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損害保険の事故対応の満足度調査の回答を ChatGPT で集計し、属性ごとの差とグラフ、拠点ごとの月次報告のまとめを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

事故対応の満足度調査の回答データを ChatGPT に渡し、設問ごとの集計、属性ごとの差、グラフ、自由記述の分類を作らせます。拠点ごとの月次報告のまとめまで下書きさせ、数字は検算の表で人が確かめてから出します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
不動産/保険/小売/金融
対象部門
カスタマーサポート/マーケティング
対象業務
要約/集計・分析
主な課題
データ分析に時間がかかる/人手が足りない/属人化している
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
48h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
63%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. アンケートの仕組みから、前月分の回答をCSVで書き出す
  2. 支払いの仕組みから属性を書き出し、回答の番号で突き合わせて1つの表にする
  3. 拠点ごとに表を分け、設問ごとの平均と「満足」「やや満足」の割合を出す
  4. 事故の種類・年代・連絡の手段・支払いまでの日数ごとにピボットを組み、前月と並べる
  5. グラフを作り、報告書のひな形に貼って色と順番を整える
  6. 自由記述を読み、良かった点・改善してほしい点に分けて代表的な声を選ぶ
  7. 拠点ごとのまとめの文章を書き、室長が確認して拠点の責任者へ送る
導入後(After)
  1. 人集計の決まり(設問の定義、区分、差を言ってよい条件、グラフの順番)と報告書のひな形を、プロジェクトの Sources に置く
  2. 人アンケートの仕組みと支払いの仕組みから前月分を書き出し、氏名・証券番号・事故の番号を外した回答データを作る
  3. 人担当者が、ChatGPT のプロジェクトで ChatGPT Work のチャットを開き、回答データを添付して拠点を指定する
  4. 【AI】 ChatGPT がコードで集計し、集計表・属性ごとの差・グラフ・自由記述の分類を、検算の表を付けた表計算のファイルで返す
  5. 【AI】 ChatGPT が、集計表の数字だけを使って拠点のまとめの下書きを報告書のファイルで返す
  6. 人担当者が、検算の表で回答の件数と全体の平均をアンケートの仕組みの数字と照らす
  7. 人担当者が、まとめの下書きと自由記述の引用を読み、直す。どの差を報告に書くかは担当者が決める
  8. 人室長が確認し、拠点の責任者へ送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. アンケートの仕組みから、前月分の回答をCSVで書き出す
  2. 支払いの仕組みから属性を書き出し、回答の番号で突き合わせて1つの表にする
  3. 拠点ごとに表を分け、設問ごとの平均と「満足」「やや満足」の割合を出す
  4. 事故の種類・年代・連絡の手段・支払いまでの日数ごとにピボットを組み、前月と並べる
  5. グラフを作り、報告書のひな形に貼って色と順番を整える
  6. 自由記述を読み、良かった点・改善してほしい点に分けて代表的な声を選ぶ
  7. 拠点ごとのまとめの文章を書き、室長が確認して拠点の責任者へ送る

(a)毎月、ピボットとグラフを組み直している。 表計算のひな形はありますが、回答の件数と属性の区分が月ごとに少しずつ変わり、範囲がずれたグラフを直すところから始まります。 3番から5番の作業が、1拠点で2時間を超えます。

(b)件数の少ない区分の差を、つい書いてしまう。 傷害保険の30代は、拠点によっては月に数件しか回答がありません。その区分で「不満」が2件あると、グラフでは大きな落ち込みに見えます。 急いでいる月ほど、まとめの文章にそのまま書かれます。

(c)自由記述を読み切れない。 1拠点で100〜200件の自由記述があり、読む人によって「代表的な声」の選び方が変わります。 厳しい意見ほど長く、読む時間がかかるので、後回しになりがちです。

(d)まとめの書き方が受け持つ人で違う。 同じ下がり方でも、「やや低下」と書く人と「大きく低下」と書く人がいます。拠点の責任者は、先月の報告と言葉を比べて読むので、担当者が替わると下がったのかどうかが分からなくなります。

