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展示会で集めた名刺のデータとブースでの応対メモを突き合わせ、関心の度合いで分けて、お礼とフォローのメールの下書きを担当営業に回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

展示会で集めた名刺のデータと、ブースで書いた応対メモを来場者ごとに突き合わせます。会話の中身から関心の度合いを分け、担当の営業を決めて、お礼とフォローのメールの下書きを担当へ回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/商社/建設/製造
対象部門
マーケティング/営業
対象業務
分類・仕分け/書類作成
主な課題
入力作業が多い/営業フォローが追いつかない/属人化している
AIで行う処理
生成
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
72h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
67%
年間削減
576h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 出展が終わると、マーケティング担当が名刺をまとめて名刺管理の仕組みに取り込み、CSVで書き出す
  2. 応対メモのフォームの回答と紙のメモを、名刺と1枚ずつ突き合わせる
  3. メモを読み、関心の度合いを「すぐ連絡」「資料送付」「お礼のみ」の3つに分ける
  4. 顧客台帳で既存の取引先かを確かめ、割当表で担当の営業を決める
  5. 度合いごとに用意した定型文をもとに、お礼のメールの文面を作る
  6. 担当の営業に、来場者の一覧とメモと文面を表にして送る
  7. 営業がそれぞれ直して送り、送ったかどうかを台帳に書く
導入後(After)
  1. 人マーケティング担当が、名刺のCSVをリードの取込シートに貼り付け、展示会のコードを付ける
  2. 自動ワークフローが新しい行を拾い、同じ展示会の応対メモから候補を探す
  3. 自動顧客台帳で既存の取引先かを確かめる
  4. 自動AIが、名刺と応対メモの候補を突き合わせ、関心の材料を根拠つきで書き出す
  5. 自動書き出された材料から、規則で関心の度合い(A/B/C)と除外を決める
  6. 自動割当表で担当の営業を決める
  7. 自動AIが、度合いとメモの中身に合わせたお礼とフォローのメールの下書きを作る
  8. 自動フォロー台帳に書き込み、担当の営業ごとに一覧のメールを送る
  9. 人マーケティング担当が、突き合わせで迷ったものと除外の候補だけを見る
  10. 人担当の営業が、下書きを読んで直し、自分のメールから送る
  11. 人送ったら台帳に送信日を入れる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 出展が終わると、マーケティング担当が名刺をまとめて名刺管理の仕組みに取り込み、CSVで書き出す
  2. 応対メモのフォームの回答と紙のメモを、名刺と1枚ずつ突き合わせる
  3. メモを読み、関心の度合いを「すぐ連絡」「資料送付」「お礼のみ」の3つに分ける
  4. 顧客台帳で既存の取引先かを確かめ、割当表で担当の営業を決める
  5. 度合いごとに用意した定型文をもとに、お礼のメールの文面を作る
  6. 担当の営業に、来場者の一覧とメモと文面を表にして送る
  7. 営業がそれぞれ直して送り、送ったかどうかを台帳に書く

(a)お礼が届くまでに1週間かかる。 2番から6番までをマーケティングの2名で回すため、展示会の翌週の半ばまで一覧が出ません。 その間に、同じ来場者へ競合のメールが届いています。来場者の記憶が新しいうちに連絡するという、展示会に出る意味の半分が失われています。

(b)会話の中身が文面に入らない。 定型文を3種類用意していても、「デモ機の貸出を相談したい」と言った来場者に、「資料をお送りします」という文面が届きます。 メモを1枚ずつ読んで文面に反映させる時間がないためです。

(c)突き合わせで迷う。 フォームの応対メモには、説明員が急いで打った会社名と氏名が入っています。「〇〇工業」と「〇〇工業株式会社 第二工場」、漢字の違う氏名。1枚の突き合わせに数分かかる来場者が、毎回一定数います。

(d)どれを「すぐ連絡」にするかが人によって違う。 同じメモを読んでも、マーケティングの担当者によって度合いの付け方が変わります。営業の側から「この人は急ぎだったのに、なぜお礼のみなのか」と言われることがあります。 基準が誰の頭の中にもはっきりとはありません。

