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取締役会の資料から、議案ごとの論点と確認したい質問のメモを社外取締役向けに作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

取締役会の議案の資料と前回までの議事録・質問の記録から、議案ごとに要旨、判断の材料となる数値、論点の候補、確認したい質問の候補を、資料の頁を付けてメモの下書きにします。事務局が直し、資料とともに社外取締役へ事前に届けます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
保険/商社/製造/金融
対象部門
経営企画
対象業務
書類作成/要約
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
24h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
63%
年間削減
180h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 起案部署から議案の資料が届き、事務局が SharePoint の当月のフォルダに置く
  2. 担当者が議案ごとに資料を読み、要旨と決議を求める事項を書き出す
  3. 判断の材料になる数値(計画との差、前年との差、上限との比較)を資料から拾う
  4. 前回までの議事録と「社外取締役の質問と回答の記録」を開き、この議案に関係する過去の質問を探す
  5. 過去の質問への回答が今回の資料にあるかを確かめる
  6. 論点と確認したい質問の候補をメモに書き、起案部署に事実の誤りが無いかを確かめてもらう
  7. 資料とメモを、会日の3営業日前に社外取締役へ届ける
導入後(After)
  1. 人事務局が、当月の取締役会のノートブック(Copilot Notebooks)を作り、当月の資料のフォルダ、直近の議事録、質問と回答の記録、メモの観点の一覧を参照に加える
  2. 人起案部署から資料が届くたびに、当月のフォルダに置く(ノートブックの参照は最新の内容に追随する)
  3. 人資料の締切の翌日、担当者がノートブックで議案ごとにメモの下書きを作らせる
  4. 自動Copilot が、要旨、決議を求める事項、判断の材料の数値を、資料の頁を付けて書き出す
  5. 自動Copilot が、議事録と質問の記録から、この議案に関係する過去の質問を引き、今回の資料に回答があるかを示す
  6. 自動Copilot が、観点の一覧と照らし、論点の候補、確認したい質問の候補、資料に書かれていない事項を出す
  7. 人担当者が、頁を開いて数値と引用を確かめ、Word のメモの様式に整える
  8. 人起案部署が、メモの中の事実の記述に誤りが無いかを確かめる
  9. 人事務局長が確認し、資料とともに会日の3営業日前に社外取締役へ届ける
各工程の詳しい説明を読む
  1. 起案部署から議案の資料が届き、事務局が SharePoint の当月のフォルダに置く
  2. 担当者が議案ごとに資料を読み、要旨と決議を求める事項を書き出す
  3. 判断の材料になる数値(計画との差、前年との差、上限との比較)を資料から拾う
  4. 前回までの議事録と「社外取締役の質問と回答の記録」を開き、この議案に関係する過去の質問を探す
  5. 過去の質問への回答が今回の資料にあるかを確かめる
  6. 論点と確認したい質問の候補をメモに書き、起案部署に事実の誤りが無いかを確かめてもらう
  7. 資料とメモを、会日の3営業日前に社外取締役へ届ける

(a)資料の厚さに対して時間が足りない。 資料は会日の1週間前に締め切られ、3営業日前には届けます。その間の2〜3日で、300頁を読んでメモを作ることになります。 差し替えが入れば、読み直しです。

(b)前回の宿題を探し直す。 社外取締役が前回「次回は与信集中の推移を示してほしい」と求めていても、その発言は議事録の中に埋もれています。 探し出せなければ、今回の資料に入っているかを確かめられず、会議で同じ質問が繰り返されます。

(c)メモの質が担当者で変わる。 ベテランの担当者のメモは「資料に何が無いか」まで踏み込みますが、異動してきたばかりの担当者のメモは要約に留まります。 何を見ればよいかの観点が、文書になっていません。

