社外に出す文章の誤字と表記ゆれを社内ルールで一括チェックする
公開前の原稿と、自社で決めた表記ルールの一覧を入力に、誤字・脱字、表記ゆれ、文体の不統一、社名や商品名の誤りを指摘させる構成です。AIに文章を書き換えさせるのではなく、「どこが、どのルールに、どう反しているか」を一覧で返させます。
- 利用ツール
- ChatGPT/Claude/Gemini/Google Apps Script/Power Automate/Python
- 対象業界
- IT・SaaS/その他/人材/広告
- 対象部門
- マーケティング
- 対象業務
- 内容確認・チェック/書類作成
- 主な課題
- 属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
- AIで行う処理
- 校正
- 主な効果
- 品質標準化/工数削減/教育コスト削減
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 最小構成
- 費用感
- 既存ツールのみ(小)
- 人間の確認
- 必須
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 担当者またはライターが原稿を書く
- 別の担当者が原稿を頭から読む
- 誤字・脱字を探す
- 「お問い合わせ/お問合せ」「サーバー/サーバ」のような表記ゆれを探す
- 自社サービス名・他社名の表記が正しいかを確認する(正式名称、記号の有無)
- ですます調とである調が混ざっていないかを確認する
- 気になった箇所をコメントで書き込む、または直接直す
- 書いた人が直す
- 公開する
- 担当者またはライターが原稿を書く
- 自動機械的に判定できる項目を正規表現でチェックする(全角英数、半角カナ、記号の種類、社名の表記)
- 自動原稿と表記ルール一覧をAIに渡し、文脈が要る項目を指摘させる
- 自動ルール番号のない指摘、ルール一覧にない番号の指摘を捨てる
- 自動指摘を一覧にして、原稿の担当者に渡す
- 人担当者が指摘を1件ずつ見て、直すか無視するかを決める
- 人公開前に、内容そのものを1名が読む
- 公開する
各工程の詳しい説明を読む
- 担当者またはライターが原稿を書く
- 別の担当者が原稿を頭から読む
- 誤字・脱字を探す
- 「お問い合わせ/お問合せ」「サーバー/サーバ」のような表記ゆれを探す
- 自社サービス名・他社名の表記が正しいかを確認する(正式名称、記号の有無)
- ですます調とである調が混ざっていないかを確認する
- 気になった箇所をコメントで書き込む、または直接直す
- 書いた人が直す
- 公開する
問題は4つあります。
(a)表記ルールが文書になっていない。 「うちは『お問い合わせ』で統一」という決まりはありますが、どこにも書かれていません。確認する人によって指摘が変わります。
(b)読み飛ばす。 同じ人が20本続けて読むと、後半は目が滑ります。誤字は文章の意味が通ってしまうため、気づきにくいものです。
(c)機械的なチェックに人の時間を使っている。 全角の英数字、半角カタカナ、三点リーダの種類、括弧の全角半角。これらは人が読んで探すものではありません。
(d)ライターへのフィードバックが蓄積しない。 毎回同じ指摘をしています。「前回も言った」が繰り返されます。
- 担当者またはライターが原稿を書く
- 【自動】 機械的に判定できる項目を正規表現でチェックする(全角英数、半角カナ、記号の種類、社名の表記)
- 【自動】 原稿と表記ルール一覧をAIに渡し、文脈が要る項目を指摘させる
- 【自動】 ルール番号のない指摘、ルール一覧にない番号の指摘を捨てる
- 【自動】 指摘を一覧にして、原稿の担当者に渡す
- 【人】 担当者が指摘を1件ずつ見て、直すか無視するかを決める
- 【人】 公開前に、内容そのものを1名が読む
- 公開する
自動化されるのは「探す」工程です。「直すかどうかを決める」と「内容を読む」は人に残ります。
7番目を省かないでください。表記のチェックと、書いてあることが正しいかの確認は別の作業です。この構成は前者しか行いません。
02今回想定するシステム構成
原稿(Google ドキュメント / テキスト) │ ▼ 本文をコピーして貼る 生成AI の画面(Claude / ChatGPT) │ + 自社の表記ルール一覧(100項目程度)を毎回貼る ▼ 指摘の一覧(該当箇所 / 原文 / 修正案 / ルール番号) │ ▼【人】担当者が1件ずつ判断して直す