  1. 【人】 マーケティング担当が、名刺のCSVをリードの取込シートに貼り付け、展示会のコードを付ける
  2. 【自動】 ワークフローが新しい行を拾い、同じ展示会の応対メモから候補を探す
  3. 【自動】 顧客台帳で既存の取引先かを確かめる
  4. 【自動】 AIが、名刺と応対メモの候補を突き合わせ、関心の材料を根拠つきで書き出す
  5. 【自動】 書き出された材料から、規則で関心の度合い(A/B/C)と除外を決める
  6. 【自動】 割当表で担当の営業を決める
  7. 【自動】 AIが、度合いとメモの中身に合わせたお礼とフォローのメールの下書きを作る
  8. 【自動】 フォロー台帳に書き込み、担当の営業ごとに一覧のメールを送る
  9. 【人】 マーケティング担当が、突き合わせで迷ったものと除外の候補だけを見る
  10. 【人】 担当の営業が、下書きを読んで直し、自分のメールから送る
  11. 【人】 送ったら台帳に送信日を入れる

9番目は全件を見る工程ではありません。 突き合わせが一意に決まり、既存の取引先でもないものは、そのまま営業へ流れます。マーケティング担当が開くのは、照合の結果が ambiguous か not_found のもの、競合や取引先などの除外の候補だけです。

10番目を営業に残すのは意図してのことです。 送るのは営業の名前のメールで、その後の商談も営業が持ちます。AIが作るのは下書きまでで、送信のモジュールは来場者に向けては使いません。

02今回想定するシステム構成

構成図
名刺管理の仕組み ── CSVを書き出す
   ▼【人】リードの取込シートに貼り付け(展示会コードを付ける)
   ▼【トリガー】Google Sheets:Watch New Rows
Make のシナリオ
   ├──▶ Google Sheets:Search Rows(応対メモ/顧客台帳)
   ├──▶ Claude API(Make an API Call):突き合わせと関心の材料
   ├──▶ Router:照合の結果と除外の候補で分岐
   │      ├ 一意に照合できた → 度合いの規則へ
   │      ├ 既存の取引先 → 顧客台帳の担当へ
   │      ├ 除外の候補(競合・仕入先・学生など) → マーケティングの確認へ
   │      └ フォールバック → マーケティングの確認へ
   ├──▶ Google Sheets:Search Rows(担当割当表)
   ├──▶ Claude API:お礼とフォローのメールの下書き
   ├──▶ Google Sheets:Add a Row(フォロー台帳)
   └──▶ Gmail:Send an email(担当の営業へ社内の一覧を送る)
   ▼【人】担当の営業が直して、自分のメールから送る
役割想定する製品代替候補
ワークフローMake(シナリオ。Google Sheets、Gmail、Router)Zapier、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(Messages API、構造化出力)OpenAI API、Gemini API
保管Google スプレッドシート(取込シート・応対メモ・顧客台帳・担当割当表・フォロー台帳)Airtable
入力Google フォーム(ブースの応対メモ)Microsoft Forms

新しく足すのは、シナリオと、取込シート・フォロー台帳の2枚だけです。 応対メモのフォーム、顧客台帳、担当割当表はいま使っているものを読み取るだけで、書き込みません。この構成が書き込むのは、フォロー台帳と、担当の営業に送る社内のメールだけです。

入口は Google Sheets の Watch New Rows です。 公式のページでは、行が追加されたときに動くトリガーで、見出しの行の範囲(例:A1:F1)と、1回に扱う件数の上限(Limit)を設定します。同じページには、空の行があると、それより後の行がすべては処理されないという注意が書かれています。貼り付けのときに空の行を挟まないことを、取込の手順に入れます。

候補を探すのは Search Rows です。 フィルタに合う行を返し、Limit で1回に返す件数の上限を決めます。応対メモは「展示会コードが同じ」かつ「会社名か氏名の一部が一致」で絞り、数件の候補だけを AI に渡します。 すべてのメモを渡すと、似た名前の別人を選ぶ余地が増えます。

