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機関投資家・証券会社から届くIR面談の依頼メールを分類し、希望日時・面談相手・関心テーマを抜き出して担当の予定表に回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

IR窓口に届く面談の依頼メールを、新規の面談・日程変更・カンファレンスの招待などの種類に分け、希望日時・面談相手・関心テーマを抜き出します。担当者の予定表には仮押さえとして入り、人が確かめてから返事をします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/その他/小売/製造/金融
対象部門
経営企画/財務
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
問い合わせが多い/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
67%
年間削減
240h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. IR窓口のメールアドレスに届いた依頼を、当番の担当者が開く
  2. 新規の面談の依頼か、日程の変更か、カンファレンスの招待か、アンケートや取材かを見分ける
  3. 依頼元の会社と投資家の名前を確かめ、面談台帳で過去の面談と出席した役員を探す
  4. 希望日時を読み、海外からの依頼は日本時間に直す
  5. 候補の日時が沈黙期間に入っていないか、決算の日程表を見て確かめる
  6. 役員とIR課の予定表を見て、空いている枠を探す
  7. 面談台帳に行を足し、予定表に仮押さえを入れ、IR課のチャットで担当を決める
  8. 担当者が依頼元に候補の日時を返信する
導入後(After)
  1. 自動IR窓口に届いたメールのうち、面談の依頼らしいものにラベルが付き、ワークフローが動く
  2. 自動本文と署名を整え、過去のやり取りの引用部分を切り離す
  3. 自動AIが依頼の種類を分類し、依頼元・投資家・希望日時(タイムゾーン付き)・希望する面談相手・形式・関心テーマを抜き出す
  4. 自動希望日時を日本時間に換算し、沈黙期間の表と照らす
  5. 自動投資家の一覧と面談台帳を引き、前回の面談日と出席した役員を付ける
  6. 自動IR課と役員の予定表の空きを調べ、候補の日時ごとに空いているかを付ける
  7. 自動面談台帳に「受付」の行を足し、IR課の担当者の予定表に仮押さえを入れる
  8. 人担当者が受付の一覧を見て、面談相手と候補日時を決める
  9. 人依頼元への返事を書いて送り、確定したら仮押さえを本予定に変える
各工程の詳しい説明を読む
  1. IR窓口のメールアドレスに届いた依頼を、当番の担当者が開く
  2. 新規の面談の依頼か、日程の変更か、カンファレンスの招待か、アンケートや取材かを見分ける
  3. 依頼元の会社と投資家の名前を確かめ、面談台帳で過去の面談と出席した役員を探す
  4. 希望日時を読み、海外からの依頼は日本時間に直す
  5. 候補の日時が沈黙期間に入っていないか、決算の日程表を見て確かめる
  6. 役員とIR課の予定表を見て、空いている枠を探す
  7. 面談台帳に行を足し、予定表に仮押さえを入れ、IR課のチャットで担当を決める
  8. 担当者が依頼元に候補の日時を返信する

(a)種類を見分けるだけで手間がかかる。 件名が「Meeting Request」でも中身が日程の変更だったり、カンファレンスの招待の中に個別面談の希望が混じっていたりします。証券会社のまとめた依頼は、1通に5〜6社分の希望が並ぶこともあります。 1通ずつ読み通さないと、何件の依頼なのかすら分かりません。

(b)タイムゾーンと沈黙期間の確認が漏れる。 4番と5番は、決算の後の忙しい時期ほど省かれます。夏時間の切り替わりの前後は、ロンドンやニューヨークとの時差が変わり、換算を1時間ずれやすくなります。 沈黙期間の確認を忘れて仮押さえをし、後から断り直すことにもなります。

(c)受けた人で返事の速さが変わる。 当番の担当者が外出していると、依頼が数日そのまま残ります。海外の投資家は来日の日程が決まっていて、返事が遅いと別の会社の面談で枠が埋まります。 機会を逃していても、どこにも記録が残りません。

