税理士事務所のWebサイトに届いた相談に、相談の種類に合わせた初回の返信と面談の日程候補・事前の質問票を返し、返事の無い見込み客への追いかけの連絡を下書きする
税理士事務所のWebサイトのお問い合わせフォームに届いた相談を種類で分け、初回の返信、面談の日程候補、事前の質問票の案内を下書きします。返事が無いまま日が過ぎた見込み客には、追いかけの連絡を期日に合わせて下書きします。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- その他/士業
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- 問い合わせ対応/書類作成
- 主な課題
- 問い合わせが多い/営業フォローが追いつかない/期限・対応漏れが起きる
- AIで行う処理
- 生成
- 主な効果
- 対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- お問い合わせフォームの通知メールが事務所の共有アドレスに届く
- 手の空いた所員が開き、相談の種類を判断して管理表に1行書く
- 種類に合わせて、面談の担当の税理士を決め、面談枠のスプレッドシートから空いている日時を3つ選ぶ
- 種類に合った質問票のリンクを探し、初回の返信を書いて送る
- 管理表の「返信日」を埋める
- 返事が来たら面談を確定し、来なければ気づいたときに追いかけの連絡を書く
- 自動お問い合わせフォームが送信されると、Webサイトから Zapier に相談の内容が届く
- 自動AI by Zapier が相談の種類を分け、管理表に1行書く
- 自動売り込み・既存の顧問先からの連絡は、初回の返信を作らずに管理表に印を付ける
- 自動種類に合った税理士の面談枠から、空いている日時を3つ取る
- 自動AI by Zapier が初回の返信を下書きし、Gmail の下書きに入れる
- 人所員が下書きを読み、直して送る。管理表の「送信日」を入れる
- 自動送信日から3営業日後、管理表を見て「面談日」が空いていれば、追いかけの連絡を下書きする
- 人所員が下書きを読み、直して送る
- 自動さらに7日後も返事が無ければ、最後の連絡を下書きし、管理表の状況を「終了候補」にする
各工程の詳しい説明を読む
- お問い合わせフォームの通知メールが事務所の共有アドレスに届く
- 手の空いた所員が開き、相談の種類を判断して管理表に1行書く
- 種類に合わせて、面談の担当の税理士を決め、面談枠のスプレッドシートから空いている日時を3つ選ぶ
- 種類に合った質問票のリンクを探し、初回の返信を書いて送る
- 管理表の「返信日」を埋める
- 返事が来たら面談を確定し、来なければ気づいたときに追いかけの連絡を書く
(a)初回の返信が遅れる。 通知メールは共有アドレスに届くので、誰かが見るだろうと思っているうちに1日たちます。 確定申告の時期は所員が顧問先の申告で手一杯で、返信が2〜3日後になることもあります。相談した人は複数の事務所に同時に問い合わせていることが多く、先に返信した事務所と面談が決まります。
(b)種類ごとの案内を毎回探す。 どの税理士の面談枠を見るか、どの質問票のリンクを貼るか、費用の目安をどう書くか。所員が覚えていることを、毎回思い出しながら書いています。 2名の所員で、書き方も貼るリンクも少しずつ違います。
(c)返事の無い見込み客をそのままにする。 6番目の「気づいたときに」は、ほとんどの場合、気づきません。管理表の「返信日」は埋まっているのに「面談日」が空いたままの行が、毎月何件も残ります。
(d)売り込みや既存の顧問先からの連絡が混ざる。 初回の返信を書きかけてから、売り込みだと気づく。顧問先の連絡に新規の相談として返信しかける。種類を判断するところで、毎回少しずつ時間を使います。
- 【自動】 お問い合わせフォームが送信されると、Webサイトから Zapier に相談の内容が届く
- 【自動】 AI by Zapier が相談の種類を分け、管理表に1行書く
- 【自動】 売り込み・既存の顧問先からの連絡は、初回の返信を作らずに管理表に印を付ける
- 【自動】 種類に合った税理士の面談枠から、空いている日時を3つ取る
- 【自動】 AI by Zapier が初回の返信を下書きし、Gmail の下書きに入れる
- 【人】 所員が下書きを読み、直して送る。管理表の「送信日」を入れる
- 【自動】 送信日から3営業日後、管理表を見て「面談日」が空いていれば、追いかけの連絡を下書きする
