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映画館が配給会社から届く作品資料から、上映作品の紹介文・SNSの告知文・館内の掲示の文案を Azure OpenAI で作り、ネタバレと表記の誤りを点検する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

配給会社から届く作品資料から、公式サイトの作品紹介文・SNSの告知文・館内の掲示の文案を Azure OpenAI で作ります。あわせて、物語の後半に当たる内容が入っていないか、作品名・区分・権利の表記が資料と一致しているかを点検します。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
Power Automate
対象業界
その他/広告
対象部門
マーケティング
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
67%
年間削減
240h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 共有フォルダに届いたプレス資料を開き、解説・物語・キャスト・スタッフを読む
  2. 宣伝の注意事項を読み、使ってよい物語の範囲、使えない写真、情報の解禁日時を確かめる
  3. 公式サイトの作品紹介文を書く
  4. SNSの告知文を、上映開始の告知と前売りの案内の2本書く
  5. 館内の掲示の文を、ひな形に合わせて書く
  6. 作品名・人名・上映時間・区分・権利の表記を、資料と見比べる
  7. 課長が読み、公開の予約をする
導入後(After)
  1. 人宣伝担当が、プレス資料の「物語」の欄で、宣伝に使ってよい範囲に印を付ける
  2. 自動資料の保存と印付けの完了を起点に、処理が動く
  3. 自動資料から、表記の欄(作品名・副題・人名・上映時間・区分・権利の表記)を取り出して表にする
  4. 自動Azure OpenAI が、使ってよい範囲の資料と館の上映の予定から、3種類の文案を作る
  5. 自動文案の中の表記を、3番目の表と照合する
  6. 自動Azure OpenAI が、物語の後半の資料と文案を突き合わせ、後半の内容に当たる箇所を挙げる
  7. 人宣伝担当が、点検の結果を見て文案を直す
  8. 人課長が読み、公開の予約をする
各工程の詳しい説明を読む
  1. 共有フォルダに届いたプレス資料を開き、解説・物語・キャスト・スタッフを読む
  2. 宣伝の注意事項を読み、使ってよい物語の範囲、使えない写真、情報の解禁日時を確かめる
  3. 公式サイトの作品紹介文を書く
  4. SNSの告知文を、上映開始の告知と前売りの案内の2本書く
  5. 館内の掲示の文を、ひな形に合わせて書く
  6. 作品名・人名・上映時間・区分・権利の表記を、資料と見比べる
  7. 課長が読み、公開の予約をする

(a)読む資料が長い。 プレス資料は作品の解説、監督の言葉、俳優の紹介まで含めて数十ページあることもあります。3種類の文に使うのはその一部ですが、どこを使うかを決めるために全部を読みます。

(b)物語の後半が紛れ込む。 担当者は資料を最後まで読んでいるので、結末を知ったうえで紹介文を書くことになります。 「衝撃の結末」「彼の正体は」と書くつもりがなくても、後半で明かされる人物の関係を、前提のように書いてしまうことがあります。

(c)表記の誤りは、見比べても見落とす。 作品名の中の中黒と全角スペース、俳優の名前の異体字、副題のダッシュの種類。6番目で見比べても、似た字は目が滑ります。 区分を R-15 と書く誤りも、旧い書き方に慣れた人ほど起きます。

(d)3種類の文がそれぞれ別に書かれる。 紹介文とSNSと掲示を別の担当が書くと、上映時間や上映開始日が1つだけ違うことが起きます。館ごとに上映開始日がずれる作品では、館の数だけ日付を書き換えるので、1館だけ前の日付が残ることがあります。

(e)掲示の言葉の強さに気づきにくい。 公式サイトの紹介文を縮めて掲示に使うと、R15+ の作品の強い言葉がそのままロビーに出ます。ロビーには、別の作品を観に来た子どもも通ります。

