があれば、そこで安心してしまいます。ところが画面で見ると、その「#PR」は30個のハッシュタグの最後にあり、「続きを読む」の向こうに隠れています。 運用基準が「紛れ込ませる」「末尾の位置」として挙げる形そのものです。

(b)担当者で指摘が違う。 ストーリーズで画面の端に小さく「PR」と置いた案を、通す担当と、直させる担当がいます。どちらにも理由はありますが、同じ施策の中で投稿者によって扱いが違うと、投稿者から「あの人は通っていた」と言われます。

(c)文中の言い回しが表示を打ち消す。 冒頭に「PR」と書いたのに、本文で「完全に個人的な感想です」「頼まれたわけではないけど」と書く案があります。運用基準は、冒頭の「広告」と文中の「第三者としての感想」が食い違う表示も、分かりにくい例に挙げています。 文面を急いで読むと、表示があることに満足して見落とします。

(d)直しの依頼に時間がかかる。 投稿者ごとに、どの画面のどこを、どう直すかを書きます。同じ直しでも、相手が初めての投稿者か慣れた人かで書き方を変えるので、1通ごとに時間を取ります。

  1. 【人】 投稿者が提出フォームで、キャプションと画面のスクリーンショットを出す(ここは変わらない)
  2. 【自動】 提出をきっかけに、案件の台帳から施策の条件(広告主・提供の有無・表示の指定)を引く
  3. 【自動】 画像の形式・大きさ・枚数を確かめ、足りない画面があれば投稿者に再提出を頼む
  4. 【自動】 Claude API が、キャプションと画面から、表示の有無・位置・見えやすさを項目ごとに判定する
  5. 【自動】 判定と広告主の表示の指定から、pass / fix / review を機械的に決める
  6. 【自動】 fix のものに、投稿者あての直しの依頼の下書きを作る
  7. 【人】 審査の担当が fix と review を開き、画面で根拠を確かめ、直しの依頼を直して送る
  8. 【人】 pass のものは、施策ごとの一覧で画面の縮小図を流し見て通す

7番目と8番目で、人の時間の使い方が変わります。 すべての画面を同じように開くのではなく、AIが何かを見つけたものと、判断がつかなかったものに時間を使います。 pass を流し見にしないと、60.0時間はあまり減りません。

3番目で、足りない画面を先に止めるのが大事です。 画面が無ければ「見える位置にあるか」は判定できません。判定できないものをAIに推し量らせず、画面をそろえてから判定します。

02今回想定するシステム構成

構成図
提出フォーム(キャプション・画面のスクリーンショット)
   │
   ▼【トリガー】投稿の案の提出
Python ── 案件の台帳を引く(広告主・提供の有無・表示の指定)
   │       画像の形式・大きさ・枚数の確認
   ▼
Claude API(画像の入力と構造化出力)
   │   ① 表示の有無        ② 表示の文言
   │   ③ 最初に見える範囲にあるか ④ 大きさ・色・背景との区別
   │   ⑤ ハッシュタグへの紛れ込み ⑥ 本文との食い違い
   │   ⑦ 広告主の表示の指定に合っているか
   ▼
Python ── 判定(pass / fix / review)と直しの依頼の下書き
   ▼
【人】fix と review を画面で確かめて、投稿者へ送る
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(画像の入力で表示の見え方を判定し、直しの依頼を作る)OpenAI API、Azure OpenAI
集計Python(台帳との照合、画像の確認、判定の決定、施策ごとの一覧)提出フォームの集計機能
連携投稿の案の提出フォームと案件の台帳(既存)社内のワークフローの申請画面

提出フォームと案件の台帳は、いまあるものを使います。 新しく足すのは、提出のたびに動く Python の処理と、Claude API の呼び出しです。投稿者への送信は、いまのメールで人が行います。