(d)頁が付いていない。 急いで作ったメモには「収益は計画を下回る見込み」とだけあり、社外取締役は資料の中でその根拠を探し直します。

  1. 【人】 事務局が、当月の取締役会のノートブック(Copilot Notebooks)を作り、当月の資料のフォルダ、直近の議事録、質問と回答の記録、メモの観点の一覧を参照に加える
  2. 【人】 起案部署から資料が届くたびに、当月のフォルダに置く(ノートブックの参照は最新の内容に追随する)
  3. 【人】 資料の締切の翌日、担当者がノートブックで議案ごとにメモの下書きを作らせる
  4. 【自動】 Copilot が、要旨、決議を求める事項、判断の材料の数値を、資料の頁を付けて書き出す
  5. 【自動】 Copilot が、議事録と質問の記録から、この議案に関係する過去の質問を引き、今回の資料に回答があるかを示す
  6. 【自動】 Copilot が、観点の一覧と照らし、論点の候補、確認したい質問の候補、資料に書かれていない事項を出す
  7. 【人】 担当者が、頁を開いて数値と引用を確かめ、Word のメモの様式に整える
  8. 【人】 起案部署が、メモの中の事実の記述に誤りが無いかを確かめる
  9. 【人】 事務局長が確認し、資料とともに会日の3営業日前に社外取締役へ届ける

7番目が、この設計の分かれ目です。 頁を開いて確かめられない記述は、メモから外します。社外取締役に届くのは、事務局が資料と照らしたものだけです。

6番目の「資料に書かれていない事項」は、観点の一覧に照らした結果です。 Copilot に「足りないものを考えて」と頼むのではなく、事務局が決めた観点ごとに、あるか無いかを答えさせます。

02今回想定するシステム構成

構成図
起案部署 ── 議案の資料(PDF・PowerPoint・Word)
   ▼
SharePoint 事務局のサイト:当月のフォルダ/議事録/質問と回答の記録/メモの観点の一覧
   ▼【トリガー】資料の締切の翌日、担当者がノートブックを開く
Microsoft Copilot(Copilot Notebooks:当月の取締役会のノートブック)
   │  参照:当月の資料のフォルダ、直近6回分の議事録、質問と回答の記録、
   │        メモの観点の一覧、メモの様式
   ├──▶ 要旨・決議を求める事項・判断の材料の数値(頁付き)
   ├──▶ 前回までの宿題と、今回の資料での回答の有無
   └──▶ 論点の候補・質問の候補・資料に書かれていない事項
   ▼【担当者が頁を開いて確かめ、Word の様式に整える】
起案部署の事実の確認 → 事務局長の確認
   ▼
社外取締役へ資料とメモを届ける(会日の3営業日前)
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot。Copilot Notebooks で当月の取締役会のノートブックを作る)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(事務局のサイト。資料・議事録・質問の記録)-
文書Word(社外取締役向けのメモの様式)-

新しく足すのは、事務局の担当者2名の Copilot のライセンスだけです。 資料と議事録はすでに SharePoint にあり、ノートブックはそれを参照するだけです。

中心は Copilot Notebooks です。 公式のページでは、参照に加えられるのは .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf のファイルと OneNote のページで、SharePoint のサイト、フォルダも加えられます。Microsoft Copilot のライセンスを持つ利用者は300を超える参照を加えられ、回答の根拠に使われるのは最初の300までとされています(Copilot Chat の利用者は50まで)。毎月の資料の数十のファイルと議事録を参照にしても、収まります。

参照は最新の内容に追随するとされています。起案部署が資料を差し替えれば、ノートブックの回答もそれを使います。裏を返すと、差し替えの前に作った下書きは古いままです。 差し替えがあった議案は、下書きを作り直します(第7章「例外処理」)。

Copilot が使うのは、利用者が閲覧の権限を持ち、参照に加えた内容だけとされています。事務局のサイトの権限で、資料を読める人を事務局に絞っておけば、ノートブックの外に広がることはありません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

資料の締切の翌日に、担当者がノートブックで下書きを作らせることを起点にします。 資料が届くたびに作らせると、締切の直前に差し替えが重なり、同じ議案を何度も作り直すことになります。締切を過ぎてそろった時点で一度だけ作るのを基本にします。

