自転車店が店頭で預かる修理の受付を Zapier で受け、症状と車種から作業の目安と部品の在庫を確かめて、完了の連絡を送る
店頭で預かる自転車の修理の受付で、担当が書いた症状を店の作業の種類に分けて台帳に書きます。作業の目安・部品の在庫・仕上がりの日は表の式で出し、整備の担当が台帳で完了にすると、完了の連絡を SMS で送ります。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- その他/小売
- 対象部門
- カスタマーサポート
- 対象業務
- 分類・仕分け/問い合わせ対応
- 主な課題
- 人手が足りない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 分類
- 主な効果
- 品質標準化/対応スピード向上/工数削減
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 受付の担当がお客様から症状を聞き、紙の受付票に書く。分からなければ整備士を呼ぶ
- タイヤの寸法を見て、在庫の表か棚で部品があるかを確かめる
- 作業の目安の時間と工賃、仕上がりの日を伝え、連絡先を受付票に書いて控えを渡す
- 整備士が修理を終えたら、受付の担当が受付票を見てお客様に電話する
- 人受付の担当が、タブレットの Google フォームに症状・車種・タイヤの寸法・連絡先を書く
- 自動フォームの回答で Zapier の Zap が動き、AIが症状を作業の種類に分ける
- 自動修理の台帳に行を書く。表の式が、作業の目安の時間と工賃、部品の在庫、仕上がりの目安の日を出す
- 自動式の結果を引き、見立てのつかない症状や在庫の無い部品があれば、整備の担当に知らせる
- 人受付の担当がタブレットで台帳の行を見て、お客様に目安を伝える
- 自動受付の控えのメールを下書きにする。【人】 担当が確かめて送る
- 人整備の担当が修理を終え、台帳の状態を「完了」にして、最終の金額を書く
- 自動完了の時刻の列が埋まると別の Zap が動き、お客様に完了の連絡を SMS で送る
各工程の詳しい説明を読む
- 受付の担当がお客様から症状を聞き、紙の受付票に書く。分からなければ整備士を呼ぶ
- タイヤの寸法を見て、在庫の表か棚で部品があるかを確かめる
- 作業の目安の時間と工賃、仕上がりの日を伝え、連絡先を受付票に書いて控えを渡す
- 整備士が修理を終えたら、受付の担当が受付票を見てお客様に電話する
(a)見立てが担当によって違う。 1番で、「ブレーキが効かない」を調整と書く担当と、シューの交換と書く担当がいます。伝えた工賃と仕上がりの日が、修理の後で変わります。
(b)在庫の確かめに時間がかかる。 2番で、在庫の表の数が棚と合っていないことがあり、結局、棚まで見に行きます。 その間、お客様は店頭で待ちます。
(c)完了の連絡が漏れる。 4番の電話は、つながらないことが多くあります。かけ直すつもりで受付票を戻し、そのまま忘れます。 自転車が何日も店の奥に置かれ、お客様からの「まだですか」の電話で気づきます。
(d)整備士の手が止まる。 1番で整備士を呼ぶたびに、作業台の修理が中断します。受付の判断が整備士頼みなので、 受付が混む時間ほど修理が遅れます。
(e)仕上がりの日を口で約束してしまう。 3番で、担当は作業台の混み具合を知らないまま「明後日には」と伝えます。新学期の前のように預かりが重なる時期ほど、 約束した日に仕上がらず、お客様から問い合わせの電話が来ます。
- 【人】 受付の担当が、タブレットの Google フォームに症状・車種・タイヤの寸法・連絡先を書く
- 【自動】 フォームの回答で Zapier の Zap が動き、AIが症状を作業の種類に分ける
- 【自動】 修理の台帳に行を書く。表の式が、作業の目安の時間と工賃、部品の在庫、仕上がりの目安の日を出す
- 【自動】 式の結果を引き、見立てのつかない症状や在庫の無い部品があれば、整備の担当に知らせる
- 【人】 受付の担当がタブレットで台帳の行を見て、お客様に目安を伝える
- 【自動】 受付の控えのメールを下書きにする。【人】 担当が確かめて送る
- 【人】 整備の担当が修理を終え、台帳の状態を「完了」にして、最終の金額を書く
- 【自動】 完了の時刻の列が埋まると別の Zap が動き、お客様に完了の連絡を SMS で送る