- 【人】 所員が下書きを読み、直して送る
- 【自動】 さらに7日後も返事が無ければ、最後の連絡を下書きし、管理表の状況を「終了候補」にする
6番目で人が送るのが、この構成の決まりです。 初回の返信は、相談した人が事務所と最初に交わす言葉です。AIの下書きには、相談の中身に触れた一文が入ります。 その一文が税務の答えになっていないか、相談の事情を読み違えていないかを、所員が確かめてから送ります。
7番目と9番目が、第3章の(c)への答えです。 追いかけを「気づいたときに」から「期日が来たら下書きが入る」に変えます。所員は下書きフォルダを見れば、今日追いかける相手が分かります。
02今回想定するシステム構成
Webサイトのお問い合わせフォーム │ 送信時に Webhook で送る ▼【トリガー】Webhooks by Zapier(Catch Hook) Zapier ├──▶ AI by Zapier ── 相談の種類を分ける(Standard の層) ├──▶ Google スプレッドシート「相談管理」に1行足す ├──▶ Filter ── 売り込み・既存の顧問先は止める ├──▶ Paths ── 種類ごとに担当と質問票を決める ├──▶ Google スプレッドシート「面談枠」から空き枠を取る ▼ AI by Zapier ── 初回の返信を下書きする ▼ Gmail ── Create Draft(共有アドレスの下書き) ▼【人が確認して送る】 Delay ── 3営業日待つ ▼ Google スプレッドシート ── 面談日が空いているか確かめる ▼ Filter ── 空いていれば進む ▼ AI by Zapier ── 追いかけの連絡を下書きする → Gmail の下書き
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Webhooks、Filter、Paths、Delay、Google Sheets、Gmail) | Make、n8n、Power Automate |
| 生成AI | AI by Zapier(Analyze and Return Data) | ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini |
| 管理表 | Google スプレッドシート(相談管理、面談枠、種類ごとの案内) | Microsoft Lists |
| メール | Gmail(事務所の共有アドレス) | Microsoft Outlook |
新しく足すのは、Zapier の有料プランと、Webサイトのフォームから Zapier へ送る設定です。 相談管理と面談枠のスプレッドシートはいまのものを使い、列を少し足します。
入口は Webhooks by Zapier の Catch Hook です。 Zapier が発行する固有のURLに、Webサイトのフォームから送信のたびに内容を送ります。Catch Hook は無料プランでは使えず、Professional 以上のプランが要るとされています。受け取れる大きさはトリガーで10MBまでで、フォームの相談の文なら十分です。Webサイトのフォームの仕組み(WordPress のプラグインなど)から Webhook を送れるかは、利用しているフォームの製品によって違うので、この部分は利用環境に合わせて確かめます。
AIは AI by Zapier の「Analyze and Return Data」を使います。 指示を書き、受け取りたい欄(出力の項目)を名前と型で決めると、その欄に分けて返します。モデルの層は Standard・Advanced・Premium があり、新しいステップの既定は Premium で、1回の実行で5倍のタスクを使うとされています。種類の分類は Standard(1倍)で足り、返信の下書きは文の質を見て Advanced(3倍)にするか決めます。
追いかけは Delay で待ちます。 Delay For で決めた時間だけ止め、その後のステップに進みます。Delay を使うこと自体はタスクに数えないとされています。Zap を止めている間に予定された処理は、再開しても動かないため、Zap の編集は待ち中の相談が少ない時間に行います。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
お問い合わせフォームが送信されたときに、1件ずつ動かします。
| 起点 | 方式 | 中身 |