ノートブックは月ごとに1つ作ります。 前の月のノートブックを使い回すと、参照に先月の資料が残り、先月の数値が今月のメモに紛れ込みます。 毎月、当月のフォルダを参照にした新しいノートブックを作り、先月のものは閉じます。

議案ごとに1回ずつ頼みます。 10議案をまとめて頼むと、議案の間で数値が混ざります。「議案3についてのメモを作ってください」と、議案の番号を指定して1件ずつ作らせます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
当月の議案の資料議案の番号、付議の区分(決議・報告)、本文と別紙SharePoint の当月のフォルダ
直近6回分の議事録審議の経過、社外取締役の発言、宿題とされた事項SharePoint の議事録のフォルダ
質問と回答の記録社外取締役ごとの質問、回答した部署、回答の時期、対応の状態SharePoint の Excel
メモの観点の一覧議案の種類ごとに見るべき観点(第7章「AIに何をさせるのか」)SharePoint の Word
メモの様式議案ごとの欄の並びと書き方の決まりSharePoint の Word

質を決めるのは、3行目と4行目です。 質問と回答の記録が無ければ、前回の宿題は議事録から拾うしかなく、漏れます。観点の一覧が無ければ、「資料に書かれていない事項」は出せません。

質問と回答の記録は、1行1質問の表にします。 列は「会議の日付、議案、質問した社外取締役、質問の要旨、回答の予定(次回の資料に入れる・個別に説明する)、対応の状態」です。「次回の資料に入れる」とされた質問が、今回のメモの照らし合わせの対象になります。

【質問と回答の記録(例)】
| 日付 | 議案 | 質問者 | 質問の要旨 | 回答の予定 | 状態 |
| 2026-09-25 | 与信ポートフォリオの状況 | 社外A | 不動産業向け与信の上位20先の推移を示してほしい | 次回の資料に入れる | 未対応 |
| 2026-09-25 | システム投資計画 | 社外C | 代替案(共同化・単独)の比較を示してほしい | 個別に説明する | 説明済み |
Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
当月の資料ノートブックの参照に、当月のフォルダを加える要旨、数値、頁
議事録参照に、直近6回分の議事録のファイルを加える過去の発言と宿題
質問と回答の記録参照に、Excel のファイルを加える未対応の宿題の照らし合わせ
観点の一覧と様式参照に、Word のファイルを加える出力の欄と、欠けの判定の基準

参照に加えるのは、当月のフォルダと決めたファイルだけにします。 事務局のサイト全体を加えると、過去の年度の資料や、決議に至らなかった案の段階の資料まで根拠に使われます。メモに「昨年の計画では」と書かれても、それが正式な資料かどうか分かりません。

議事録は直近6回分に絞ります。 半年より前の宿題は、質問と回答の記録の「未対応」の行から引けます。古い議事録を加えるほど、すでに解決した過去の論点が今回の論点として並びます。

資料はパスワードを外して置きます。 公式のページでは、パスワードで保護された文書は、利用者が同じアプリで開いている場合を除き、AI のアプリから扱えないとされています。秘密区分の保護は、パスワードではなく SharePoint の権限と秘密度ラベルで行います(第13章)。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ファイル名を決まりにそろえる … 「2026-10_議案03_決議_システム投資計画_資料.pdf」のように、議案の番号と区分を先頭に入れます
  2. 頁番号を入れる … 資料の全頁に頁番号を入れてもらいます。頁が無い資料では、メモに頁を付けられません
  3. スキャンした資料を避ける … 紙をスキャンしただけの PDF は、文字として読めないことがあります。起案部署には元のファイルから PDF にしてもらいます
  4. 差し替えの版を残す … 差し替えは同じファイル名で上書きせず、末尾に「_v2」を付けて置き、古い版は「旧版」のフォルダへ移します
  5. 質問と回答の記録を更新する … 前回の会議の後、事務局が質問を1行ずつ足し、回答の予定を書きます

2番目は、起案部署への依頼の様式に入れておきます。 頁番号は、社外取締役が会議で「資料の何頁ですが」と質問するときにも要ります。メモのためだけの手間ではありません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、資料と記録に書かれていることを、決まった欄に頁を付けて並べることと、観点の一覧に照らして「あるか無いか」を答えることです。

