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リフォーム会社に写真付きで届く問い合わせを、工事の種類・緊急度・現地調査の要否で分類し、担当へ振り分けて初回の返信を下書きする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

リフォーム会社に写真付きで届く問い合わせを、本文と写真から工事の種類・緊急度・現地調査の要否で分類し、担当の営業へ振り分けます。足りない写真の依頼を含む初回の返信も下書きします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
不動産/建設
対象部門
カスタマーサポート/営業
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
判断に時間がかかる/問い合わせが多い/営業フォローが追いつかない
AIで行う処理
分類
主な効果
判断支援/対応スピード向上/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
48h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
67%
年間削減
384h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 受付の事務が受付用のアドレスを開き、届いた順に問い合わせを読む
  2. 添付の写真を1枚ずつ開き、どこの何が写っているかを見る
  3. 本文と写真から工事の種類を決め、急ぐ相談かどうかを判断する
  4. 現地調査が要りそうか、写真で概要が分かるかを判断する。迷えば当番の営業に聞く
  5. 住所と工事の種類から担当表を見て担当を決め、問い合わせ台帳に1行書く
  6. 初回の返信を書いて送る。足りない写真があれば頼む。担当の営業に台帳の行を見るよう伝える
導入後(After)
  1. 自動フォームの通知メールに Gmail のフィルタでラベルが付き、Make のシナリオが動く
  2. 自動問い合わせ台帳を引き、同じメールをすでに処理していれば止める
  3. 自動添付の写真を取り出し、形式とサイズを確かめて Claude の Files API に上げる
  4. 自動Claude API が本文と写真から、工事の種類・緊急度・現地調査の要否・写っているもの・足りない写真を返す
  5. 自動緊急度でルーターが分岐し、急ぐものは当番の営業にすぐ知らせる
  6. 自動住所と工事の種類から担当表で担当の営業を決め、問い合わせ台帳に1行書く
  7. 自動Claude API が足りない写真の依頼を含む初回の返信を下書きし、Gmail の下書きに置く
  8. 自動Files API に上げた写真を削除する
  9. 人担当の営業(急ぐものは当番の営業)が分類と下書きを確かめ、送る
  10. 人担当の営業が、現地調査の日程を相談者と決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 受付の事務が受付用のアドレスを開き、届いた順に問い合わせを読む
  2. 添付の写真を1枚ずつ開き、どこの何が写っているかを見る
  3. 本文と写真から工事の種類を決め、急ぐ相談かどうかを判断する
  4. 現地調査が要りそうか、写真で概要が分かるかを判断する。迷えば当番の営業に聞く
  5. 住所と工事の種類から担当表を見て担当を決め、問い合わせ台帳に1行書く
  6. 初回の返信を書いて送る。足りない写真があれば頼む。担当の営業に台帳の行を見るよう伝える

(a)急ぐ相談が埋もれる。 週明けの朝には、週末に届いた問い合わせがまとめて並びます。雨漏りの相談が20件目にあると、そこまで読むのに1時間以上かかります。 その間にも雨は降っています。

(b)写真を見ての判断が人に寄っている。 写真から「これは外壁のひび割れで塗装の相談」「これは給湯器の交換」と読めるのは、現場を知っている事務と営業です。事務の経験によって、工事の種類の判断と急ぎの判断が分かれます。

(c)足りない写真の聞き返しが何往復も続く。 給湯器の相談に型番が分からない、外壁の相談に建物の一部しか写っていない。現地調査の前に担当が準備できず、聞き返しのメールが2往復、3往復と続きます。