分岐は Router で行います。 公式のページでは、ルートは同時ではなく1本ずつ順に処理され、どのルートの条件にも当たらないデータを受け持つフォールバックのルートを置けるとされています。照合に迷ったものは、フォールバックで必ず人へ回ります。

突き合わせと下書きは Claude API で行います。 Make の Anthropic Claude のアプリには Create a Prompt と Make an API Call があります。アプリのページに構造化出力の設定が書かれていないため、Make an API Call で Messages API を呼び、output_config.format に JSON スキーマを書きます。 公式のページでは、構造化出力はスキーマに沿った JSON を応答の本文で返し、additionalProperties は false 以外を指定できないとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

取込シートに名刺の行が増えたことを起点にします。 名刺管理の仕組みから CSV を書き出し、マーケティング担当が取込シートへ貼り付けます。貼り付けた行に、展示会のコード(例:EXPO-2610-OSK)と出展日を付けます。

Watch New Rows は15分おきに動かし、1回の Limit を50件にします。 150枚の名刺を一度に貼っても、3回ほどの実行で処理が終わります。1回で全件を扱わないのは、途中で失敗したときにやり直す範囲を小さくするためです。

名刺の取込は、応対メモがそろってからにします。 メモが後から入ると、照合が not_found になります。出展の翌日の午前に「メモの入力締切」を置き、それから取り込む運用にします。締切後に届いたメモは、マーケティング担当が not_found の行と手で結び付けます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
名刺のデータ会社名、部署、役職、氏名、メールアドレス、電話、住所取込シート(名刺管理の仕組みのCSV)
展示会の情報展示会のコード、名称、会期、出展した製品取込シートの列と、出展の一覧
応対メモ応対した説明員、会社名、氏名、関心のある製品、自由記述のメモ、資料・デモの依頼の有無応対メモのフォームの回答シート
顧客台帳取引先の会社名、メールのドメイン、担当の営業顧客台帳(読み取りのみ)
担当割当表都道府県と製品群の組み合わせごとの担当の営業担当割当表(読み取りのみ)
除外の一覧競合・仕入先・販売代理店のドメインと会社名除外の一覧(マーケティングが持つ)

質を決めるのは、応対メモの自由記述です。 フォームに「時期」「台数」「比較している他社」「依頼された資料・デモ」の欄を設けても、混雑時には空欄になります。自由記述の1〜2行に、その情報が書かれていることが多いので、AIが拾うのはそこです。

名刺の取得経路も列に持たせます。 交換した名刺か、主催者のバッジの読み取りかです。理由は第13章で書きますが、メールを送ってよいかの扱いが経路で違うためです。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
新しい名刺の行取込シート(Watch New Rows)1件ずつ処理する起点
応対メモの候補回答シート(Search Rows。展示会コードと名前の一部で絞る)照合の候補を数件に絞る
既存の取引先か顧客台帳(Search Rows。メールのドメインで引く)担当の営業の決定と、文面の切り替え
担当の営業担当割当表(Search Rows。都道府県と製品群で引く)担当の決定
除外の候補除外の一覧(Search Rows。ドメインで引く)競合・仕入先を営業へ流さない

顧客台帳は会社名ではなく、メールのドメインで引きます。 会社名は「株式会社」の前後や略称で表記がゆれ、引けない取引先が出ます。ドメインが一致しないときだけ、会社名で引き直します。 フリーメールのドメインは照合に使いません。

担当割当表は、名刺の住所の都道府県と、AIが拾った関心のある製品群で引きます。 製品群がメモから読み取れないときは、展示会で出展した製品群の既定値を使います。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 列のそろえ … CSVの列名を取込シートの見出しに合わせます。名刺管理の仕組みが変わっても、見出しは変えません
  2. 空の行の除去 … 貼り付ける前に空の行を消します。Watch New Rows は空の行より後を処理しきれないためです
  3. 重複の検知 … 同じメールアドレスが同じ展示会コードで二度入っていれば、2件目に印を付けて処理しません
  4. ドメインの切り出し … メールアドレスからドメインを取り出し、顧客台帳と除外の一覧の照合に使います
  5. 名前の正規化 … 全角・半角、空白、「株式会社」「(株)」の表記を照合用の列でそろえます。元の値は残します
  6. 応対メモの候補の絞り込み … 同じ展示会コードで、会社名か氏名の一部が一致するものを最大5件まで取ります