  1. 【人】 集計の決まり(設問の定義、区分、差を言ってよい条件、グラフの順番)と報告書のひな形を、プロジェクトの Sources に置く
  2. 【人】 アンケートの仕組みと支払いの仕組みから前月分を書き出し、氏名・証券番号・事故の番号を外した回答データを作る
  3. 【人】 担当者が、ChatGPT のプロジェクトで ChatGPT Work のチャットを開き、回答データを添付して拠点を指定する
  4. 【AI】 ChatGPT がコードで集計し、集計表・属性ごとの差・グラフ・自由記述の分類を、検算の表を付けた表計算のファイルで返す
  5. 【AI】 ChatGPT が、集計表の数字だけを使って拠点のまとめの下書きを報告書のファイルで返す
  6. 【人】 担当者が、検算の表で回答の件数と全体の平均をアンケートの仕組みの数字と照らす
  7. 【人】 担当者が、まとめの下書きと自由記述の引用を読み、直す。どの差を報告に書くかは担当者が決める
  8. 【人】 室長が確認し、拠点の責任者へ送る

6番目が、この設計の分かれ目です。 数字はコードで出させますが、読み込んだ件数が合っているかを人が確かめないと、 区切り文字の違いで数百件が落ちていても、整った表とグラフができてしまいます。件数と全体の平均の2つを、アンケートの仕組みの画面の数字と照らします。

2番目で氏名と番号を外すのは、集計に要らないからです。 回答の番号だけを残せば、自由記述の引用から元の回答へ戻れます。ChatGPT に渡すのは、属性と評価と自由記述だけにします。

02今回想定するシステム構成

構成図
アンケートの仕組み ── 前月の回答(CSV)
支払いの仕組み ──── 属性(事故の種類・拠点・年代・連絡の手段・日数の区分・担当の交代)
   │  回答の番号で突き合わせ、氏名・証券番号・事故の番号を外す(人)
   ▼
ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクト)
   │  Sources:集計の決まり/報告書のひな形/前月の集計表
   │  ChatGPT Work のチャットで、拠点を指定して回答データを添付
   ▼
【コードで集計】設問ごとの集計 → 属性ごとの差 → グラフ → 自由記述の分類
   ▼
【表計算のファイル】集計表/差の表/自由記述の一覧/検算の表
【報告書のファイル】グラフとまとめの下書き
   ▼
【人が件数と平均を照らす】→【まとめを直す】→【室長が確認】→ 拠点の責任者へ
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(業務用ワークスペースのプロジェクトと ChatGPT Work)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
入力アンケートの仕組みのCSVの書き出し-
保管共有フォルダ(回答データ・集計表・報告書)文書管理の仕組み

新しく足すのは、ChatGPT のプロジェクト1つと、集計の決まりの文書だけです。 アンケートの仕組みと支払いの仕組みには手を入れず、ChatGPT からどちらにも書き込みません。 回答データは担当者が書き出して添付します。

数字をコードで出させるのは、公式の案内に沿った使い方です。 ChatGPT の使い方の案内では、ChatGPT Work はファイルを読み、データを分析し、コードやシェルのコマンドを動かすことができ、文書・プレゼンテーション・表計算・PDFのファイルを作れるとされています。集計表を表計算のファイルで受け取れば、担当者は数字を自分の表計算で開き直して確かめられます。

プロジェクトは、毎月同じ決まりで集計させるために使います。 公式の案内では、プロジェクトには Chats と Sources があり、プロジェクトの指示はそのプロジェクトのチャット全体に適用されるとされています。集計の決まりと報告書のひな形を Sources に置けば、3名の誰がどの拠点を受け持っても、同じ区分と同じ順番のグラフになります。

グラフは、報告書に貼る静止した図で受け取ります。 ChatGPT には操作できる図を作る Visualizations もありますが、公式の案内では作った時点の情報の写しで、つながった情報源と同期し続けるダッシュボードではないとされ、プランや環境によって使えるかどうかも変わります。毎月の報告は、ファイルとして残る図のほうが前月と並べやすくなります。

業務用のワークスペースを使うのは、回答データの扱いを社内の決まりに合わせるためです。 公式の案内では、Business・Enterprise・Edu のワークスペースでは通信中と保存時の暗号化があり、OpenAI は既定では業務のデータをモデルの学習に使わないとされています。それでも、氏名や証券番号は渡しません(第13章)。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月の初めに、担当者が前月分の回答を書き出したところで始めます。 アンケートの仕組みの締めは月末で、はがきの回答の入力が終わるのが翌月の3営業日目です。はがきの入力が終わる前に始めると、件数が月ごとにずれ、前月との比較が崩れます。 始める日は「はがきの入力が済んだ連絡を受けた日」と決めます。