(d)迷うと当番の営業に聞く。 4番目で迷うたびに当番の営業の手を止め、営業は自分の現場の合間に写真を見て答えることになります。

  1. 【自動】 フォームの通知メールに Gmail のフィルタでラベルが付き、Make のシナリオが動く
  2. 【自動】 問い合わせ台帳を引き、同じメールをすでに処理していれば止める
  3. 【自動】 添付の写真を取り出し、形式とサイズを確かめて Claude の Files API に上げる
  4. 【自動】 Claude API が本文と写真から、工事の種類・緊急度・現地調査の要否・写っているもの・足りない写真を返す
  5. 【自動】 緊急度でルーターが分岐し、急ぐものは当番の営業にすぐ知らせる
  6. 【自動】 住所と工事の種類から担当表で担当の営業を決め、問い合わせ台帳に1行書く
  7. 【自動】 Claude API が足りない写真の依頼を含む初回の返信を下書きし、Gmail の下書きに置く
  8. 【自動】 Files API に上げた写真を削除する
  9. 【人】 担当の営業(急ぐものは当番の営業)が分類と下書きを確かめ、送る
  10. 【人】 担当の営業が、現地調査の日程を相談者と決める

5番目が、この設計の分かれ目です。 急ぐと分類されたものは、台帳への記録と下書きを待たずに、当番の営業へ先に知らせます。 急ぐ相談の返信は、下書きを待たずに電話で始めてよいからです。

9番目で、人は写真を全部開き直すことはしません。 台帳にAIが書いた「写っているもの」の一覧があり、分類の根拠になった写真だけを開いて確かめます。

02今回想定するシステム構成

構成図
Web のフォーム(写真を添付できる)
   │  入力の内容と写真が付いた通知メールが受付用アドレスに届く
   ▼ Gmail のフィルタで「Web相談」のラベルを付ける
   ▼【トリガー】Gmail:Watch emails(ラベルを指定)
Make のシナリオ
   ├──▶ Google Sheets:Search Rows(同じメールの記録)
   ├──▶ Gmail:List email attachments and media(写真を取り出す)
   ├──▶ Anthropic Claude:Upload a File(写真を Files API へ)
   ├──▶ Claude API(Make an API Call):工事の種類・緊急度・現地調査の要否
   ├──▶ Router:緊急度で分岐
   │      ├ 急ぐ → 当番の営業へすぐ知らせる
   │      ├ 通常 → 担当表で担当を決める
   │      └ フォールバック → 受付の事務へ
   ├──▶ Google Sheets:Add a Row(問い合わせ台帳)
   ├──▶ Claude API:初回の返信の下書き
   ├──▶ Gmail:Create a draft email
   └──▶ Anthropic Claude:Delete a File(写真を消す)
   ▼【人】担当の営業が確かめて送る
役割想定する製品代替候補
ワークフローMake(シナリオ。Gmail、Google Sheets、Router)Zapier、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(画像の読み取り、Files API、構造化出力)OpenAI API、Gemini API
保管Google スプレッドシート(問い合わせ台帳・担当表)Airtable
メールGmail(受付用のアドレス)Microsoft Outlook

新しく足すのは、シナリオと問い合わせ台帳の列だけです。 フォーム、受付用のアドレス、担当表は、いま使っているものをそのまま使います。この構成が書き込むのは、問い合わせ台帳と Gmail の下書きだけです。

写真は Gmail の List email attachments and media で取り出します。 公式のページでは、メッセージのIDを渡して添付ファイルとメディアを取り出し、ファイルの中身を出力に含めるかを選べます。 Watch emails には、添付ファイルのあるメールだけに絞る条件もあります。

写真の読み取りは Claude API で行います。 公式のページでは、Claude が受け付ける画像は JPEG・PNG・GIF・WebP で、渡し方は base64、URL、Files API の file_id の3つです。Claude API に直接送るときの1枚の上限は base64 で 10MB、1回の呼び出しの大きさの上限は標準のエンドポイントで 32MB とされています。スマートフォンの写真を何枚も base64 で送ると、32MBに先に届きます。

そこで、写真は Files API に上げてから file_id で渡します。 Files API は一般提供で、ベータのヘッダーは要りません。Make の Anthropic Claude のアプリには Upload a File と Delete a File があります。上げたファイルはワークスペースのどの API キーからも参照できるとされているので、この用途だけのワークスペースを分け、処理が終わったら削除します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フォームの通知メールに「Web相談」のラベルが付いたことを起点にします。 ラベルは Gmail のフィルタで、フォームの通知の送信元と件名の決まった文字列を条件に付けます。受付の事務が手でラベルを付ける運用にはしません。 付け忘れが、急ぐ相談の見落としに直結します。

