ホテルの法人営業が、見積を出した企業や宿泊の多い企業に、利用の実績に合わせた法人契約の案内とフォローのメールを下書きし、返事の無い企業を拾う
法人営業の連絡先の表と、宿泊管理システムから書き出した会社ごとの宿泊の実績をもとに、毎週月曜に連絡すべき企業を拾い、場面に合わせたメールの下書きを担当者の受信箱に作ります。担当者は読んで直して送るだけになります。
- 生成AI
- Azure OpenAI Service/ChatGPT/Claude
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- 宿泊
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- 台帳・マスタ管理/書類作成
- 主な課題
- 人手が足りない/営業フォローが追いつかない/属人化している
- AIで行う処理
- 生成
- 主な効果
- 対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
- 導入難易度
- ★☆☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 担当の営業が、見積を出した企業を連絡先の表で探し、見積を出した日を見る
- 1週間以上たっている企業について、Gmail で相手からの返事が来ていないかを探す
- 返事が無ければ、見積の内容を見返し、フォローのメールを一から書く
- 月初に、宿泊の実績のシートを開き、室泊数の多い会社を上から見る
- 法人契約の無い会社を見つけたら、連絡先の表に担当者がいるかを探す
- 実績の数字を拾って、法人契約の案内のメールを書く
- 契約の満了が近い会社には、実績を拾って更新の案内を書く
- 送ったら、連絡先の表に連絡した日を書く
- 人月初に、営業部の事務の担当が宿泊管理システムの集計を実績のシートに貼る(これまでと同じ)
- 自動スプレッドシートの式が、会社ごとに「今週の連絡の区分」を出す(見積フォロー/契約案内/更新案内/対象外)
- 自動毎週月曜の朝、Zap が区分の付いた行をまとめて読み出す
- 自動1社ずつ、Gmail で相手からの返事が直近に届いていないかを探す
- 自動返事が届いていない企業について、AIが区分に合わせたメールを下書きする
- 自動担当の営業の Gmail に下書きを作り、連絡先の表に下書きを作った日と回数を書く
- 人担当の営業が下書きを読み、直して送る
- 人フォローを2回しても返事の無い企業は、表の状態を「要判断」にして、電話か見送りかを決める
各工程の詳しい説明を読む
- 担当の営業が、見積を出した企業を連絡先の表で探し、見積を出した日を見る
- 1週間以上たっている企業について、Gmail で相手からの返事が来ていないかを探す
- 返事が無ければ、見積の内容を見返し、フォローのメールを一から書く
- 月初に、宿泊の実績のシートを開き、室泊数の多い会社を上から見る
- 法人契約の無い会社を見つけたら、連絡先の表に担当者がいるかを探す
- 実績の数字を拾って、法人契約の案内のメールを書く
- 契約の満了が近い会社には、実績を拾って更新の案内を書く
- 送ったら、連絡先の表に連絡した日を書く
(a)見積のあとの連絡が途切れる。 宴会の繁忙期には、見積を出したことを担当者自身が忘れます。2週間後に相手から「別のホテルに決めました」と来て、初めてフォローしていなかったことに気づきます。
(b)宿泊の多い未契約の企業に気づかない。 実績のシートは毎月更新されていますが、それを見て連絡先を拾う作業は、誰の仕事とも決まっていません。 毎月20泊以上している会社が、正規の料金のまま泊まり続けていることがあります。
(c)文面が担当者ごとにばらばら。 ある担当は実績の数字を入れ、ある担当は「ぜひご検討ください」だけで送ります。法人契約の条件の書き方も揃っておらず、相手から条件の問い合わせが返ってくることがあります。
(d)返事の無い企業が拾われない。 1回フォローして返事が無いと、そこで止まります。2回目を送るか、電話にするか、見送りにするかの判断が、誰にも求められていません。
- 【人】 月初に、営業部の事務の担当が宿泊管理システムの集計を実績のシートに貼る(これまでと同じ)
- 【自動】 スプレッドシートの式が、会社ごとに「今週の連絡の区分」を出す(見積フォロー/契約案内/更新案内/対象外)
- 【自動】 毎週月曜の朝、Zap が区分の付いた行をまとめて読み出す
- 【自動】 1社ずつ、Gmail で相手からの返事が直近に届いていないかを探す
- 【自動】 返事が届いていない企業について、AIが区分に合わせたメールを下書きする
