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社会保険労務士事務所に顧問先からメールで届く依頼を入退社の手続き・給与計算・相談・証明書の発行などに分類して担当者のタスクにし、足りない情報を聞き返す文案を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

顧問先から共有のメールアドレスに届く依頼を、入社・退社の手続き、給与計算、相談、証明書の発行などに分類し、担当者のタスク台帳に載せます。種類ごとのチェックリストに照らして足りない情報を挙げ、顧問先に聞き返すメールの下書きまで作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
士業
対象部門
人事
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
人手が足りない/問い合わせが多い/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
90h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
67%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 受付の担当が共有のアドレスを開き、新しいメールを上から読む
  2. 送り主のアドレスと署名から顧問先を特定し、顧問先の一覧で主担当を確かめる
  3. メールの中の依頼を見分ける。1通に入社と退職と住所変更が混ざっていることもある
  4. 依頼ごとにタスク台帳に1行書き、種類、顧問先、対象の従業員、期限の目安を入れる
  5. 足りない情報に気づいたら、顧問先に聞き返すメールを書いて送る
  6. 主担当にチャットで知らせる
  7. 主担当が着手し、足りない情報に気づいたら、改めて顧問先に聞き返す
導入後(After)
  1. 自動共有のアドレスに新しいメールが届くと、Make のシナリオが拾う
  2. 自動送り主のアドレスで顧問先の一覧を引き、顧問先と主担当を特定する
  3. 自動本文のマイナンバーらしき数字の並びを伏せ字にする
  4. 自動Claude がメールの中の依頼を1件ずつに分け、手続きの種類に分類し、種類ごとのチェックリストに照らして足りない情報を挙げる
  5. 自動ワークフローの規則で、種類と日付から期限の目安を決める
  6. 自動依頼ごとにタスク台帳に1行ずつ書き、主担当に知らせる
  7. 自動足りない情報がある依頼について、聞き返すメールの下書きを Gmail に作る
  8. 人受付の担当が、分類と割り振りと下書きを確かめ、下書きを直して送る
  9. 人「相談」と分類されたものは、担当の社会保険労務士が内容を読んで回答する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 受付の担当が共有のアドレスを開き、新しいメールを上から読む
  2. 送り主のアドレスと署名から顧問先を特定し、顧問先の一覧で主担当を確かめる
  3. メールの中の依頼を見分ける。1通に入社と退職と住所変更が混ざっていることもある
  4. 依頼ごとにタスク台帳に1行書き、種類、顧問先、対象の従業員、期限の目安を入れる
  5. 足りない情報に気づいたら、顧問先に聞き返すメールを書いて送る
  6. 主担当にチャットで知らせる
  7. 主担当が着手し、足りない情報に気づいたら、改めて顧問先に聞き返す

(a)1通に複数の依頼が混ざる。 「今月の給与の件と、あわせて〇〇さんの扶養の追加をお願いします」のような1通を、給与計算の依頼として1行だけ書き、扶養の追加が台帳から落ちることがあります。追加の依頼は、本文の後ろの方に一文で書かれていることが多いからです。

(b)足りない情報に気づく人と気づかない人がいる。 入社の手続きに何が要るかを覚えている受付の担当は、その場で聞き返します。覚えていない担当は台帳に書いて回すだけで、主担当が着手したときに初めて足りないと分かります。

(c)期限に追われる。 日本年金機構は、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を事実発生から5日以内に提出するよう案内しています。入社の連絡が入社日の直前や当日に届き、そこから聞き返して返事を待つと、5日のうちの数日が消えます。

(d)割り振りが受付の担当の頭の中にある。 どの顧問先のどの種類の依頼を誰に回すか、相談を社会保険労務士のだれに回すかは、受付の担当の経験で決まっています。 担当が休むと、割り振りの迷いでメールが半日止まります。