Watch emails の実行の間隔は15分にします。 急ぐ相談を早く拾うのがこの構成の目的なので、1日数回の実行では足りません。1回で扱う件数の上限は20にします。 写真付きの問い合わせは1件ごとの処理が重いので、週明けにまとまって届いても次の実行に分けて拾います。

営業時間の外でも動かします。 夜間や休日の知らせ先は当番表で切り替えます。夜間にどこまで対応するかは会社の決まりで、この構成は知らせるところまでです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
通知メール件名、本文(名前・住所・連絡先・相談の内容)、メッセージID、受信日時Gmail
写真添付の画像ファイル(名前・形式・中身)Gmail
工事の種類の定義種類ごとの名前、典型的な相談の書き方、写真に写りやすいもの指示に書き込む
緊急度の定義急ぐと扱う状態の一覧(水が落ちている、水が止まらない、など)指示に書き込む
種類ごとに要る写真給湯器なら型番のラベル、外壁なら建物の全体と近く、など指示に書き込む
担当表地域(市区町村)と工事の種類ごとの担当の営業、当番表Google スプレッドシート

質を決めるのは、緊急度の定義です。 「急ぎ」をAIの感覚に任せると、本文の言い方の強さで決まります。「至急」と書かれた外壁の見積の依頼が急ぎになり、淡々と書かれた雨漏りが通常になります。 そこで、急ぐと扱う状態を一覧にして渡します。天井や壁から水が落ちている、水が止まらない、給湯器が止まってお湯が出ない、窓やドアが閉まらず施錠できない、といった状態の一覧です。

ガスのにおいや焦げたにおい、電気の火花についての記述は、別の扱いにします。 これらはリフォーム会社が最初に対応するものではないので、AIに対処を書かせず、safety_alert の印だけを付けさせて、当番の営業にすぐ知らせます。 返信の下書きには、ガス会社や電力会社への連絡を促す会社の決まった文を入れます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどうやって
件名・本文・メッセージIDGmailWatch emails の出力(Full content)
同じメールの記録問い合わせ台帳Search Rows(メッセージIDで探す)
写真の中身GmailList email attachments and media(ファイルの中身を含める)
写真の file_idClaude の Files APIAnthropic Claude の Upload a File
担当の営業担当表Search Rows(市区町村と工事の種類で探す)

写真は、上げるときに有効期限を付けます。 Files API では、アップロードのときに expires_in_seconds を付けると、3,600秒(1時間)から7,776,000秒(90日)のあいだで自動的に期限が切れるとされています。処理の最後に Delete a File で消しますが、シナリオが途中で止まったときのために1時間の期限も付けます。 Make の Upload a File でこの項目を指定できない場合は、HTTP のモジュールでアップロードの API を呼びます。

相談者の住所は、担当を決めるために市区町村までを使います。 担当表は市区町村で引くので、番地より先はAIにも担当表の検索にも渡しません。 番地は台帳にだけ残します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 重複の確認 … メッセージIDで問い合わせ台帳を引き、記録があれば止めます
  2. 写真の形式の確認 … JPEG・PNG・GIF・WebP 以外(HEIC など)は Claude に渡さず、台帳に「形式の違う写真あり」と書きます
  3. 写真のサイズの確認 … 1枚が大きすぎるものは渡さず、台帳に書きます
  4. 写真の枚数を絞る … 1件につき最大8枚までを渡し、それを超える分は台帳に枚数だけ書きます
  5. 写真に番号を付ける … 「写真1:」「写真2:」のように短い見出しを付けて、写真の前に置きます
  6. 本文の切り出し … 通知メールの決まった前置きと末尾を落とし、入力の内容だけにします
  7. 住所を市区町村までにする … AIに渡すのは市区町村まで。番地と電話番号は渡しません