|---|---|---|
| フォームの送信 | Webhooks by Zapier の Catch Hook | 相談の内容を受け取り、種類を分けて初回の返信を下書きする |
| 初回の返信から3営業日 | 同じ Zap の中の Delay For | 管理表の面談日を見て、空いていれば追いかけを下書きする |
| さらに7日 | 同じ Zap の中の Delay For | 最後の連絡を下書きし、状況を「終了候補」にする |
通知メールを起点にしない理由は、メールの本文を読み直す必要が無くなるからです。 フォームから直接届く内容は、名前・連絡先・相談の種類の選択・相談の文が欄ごとに分かれています。通知メールを起点にすると、メールの本文からもう一度欄を取り出す工程が増えます。
3営業日の数え方は、送信日から土日と事務所の休業日を除いて数えます。 Delay For は時間の長さで止めるので、金曜日に送った返信の追いかけが月曜日に来ないよう、送信の曜日に応じて待つ時間を変えます。 休業日の一覧はスプレッドシートに置き、待つ日数を計算する列を管理表に作ります。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 相談の内容 | 名前、メールアドレス、電話番号、法人か個人か、相談の種類(フォームの選択)、相談の文、希望の連絡方法 | Webサイトのフォーム |
| 種類ごとの案内 | 種類、担当の税理士、質問票のリンク、事前にほしい資料、費用の目安の案内文 | スプレッドシート「種類ごとの案内」 |
| 面談枠 | 税理士、日付、時刻、空き・予約済み | スプレッドシート「面談枠」 |
| 顧問先の一覧 | 顧問先の名前とメールアドレスのドメイン | スプレッドシート「顧問先」 |
| 文面の見本 | 事務所で使ってきた初回の返信と追いかけの文 | 所員が用意する |
質を決めるのは、種類ごとの案内です。 AIに書かせるのは返信の文の組み立てで、担当の税理士、質問票のリンク、費用の目安はこの表から差し込みます。 AIにリンクや費用を書かせると、それらしいURLや金額を作ります。
フォームの「相談の種類」の選択は、参考として渡します。 相談した人が「その他」を選んでいても、文を読むと相続の相談ということがあります。AIには、選択と文の両方を見て種類を決めさせ、食い違っていれば印を付けさせます。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | どうやって |
|---|---|---|
| 相談の内容 | Webサイトのフォーム | Catch Hook で受け取る |
| 種類ごとの案内 | スプレッドシート | Lookup Spreadsheet Row で種類の列を引く |
| 空いている面談枠 | スプレッドシート | Lookup Spreadsheets Rows (Advanced) で担当と「空き」の行を取る |
| 顧問先かどうか | スプレッドシート | Lookup Spreadsheet Row でメールアドレスのドメインを引く |
| 追いかけの時点の状況 | 相談管理のスプレッドシート | Lookup Spreadsheet Row で相談の番号を引き、面談日の列を見る |
空き枠は、複数の行を取る操作で取ります。 1行だけを返す操作では候補が1つしか出ません。「Lookup Spreadsheets Rows (Advanced)」は最大500行を取れるとされているので、担当の税理士と「空き」の2つの条件で取り、日付の近い順に3つを使います。
種類による分岐は Paths で作ります。 1つのまとまりに最大10本の分岐を置け、分岐は左から順に評価され、条件に合えば複数が動きうるとされています。種類は1つに決まるので、条件を「種類が相続」「種類が法人の顧問契約」のように互いに重ならない形にし、どれにも当たらない相談は Fallback の分岐で「その他」の案内に回します。 Fallback はまとまりに1つだけ、最後に置く決まりです。
追いかけの時点では、相談の番号で同じ行を引き直します。 初回のときに取った値を使い回すと、その後に所員が面談日を入れていても反映されません。待った後に、必ずいまの管理表を見ます。
AIへ渡す前に整形する
- 必須の欄を確かめる … メールアドレスが空、または形式がおかしい相談は、初回の返信を作らず、管理表に「連絡先不備」の印を付けて所員に知らせます