  1. 【自動】 共有のアドレスに新しいメールが届くと、Make のシナリオが拾う
  2. 【自動】 送り主のアドレスで顧問先の一覧を引き、顧問先と主担当を特定する
  3. 【自動】 本文のマイナンバーらしき数字の並びを伏せ字にする
  4. 【自動】 Claude がメールの中の依頼を1件ずつに分け、手続きの種類に分類し、種類ごとのチェックリストに照らして足りない情報を挙げる
  5. 【自動】 ワークフローの規則で、種類と日付から期限の目安を決める
  6. 【自動】 依頼ごとにタスク台帳に1行ずつ書き、主担当に知らせる
  7. 【自動】 足りない情報がある依頼について、聞き返すメールの下書きを Gmail に作る
  8. 【人】 受付の担当が、分類と割り振りと下書きを確かめ、下書きを直して送る
  9. 【人】 「相談」と分類されたものは、担当の社会保険労務士が内容を読んで回答する

8番目が、この設計の分かれ目です。 受付の担当は、メールを1通ずつ読んで台帳に書く代わりに、台帳に書かれた分類と、作られた下書きを確かめる側に回ります。全件を読み直す設計にすると、90.0時間はほとんど減りません。

5番目を規則で決めているのも、意図してのことです。 生成AIに「期限はいつか」を聞くと、手続きの種類から期限を推し量って書きます。期限は事務所が決めた表から、入社日や退職日に日数を足して決めます。

02今回想定するシステム構成

構成図
顧問先の人事・総務の担当者のメール
   │
   ▼【トリガー】共有のアドレスへの受信(Gmail のラベル「受付」)
Make のシナリオ
   ├──▶ Gmail: Watch emails
   ├──▶ Google Sheets: Search Rows(顧問先の一覧から顧問先と主担当)
   ├──▶ マイナンバーらしき数字の並びを伏せ字にする
   ▼
Claude API(Anthropic Claude の Make an API Call モジュール)
   │  依頼を1件ずつに分け、種類に分類し、足りない情報を挙げる
   │  JSON outputs で決まった形を返す
   ▼
Make ── 期限の目安を表から決める
   ├──▶ Google Sheets: Add a Row(タスク台帳に依頼ごとに1行)
   ├──▶ Gmail: Create a draft email(聞き返すメールの下書き)
   └──▶ 社内チャット(主担当への通知)
   ▼【人】分類と下書きの確認・送信、相談への回答
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakeZapier、Power Automate、n8n
生成AIClaude API(JSON outputs)OpenAI API、Gemini API
メールGmail(Google Workspace の共有のアドレス)Outlook
台帳Google スプレッドシート(タスク台帳、顧問先の一覧、チェックリスト)データベース

新しく足すのは、Make のシナリオと、手続きの種類ごとのチェックリストの表だけです。 タスク台帳と顧問先の一覧は、いまのスプレッドシートに列を足して使います。給与計算のソフトと電子申請の仕組みには触れません。

起点は、Gmail の Watch emails です。 新しいメールが届いたときに動くモジュールで、フォルダやラベルで絞る、未読のものだけを見る、送り主や件名で絞る、添付のあるものだけを見るといった条件を付けられます。1回に扱う件数(Limit)は500以下で決めます。取り込んだメールを既読にするかも選べるので、既読の状態は人が読んだかどうかの印として残し、取り込みでは既読にしません。

生成AIの呼び出しは、Make の Anthropic Claude アプリの Make an API Call で行います。 このアプリにはプロンプトを送る Create a Prompt のほか、任意のAPIを呼ぶモジュールがあります。JSON の形を細かく指定したいので、Messages API を直接呼びます。

聞き返すメールは、Gmail の Create a draft email で下書きにします。 送信のモジュール(Send an email)もありますが、この構成では使いません。 顧問先に出すメールは、すべて受付の担当が読んでから送ります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

共有のアドレスにメールが届いたことを起点にします。 Gmail の側で、顧問先のドメインから届いたメールに「受付」のラベルを付けるフィルタを作り、Watch emails はそのラベルだけを見ます。営業のメールや配信のニュースが分類に紛れ込まないようにするためです。

シナリオは十数分おきに動く設定にします。1日に3回まとめて開いていた共有のアドレスが、届いて十数分で台帳に載るようになります。月末と月初の偏りにも、1回あたりの件数(Limit)で対応します。

同じスレッドの返信も起点になります。 聞き返したメールに顧問先が返事をくれたとき、それも新しいメールとして拾い、元の依頼の行に「返信あり」を付けて足りない情報が埋まったかを確かめます。 新しい依頼として二重に登録しないよう、スレッドの識別子を台帳に持たせます。