  1. 【人】 宣伝担当が、プレス資料の「物語」の欄で、宣伝に使ってよい範囲に印を付ける
  2. 【自動】 資料の保存と印付けの完了を起点に、処理が動く
  3. 【自動】 資料から、表記の欄(作品名・副題・人名・上映時間・区分・権利の表記)を取り出して表にする
  4. 【自動】 Azure OpenAI が、使ってよい範囲の資料と館の上映の予定から、3種類の文案を作る
  5. 【自動】 文案の中の表記を、3番目の表と照合する
  6. 【自動】 Azure OpenAI が、物語の後半の資料と文案を突き合わせ、後半の内容に当たる箇所を挙げる
  7. 【人】 宣伝担当が、点検の結果を見て文案を直す
  8. 【人】 課長が読み、公開の予約をする

1番目が、この設計の分かれ目です。 どこまでが宣伝に使ってよい範囲かは、配給会社の注意事項と資料の書き方で決まり、AIには判断させません。 宣伝担当が資料の「物語」のどこで線を引くかを決め、そこから先は文を作るAIに渡りません。

4番目と6番目を別のAIの呼び出しにしているのも、意図してのことです。 同じ呼び出しで「後半を見て、後半を書かないで」と頼むと、後半を知ったAIが文を書くことになります。 人が資料を最後まで読んで書いていた(b)と同じ形を、AIで繰り返さないためです。

5番目の表記の照合を、ネタバレの点検より先に置いているのは、直しの順番のためです。 表記の誤りは機械的に直せますが、ネタバレの点検の結果を見て文を書き直すと、直した文の表記をもう一度確かめることになります。 照合の結果は、宣伝担当が直した後にもう一度かけます。

02今回想定するシステム構成

構成図
配給会社のプレス資料(PDF・Word)、宣伝の注意事項、館の上映の予定
   │  宣伝担当が「物語」の使ってよい範囲に印を付ける
   ▼【トリガー】共有フォルダへの保存と印付けの完了
Azure Functions
   ├──▶ 資料を「使ってよい範囲」「後半」「表記の欄」に分ける
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)①── 使ってよい範囲だけで3種類の文案(構造化出力)
   ▼
Azure Functions ── 表記の照合(作品名・人名・上映時間・区分・権利の表記)
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)②── 後半の資料と文案の突き合わせ(構造化出力)
   ▼
【宣伝担当が点検の結果を見て直す → 課長が確認】
   ▼
公式サイトの管理画面・SNSの予約投稿・館内の掲示のひな形へ(人が貼る)
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude API、Gemini API
連携Azure Functions(資料の分割、表記の照合、2回の呼び出しの順番)Power Automate
保管自社の共有フォルダ・文書管理SharePoint

公式サイトとSNSへは、この構成から投稿しません。 文案は宣伝担当が確認し、課長が読んだうえで、人がいつもの管理画面に貼って予約します。 情報の解禁日時より前に誤って出る経路を、最初から作りません。

生成AIには Azure OpenAI(Microsoft Foundry)を使い、構造化出力で受け取ります。 公式のページでは、Chat Completions API では response_format に、Responses API では text.format にスキーマを定義するとされています。すべてのフィールドを必須にし、オブジェクトには additionalProperties: false を設定します。 3種類の文案と点検の結果を、決まった欄で受け取ります。

気をつけたいのは、既定の安全の仕組みです。 Microsoft Foundry の既定の安全方針(DefaultV2)では、ヘイトと公平性・性的・暴力・自傷の4つの分類について、プロンプトと出力の両方で、重大度が中以上のものをブロックするとされています。創作の文脈の暴力の描写は低に当たる例が示されていますが、分類のモデルには誤検知も見逃しもあるので、代表的な内容で評価するよう求めています。犯罪映画やホラー映画の物語の資料は、入力の段階で止まることがあります。 第7章の例外処理で扱います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、プレス資料の保存と、宣伝担当の印付けの完了です。 資料が保存されただけでは動かしません。「物語」のどこまでを使ってよいかが決まる前に文案を作ると、後半を含んだ資料で文が作られます。