- 顧問先を除く … メールアドレスのドメインが顧問先の一覧にあれば、新規の相談として扱わず、担当の所員に転送する印を付けます
- 同じ人の重複を除く … 同じメールアドレスから24時間以内に2回送られていれば、2回目は前の行に追記するだけにします
- 相談の文の長さを確かめる … 文が極端に短い(「相談したい」だけ)ものは、種類を決めずに「内容確認」として、聞き返す返信の下書きにします
- 個人を特定する情報の扱いを決める … AIに渡すのは、名前(宛名に使う)、法人か個人か、相談の種類の選択、相談の文までにします。電話番号と住所は渡しません
5番目は、相談の文の中身にも関わります。 相談の文には、「父が先月亡くなり」「年収は〇〇万円で」と、本人や家族の事情が書かれます。AIに渡す範囲を最小にしても、文そのものは渡すことになります。 そのため、AIの出力に相談の事情を繰り返させないよう、指示でも制限します(次の小見出し)。
AIに処理させる
させるのは2つの段で、どちらも欄を決めて返させます。
1つ目の段(種類の分類、Standard の層):
| 返す欄 | 中身 | 判断できないときの扱い |
|---|---|---|
| 種類 | 個人の確定申告/相続・贈与/法人の顧問契約/会社の設立/単発の相談/売り込み/その他 | 決められなければ「その他」 |
| 選択との食い違い | フォームの選択と、文から読んだ種類が違うか | - |
| 急ぎの印 | 申告の期限や税務調査の連絡など、日付の迫った事情が書かれているか | 迷ったら付ける |
2つ目の段(返信の下書き):
| 返す欄 | 中身 |
|---|---|
| 件名 | 受け付けたことが分かる件名 |
| 本文 | 受付のお礼、相談の要旨を1文、面談の日程候補3つ、質問票の案内、事前にほしい資料、費用の目安の案内文 |
| 所員への注意 | 返信の前に所員が確かめるべき点(税務の問いが書かれている、急ぎの事情がある、など) |
「相談の要旨を1文」に絞るのは、相談した人の事情を返信の中で繰り返さないためです。 「お父様が先月お亡くなりになり、相続税の申告について」と書くと、返信のメールに家族の事情がそのまま残ります。「相続のご相談をいただき」のように、種類が分かる1文にします。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 税務の問いへの答え | 税務相談は税理士の業務。面談で税理士が答える |
| 受任できるかの判断 | 事務所が決める。返信には書かない |
| 費用の金額を書くこと | 種類ごとの案内の文を差し込むだけにする |
| 面談枠・リンクを作ること | 表から差し込んだものだけを使う |
| 相談の事情の詳細を繰り返すこと | 家族や収入の事情がメールに残る |
1行目は、税理士法の決まりに関わります。 税理士法は、税務代理、税務書類の作成と並べて、申告等に関し課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずる「税務相談」を税理士の業務としています。初回の返信は事務所から出るものですが、税理士が確かめないままAIが税務の判断を書いた文を送る形は避けます。
指示内容を固定する
2つ目の段(返信の下書き)の指示:
あなたは税理士事務所の受付担当です。Webサイトから届いた相談に、
初回の返信メールを下書きしてください。
【書くこと】
1. 相談へのお礼と、受け付けたこと
2. 相談の要旨を1文。種類が分かる書き方にし、相談の文に書かれた
家族・収入・資産の事情を繰り返さないでください。
3. 面談の日程候補として、【面談枠】の3つをそのまま並べてください。
都合が合わない場合は、ご希望の日時を返信してほしいと添えてください。
4. 事前の質問票の案内。【案内】の質問票のリンクをそのまま書いてください。
5. 面談までにご用意いただきたい資料。【案内】の資料をそのまま並べてください。
6. 費用の目安。【案内】の費用の文をそのまま書いてください。
【厳守事項】
- 相談の文に書かれた税務の問い(経費になるか、税金がかかるか、
いくらになるかなど)に答えないでください。
「面談で税理士が詳しく伺います」とだけ書いてください。
- お引き受けできるかどうかを書かないでください。
- 【面談枠】【案内】に無い日時・URL・金額・資料を書かないでください。
- 返信の前に事務所が確かめるべき点があれば、本文ではなく
staff_note に書いてください。税務の問いが書かれていた場合は、