(d)面談台帳の書き方がそろわない。 受けた人が自由に書くので、「関心テーマ」の欄が「中計」「中期経営計画」「中計の進捗とROE」とばらばらになります。投資家ごとに何を聞かれてきたかを振り返れる台帳になっていません。

  1. 【自動】 IR窓口に届いたメールのうち、面談の依頼らしいものにラベルが付き、ワークフローが動く
  2. 【自動】 本文と署名を整え、過去のやり取りの引用部分を切り離す
  3. 【自動】 AIが依頼の種類を分類し、依頼元・投資家・希望日時(タイムゾーン付き)・希望する面談相手・形式・関心テーマを抜き出す
  4. 【自動】 希望日時を日本時間に換算し、沈黙期間の表と照らす
  5. 【自動】 投資家の一覧と面談台帳を引き、前回の面談日と出席した役員を付ける
  6. 【自動】 IR課と役員の予定表の空きを調べ、候補の日時ごとに空いているかを付ける
  7. 【自動】 面談台帳に「受付」の行を足し、IR課の担当者の予定表に仮押さえを入れる
  8. 【人】 担当者が受付の一覧を見て、面談相手と候補日時を決める
  9. 【人】 依頼元への返事を書いて送り、確定したら仮押さえを本予定に変える

8番目が、この設計の分かれ目です。 抜き出しと照合は自動ですが、誰が出るか・どの日時を返すかは人が決めます。 AIの出力には「希望する面談相手」はあっても「出席する役員」の欄はありません。

4番目をAIにさせないのも、意図してのことです。 AIには「書かれていたタイムゾーン」を写させ、換算はワークフローの日付関数で行います。 夏時間の扱いを含め、決まった計算は決まった計算のままにしておきます。

02今回想定するシステム構成

構成図
IR窓口のメールアドレス(Gmail)
   ▼【トリガー】Watch emails(「IR/面談依頼」のラベル)
Make のシナリオ
   ├──▶ 本文の整形・引用部分の切り離し
   ├──▶ Anthropic Claude(Make an API Call で構造化出力)
   │      種類の分類/依頼元・投資家・希望日時・面談相手・テーマ
   ├──▶ 日本時間への換算・沈黙期間の表との照合
   ├──▶ Google スプレッドシート(投資家の一覧・面談台帳)を Search Rows
   ├──▶ Google カレンダー(Get Free/Busy Information)で空きを調べる
   ├──▶ 面談台帳に Add a Row(受付)
   └──▶ 担当者の予定表に Create an Event(仮押さえ)
   ▼【人】受付の一覧の確認・面談相手と候補日時の決定・返信
役割想定する製品代替候補
ワークフローMaken8n、Zapier、Power Automate
生成AIClaude API(Make の Anthropic Claude アプリ)OpenAI API、Gemini API
連携Google カレンダー(IR課と役員の予定表)Microsoft 365 の予定表
連携Google スプレッドシート(投資家の一覧・面談台帳・沈黙期間の表)Microsoft 365 のリスト

新しく足すのは、Make のシナリオ1本と、スプレッドシートの表の整理だけです。 メールアドレス、予定表、面談台帳はいまのものを使います。返事のメールは送りません。 依頼元への返信は、担当者がこれまでどおり自分で書きます。

入口は Make の Gmail アプリの Watch emails です。 見張るフォルダ・ラベルを選べ、Gmail のフィルタの書き方で検索条件を入れることもできます。 取り出したメールを既読にするかを選べ、1回に取り出す上限は500件以下とされています。IR窓口のメールアドレスで、件名や差出人のドメインからラベルを付けるフィルタを Gmail 側に作り、そのラベルを見張ります。

予定表の空きは、Google カレンダーアプリの Get Free/Busy Information で調べます。 同じアプリに Search Events、Create an Event、Update an Event もそろっています。役員の予定表は中身を読まず、空いているかどうかだけを見ます。 役員の予定の件名には、社外に出せない会議の名前が入っているからです。