判定の土台は、Claude の画像の入力です。 画像は base64、URL、Files API の file_id のいずれかで渡せ、対応する形式は JPEG・PNG・GIF・WebP です。1枚の大きさの上限は 8000×8000 ピクセル、Claude API では1枚10MB(base64 にした後)とされています。1つの要求に20枚を超える画像を入れると、各画像の大きさの上限が厳しくなり、どの環境でも収まるようにするには、各辺を2,000ピクセル以下にするか、20枚以下にするよう案内されています。

画像の中の文字の読み取りには注意書きがあります。 公式のページは、大きすぎる画像は縮小され、その結果、文字が読みにくくなることがあるとしています。ストーリーズの画面の端の小さな「PR」は、縮小で潰れやすい部分です。だから、AIが「読めない」と返したものを「表示が無い」と扱わない設計にします。

判定の物差しは、消費者庁の運用基準です。 運用基準は、広告である旨が記載されていない例と、不明瞭な方法で記載されている例を分けて並べ、明瞭な例として「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の文言や「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章を挙げています。ただし、これらの文言を使っていても、表示内容全体から明瞭と認められない場合もあると注記しています。第7章の項目は、この並びに沿って作ります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

提出フォームに投稿の案が届いたことを起点にします。 投稿予定日の数日前に届き、直しのやり取りに1〜2往復かかるので、まとめて夜に処理するのではなく、届くたびに動かします。

直した案の再提出も起点になります。 前回の判定と今回の判定を並べて見られるよう、投稿者と施策の組に版の番号を付けます。 審査の担当は、前回の指摘が直っているかを最初に見ます。

投稿予定日の前日になっても pass になっていない投稿者は、施策の担当に知らせます。 投稿を待ってもらうか、広告主と相談するかは人が決めます。投稿予定日を過ぎて投稿された場合の確認は、この構成の外です。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
キャプション投稿の本文とハッシュタグ。ストーリーズなら各コマの文字提出フォーム
画面のスクリーンショットフィードの一覧と詳細、ストーリーズの各コマ、リールのカバーと表示が出る場面提出フォーム
投稿の種類フィード/ストーリーズ/リール/ショート動画提出フォーム
施策の条件広告主、商品の提供・報酬の有無、投稿の依頼の有無案件の台帳
広告主の表示の指定使う文言(「PR」「〇〇社から商品提供」など)、置く位置、ほかの指定案件の台帳
自社の審査の基準運用基準の例を自社で読み替えた項目と、通す・直させるの例法務の基準の一覧

質を決めるのは、下の2つです。 広告主の表示の指定が台帳に書かれていなければ、「指定どおりか」を見られません。自社の審査の基準に、通した例と直させた例の画面が入っていれば、担当者ごとの指摘のずれを縮められます。

施策の条件は、AIの判定の前提として渡しますが、判定の対象にはしません。 商品の提供と投稿の依頼があることは台帳で決まっており、「この投稿は広告に当たるか」をAIに問わないためです。

Step3

データの取得方法を決める

キャプションと画面は、提出フォームから提出の番号で取り出します。施策の条件と表示の指定は、案件の台帳から施策の番号で引きます。

取るものどこから何に使うか
キャプション全文提出フォーム表示の有無、文言、本文との食い違い
画面のスクリーンショット提出フォーム位置・大きさ・色・最初に見える範囲
投稿の種類提出フォーム必要な画面の数の確認
施策の条件と表示の指定案件の台帳前提と、指定どおりかの判定
前回の判定判定の記録再提出のときの比較

画面は、投稿の種類ごとに必要な枚数を決めておきます。 フィードなら一覧と詳細の2枚、ストーリーズならコマの数だけ、リールならカバーと表示が出る場面。足りなければ前処理で止めます。