印付けは、資料の「物語」の欄の段落ごとに「使う」「使わない」を選ぶ簡単な画面で行います。配給会社の注意事項に「後半は使わない」とあれば、その段落から先を「使わない」にします。 注記が無い資料でも、物語が結末まで書かれていれば、宣伝担当が線を引きます。

上映の予定が変わったときは、文案を作り直します。 上映開始日や上映形式(字幕・吹替)が変わったら、表記の表を作り直し、3種類の文案のうち日付と形式に触れる欄を作り直します。

再上映の作品は、前に作った文案から始めません。 前の上映のときと配給会社や権利の表記が変わっていることがあるので、新しく届いた資料で表記の表を作り直します。 前の文案は、宣伝担当が見比べる材料として画面に並べるだけにします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
プレス資料作品の解説、物語、キャスト・スタッフ、上映時間、製作国、区分、権利の表記配給会社から届く共有フォルダ
宣伝の注意事項使ってよい物語の範囲、使えない写真、情報の解禁日時、表記の指示配給会社の案内
印付けの結果「物語」の段落ごとの「使う」「使わない」宣伝担当が画面で付ける
館の上映の予定上映する館、上映開始日、上映形式、前売りの有無館の上映の予定表
文の型紹介文・SNS・掲示それぞれの字数と書き方の決まり宣伝課が作る

質を決めるのは、表記の欄の取り出しです。 作品名・副題・人名・上映時間・区分・権利の表記は、プレス資料の原文から一字も変えずに取り出し、照合の基準にします。 資料の中で表記が揺れている(表紙とスタッフ欄で副題の記号が違う)ことがあり、そのときは配給会社に確かめます。

区分は、映倫の4つの区分のどれかです。 映倫の「映画4区分の概要」では、G(年齢にかかわらず誰でも観覧できる)、PG12(12歳未満の年少者の観覧には親又は保護者の助言・指導が必要)、R15+(15歳以上。15歳未満は観覧禁止)、R18+(18歳以上。18歳未満は観覧禁止)とされています。表記の表には、この4つのどれかを原文の書き方で入れます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
物語の段落プレス資料の「物語」の欄印付けの単位。使う段落だけを文案の入力に
解説・監督の言葉プレス資料の解説の欄紹介文の材料
表記の欄表紙、作品データの欄、権利の表記照合の基準
解禁日時宣伝の注意事項公開の予約の日時の確認
上映の予定館の上映の予定表上映開始日、形式、館の名前

プレス資料は、PDFかWordから文字を取り出します。 段落の区切りを残して取り出し、「物語」の欄を段落ごとに番号を付けて分けます。画像に文字が埋め込まれた資料は、文字が取れないことがあり、 そのときは宣伝担当に知らせて、配給会社に文字の入った版を頼みます。

解禁日時は、文案の欄ではなく、確認の画面の一番上に出します。 公開の予約をするのは人なので、予約の前に必ず目に入る場所に置きます。

館ごとの違いは、文案を作った後に差し込みます。 8館のうち上映する館、館ごとの上映開始日、字幕と吹替のどちらか、といった違いは、{theater} {start_date} {format} の印で文案に置かせ、館ごとに上映の予定表から入れます。館の数だけAIを呼ばないので、館ごとに言い回しが違う文案ができません。 1つの作品の紹介文は、どの館の作品ページでも同じ文になります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 資料の文字を取り出す … PDFかWordから、段落と見出しを残して取り出します
  2. 「物語」を段落に分ける … 段落ごとに番号を付け、印付けの画面に出します
  3. 印付けで2つに分ける … 「使う」段落を文案の入力に、「使わない」段落を点検の入力に分けます。「使わない」段落は、文案を作る呼び出しには渡しません
  4. 表記の表を作る … 作品名・副題・人名(役名と俳優名の組)・上映時間・区分・権利の表記を、原文のまま表にします
  5. 表記の揺れを確かめる … 資料の中で同じ欄の表記が2通りあれば、照合を止めて宣伝担当に回します
  6. 上映の予定を結び付ける … 館の上映の予定表から、館・上映開始日・形式を引きます