AIは、Make の Anthropic Claude アプリから呼びます。 アプリには、プロンプトを送る Create a Prompt と、任意のAPIを呼ぶ Make an API Call があります。決まった形のJSONを確実に受け取りたいので、Make an API Call で Messages API を呼び、構造化出力を使います。 Claude API の構造化出力は output_config.format に type: "json_schema" でスキーマを渡す形で、一般提供されています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

IR窓口のメールアドレスに「IR/面談依頼」のラベルが付いたことを起点にします。 ラベルは Gmail のフィルタで付けます。条件は、件名に「面談」「ミーティング」「meeting」「1on1」「conference」などを含むもの、または証券会社と運用会社のドメインから届いたものです。拾いすぎは構いません。 面談の依頼でないものは、AIが not_meeting に分類して受付の一覧から外します。

シナリオの実行間隔は15分にします。 決算の後の山の時期でも、依頼が届いてから1時間以内に受付の一覧に載れば、当日中に返事ができます。

処理が終わったメールには「IR/受付済」のラベルを付け、「IR/面談依頼」のラベルを外します。 外すのは、面談台帳への書き込みと仮押さえが両方とも成功したときだけです。「IR/面談依頼」のラベルが残っているメールの数が、そのまま未処理の数になります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼メール差出人、宛先、CC、件名、本文、受信日時、スレッドID、添付の有無Gmail
投資家の一覧運用会社・証券会社の名前、ドメイン、投資家の担当者、区分(運用会社/証券会社)、主な連絡先投資家の一覧の表
面談台帳過去の面談の日時、相手、出席した役員、関心テーマ、受付ID面談台帳の表
沈黙期間の表決算期ごとの開始日と終了日(決算発表日)沈黙期間の表
予定表IR課の3名と、面談に出る役員の空き時間Google カレンダー
関心テーマの一覧決まった言い方の一覧(中期経営計画、資本政策、株主還元、地域別の需要など)と言い換えの例関心テーマの一覧の表

質を決めるのは、いちばん下の関心テーマの一覧です。 一覧を渡さずに抜き出させると、第3章の(d)と同じく「中計」「中期経営計画」「中計の進捗」がばらばらに入ります。一覧から選ばせ、どれにも当たらないものは原文のまま other_topics に入れます。 後から投資家ごとの関心を数えられる台帳にするためです。

沈黙期間の表は、IR課が決算の日程を決めた時点で更新します。 開始日と終了日のほかに、例外として受けてよい依頼(すでに約束していた面談の取り消しの連絡など)を備考に書いておきます。

Step3

データの取得方法を決める

メールは Watch emails で取り出し、本文はプレーンテキストで受け取ります。 HTML のメールは表の崩れたテキストになることがあるので、HTML とテキストの両方がある場合はテキストの側を使います。 添付ファイルはこの段階では読みません。証券会社の依頼に添付される投資家のプロフィールの資料は、担当者が受付の一覧から開きます。

投資家の一覧と面談台帳は、Google スプレッドシートの Search Rows で引きます。 引く順は、差出人のドメインが先、AIが抜き出した会社名が後です。会社名から先に引くと、「〇〇 Asset Management」と「〇〇 Investment Management」のような名前の揺れで外れます。 面談台帳は、引いた投資家の過去12か月分の行だけを取ります。

予定表の空きは、Get Free/Busy Information で調べます。 調べる対象は、IR課の3名の予定表と、依頼に面談相手として書かれていた役員の予定表です。希望日時の候補ごとに、前後30分を含めた枠で空きを見ます。 面談の前後には移動と準備が要るからです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 引用部分の切り離し … 返信のメールでは、過去のやり取りが本文の下に引用されています。「On … wrote:」「-----Original Message-----」「〇〇 様からのメッセージ」などの区切りより下を切り離し、最新の本文だけをAIに渡します
  2. 署名の切り分け … 署名の部分は切り離さず、本文と分けて渡します。依頼元の会社名と担当者は、署名から取るのがいちばん確実です
  3. 同じスレッドの確認 … スレッドIDが面談台帳の受付IDに結び付いていれば、日程の変更か取り消しの可能性が高いので、その受付の内容を添えます
  4. 受信日時の付与 … 「来週火曜」「明後日」のような相対的な日付を解釈できるよう、受信日時(日本時間)と曜日を入力に添えます