顧問先のドメイン以外から届いたメールは、ラベルが付かず、これまでどおり受付の担当が読みます。 新しい顧問先の担当者が個人のアドレスから送ってくることもあるので、ラベルの付かなかったメールを1日1回眺める時間を受付の担当の手順に残します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
メール送り主、件名、本文、添付の有無、受信日時、スレッドの識別子Gmail(Watch emails)
顧問先の一覧顧問先名、担当者のメールアドレス、主担当、相談の担当の社会保険労務士、契約の範囲(手続き/給与計算)顧問先の一覧のスプレッドシート
チェックリスト手続きの種類ごとの、着手に必要な情報の一覧事務所で作る表
期限の表手続きの種類ごとの、起点の日付と日数事務所で作る表
同じスレッドの前の依頼台帳の行と、足りなかった情報タスク台帳

質を決めるのは、チェックリストの表です。 例えば入社の手続きなら、氏名、生年月日、入社日、雇用形態、所定労働時間と日数、報酬の見込み、扶養する家族の有無、基礎年金番号またはマイナンバーの提出の方法、と並べます。この表が無いと、生成AIは「一般的に必要そうな情報」を挙げ、事務所のやり方と合わない聞き返しになります。

契約の範囲も持たせます。 手続きだけを受けている顧問先から給与計算の依頼が届いたら、分類は「給与計算」にしつつ、台帳に「契約の範囲外」の印を付けて主担当に回します。 断るか受けるかは事務所が決めます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
新しいメール共有のアドレスの「受付」のラベルGmail の Watch emails
顧問先と主担当顧問先の一覧Google Sheets の Search Rows(送り主のアドレスで引く)
チェックリストと期限の表事務所で作る表Google Sheets の Search Rows
同じスレッドの前の依頼タスク台帳Google Sheets の Search Rows(スレッドの識別子で引く)

顧問先の特定は、送り主のアドレスで引きます。 署名の社名から推し量らせると、グループ会社の名前の似た顧問先を取り違えます。 一覧に無いアドレスからのメールは、生成AIに渡す前に「顧問先不明」として受付の担当に回します。

添付のファイルは、この構成では中身を読みません。 入社の連絡に履歴書や雇用契約書が付いてくることがありますが、生成AIに渡すのは本文だけにします。 添付があることは台帳に印を付け、主担当が開きます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 引用と署名を外す … 返信のメールに付いてくる過去のやり取りの引用と、署名の部分を外し、新しく書かれた部分だけにします
  2. マイナンバーらしき数字の並びを伏せ字にする … 12桁の数字の並びを伏せ字にしてから生成AIに渡します。伏せ字にしたことは台帳に印を付けます
  3. 長さを確かめる … 引用を外しても極端に長いメールは、分割せずに受付の担当へ回します
  4. 自動の通知を外す … 顧問先の勤怠のシステムから自動で届く通知は、分類せずに給与計算の担当のフォルダへ移します

引用を外すときは、「-----Original Message-----」「〇〇様 wrote:」のような区切りの行や、行頭の「>」を目印にします。区切りの書き方はメールのソフトによって違うので、外し方は顧問先のメールを見ながら足していきます。 外しきれずに過去の依頼が残ると、同じ依頼が二重に台帳に載ります。

2番目を軽く見ないでください。 顧問先には、マイナンバーをメールの本文に書かないよう案内していても、入社の連絡に書き込んで送ってくることがあります。 伏せ字にしたうえで、受付の担当が顧問先に「別の方法で提出してください」と伝えます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、メールの中の依頼を1件ずつに分け、決めた種類のどれかに分類し、チェックリストに照らして本文に書かれている情報と書かれていない情報を分けることです。

種類主な中身チェックリストの例
入社の手続き社会保険・雇用保険の加入の手続き氏名、生年月日、入社日、雇用形態、所定労働時間、報酬の見込み、扶養の有無
退社の手続き資格の喪失、離職票氏名、退職日、退職の理由、離職票の要否、最終の給与の支払日
変更の手続き住所・氏名・扶養の変更氏名、変更の内容、変更の日付
給与計算勤怠・手当・控除の変更の連絡対象の月、対象の従業員、変更の内容
証明書の発行在職や賃金に関する証明の依頼証明の種類、提出先、期限、対象の従業員
相談就業規則、労働時間、休職などの質問(チェックリストは使わない)
その他請求、日程の調整、資料の送付(チェックリストは使わない)