3番目は、AIではなく表の式で出します。 作業の表に作業の種類ごとの目安の時間と工賃、在庫の表にタイヤの寸法ごとの部品の数を置いておき、台帳の行の式がそれを引きます。 工賃を変えたら作業の表を直すだけです。
5番目で、お客様に伝えるのは担当です。 AIの見立てをそのまま読み上げるのではなく、台帳の行と症状を見比べて、合っていれば伝えます。 合っていなければ整備士を呼びます。
8番目だけは、人の確認を挟まずに送ります。 完了の連絡は、整備の担当が「完了」にしたという人の操作を起点にした、決まった文面の知らせだからです。AIの出力は入りません。
02今回想定するシステム構成
タブレットの Google フォーム(店頭の受付) ▼【トリガー】New Form Response Zapier の Zap(受付) ├──▶ AI by Zapier:作業の種類(複数可)・見立てがつくか ├──▶ Google Sheets:Create Spreadsheet Row(修理の台帳の行) ├──▶ Google Sheets:Lookup Spreadsheet Row(目安の時間・工賃・在庫・仕上がりの日) ├──▶ Paths:見立てがつかない・在庫が無い(整備の担当へ)/それ以外 └──▶ Gmail:Create Draft(受付の控え)/Send Email(整備の担当へ) ▼【人】受付の担当がお客様に伝え、控えを送る Google Sheets:Updated Spreadsheet Row(完了の時刻の列) ▼【トリガー】 Zapier の Zap(完了) ├──▶ Formatter:電話番号の形を整える └──▶ Twilio:Send SMS(完了の連絡)
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Paths、Formatter) | Make、n8n、Power Automate |
| 生成AI | AI by Zapier | ChatGPT(OpenAI)、Claude |
| 集計 | Google スプレッドシート(作業の表・在庫の表・目安を出す式) | Zapier Tables |
| 受付 | Google フォーム(店頭のタブレット) | Jotform |
| SMS | Twilio(Send SMS) | 店の LINE 公式アカウント |
| メール | Gmail(店のアドレス) | Microsoft Outlook |
新しく足すのは、Zap 2本と、修理の台帳と、作業の表だけです。 部品の在庫の表は今のまま使います。紙の受付票を、タブレットのフォームと台帳に置き換えます。
2店舗で、フォームも台帳も1つを共有します。 フォームに店舗の選択肢を置き、台帳の行に店舗の列を持たせます。作業台の表と在庫の表は店舗ごとに分け、 式は店舗の列で引き分けます。駅前の店で在庫が無いタイヤが住宅地の店にある、といったことも、在庫の表を並べて見れば分かります。店舗の間で部品を回すかは、整備の担当が決めます。
フォームはお客様ではなく、受付の担当が書きます。 お客様の言葉を担当が聞き取って書くので、症状の書き方がある程度そろいます。 車種とタイヤの寸法は選択式にし、タイヤの側面に書かれた寸法を担当が見て選びます。
完了の連絡を SMS にするのは、電話がつながらないからです。 Zapier の Twilio のページでは、Send SMS(1つ以上の番号に SMS を送る)の操作があります。電話と違い、お客様が都合のよいときに読めます。メールアドレスを聞いていないお客様にも届きます。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
受付の Zap は、Google Forms の New Form Response で動かします。 担当がタブレットで送信すると、数十秒のうちに台帳の行に目安が出ます。 お客様が店頭にいる間に目安を伝えられるよう、まとめて処理する形にはしません。
完了の Zap は、Google Sheets の Updated Spreadsheet Row で動かします。 見張る列は「完了の時刻」です。Zapier の公式のヘルプでは、このトリガーは見張る列に新しい値が入ったときだけ動き、その行で前に見た値に戻しても動きません。