1番目を省くと、日程の変更が新規の依頼として二重に登録されます。 引用部分には前回の候補日時が残っていて、AIはそれも希望日時として拾うからです。3番目のスレッドの確認とあわせて、二重の受付を防ぎます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、依頼の種類を1つ選び、決まった項目を本文から写すことだけです。 種類は次の6つです。

種類中身受付の一覧での扱い
new_meeting個別面談・電話会議・スモールミーティングの新しい依頼受付に載せ、仮押さえを入れる
rescheduleすでに受けた面談の日時の変更元の受付に紐付け、仮押さえを動かす候補にする
cancelすでに受けた面談の取り消し元の受付に紐付け、人が仮押さえを消す
conference証券会社のカンファレンス・投資家説明会への招待受付に載せるが、仮押さえは入れない
survey_or_mediaアンケート・取材・資料の依頼受付の一覧の別の欄に回す
not_meeting面談と関係の無いメール(営業、ニュースの配信など)受付に載せない

抜き出す項目は次のとおりです。

項目抜き出し方判断できないときの扱い
依頼元署名と本文から会社名と担当者名を写す署名が無ければ差出人のアドレスだけ
投資家証券会社が仲介している場合は、投資家の会社名と担当者名を別に写す書かれていなければ空にする
希望日時候補ごとに、日付・開始時刻・終了時刻・書かれていたタイムゾーンを写すタイムゾーンが無ければ unspecified
希望する面談相手「CEO」「CFO」「IR担当」など、書かれていた肩書を写す書かれていなければ空にする
形式対面・オンライン・電話・会場の指定書かれていなければ unspecified
言語英語での面談の希望、通訳の要否書かれていなければ unspecified
関心テーマ関心テーマの一覧から選ぶ。当たらないものは原文のまま別に写す書かれていなければ空にする

希望日時のタイムゾーンを「写す」だけにしているのが、いちばん大事な点です。 「9am HKT」なら HKT と写し、日本時間に直すのはワークフローの日付関数です。 換算までAIにさせると、計算の誤りと読み取りの誤りの区別がつかなくなります。

させないこと理由
誰が面談に出るかを決める相手の保有状況と過去の面談を見て社内で決める
日時を日本時間に換算するワークフローの日付関数で行う。夏時間の扱いを含め計算を規則に置く
沈黙期間に入るかを判断する表と照らすのはワークフロー。AIに期間を渡さない
投資家の格付けや重要度を付ける社内の判断。AIの推測を台帳に残さない
返事の文面を作る何を書くかは担当者が決める。この構成は受付まで
関心テーマから質問を推測する本文に書かれた範囲だけを写す
Step6

指示内容を固定する

あなたは上場会社のIR課で、IR窓口に届いたメールを受け付ける担当です。
メールに書かれていることだけを写してください。推測で補わないでください。

【手順】
1. このメールの種類を、次の6つから1つ選んでください。
   new_meeting / reschedule / cancel / conference /
   survey_or_media / not_meeting
   迷ったときは new_meeting ではなく、近いほうを選んだうえで
   needs_review を true にしてください。
2. 依頼元(メールを送ってきた会社と担当者)と、投資家(面談を
   希望している運用会社と担当者)を分けて写してください。
   同じ会社であれば、両方に同じものを入れてください。
3. 希望日時を、候補ごとに分けて写してください。
   日付、開始時刻、終了時刻、書かれていたタイムゾーンの表記を
   そのまま入れてください。
4. 希望する面談相手を、書かれていた肩書のまま写してください。
5. 関心テーマを、関心テーマの一覧から選んでください。
   一覧に無いものは、原文のまま other_topics に入れてください。