- 【自動】 担当の営業の Gmail に下書きを作り、連絡先の表に下書きを作った日と回数を書く
- 【人】 担当の営業が下書きを読み、直して送る
- 【人】 フォローを2回しても返事の無い企業は、表の状態を「要判断」にして、電話か見送りかを決める
2番目を式で行うのが、この構成の要です。 誰に連絡すべきかは、見積を出した日、法人契約の有無、室泊数、満了日の4つの列で決まります。AIに「連絡すべきか」を判断させる必要はありません。 式なら、営業部長が条件を見て直せます。
7番目で送るのは人です。 下書きは受信箱に置かれるだけで、自動では送りません。相手の会社の事情を知っているのは担当者で、送る前に1行足すかどうかで印象が変わります。
02今回想定するシステム構成
宿泊管理システム │ 月初に会社ごとの室泊数を書き出し、実績のシートに貼る ▼ 連絡先の表(Google スプレッドシート) │ 式で「今週の連絡の区分」を出す ▼【トリガー】Schedule by Zapier(毎週月曜 8:30) Zapier の Zap ├──▶ Lookup Spreadsheet Rows (Advanced):区分の付いた行をまとめて取る ├──▶ Looping by Zapier:1社ずつ回す │ ├──▶ Gmail:Find Email(相手から直近に届いたメール) │ ├──▶ Filter:届いていない企業だけを通す │ ├──▶ AI by Zapier:区分に合わせたメール(OpenAI を自前のキーで接続) │ ├──▶ Gmail:Create Draft(担当の営業の受信箱) │ └──▶ Update Spreadsheet Row(下書きを作った日・回数) ▼【人】担当の営業が下書きを読み、直して送る
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier | Make、n8n、Power Automate |
| 生成AI | OpenAI API(AI by Zapier の Bring Your Own Key) | Claude API、Azure OpenAI(Microsoft Foundry) |
| 連携 | Google スプレッドシート(連絡先の表と実績のシート) | Zapier Tables |
| 連携 | Gmail(担当の営業の受信箱への下書きと、相手からのメールの確認) | Outlook |
| 保管 | 宿泊管理システム(会社ごとの宿泊の集計の書き出し) | - |
新しく足すのは、Zap 1本と、連絡先の表の「今週の連絡の区分」「下書きを作った日」「フォローの回数」の列だけです。 宿泊管理システムには何もつなぎません。月初の書き出しと貼り付けは、これまでどおり人が行います。
入口は、Schedule by Zapier の毎週の実行です。 公式の説明では、毎時・毎日・毎週・毎月から選べ、毎週なら曜日と時刻を指定します。時刻は Zapier のアカウントの時間帯の設定に従い、指定した分ちょうどに動くことは保証されず、数分のうちに動くとされています。 月曜の朝、担当者が出社する前に下書きがそろっていれば十分です。
行はまとめて読み出し、1社ずつ回します。 Google スプレッドシートの Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) は、列と値で最大500行を line items として返すとされています。それを Looping by Zapier で1社ずつ回します。Looping はオープンベータとされ、ループの後の動きは繰り返しのたびに実行されます。
AIは AI by Zapier で呼びます。 出力の項目を名前・型・説明付きで定義でき、Bring Your Own Key を選ぶと OpenAI などの自社のアカウントのモデルを使え、task の数は1倍とされています。 Zapier が提供するモデルでは、新しいステップの既定が Premium(task 5倍)とされているので、ループの中で回すこの構成では、作るときに階層を必ず確かめます。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
毎週月曜の朝8時半に、Schedule by Zapier で動かします。 見積のフォローは「何日たったら」で決まり、法人契約の案内は月初の実績で決まります。どちらも、何かが起きた瞬間ではなく、時間がたったことで発生する連絡です。 週に1回まとめて拾えば、担当者が月曜に1週間分の連絡をまとめて片付けられます。