動画は、AIに動画のまま渡しません。 表示が出る場面の画面を投稿者に出してもらい、何秒から何秒まで表示が出ているかは投稿者に申告してもらいます。 運用基準は、一般消費者が認識できないほど短い時間の表示や、長い動画で冒頭以外にだけ表示する場合を分かりにくい例に挙げており、秒数は申告と人の確認で見ます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 画像の形式の確認 … JPEG・PNG・GIF・WebP 以外(スマートフォンの写真の HEIC など)は変換します
  2. 画像の大きさの調整 … 1つの要求の枚数が20枚を超えそうなら、各辺を2,000ピクセル以下に縮めます。縮める前の画像は保存しておきます
  3. 枚数の確認 … 投稿の種類ごとに決めた枚数がそろっているかを見ます。足りなければ投稿者に再提出を頼みます
  4. キャプションの整え … 改行とハッシュタグの並びを保ったまま、テキストとして渡します。ハッシュタグの数を数えておきます
  5. 画像に番号を付ける … 「画像1:フィードの一覧」「画像2:フィードの詳細」のように、短い説明を画像の前に置きます
  6. 投稿者の識別子の置き換え … アカウント名や本名は記号に置き換えます。画面に写ったアカウント名は消せないため、判定の出力に書かせないようにします

5番目は、公式のページの勧めに沿ったものです。 複数の画像を送るときは、「Image 1:」のような短いラベルで各画像を紹介すると、指示の中で名前で参照できるとされています。判定の根拠に「画像2の右下」と書かせられれば、人が確かめる時間が短くなります。

2番目で縮めすぎないでください。 ストーリーズの小さな「PR」は、縮めると潰れます。枚数を20枚以下に抑えて大きさを保つほうを先に考えます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、項目ごとに判定と根拠を返すことと、直しの依頼の文の下書きです。

項目見るもの運用基準の例との対応
① 表示の有無キャプションと画面のどこかに、広告である旨の表示があるか全く記載されていない場合
② 表示の文言「PR」「広告」「〇〇社から商品提供」など、分かる文言か認識できない文言の使用
③ 最初に見える範囲画面で「続きを読む」に隠れずに見えるか。ストーリーズなら最初のコマにあるか末尾の位置、部分的な表示
④ 見えやすさ周囲の文字との大きさの比較、背景との色の区別小さい表示、薄い色の表示
⑤ ハッシュタグへの紛れ込み多数のハッシュタグの中に埋もれていないか他の情報への紛れ込み
⑥ 本文との食い違い「個人的な感想」「頼まれていない」など、表示を打ち消す言い回し冒頭の「広告」と文中の「第三者の感想」
⑦ 広告主の表示の指定指定の文言・位置どおりか自社と広告主の取り決め

③と④が、画面を見せる理由です。 キャプションの文字列からは、それがスマートフォンの画面で何行目に来るか、どの大きさと色で見えるかが分かりません。画面を見れば、人が見るのと同じ材料で判定できます。

④の判定には限界があります。 公式のページは、空間の推論や位置の出力はおおよそであり、200ピクセル未満の小さな画像や低画質の画像では誤ることがあるとしています。だから④は ok と unclear を分け、unclear は必ず人が見ます。

させないこと理由
広告に当たるか(広告主の関与)の判断台帳の事実で決まる
ステルスマーケティングに当たるかの結論最終の判断は法務が行う
表示の秒数の判定動画を渡さず、申告と人の確認で見る
投稿の内容の良し悪しの評価審査の対象は表示だけ
画面に写った人物の特定公式のページも、画像の人物の名前を挙げることはしないとしている

2行目を守らないと、AIの出力がそのまま「適法」の証明のように扱われます。 運用基準は、表示内容全体から判断するとしており、項目がすべて ok でも、それは「この項目では引っかからなかった」という意味にとどめます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは広告代理店で、インフルエンサーの投稿の案について、
広告である旨の表示が一般の人に分かるかを点検する補助をします。
広告に当たるかどうか、違法かどうかの結論は書かないでください。

【前提】
この投稿は、広告主から商品の提供を受け、投稿の依頼を受けたものです。
広告である旨の表示が必要な投稿として点検してください。
広告主の表示の指定:{disclosure_rule}
投稿の種類:{post_type}