【厳守事項】
- 日時を日本時間に換算しないでください。書かれていた時刻と
  タイムゾーンの表記をそのまま入れてください。
- タイムゾーンが書かれていない時刻は、timezone を
  unspecified にしてください。日本時間だと決めつけないでください。
- 「来週火曜」のような書き方は、受信日時をもとに日付を書き、
  原文の言い方を raw_text に残してください。
- 誰が面談に出るべきかを書かないでください。
- 投資家の重要度や、投資方針を推測しないでください。
- 引用されている過去のメールの日時を、新しい希望日時として
  扱わないでください。
- 1通に複数の投資家の依頼が入っている場合は、requests に
  投資家ごとに分けて入れてください。

【受信日時(日本時間)と曜日】{received_at}
【同じスレッドの受付の内容(あれば)】{thread_context}
【関心テーマの一覧】{topic_list}
【署名】{signature}
【本文】{body}

「日本時間だと決めつけない」を明記しないと、タイムゾーンの無い時刻はほぼ全部が日本時間として扱われます。 海外の担当者は自分の地域の時刻で書くことが多く、書かれていないことと日本時間であることは別です。 unspecified を受け付けの段階で拾えば、担当者が返事の中で確かめられます。

Step7

出力形式を固定する

構造化出力で、次の形のJSONを受け取ります。

{
  "message_id": "",
  "type": "new_meeting | reschedule | cancel | conference | survey_or_media | not_meeting",
  "sender": { "company": "", "person": "" },
  "requests": [
    {
      "investor": { "company": "", "person": "" },
      "slots": [
        { "date": "2026-10-20", "start": "09:00", "end": "10:00",
          "timezone": "HKT | unspecified", "raw_text": "" }
      ],
      "requested_attendees": ["CFO"],
      "format": "in_person | online | phone | unspecified",
      "language": "ja | en | interpreter_needed | unspecified",
      "topics": ["mid_term_plan"],
      "other_topics": [""]
    }
  ],
  "needs_review": false
}

1つ目の理由は、requests で1通に入った複数の依頼を分けて持てることです。 面談台帳には requests の要素を1行ずつ書き、メールのIDで結びます。証券会社のまとめた依頼も、投資家ごとの受付として並びます。

2つ目は、type と timezone を決まった値に絞れることです。 構造化出力のスキーマで enum を使うと、決めた種類以外の値が返ってきません。 Claude API の構造化出力では、オブジェクトの additionalProperties を false にする必要があり、数や長さの制約はサポートされないとされています。候補日時の数の上限は、受け取った後にワークフローで確かめます。

3つ目は、raw_text で確認が速くなることです。 担当者は、換算後の日時と原文の書き方を並べて見られます。ワークフローの側で、raw_text が本文にそのまま含まれるかを確かめ、含まれなければ needs_review を立てます。

ワークフローは、このJSONに次の列を足して面談台帳に書きます。

列誰が入れるか中身
日本時間の候補日時ワークフローslots を日付関数で換算した値。unspecified は空のまま
沈黙期間ワークフローin_quiet_period / clear / unknown
空きワークフロー候補ごとに、IR課と希望された役員が空いているか
前回の面談ワークフロー面談台帳から引いた日付と出席者
出席する役員人担当者が決めて入れる
状態人受付/返信済/確定/見送り
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
GmailMake の Watch emails「IR/面談依頼」のラベルが付いたメールを取り出す
Claude APIMake an API Call種類の分類と項目の抜き出し
Google スプレッドシートSearch Rows/Add a Row投資家の一覧と面談台帳を引き、受付の行を足す
Google カレンダーGet Free/Busy Information/Create an Event空きを調べ、担当者の予定表に仮押さえを入れる
チャットメッセージの送信in_quiet_period と needs_review のものをIR課へ知らせる