毎日にしない理由は、下書きが毎朝少しずつ増えると読まれなくなるからです。 週に1回、まとまって置かれていれば、月曜の午前に時間を取って読む習慣が作れます。見積のフォローは「7日以上たったもの」で拾うので、週1回でも最大で13日後には拾えます。
Zap の時間帯は、アカウントの設定に従います。 公式の説明では、アカウントの時間帯を変えたら Zap をいったん止めて戻す必要があり、実行の履歴は UTC で表示されるとされています。履歴を見て「動いていない」と慌てないよう、運用の担当に伝えておきます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 連絡先の行 | 会社名、担当者の名前とメールアドレス、メールのドメイン、担当の営業、状態、今週の連絡の区分、フォローの回数、最後に下書きを作った日 | 連絡先の表 |
| 見積の要点 | 見積を出した日、用途(出張・研修・合宿)、泊数と室数、提示した単価の帯、見積番号 | 連絡先の表(見積の列) |
| 宿泊の実績 | 直近3か月の室泊数、平日と休日の内訳、前年同期の室泊数 | 実績のシートの集計(式で連絡先の表に引く) |
| 法人契約の情報 | 契約の有無、契約の満了日、現在の契約の条件の区分 | 連絡先の表 |
| 文面の決まり | 区分ごとの書き出し、書いてよい条件の一覧、署名、配信をやめる連絡の方法の一文 | 文面の決まりの表(別のシート) |
質を決めるのは、いちばん下の「書いてよい条件の一覧」です。 法人契約の案内で、AIに自由に条件を書かせると、「法人料金で20%お得に」のような、ホテルが決めていない数字を書きます。 書いてよい条件(「平日の法人料金の適用」「請求書での後払い」「チェックアウトの延長」など)を表にしておき、そこから選ばせます。
宿泊の実績は会社ごとの合計だけです。 誰が何日に泊まったかという宿泊者の情報は、AIにも Zap にも渡しません。会社の総務の担当者に送るメールに、個人の宿泊の記録を書く必要はありません。
データの取得方法を決める
区分の付いた行は、Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) でまとめて取ります。 検索の列を「今週の連絡の区分」の列にし、値は「対象」とします。区分の列には式で「見積フォロー」「契約案内」「更新案内」のいずれかを入れ、対象かどうかは別の列で「対象」と出します。こうすると、1回の検索で3つの区分をまとめて拾えます。
区分を決める式は、次のように組みます。
| 区分 | 式で見る条件 |
|---|---|
| 見積フォロー | 状態が「見積送付」、見積を出した日から7日以上、フォローの回数が2回未満、最後に下書きを作った日から7日以上 |
| 契約案内 | 法人契約が「無し」、直近3か月の室泊数が15泊以上、最後に案内した日から180日以上 |
| 更新案内 | 法人契約が「有り」、満了日まで60日以内、今期の更新の案内をまだ作っていない |
| 対象外 | 上のどれにも当たらない。状態が「見送り」「連絡不要」 |
15泊や60日の数字は、営業部長が決めて表の上の欄に置きます。 式はその欄を参照するので、基準を変えたいときは数字を1つ書き換えるだけです。
相手からの返事は、Gmail の Find Email で探します。 担当の営業の Gmail の接続で、相手のメールのドメインからの直近7日のメールを探す検索の条件を渡します。見つかれば、相手は何か連絡してきているので、下書きは作らずに止めます。連絡先の表の状態が変わっていなくても、担当者がまだ返事を読んでいないだけかもしれないからです。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 区分の付いた行 | Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) | 今週の連絡の対象と区分 |
| 見積の要点・実績・契約の情報 | 同じ行の列 | 文面に入れる数字と話題 |
| 相手から届いたメール | Gmail の Find Email | 届いていれば止める |
| 文面の決まり | 文面の決まりのシート | 書き出し、書いてよい条件、署名 |
AIへ渡す前に整形する
- 対象外を止める … Lookup の結果が0件なら、その週は何もしません。ループの中では、メールアドレスが空の行を最初の Filter で止めます
- 返事のある企業を止める … Find Email で見つかった企業は、Filter で止め、表に「返事あり・未確認」と書きます
- 数字の形をそろえる … 室泊数、平日の割合、前年同期との差を、文面に入れる形(「42泊」「平日が約8割」)に式の側で整えておきます