その問いを staff_note に写してください。
- 敬語は丁寧に、長さは400字前後にしてください。
【宛名】{name}
【相談の種類】{category}
【相談の文】{message}
【面談枠】{slots}
【案内】{guide}
【文面の見本】{example}
「税務の問いを staff_note に写す」が、答えさせない指示と組になっています。 答えるなと禁じるだけだと、問いは返信から消えますが、所員も面談の担当もその問いを知らないまま面談の日を迎えます。 問いは所員への注意に移し、面談の準備に使います。
追いかけの指示(要点): 「初回の返信から3営業日たちました。返事を急かさず、面談の日程候補をあらためて3つ並べ、質問票のリンクを添えて、200字前後で書いてください。初回の返信の文を繰り返さないでください。2回目の追いかけ(最後の連絡)では、今後も必要なときはいつでも連絡してほしいと添え、日程候補は書かないでください」
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力の項目として、次の欄を決めます。
| 段 | 欄 | 型 | 使い道 |
|---|---|---|---|
| 分類 | category | テキスト | Paths の分岐と、種類ごとの案内の引き当て |
| 分類 | mismatch | 真偽 | フォームの選択と食い違えば管理表に印 |
| 分類 | urgent | 真偽 | 急ぎなら所員への通知の件名に【急ぎ】を付ける |
| 返信 | subject | テキスト | Gmail の下書きの件名 |
| 返信 | body | テキスト | Gmail の下書きの本文 |
| 返信 | staff_note | テキスト | 管理表の「所員への注意」の列と、所員への通知 |
欄を分けて受ける理由は3つです。 1つ目は、category で Paths を分けられることです。相続なら所長の面談枠、法人なら別の税理士、と分岐します。2つ目は、staff_note を返信の本文から切り離せることです。所員への注意が本文に混ざると、そのまま送られるおそれがあります。 3つ目は、管理表の列にそのまま書けることです。
欄を決めないと、AI by Zapier は1つにまとめた出力を返すとされています。件名と本文と注意が1つの文にまとまると、Gmail の下書きに分けて入れられません。欄は必ず決めます。
| 管理表の列 | 入れる値 |
|---|---|
| 相談番号、受付日時、名前、メールアドレス | フォームから |
| 種類、食い違い、急ぎ | 1つ目の段から |
| 担当の税理士、提示した日程候補 | 種類ごとの案内と面談枠から |
| 下書き作成日時、所員への注意 | 2つ目の段から |
| 送信日、面談日、状況 | 所員が入れる |
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| Webサイトのフォーム | Webhooks by Zapier の Catch Hook | 送信のたびに相談の内容を受け取る |
| AI by Zapier | Analyze and Return Data | 種類の分類と、返信・追いかけの下書き |
| Google スプレッドシート | Lookup Spreadsheet Row/Lookup Spreadsheets Rows (Advanced)/Update Spreadsheet Row | 案内・面談枠・顧問先の引き当てと、管理表の更新 |
| Gmail | Create Draft | 共有アドレスの下書きに入れる |
| Filter/Paths | Zap の中の条件 | 売り込み・顧問先を止める、種類で分ける、面談日が空いているときだけ追いかける |
Gmail は「Send Email」ではなく「Create Draft」を使います。 Zapier の Gmail には送信の操作もありますが、この構成では送信を自動にしません。 下書きに入れ、所員が開いて直してから送ります。
面談枠の「空き」を「予約済み」に変えるのは、所員です。 日程候補を3つ出しただけで枠を押さえると、返事の無い相談のために税理士の枠が埋まります。相談した人が日時を選んで返事をくれたときに、所員が予約済みにします。
人が確認する
所員が見るのは、Gmail の下書きと管理表の「所員への注意」です。