最小構成(今回の推奨)
半自動化する場合
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 生成AI | Claude API | OpenAI API、Gemini API |
| 実行環境 | Google Apps Script | Power Automate、Python |
| 原稿の置き場 | Google ドキュメント | Word、CMS の下書き |
| ルール一覧の置き場 | Google スプレッドシート | Excel、SharePoint リスト |
最小構成のままでも効果の大半は取れます。 半自動化にすると、原稿をコピーして貼る手間と、ルール一覧を毎回貼る手間がなくなります。それ以上のことはしません。この業務では、最小構成と半自動化の差が小さいのが特徴です。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
人が「チェックする」と決めたときが起点です。自動で走らせません。
理由は、原稿は書きかけの状態で何度も保存されるためです。保存のたびにチェックが走ると、書いている途中の文章に大量の指摘が出て、邪魔になります。
半自動化する場合は、Google ドキュメントのメニューに項目を足し、担当者が選んだときに実行します。Google Apps Script はドキュメントにメニューを追加できます。CMSで運用している場合は、下書き保存時ではなく「公開申請」のボタンを押したときに走らせます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 原稿本文 | 見出しを含む本文テキスト | Google ドキュメント/CMS |
| 表記ルール一覧 | ルール番号、区分、誤りの例、正しい表記、理由 | スプレッドシート |
| 用語集 | 自社サービス名、機能名、他社名の正式表記と略称 | スプレッドシート |
| 文書種別 | Web記事/広告文/プレスリリースの別 | 実行時に人が選ぶ |
表記ルール一覧が、この構成の本体です。 作り方は次のとおりです。
- まず既存の公開資料を下敷きにします。日本翻訳連盟の「JTF日本語標準スタイルガイド(翻訳用)」は、文体、句読点、漢字とカタカナの表記、数字とアルファベット、記号類のルールをまとめた公開文書です。官公庁向けの文書を書く機会があれば、文化審議会の建議「公用文作成の考え方」(令和4年1月7日)も参照できます
- そこから自社で実際に迷う項目だけを抜き出します。 全部入れないでください
- 過去1年の校正コメントを見返し、繰り返し指摘している項目を足します
- 自社サービス名・機能名・主要な他社名の正式表記を足します
- 合計100〜150項目に収めます
| ルール番号 | 区分 | 誤りの例 | 正しい表記 | 理由 |
|---|---|---|---|---|
| R001 | 表記統一 | お問合せ、お問合わせ | お問い合わせ | 送り仮名を省略しない |
| R002 | 表記統一 | サーバ、プリンタ | サーバー、プリンター | 長音を省略しない |
| R012 | 用語 | 弊社サービス「◯◯」 | ◯◯(かぎ括弧を付けない) | サービス名に括弧を付けない |
| R031 | 文体 | ですます調とである調の混在 | ですます調で統一 | 社外文書は全てですます調 |
| R044 | 記号 | ・・・ | …… | 三点リーダは2つ重ねる |
データの取得方法を決める
原稿: Google ドキュメントから本文を取り出します。Google Apps Script では DocumentApp からドキュメントの本文を取得できます。2024年にタブ機能が追加されて以降、本文の取り方が変わっている点に注意してください。古い記事のコードをそのまま使うと本文が取れないことがあります。
表記ルール・用語集: スプレッドシートから読み込みます。編集はマーケティング担当が行うため、スプレッドシートが最も運用しやすい置き場です。
外部APIの呼び出し: Google Apps Script から生成AIのAPIを呼ぶには UrlFetchApp を使います。外部リクエスト用の権限(スコープ)の承認が必要です。初回実行時に承認画面が出ます。
AIへ渡す前に整形する