- 渡さない列を外す … 担当者の携帯電話、社内のメモの列、単価の詳細は AI に渡しません
- 担当の営業の署名を付ける … 担当の列から、署名と Gmail の接続の分かれ道を決めます
- フォローの回数を見る … 見積フォローの2回目は、1回目と違う書き出しを使うよう、回数を AI に渡します
3番目を式の側で済ませるのは、AIに計算をさせないためです。 「平日が約8割」は、平日の室泊数を合計で割って式で出します。AIに室泊数の内訳だけを渡して割合を書かせると、計算を間違えたまま、もっともらしい数字が相手に届きます。
AIに処理させる
させるのは、区分ごとにメールの件名と本文を作り、どの数字と条件を使ったかを書くことだけです。
| 項目 | 見積フォロー | 契約案内 | 更新案内 |
|---|---|---|---|
| 件名 | ホテル名と、見積の件であることが分かる件名 | ホテル名と、法人契約の案内であることが分かる件名 | ホテル名と、契約の更新の案内であることが分かる件名 |
| 書き出し | 問い合わせへのお礼 | 日ごろの利用へのお礼 | 契約期間中の利用へのお礼 |
| 中身 | 見積の用途・泊数を1行で振り返り、日程や条件の変更に応じられることを伝える | 直近3か月の室泊数と平日の割合を写し、書いてよい条件から2つまで選ぶ | 直近3か月の室泊数と前年同期を写し、更新の手続きの流れを書く |
| 次の一歩 | 返信で相談できること | 条件の説明の打合せの候補を返信でもらえること | 更新の書類を送る時期 |
| 配信をやめる連絡の方法 | 文面の決まりの一文をそのまま入れる | 同じ | 同じ |
| 使った数字と条件 | 見積番号 | 室泊数、条件の番号 | 室泊数、前年同期 |
数字は、渡された値をそのまま写させます。 「42泊」を「40泊以上」や「多数」に丸めると、相手の担当者が社内で説明するときの材料になりません。逆に、渡していない数字を書いたら、それは作られた数字です。 出力形式のところで機械的に確かめます。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 料金・割引率を書く | 法人料金は営業部長が企業ごとに決める。AIが書くと約束になる |
| 書いてよい条件の一覧に無い特典を書く | ホテルが決めていない特典を案内することになる |
| 宿泊者の個人名や泊まった日を書く | 個人の宿泊の記録で、会社の窓口に送るものではない |
| 他のホテルとの比較を書く | 根拠を示せない |
| 返事が無い理由を推測する | 相手の事情は分からない |
| 送信する | 送るのは担当の営業 |
1行目がいちばん大事な禁止です。 法人契約の案内に「通常より15%お安く」と書かれた下書きは、読みやすく具体的なので、そのまま送られやすい一文です。 指示で禁じたうえで、出力の検査でも止めます。
指示内容を固定する
あなたはホテルの法人営業の担当です。
法人のお客さまへのメールの件名と本文を作ってください。
与えられた情報だけを使ってください。
【区分】{case_type}
- quote_followup ... 見積をお送りした企業へのフォロー
- contract_offer ... 法人契約の無い企業への、法人契約のご案内
- renewal ... 法人契約の満了が近い企業への、更新のご案内
【書き方】
- 書き出しは、文面の決まりの書き出しから区分に合うものを1つ選んでください。
- quote_followup では、見積の用途と泊数を1行で振り返り、日程や条件の変更の
ご相談に応じられることを書いてください。フォローの回数が1回目か2回目かで
書き出しを変えてください。
- contract_offer と renewal では、宿泊の実績の数字を、渡された表記のまま
1回だけ本文に入れてください。
- contract_offer では、書いてよい条件の一覧から2つまで選び、その文言のまま
書いてください。
- 文面の決まりにある「今後のご案内が不要な場合」の一文を、そのまま入れてください。
- 本文は全体で350字程度、段落は4つまでにしてください。
- 署名は与えられた署名をそのまま使ってください。
【厳守事項】
- 料金、割引率、金額を書かないでください。「お得」「お安く」も使わないでください。
- 書いてよい条件の一覧に無い特典やサービスを書かないでください。
- 渡されていない数字を書かないでください。数字を丸めたり言い換えたりしないでください。
- 宿泊されたお客さまの名前、宿泊日、部屋の情報を書かないでください。