3番目を、この構成で最も大事な前処理として扱います。 文案を作る呼び出しの入力には、「使う」段落と解説の欄と上映の予定だけを入れ、「使わない」段落は、プログラムの側で入力から外します。 AIに「後半は書かないで」と頼むのではなく、後半を渡さないことで守ります。

Step5

AIに処理させる

させることは2つです。 1つは使ってよい範囲の資料から3種類の文案を作ること、もう1つは後半の資料と文案を突き合わせて、後半の内容に当たる箇所を挙げることです。

見るものさせること判断できないときの扱い
物語の「使う」段落と解説紹介文・SNS・掲示の文案を作る材料が足りなければ短く書き、notes に足りないことを書く
表記の欄文案に {title} などの差し込みの印を置く表記を自分で書かない
文案と「使わない」段落後半で明かされる事実・人物の関係・結末に当たる表現を挙げる迷えば挙げる
文案の表現の強さ掲示に、残酷な描写などの強い言葉が入っていないかを挙げる迷えば挙げる

2行目が、表記の誤りを止める仕組みです。 文案には作品名や俳優の名前を直接書かせず、{title} {cast_1} のような印を置かせます。印をプログラムが表記の表の原文に置き換えるので、AIが字を「整える」余地がありません。

4行目は、館内の掲示のためです。 映倫の「映画宣伝広告審査基準」では、題名・基本宣材は各種媒体でさまざまに使われるため原則としてG区分の基準を適用するとされ、予告篇・特報も予備知識なく年少者も接するため原則としてG区分の基準に適したものとされています。館内の掲示はこの基準の審査の対象そのものではありませんが、ロビーで子どもも目にするという事情は同じです。 R15+ の作品でも、掲示の言葉は穏やかにします。

させないこと理由
使ってよい範囲の判断配給会社の注意事項と資料で決まる。宣伝担当が決める
作品名・人名・区分・権利の表記一字の違いが誤り。原文をプログラムで差し込む
評価や受賞の書き足し資料に無い評判や賞を書くと、虚偽の表現になる
文案の公開解禁日時と配給会社の確認が要る。人が予約する

3行目が起きやすい失敗です。 AIは紹介文を魅力的にしようとして、「話題沸騰」「各国で絶賛」と書き足します。映倫の宣伝広告審査基準では、虚偽の表現を用いて観客に誤解を与えないよう注意することが遵守事項に挙げられています。資料に書かれた評判だけを使わせます。

Step6

指示内容を固定する

【文案の作成】

あなたは映画館の宣伝担当として、上映作品の文案を作ります。
渡す資料だけを使ってください。資料に無いことを書かないでください。

【作る文案】
- site_intro: 公式サイトの作品紹介文。280〜320字
- sns_start: 上映開始の告知。120字以内。ハッシュタグは付けない
- sns_advance: 前売りの案内。120字以内(前売りが無ければ空)
- lobby: 館内の掲示の文。見出し20字以内と本文150字以内

【表記の決まり】
- 作品名は {title}、副題は {subtitle}、俳優名は {cast_1} {cast_2} …、
  監督名は {director} と書いてください。名前を直接書かないでください。
- 上映時間・区分・権利の表記は書かないでください。後で差し込みます。

【禁止事項】
- 資料に無い評判・受賞・興行の成績を書かないでください。
- 「衝撃の結末」「驚きの正体」など、物語の後半を示唆する言葉を使わないでください。
- lobby には、残酷な暴力・流血・性的な描写を思わせる言葉を使わないでください。
  子どもも目にする場所に掲示します。
- 材料が足りないときは短く書き、notes に足りないことを書いてください。

【作品の資料(宣伝に使ってよい範囲)】{allowed_story} {commentary}
【上映の予定】{schedule}

【ネタバレの点検】

あなたは映画館の宣伝の点検担当です。
文案に、物語の後半の内容が入っていないかを確かめます。

【点検すること】
- 文案の各文について、次の「後半の資料」で初めて明かされる事実・人物の関係・
  結末・正体に当たる表現が含まれていないかを確かめてください。
- 当たる表現があれば、文案の一節をそのまま snippet に写し、
  後半の資料のどの段落に当たるかを paragraph_no に書いてください。
- 迷うものも挙げ、level を "possible" にしてください。
- 当たる表現が無ければ、findings を空にしてください。