【点検する項目】
1 表示の有無:キャプションか画面のどこかに、広告である旨の表示があるか
2 文言:「PR」「広告」「宣伝」「プロモーション」「〇〇社から商品提供」など、
  一般の人に分かる文言か
3 最初に見える範囲:画面で「続きを読む」などに隠れずに見えるか。
  ストーリーズでは最初のコマにあるか
4 見えやすさ:周囲の文字と比べて小さすぎないか、背景の色に溶けていないか
5 紛れ込み:多数のハッシュタグの中に埋もれていないか
6 食い違い:「個人的な感想」「頼まれたわけではない」など、
  表示を打ち消す言い回しが本文にないか
7 指定:広告主の表示の指定の文言・位置どおりか

【判定の仕方】
- 各項目の status は ok / ng / unclear から選んでください。
- 画面の文字が小さい、潰れている、隠れているなどで読み取れないときは、
  ng ではなく unclear にしてください。読めないことと、無いことを分けてください。
- evidence には、根拠にした画像の番号と場所(例:画像2の右下)、
  またはキャプションの該当の文をそのまま写してください。
- 迷ったときは ok を選ばないでください。

【直しの依頼の下書き】
ng の項目があるときだけ、投稿者あての短い依頼文を書いてください。
どの画面のどこを、どう直すかを具体的に、丁寧な言葉で書いてください。
投稿の内容や感想の書き方には触れないでください。

【厳守事項】
- 画面に写っている人物が誰かを書かないでください。
- アカウント名や本名を出力に書かないでください。
- 動画の表示の秒数は判断しないでください。

画像1:{label_1}
(画像)
画像2:{label_2}
(画像)
キャプション:{caption}

「読めないことと、無いことを分けてください」が、この指示でいちばん大事な一文です。 書かないと、潰れて読めない「PR」を ng にし、表示を入れている投稿者に「表示がありません」という依頼が飛びます。 投稿者との関係に直接響く誤りです。

「投稿の内容や感想の書き方には触れない」も外せません。 直しの依頼にAIが「商品の良さをもっと具体的に」と書き足すと、広告主の側が投稿の内容に踏み込んだ記録が残ります。 依頼は表示の直しに限ります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 スキーマは output_config.format に type: "json_schema" で渡します。

{
  "submission_id": "",
  "version": 1,
  "checks": [
    { "item": 3, "status": "ok | ng | unclear",
      "evidence": "画像1 キャプションの4行目以降(続きを読むの後)" }
  ],
  "hashtag_count_seen": 0,
  "fix_request_draft": ""
}

checks には項目1から7を1つずつ並べます。スキーマの配列の minItems は 0 と 1 しか使えないとされているため、7つそろっているかは受け取った側で確かめます。 欠けた項目は unclear として扱います。

判定は、次の規則で機械的に決めます。

判定条件
fix項目1〜7のどれかが ng
reviewng は無いが unclear が1つ以上、または動画で表示の秒数の申告がある
passすべて ok、かつ動画でない

1つ目の理由は、判定の規則を自社で持てることです。 どの項目の ng を直させるか、unclear をどう扱うかは、法務の判断で変わりえます。AIの出力を変えずに、規則だけを直せます。

2つ目は、hashtag_count_seen を前処理で数えた値と比べられることです。 画面で見えたハッシュタグの数と、キャプションの全体の数の差が大きければ、表示が隠れた側にある可能性を示す材料になります。

3つ目は、evidence で人の確認が速くなることです。 「画像2の右下」と書かれていれば、その画面のその場所を開くだけで済みます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
提出フォーム提出の通知、またはフォームの回答の照会キャプション・画面・投稿の種類を取り出す
案件の台帳スプレッドシートの読み取り施策の条件と広告主の表示の指定
Claude APIMessages API(画像の入力・構造化出力)項目ごとの判定と直しの依頼の下書き
施策ごとの一覧スプレッドシートへの書き込み判定・根拠・下書き・画面への参照
投稿者いまのメール(人が送る)直しの依頼