拠点ごとに新しいチャットを開きます。 1つのチャットで12拠点を続けて集計させると、前の拠点の回答データや区分が混ざることがあります。1つの拠点に1つのチャットにし、チャットの名前に拠点名と対象の月を入れます。

全社の集計は、別のチャットで1回だけ行います。 全社の数字を先に出し、12拠点の報告で共通に使います。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
回答データ回答の番号、5つの評価(1〜5)、自由記述、回答日、回答の経路(メール・はがき)アンケートの仕組みのCSV
属性事故の種類、拠点、年代、最初の連絡の手段、支払いまでの日数の区分、担当の交代の有無支払いの仕組みの書き出し
集計の決まり設問の定義、「満足」とする選択肢、区分の並び、差を言ってよい条件、言葉の基準室で作る文書
報告書のひな形章立て、グラフの順番と色、まとめの文字数室で作る文書
前月の集計表拠点ごとの設問別の平均と割合、区分ごとの件数前月にこの構成で作った表計算のファイル
全社の数字当月の全社の設問別の平均と割合全社の集計のチャットで作った表

質を決めるのは、集計の決まりのうち「差を言ってよい条件」と「言葉の基準」です。 条件が無いと、件数の少ない区分の差が文章に入ります。言葉の基準が無いと、「やや低下」と「大きく低下」の使い分けがチャットごとに変わります。

集計の決まりは、次のような形で作ります。

【集計の決まり】版 2026-10-01(お客様の声の推進室)
1. 「満足の割合」= 5(満足)と 4(やや満足)の回答数 ÷ その設問の有効回答数
   無回答は分母に入れない。平均は 1〜5 の単純平均。小数第2位を四捨五入して小数第1位。
2. 区分の並び
   事故の種類:対物 → 対人 → 車両 → 火災 → 傷害
   年代:29歳以下 → 30代 → 40代 → 50代 → 60代 → 70歳以上
   支払いまでの日数:30日以内 → 31〜60日 → 61〜90日 → 91日以上
3. 差を言ってよい条件(両方を満たすとき)
   ・その区分の有効回答数が 30件以上
   ・満足の割合の差が、比べる相手(拠点全体または前月)と 5ポイント以上
   30件未満の区分は表に「参考」と付け、まとめの文章で触れない。
4. 言葉の基準(前月との比較)
   ±2ポイント未満:「横ばい」/2〜5ポイント未満:「やや上昇・やや低下」
   5ポイント以上:「上昇・低下」。「大きく」「急激に」は使わない。
5. 因果を書かない。「担当の交代で満足度が下がった」ではなく
   「担当の交代があった回答の満足の割合は〇%で、なかった回答より〇ポイント低い」と書く。

最後の5番が、報告の誤読をいちばん減らします。 担当の交代があった事案は、もともと事故の内容が複雑で長引いたものが多く、交代そのものが原因かどうかは、この調査からは分かりません。 書けるのは、区分ごとの数字の違いまでです。

Step3

データの取得方法を決める

回答データと属性は、担当者が2つの仕組みから書き出して1つの表にします。

取るものどこから何に使うか
前月の回答アンケートの仕組みのCSVの書き出し評価と自由記述
属性支払いの仕組みの書き出し(回答の番号に対応する事案)区分ごとの集計
有効回答数と全体の平均アンケートの仕組みの集計の画面検算の照合先
前月の集計表共有フォルダ前月との比較

3行目の「アンケートの仕組みの画面の数字」は、ChatGPT に渡さずに手元に控えます。 検算は、ChatGPT が出した数字と、別の経路で出た数字を照らすことで意味を持ちます。同じファイルから出した数字どうしを比べても、読み込みの誤りは見つかりません。