仮押さえは、IR課の担当者の予定表にだけ入れます。役員の予定表には入れません。 役員の予定表に入れるのは、面談相手と日時が決まってからです。仮押さえの件名は「【仮】面談依頼:会社名」とし、説明欄に受付IDを書きます。

conference には仮押さえを入れず、cancel も自動では消しません。 取り消しを読み違えて予定を消すと、相手が来たときに誰もいない、ということが起きます。

Step9

人が確認する

担当者が毎朝と午後に1回ずつ、受付の一覧を見ます。 並べ方は、沈黙期間に当たるもの、needs_review のもの、候補日時の近いものの順です。

  1. in_quiet_period のものを先に見る … 沈黙期間に入る日時の依頼は、期間後の候補を出すか、見送るかを決めます
  2. timezone が unspecified のものを見る … 返事の中で、どの時間帯の時刻かを確かめます
  3. 面談相手を決める … 希望された肩書と、面談台帳の前回の出席者を見て、出席する役員を決めます
  4. 返事を書く … 候補の日時と出席者を書いて、依頼元へ送ります
  5. AIの分類を直したら記録する … type や topics を直した場合は、元の値と直した値を台帳の別の列に残します

目標は、150件をならして1件4分です。 種類と候補日時と空きがそろった状態で一覧が並ぶので、担当者の仕事は判断と返事に絞られます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
タイムゾーンが書かれていないunspecified のまま受付に載せる。換算せず、返事の中で確かめる
候補日時が沈黙期間に入るin_quiet_period。仮押さえを入れず、IR課へ知らせる
沈黙期間の表に、その決算期の行が無いunknown。表の更新漏れを疑い、担当者へ知らせる
1通に複数の投資家の依頼があるrequests を投資家ごとに分けて受付の行を作る
引用だけで新しい本文が無い転送のメールのことが多い。needs_review で人へ
投資家の一覧に無い会社から届く受付には載せ、一覧への追加は人が決める
同じ依頼が証券会社と投資家の両方から届く投資家の会社名と候補日時で照らし、二重の受付に印を付ける
AIの呼び出しが失敗するラベルを残し、次の実行で拾い直す
予定表の空きが取れない空きの列を空にし、受付の行は書く。仮押さえは入れない

上から3行目は、運用の穴を拾うための行です。 沈黙期間の表が更新されていないと、すべての依頼が clear として通ってしまいます。表に行が無いことを clear と扱わず、unknown として止めます。

Step11

記録を残す

  • 元のメール(Gmail に残し、受付IDとメールのIDを台帳に書く)
  • AIが返したJSONの全文と、呼び出した日時
  • ワークフローが足した列(日本時間の候補日時、沈黙期間、空き、前回の面談)
  • 人が type・topics・出席する役員を決めた・直した記録
  • 返事を送った日時と、確定した面談の日時
  • 見送った依頼と、その理由(沈黙期間、日程が合わない、など)

最後の行は、第3章の(c)で記録が残らなかった機会のためです。 四半期ごとに見ると、決算後のどの週に受けきれていないかが分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:依頼メールを手でAIの画面に貼り、種類と項目を書き出させる / 1通ごとの分類と抜き出し
半自動化:上記+Make でラベルの付いたメールを拾い、面談台帳に受付の行を足し、沈黙期間の照合と空きの確認、仮押さえまで行う / 受付の全体と担当の予定表への仮押さえ
本格構成:上記+確定した面談の予定を役員の予定表へ入れ、面談後の記録の様式を作り、四半期ごとに見送った依頼を集計する / 受付から面談後の記録の準備まで