投稿者への送信は自動にしません。 下書きは施策ごとの一覧に置き、審査の担当が直して送ります。 投稿者は広告主の取引先であり、代理店から見ても大切な相手です。

案件の台帳は読み取りだけです。 表示の指定が台帳に無い施策は、判定の前に施策の担当に入力を頼みます。

施策ごとの一覧には、画面の縮小図と判定を横に並べます。 pass を流し見るときに、文字だけの一覧では、画面の見え方を確かめた気になれないからです。縮小図をクリックすれば元の大きさの画面が開くようにし、evidence の場所を開く手間を減らします。施策が終わったら、この一覧をそのまま広告主への報告の材料にも使えます。

Step9

人が確認する

審査の担当が開くのは fix と review です。 pass は施策ごとの一覧で、画面の縮小図と判定を流し見て通します。

  1. review を先に見る … unclear の項目の画面を開きます。潰れて読めないだけなら、投稿者に大きい画面を出し直してもらいます
  2. fix の根拠を画面で確かめる … evidence の場所を開き、本当に見えにくいかを目で見ます
  3. 直しの依頼を直して送る … 下書きを、相手との関係に合わせて直します
  4. 判定を覆したら記録する … ng を通したもの、ok だったが直させたもの。後者は、自社の審査の基準に例として足します

2番目を省かないでください。 AIの画面の判定はおおよそで、位置や大きさの見立てがずれることがあります。 直しの依頼を送る前に、人の目で一度確かめます。

動画の表示の秒数は、ここで人が見ます。 投稿者の申告と、動画の該当の場面を照らします。申告が無い動画は、review のまま施策の担当に戻します。

目標は、360件をならして1件4分です。 fix と review が4割前後という想定で、それより多い施策は、広告主の表示の指定が投稿者に伝わっていない可能性があります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
画面のスクリーンショットが足りない判定せず、投稿者に不足の画面の再提出を頼む
HEIC など対応しない形式前処理で変換する。変換できなければ再提出
画像が大きすぎる・多すぎる枚数を分けて送るか、各辺を縮める。縮める前の画像を保存
文字が潰れて読めないunclear。大きい画面の再提出を頼む
表示の指定が台帳に無い判定を止め、施策の担当に入力を頼む
項目が7つそろわない欠けた項目を unclear にして review
投稿者が18歳未満の可能性施策の担当と広告主に確かめる。保護者の同意などの扱いは自社の決まりに従う
Claude API がエラー未判定のまま残し、再実行する。AIの結果なしで pass にしない
投稿予定日の前日に pass でない施策の担当に知らせ、投稿を待ってもらうかを決める

4行目と最後から2行目が、この構成の安全弁です。 読めないものを ng にしない、AIが止まったら通さない。どちらも、判定の結果が無いことを「問題なし」と扱わないための決まりです。

Step11

記録を残す

  • 提出の番号と版、キャプションの全文、画面のスクリーンショット(縮める前と後)
  • そのときの施策の条件と、広告主の表示の指定
  • AIに渡した指示の版と、返ってきたJSONの全文
  • 規則で決めた判定と、審査の担当の判断、覆した記録
  • 送った直しの依頼の最終版と、送った日時
  • 投稿者が申告した動画の表示の秒数と、人が確かめた結果

2つ目で「そのときの表示の指定」を残すのは、施策の途中で指定が変わることがあるからです。 広告主が文言を「PR」から「〇〇社から商品提供」に変えた場合、前に通した投稿がどの指定で通ったのかを、後から説明できるようにします。

画面のスクリーンショットは、投稿の後に投稿者が画面を変えた場合の比べる材料にもなります。 投稿前に何を確かめて通したのかを、画面のまま残しておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:画面とキャプションを手で Claude の画面に貼り、項目ごとに判定させる / 1件ごとの判定
半自動化:上記+提出フォームから API で判定し、施策ごとの一覧に書き出す / 判定と一覧化
本格構成:上記+台帳の照合、画像の前処理、判定の自動の決定、直しの依頼の下書き / 投稿前の判定と依頼づくりの全体