欄中身拾えないときの扱い
要旨議案が何を求めているかを3行以内で-
決議を求める事項決議の議案なら、決議の文言をそのまま引用報告の議案なら「報告」
判断の材料の数値計画との差、前年との差、上限・基準との比較。資料の頁と表の番号頁を示せなければ書かない
前回までの宿題質問と回答の記録・議事録のうち、この議案に関係するもの。今回の資料での回答の有無と頁回答が見当たらなければ「資料に見当たらない」
論点の候補観点の一覧のうち、資料の記述から論点になりうるもの-
確認したい質問の候補論点ごとに1〜2問。根拠の頁-
資料に書かれていない事項観点の一覧のうち、資料に記述が無いもの-

観点の一覧は、議案の種類ごとに事務局が作ります。 たとえば投資の議案なら、次のようにします。

【観点の一覧:投資・提携の議案】
1. 投資の目的と、中期経営計画のどの項目に当たるか
2. 投資額の内訳と、上限を超えた場合の扱い
3. 代替案(実施しない場合を含む)との比較
4. 投資の効果の見込みと、その前提
5. リスク(実行・技術・取引先・規制)と、その定量の評価
6. 撤退の基準と、見直しの時期
7. 前回までの審議で求められた事項への回答

報告の議案にも観点の一覧を作ります。 与信ポートフォリオの報告なら、たとえば次のようにします。

【観点の一覧:与信ポートフォリオの報告】
1. 業種・地域・大口先への集中の推移(前回の報告との比較)
2. 与信費用と不良債権の比率の推移と、計画との差
3. 格付けの下方遷移の件数と、主な先の状況
4. リスクアペタイト・フレームワークの指標と、その上限との比較
5. 前回までの審議で求められた事項への回答

報告の議案は決議を求めないので、メモが後回しになりがちです。 しかし、社外取締役が経営の変化に最初に気づくのは、こうした定例の報告の推移であることが多く、前回との比較の頁を示すだけでも読む時間が変わります。

させないこと理由
議案に賛成か反対かの推奨判断は社外取締役が自ら行う
資料に無い数値の計算や補い社外取締役が資料で確かめられない数値になる
起案部署や執行役員の評価議案の論点ではなく、人の評価になる
一般的な銀行経営の知識での論点の補い資料と観点に基づかない論点が混ざる
頁を示せない記述事務局が確かめられない

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 何も言わなければ、Copilot は「金利上昇局面での影響も確認すべきです」のような一般論を論点に足します。もっともらしくても、資料にも観点にも無い論点は、社外取締役の時間を取るだけです。 論点は観点の一覧から出させます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは銀行の取締役会事務局の担当者を手伝い、社外取締役が資料を読むための
議案ごとのメモの下書きを作る立場です。
このノートブックの参照(当月の議案の資料、直近の議事録、質問と回答の記録、
メモの観点の一覧、メモの様式)だけを見てください。
一般的な知識や、参照に無い資料で補わないでください。

【対象】
議案{agenda_no}(ファイル名の先頭が「2026-10_議案{agenda_no}」のもの)だけを見てください。
他の議案の資料の数値を使わないでください。

【書き出す欄】
1. 要旨(3行以内)
2. 決議を求める事項(資料の文言をそのまま引用。報告の議案なら「報告」)
3. 判断の材料の数値(計画との差、前年との差、上限・基準との比較)
4. 前回までの宿題(質問と回答の記録のうち、この議案に関係し状態が「未対応」のもの、
   および議事録で次回に示すとされた事項)と、今回の資料での回答の有無
5. 論点の候補(メモの観点の一覧のうち、この議案の種類の観点から)
6. 確認したい質問の候補(論点ごとに1〜2問)
7. 資料に書かれていない事項(観点の一覧のうち、資料に記述が無いもの)