【しないこと】
- 文案を書き直さないでください。
- 後半の資料の内容を、点検の結果の文に写さないでください。
  段落の番号だけを書いてください。

【文案】{drafts}
【後半の資料】{restricted_story}

点検の指示で「後半の内容を写さない」と書くのは、点検の結果を読む人のためです。 宣伝担当は資料を読んでいますが、課長やほかの担当が点検の画面を見て結末を知る必要はありません。 段落の番号だけで、宣伝担当は資料のどこかが分かります。

「迷うものも挙げる」と書くのは、取りこぼしのほうが重いからです。 挙げすぎたものは宣伝担当が外せますが、公開された紹介文の一行で結末が分かってしまうと、取り消せません。

Step7

出力形式を固定する

文案は、次の形のJSONで受け取ります。

{
  "site_intro": "{director}監督が描く、港町の小さな写真館の一年。…",
  "sns_start": "{title}、本日から上映です。{cast_1}が演じる…",
  "sns_advance": "",
  "lobby": { "heading": "港町の写真館で、もう一度", "body": "…" },
  "notes": ["前売りの有無が上映の予定に無い"]
}

点検の結果は、次の形で受け取ります。

{
  "spoiler_findings": [
    { "draft": "site_intro", "snippet": "実の父だと知った彼は", "paragraph_no": 7, "level": "likely" }
  ],
  "tone_findings": [
    { "draft": "lobby", "snippet": "血に染まった", "reason": "流血を思わせる" }
  ]
}

1つ目の理由は、差し込みの印で表記を守れることです。 文案に {title} が無いのに作品名らしき文字列があれば、AIが直接書いたということです。プログラムで表記の表の原文以外の作品名の書き方を探し、見つかれば印を付けます。

2つ目は、点検の結果を文案の欄と結び付けられることです。 draft と snippet で、宣伝担当は画面の文案のどこを直せばよいかが一目で分かります。

スキーマの制限に合わせます。 公式のページでは、文字列の minLength・maxLength は使えないとされています。字数の決まりは指示で伝え、受け取った後にプログラムで数えます。 字数を超えた欄は、画面に字数を赤く出します。

確認の画面は、次のような形で出します。

【解禁日時】2026-11-20 05:00(この日時より前に予約しない)
【表記】作品名 一致/俳優名 一致/区分 R15+(差し込み済み)/権利の表記(差し込み済み)
【ネタバレの点検】1件(site_intro「実の父だと知った彼は」→ 物語の第7段落)
【表現の点検】1件(lobby「血に染まった」)
【字数】site_intro 304字/sns_start 98字/lobby 見出し 14字・本文 141字
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有フォルダ保存の検知プレス資料と宣伝の注意事項の受け取り
印付けの画面自社で用意する簡単な画面「物語」の段落ごとの「使う」「使わない」
Azure OpenAIChat Completions API(2回)文案の作成と、ネタバレの点検
館の上映の予定表読み取り館・上映開始日・形式
公式サイト・SNS・掲示のひな形人が貼る確定した文案

2回の呼び出しは、必ず別のやり取りにします。 1回目の会話の続きで2回目を頼むと、後半の資料が文案の作成と同じ文脈に入ります。会話の履歴を持たない Chat Completions API を、それぞれ1回ずつ呼びます。

Step9

人が確認する

人が確かめるのは、すべての作品です。 文案は公開の前に、必ず宣伝担当と課長が読みます。

  1. 解禁日時を確かめる … 画面の一番上の日時を見て、予約をその後に置きます
  2. ネタバレの点検の結果を見る … likely は必ず直し、possible は資料の該当の段落と見比べて決めます
  3. 表現の点検の結果を見る … 掲示の言葉を直します
  4. 字数と表記の照合の結果を見る … 表記が「一致」でない欄があれば、資料の原文で直します
  5. 課長が読む … 文案と点検の結果を一緒に読み、公開の予約を承認します