「状態」の列を見張らないのは、この性質のためです。 状態を「完了」にした後、追加の作業で「作業中」に戻し、また「完了」にすると、2回目の「完了」は前に見た値なので動きません。 公式のヘルプが勧めるとおり、一意の値の列として完了の時刻を置き、整備の担当が完了にするたびに時刻を入れます。時刻は毎回違う値なので、2回目の完了でも動きます。
完了の時刻は、ボタン1つで入る形にします。 整備の担当に時刻を手で打たせると、入れ忘れます。台帳の行にチェックボックスを置き、チェックを入れると時刻が入るようにしておくと、整備の担当の操作は1つで済みます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| フォームの回答 | 受付の番号、症状(自由記述)、車種(選択)、タイヤの寸法(選択)、電動アシストか、名前、電話番号、メール(任意)、急ぎか | Google Forms のトリガー |
| 作業の表 | 作業の種類の番号、名前、よく言われる症状の言い方、目安の時間、工賃、使う部品の種類 | Google スプレッドシート |
| 在庫の表 | 部品の種類、タイヤの寸法、在庫の数、取り寄せの日数 | Google スプレッドシート |
| 作業台の表 | 日ごとの預かりの作業の時間の合計と、作業できる時間 | Google スプレッドシート(台帳から式で数える) |
| 修理の台帳 | 受付の番号、AIの出力、式の結果、状態、最終の金額、完了の時刻 | Google スプレッドシート |
質を決めるのは、作業の表の「よく言われる症状の言い方」の列です。 「すぐ空気が抜ける」「タイヤがぺちゃんこ」「パンクした」をパンク修理の行に並べて書きます。 AIはこの列を見て作業の種類を決めます。整備士に、これまで受付でよく聞いた言い方を挙げてもらって埋めます。
電動アシストかどうかは、フォームで担当が選びます。 バッテリーやモーターの不具合は、店で直せるものと、メーカーの点検に出すものに分かれます。AIに車種名から推し量らせず、 担当が自転車を見て選びます。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| フォームの回答の項目 | New Form Response が返す項目 | AIの入力(症状と車種だけ)と台帳の行 |
| 作業の表 | AIの指示に表の中身を貼る(番号、名前、症状の言い方) | 作業の種類へのそろえ方 |
| 目安・在庫・仕上がりの日 | 台帳の行を Lookup Spreadsheet Row で引く | 分岐と受付の控え |
| 完了した行 | Updated Spreadsheet Row が返す行 | 完了の連絡 |
目安は、台帳の行を書いた後に引きます。 行に置いた式が作業の表と在庫の表を照らすので、書いた直後に受付の番号で同じ行を引いて結果を受け取ります。
台帳の行の式は、たとえば次のように置きます。
| 列 | 式のねらい |
|---|---|
| 目安の時間 | 作業の種類の番号ごとに作業の表の時間を引いて足す |
| 工賃の目安 | 同じく工賃を引いて足す(部品代は別の列) |
| 部品の在庫 | 作業が使う部品の種類とタイヤの寸法で在庫の表を引き、0なら「取り寄せ」 |
| 仕上がりの目安の日 | 作業台の表で、預かりの作業の合計が作業できる時間に収まる最初の日。取り寄せなら取り寄せの日数を足す |
仕上がりの日を式で出すのは、混み具合で変わるからです。 新学期の前は、1日の作業できる時間を預かりが超えます。作業台の表が台帳の預かりの作業の時間を日ごとに数えているので、 受付のたびに仕上がりの日が後ろにずれていきます。
AIへ渡す前に整形する
- 受付の番号を振る … 店の記号と日付と連番で番号を作り、自転車に付ける荷札にも同じ番号を書きます
- AIに渡す項目を絞る … 症状と車種とタイヤの寸法だけを渡し、名前と電話番号は渡しません
- 電話番号を確かめる … 携帯電話の番号でなければ、台帳の「SMS 不可」の列に印を付けます
- 電話番号の形を整える … SMS を送るために、先頭の0を国番号に置き換えた形を Formatter で作り、別の列に持ちます
- 預かり中の自転車を確かめる … 同じ電話番号で状態が「作業中」の行があれば、台帳に「同じお客様の預かりあり」の印を付けます