5番目は照合用の列だけで行います。 下書きに使う会社名と氏名は、名刺に書かれた表記のままにします。正規化した名前で宛名を書くと、相手の会社名を勝手に変えたメールになります。

Step5

AIに処理させる

AIにさせることは2回に分けます。1回目は照合と関心の材料の書き出し、2回目はメールの下書きです。 1回目の結果を規則で判定してから、2回目に度合いを渡します。

見るものさせること判断できないときの扱い
名刺と応対メモの候補どの候補が同じ人か選ぶ。理由を書く候補が2件以上残れば ambiguous、無ければ not_found
関心のある製品メモに書かれた製品名・型番を拾う書かれていなければ空
導入の時期「来期」「年内」などの記載を写す書かれていなければ空。推し量らない
数量・規模台数・拠点数などの記載を写す書かれていなければ空
依頼事項資料、見積、デモ、訪問の依頼を拾う依頼が無ければ空の配列
比較している他社メモに名前があれば写す書かれていなければ空
除外の候補競合・学生・同業の調査らしい記載を拾う印を付けるだけで、結論は人

関心の度合いは AI に決めさせません。 書き出された材料から、規則で決めます。

度合い規則
A(すぐ連絡)依頼事項に見積・デモ・訪問のどれかがある、または時期と数量の両方が書かれている
B(資料送付)依頼事項に資料がある、または関心のある製品と時期のどちらかが書かれている
C(お礼のみ)上のどれにも当たらない

1行目に「時期と数量の両方」を置いているのは、片方だけでは弱いためです。 「来期」だけなら情報収集のこともあります。規則はマーケティングと営業で話して決め、変えるときは規則の表だけを直します。

させないこと理由
関心の度合いの結論基準は自社で決め、後から変わる。規則の側に置く
役職・会社規模からの推し量りメモに無い関心を作り出す
書かれていない時期・数量の補完下書きに書かれると、来場者が言っていない約束になる
価格・納期・値引きへの言及営業が決めること
照合の確定迷ったものは人が結び付ける
Step6

指示内容を固定する

1回目(照合と関心の材料)の指示です。

あなたは展示会の来場者のフォローを準備する担当です。
名刺のデータと、ブースで説明員が書いた応対メモの候補を読み、
次の2つだけを行ってください。推測で埋めないでください。

【1. 照合】
応対メモの候補のうち、この名刺と同じ人のものを選んでください。
- 会社名と氏名がともに一致するか、表記のゆれ(株式会社の有無、
  略称、全角・半角)だけの違いである候補を選ぶ
- 一致する候補が1つなら match、2つ以上なら ambiguous、
  無ければ not_found
- 氏名が一致しても会社名が別なら、別人として扱う
- 選んだ理由を reason に1文で書く

【2. 関心の材料】
選んだ応対メモから、次を拾ってください。
- products: 関心のある製品名・型番
- timing: 導入・更新の時期
- quantity: 台数・拠点数など
- requests: 依頼事項(catalog / quote / demo / visit から選ぶ)
- competitors: 比較している他社
- exclusion_hint: 競合・学生・同業の調査と読める記載

【厳守事項】
- メモに書かれていないことは空にしてください。
  役職や会社の規模から関心の高さを推し量らないでください。
- timing と quantity は、メモの言葉をそのまま写してください。
  「来期」を日付に直す、「数台」を数字にすることをしないでください。
- 各項目の evidence に、根拠にしたメモの文をそのまま写してください。
- 関心が高い・低いといった結論は書かないでください。
- 照合が match でないときは、関心の材料を空にしてください。