最小構成では件数がさばけません。 1通ずつ貼り付けるので、決算後の山の時期には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件12分が4分になり、この段階が本記事の想定です。 種類の見分け、換算、沈黙期間と空きの確認、台帳への登録がまとめて自動になります。残るのは、面談相手と候補日時を決めて返事を書く時間です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
150 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  150件 × 12分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 150件 × 4分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
20h
削減率
67%
年間削減時間
240h
年間金額換算(時間単価4,000円)
96万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 上場会社のIR担当で、国内外の機関投資家・証券会社のコーポレートアクセス担当から、面談・スモールミーティング・カンファレンスの依頼が共有のメールアドレスに月に100件以上届く場合。依頼の文面が日本語と英語で混在し、希望日時のタイムゾーンや面談相手の指定がばらばらな場合。誰が受けたかで登録の仕方や返事の速さが変わっている場合。面談の履歴を投資家ごとにスプレッドシートで持てる場合。
向いていない
  1. 面談の依頼が月に数件で、担当者が1人で目を通せば足りる場合。証券会社のコーポレートアクセスのシステム経由でしか依頼を受けず、メールの依頼がほとんど無い場合。誰と会うか・何を話すかの判断を、IRの責任者がその都度決める運用を変えたくない場合。なお、面談で何を話してよいかという開示の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 前の決算の後の1か月に届いた依頼メールから30通を選ぶ(証券会社のまとめた依頼と、タイムゾーンの書かれた海外からの依頼を必ず入れる)
  2. その30通について、当時どの種類として扱い、誰が出て、いつ面談したかを面談台帳から書き出す
  3. 30通の本文を、手元のAIサービスの画面に1通ずつ貼り付ける
  4. 「このメールの種類を、新しい面談/日程変更/取り消し/カンファレンス/アンケート・取材/面談以外から選び、依頼元、投資家、希望日時(書かれていたタイムゾーンのまま)、希望する面談相手、関心テーマを書き出してください。日本時間に換算しないでください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時の面談台帳と突き合わせる

30通は必ずやってください。 ワークフローを組む前に、「メールから受付に必要な項目がそろうのか」を確かめます。

出てきた内容判断
種類と希望日時が当時の扱いと合っているメールと予定表の連携に進む
タイムゾーンの無い時刻を日本時間として書いた指示の書き方で直る。構成は有効
まとめた依頼の投資家を分けられない証券会社ごとの書式を一覧にして、例として渡す

3行目は、表の形で投資家と候補日時が並ぶ依頼で起きやすくなります。 本文のテキストにすると列の並びが崩れるためです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
タイムゾーンの無い時刻が日本時間として入るunspecified を明記させ、換算はワークフローで行う
夏時間の前後で換算がずれる地域の略称ではなく、都市のタイムゾーン(Europe/London など)に読み替えてから換算する
引用部分の古い日時を新しい希望として拾う引用部分を切り離してからAIに渡す
日程の変更が新規の受付として二重に入るスレッドIDで元の受付を引き、reschedule として紐付ける
まとめた依頼が1行の受付になるrequests を投資家ごとに分けさせる
沈黙期間の表の更新が漏れる行が無ければ unknown で止め、clear にしない
関心テーマの書き方がばらばらになる一覧から選ばせ、当たらないものは other_topics へ
役員の予定の件名が台帳に写る空きの有無だけを見る。件名を読まない
取り消しの連絡で予定を自動で消すcancel は人が消す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「日時を取り違える」という同じ失敗で、取り違えた面談は、相手の時間を無駄にするうえに、会社の信用に関わります。 日時は写すだけ、換算は規則、という線を守ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 投資家と証券会社の担当者の氏名・連絡先、面談の希望日時、関心テーマ、そして面談台帳にある過去の面談の記録です。役員の予定表は空きの有無だけを見ます。