- 機械的に判定できる項目を先に処理する … 全角の英数字、半角カタカナ、三点リーダやダッシュの種類、括弧の全角半角、数字の桁区切り、連続する空白。これらは正規表現で検出します。AIに任せると、見落とすうえに費用がかかります
- 固有名詞を突き合わせる … 用語集にある表記と1文字でも違えば指摘します。ここも機械処理です。「弊社サービス名の表記ゆれを見つけて」とAIに頼む必要はありません
- 原稿を分割する … 長い原稿は見出し単位に分けます。ただし分割すると文書全体の一貫性が見えなくなります。 ですます調とである調の混在、同じ用語が前半と後半で違う表記になっている、といった指摘は分割すると出せません。全体を通した文体の判定だけは、本文を要約せずに1回まとめて渡します
- コード・引用・数式を除外する … 技術記事では、コード部分を校正対象から外します。除外しないと、コード内の英数字が全部指摘されます
- 既知の例外を除外する … 他社の正式名称に半角カナが含まれる、引用文が旧かなづかい、といった例外を先に登録しておきます
AIに処理させる
正規表現でできることはAIにさせません。 AIに回すのは、文脈を読まないと判定できない項目だけです。
| 処理 | 内容 |
|---|---|
| 誤字・脱字 | 変換ミス(以外/意外、保証/保障)、脱字、重複(「〜のの」) |
| 係り受けのねじれ | 主語と述語が対応していない文 |
| 二重表現 | 「まず最初に」「約10分程度」「各社ごとに」 |
| 敬語の誤り | 二重敬語、謙譲と尊敬の取り違え |
| 文体の不統一 | ですます調とである調の混在(文書全体で1回判定) |
| 表記ゆれ | 同じ意味の語が文書内で違う表記になっている |
| ルール一覧との照合 | 一覧の各項目に反する箇所 |
| 一文の長さ | 100文字を超える文の指摘(読みにくさの目安) |
やらせないこと:
- 文章の書き換え。 「読みやすく直して」と頼むと、書き手の意図した表現まで平板にされます。修正案は「その箇所をどう直すか」に限定させます
- 事実の確認。 数値や社名が事実として正しいかは、この構成の対象外です。AIは知識で判断してしまうため、誤った指摘が混ざります
- 内容の評価。 「この記事は分かりやすいか」を聞かない。校正と編集は別の作業です
指示内容を固定する
あなたは社外向け文書の校正者です。
原稿を読み、下の【表記ルール】に反する箇所と、日本語として
誤っている箇所を指摘してください。
【厳守事項】
- 文章を書き換えないでください。指摘と修正案だけを返してください。
- すべての指摘に、根拠となるルール番号を必ず付けてください。
ルールに該当しない日本語の誤り(誤字・係り受け・二重表現・敬語)は
rule_id を "GEN" とし、category にどの種類かを書いてください。
- 表記ルールに書かれていない好みの問題を指摘しないでください。
「もっと簡潔にできます」「この語のほうが自然です」は不要です。
- 書かれている内容が事実として正しいかは判定しないでください。
数値・社名・製品仕様の正誤は対象外です。
- 原文は必ず本文からそのまま引用してください。要約や言い換えをしないでください。
- コードブロックと引用ブロックの中は対象外です。
【文書種別】
{doc_type}(Web記事 / 広告文 / プレスリリース / 営業資料)
【表記ルール】
{style_rules}
【用語集】
{glossary}
【原稿】
{draft}
「原文は本文からそのまま引用する」の1行が実務上いちばん効きます。 引用が本文と一致しない指摘は、AIが作り出した箇所である可能性が高いためです。後段のプログラムで「原文が本文に見つからない指摘」を機械的に捨てられます。
「好みの問題を指摘しない」も必ず入れます。 これがないと、1本の記事に50件の指摘が出ます。指摘が多すぎる仕組みは、2週間で使われなくなります。
表記ルールと用語集は毎回同じ内容を送ることになります。Claude API には同じ内容の再送を安く済ませるキャッシュの機能があり、1,024トークン以上のまとまりが対象、5分間有効(読み出しがあるたびに延長)、キャッシュからの読み出しは通常の入力料金の10%という条件が公開されています。ルール一覧が長くなるほど効きます。
出力形式を固定する
{
"doc_type": "",
"findings": [
{
"rule_id": "R001 | GEN",
"category": "表記統一 | 用語 | 文体 | 記号 | 誤字 | 係り受け | 二重表現 | 敬語 | 長文",