2番目で possible を外すかどうかは、宣伝担当が決めます。 「港町を離れる決意をする」が物語の前半のことか後半のことかは、資料を最後まで読んだ担当でないと決められません。

目標は1本15分です。 解禁日時と表記の確認に3分、ネタバレと表現の点検の結果を見て直すのに7分、課長の確認に回すまでに5分という見込みで、第10章はこれに合わせています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
入力が安全の仕組みで止まる(HTTP 400、content_filter)物語の段落を減らして作り直す。それでも止まれば、宣伝担当が書く
出力が安全の仕組みで止まる(finish_reason が content_filter)文案を使わず、宣伝担当が書く
資料から文字が取れない配給会社に文字の入った版を頼む
資料の中で表記が揺れている照合を止め、配給会社に正しい表記を確かめる
印付けが済んでいない文案を作らず待つ
文案に差し込みの印が無い作品名がある印を付け、宣伝担当が直す
字数を超える画面に赤く出し、宣伝担当が削る
上映の予定が変わった日付と形式に触れる欄を作り直す
本篇の審査がまだで区分が決まっていない区分の欄を空にし、区分が決まるまで公開しない

上の2行は、犯罪映画やホラー映画で起きます。 既定の安全方針は重大度が中以上を止める設定で、物語の資料の暴力の描写が強いと、入力の段階で止まります。 安全の仕組みの設定を変えることは、Microsoft の公式のページでは制御ごとに構成の可否と承認の要否が違うとされています。まずは段落を減らして試し、止まる作品は人が書く、という運用で始めます。

最後の行は、映倫の審査の流れによるものです。 映倫の審査の流れのページでは、ポスター・チラシなどの基本宣材について、区分マークは本篇審査済ならば必ず表示し、本篇審査前に制作する宣材には表示できないとされています。館の文案でも、区分が決まる前に区分を書きません。

Step11

記録を残す

  • 作品ごとのプレス資料と宣伝の注意事項、印付けの結果
  • 表記の表と、照合の結果
  • 2回の呼び出しの入力と出力(文案、ネタバレと表現の点検の結果)
  • 宣伝担当が直した箇所と、課長が承認した文案
  • 安全の仕組みで止まった作品と、止まった段階(入力か出力か)

最後の行は、作品の傾向を見るためです。 どんな作品で止まるかが分かれば、その種類の作品は最初から人が書く段取りにできます。

プレス資料の保存期間は、配給会社との取り決めに合わせます。 上映が終わった作品の資料を、いつまで社内に残してよいかを確かめておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:使う段落を Azure OpenAI の画面に貼り、文案と点検をさせる / 1本ごとの文案の下書き
半自動化:上記+印付けの画面と API の呼び出しで、文案と点検を自動で出す / 文案とネタバレの点検
本格構成:上記+表記の表と差し込み、照合、字数の検査、確認の画面まで自動にする / 文案・点検・表記の照合の全体