【名刺】{card}
【応対メモの候補】{memo_candidates}
【展示会で出展した製品】{exhibited_products}

2回目(下書き)の指示です。

あなたは計測機器メーカーの営業担当の名前で、展示会のお礼の
メールの下書きを作ります。送るのは営業本人で、あなたは下書きまでです。

【入力】度合い {grade}、関心の材料 {facts}、名刺 {card}、
展示会 {expo}、担当の営業 {rep}、度合いごとの文例 {templates}

【書き方】
- 1段落目は来場のお礼。展示会の名称と会期を入れる
- 2段落目は、関心の材料に書かれた内容にだけ触れる
  (例:デモの依頼があれば、日程の候補を伺う一文)
- 度合いAは次の連絡の提案、Bは資料の案内、Cはお礼と今後の案内
- 宛名の会社名・氏名は名刺の表記のまま書く

【厳守事項】
- 関心の材料に無い製品・時期・数量に触れないでください。
- 価格、値引き、納期、在庫について書かないでください。
- 「ご検討中の」「ご導入予定の」など、相手が言っていない
  意向を前提にした言い回しを使わないでください。
- 末尾の署名と配信停止の案内は、指定の定型文をそのまま使ってください。

1回目の「日付に直さない」「数字にしない」を明記しないと、「来期」が「2027年4月」に、「数台」が「3台」になります。 その値が2回目で文面に入ると、来場者が言っていない時期を書いたメールになります。写させるのは、2回目に誤った約束を書かせないためです。

Step7

出力形式を固定する

1回目は次の形の JSON で受けます。

{
  "card_id": "",
  "match": {
    "status": "match | ambiguous | not_found",
    "memo_id": "",
    "reason": ""
  },
  "facts": {
    "products":    [{ "value": "", "evidence": "" }],
    "timing":      { "value": "", "evidence": "" },
    "quantity":    { "value": "", "evidence": "" },
    "requests":    [{ "type": "catalog | quote | demo | visit", "evidence": "" }],
    "competitors": [{ "value": "", "evidence": "" }],
    "exclusion_hint": { "value": "", "evidence": "" }
  }
}

1つ目の理由は、match.status で Router の分岐を決められることです。 match のものだけが規則へ進み、ambiguous と not_found はフォールバックで人へ回ります。

2つ目は、度合いを規則で決められることです。 requests の type と、timing と quantity の値の有無だけで、A/B/C が決まります。AIの言い回しが変わっても、度合いの付け方は変わりません。

3つ目は、evidence で営業の確認が速くなることです。 営業はメモの全文を探さず、根拠の文だけを読んで下書きと照らせます。

2回目は件名と本文を受け、フォロー台帳には次の列で書き込みます。

列中身
展示会コード/名刺ID取込シートから
会社名/氏名/メール名刺の表記のまま
照合の結果match / ambiguous / not_found
度合いA / B / C / 除外の候補
担当の営業割当表または顧客台帳から
関心の材料と根拠facts を読みやすく展開したもの
件名/下書き2回目の出力
送信日営業が入れる
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
取込シートWatch New Rows新しい名刺の行を拾う
応対メモ・顧客台帳・割当表・除外の一覧Search Rows読み取りのみ
Claude APIMake an API Call照合と関心の材料、下書き
フォロー台帳Add a Row1件ずつ書き込む
担当の営業Gmail の Send an email社内の宛先に、担当分の一覧を送る

Gmail の Send an email は、社内の営業に一覧を送るためだけに使います。 来場者へは送りません。公式のページでは、Send an email は本文に HTML を使え、Create a draft email は送らずに下書きを作るモジュールです。営業ごとの Gmail をシナリオに接続できるなら、営業本人のメールボックスに Create a draft email で下書きを置く形にもできます。その場合も送信は営業が行います。

一覧のメールは、担当の営業ごとに、展示会ごとに1通にまとめます。 1件ずつ送ると、150件の展示会で営業の受信箱が埋まります。台帳への書き込みは1件ずつ、通知はまとめてです。