2番目は、スマートフォンの写真でよく起きます。 機種や設定によっては写真が HEIC で保存され、そのまま添付されます。Claude はこの形式を受け付けないので、渡さずに人へ回し、返信の下書きで JPEG での送り直しを頼みます。

5番目は、公式のページの勧めに沿ったものです。 複数の画像を送るときは、それぞれに「Image 1:」のような短い見出しを付けると、指示や応答の中で名前で指せるとされています。AIが「写真3に型番のラベルが写っている」と返せば、人はその1枚だけを開けば済みます。

Step5

AIに処理させる

させるのは2つです。 1回目の呼び出しで、本文と写真から分類し、写っているものと足りない写真を返します。2回目の呼び出しで、分類と足りない写真を受けて初回の返信を下書きします。

項目させること判断できないときの扱い
工事の種類水回り・外壁と屋根・内装・外構・雨漏り・その他から主なものを1つ迷えば other
緊急度定義の状態の一覧に当たるかで urgent/normal迷えば urgent にして人が見る
安全の印ガス・焦げ・火花のにおいや記述があるか迷えば true
現地調査の要否needed/photos_first(写真を足してもらってから判断)/unsure迷えば unsure
写っているもの写真ごとに、場所と写っているものを短く書く分からなければ unclear
足りない写真種類ごとに要る写真の一覧と照らして、無いもの種類が決まらなければ空
根拠分類の根拠にした本文の文と写真の番号示せなければ other

緊急度を迷ったら urgent にするのは、急ぐ相談を通常に入れる誤りが重いからです。 通常の相談を急ぎに入れても、当番の営業が1件余計に見るだけで済みます。逆は、被害が広がるのを待つことになります。

写っているものは、見た目の言葉で書かせます。 「天井の板にしみがある」「外壁に細い線のようなひびが見える」と書かせ、「雨漏りの跡」「構造のひび」とは書かせません。

させないこと理由
原因の診断を書く写真で分かるのは見た目まで。原因は現地で確かめる
工事が要るか要らないかを書く担当の営業が現地で判断する
見積の金額や目安を書く現地の状況で変わる。下書きに書くと約束になる
建物が安全かどうかを書く誤れば相談者の判断を誤らせる
ガスや電気の対処の手順を書くリフォーム会社の役割ではない。決まった文で連絡先を案内する

1行目が誤りやすいところです。 天井のしみの写真に、AIは「上の階の配管からの漏水と考えられます」と書きがちです。その一文が相談者に届けば、配管ではなく屋根が原因だったときに説明がつきません。

Step6

指示内容を固定する

1回目の呼び出し(分類)の指示:

あなたはリフォーム会社で、Web の相談を受け付ける事務の担当者です。
相談の本文と写真に見えることだけを使って、項目を埋めてください。
推測で埋めないでください。

【工事の種類】主なものを1つ。迷う場合は other。
- water:浴室・キッチン・トイレ・洗面・給湯器
- exterior:外壁・屋根・雨どい・ベランダ
- leak:天井や壁から水が落ちる、しみが広がる
- interior:床・壁紙・建具・間取りの変更
- outdoor:門・塀・駐車場・庭
- other:上のどれにも当てはまらない

【緊急度】下の状態のどれかに当たれば urgent。迷う場合も urgent。
{urgent_conditions}

【安全の印】ガスのにおい、焦げたにおい、火花、煙についての記述があれば
safety_alert を true にしてください。対処の方法は書かないでください。

【写真】写真ごとに、写っている場所と見えるものを、見た目の言葉で書いてください。
- 「しみがある」「ひびのような線が見える」のように書き、
  「雨漏り」「漏水」「構造のひび」など原因を表す言葉を使わないでください。
- 写真から読めない場合は unclear にしてください。

【足りない写真】工事の種類ごとに要る写真の一覧と照らし、
写真に無いものを missing_photos に入れてください。
{required_photos}

【厳守事項】
- 原因、工事の要否、見積の金額、建物の安全について書かないでください。
- evidence に、分類の根拠にした本文の文と写真の番号を入れてください。