- 急ぎの印から見る … 申告の期限や税務調査の連絡が書かれていれば、下書きを待たずに電話をかけるかを決めます
- 所員への注意を読む … 税務の問いが書かれていれば、面談の担当の税理士に伝えます。返信の本文に答えを足しません
- 下書きの本文を読む … 相談の要旨の1文が事情を繰り返していないか、日程候補とリンクが正しいかを見ます
- 送る … 直して送り、管理表の送信日を入れます
- 返事が来たら … 面談日を入れ、面談枠を予約済みにします。面談日が入っていれば、追いかけの下書きは作られません
5番目の「面談日を入れる」が、追いかけを止める唯一のスイッチです。 入れ忘れると、面談が決まった相手に追いかけの下書きが作られます。下書きなので送られることはありませんが、所員が開いて捨てる手間が増えます。 返事が来たら面談日を入れる、を受付の手順書の1行目にします。
目標は、60件をならして1件6分です。 売り込みや顧問先の連絡は印を見て閉じるだけで済み、税務の問いや急ぎの事情がある相談は、担当の税理士への引き継ぎに時間を使います。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| メールアドレスが空・形式がおかしい | 返信を作らず「連絡先不備」の印。電話番号があれば所員が電話する |
| 顧問先からの連絡がフォームで届く | 新規として扱わず、担当の所員に転送する印 |
| 売り込み・営業のメール | Filter で止め、管理表に「売り込み」と残すだけにする |
| 担当の税理士の空き枠が3つ無い | 取れた数だけ並べ、「ご希望の日時をお知らせください」を添える。所員への注意に「枠不足」と書く |
| 相談の文が短すぎる | 種類を決めず、相談の内容を聞き返す返信を下書きする |
| 外国語で書かれた相談 | 種類を「その他」にし、所員への注意に書く。返信の言語は所員が決める |
| AI by Zapier が欄をそろえずに返す | 下書きを作らず、所員に「下書き失敗」で知らせる |
| 待ちの間に Zap を編集した | 待ち中の相談の追いかけが動かない。管理表の「送信日あり・面談日なし」を週に1回見る |
最後の行は、Delay の決まりから来ています。 待ちの間にステップを足したり消したりすると、その Zap は再開後に続きを実行しないとされています。Zap を直した週は、管理表で追いかけ漏れを手で拾います。
記録を残す
- フォームから届いた相談の内容と、受付日時
- AI by Zapier の分類の結果(種類、食い違い、急ぎ)
- 下書きの件名・本文・所員への注意と、作成日時
- 所員が送った日時と、送った本文(Gmail の送信済み)
- 面談日と、面談に進んだか・終了したか
- 追いかけの下書きを作った日時と、送ったか
最後の2行で、追いかけが効いたかが分かります。 追いかけの後に面談が決まった件数を数えれば、これまで取りこぼしていた相談がどれだけあったかの手がかりになります。
相談の内容は、事務所の顧問先の情報と同じ扱いで保管します。 相談しただけで依頼に至らなかった人の情報も、残す期間と消す時期を事務所で決めておきます。
04実装レベルの3段階
本記事の想定は半自動化です。 下書きが届いた日に出て、追いかけが期日に出る。1件20分が6分になるのは、この段階です。 本格構成では、相手の返事を読んで面談日を入れるところが難しくなります。 「火曜の午後なら」「来週ならいつでも」と返事は自由な文で、日時を読み違えると、税理士の枠を誤って押さえます。 ここは所員の目で入れる形を残すほうが、取り違えが起きません。
05工数削減シミュレーション
導入後 60件 × 6分 ÷ 60 = 6 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- Webサイトのお問い合わせフォームから月に数十件の相談が届き、所員が手の空いたときに1件ずつ返信している税理士事務所。確定申告・相続・法人設立・顧問契約など相談の種類によって、面談の担当と事前にほしい資料が違う場合。初回の返信までに数日かかったり、返事の無い見込み客をそのままにしたりしている場合。Gmail と Google スプレッドシートを使っており、Zapier の有料プランを使える場合。