- 急ぎの印を移す … 「明日の通学に使う」などで担当が急ぎを選んだ行は、仕上がりの日の式が作業台の空きを前から探すよう、急ぎの列に印を入れます
5番目は、家族の自転車を2台まとめて預ける場合に効きます。 受付の番号が2つに分かれていても、完了の連絡が別々に届くと、 お客様は2回来店することになります。印があれば、整備の担当が2台目と合わせて仕上げ、連絡を1つにまとめられます。
6番目の急ぎは、受付の担当が約束しないための印です。 急ぎの印があっても、作業台の空きが無ければ式は翌日以降を出します。「明日には」と口で約束せず、式の出した日を伝えます。
3番目は、固定電話には SMS が届かないからです。 Twilio の日本向けの SMS の案内では、固定電話の番号には SMS を送れないとされています。SMS 不可のお客様には、完了の連絡を担当が電話でかけます。台帳で SMS 不可の行に色が付いていれば、かけ漏れません。
AIに処理させる
させるのは、症状の書き方を店の作業の種類に分けることだけです。
| させること | 中身 |
|---|---|
| 作業の種類 | 症状に当てはまる作業の種類の番号。複数の症状があれば複数 |
| 見立てがつくか | 症状から作業を1つに決められるか。決められなければ「点検」の番号にする |
| 原文 | 作業の種類ごとに、根拠にした症状の文をそのまま |
| メーカー点検の候補 | 電動アシストで、バッテリー・モーター・表示の不具合が書かれているか |
「点検」を作業の種類の1つとして持たせるのが大事です。 「なんとなくこぐのが重い」は、チェーンの汚れ、タイヤの空気、ブレーキの引きずり、どれでもありえます。無理に1つに決めさせず、点検に分けます。 点検は整備士が自転車を見てから作業を決めます。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 安全かどうかを判断する | ブレーキの効き、フレームのひびは整備士が見る |
| 工賃・時間・仕上がりの日を書く | 作業の表と在庫の表から式で出す |
| 部品の在庫を答える | 在庫の表から式で出す |
| 書かれていない症状を足す | 「ついでにチェーンも」と作業を増やさない |
| メーカー点検にするかを決める | 印を付けるだけにし、整備の担当が決める |
パンクの症状は、作業の表の側で幅を持たせます。 「すぐ空気が抜ける」は、穴をふさぐだけで済むことも、チューブやタイヤの交換が要ることもあります。どちらになるかは、整備士がタイヤを外して見るまで分かりません。 AIにはパンク修理の番号だけを選ばせ、作業の表のその行に「点検の結果でチューブの交換になる場合あり」と、交換のときの工賃と部品の在庫も並べて持たせます。 台帳の式は両方の目安を出し、受付の担当は幅で伝えます。
1行目がいちばん大事な禁止です。 「ブレーキが少し甘い」を「調整で直る軽い症状」と書かせると、受付の担当がお客様にそう伝えてしまいます。 ブレーキの症状は作業の種類に分けるだけにし、見立ての言葉は整備士が自転車を見てから伝えます。
指示内容を固定する
あなたは自転車店の修理の受付として、受付の担当が書いた症状を、
店の作業の種類に分けます。分けた結果は修理の台帳に書かれ、担当が確かめます。
【入力】
- 症状(受付の担当がお客様の話を聞いて書いたもの):{symptom}
- 車種:{bike_type}/タイヤの寸法:{tire_size}/電動アシスト:{is_ebike}
- 作業の表(作業の番号|作業の名前|よく言われる症状の言い方):
{work_table}
【すること】
- 症状の文に当てはまる作業の番号を works に入れる。症状が複数あれば複数。
- code:作業の番号。
- quote:その作業の根拠にした症状の文をそのまま写す。
- 症状から作業を1つに決められないときは、その症状を点検(INS)にする。
- 電動アシストで、バッテリー、モーター、手元の表示の不具合が書かれていれば
maker_check を true にする。
【厳守事項】
- 安全かどうか、軽い症状かどうか、直るかどうかを書かないでください。
- 工賃、時間、仕上がりの日、部品の在庫について書かないでください。
- 書かれていない症状の作業を足さないでください。
- 作業を1つに決められないときに、近い作業に決めないでください。点検にしてください。