【相談の本文】{body}
【市区町村】{city}

2回目の呼び出し(初回の返信の下書き)の指示:

リフォーム会社から、相談をくださった方への最初の返信を書いてください。
次のことだけを書いてください。
- 相談のお礼と、内容と写真を受け付けたこと
- 担当する営業の名前({sales_name})と、担当から連絡すること
- 足りない写真があれば、何をどう撮ってほしいか(下の一覧のものだけ)
- 形式の違う写真があった場合は、JPEG での送り直しのお願い
- safety_alert が true の場合は、下の決まった文をそのまま入れる

【書かないこと】
- 原因の見立て、工事が要るかどうか、見積の金額や目安
- 建物が安全かどうか
- 「すぐに伺います」のような、訪問の日時を約束する言い方

【分類の結果】{classification}
【足りない写真】{missing_photos}
【安全についての決まった文】{safety_text}
【署名】{signature}

「原因を表す言葉を使わない」を写真の項目に書くのは、写っているものの欄が台帳に残り、人がそのまま返信に写すことがあるからです。 台帳の段階で原因の言葉が入っていなければ、下書きにも、人が書き足す文にも入りにくくなります。

「すぐに伺います」を禁じるのは、急ぐ相談ほどAIがこの言い方を選ぶからです。 当番の営業がその日に伺えるかは、その日の現場の予定で決まります。

Step7

出力形式を固定する

1回目の呼び出しは、次の形の JSON を返させます。

{
  "work_type": "water | exterior | leak | interior | outdoor | other",
  "urgency": "urgent | normal",
  "safety_alert": false,
  "site_visit": "needed | photos_first | unsure",
  "photos": [
    { "photo_no": 1, "location": "", "observation": "" }
  ],
  "missing_photos": [""],
  "evidence": { "text": "", "photo_nos": [1] }
}

構造化出力にする1つ目の理由は、ルーターの条件にそのまま使えることです。 urgency と safety_alert で分岐させるので、決まった値の外の文字が返ると、急ぐ相談がフォールバックに落ちます。 Claude API の構造化出力では、スキーマを output_config.format に渡すと、その形の JSON が応答の本文に入ります。

2つ目は、写真ごとの所見を台帳に並べられることです。 photos の配列を「写真1:浴室・床のタイルに黒い線が見える」のような行にして台帳に書けば、担当の営業は写真を開く前に、どれを開けばよいかが分かります。

3つ目は、応答の終わり方を確かめられることです。 公式のページでは、stop_reason が max_tokens のときや拒否のときは、出力がスキーマに合わないことがあるとされています。通常の終わり方でなければ、急ぎの扱いにして当番の営業に知らせ、下書きは作りません。

問い合わせ台帳には、次の列を持たせます。

列中身
受付日時・メッセージID・市区町村重複の確認と、地域ごとの件数
工事の種類・緊急度・安全の印・現地調査の要否1回目の呼び出しの結果
写真ごとの所見・足りない写真・渡さなかった写真写真の扱いの記録
担当の営業・状態未対応/下書きあり/送信済み/現地調査の日程確定
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
GmailWatch emails/List email attachments and media/Create a draft email問い合わせと写真を受け、下書きを置く
問い合わせ台帳・担当表Google Sheets の Search Rows/Add a Row重複の確認、担当を引く、記録
Claude の Files APIAnthropic Claude の Upload a File/Delete a File写真を上げ、処理の後に消す
Claude APIAnthropic Claude の Make an API Call分類と返信の下書き
当番の営業への知らせGmail の Send an email(社内だけ)急ぐものと安全の印のものをすぐ知らせる

ルーターのルートは、安全の印、急ぐもの、通常の順に並べます。 ルートは1本ずつ順に処理されるので、安全の印が付いたものを最初に知らせます。 フォールバックには、stop_reason が通常でないものと、どの条件にも当たらなかったものが落ち、受付の事務へ回ります。