"original": "",
"suggestion": "",
"location_hint": "",
"severity": "must | should | info"
}
],
"document_level": {
"style": "ですます調 | である調 | 混在",
"mixed_examples": []
},
"notes": ""
}
構造化した形にする理由は3つあります。
第一に、rule_id で機械的にふるいにかけられます。ルール一覧に存在しない番号の指摘は捨てます。 これで根拠のない指摘がほぼ消えます。
第二に、original が本文に含まれるかを照合できます。含まれなければ捨てます。
第三に、severity で並べ替えられます。must(表記ルール違反・誤字)を上に、info(一文が長い)を下に出せば、担当者は上から順に見るだけで済みます。
document_level を分けているのは、文体の判定が「箇所」ではなく「文書全体」の話だからです。
システムへ連携する
指摘の戻し方には3つの選択肢があります。
| 方式 | 内容 | 向き不向き |
|---|---|---|
| スプレッドシートに一覧出力 | 指摘を1行1件で書き出す | 最も確実。まずこれで始める |
| ドキュメントにコメントを付ける | 該当箇所にコメントを紐づける | 見やすいが、位置の指定が安定しない |
| CMSの入稿画面に表示 | 公開申請時に画面へ出す | 実装が必要。運用が固まってから |
2番目について補足します。Google ドキュメントに本文の特定箇所を指すコメントを付けることは Drive API の機能として可能ですが、コメントの位置指定は文書の版に紐づくため、文書が編集されると位置がずれます。 公開文書にも「位置が変わらない文書での利用を推奨する」と書かれています。校正対象は編集される前提の原稿なので、この方式は最初に選ぶべきではありません。
1番目のスプレッドシート出力から始めてください。 見た目は素朴ですが、指摘が消えず、後から集計もできます。
人が確認する
全件、人が判断します。指摘を自動で反映しません。
理由は2つあります。第一に、表記ルールには意図的に外す場合があるためです。他社の正式名称、引用文、キャンペーンの表記など、ルールに反するが直してはいけない箇所があります。第二に、AIの指摘には誤りが混ざるためです。
判断を速くするための設計が重要です。
severityの順に並べる。mustから見る- 同じ
rule_idの指摘をまとめて表示する(同じ直し方を連続で処理できる) - 「無視する」を選んだ指摘を記録し、次回から同じ箇所を指摘しない
- 1本あたりの指摘件数を表示する。20件を超えたら、ルールの書き方を疑う
最後の項目が運用の目安になります。指摘が多すぎるのはAIの精度の問題ではなく、ルール一覧に「好みの問題」が混ざっているサインです。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| ルール一覧にない番号を返してくる | その指摘を捨てる。件数だけログに残す |
original が本文に見つからない | その指摘を捨てる。要約や言い換えをした指摘である |
| 指摘が0件で返る | 原稿が短すぎるか、渡し方が失敗している。文字数を確認する |
| 指摘が50件以上出る | ルール一覧を見直す。「好み」の項目を外す |
| 原稿が長くて一度に渡せない | 見出し単位に分割する。文体の判定だけは全体で1回行う |
| コード・引用が指摘される | 除外の範囲を広げる。マークアップで囲まれた部分を先に取り除く |
| 他社の正式名称がルールに引っかかる | 用語集に「例外」として登録する |
| APIが応答しない | 機械的チェックの結果だけを返す。校正工程を止めない |
| 同じ指摘を毎回無視している | その項目をルール一覧から外すか、例外を登録する |
記録を残す
- 原稿の版(チェックした時点の本文)
- AIが返した指摘の全件(捨てたものを含む)
- 担当者が「直した」「無視した」のどちらを選んだか
- 1本あたりの指摘件数と、書いた人
最後の2つが、この構成のいちばんの副産物です。 「無視された指摘」が多い項目は、ルールとして機能していません。「書いた人ごとの指摘傾向」が分かれば、ライターへのフィードバックが「前回も言った」から「この3項目が多い」に変わります。