【厳守事項】
- すべての記述の末尾に、根拠のファイル名と頁(表や図の番号があればそれも)を書いてください。
  頁を示せない記述は書かないでください。
- 数値は資料に書かれたとおりに写してください。計算したり、端数を丸めたりしないでください。
- 前回までの宿題の回答が今回の資料に見当たらないときは「資料に見当たらない」と書き、
  回答があるように書かないでください。
- 「資料に書かれていない事項」は、観点の一覧の番号を付けて書いてください。
  観点の一覧に無い事項を足さないでください。
- 議案に賛成か反対か、承認してよいかを書かないでください。
- 起案部署や個人の評価を書かないでください。

「頁を示せない記述は書かない」を最初の厳守事項にしているのは、確かめる作業の単位を頁にするためです。 担当者は記述ごとに頁を開き、数値と引用を照らします。頁が付いていない記述は、確かめようがありません。

「他の議案の資料の数値を使わない」を書いているのは、参照に当月の全議案が入っているからです。 与信の議案のメモに、リスク委員会の報告の数値が混ざることがあります。ファイル名の先頭で対象を絞ると、混ざりにくくなります。

Step7

出力形式を固定する

ノートブックには、表の形で返させます。 メモは社外取締役が読む文書なので、JSON ではなく、担当者がそのまま Word の様式に移せる表にします。

【議案3 システム投資計画(決議)】
要旨:基幹系システムの更改に向け、2027〜2029年度の投資総額と、委託先の選定を決議する。
 (2026-10_議案03_決議_システム投資計画_資料.pdf 2頁)
決議を求める事項:「基幹系システム更改に係る投資総額〇〇億円の上限の設定、および委託先の選定」(同 2頁)

【判断の材料の数値】
| 項目 | 資料の値 | 根拠 |
| 投資総額の上限 | 〇〇億円 | 同 5頁 表1 |
| 前回の中期経営計画での見込み | △△億円 | 同 5頁 表1 |

【前回までの宿題】
| 日付 | 質問者 | 要旨 | 今回の資料 |
| 2026-09-25 | 社外C | 代替案(共同化・単独)の比較 | 資料に見当たらない(記録では「個別に説明する」) |

【資料に書かれていない事項】
観点3:代替案(実施しない場合を含む)との比較
観点6:撤退の基準と、見直しの時期

1つ目の理由は、頁の列で確かめる順が決まることです。 担当者は表の上から頁を開いていけばよく、どこまで確かめたかを表に印を付けて残せます。

2つ目は、「資料に見当たらない」が独立した行になることです。 この行は、起案部署に「次回までに示すと言った件はどうなっていますか」と問い合わせる一覧になります。会日の前に資料を補えれば、会議で同じ質問が繰り返されません。

3つ目は、観点の番号で欠けを示せることです。 「代替案が無い」と書くより、「観点3」と書くほうが、どの基準に照らして欠けているのかが社外取締役にも起案部署にも分かります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
SharePoint の資料と記録ノートブックの参照当月の資料、議事録、質問の記録、観点の一覧を読む
メモの様式担当者が Word に移して整える議案ごとのメモにする
起案部署担当者がメモの該当部分を送る事実の記述に誤りが無いかを確かめてもらう
社外取締役事務局がこれまでの方法で資料とともに届ける会日の3営業日前
質問と回答の記録担当者が「資料に見当たらない」の行を書き足す起案部署への問い合わせと、その結果

ノートブックは社外取締役と共有しません。 公式のページでは、ノートブックを共有すると、受け取った人は中にリンクされたすべてのファイルに招待されるとされています。社外取締役に議事録の下書きや他の委員会の資料まで共有されることになるので、届けるのは Word のメモと正式な資料だけにします。

Step9

人が確認する

この構成では、全件を人が確かめます。 メモは社外取締役の判断の入口になるからです。

  1. 頁を開いて数値と引用を確かめる … 判断の材料の数値は、資料の頁の値と1つずつ照らします
  2. 「資料に見当たらない」を確かめる … 本当に資料に無いかを、資料の目次と別紙で確かめます。ある場合は頁を付けて直します
  3. 論点と質問の候補を絞る … 候補をすべて載せず、議案ごとに2〜3問にします。どの質問を載せるかは担当者が決めます
  4. 起案部署に事実の確認を頼む … 数値と引用に誤りが無いかだけを見てもらいます。論点と質問の候補は、起案部署に直させません
  5. 事務局長が確認する … 社外取締役へ届けてよいかを決めます