- 相談が月に数件で、税理士本人がその日のうちに返信できている場合。相談の大半が紹介経由の電話で、Webサイトのフォームからはほとんど届かない場合。面談の予約を外部の予約サービスで完結させており、日程の調整のやり取りが発生しない場合。なお、相談の中身への税務上の回答や、受任するかどうかの判断は、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 先月届いた相談から10件を選ぶ(税務の問いが書かれたもの、売り込み、顧問先からの連絡を1件ずつ入れる)
- 種類ごとの案内(担当、質問票のリンク、資料、費用の文)を1枚の表にする
- 社内で利用が認められているAIサービスの画面に、相談の文と表を貼り付ける
- 「この相談の種類を決め、初回の返信を400字前後で下書きしてください。税務の問いには答えず、面談で伺うと書いてください。表に無い日時・URL・金額を書かないでください」と指示する
- 出てきた下書きを、先月に所員が送った返信と比べる
10件で、2つのことを確かめます。 種類を正しく分けられるか、税務の問いに答えずに返信を書けるかです。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 種類が合い、税務の問いに答えていない | Zapier で Zap を組む段に進む |
| 税務の問いに答えてしまう | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 種類ごとの案内の表が埋まらない | 案内の表を先に作る。 AIの問題ではない |
3行目が出ることは珍しくありません。 所員が覚えていた「相続ならこの資料」が、表にしようとすると人によって違うことが分かります。 表にすること自体が、第3章の(b)を解きます。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 返信に税務の答えが入る | 答えないと指示し、問いは staff_note に写させる |
| それらしいURLや金額が入る | 表に無いものを書かないと指示し、リンクと費用は表から差し込む |
| 欄が1つにまとまって返る | AI by Zapier の出力の項目を必ず決める |
| タスクが想定より多く減る | 新しいステップの既定は Premium(5倍)。分類は Standard にする |
| 面談が決まった相手に追いかけが出る | 返事が来たら面談日を入れる、を手順書の1行目にする |
| 金曜の返信の追いかけが月曜に出る | 送信の曜日と休業日から待つ時間を計算する |
| 待ちの間に Zap を直して追いかけが止まる | Zap を直した週は、管理表で追いかけ漏れを手で拾う |
| 顧問先からの連絡に新規の返信を作る | メールアドレスのドメインで顧問先を引いて止める |
| 返信に相談の事情が繰り返される | 要旨は種類が分かる1文にし、事情を繰り返さないと指示する |
| フォームから Webhook を送れない | 利用しているフォームの製品で確かめる。送れなければ通知メールを起点にする |
上の2行が、この構成の信頼を決めます。 どちらも、事務所の名前で相手に届く文に、税理士が確かめていない内容が入る失敗です。下書きまでにして人が送る作りで、最後に止めます。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 相談した人の名前・メールアドレス・電話番号、そして相談の文に書かれる家族の事情、収入、資産、事業の状況です。
- 相談の内容を秘密として扱う … 税理士法は、税理士が正当な理由なく税理士業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。相談の段階でも、事務所の顧問先の情報と同じ扱いで保管し、管理表の共有の範囲を所内に限ります
- AIに渡す範囲を絞る … 電話番号と住所は渡さず、名前は宛名に使う分だけにします。AI by Zapier の利用にあたっては、入力したデータの扱いを Zapier の規約と設定で確かめ、事務所の方針に合うかを決めます
- 税務の判断をAIにさせない … 税理士法は税務相談を税理士の業務としています。初回の返信に税務の答えを書かず、面談で税理士が答えます
- 返信を自動で送らない … 下書きまでにして、所員が確かめてから送ります
- 依頼に至らなかった人の情報を消す時期を決める … 終了候補になった相談の情報を、いつまで残し、いつ消すかを事務所で決めます
誤りが起きた場合のリスクは、税理士が確かめていない税務の答えが相手に届くことと、相談の事情がメールや管理表の外に出ることの2つです。 前者は指示と人の確認で、後者は渡す範囲と保管の範囲で守ります。