- 他のホテルとの比較を書かないでください。
- ご返事がない理由を推測して書かないでください。
- 情報が足りず書けない場合は、本文を書かずに missing に足りない項目を挙げてください。
【会社の情報】{company}
【見積の要点】{quote}
【宿泊の実績】{usage}
【法人契約の情報】{contract}
【文面の決まり】{rules}
【書いてよい条件の一覧】{allowed_terms}
【署名】{signature}
「お得」「お安く」まで名指しで禁じるのは、料金の数字を禁じるだけでは足りないからです。 数字を書けないと、AIは「大変お得な料金で」と書きます。相手が「いくら安くなるのか」と問い合わせてくれば悪くはありませんが、営業部長が決めていない約束を匂わせることになります。
「書けない場合は missing に挙げる」は、空の列を推測で埋めさせないためです。 見積の用途が空なら、用途に触れないフォローを書くより、担当者に用途を埋めてもらうほうが早く済みます。
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力の項目を、次のように定義します。
| 項目 | 型 | 説明 |
|---|---|---|
subject | テキスト | 件名 |
body | テキスト | 本文(署名まで) |
case_type | テキスト | quote_followup / contract_offer / renewal |
used_numbers | テキスト | 本文に入れた数字を、渡された表記のまま「、」区切りで |
used_terms | テキスト | 選んだ条件の番号を「、」区切りで |
missing | テキスト | 書けなかったときの足りない項目。書けたら空 |
項目を分けて受けるのは、検査のためです。 Zap の中で次の3つを確かめ、どれかに当たったら下書きを作らず、表に「要確認」と書いて担当者に任せます。
missingが空でないbodyに「%」「円」「お得」「お安く」の文字があるused_numbersの数字が、渡した実績の表記と一致しない
3番目が、作られた数字を止める検査です。 Formatter で used_numbers を分け、渡した「42泊」「約8割」と同じ文字が body にあるかを見ます。本文に数字があるのに used_numbers に無い場合も、要確認にします。
検査を通ったものは、次の形で Gmail の下書きにします。
宛先:{担当者のメールアドレス}
件名:{subject}
本文:{body}
下書きの宛先には、相手の担当者1人だけを入れます。 CC に上司を入れるかは、担当の営業が下書きを直すときに決めます。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 連絡先の表 | Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) | 区分の付いた行をまとめて取る |
| Gmail | Find Email | 相手から直近に届いたメールを探す |
| AI by Zapier | Bring Your Own Key(OpenAI) | 区分に合わせたメールの下書き |
| Gmail | Create Draft | 担当の営業の受信箱に下書きを作る |
| 連絡先の表 | Update Spreadsheet Row | 下書きを作った日、フォローの回数、要確認の印 |
Gmail の接続は、担当の営業ごとに分けます。 下書きは担当の受信箱に置かないと、担当者が気づきません。3名分の接続を作り、担当の列の値で使う接続を変えます。 共有の受信箱に置く形にすると、誰が送ったかが分からなくなります。
宿泊管理システムには書き込みません。 法人契約が決まったら、営業部長が宿泊管理システムに法人料金を登録します。この構成が触るのは、スプレッドシートと Gmail の下書きだけです。
人が確認する
担当の営業は、月曜の午前に下書きをまとめて読みます。
- 下書きを読む … 区分と相手の会社名を見て、送ってよい相手かを確かめます。担当者だけが知っている事情(先週電話で話した、担当者が異動した)があれば送りません
- 数字を見る … 実績の数字が相手に伝えてよいものかを確かめます。相手の社内で出張を控えている時期なら、数字に触れないほうがよいこともあります
- 直して送る … 1行足すか、そのまま送るかを決めます
- 送らなかったら理由を残す … 連絡先の表の状態を「連絡不要」「電話で対応」などに変えます