4番目で、論点と質問を起案部署に直させないのは意図してのことです。 起案部署が「この質問は不要」と消せば、メモが執行側に都合の良い形になります。起案部署が直してよいのは、事実の誤りだけです。

目標は、1件あたり30分です。 資料を読む時間が、頁を開いて照らす時間に置き換わります。

社外取締役への事前説明でも、同じメモを使います。 起案部署が会日の前に社外取締役へ説明する場では、メモの「確認したい質問の候補」と「資料に書かれていない事項」が、説明の進め方の目安になります。 事務局が同席して、事前説明で答えが出た質問に印を付けておけば、会議の当日に残る論点が整理されます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
締切の後に資料が差し替えられたその議案だけ下書きを作り直す。作り直したことをメモの版に残す
資料がスキャンした PDF で、頁を示せない起案部署に元のファイルからの PDF を頼む
パスワード付きの PDF が置かれたノートブックから扱えない。パスワードを外して置き直してもらう
秘密度ラベルの権限で Copilot が内容を返さない担当者に必要な権限が無い。ラベルの設定を情報システム部と見直す
他の議案の数値が混ざったファイル名で対象を絞り直して作り直す
前回までの宿題が多すぎる「未対応」だけを対象にし、「説明済み」の行は外す
未公表の重要な事実を含む議案扱いの範囲を事務局長が決める。必要ならノートブックに入れず手で作る

1行目は、毎月起きる前提で考えます。 差し替えの前の下書きは、ノートブックの参照が新しい版に追随していても、作った時点の古い数値のままです。差し替えのファイル名に「_v2」を付ける決まりは、どの議案を作り直すかを見分けるためのものです。

Step11

記録を残す

  • 当月のノートブックの参照の一覧(どのファイルのどの版を加えたか)
  • 議案ごとの下書きの全文と、作った日時
  • 担当者が直した箇所 … 頁を直した、「資料に見当たらない」を取り消した、質問の候補を外した
  • 起案部署の事実の確認の記録
  • 社外取締役に届けたメモの最終版と、届けた日時
  • 「資料に見当たらない」の件数と、起案部署への問い合わせの結果

下書きは Word のファイルとして別に残します。 参照が新しい版に追随するので、後から同じ質問をしても同じ下書きは出ません。 届けたメモが何に基づいていたかは、下書きのファイルと参照の一覧で残します。

最後の行は、資料の質を見る材料になります。 同じ起案部署で「資料に見当たらない」が続けば、資料の様式に欄を足す相談をします。

04実装レベルの3段階

最小構成:試しのノートブックで2議案の下書きを作る / 一部の議案の要旨と頁付きの数値
半自動化:上記+毎月のノートブックに当月の資料・議事録・質問の記録・観点の一覧を加え、全議案の下書きを作る / 全議案の要旨・数値・前回までの宿題・論点と質問の候補・資料に無い事項
本格構成:上記+資料の受付と版の管理、質問と回答の記録の更新を Power Automate で行い、締切の翌日に担当者へ作成を知らせる / 下書きを作るまでの準備と、宿題の追いかけ