突き合わせは、回答の番号だけで行います。 氏名で突き合わせると、表記ゆれで外れる回答が出ます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 列を消す … 氏名、証券番号、事故の番号、電話番号、メールアドレスの列を消し、回答の番号だけを残します
  2. 自由記述の中の個人の情報を伏せる … 表計算の置換で、電話番号の形(数字とハイフンの並び)を「***」に置き換えます。担当者の名前は、拠点の担当者の名簿の名前を「担当者」に置き換えます
  3. 文字コードをそろえる … CSVを UTF-8 で保存し直します。はがきの入力の分と、メールの回答の分で文字コードが違うことがあります
  4. 区分の値をそろえる … 「30代」「30歳代」のような表記ゆれを、集計の決まりの区分の名前に置き換えます
  5. 拠点で分ける … 1つの拠点の回答だけのファイルにします。全社の集計用には、全拠点のファイルを別に作ります
  6. 件数を控える … 分けたファイルの行数を、手元の控えに書きます

2番目は、完全には伏せきれません。 自由記述には、ほかの人の名前や住所の一部が書かれていることがあります。だから報告に引用する自由記述は、人が読んでから載せます(人間の確認の4番目)。

6番目の件数は、検算の表と照らすためです。 ChatGPT が読み込んだ行数と、担当者が保存したファイルの行数が同じかを、最初に見ます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、コードでの集計、差の表、グラフ、自由記述の分類、まとめの下書きの5つです。

作業させ方判断できないときの扱い
設問ごとの集計コードで平均と満足の割合、有効回答数を出す評価が1〜5以外の値は集計から外し、件数を検算の表に書く
属性ごとの差集計の決まりの区分でクロス集計し、拠点全体と前月との差を出す30件未満の区分は「参考」
グラフひな形の順番と色で、設問ごと・区分ごとの横棒グラフを作る区分の値が決まりに無ければ「その他」にまとめ、件数を書く
自由記述の分類良かった点・改善してほしい点を、テーマごとに件数と原文の引用で並べるどのテーマにも当たらないものは「分類なし」
まとめの下書き集計表の数字だけを使い、言葉の基準で書く差を言ってよい条件を満たす区分が無ければ「目立った差なし」

右端の列は、迷ったら目立たない側に倒す、という決まりです。 区分の値が決まりに無いときに勝手に近い区分へ入れると、件数が合わなくなります。「その他」と「分類なし」に入れて件数を書かせれば、決まりを直すべき箇所が表に出ます。

させないこと理由
文章の中での計算集計はコードで行い、まとめは集計表の数字を写す
30件未満の区分の差をまとめに書くこと偶然の偏りを拠点の課題として報告してしまう
原因の推測調査からは区分ごとの違いまでしか分からない
拠点や担当者の良し悪しの評価評価の使い方は会社が決める
自由記述の言い換えた引用引用は原文をそのまま写し、回答の番号を付ける
苦情への対応の判断苦情の可能性があるものは印を付けて人へ回す

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「支払いまでの日数が91日以上の区分で満足の割合が低い」という事実に、何も言わなければ「支払いの遅れが不満の原因と考えられます」と付け足します。そう読める材料があっても、書くのは担当者で、AIには数字までを書かせます。

Step6

指示内容を固定する

プロジェクトの指示として、次の文を置きます。

あなたは損害保険会社のお客様の声の推進室で、事故対応の満足度調査の
月次報告を作る担当です。Sources の「集計の決まり」と「報告書のひな形」に従ってください。

【作業の順番】
1. 添付の回答データを読み込み、読み込んだ行数と列の名前を最初に書く。
2. 集計はすべてコードで行う。使ったコードは最後にまとめて示す。
3. 設問ごとに、有効回答数・平均・満足の割合を出す(定義は集計の決まりの1)。
4. 集計の決まりの2の区分でクロス集計し、拠点全体との差と前月との差を出す。
   前月の数字は Sources の前月の集計表から取る。全社の数字はチャットに貼られた表から取る。
5. 有効回答数が30件未満の区分には「参考」と付ける。
6. ひな形の順番と色で横棒グラフを作る。
7. 自由記述を、良かった点・改善してほしい点に分け、テーマごとに件数を数え、
   各テーマにつき原文の引用を最大3件、回答の番号を付けて示す。
8. 苦情の可能性がある自由記述(謝罪や説明を求める、対応のやり直しを求める、
   申し出の窓口を尋ねる、など)は、別の表に回答の番号と原文で並べる。
9. まとめの下書きを、集計表の数字だけを使って書く。

【ファイル】
- 表計算のファイル:シート「集計」「区分別」「自由記述」「苦情の可能性」「検算」
- 報告書のファイル:ひな形の章立てで、グラフとまとめの下書きを入れる