Claude API は Make an API Call で呼びます。 Make のアプリの説明には構造化出力の設定が書かれていないため、Messages API の本文に、画像のブロック(file_id)と output_config.format を自分で書きます。

相談者への返信は、自動では送りません。 下書きを置くまでです。知らせのメールを送るのは社内の当番だけで、相談者には送りません。

Step9

人が確認する

担当の営業(急ぐものと安全の印のものは当番の営業)が、すべての下書きを送る前に確かめます。

  1. 急ぐものと安全の印のものを先に見る … 当番の営業は知らせを受けたら、下書きを待たずに相談者へ電話してよいことにします。安全の印のものは、ガス会社や電力会社への連絡を促します
  2. 分類の根拠の写真を開く … 台帳の所見と根拠の写真の番号を見て、その写真だけを開きます
  3. 足りない写真の依頼を確かめる … 現地調査の前に本当に要る写真かを見て、要らないものは下書きから外します
  4. 送る … 文面を整えて Gmail の画面から送り、台帳の状態を「送信済み」にします

受付の事務が見るのは、フォールバックと、形式の違う写真が付いたものです。 フォールバックの件数を毎週数え、多い型があれば定義を直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
HEIC など受け付けない形式の写真渡さずに台帳に書き、下書きで JPEG での送り直しを頼む
1件に写真が多すぎる8枚まで渡し、残りの枚数を台帳に書く。担当が直接開く
写真が暗い・ぶれていて読めない所見を unclear にし、撮り直しを足りない写真として頼む
写真が無い本文だけで分類し、種類ごとに要る写真を頼む
住所が担当表のどの地域にも当たらない受付の事務へ回す。対応地域の外かを人が判断する
stop_reason が通常の終わり方でない急ぎの扱いで当番に知らせ、下書きは作らない
Files API へのアップロードに失敗写真なしで本文だけ分類し、台帳に「写真未確認」と書く
削除に失敗した写真が残る1時間の期限で切れる。台帳に file_id を残し、翌朝に残りを消す
人の顔や表札が写っている所見に書かせない。台帳の写真は社内だけで扱う

上の4行が大半を占めます。 どれもAIの誤りではなく、写真の撮り方と送り方の問題です。フォームの説明に「明るいところで、全体と近くの両方を」と書き足すほうが、指示を直すより効きます。

Step11

記録を残す

  • 元の通知メールのメッセージIDと、受信日時・市区町村
  • 1回目の呼び出しの JSON の全文と、stop_reason
  • 渡した写真の番号と、渡さなかった写真とその理由(形式・サイズ・枚数)
  • Files API に上げた file_id と、削除した日時
  • 下書きの本文と、担当の営業が送る前に直した箇所
  • 緊急度と工事の種類を人が直した記録

4つ目を残すのは、写真を消し忘れていないかを確かめるためです。 Files API に上げた写真は、消すか期限が来るまでワークスペースに残ります。相談者の住まいの写真なので、残っているものを毎朝の点検で洗い出します。

最後の行は、緊急度の定義の見直しの材料になります。 urgent から normal に直された相談が続くなら、定義の状態の一覧が広すぎます。 逆の直しは、一覧に足りない状態があるということです。

04実装レベルの3段階

最小構成:相談と写真を手で Claude の画面に貼り、分類させる / 1件ごとの読み分け
半自動化:上記+Make で通知メールと写真を拾い、分類して台帳に書き、急ぐものを知らせ、返信の下書きを置く / 読み分け・振り分け・急ぎの知らせ・下書き
本格構成:上記+相談者が送り直した写真を同じ台帳の行につなぎ、現地調査の日程の候補を下書きに入れる / 写真の追加の受け取りと、現地調査の手配