「近い作業に決めないで、点検に」を書かないと、AIは決めてしまいます。 「こぐと重い」をチェーンの交換に決めると、台帳の工賃と仕上がりの日がその作業で出て、受付の担当がその金額を伝えます。 修理の後で金額が変われば、お客様の不満になります。
quote を作業ごとに写させるのは、受付の担当が確かめる速さのためです。 タブレットで台帳の行を見たとき、作業の名前の横に症状の文が並んでいれば、 1目で当否が分かります。
受付の控えの文面は、別のステップで短く指示します。
次の内容で、自転車の修理の受付の控えのメールを作ってください。台帳の値だけを使ってください。
- 受付の番号:{ticket}/お名前:{name}
- 作業:{work_names}/工賃の目安:{labor}(部品代は別)
- 仕上がりの目安:{ready_date}/部品:{parts_status}
目安であり、点検の結果で作業と金額が変わる場合は、作業の前にご連絡することを1文添えてください。 出力形式を固定する
AI by Zapier の出力項目で、次の形に決めます。
{
"works": [
{ "code": "PUN", "quote": "後ろのタイヤがすぐぺちゃんこになる" },
{ "code": "BRK", "quote": "ブレーキを握るとキーッと鳴る" }
],
"maker_check": false
}
1つ目の理由は、作業の番号がそのまま式の鍵になることです。 台帳の行の式は、works の番号で作業の表を引きます。AIの出力で式が読むのは番号だけなので、出力が少し崩れても影響の範囲が分かります。番号は Formatter でカンマ区切りの文字列にして1つの列に書き、式で分けて引きます。
2つ目は、点検(INS)が番号として出ることです。 番号に INS が含まれれば、式は仕上がりの日を「点検の後に連絡」と出し、 Paths で整備の担当に知らせます。
3つ目は、maker_check で分岐できることです。 true なら、整備の担当がメーカーの点検に出すかを決めます。お客様には、受付の時点で「メーカーの点検になる場合がある」と伝えます。
Paths の分岐は、条件が重ならないように書きます。 公式のヘルプでは、条件に合う分岐はそれぞれ動きます。 「点検がある」「取り寄せがある」「メーカー点検の候補」を別々の分岐にすると、整備の担当に何通も届きます。3つを「または」でつないだ1つの分岐にし、残りを Fallback の分岐で受付の控えに回します。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Google フォーム | New Form Response(トリガー) | 店頭の受付を受ける |
| Google スプレッドシート | Create Spreadsheet Row、Lookup Spreadsheet Row | 台帳の行を書き、式の結果を読む |
| Google スプレッドシート | Updated Spreadsheet Row(トリガー) | 完了の時刻が入った行を受ける |
| Twilio | Send SMS | 完了の連絡 |
| Gmail | Create Draft | 受付の控えの下書き |
| Gmail | Send Email(宛先は店の中に固定) | 整備の担当への知らせ |
完了の SMS の文面には、店の電話番号を入れません。 Twilio の日本向けの SMS の案内では、メッセージの本文に電話番号を入れることは認められないとされています。文面は「◯◯自転車店です。受付番号◯◯の修理が完了しました。営業時間内にお引き取りください」のように、店の名前と受付の番号と営業時間だけにします。問い合わせ先は、受付の控えに書いておきます。
SMS の送信の結果は、台帳に書き戻します。 Send SMS のステップの後に Google Sheets の Update Spreadsheet Row を置き、送った時刻と送信の状態を、その行の「連絡」の列に書きます。 ステップが失敗したときは、Zapier の失敗の知らせを店のアドレスに届くようにしておき、担当が電話に切り替えます。
送り元の名前は、店の名前の英字にします。 Twilio の案内では、日本向けには英数字の送信者 ID が国際の経路で登録なしに使え、国内の経路は事前の登録が要るとされています。どちらの経路で送るかは、Twilio の担当と決めます。文面は日本語なので、1通の文字数を短く保ちます。