Step9

人が確認する

  1. マーケティング担当:照合の迷いを片付ける … ambiguous と not_found を、候補のメモと見比べて結び付けます。結び付けたら、その行だけ下書きを作り直します
  2. マーケティング担当:除外の候補を確かめる … 競合・仕入先・代理店の社員、学生などです。除外と決めたものは営業に流しません
  3. 営業:根拠と下書きを照らす … evidence の文と下書きの2段落目を読み、メモに無いことが書かれていないかを見ます
  4. 営業:直して送る … 自分の言葉に直し、自分のメールから送ります。送信日を台帳に入れます
  5. 営業:度合いが違うと思ったら記録する … 台帳の「度合いの修正」の列に、変えた度合いと理由を書きます

3番目を省かないでください。 下書きは来場者が受け取る文面そのもので、メモに無い一文は、来場者から見ると「言っていないことを書かれた」メールです。

5番目の記録は、規則を直す材料になります。 「B と出たが A だった」が続くなら、規則の表の2行目に足す条件があります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
応対メモが見つからない(not_found)マーケティングへ。締切後のメモなら手で結び付ける。メモが無いまま C にしない
候補が2件以上(ambiguous)マーケティングへ。同じ会社の2名が同じブースに来た場合に多い
メールアドレスが無い名刺下書きは作らず、台帳に「電話で連絡」と書いて営業へ
既存の取引先顧客台帳の担当へ。文面を新規向けから既存向けに切り替える
競合・仕入先・代理店のドメイン除外の候補としてマーケティングへ
割当表で担当が引けないマーケティングの責任者を仮の担当にし、台帳に印を付ける
同じ人が別の展示会でも来場前回の台帳の行を引き、担当を前回と同じにする
AIの応答が refusal や上限で切れたその行を「未処理」のまま残し、次の実行でやり直す
AIの応答が返らない取込シートの行に「エラー」と書き、マーケティングへ通知

3行目の「既存の取引先」がいちばん多い失敗の元です。 新規の営業が既存の取引先に初対面の挨拶を送ると、取引先の担当の営業が知らないうちに別の営業が近づいたように見えます。ドメインで引くのはこのためです。

構造化出力でも、応答がスキーマどおりでない場合があります。 公式のページでは、拒否(stop_reason が refusal)とトークンの上限(max_tokens)のときは、出力がスキーマに合わないことがあるとされています。stop_reason を見て、その行をやり直しに回します。

Step11

記録を残す

  • 取込シートの元の行(名刺のデータと取得経路)
  • AIに渡した応対メモの候補と、1回目の出力の全文
  • 規則で決めた度合いと、そのときの規則の表の版
  • 2回目の下書きと、営業が送った日
  • 人が照合を結び付け直した記録と、度合いを修正した記録
  • 除外とした来場者と、その理由

度合いを修正した記録は、規則の見直しのたびに読みます。 修正が多い度合いの組み合わせが、規則の弱いところです。

照合を結び付け直した記録は、フォームの見直しに使います。 特定の説明員の not_found が多いなら、その人のメモの書き方か、入力のタイミングに理由があります。

04実装レベルの3段階

最小構成:名刺とメモを手でAIの画面に貼り、関心の材料を書き出させる / 材料の書き出し
半自動化:上記+取込シートを起点に、照合・度合い・担当・下書きまでをシナリオで作り、台帳と営業への一覧に出す / 照合から下書きまで
本格構成:上記+営業ごとのメールボックスに下書きを置き、送信の記録と商談化の結果を台帳に戻して規則を見直す / 下書きの配置と効果の測定