最小構成では、施策の全員分には使えません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件10分が6分程度になります。 判定は自動になりますが、台帳の照合と直しの依頼の作成が手作業で残るためです。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、直しの依頼の文を書く時間が、下書きを直す時間に変わるからです。 半自動化の段階で、1つの施策を丸ごと流してみてください。 施策ごとに fix の多い項目が分かれば、投稿者に最初に渡す案内の書き方を直せます。 依頼の数そのものが減るほうが、判定を速くするより効きます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
360 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  360件 × 10分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 360件 × 4分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
36h
削減率
60%
年間削減時間
432h
年間金額換算(時間単価4,000円)
173万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 広告主の依頼で、商品の提供や報酬を伴うインフルエンサーの施策を毎月複数回し、1つの施策で数十人分の投稿の案を投稿前に確かめている広告代理店・PR会社。投稿者が増えて、キャプションの文面は読めても、スマートフォンの画面でどう見えるかまで確かめきれていない場合。投稿者に、投稿の案と一緒に画面の見え方のスクリーンショットを出してもらえる場合。
向いていない
  1. 1つの施策の投稿者が数人で、担当者が全員の投稿の案を画面で確かめられる場合。インフルエンサーの施策を扱わず、記事広告やバナーだけを扱う場合。なお、ある投稿がステルスマーケティングに当たるかの最終的な判断と、広告主が表示内容の決定に関与したかの認定は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去の施策から30件の投稿の案を選ぶ(直させたものを半分入れる)
  2. 直させた理由を、審査の担当から聞き取って項目の番号に直す
  3. アカウント名を伏せた画面とキャプションを、手元の Claude の画面に1件ずつ貼る
  4. 第7章の指示の例を使い、項目ごとの判定と根拠を出させる
  5. 当時の審査の結果と並べる

見るのは、直させた15件の理由を拾えたかと、通した15件に ng を付けすぎていないかです。 特に「続きを読む」に隠れた表示と、ハッシュタグに埋もれた表示を拾えたかを確かめます。

出てきた内容判断
当時の指摘と同じ項目を拾った提出フォームとの連携に進む
読めない表示を ng にした指示を直す。「読めないことと無いことを分ける」を強める
ストーリーズの小さな表示を見落とす画面の大きさを確かめる。縮めすぎていないかを見る

2行目が出たら、そこで直してから先へ進みます。 表示を入れている投稿者に「表示がありません」と送る誤りは、1件でも投稿者の信頼を失います。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
潰れて読めない表示が ng になる読めないものは unclear にさせ、人が見る
画面を縮めて小さな表示が消える縮める前の画像を保存し、枚数を減らして大きさを保つ
21枚以上の画像で要求が弾かれる各辺を2,000ピクセル以下にするか、20枚以下に分ける
HEIC の画面が届く前処理で変換する
「PR」があれば ok になる項目③〜⑥を必ず見させる。文言があっても明瞭とは限らない
本文の「個人的な感想」を見落とす項目⑥を独立させる
直しの依頼が投稿の内容に踏み込む表示の直しに限る一文を入れる
動画の秒数をAIに判定させる動画は渡さず、申告と人の確認で見る
広告に当たるかをAIが書く前提を台帳から渡し、結論を書かせない
項目が7つそろわない受け取った側で数え、欠けたら unclear

上の2行が、この構成でいちばん起きやすい失敗です。 どちらも、画像の文字が小さいことから始まります。判定の精度を上げるより、画面の大きさを保つほうが確実に効きます。

「『PR』があれば ok」は、人の審査でも起きている失敗です。 運用基準の注記のとおり、文言を使っていても全体から明瞭でない場合があり、それを項目に分けて見るのがこの構成の役目です。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 投稿者のアカウント名と画面、未公開の投稿の案、広告主と商品の情報、そして施策の条件(商品の提供や報酬の有無)です。