人が確認する
受付の担当が、台帳の行を見てからお客様に目安を伝えます。
- 作業を見る … 作業の名前と
quoteを並べ、症状と合っているかを見ます - 在庫と仕上がりを見る … 取り寄せなら、その日数を含めた仕上がりの日を伝えます
- 控えを送る … 下書きの内容を確かめて送ります。メールの無いお客様には紙の控えを渡します
- 荷札を付ける … 受付の番号を書いた荷札を自転車に付けます
整備の担当は、回ってきた行を判断します。 点検の行は自転車を見て作業を決め、作業と金額が受付の目安から変わるときは、作業の前にお客様に電話で了承を取ります。 追加の作業も同じです。
引き取りのときは、台帳の行で最終の金額と作業を確かめて渡します。 整備の担当が書いた最終の金額が受付の目安と違えば、了承を取った記録があるかを見てから会計します。記録が無ければ、整備の担当に確かめます。
目標は、360台をならして1台1分です。 見立てのつく修理は見比べて伝えるだけで、点検と取り寄せの修理に時間がかかります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 見立てがつかない(点検) | 整備の担当へ。仕上がりの日は点検の後に連絡と伝える |
| 部品の在庫が無い | 取り寄せの日数を足した仕上がりの日を伝える |
| 電動アシストの不具合 | 整備の担当がメーカーの点検に出すかを決める |
| 点検で作業と金額が変わる | 整備の担当が作業の前にお客様の了承を取る |
| 固定電話の番号 | SMS 不可の印。完了の連絡は担当が電話する |
| SMS が届かない | Twilio の送信の結果を台帳に書き、届かなければ担当が電話する |
| 完了の後に追加の作業 | 状態を戻し、作業の後に完了の時刻を入れ直す(新しい値なので連絡が出る) |
| AIのステップが失敗する | 台帳の行だけを書いて整備の担当へ。これまでどおり聞いて見立てる |
7行目は、完了の時刻を見張っているから成り立ちます。 状態の列を見張っていたら、2回目の「完了」では連絡が出ません。 第7章のトリガーの設計が、ここで効きます。
記録を残す
- 修理の台帳(受付の日時、症状、AIの出力の全文、式の結果、状態、最終の金額)
- 受付の担当が作業を直した記録 … どの作業を、何に変えたか
- 点検の結果と、お客様の了承を取った日時
- 完了の時刻と、SMS の送信の結果
- 引き取りの日
2つ目は、作業の表の言い方を足す材料です。 同じ言い方で作業が直されているなら、その言い方を作業の表の「よく言われる症状の言い方」の列に足します。
4つ目と5つ目の差は、店の奥に置かれている日数です。 完了から引き取りまでが長いお客様には、担当が電話をかけます。 台帳で日数を式で出し、色を付けておきます。
04実装レベルの3段階
最小構成は、確かめるための段階です。 月360台には使えません。 半自動化で、1台5分が2分程度になります。 見立てと在庫の確かめが無くなり、控えと完了の電話が残ります。本格構成で1分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、式の仕上がりの日と実際の仕上がりを並べると、作業の表の目安の時間のずれが分かります。それを直してから控えと SMS をつなぎます。
05工数削減シミュレーション
導入後 360件 × 1分 ÷ 60 = 6 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 通学・通勤の自転車や電動アシスト自転車の修理を店頭で預かる自転車店で、月に数百台の修理を受け、受付の担当によって作業の見立てや仕上がりの伝え方がばらつく場合。部品の在庫を棚で確かめてから目安を伝えていて、受付に時間がかかる場合。完了の電話がつながらない、かけ忘れる、といったことで引き取りが遅れる場合。
- 修理が月に数十台で、整備の担当が自分で受付から完了の連絡までしている場合。修理の大半がその場で終わる空気入れや簡単な調整で、預かりがほとんど無い場合。スポーツ車の組み付けや改造が中心で、作業の種類を表で決められない場合。なお、自転車の安全に関わる不具合の診断と、追加の作業を行うかの判断は、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 先月の受付票から30枚を選ぶ(パンク、ブレーキ、変速、「こぐと重い」のような曖昧な症状、電動アシストの不具合を混ぜる)