「証明書の発行」は、誰が出す証明かで中身が変わります。 事業主が出す在職の証明を事務所が文案だけ作るのか、事務所が手続きの控えを探して送るのかは、顧問先との契約で決まっています。生成AIには種類を付けさせるだけにし、どちらの作業かは主担当が台帳を見て決めます。

分類は1件に1つだけにします。 「入社の手続きで、あわせて給与の設定も」のような依頼は、入社の手続きと給与計算の2件に分けます。 1件に2つの種類を付けると、台帳で担当が決まりません。

させないこと理由
手続きの要否の判断加入要件に当たるかは社会保険労務士が判断する
相談への回答回答は社会保険労務士の業務
期限の決定期限は事務所の表から規則で決める
書かれていない情報の推測生年月日や入社日を前後の文から推し量らない
顧問先への送信下書きまで。送るのは受付の担当

1行目がいちばん起きやすい誤りです。 「週20時間のアルバイトが入ります」という連絡に、生成AIは「雇用保険の加入が必要です」と書き添えがちです。加入の要否は、労働時間だけでなく雇用の見込みや事業所の状況で決まり、判断を誤ると顧問先に誤った案内が届きます。 下書きにも要否は書かせず、「所定労働時間と雇用の見込み期間を教えてください」と尋ねるだけにします。

Step6

指示内容を固定する

Make an API Call で送る要求の本文の、指示の部分を次のように書きます。

あなたは社会保険労務士事務所の受付で、顧問先から届いたメールを
手続きの種類ごとに仕分ける担当です。

【顧問先】{client_name}(契約の範囲:{contract_scope})
【メール本文】{body_without_quotes}
【種類とチェックリスト】{checklists}

【やること】
1. メールの中の依頼を1件ずつに分ける。1件に1つの種類だけを付ける。
2. 種類を hire / leave / change / payroll / certificate / consultation / other から選ぶ。
3. 対象の従業員の氏名と、依頼に書かれた日付(入社日、退職日、変更日など)を写す。
4. チェックリストの項目ごとに、本文に書かれていれば provided、
   書かれていなければ missing にする。
5. missing がある依頼について、顧問先に聞き返すメールの文案を作る。

【厳守事項】
- 日付、氏名、金額は本文に書かれた文字をそのまま写してください。
  書かれていない情報を、前後の文から推測して埋めないでください。
- 「来月1日」のような書き方は、そのまま写してください。日付に直さないでください。
- 手続きが必要かどうか、保険に加入するかどうかを書かないでください。
- 相談の内容に回答しないでください。consultation に分類し、質問の要点だけを書いてください。
- 聞き返す文案には、missing の項目を尋ねる文だけを書いてください。
  手続きの要否や期限の説明を書かないでください。
- 伏せ字(■)の部分を推測しないでください。
- 迷ったときは other にし、reason に迷った理由を書いてください。

「来月1日を日付に直さない」を書くのは、メールの日付と受信の日付がずれるからです。 月末の夜に書かれて月初に届いたメールの「来月1日」は、受信日から数えると1か月ずれます。日付への直しは、受信日時とあわせて受付の担当が確かめます。

「聞き返す文案に missing を尋ねる文だけ」も大事です。 何も言わなければ、生成AIは丁寧さのつもりで「この方は社会保険の加入対象となりますので」と書き添えます。顧問先はその一文を事務所の判断として受け取ります。

Step7

出力形式を固定する

Messages API の JSON outputs(output_config.format に type: "json_schema")で、次の形を返させます。

{
  "requests": [
    {
      "category": "hire | leave | change | payroll | certificate | consultation | other",
      "employee_name": "", "date_text": "",
      "summary": "",
      "checklist": [ { "item": "", "status": "provided | missing", "value": "" } ],
      "reason": ""
    }
  ],
  "ask_back_draft": "",
  "contains_masked_number": false
}

公式の説明では、JSON outputs は制約付きのデコードでスキーマに合った応答を返し、必須の項目と型が保証されるとされています。読み取りの失敗でシナリオが止まらず、requests の要素をそのまま台帳の行に割り当てられます。