個人の評価に使わないでください。指摘件数を人事評価に結びつけると、書き手はチェックを通さなくなります。
04実装レベルの3段階
この業務では、最小構成と半自動化の差が小さいのが特徴です。 減るのは「貼る手間」だけで、指摘の質は変わりません。半自動化に進む価値が出るのは、月50本を超えたあたりからです。 本格構成に進むべきかは、指摘を無視した記録が溜まってから判断してください。無視が多い状態で仕組みを大きくしても、無視される件数が増えるだけです。
05工数削減シミュレーション
導入後 120件 × 6分 ÷ 60 = 12 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 社外に出す文章が月50本以上あり、書く人が3名以上いる企業。表記ルールが決まっていない、または決まっているが守られていない状態。公開前に人が読む工程が残せること。
- 社外文書が月に数本しかない場合。すべて1名が書いていて表記が自然に揃っている場合。法令や規格で表記が厳密に定められた文書(医薬品の添付文書など)を対象にしたい場合は、専用の仕組みを検討する。
07最小構成で試す方法
開発は不要です。今日から試せます。
- 過去に公開した記事から、すでに校正済みの5本と、校正前の5本を用意する
- 自社の表記ルールを30項目だけ書き出す(100項目は最初から作れません)
- 生成AIの画面に、ルール30項目と原稿を貼り、上のプロンプト例で指摘させる
- 校正前の5本で、人が見つけた指摘をAIも見つけられたかを数える
- 校正済みの5本で、誤った指摘が何件出たかを数える
5番目が重要です。 校正済みの原稿は、理想的には指摘が0件のはずです。ここで大量に指摘が出るなら、ルールの書き方か禁止事項の指示が足りていません。
判断の目安は次のとおりです。
| 結果 | 判断 |
|---|---|
| 人の指摘の7割以上を検出、校正済み原稿への誤指摘が1本あたり3件以下 | このまま運用に入れる |
| 検出は十分だが誤指摘が多い | 禁止事項(好みの指摘をしない、事実を判定しない)を強める |
| 検出が半分以下 | ルール一覧に項目が足りない。過去の校正コメントから足す |
ルール一覧は、運用しながら3か月かけて100項目まで育てます。最初から完璧な一覧を作ろうとして、着手が遅れるほうが損です。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 指摘が多すぎて誰も見なくなる | 「好みの指摘をしない」を明示する。severity で並べる。20件を超えたらルールを見直す |
| 根拠のない指摘が混ざる | 全指摘にルール番号を付けさせ、一覧にない番号は捨てる |
| AIが原文を言い換えて引用する | 「本文からそのまま引用」を指示し、本文に見つからない指摘は捨てる |
| 頼んでいないのに文章を書き換えてくる | 「書き換えない。指摘と修正案だけ」と明示する |
| 全角英数の指摘にAIの費用を使っている | 正規表現で先に処理する。AIに回さない |
| コード部分が全部指摘される | コードブロックを除外する。技術記事では必須 |
| 長い原稿で後半の指摘が雑になる | 見出し単位に分割する。文体判定だけ全体で1回 |
| 分割したら文体の混在を検出できなくなった | 文書全体の判定を別に1回行う。分割した結果だけで判断しない |
| Google Apps Script で本文が取れない | 2024年のタブ機能追加以降、本文の取得方法が変わっている。古いコード例をそのまま使わない |
| 外部APIが呼べない | Apps Script の外部リクエスト権限の承認が必要。初回に承認する |
| ドキュメントのコメント位置がずれる | コメント方式をやめ、スプレッドシート出力にする |
| 事実と違う内容を「誤り」と指摘される | 事実の判定は対象外と明示する。内容の確認は別工程で人が行う |
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 公開前の原稿。公開前という一点で、扱いに注意が要ります。
- 外部AIへの入力可否 … Web記事や広告文は最終的に公開するものですが、公開前のプレスリリースは違います。 決算、新製品、資本提携の発表前の原稿は、社外に出せば情報漏洩に当たります。プレスリリースはこの仕組みの対象から外すか、外部に出さない構成(社内環境で動くモデル)を使うかを決めてください