- 作業の表を、作業の番号・名前・よく言われる症状の言い方の3列で作る
- 手元のAIサービスに表と症状1件を貼り、「症状を作業の番号に分けて。決められなければ点検にして。金額や安全かどうかは書かないで」と指示する
- 出てきた作業を、受付票に整備士が書いた実際の作業と並べて見る
30枚は必ずやってください。 Zap を組む前に、「症状の書き方から、作業の種類が取れるのか」を確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 実際の作業と同じ種類になる | 表の式と Zap を組む段階に進む |
| 曖昧な症状を近い作業に決める | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 作業の種類を決められないものが多い | 作業の表の症状の言い方を足すのが先 |
3行目は珍しくありません。 整備士の頭の中の言い方が、まだ表に出ていないということです。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 曖昧な症状を近い作業に決める | 決められなければ点検と指示する |
| 「軽い症状」と書いて担当が伝える | 安全かどうか、軽いかどうかを書かせない |
| 2回目の完了で連絡が出ない | 前に見た値では動かない。 状態ではなく完了の時刻を見張る |
| 完了の時刻を入れ忘れる | チェックボックスで時刻が入る形にする |
| SMS に店の電話番号を書く | 本文に電話番号は入れられない。 店の名前と受付の番号だけにする |
| 固定電話に SMS を送ろうとする | 前処理で SMS 不可の印を付け、担当が電話する |
| 寸法違いで在庫ありと出る | タイヤの寸法を選択式にし、在庫の表と同じ書き方にする |
| 在庫の表の数が棚と合わない | 部品を使ったら台帳から在庫の表を減らす式にし、週に1回棚と合わせる |
| パンク修理の目安で金額が変わる | 作業の表に交換のときの工賃も並べ、幅で伝える |
| 2台の預かりで連絡が2回届く | 同じ電話番号の預かりに印を付け、整備の担当がまとめる |
| 目安を引くと空になる | 台帳の行を書いた後に同じ行を引く |
| 整備の担当に何通も届く | 条件に合う分岐はそれぞれ動く。 1つの分岐にまとめる |
| AIのステップの既定が Premium | 段階を選び直す |
上の2行が、お客様に誤った目安を伝える失敗です。 どちらも、AIが自転車を見ずに言い切ることから起きます。点検に分け、言い切りを禁じます。
次の2行は、完了の連絡が漏れる失敗です。 連絡の漏れを無くすための構成で連絡が漏れては意味がありません。見張る列の選び方を最初に決めておきます。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: お客様の名前、電話番号、メール、自転車の車種と症状です。通学の自転車では、生徒の名前と連絡先が入ることがあります。
- AI に渡す項目を限る … 分類に要るのは症状と車種とタイヤの寸法だけです。名前、電話番号、メールは渡しません
- 安全の判断を AI にさせない … ブレーキやフレームの状態は整備士が見て伝えます。受付の目安は作業の種類と表の値だけです
- 追加の作業は了承を取ってから … 点検で作業と金額が変わるときは、作業の前にお客様に電話で了承を取ります
- SMS の文面を決めた形に限る … 完了の連絡は店の名前・受付の番号・営業時間だけにし、AIの出力を入れません
- 台帳の共有の範囲を決める … 台帳には連絡先が並びます。店のアカウントで開くタブレットと、店員だけが開けるようにします
- 使うモデルの事業者を決める … AI by Zapier は、Zapier が用意するモデルのほか、自前のキーで事業者をつなぐ形も選べます。どの事業者に症状の文を渡すかを決めて記録します
生徒の自転車でも、AIに渡すのは症状の文だけです。 名前や学校名をAIの入力に入れない設計にしておけば、誰の自転車かがAIの事業者に渡りません。