1つ目の理由は、requests を配列にすることで、1通に複数の依頼があっても漏れないことです。 Make の側で配列を1件ずつ台帳の行にします。第3章の(a)の扶養の追加は、ここで2行目として残ります。 配列が空で返ってきたメール(依頼が見つからなかったもの)も捨てずに、受付の担当の確認の欄に1行残します。 お礼だけのメールに見えて、末尾に依頼が書かれていることがあるからです。

2つ目は、category から割り振りと期限を規則で決められることです。

category回す先期限の目安の決め方
hire顧問先の主担当入社日から、事務所の表の日数(資格取得届は事実発生から5日以内)
leave顧問先の主担当退職日から、事務所の表の日数
payroll給与計算の担当顧問先の給与の締め日
certificate顧問先の主担当本文の期限。無ければ受付の担当が確かめる
consultation相談の担当の社会保険労務士受信から2営業日以内に一次の返事
other受付の担当-

3つ目は、checklist の missing を数えて、着手できる依頼と待ちの依頼を分けられることです。 台帳には「着手可」「情報待ち」の列を作り、missing が0件の依頼だけを主担当がすぐに着手できる依頼として並べます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有のアドレスGmail の Watch emails「受付」のラベルの新しいメールを拾う
顧問先の一覧・チェックリスト・期限の表Google Sheets の Search Rows顧問先、主担当、種類ごとの必要な情報を引く
Claude APIAnthropic Claude の Make an API Call依頼の分割、分類、不足の確認、文案
タスク台帳Google Sheets の Add a Row依頼ごとに1行
共有のアドレスGmail の Create a draft email聞き返すメールの下書き
社内チャット通知主担当と相談の担当への連絡

台帳への書き込みは、依頼ごとに1行です。 列は、受信日時、顧問先、種類、対象の従業員、日付の文字、期限の目安、主担当、着手可/情報待ち、足りない情報、スレッドの識別子、受付の担当の確認です。メール1通を1行にすると、第3章の(a)が台帳の上で再発します。

主担当への通知には、本文を貼りません。 台帳の行へのリンクと、種類・顧問先・着手可か情報待ちかだけを送ります。社内チャットに従業員の個人情報が流れて残ることを避けるためです。

下書きの件名には、元のメールの件名と顧問先の名前を入れます。 受付の担当が下書きの一覧から、どのメールへの聞き返しかをすぐに見分けられるようにします。

Step9

人が確認する

  1. 台帳の新しい行を見る … 種類と主担当、対象の従業員、日付の文字が本文と合っているかを確かめます
  2. 日付を確かめる … 「来月1日」「今月末」のような書き方を、受信日時とあわせて日付に直します。期限の目安はここで確定します
  3. 下書きを直して送る … 聞き返す内容が足りているか、事務所の言い回しになっているかを見て送ります
  4. other と顧問先不明を処理する … 迷ったものと、一覧に無いアドレスからのものを読んで振り分けます
  5. 分類を直したら記録する … どの種類からどの種類に変えたかを残します

2番目を省かないでください。 期限の目安は日付から計算します。日付を取り違えると、5日以内の届出の期限が1か月ずれて台帳に載ります。

目標は、900件をならして1件2分です。 分類が正しく足りない情報の無い依頼は数十秒で確かめ、聞き返しの下書きを直す依頼に数分かけます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
送り主が顧問先の一覧に無い生成AIに渡さず「顧問先不明」として受付の担当へ
マイナンバーらしき数字の並びがある伏せ字にして渡し、受付の担当が顧問先に提出の方法を案内する
1通に依頼が10件を超える分類はするが、受付の担当が全件を読み直す
聞き返しへの返事が届くスレッドの識別子で元の行を引き、足りない情報が埋まったかを確かめる
契約の範囲外の依頼台帳に印を付け、主担当に回す
迷って other になった受付の担当が読んで振り分ける
API の応答が返らないメールにラベル「未処理」を付け、次の実行で再試行

上から2行目は、件数は少なくても扱いを決めておく必要があります。 伏せ字にしたことを台帳に残し、元のメールをどう保管するかを事務所の規程で決めておきます。

Step11

記録を残す

  • 受信したメールの識別子と、生成AIに渡した本文(引用と署名を外し、伏せ字にしたもの)
  • 生成AIが返したJSONの全文
  • タスク台帳の行と、受付の担当が直した分類・日付・主担当
  • 下書きと、実際に送ったメールの本文
  • 聞き返してから返事が届くまでの日数