最小構成では、急ぐ相談を先に拾う効果は出ません。 1件ずつ貼るので、届いた順に処理することに変わりがないからです。 読み分けられるかを確かめる段階です。 半自動化で、1件12分が4分になり、この段階が本記事の想定です。 写真を開いて見る作業、判断、担当の決定、返信の下書きが自動になり、人に残るのは、根拠の写真の確認と送信です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  240件 × 12分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 240件 × 4分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
32h
削減率
67%
年間削減時間
384h
年間金額換算(時間単価3,000円)
115万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 水回り・外壁と屋根・内装・外構などを手がける地域のリフォーム会社で、Web のフォームから写真付きの問い合わせが月に数百件届き、事務の担当が本文と写真を見て工事の種類と急ぎかどうかを決め、担当の営業に回している場合。問い合わせの通知を Gmail(Google Workspace)で受けていて、雨漏りや水漏れのような急ぐ相談が、ほかの問い合わせに埋もれて返信が遅れることが気になっている場合。
向いていない
  1. 問い合わせが月に数十件で、営業が自分で読んで返せている場合。写真を受け取らず、電話で受けて現地調査の日を決める運用の場合。工事の種類が1つに絞られていて、振り分けが要らない場合。なお、工事の要否や原因の判断、見積の金額、建物の安全についての判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた問い合わせから30件を選ぶ(雨漏りや水漏れの急ぐ相談を数件、写真の無いものも数件入れる)
  2. その30件について、受付の事務が当時どう分け、誰に回したかを台帳から書き出す
  3. 30件の本文と写真を、手元の Claude の画面に1件ずつ貼り付ける
  4. 「この相談を、工事の種類、急ぐかどうか、現地調査が要るかで分けてください。写真ごとに見えるものを書き、原因は書かないでください。足りない写真があれば挙げてください」と指示する
  5. 出てきた分類を、当時の受付の事務の分け方と突き合わせる

30件は必ずやってください。 シナリオを組む前に、写真から工事の種類と急ぎを読み分けられるかを確かめます。

出てきた内容判断
当時の分け方とほぼ同じシナリオの組み立てに進む
原因を書いてしまう指示の書き方で直る。構成は有効
急ぐ相談を通常に分ける緊急度の状態の一覧を足す。一覧が無いまま進めない

3行目が1件でも出たら、そこで止めて一覧を直します。 この構成でいちばん避けたい誤りだからです。どの書き方の相談を見落としたかを見れば、一覧に足す状態が分かります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
急ぐ相談が通常に分けられる状態の一覧で決め、迷えば urgent。 一覧に無い書き方を見つけたら足す
写真の所見に原因が書かれる見た目の言葉で書かせ、原因を表す言葉を禁じる
写真を base64 で何枚も送って失敗するFiles API に上げて file_id で渡す
HEIC の写真で止まる渡さずに台帳に書き、JPEG での送り直しを頼む
Files API に写真が残り続ける処理の最後に削除し、1時間の期限も付ける
「至急」と書かれた見積の依頼が急ぎになる言葉の強さではなく、状態の一覧で判断させる
ガスのにおいの相談に対処の手順が書かれる対処を書かせず、決まった文で連絡先を案内する
下書きに「すぐに伺います」訪問の日時を約束する言い方を禁じる
番地まで AI に渡している担当を引くのに要るのは市区町村まで
夜間の急ぐ相談に誰も気づかない当番表で知らせ先を切り替える

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 前者は急ぐ相談を待たせ、後者は相談者に誤った見立てを伝えます。どちらも、AIの感覚に任せず一覧と禁止の言葉で縛ることで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 相談者の名前、住所、電話番号、メールアドレス、住まいの中と外の写真、住まいの困りごとについて書かれた文です。