最小構成は、規則とメモの質を確かめる段階です。 枚数はさばけません。 半自動化が本記事の想定です。 1件9分が3分になります。残る3分は、マーケティング担当の照合の確認と、営業が下書きを読んで直して送る時間です。 本格構成で増えるのは、効果を測る仕組みです。 どの度合いの来場者が商談になったかを台帳に戻すと、規則が当たっているかを数字で見られます。 営業ごとのメールボックスに下書きを置くには、営業ごとの接続をシナリオに持たせる必要があり、管理の手間が増えます。半自動化で1〜2回の出展を回してから決めてください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
14 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
9 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  480件 × 9分 ÷ 60 = 72 時間/月
導入後 480件 × 3分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
48h
削減率
67%
年間削減時間
576h
年間金額換算(時間単価3,500円)
202万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 大型の展示会、地方の産業展、販売代理店の内覧会などに毎月のように出展し、1回あたり100〜200枚の名刺を集めている製造業・商社。名刺はデータ化しているが、ブースでの会話の内容が担当者の頭の中か紙のメモにしか残っておらず、お礼のメールが全員同じ文面になるか、出すまでに1週間以上かかっている場合。担当の営業を地域と製品で決めるルールがあり、表にできる場合。
向いていない
  1. 出展が年に1〜2回で、名刺が数十枚に収まる場合。マーケティングオートメーションの仕組みで、来場者のスコアリングとメールの配信まで運用に乗っている場合。ブースで会話の記録を一切取らない運用で、名刺の属性しか材料が無い場合。なお、どの来場者を追いかけるか、値引きや納期の約束を含む返事をするかは営業が決めることで、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 前回の展示会の名刺から40枚を選ぶ(うち10枚は、その後に商談になった来場者を入れる)
  2. 名刺のデータと、その40枚の応対メモを並べた表を作る
  3. 手元のAIサービスの画面に10枚分ずつ貼り、第7章の1回目の指示で関心の材料を書き出させる
  4. 書き出された材料に、規則の表を手で当てはめて A/B/C を付ける
  5. 商談になった10枚が、A に入っているかを確かめる

5番目がこの試行の目的です。 商談になった来場者が C に入るなら、規則か、応対メモの書き方のどちらかが足りません。

出てきた内容判断
商談になった来場者の大半が A に入ったワークフローの連携に進む
メモに無い時期や数量が書き出された指示の書き方で直る。構成は有効
メモがほとんど空で材料が出ない応対メモのフォームと運用が先。 AIの問題ではない

3行目は珍しくありません。 その場合は、次の出展でフォームの自由記述の欄を「時期・台数・依頼」の3行に変え、同じ試行をやり直します。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
貼り付けた行の途中から処理されない空の行より後が処理されないことがある。空の行を消してから貼る
メモが後から入って not_found が増えるメモの入力締切を置き、締切後に取り込む
同じ会社の2名を取り違える会社名と氏名がともに一致する候補だけを選ばせ、2件以上は人へ
「来期」が日付に、「数台」が数字になる写させる。日付や数字に直すことを禁じる
既存の取引先に新規向けの文面が届く顧客台帳をドメインで引き、既存の担当へ回す
競合の社員に営業がフォローする除外の一覧をドメインで持ち、マーケティングで止める
下書きに価格や納期が書かれる指示で禁じ、営業が送る前に読む工程を省かない
営業の受信箱が通知で埋まる通知は営業ごと・展示会ごとに1通にまとめる
規則が決まらず、営業が度合いを信用しない規則の表を先に決め、修正の記録で見直す
フォームの欄が空のまま自由記述を「時期・台数・依頼」の3行にする

上の2行は、AIの問題ではありません。 どちらもシートとフォームの運用の問題で、直さないまま AI の指示を調整しても、照合の失敗は減りません。

5行目と6行目は、来場者や取引先から見える失敗です。 1通の誤送信は、その会社との関係に残ります。ドメインで引く照合は、最初に作ってください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 来場者の会社名・氏名・役職・メールアドレス・電話番号と、ブースでの会話の内容です。会話の内容には、来場者の会社の設備計画や予算に触れたものが含まれます。