  1. 景品表示法の規制の対象は広告主であることを踏まえる … 消費者庁は、規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象ではないとしています。代理店の審査は、広告主の表示を守るための作業として位置づけ、判定の記録を広告主と共有できる形にします
  2. AIの判定を「適法」の証明にしない … 項目がすべて ok でも、それは点検した項目で引っかからなかったということです。最終の判断は法務が行います
  3. 投稿者の情報を外へ広げない … アカウント名や本名は出力に書かせず、施策の関係者以外が一覧を見られないようにします
  4. 画面に写った人物を特定させない … 公式のページも、画像の人物の名前を挙げることはしないとしています。判定の対象は表示であり、人ではありません
  5. 未成年の投稿者に配慮する … 18歳未満の投稿者が参加しうる施策では、施策の担当と広告主が参加の条件を決めます。この構成は、投稿者の年齢を判定しません
  6. 直しの依頼を自動で送らない … 依頼は人が直して送ります。誤った依頼は、投稿者と広告主の関係に直接響きます

誤りが起きた場合のリスクは、見えにくい表示を通してしまうことと、表示を入れている投稿者に直しを求めることの2つです。 前者は迷えば ok にしない指示で、後者は読めないものを unclear に分ける指示で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:投稿の種類ごとに必要な画面を決める

フィード・ストーリーズ・リールそれぞれで、どの画面を何枚出してもらうかを決め、投稿者への案内を1枚にまとめます。 案内には、画面の撮り方の例を入れます。

2週目:30件で試す

過去の投稿の案から30件を選び、手元の Claude の画面で項目ごとに判定させます。読めない表示を ng にしていないか、ハッシュタグに埋もれた表示を拾えたかを最優先で見ます。

3週目:自社の審査の基準を画面付きでまとめる

法務と、通した例と直させた例を項目ごとに画面付きで並べます。担当者で指摘が分かれていた型(ストーリーズの端の小さな表示など)を、ここで決めます。

4週目:提出フォームから判定までをつなぐ

提出フォームから画面とキャプションを取り出し、判定を施策ごとの一覧に書き出すところまで作ります。この時点では直しの依頼の下書きを出さず、判定だけを審査の担当が見ます。

2か月目: 台帳の照合、判定の自動の決定、直しの依頼の下書きを足します。3か月目以降: 覆した記録を集めて基準に足し、1件10分が何分になったかを実測します。施策ごとの fix の多い項目を投稿者への案内に返し、依頼の数が減り始めた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-28/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
令和5年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反となったこと。広告にはインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示するものも含まれること。規制の対象が広告主であり、依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は対象とならないこと消費者庁: 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。2026-10-28
事業者が表示内容の決定に関与したかと、一般消費者が判別することが困難かの2段の考え方。不明瞭な方法の例(部分的な表示、冒頭の「広告」と文中の「第三者としての感想」、動画での短い時間の表示や冒頭以外のみの表示、認識できない文言、末尾の位置、周囲より小さい表示、薄い色、大量のハッシュタグへの紛れ込み)。明瞭な例(「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の文言、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章)と、文言を使っても明瞭と認められない場合があるとの注記消費者庁: 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準(令和5年3月28日)2026-10-28
画像を base64・URL・Files API で渡せること。対応形式が JPEG・PNG・GIF・WebP であること。1枚の上限が 8000×8000 ピクセル、Claude API で10MB であること。20枚を超えると各画像の大きさの上限が厳しくなり、各辺2,000ピクセル以下か20枚以下を勧めること。縮小で文字が読みにくくなりうること。複数の画像に短いラベルを付ける勧め。位置の出力はおおよそで、200ピクセル未満の画像では誤りうること。画像の人物の名前を挙げないこと。トークンを28×28ピクセルの区画で数えることClaude Docs: Vision2026-10-28
構造化出力が output_config.format に type: "json_schema" で指定すること。配列の minItems が 0 と 1 のみであることClaude Docs: Structured outputs2026-10-28

ある投稿がステルスマーケティングに当たるかの判断は、法務と広告主で行ってください。 本記事は消費者庁の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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