【検算のシートに書くこと】
読み込んだ行数/評価が1〜5以外で外した件数(設問ごと)/設問ごとの有効回答数と平均/
「その他」「分類なし」に入れた件数

【厳守事項】
- まとめの文章で計算しないでください。数字は集計のシートの値をそのまま写してください。
- 「参考」の区分の差は、まとめの文章に書かないでください。
- 差を言ってよい条件(集計の決まりの3)を満たさない差を、上昇・低下と書かないでください。
- 言葉は集計の決まりの4だけを使ってください。「大きく」「急激に」は使わないでください。
- 原因の推測を書かないでください。「〜が原因と考えられる」「〜の影響で」を使わないでください。
- 拠点や担当者を評価する言葉(優れている、問題がある、など)を書かないでください。
- 自由記述の引用は、原文をそのまま写してください。要約した文を引用として示さないでください。
- 苦情への対応の要否は書かないでください。

「まとめの文章で計算しない」を、作業の順番と厳守事項の2か所に書いているのは、 文章を書く段になると、集計のシートに無い数字(2つの区分の差や、3か月の平均)をその場で作ることがあるからです。表に無い数字がまとめに出たら、それは確かめられていない数字です。必要な差は、作業の4番目で表に出させておきます。

8番目の「苦情の可能性」を別の表に分けるのは、 満足度の報告と、申し出への対応は別の流れだからです。報告書の自由記述の欄に紛れると、拠点の責任者が読んで終わりになり、対応が要る申し出が誰にも回りません。

Step7

出力形式を固定する

表計算のファイルの「区分別」のシートは、次の形で受け取ります。

拠点:東海損害サービスセンター 対象:2026年9月回答分 集計の決まり:版 2026-10-01

| 区分の種類 | 区分 | 有効回答数 | 総合の満足の割合 | 拠点全体との差 | 前月との差 | 印 |
| 事故の種類 | 対物 | 142 | 78.2% | +1.5 | +0.8 | |
| 事故の種類 | 車両 | 96 | 70.8% | -5.9 | -2.1 | 差あり |
| 事故の種類 | 傷害 | 18 | 61.1% | -15.6 | -9.4 | 参考 |
| 担当の交代 | あり | 41 | 63.4% | -13.3 | -3.0 | 差あり |
| 支払いまでの日数 | 91日以上 | 27 | 55.6% | -21.1 | -4.4 | 参考 |

「印」の列は、集計の決まりの3を機械的に当てはめた結果です。 「差あり」は30件以上で5ポイント以上の差があるもの、「参考」は30件未満のものです。まとめの下書きに出てよいのは「差あり」の行だけで、担当者はこの列を見れば、文章のどの記述がどの行から来たかを追えます。

「検算」のシートは、次の形です。

| 項目 | ChatGPT の値 | 照合先の値(担当者が書く) | 一致 |
| 読み込んだ行数 | 412 | | |
| 総合の満足度の有効回答数 | 405 | | |
| 総合の満足度の平均 | 3.9 | | |
| 評価が1〜5以外で外した件数(総合) | 7 | | |
| 自由記述「分類なし」の件数 | 11 | | |

3列目は空けたまま返させ、担当者が手元の控えとアンケートの仕組みの画面から書き込みます。

まとめの下書きは、次のような文になります。

【総合】総合の満足の割合は76.7%で、前月から横ばい(-0.6ポイント)でした。
【区分ごと】車両の事故の満足の割合は70.8%で、拠点全体より5.9ポイント低くなっています。
担当の交代があった回答(41件)の満足の割合は63.4%で、拠点全体より13.3ポイント低くなっています。
【参考】傷害、支払いまでの日数91日以上の区分は回答が30件未満のため、差の記述を省いています。
【自由記述】改善してほしい点では「途中経過の連絡」が最も多く(23件)、次いで「書類の分かりにくさ」(14件)でした。

表計算のファイルで受け取るのは、担当者が数字を開き直せるからです。 公式の案内では、作ったファイルはチャットの中で確かめてダウンロードでき、次の版への的を絞った直しを頼めるとされています。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
アンケートの仕組み担当者がCSVを書き出す前月の回答と、検算の照合先の数字
支払いの仕組み担当者が属性を書き出す回答の番号に対応する属性
ChatGPT のプロジェクト指示と Sources、チャットへの添付集計表・グラフ・まとめの下書きのファイルを受け取る
共有フォルダ担当者が保存する回答データ(番号を外したもの)、表計算のファイル、報告書
拠点の責任者室長が送る確認済みの報告書と集計表