「要判断」の企業は、営業部長が週に1回見ます。 フォローを2回しても返事の無い企業を、電話で確かめるか、見送りにするかを決めます。ここを決める人がいないと、表の上で同じ企業が毎週拾われ続けます。
目標は、150件をならして1件4分です。 下書きを読んで直して送る時間で、要確認の印が付いたものは、担当者が表の列を埋め直すので10分近くかかります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| Lookup が500行を超える | 最大500行とされているので、区分ごとに Zap を分けるか、検索の条件を狭める |
| メールアドレスが空 | 最初の Filter で止め、表に「アドレス未登録」と書く |
| 相手からのメールが見つかった | 下書きを作らず「返事あり・未確認」と書く |
AI が missing を返した | 下書きを作らず「要確認」と書き、足りない項目を表に書く |
| 本文に料金や割合の言葉がある | 下書きを作らず「要確認」と書く |
| 担当の営業が休暇・退職 | 担当の列を変えるまで、営業部長の受信箱に下書きを作る |
| 実績のシートが今月まだ貼られていない | 契約案内と更新案内の区分を止め、見積フォローだけを回す |
| 同じ会社に複数の担当者がいる | 表で窓口の担当者を1人に決めておく。窓口の印の無い行は対象外 |
| Zap が止まっていた週 | 次の月曜にまとめて拾われる。下書きを作った日の列で、二重に作らない |
7行目は、月初の第1週に必ず起きます。 実績のシートを貼るのが月曜の午後になると、月曜の朝の Zap は先月の実績で動きます。実績のシートに「今月分を貼った」印の欄を置き、印が無い週は契約案内と更新案内を止めます。
記録を残す
- 下書きを作った日、区分、フォローの回数(連絡先の表)
- AI の出力の全項目(件名、本文、使った数字、使った条件、
missing)を、別のシートに1行ずつ - 検査で止めた理由(料金の言葉、数字の不一致、
missing) - 担当の営業が送ったか、送らなかった理由
- 相手からの返事の有無と、法人契約に至ったか
AIの出力を残すのは、送った文面と比べるためです。 担当者がどこを直して送ったかを月に一度見ると、文面の決まりと書いてよい条件の一覧のどこが足りないかが分かります。
法人契約に至ったかの列は、区分ごとに数えます。 契約案内の下書きを何社に作り、何社と打合せになり、何社と契約したか。この数字で、15泊の基準が適切かを営業部長が見直します。
04実装レベルの3段階
本記事の想定は半自動化です。 1件12分のうち、企業を探し、返事を確かめ、数字を拾い、文面を書く時間が無くなります。本格構成は、宿泊管理システムから集計を取り出す仕組みが要るので、システムの会社との相談になります。 最小構成では、連絡すべき企業を拾えません。 文面は作れますが、(b)の「宿泊の多い未契約の企業に気づかない」は、区分の式を作って初めて解決します。 最小構成は文面の決まりを確かめる段階です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を2か月回すと、どの区分の下書きが送られ、どれが送られずに終わったかが分かります。送られない区分の文面を直してから、本格構成に進みます。
05工数削減シミュレーション
導入後 150件 × 4分 ÷ 60 = 10 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 出張の宿泊が多いビジネスホテル・シティホテルで、法人営業が少人数のまま、問い合わせや見積を出した企業へのフォローと、宿泊の多い企業への法人契約の案内が後回しになっている場合。宿泊管理システムから会社ごとの宿泊の実績を月に一度書き出せる場合。Google Workspace を使っている場合。
- 法人の宿泊がほとんど旅行会社や出張手配の会社を通して入り、ホテルから企業へ直接連絡する関係が無い場合。法人の取引先が数社で、営業担当が毎週顔を合わせている場合。宿泊の実績を会社ごとに集計できない場合。
07最小構成で試す方法
- 先月見積を出した企業と、宿泊の多い未契約の企業から、合わせて15社を選ぶ
- 連絡先の表から、その15社の会社名、見積の要点、直近3か月の室泊数をコピーする
- 書いてよい条件の一覧と、署名をテキストにまとめる
- 社内で使える生成AIの画面に、1社分ずつ貼り、第7章の指示を渡す
- 出てきた下書きを、担当の営業がふだん書いているメールと比べる