本記事の想定は半自動化です。 1件80分が30分になるのは、資料を頭から読む時間と、過去の宿題を探す時間が無くなるからです。 本格構成で足すのは、準備と追いかけの自動化です。 起案部署が資料を置いたら受付の一覧に記録し、締切を過ぎても届かない議案を事務局に知らせます。「資料に見当たらない」とされた宿題は、質問と回答の記録に起案部署への問い合わせの日付とともに残し、次の会日の前に状態を確かめる知らせを送ります。 本格構成でも、下書きを作る操作は担当者が行います。 自動にしても速くなるのは数分で、作った時点の資料の版を担当者が把握していることのほうが大事です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
18 件
1件あたり現在時間
80 分
1件あたり導入後時間
30 分
現在  18件 × 80分 ÷ 60 = 24 時間/月
導入後 18件 × 30分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
15h
削減率
63%
年間削減時間
180h
年間金額換算(時間単価5,000円)
90万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 社外取締役が複数いる上場の銀行・保険会社・事業会社で、取締役会の資料が毎回数百頁になり、事務局が社外取締役向けに議案ごとの要点のメモを作っているか、作りたいが手が回っていない場合。社外取締役から「資料が厚くてどこを見ればよいか分からない」「前回の質問への回答がどこにあるか分からない」という声が出ている場合。資料と議事録が SharePoint にそろっており、事務局の担当者が Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)を使える場合。
向いていない
  1. 議案が毎月数件で資料も薄く、社外取締役が資料を直接読めば足りる場合。取締役会の資料をパスワード付きの PDF や紙だけで扱っており、Microsoft 365 の中に置く運用に変えられない場合。資料の秘密区分の設定で、事務局の担当者に Copilot が内容を扱う権限を与えられない場合。なお、議案に賛成するかどうか、何を質問するかは社外取締役が自ら判断するもので、この構成はその判断を代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の取締役会の議案から、資料の厚い決議の議案を2件選ぶ(うち1件は、会議で社外取締役から「前回お願いした件は」と質問が出た議案を入れる)
  2. その議案の資料、直近の議事録、質問と回答の記録を、試しのノートブックの参照に加える
  3. 第7章の観点の一覧と指示を貼り、議案ごとにメモの下書きを作らせる
  4. 担当者が頁を開いて確かめ、当時のメモと比べる
  5. 当時の会議で実際に出た質問と、下書きの質問の候補を比べる

会議で前回の宿題が質問に出た議案は必ず入れてください。 その宿題が、下書きで「資料に見当たらない」と出るかを確かめます。

出てきた内容判断
前回の宿題が「資料に見当たらない」と出た毎月のノートブックの運用に進む
頁の付いていない記述が多い資料に頁番号が無いか、スキャンの PDF。前処理を先に整える
一般論の論点が並んだ指示の「観点の一覧に無い事項を足さない」が効いていない。書き方で直る

5番目の比べ方が、試しの価値を決めます。 当時の会議で社外取締役が実際にした質問のうち、下書きの質問の候補か「資料に書かれていない事項」に入っていたものがいくつあるかを数えます。半分ほど入っていれば、観点の一覧が社外取締役の見方に近いということです。入っていなかった質問は、観点の一覧に足す候補になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
一般論の論点が並ぶ論点は観点の一覧から出させ、一覧に無いものを足させない
他の議案の数値が混ざる議案の番号で対象を絞り、1件ずつ作らせる
頁の付かない記述が出る頁を示せない記述は書かないと指示し、資料に頁番号を入れる
差し替えの前の数値が残る差し替えに「_v2」を付け、その議案だけ作り直す
先月の資料が混ざるノートブックを月ごとに作り直す
ノートブックを共有して資料が広がる社外取締役にはWord のメモだけを届ける
パスワード付きの PDF で止まるパスワードを外し、権限とラベルで守る
起案部署が質問の候補を消す起案部署が直せるのは事実の誤りだけと決める

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、根拠の範囲を絞っていないことから起きます。参照に何を入れ、指示でどこまで絞るかを決めておけば防げます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 取締役会の議案の資料、議事録、社外取締役の発言です。未公表の経営計画、大口の与信先、提携の交渉、役員の人事が含まれます。