ChatGPT と社内の仕組みは、つなぎません。 回答データは担当者が書き出し、番号を外してから添付します。つながっていないことで、氏名や証券番号が ChatGPT に渡る経路が1つもない状態を保てます。

前月の集計表は、毎月 Sources の中身を差し替えます。 公式の案内では、Sources に置いたファイルはプロジェクトのチャット全体で使え、1つのチャットに添付したファイルはそのチャットだけに効くとされています。前月の集計表は全拠点で共通に使うので Sources に、拠点の回答データはチャットに添付します。

Step9

人が確認する

担当者が数字と文章を確かめ、室長が送ってよいかを決めます。

  1. 検算のシートを先に見る … 読み込んだ行数と有効回答数、全体の平均を、手元の控えとアンケートの仕組みの画面の数字と照らします。1つでも合わなければ、その先は読まずに読み込みからやり直します
  2. 「差あり」の行を確かめる … まとめに出た差が、区分別のシートの「差あり」の行と一致しているかを見ます。まとめにだけある数字が無いかを探します
  3. 使ったコードを流し読む … 満足の割合の分母に無回答が入っていないか、区分の並びが決まりどおりかを見ます。コードを読めない担当者は、1つの区分だけ表計算で出し直して照らします
  4. 自由記述の引用を読む … 回答の番号で元の回答を開き、原文と一致するかと、ほかの人の名前や住所が残っていないかを見ます
  5. 「苦情の可能性」の表を回す … 回答の番号を付けて、申し出を受け付ける部署へ回します。報告の作業とは切り離します
  6. どの差を報告に書くかを決める … 「差あり」でも、拠点の事情で書かないほうがよいものがあれば外します

1番目を省かないでください。 区切り文字や改行を含む自由記述のせいで、CSVの読み込みで行がずれることがあります。ずれたまま集計されたグラフは、見た目には何の問題もありません。

目標は、1拠点を90分で確かめて送れる状態にすることです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
読み込んだ行数が控えと合わない区切り文字・改行・文字コードを疑う。ファイルを保存し直して新しいチャットでやり直す
検算の平均が、アンケートの仕組みの画面と合わない無回答や1〜5以外の値の扱いを確かめ、集計の決まりの1に沿っているかをコードで見る
区分の値が決まりに無い(新しい事故の種類など)「その他」で出る。集計の決まりに区分を足し、版を上げる
まとめに集計表に無い数字が出たその文を消し、必要な差は作業の4番目で表に出させてから書き直させる
原因の推測が書かれた指示に反した出力。その文を消す
自由記述の引用が原文と違う引用を差し替える。同じことが続くなら、引用の件数を減らす
自由記述に氏名や住所が残っていた報告書から消し、前処理の置き換えの一覧に足す
ファイルが作られずに途中で止まった同じチャットで続きを頼まず、新しいチャットで回答データを添付し直す
ChatGPT が使えない従来の表計算のひな形で集計する。ひな形を年に1度は手で動かしておく

上から2行が、最初の数か月に多く出ます。 どちらもAIの誤りというより、CSVの形と集計の決まりの書き方の問題です。

Step11

記録を残す

  • ChatGPT に渡した回答データ(番号を外したもの)と、そのときの行数の控え
  • 表計算のファイル(集計・区分別・自由記述・苦情の可能性・検算)と報告書のファイル
  • 検算のシートに担当者が書き込んだ照合先の値と、一致したかどうか
  • 使ったコード(チャットの最後に示されたもの)
  • 集計の決まりの版と、その月に使ったひな形の版
  • 担当者が直したまとめの文と、直した理由
  • 「苦情の可能性」の表を回した先と日付

集計の決まりの版を残すのは、前月との比較の意味が版で変わるためです。 「満足の割合」の定義や区分を変えた月は、前月の数字と並べても比べられません。版が変わった月は、報告書の冒頭にその旨を書きます。