  1. AIに渡す範囲を絞る … 担当を決めるのに要るのは市区町村までです。番地と電話番号は前処理で外し、台帳にだけ残します
  2. 写真を残さない … Files API に上げた写真は、ワークスペースのどの API キーからも参照できます。この用途だけのワークスペースを分け、処理の後に消し、期限も付けます
  3. 写真に写り込むものに気をつける … 住まいの写真には、家族の顔、表札、郵便物が写り込むことがあります。所見に書かせず、台帳の写真を見られる人を営業部に限ります
  4. 下書きを自動で送らない … 送るのは営業です。原因の見立てや訪問の約束が入った1通は、会社の判断として受け取られます
  5. この構成は診断と安全の判断を代替しません … 原因、工事の要否、建物の安全は、営業と職人が現地で確かめて判断します。 この構成が出すのは、写真に見えるものと分類の案だけです
  6. データの保持の条件を確かめる … 公式のページでは、Files API はゼロデータ保持(ZDR)の対象外とされています。写真を外部に預けることを、プライバシーポリシーと照らして導入の前に確かめます

誤りが起きた場合のリスクは、急ぐ相談を待たせることと、誤った見立てを相談者に伝えることの2つです。 前者は緊急度の誤りで起き、後者は所見と下書きの言葉で起きます。前者は迷えば urgent、後者は原因の言葉の禁止で、設計の側で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:2つの一覧を作る

営業と一緒に、急ぐと扱う状態の一覧と、工事の種類ごとに要る写真の一覧を作ります。過去に急いで対応した相談を思い出しながら書き出すと、状態の一覧が早くそろいます。

2週目:30件で試す

先月の30件を手元の Claude の画面で分類させます。急ぐ相談を通常に分けていないかを最優先で見ます。 1件でもあれば、一覧を直してからやり直します。

3週目:台帳と知らせ先を用意する

問い合わせ台帳に、分類の結果と写真ごとの所見の列を足します。夜間と休日の当番の知らせ先を当番表に書きます。 フォームの説明に写真の撮り方を書き足します。

4週目:分類と急ぎの知らせまでをつなぐ

Make で Watch emails から写真の取り出し、Files API、分類、急ぐものの知らせ、台帳への記録までを作ります。この時点では下書きを作らず、分類の結果だけを受付の事務が確かめます。

2か月目: 返信の下書きを足し、担当の営業が確かめて送る運用を始めます。緊急度を人が直した件数を毎週数えます。3か月目以降: 1件12分が何分になったかを実測し、急ぐ相談が届いてから当番に知らせるまでの時間が15分以内に収まっていることを確かめた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Gmail のモジュールに Watch emails、List email attachments and media、Create a draft email、Send an email などがあること。Watch emails でラベルを指定し、添付ファイルのあるメールだけに絞れ、1回の上限が500以下であること。List email attachments and media がメッセージのIDから添付を取り出し、ファイルの中身を出力に含めるかを選べることMake: Gmail modules2026-10-14
Anthropic Claude のアプリに Create a Prompt、Upload a File、Delete a File、Make an API Call などがあり、アプリの説明に構造化出力の記載が無いことMake: Anthropic Claude2026-10-14
Google Sheets のモジュールに Search Rows、Add a Row などがあることMake: Google Sheets modules2026-10-14
ルーターがシナリオを複数のルートに分け、ルートが1本ずつ順に処理され、フォールバックのルートを置けることMake: Router2026-10-14
画像の形式が JPEG・PNG・GIF・WebP であること。渡し方が base64・URL・Files API の file_id であること。Claude API に直接送るときの1枚の上限が base64 で10MB、1回の呼び出しの上限が標準のエンドポイントで32MBであること。複数の画像に「Image 1:」のような見出しを付けると名前で指せること。画像の大きさに応じた量として数えられることClaude: Vision2026-10-14
Files API が一般提供でベータのヘッダーが要らないこと。アップロードしたファイルがワークスペースのどの API キーからも参照できること。expires_in_seconds で3,600秒から7,776,000秒の期限を付けられること。ゼロデータ保持の対象外であること。アップロードと削除などの操作が無料であることClaude: Files API2026-10-14
構造化出力がスキーマを output_config.format(type: json_schema)に渡して使い、一般提供されていること。stop_reason が max_tokens のときや拒否のときは出力がスキーマに合わないことがあることClaude: Structured outputs2026-10-14

工事の要否、原因、見積の金額、建物の安全は、営業と職人が現地で確かめて判断してください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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