  1. ノートブックを事務局の外に共有しない … 共有すると、受け取った人は中にリンクされたファイルに招待されます。社外取締役にも共有せず、メモだけを届けます
  2. 秘密度ラベルの権限を確かめる … 公式のページでは、秘密度ラベルが暗号化を行う場合、利用者が閲覧(VIEW)に加えて抽出(EXTRACT)の権利を持っていないと、AI のアプリはデータを返さないとされています。事務局の担当者に必要な権利を、情報システム部と決めます
  3. 参照を当月の資料と決めたファイルに絞る … Copilot は利用者が閲覧の権限を持つ内容を扱います。サイト全体を参照に加えません
  4. データの扱いを確かめておく … 公式のページでは、プロンプト、応答、Microsoft Graph で参照したデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。また、EU 以外の顧客のクエリは米国、EU、その他の地域で処理されうるとされています。自社の外部委託の管理の規程と、金融機関として守るべき基準に照らしておきます
  5. 未公表の重要な事実の扱いを決める … 提携や大型の投資など、公表前の重要な事実を含む議案をノートブックに入れるかを、事務局長が議案ごとに決めます
  6. 判断を代替させない … メモは読むための道しるべで、賛否の推奨を含めません

誤りが起きた場合のリスクは、資料と違う数値をメモに載せることと、資料にある回答を「見当たらない」と書くことの2つです。 前者は社外取締役の判断を誤らせ、後者は起案部署との関係を損ないます。どちらも、頁を付けて担当者が開いて確かめることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:観点の一覧を作る

ベテランの担当者と事務局長で、投資・与信・規程・人事・リスクの報告の5種類について、見るべき観点を5〜7個ずつ書き出します。 あわせて、質問と回答の記録を1行1質問の表に整えます。

2週目:2議案で試す

先月の決議の議案を2件選び、試しのノートブックで下書きを作ります。前回の宿題が「資料に見当たらない」と出るか、頁の付いた数値が資料と合うかを最優先で見ます。

3週目:起案部署への依頼を変える

資料の全頁に頁番号を入れること、ファイル名の先頭に議案の番号と区分を入れること、差し替えに「_v2」を付けることを、資料の依頼の様式に書き足します。パスワード付きの PDF をやめ、権限とラベルで守る運用に情報システム部と切り替えます。

4週目:当月の取締役会で使う

当月のノートブックを作り、全議案の下書きを作って、頁を確かめ、起案部署の事実の確認を経て届けます。

2か月目: 社外取締役に、メモのどの欄が役に立ったかを聞き、様式を直します。3か月目以降: 1件80分が何分になったかを実測し、前回の宿題が会日の前に起案部署へ戻るようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
原則4-14の解釈指針で、取締役会の資料を会日に十分に先立って共有すること、資料以外にも必要に応じ要点を把握しやすいように整理・分析された形で情報を提供することが審議の活性化の取り組みの例に挙げられていること。取締役会事務局の機能強化に触れていること。上場会社は取締役会を支える部署等の人員面を含む支援体制を整えるべきとされていること東京証券取引所: コーポレートガバナンス・コード(2026年7月版)2026-10-14
参照に加えられるファイルの種類が .docx、.pptx、.xlsx、.pdf、.loop、.page、.txt、.rtf と OneNote のページであること。SharePoint のサイト・フォルダを加えられること。Microsoft Copilot の利用者は300を超える参照を加えられ根拠に使われるのは最初の300まで、Copilot Chat の利用者は50までであること。利用者が権限を持つ参照の内容だけを使うこと。参照が最新の内容に追随すること。共有すると受け取った人がリンクされたファイルに招待されることMicrosoft Support: Add references to your Microsoft Copilot Notebook2026-10-14
秘密度ラベルが暗号化を行う場合、利用者が VIEW に加えて EXTRACT の権利を持たないと AI のアプリがデータを返さないこと。パスワードで保護された文書は、利用者が同じアプリで開いている場合を除き AI のアプリから扱えないことMicrosoft Learn: Microsoft Purview data security and compliance protections for Microsoft Copilot2026-10-14
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Microsoft Graph で参照したデータが基盤のモデルの学習に使われないこと。EU 以外の顧客のクエリが米国・EU・その他の地域で処理されうることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-14

何を論点とし、議案に賛成するかは、社外取締役が自ら判断してください。 本記事は公開されている製品の仕様と、東京証券取引所のコードで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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