15社は必ずやってください。 Zap を組む前に、書いてよい条件の一覧と文面の決まりで、担当者が送りたい文面が作れるかを確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 担当者が少し直せば送れる文面が出た | Zap に進む |
| 料金や割引を書いてきた | 指示で直る。禁じる言葉を足す |
| 条件の書き方が担当者の言い方と違う | 書いてよい条件の一覧の文言を、担当者の言い方に直す |
3行目は、たいてい出ます。 条件の一覧を営業部長が書くと硬くなり、担当者は送る前に毎回直すことになります。一覧は担当者に書いてもらい、営業部長が中身を確かめる順にします。
この段階では、相手の担当者の名前を貼らなくてもかまいません。 「○○様」のまま試し、文面の出来だけを見ます。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 料金や割引を書いてくる | 指示で禁じ、本文の「%」「円」「お得」を検査で止める |
| 渡していない数字を書く | used_numbers を出させ、渡した表記と照合する |
| 書いてよい条件に無い特典を書く | 条件は番号で選ばせ、一覧の文言のまま書かせる |
| 返事の来ている企業に下書きができる | Find Email で相手のドメインからの直近のメールを探して止める |
| 同じ企業に毎週下書きができる | 最後に下書きを作った日の列を区分の式に入れる |
| 実績が先月のまま | 「今月分を貼った」印が無い週は契約案内と更新案内を止める |
| AI の task が想定より増える | 階層を確かめ、Bring Your Own Key にする |
| Looping の中の動きが多すぎる | ループの中は5つまでにし、要確認の判定は Formatter と Filter で済ませる |
| 担当の受信箱に届かない | Gmail の接続を担当ごとに作り、担当の列で切り替える |
| 15泊の基準が合わない | 基準は表の欄に置き、法人契約に至った数で営業部長が見直す |
| 送らなかった理由が残らない | 状態の列に選択肢を用意し、送らなかったら変えてもらう |
上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIが相手のためを思って「具体的に」書こうとして起きます。料金も特典も数字も、渡したもの以外は書かせない。 指示と検査の両方で守ります。
task の2行も早く効いてきます。 ループの中で AI を回すので、Premium のまま150社を回すと、想定の数倍の task を使います。 作った日に階層を確かめてください。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 法人の担当者の名前とメールアドレス、見積の内容、会社ごとの宿泊の実績、法人契約の条件です。
- 宿泊者の個人の情報を渡さない … 会社ごとの合計の室泊数だけを使い、誰がいつ泊まったかは AI にも Zap にも渡しません。 宿泊管理システムからの書き出しも、会社ごとの集計の形にします
- 広告や宣伝のメールの決まりを確かめる … 法人契約の案内は、ホテルの営業の広告や宣伝に当たりえます。特定電子メール法は、あらかじめ同意した者、自分のメールアドレスを通知した者、取引関係にある者などを除いて、特定電子メールの送信を制限しています。問い合わせや見積のやり取りがある相手かどうかを、連絡先の表で区別しておきます
- 配信をやめる連絡の方法を入れる … 同法は、送信者の名称と、送信をしないよう求める通知を受けるためのメールアドレスなどを表示するよう求めています。文面の決まりの一文として固定し、AIに書き換えさせません。 「連絡不要」と返ってきたら、表の状態を変えて以後は拾いません
- 料金を AI に書かせない … 法人料金は企業ごとに営業部長が決めるもので、下書きに書かれた数字が約束として受け取られます
- 送信は人が行う … 下書きを自動で送る作りにしません。相手の事情を知っているのは担当者です
- OpenAI のアカウントの扱いを確かめる … Bring Your Own Key では、自社の OpenAI のアカウントにデータが送られます。自社の契約で、入力がどう扱われるかを確かめてから使います
誤りが起きた場合のリスクは、決めていない料金や特典が相手に伝わることと、連絡を断った相手に案内が届くことの2つです。 前者は指示と検査で、後者は表の状態と配信をやめる一文で防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:連絡先の表に列を足す