誤りが起きた場合のリスクは、誤った目安を伝えて修理の後で金額が変わることと、完了の連絡が漏れて自転車が置かれたままになることの2つです。 前者は点検の分け方と担当の見比べで、後者は完了の時刻の見張りと SMS 不可の印で止めます。
10まず何から始めるか
1週目:作業の表を作る
店の作業を十数の種類に分け、整備士に、受付でよく聞く症状の言い方を挙げてもらって行に書きます。目安の時間と工賃、使う部品の種類も書きます。「点検」の行を必ず作ります。
2週目:30枚で試す
先月の受付票30枚の症状を手元のAIサービスに貼り、作業の種類を出させます。曖昧な症状を点検に分けているか、安全について言い切っていないかを最優先で見ます。
3週目:台帳と式を作る
修理の台帳を作り、目安の時間・工賃・部品の在庫・仕上がりの目安の日の式を置きます。在庫の表のタイヤの寸法の書き方を、フォームの選択肢と同じにそろえます。
4週目:受付の Zap をつなぐ
タブレットのフォームで台帳に書き、目安を引いて整備の担当へ回すところまで作ります。この時点では完了の連絡はこれまでどおり電話です。
2か月目: 受付の控えの下書きと、完了の時刻で SMS を送る Zap を足します。3か月目以降: 作業を直した記録から表の言い方を足し、1台5分が何分になったかを実測します。受付で整備士を呼ばずに目安を伝えられ、完了の連絡の漏れが無くなった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Google Forms の New Form Response のトリガー | Zapier: Google Forms integrations | 2026-10-26 |
| Google Sheets の Create Spreadsheet Row、Update Spreadsheet Row、Lookup Spreadsheet Row、Updated Spreadsheet Row(既存の行が更新されたとき。新しい行では動かない)の操作 | Zapier: Google Sheets integrations | 2026-10-26 |
| Twilio の Send SMS(1つ以上の番号に SMS を送る)の操作 | Zapier: Twilio integrations | 2026-10-26 |
| Gmail の Create Draft、Send Email の操作 | Zapier: Gmail integrations | 2026-10-26 |
| AI by Zapier が Professional・Team・Enterprise で使えること。Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)と自前のキー。出力項目を決められること | Zapier Help: AI by Zapier | 2026-10-26 |
| Paths の分岐が左から順に評価され、条件に合う分岐がそれぞれ動くこと。Fallback の分岐。Paths と Filter がタスクに数えられないこと | Zapier Help: Paths | 2026-10-26 |
| Updated Spreadsheet Row が見張る列の新しい値だけを拾い、前に見た値に戻しても動かないこと。一意の値の列か補助の列を勧めていること | Zapier Help: Updated Spreadsheet Row trigger isn't working | 2026-10-26 |
| 日本向けの SMS で、英数字の送信者 ID が国際の経路では登録なしで使え、国内の経路は事前の登録が要ること。本文に電話番号を入れられないこと。固定電話の番号には送れないこと。UCS-2 に対応すること | Twilio: Japan SMS Guidelines | 2026-10-26 |
自転車の安全に関わる不具合の診断と、追加の作業を行うかの判断は、整備士がお客様の了承を得て行ってください。 本記事は Zapier と Twilio の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
自社の業務に使えるAI活用候補を整理します
このユースケース(UC-1892)についてのご相談はこちらから。