直したまとめの文と理由をためると、 指示に足すべき決まりが見えてきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:決まりと指示をチャットに貼り、1拠点の回答データを集計させる / 1拠点の集計とまとめの下書き
半自動化:上記+プロジェクトの指示と Sources に決まりとひな形を置き、12拠点を同じ決まりで集計して表計算と報告書のファイルで受け取る / 毎月の集計・グラフ・自由記述の分類・まとめの下書き
本格構成:上記+アンケートの仕組みの書き出しと番号の削除を手順として固め、四半期ごとに区分と決まりを見直す / 前処理の手順化と、決まりの手入れ

半自動化で、1拠点240分が90分になります。 本記事の想定はこの段階です。ピボットとグラフの組み直しがなくなり、 担当者は検算と文章の確認に時間を使います。 本格構成は、前処理を固める段階です。 毎月同じ手順で書き出せると、検算で合わない月が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
12 件
1件あたり現在時間
240 分
1件あたり導入後時間
90 分
現在  12件 × 240分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 12件 × 90分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
63%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,500円)
126万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 保険金の支払いや事故の受付を終えた契約者に満足度調査を送り、回答を拠点ごと・事故の種類ごとに毎月まとめて報告している損害保険会社・共済・少額短期保険の業者。アンケートの仕組みから回答をCSVで書き出せるが、クロス集計とグラフと自由記述の読み込みを担当者が表計算で毎月作り直している場合。報告の書き方が担当者ごとに違い、拠点から「先月と比べられない」と言われている場合。業務用の ChatGPT のワークスペースを使える場合。
向いていない
  1. 回答が月に数十件しかなく、平均点と自由記述を目で読めば足りる場合。調査の分析をBIの仕組みで自動の集計表にしており、毎月の作業がほとんど残っていない場合。回答データから氏名・証券番号・事故の番号を外せない場合(外してから使う)。なお、拠点の評価や担当者の処遇、保険金の支払いの判断に調査の結果をどう使うかは、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 前月に報告した拠点を1つ選び、そのときの回答データ(番号を外したもの)と報告書を用意する
  2. 集計の決まりを、第7章の形で1枚に書く
  3. ChatGPT のチャットに集計の決まりと第7章の指示の例を貼り、回答データを添付する
  4. 出てきた集計表と、前月に手で作った集計表を、設問ごと・区分ごとに照らす
  5. まとめの下書きに、30件未満の区分の差や原因の推測が出ていないかを見る

最初に確かめるのは、手で作った集計表と数字が一致するかです。 一致しなければ、どちらかの定義が違います。多くは、無回答を分母に入れるかどうかです。

出てきた内容判断
手で作った集計表と数字が一致し、まとめが決まりどおりだったプロジェクトを作り、3名で使う
数字が一致しない集計の決まりの定義を詳しく書く。構成は有効
まとめに「参考」の区分の差や原因の推測が出た指示の厳守事項を強める

2行目は、珍しくありません。 手で作っていた集計表にも、担当者ごとの暗黙の決まりがあります。数字が合わない理由を探すと、その暗黙の決まりが文書になります。 それ自体が、担当者ごとの違いをなくす一歩です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
件数の少ない区分の差をまとめに書く30件未満は「参考」。 まとめでは触れさせない
まとめに集計表に無い数字が出る文章の中で計算させない。必要な差は表に出させる
CSVの読み込みで行がずれる検算のシートで行数を照らす。 文字コードと区切り文字をそろえる
満足の割合の分母が人によって違う集計の決まりに定義を書く。無回答は分母に入れない
原因の推測が付け足される「〜が原因と考えられる」を禁じる
自由記述の引用が要約になる原文をそのまま写させ、回答の番号を付ける
自由記述に氏名や住所が残る引用は人が読んでから載せる。置き換えの一覧を育てる
1つのチャットで複数の拠点を集計して混ざる1つの拠点に1つのチャット
苦情の可能性がある声が報告の中に埋もれる別の表に分けて、申し出を受ける部署へ回す
決まりを変えた月に前月と比べてしまう版を残し、版が変わった月は冒頭に書く

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「整った文章になっている」ことで見落とされます。まとめの文の数字が、区分別のシートのどの行から来たかを追えるかどうかで、報告として出せるかが決まります。

3行目も、同じくらい早く効いてきます。 読み込みの誤りは、表とグラフの見た目には出ません。検算のシートの照合先を、別の経路の数字にしておくことがすべてです。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 満足度調査の評価と自由記述、事故の種類・年代・拠点などの属性です。元のデータには、契約者の氏名、証券番号、事故の番号、連絡先が入っています。 自由記述には、事故の状況やけがの様子が書かれていることがあります。