最小構成では、貼る手間と表記の確認が残ります。 1本ずつ画面に貼るので、月40本には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1本45分が25分程度になります。 文案と点検は自動で出ますが、作品名や俳優の名前の表記を人が資料と見比べる作業が残るためです。本格構成で15分になり、この段階が本記事の想定です。 差は、差し込みの印で表記をプログラムが入れることから出ます。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、配給会社ごとの資料の書き方と、止まりやすい作品の種類が分かります。それを見てから表記の表の取り出し方を決めるほうが、照合の空振りが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
40 件
1件あたり現在時間
45 分
1件あたり導入後時間
15 分
現在  40件 × 45分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 40件 × 15分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
20h
削減率
67%
年間削減時間
240h
年間金額換算(時間単価3,000円)
72万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の館を運営する映画館の会社や、作品の入れ替わりが多いミニシアターで、毎月数十本の新しい作品について公式サイト・SNS・館内の掲示の文を本部の少人数で書いている場合。配給会社のプレス資料がPDFやWordで届き、物語の結末まで書かれていることが多い場合。区分や権利の表記の誤りで、配給会社から修正を求められたことがある場合。Azure の契約があり、データを自社のテナントの中で扱う構成を取れる場合。
向いていない
  1. 上映作品が月に数本で、担当者が丁寧に書いて足りる場合。配給会社が館向けの紹介文をそのまま使える形で毎回渡しており、書き起こす必要が無い場合。文案をそのまま自動で公開したい場合(この構成は下書きと点検までで、公開の判断は代替しません)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月上映を始めた作品から10本を選ぶ(物語が結末まで書かれた資料と、犯罪映画かホラー映画を1本ずつ含める)
  2. 10本について、当時書いた紹介文・SNS・掲示の文を集める
  3. 物語の「使う」段落だけを、会社が契約している Azure OpenAI の画面に貼り、第7章の文案の指示で文案を作らせる
  4. 別の画面で、文案と「使わない」段落を貼り、ネタバレの点検をさせる
  5. 当時の文と並べ、使えるか、後半の内容が紛れていないか、止まった作品が無いかを見る

10本は必ず当時の文と並べてください。 ワークフローを組む前に、「後半を渡さずに作った文案が、宣伝に使える質になるか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の文と同じくらい使える共有フォルダとの連携に進む
評判や受賞を書き足した指示の書き方で直る。構成は有効
犯罪映画・ホラー映画で止まる安全の仕組みによる。 その種類は人が書く段取りにする

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、どの種類の作品をこの仕組みに任せられるかが分かったということです。 止まった作品は、物語の段落を2つか3つに減らして同じ手順をもう一度試し、どこまで減らせば通るかも記録しておきます。本格構成の例外処理の目安になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
文案に物語の後半が入る後半の段落を文案の入力に渡さない。 点検は別の呼び出しで
作品名や俳優名の字が変わる差し込みの印を置かせ、原文をプログラムで入れる
区分を R-15 と書く区分は書かせず、表記の表から差し込む
評判や受賞が書き足される資料に無いことを禁じ、確認で見る
犯罪映画・ホラー映画で止まる既定で重大度が中以上を止める。段落を減らし、止まれば人が書く
字数の制約がスキーマで書けないmaxLength は使えない。受け取った後に数える
点検の結果に結末が写る段落の番号だけを書かせる
2回の呼び出しが同じ文脈になる会話の続きで頼まず、別の呼び出しにする
掲示の言葉が強すぎる表現の点検を足し、子どもも目にすると指示する
区分が決まる前に区分を書く区分が空なら公開しない

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「AIに頼めば守ってくれる」と考えたときに起きます。後半は渡さない、表記は書かせない、という入力と出力の形で守ると、運用に乗ります。

5行目は、AIを入れて初めて見える問題です。 人なら書ける作品が、仕組みでは止まります。全部の作品をAIに任せる前提にせず、止まる作品の段取りを先に決めておきます。 止まった作品を人が書くときも、表記の表と差し込み、照合はそのまま使えます。仕組みの半分は、AIが止まっても働き続けます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 配給会社から預かった公開前の作品資料(物語の結末、未公開の写真の説明、解禁前の情報)と、館の上映の予定です。

  1. 配給会社の資料を預かり物として扱う … 公開前の資料は、配給会社が館の宣伝のために渡しているものです。AIのサービスに渡してよいかを、配給会社との取り決めで確かめてから始めます
  2. 後半の資料を広げない … 点検のために後半の資料をAIに渡しますが、点検の結果には段落の番号だけを残します。 課長やほかの担当の画面に結末が出ないようにします
  3. 解禁日時より前に出さない … 公開の予約は人が行い、確認の画面の一番上に解禁日時を出します
  4. 区分を正しく書く … 映倫の「映画4区分の概要」では、R15+ は15歳未満、R18+ は18歳未満の観覧が禁止とされています。区分の誤りは、観客の入場の案内の誤りにつながります。 表記の表から差し込みます
  5. 子どもが目にする掲示に配慮する … 映倫の宣伝広告審査基準では、題名・基本宣材に原則としてG区分の基準を適用し、映画を観覧しない年少者への影響に十分注意するとされています。館内の掲示も同じ考え方で言葉を選びます
  6. 安全の仕組みを安易に外さない … 止まる作品があっても、まずは人が書く運用で受けます。設定を変えるなら、変えた理由と範囲を記録に残します