メールと台帳を残す期間も決めておきます。 届出の控えと同じく、後から「いつ連絡を受けたか」を問われることがあるからです。受信日時と、聞き返した日と、返事が届いた日が並んでいれば、期限に遅れた理由を顧問先に示せます。

3つ目を残すのは、チェックリストと指示を直すためです。 同じ種類の取り違えが続くなら、種類の名前か説明が実際の依頼と合っていません。月に1回、直された分類を数えて、表と指示を見直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:メールを手でAIの画面に貼り、分類と不足を挙げさせる / 1通ごとの読み取りと分類
半自動化:上記+受信を起点に分類し、タスク台帳に依頼ごとに書き出す / 分類と台帳への記入
本格構成:上記+顧問先の一覧で主担当を決め、期限の目安を付け、聞き返しの下書きと通知まで行う / 受付から割り振りと聞き返しまで

最小構成では件数がさばけません。 月900件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件6分が3.5分程度になります。 読み取りと台帳の記入は自動になりますが、主担当の確認と聞き返しのメールの作成が残ります。本格構成で2分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の台帳を1か月見ると、どの種類の分類がぶれるか、どの顧問先のメールが other になりやすいかが分かります。そこを直してから下書きを足すほうが、直す手間が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
900 件
1件あたり現在時間
6 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  900件 × 6分 ÷ 60 = 90 時間/月
導入後 900件 × 2分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
67%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 顧問先が100社を超え、入退社の手続き・給与計算の変更・労務相談・証明書の依頼が共有のメールアドレスに毎日届く社会保険労務士事務所。受付の担当がメールを読んで種類を見分け、担当者に割り振り、足りない情報を顧問先に聞き返すまでを手作業で行っている場合。入社日や退職日の連絡が遅れて届き、届出の期限に追われることが多い場合。手続きの種類ごとに「何がそろえば着手できるか」のチェックリストを事務所で決められる場合。
向いていない
  1. 顧問先が数社で、依頼が担当者に直接届き、割り振りが要らない場合。依頼の大半が顧問先ごとの専用の入力フォームやシステムで届き、種類と必要な情報がすでに決まった形で入ってくる場合。なお、社会保険・雇用保険の加入要件に当たるか、どの手続きが必要か、相談への回答の内容といった社会保険労務士としての判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月、共有のアドレスに届いたメールから50通を選ぶ(うち数通は、1通に複数の依頼があったものと、足りない情報を聞き返したものを入れる)
  2. 入社・退社・変更・給与計算・証明書のチェックリストを、事務所の担当者で決めて表にする
  3. 50通の本文を、引用と署名とマイナンバーを外してから、手元のAIサービスの画面に1通ずつ貼り付ける
  4. 「このメールの依頼を1件ずつに分け、種類に分類し、チェックリストに照らして書かれていない情報を挙げてください。手続きの要否は書かないでください。日付は本文のまま写してください」と指示する
  5. 出てきた分類と足りない情報を、当時の台帳と聞き返しのメールと比べる

50通は必ずやってください。 シナリオを組む前に、「チェックリストで不足を挙げられるか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の台帳と同じ分類で、当時聞き返した項目が挙がったMake との連携に進む
手続きの要否を書き添えた指示の書き方で直る。構成は有効
不足の挙げ方が担当者によって違う項目になるチェックリストの見直しが先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、受付の担当によって聞き返す内容が違っていた理由が1つ分かったということです。 表を直して同じ50通で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
1通に複数の依頼があって1件しか載らないrequests を配列にし、依頼ごとに1行
手続きの要否を書き添える禁じる。聞き返す文案は不足を尋ねる文だけ
「来月1日」を誤った日付に直す本文のまま写させ、日付への直しは受付の担当が行う
期限を生成AIが決める期限は種類と日付から表で決める
顧問先を取り違える署名ではなく送り主のアドレスで一覧を引く
マイナンバーが本文に書かれてくる伏せ字にしてから渡し、提出の方法を案内する
聞き返しへの返事が新しい依頼になるスレッドの識別子で元の行に結びつける
チェックリストが無く不足の挙げ方がばらつく事務所で種類ごとの表を決める
主担当への通知に個人情報が流れる通知は台帳へのリンクと種類だけにする
引用が外しきれず二重に登録される区切りの行の書き方を顧問先ごとに足していく