  1. 氏名・番号・連絡先を渡さない … 回答の番号だけを残して列を消します。集計にも報告にも要らない情報です
  2. 業務用のワークスペースで使う … 個人のアカウントでは、会話の保持やデータの扱いを社内の決まりに合わせられません。公式の案内では、業務のデータは既定でモデルの学習に使われないとされています
  3. 自由記述の引用は人が読んでから載せる … けがの様子や家族の名前が書かれた回答を、そのまま拠点の報告に載せません
  4. 調査の結果を処遇の判断に直接使わない … 拠点や担当者の評価にどう使うかは会社が決めることです。この構成が出すのは区分ごとの数字と、決まりに沿った文章までです
  5. 苦情の可能性がある声は、報告と切り離して回す … 満足度の報告として読まれて終わらないよう、申し出を受ける部署へ回す手順を決めておきます
  6. 共有の操作は全体を見てから … 公式の案内では、チャットを共有する前に、元のデータや前のやり取りを含めて全体を見直すよう示されています。集計のチャットは共有しない決まりにします

誤りが起きた場合のリスクは、読み込みの誤りで違う数字の報告を送ることと、件数の少ない区分の差を拠点の課題として伝えてしまうことの2つです。 前者は検算のシートで、後者は「参考」の印と厳守事項で防ぎます。どちらも、担当者が数字の出どころを追える形で受け取ることで、最後に守ります。

10まず何から始めるか

1週目:集計の決まりを書く

いま3名がそれぞれ使っている満足の割合の定義、区分の並び、グラフの順番を持ち寄り、1枚の集計の決まりにします。 差を言ってよい条件と言葉の基準は、室長と一緒に決めます。

2週目:前月の1拠点で試す

前月に報告した拠点を1つ選び、番号を外した回答データで集計させます。手で作った集計表と数字が一致するかを最優先で見ます。 合わなければ、集計の決まりの定義を書き足します。

3週目:前処理の手順を決める

アンケートの仕組みと支払いの仕組みからの書き出し、回答の番号での突き合わせ、列の削除、自由記述の置き換えを、毎月同じ順番で行える手順書にします。 検算の照合先を控える欄も作ります。

4週目:プロジェクトを作る

プロジェクトの指示と Sources に集計の決まりと報告書のひな形、前月の集計表を置き、3名が使えるようにします。検算のシートの書き方を3名でそろえます。

2か月目: 12拠点すべてを、この構成で集計して報告します。手で作った報告と並べて、拠点の責任者に読みやすさを聞きます。3か月目以降: 1拠点240分が何分になったかを実測し、直したまとめの文から集計の決まりと指示を手入れします。検算が毎月一致し、30件未満の区分の差が報告に出なくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
ChatGPT Work がファイルを読み、データを分析し、コードやシェルのコマンドを動かせること。文書・プレゼンテーション・表計算・PDFのファイルを作れること。機能がプラン・プラットフォーム・地域・ワークスペースの設定で変わり、管理者が ChatGPT Work の利用を制御できることChatGPT: Use ChatGPT2026-10-14
プロジェクトに Chats と Sources があり、プロジェクトの指示がそのプロジェクトのチャット全体に適用されること。Sources にアップロードしたファイルと接続した情報を置くことChatGPT: Projects and chats2026-10-14
ChatGPT Work(Web)で元のファイルを添付し、文書・表計算などを作らせ、チャットの中で確かめてダウンロードし、次の版への的を絞った直しを頼めること。直すときは対象のシートや表と変えない部分を書くよう示されていることChatGPT: Work with files2026-10-14
Visualizations がプレビューとして展開中で、プランや環境で使えるかが変わること。作った時点の情報の写しで、つながった情報源と同期し続けるダッシュボードではないこと。共有の前にチャット全体を見直すよう示されていることChatGPT: Visualizations2026-10-14
Business・Enterprise・Edu のワークスペースで通信中と保存時の暗号化があり、OpenAI が既定では業務のデータをモデルの学習に使わないことChatGPT: ChatGPT Work cloud security2026-10-14

調査の結果を拠点や担当者の評価にどう使うか、苦情にどう対応するかは、社内の決まりに沿って会社が判断してください。 本記事は製品の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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