- 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます。無料版のチャットサービスを業務で使わないでください
- 個人情報 … 顧客の声、導入事例、採用向けの社員インタビューには氏名が含まれます。校正に氏名は不要なので、チェック前に伏せ字にする運用が確実です
- アクセス権限 … 表記ルール一覧と用語集は社内で広く共有してよい情報です。一方、指摘のログ(誰が何を指摘されたか)は、書き手の評価に見えるため、閲覧範囲を絞ります
- 自動実行してよい範囲 … 指摘の自動反映はしません。AIが原稿を直接書き換える構成にしないでください。 意図した表現が消え、公開後に気づくことになります
誤りが起きた場合のリスクは、誤字の見落としによる信用低下と、逆にAIの誤指摘に従って正しい表記を壊すことです。後者は見落としより発見が遅れます。 指摘は必ず人が判断してください。
10まず何から始めるか
1日目:ルールを30項目書き出す
過去の校正コメントを3か月分見返し、繰り返している指摘を書き出します。30項目で十分です。既存の公開資料(JTFのスタイルガイドなど)から、迷いやすい項目を足します。この作業は1時間で終わります。
2日目:10本で試す
校正前5本・校正済み5本で、生成AIの画面から指摘を出します。検出できた数と、誤った指摘の数を数えます。プロンプトの禁止事項を調整します。
1週目の残り:1名が実務で使う
マーケティング担当1名が、その週の原稿すべてをこの方法で確認します。「指摘の何件を無視したか」を記録します。 無視が半分を超える項目は、ルールから外します。
2〜4週目:3名に広げる
ルール一覧をスプレッドシートに置き、3名が同じものを使います。ここで「人によって指摘が変わる」問題が解消します。ルール一覧は毎週追記します。
2か月目以降: 月120本を手で貼るのが手間になったら、Google Apps Script での半自動化を検討します。逆に言えば、手間に感じないうちは最小構成のままで構いません。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Claude API で、返すJSONの形をスキーマで指定して守らせる構造化出力が利用できること | Claude Docs: Structured outputs | 2026-09-09 |
| Claude API のプロンプトキャッシュが、1,024トークン以上のまとまりを対象とし、既定で5分間有効(読み出しのたびに延長)、キャッシュからの読み出しが通常の入力料金の10%であること | Claude Docs: Prompt caching | 2026-09-09 |
| Google Apps Script の UrlFetchApp から外部のHTTP/HTTPSリクエストを送れること、および外部リクエスト用のスコープの承認が必要であること | Google for Developers: Class UrlFetchApp | 2026-09-09 |
| Google ドライブAPIで文書にコメントを付けられること。位置を指定するアンカーは文書の版に紐づき、内容が変わると位置を保証できないため、位置が変わらない文書での利用が推奨されていること | Google for Developers: Manage comments and replies | 2026-09-09 |
| 日本翻訳連盟が「JTF日本語標準スタイルガイド(翻訳用)」第3.0版(2019年8月20日)を公開しており、文体・句読点・漢字とカタカナ・数字とアルファベット・記号類のルールを収めていること | JTF日本語標準スタイルガイド(翻訳用) | 2026-09-09 |
| 文化審議会の建議「公用文作成の考え方」(令和4年1月7日)が文化庁のサイトで公開されていること | 文化庁: 公用文作成の考え方(建議) | 2026-09-09 |
Google Apps Script のドキュメント本文の取得方法は、タブ機能の追加により変更されています。実装時に最新のリファレンスを確認してください。 CMSへの組み込みは製品によって異なるため、利用環境に応じた個別確認が必要です。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
自社の業務に使えるAI活用候補を整理します
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