連絡先の表に「今週の連絡の区分」「対象」「フォローの回数」「最後に下書きを作った日」「窓口」の列を足します。区分の式は、見積フォローだけから作ります。 条件が分かりやすく、効果もすぐ見えるからです。
2週目:15社で試す
先月の見積先と宿泊の多い未契約の企業から15社を選び、社内で使える生成AIの画面で下書きを作らせます。料金や特典を書いてこないか、数字を丸めていないかを最優先で見ます。
3週目:書いてよい条件の一覧を作る
担当者に、ふだん法人契約の案内で書いている条件を書き出してもらい、営業部長が確かめて一覧にします。 配信をやめる連絡の方法の一文も、この週に決めます。
4週目:見積フォローの Zap を作る
Schedule、Lookup、Looping、Find Email、AI by Zapier、Create Draft、Update の順につなぎます。最初の2週間は、全員の下書きを営業部長の受信箱に置き、文面を見てから担当の受信箱に切り替えます。
2か月目: 契約案内と更新案内の区分を足し、実績のシートの印で止める仕組みを入れます。3か月目以降: 1件12分が何分になったかを実測し、区分ごとに法人契約に至った数を数えます。15泊の基準と書いてよい条件の一覧を、その数字で一度見直した時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Schedule by Zapier で毎時・毎日・毎週・毎月を選べ、毎週は曜日と時刻を指定すること。アカウントの時間帯に従い、変えたら Zap を止めて戻すこと。指定の分ちょうどに動く保証は無く数分のうちに動くこと。履歴が UTC で表示されること | Zapier Help: Schedule Zap workflows to run at specific intervals | 2026-10-12 |
| Google スプレッドシートの Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) が、列と値で最大500行を line items として返すこと | Zapier Help: How to get started with Google Sheets on Zapier | 2026-10-12 |
Looping by Zapier がオープンベータで、Professional・Team・Enterprise で使え Free では使えないこと。ループの後の動きが繰り返しのたびに実行され、繰り返しごとに別の実行になること。loop_iteration_is_last で最後の1回だけ動かせること | Zapier Help: Loop your Zap actions | 2026-10-12 |
| AI by Zapier で出力の項目を名前・型・説明付きで定義できること。Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)・Bring Your Own Key(1倍)の階層。Bring Your Own Key で OpenAI・Anthropic・Google・Azure OpenAI・Amazon Bedrock を使えること。Professional 以上に含まれること。URL から情報を取れないこと | Zapier Help: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-10-12 |
| Gmail の検索に Find Email、アクションに Create Draft・Send Email があること。送信の上限を超えるとアカウントが最大24時間止まることがあること | Zapier Help: How to get started with Gmail on Zapier | 2026-10-12 |
| 特定電子メールが、営利を目的とする団体などが広告や宣伝のために送る電子メールであること(第2条)。あらかじめ同意した者、メールアドレスを通知した者、取引関係にある者などを除いて送信してはならないこと(第3条)。送信者の名称と、送信をしないよう求める通知を受けるためのメールアドレスなどの表示が要ること(第4条) | e-Gov 法令API: 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 | 2026-10-12 |
法人料金と書いてよい条件、配信の同意の扱いは、営業部長と、必要に応じて法務の担当と決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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