  1. メールを送ってよい相手かを、取得経路で分ける … 総務省の特定電子メール法のパンフレットでは、広告宣伝メールは原則としてあらかじめ同意した者にだけ送信できるとし、その例外として名刺などの書面により自己の電子メールアドレスを通知した者に送信する場合を挙げています。交換した名刺はこの例外に当たりうる一方、主催者のバッジの読み取りで得たデータは、主催者の規約で来場者が何に同意したかによります。 取得経路の列を持たせ、バッジの読み取りの来場者に広告宣伝の内容を含むメールを送るかは、主催者の規約を確かめてから決めてください
  2. 表示と受信拒否の案内を定型文で入れる … 同じパンフレットでは、広告宣伝メールに送信者の氏名または名称、受信拒否の通知ができる旨、受信拒否の通知先の表示が義務づけられ、同意があっても受信拒否の通知を受けた相手には送れないとされています。署名と配信停止の案内は AI に書かせず、定型文で付けます。 受信拒否の申し出は台帳に記録し、次の展示会の取込で除外します
  3. 同意の記録を残す … 同じパンフレットでは、同意を受けた際の状況(時期と方法など)の記録を保存する必要があるとされています。取込シートの取得経路と展示会コードの列が、その記録になります
  4. AIに渡すのは、照合と下書きに要る項目だけにする … 電話番号と住所は、照合にも下書きにも要りません。担当の決定に使う都道府県だけを残し、ほかは渡さない設計にできます
  5. 顧客台帳を丸ごと AI に渡さない … 照合はワークフローの側でドメインを引いて行い、AIへは結果(既存の取引先かどうかと担当)だけを渡します
  6. 来場者へ自動で送らない … 下書きまでにして、送信は営業が行います

誤りが起きた場合のリスクは、別の人の話を書いたメールが届くことと、言っていない約束が書かれたメールが届くことの2つです。 前者は照合を人に回す設計で、後者は材料を写させて補完を禁じる設計で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:担当割当表と除外の一覧をそろえる

都道府県と製品群の組み合わせで担当の営業が1人に決まるかを確かめ、空いている組み合わせを埋めます。あわせて、競合・仕入先・代理店のメールのドメインの一覧を作ります。

2週目:前回の展示会の40枚で試す

第8章の手順で、関心の材料を書き出させ、規則を当てはめます。商談になった来場者が A に入るかを最優先で見ます。

3週目:規則と文例を決める

マーケティングと営業で、A/B/C の規則の表と、度合いごとの文例を決めます。署名と配信停止の案内の定型文もここで決めます。 応対メモのフォームに取得経路の欄と、自由記述の3行を足します。

4週目:取込シートから台帳までをつなぐ

Make で取込シートを見張り、照合と関心の材料をフォロー台帳に書き出すところまで作ります。この時点では下書きを作らず、照合と度合いだけを営業に見てもらいます。

2か月目: 下書きと営業への一覧のメールを足し、次の出展で使います。3か月目以降: 度合いの修正の記録を読み、規則を直します。お礼が届くまでの日数と、A の来場者の商談化を数え、規則が当たっていると営業が言うようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
Watch New Rows が行の追加で動き、見出しの行の範囲と Limit を設定すること。空の行より後の行がすべては処理されないという注意があること。Search Rows がフィルタに合う行を返し、Limit で件数の上限を決めること。Add a Row が表の末尾に行を足すことMake: Google Sheets modules2026-10-14
Send an email の本文に HTML を使えること。Create a draft email が送らずに下書きを作り、スレッドのIDを指定でき、フォルダを選ばなければ下書きのフォルダに入ることMake: Gmail modules2026-10-14
ルートが同時ではなく1本ずつ順に処理され、どの条件にも当たらないデータを受け持つフォールバックのルートを置けることMake: Router2026-10-14
Anthropic Claude のアプリに Create a Prompt と Make an API Call などのモジュールがあり、構造化出力の設定の記載が無いことMake: Anthropic Claude2026-10-14
構造化出力が output_config.format に JSON スキーマを指定し、応答の本文でスキーマに沿った JSON を返すこと。拒否や max_tokens のときはスキーマに合わないことがあること。additionalProperties は false 以外を指定できないことClaude API: Structured outputs2026-10-14
広告宣伝メールが原則としてあらかじめ同意した者にだけ送信できること。名刺などの書面により電子メールアドレスを通知した者への送信が例外とされること。同意を受けた際の状況の記録の保存、送信者の氏名または名称と受信拒否の通知先の表示が義務づけられること。受信拒否の通知を受けた相手には送れないこと総務省: 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント2026-10-14

どの来場者に広告宣伝の内容を含むメールを送るかは、主催者の規約と自社の方針で決めてください。 本記事は公開されている資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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