10まず何から始めるか
1週目:種類ごとの案内の表を作る
税理士と所員で、相談の種類ごとに、担当の税理士、質問票のリンク、事前にほしい資料、費用の目安の文を1枚の表にまとめます。所員ごとに違っていた案内を、ここでそろえます。
2週目:10件で試す
先月の相談から10件を選び、社内で利用が認められているAIサービスで返信を下書きさせます。税務の問いに答えずに書けるか、表に無いリンクや金額を作らないかを見ます。
3週目:面談枠と管理表を整える
面談枠のスプレッドシートに「空き・予約済み」の列を、相談管理に「送信日」「面談日」「状況」「所員への注意」の列を足します。返事が来たら面談日を入れる、を受付の手順書に書きます。 Webサイトのフォームから Webhook を送れるかを確かめます。
4週目:Zap を組む
Catch Hook から、分類、管理表への記録、空き枠の取得、返信の下書き、Gmail の下書きまでを組みます。この時点では追いかけを入れず、初回の下書きだけを2週間使います。
2か月目: Delay と Filter で追いかけの下書きを足し、待つ日数の計算を入れます。3か月目以降: 1件20分が何分になったか、追いかけの後に面談が決まった件数を数えます。相談が届いた日に下書きが出て、返事の無い見込み客の追いかけが期日どおりに出るようになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Catch Hook が Zapier の固有のURLへの送信で動くこと、無料プランでは使えないこと、トリガーの受け取りが10MBまでであること | Zapier: Trigger Zaps from webhooks | 2026-10-13 |
| AI by Zapier の Analyze and Return Data で出力の項目を決められること、決めないと1つにまとめた出力になること、モデルの層(Standard 1倍・Advanced 3倍・Premium 5倍)と新しいステップの既定が Premium であること、URLの中身を読めないこと | Zapier: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-10-13 |
| Lookup Spreadsheet Row の検索の列と値、Lookup Spreadsheets Rows (Advanced) が最大500行を取ること、Update Spreadsheet Row で見つけた行を更新すること | Zapier: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets | 2026-10-13 |
| Delay For・Delay Until の働き、Delay がタスクに数えられないこと、無料プランで使えないこと、待ちの間にステップを変えると再開後に続きが動かないこと | Zapier: Add delays to Zaps | 2026-10-13 |
| Filter が条件に合わないときに Zap を止めること、有料プランで使えること | Zapier: Add conditions to Zaps with filters | 2026-10-13 |
| Paths が1つのまとまりに最大10本の分岐を持ち、左から順に評価されて条件に合えば複数が動きうること、Fallback がまとまりに1つで最後に置かれること、有料プランで使えること | Zapier: Add branching logic to Zaps with Paths | 2026-10-13 |
| Gmail の操作に Create Draft と Send Email があること | Zapier: How to get started with Gmail on Zapier | 2026-10-13 |
| 税理士法第2条第1項第3号(税務相談が税理士の業務であること)、第38条(秘密を守る義務) | e-Gov 法令API: 税理士法 | 2026-10-13 |
相談への税務上の回答と受任の判断は、税理士が行ってください。 本記事は製品の公式ページと法令で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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