誤りが起きた場合のリスクは、結末を明かしてしまうことと、表記や区分を誤って配給会社と観客に迷惑をかけることの2つです。 前者は後半を渡さない入力の形と点検で、後者は差し込みと照合で守ります。どちらもAIの注意に頼らず、仕組みの形で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:文の型を決める

紹介文・SNS・掲示の字数、書き方、使わない言葉を、宣伝課で文にします。これまで担当者の頭の中にあった決まりを、AIへの指示に写せる形にします。

2週目:10本で試す

先月の作品10本で、使う段落だけから文案を作り、別の画面で点検をします。後半の内容が紛れていないかと、評判の書き足しが無いかを最優先で見ます。 犯罪映画かホラー映画が止まるかも確かめます。

3週目:配給会社との取り決めを確かめる

プレス資料を Azure OpenAI に渡してよいかを、主な配給会社に確かめます。あわせて、表記の指示(作品名の記号、権利の表記)を配給会社ごとに一覧にします。

4週目:印付けの画面と文案の作成をつなぐ

共有フォルダの検知、印付けの画面、文案の作成までを作ります。この時点では表記の差し込みをせず、宣伝担当が表記を入れます。

2か月目: 表記の表の取り出しと差し込み、照合、ネタバレと表現の点検を足します。止まった作品の数を毎週数えます。3か月目以降: 1本45分が何分になったかを実測します。配給会社からの表記の修正の依頼がなくなり、ネタバレの点検で likely が出なくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-26/最終更新:2026-10-26
確認した内容情報源確認日
Chat Completions API と Responses API の両方で構造化出力が使え、それぞれ response_format・text.format でスキーマを定義すること。すべてのフィールドを必須にし additionalProperties: false を設定すること。文字列の minLength・maxLength が非対応であることMicrosoft Learn: Azure OpenAI で構造化出力を使用する方法2026-10-26
既定の安全方針(DefaultV2)が、ヘイトと公平性・性的・暴力・自傷の4つについて、プロンプトと出力の両方で重大度が中以上をブロックすること。創作の文脈の暴力の描写が低に当たる例として示されること。分類のモデルに誤検知・見逃しがあり、代表的な内容で評価するよう求めていること。日本語が学習・評価された言語に含まれること。入力が止まるとエラー、出力が止まると finish_reason が content_filter になること。制御ごとに構成の可否と承認の要否が違うことMicrosoft Learn: Default safety policies in Microsoft Foundry2026-10-26
G・PG12・R15+・R18+ の4区分と、それぞれの観覧の条件(PG12 は12歳未満に親又は保護者の助言・指導が必要、R15+ は15歳未満の観覧禁止、R18+ は18歳未満の観覧禁止)映倫: 映画4区分の概要(PDF)2026-10-26
題名・基本宣材に原則としてG区分の基準を適用すること。虚偽の表現を用いて観客に誤解を与えないよう注意すること。映画を観覧しない年少者への影響に十分注意すること。予告篇・特報が予備知識なく年少者も接するため原則としてG区分の基準に適したものとすること映倫: 映画宣伝広告審査基準(PDF)2026-10-26
基本宣材について、区分マーク(G・PG12・R15+・R18+)は本篇審査済ならば必ず表示し、本篇審査前に制作する宣材には表示できないこと映倫: 審査の流れ2026-10-26

宣伝に使ってよい範囲、表記、公開の日時は、配給会社の指示に従い、宣伝担当と課長が決めてください。 本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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