  1. 面談で何を話すかの判断に、この構成を使わない … 金融庁のフェア・ディスクロージャー・ルールガイドラインでは、このルールは未公表の確定的な情報であって、公表されれば有価証券の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性のある情報を対象とするとされています。何がそれに当たるかを判断するのは会社で、この構成は面談の受付までしか扱いません
  2. 沈黙期間は、会社の規程として表に持つ … 決算期末から発表までの期間に面談を受けない運用は、各社が自社の規程で決めているものです。規程の日付を表に置き、AIに期間を判断させないのは、規程が変わったときに表を直すだけで済むようにするためです
  3. 面談台帳と予定表をAIに渡さない … AIに渡すのは、届いたメールの本文と関心テーマの一覧だけです。過去の面談の記録や役員の予定は、ワークフローの側で照らします
  4. 面談の記録に重要情報を書かない … ガイドラインでは、中長期的な企業戦略・計画等に関する議論の中で交わされる情報や、既に公表した情報の補足説明は一般的には対象とならないとしつつ、公表直前の具体的な計画の数値などは重要情報の伝達に当たる可能性があるとしています。面談後の記録の様式を作るときは、何を書くかを開示の担当と決めてください
  5. IR窓口のメールアドレスの権限を絞る … Make の Gmail の接続には、IR窓口のアドレスだけを使い、個人のアドレスを使わないでください。見張るラベルを決めて、それ以外のメールをシナリオが読まないようにします

誤りが起きた場合のリスクは、日時を取り違えて面談をすっぽかすことと、沈黙期間に面談を入れてしまうことの2つです。 前者は換算をAIに任せると起き、後者は表の更新漏れを clear と扱うと起きます。どちらも、判断を規則と表の側に置くことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:表を3つそろえる

投資家の一覧にメールのドメインの列を足し、関心テーマの一覧(15〜20個)と、沈黙期間の表(今後4つの決算期)を作ります。関心テーマの一覧は、過去1年の面談台帳の「関心テーマ」の欄を読み返して作ります。 一覧があることが、AIの抜き出しをそろえる前提になります。

2週目:30通で試す

前の決算の後に届いた依頼メールから30通を選び、手元のAIサービスに貼り付けて、種類と項目を書き出させます。タイムゾーンの無い時刻を日本時間として書いていないかを最優先で見ます。

3週目:受付の一覧を作る

Make で「IR/面談依頼」のラベルを見張り、AIの分類と抜き出しの結果を面談台帳の受付の行として書き出すところまで作ります。この時点では仮押さえを入れず、受付の一覧だけを見ます。

4週目:照合と空きの確認を足す

日本時間への換算、沈黙期間の照合、予定表の空きの確認を足します。換算の結果を、担当者が原文と並べて1週間見比べます。

2か月目: 担当者の予定表への仮押さえを足し、決算後の山の時期に1件あたりの時間を測ります。3か月目以降: 見送った依頼の集計を四半期ごとに作り、役員の面談の枠の取り方を見直します。決算後の山の時期にも、届いた依頼がその日のうちに受付の一覧に並んでいる状態になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
フェア・ディスクロージャー・ルールが投資者に対する公平な情報開示を確保するために導入されたこと。対象が、未公表の確定的な情報であって、公表されれば有価証券の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性のある情報であること。中長期的な企業戦略・計画等に関する議論の中で交わされる情報や公表済みの情報の補足説明は一般的には対象とならないが、公表直前の具体的な計画の数値などは重要情報の伝達に当たる可能性があること金融庁: 金融商品取引法第27条の36の規定に関する留意事項について(フェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン)2026-10-08
Watch emails でフォルダ・ラベルを選べ、Gmail のフィルタの書き方で絞り込めること。取り出したメールを既読にするかを選べ、上限が500件以下であること。Create a draft email、Update email labels などのモジュールがあることMake: Gmail modules2026-10-08
Google Calendar アプリに Watch Events、Search Events、Create an Event、Update an Event、Get Free/Busy Information などのモジュールがあることMake: Google Calendar2026-10-08
Search Rows、Add a Row、Update a Row の働きと、Search Rows に Limit と Filter があることMake: Google Sheets modules2026-10-08
Anthropic Claude アプリに Create a Prompt と Make an API Call などのモジュールがあり、接続に API キーが必要なことMake: Anthropic Claude2026-10-08
構造化出力が output_config.format と type: "json_schema" で一般提供されていること。enum が使え、オブジェクトの additionalProperties は false が必要で、数や長さの制約はサポートされないことClaude Docs: Structured outputs2026-10-08

面談で何を話してよいか、沈黙期間をどう決めるかは、IRの責任者と開示の担当で決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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