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 1つは依頼の取りこぼし、もう1つは事務所の判断に見える一文の混入です。前者は台帳の上で、後者は顧問先の上で問題になります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧問先の従業員の氏名、生年月日、入社日・退職日、報酬、扶養する家族、退職の理由と、顧問先からの労務の相談の内容です。個人情報で、相談には顧問先の内部の事情が含まれます。

  1. 守秘義務の範囲で使えるかを確かめる … 社会保険労務士法は、開業社会保険労務士などが正当な理由なく業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。生成AIの事業者に渡すことの扱いを、顧問先との契約と事務所の規程で確かめてから使います
  2. マイナンバーを生成AIに渡さない … 前処理で伏せ字にし、顧問先にはメールで送らないよう改めて案内します
  3. 添付のファイルを渡さない … 履歴書や雇用契約書には、分類に要らない情報が多く含まれます。本文だけを渡します
  4. 送信を自動にしない … 聞き返すメールは下書きまでです。顧問先が受け取る文は、すべて人が読んでから送ります
  5. 社会保険労務士としての判断を代替しない … 加入の要否、手続きの要否、相談への回答は社会保険労務士が行います。この構成が出すのは、依頼の種類と、書かれていない情報の一覧だけです
  6. 台帳の閲覧の範囲を決める … タスク台帳には全顧問先の従業員の情報が並びます。閲覧できる所員を決め、顧問先ごとのフィルタで主担当が自分の行だけを見られるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、依頼を取りこぼして期限を過ぎることと、事務所の判断に見える誤った案内が顧問先に届くことの2つです。 前者は依頼を配列で分けることで、後者は要否を書かせず送信を人に残すことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:チェックリストと期限の表を作る

入社・退社・変更・給与計算・証明書の5つについて、着手に必要な情報の一覧と、起点の日付と日数を事務所で決めます。受付の3名と社会保険労務士で、いまそれぞれが聞き返している項目を持ち寄ります。

2週目:50通で試す

先月のメールから50通を選び、手元のAIサービスに分類と不足を挙げさせます。手続きの要否を書き添えていないか、1通の中の2件目の依頼を落としていないかを最優先で見ます。

3週目:守秘と個人情報の扱いを決める

生成AIに渡す範囲(本文だけ、伏せ字の後)と、顧問先との契約の確かめ方を事務所で決めます。顧問先へのマイナンバーの送り方の案内も、ここで作り直します。

4週目:受信から台帳までをつなぐ

Make で「受付」のラベルを見張り、顧問先の一覧を引いて分類し、台帳に依頼ごとに書き出すところまで作ります。この時点では下書きを作らず、分類の一覧だけを受付の担当が確かめます。

2か月目: 期限の目安と主担当への通知を足し、受付の担当が直した分類の数を数えます。3か月目以降: 聞き返しの下書きを足し、1件6分が何分になったかを実測します。聞き返してから着手できるまでの日数が縮んだ時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Watch emails がフォルダ・ラベル・未読・送り主・件名・添付の有無で絞れ、Limit が500以下であること、取り込んだメールを既読にするかを選べること。Send an email、Create a draft email のモジュールがあることMake: Gmail modules2026-10-08
Search Rows が条件に合う行を返し、Add a Row が表の末尾に行を足すことMake: Google Sheets modules2026-10-08
Anthropic Claude アプリに Create a Prompt と Make an API Call のモジュールがあることMake: Anthropic Claude2026-10-08
JSON outputs(output_config.format、type: "json_schema")が制約付きのデコードでスキーマに合った応答を返すことClaude Docs: Structured outputs2026-10-08
事業主が被保険者資格取得届を事実発生から5日以内に提出すること。従業員が基礎年金番号通知書(年金手帳)またはマイナンバーカードを提示すること。被扶養者がいる場合の届出日本年金機構: 就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き2026-10-08
社会保険労務士法 第21条(秘密を守る義務)e-Gov 法令API: 社会保険労務士法2026-10-08

手続きの要否と期限は、日本年金機構・ハローワークなどの最新の案内で確かめてください。 本記事は公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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