SitecoreAIのエージェントとは?|CMSのAIに渡す範囲

「CMSにAIのエージェントが入ったなら、ページの更新は任せきりにできるのでは」「翻訳まで自動でやってくれるなら、各国の担当者は要らなくなるのだろうか」。SitecoreAIの名前を目にしたウェブ担当者からは、こうした声が聞かれます。期待が先に立つのは無理もありません。公式の発表を追うと、サイトコア社は2025年11月4日にSitecoreAIを発表し、2026年3月30日にはエージェントがページや表の形のファイルを材料に、言語ごとの出力をまとめて作れるように更新しました。さらに7月3日には、AIが出した変更案を現在の値と並べて確かめ、保存の前に承認や却下ができるようになっています。ただし、エージェントは任せきりにする仕組みではありません。本当は、渡す材料と承認する人を決めてから使う下書き係です。この記事では、公式で確かめた事実をもとに、4つの場面ごとにエージェントへ渡す範囲と、人が持つ判断を整理します。
カメ先生CMSのAIというと、ページを勝手に書き換えて公開まで進めるものだと思われがちなんだ。でもSitecoreAIのエージェントは、材料を渡されて案を作り、人が確かめてから保存する流れで作られているんだよ。
カメ子AIが作るのは案までで、保存するかどうかは人が決める、ということですか。
カメ先生そう。しかも承認の画面は、変更の前と後を並べて見せる作りになっている。だから、何をどこまで渡すかを先に決めておけば、確かめる手間も読めるようになるんだ。
カメ子渡す範囲を決めることが、承認を楽にすることにつながるんですね。
- SitecoreAIのエージェントは、ページ・企画書・CSVを材料に、言語ごとの下書きや翻訳、一括更新の案を作る
- 2026年7月から、AIの変更案を現在の値と並べて確かめ、項目ごとに直す・飛ばす・断るを選んでから保存できる
- AIに任せるのは案づくりまで。公開の承認、ブランドと法務の確認は人が持ち、場面ごとに承認者を先に決める
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SitecoreAIとは:CMSと顧客データとAIを1つにした基盤
SitecoreAIは、サイトコア社が提供する、ウェブサイトなどの体験を作り届けるための基盤です。2025年11月4日の公式の発表によれば、これまでのエックスエム・クラウドを土台に、コンテンツの管理、顧客データ、個別化、検索を1つのクラウドの製品にまとめたものと説明されています。マイクロソフトのクラウドの上で動くことも明記されています。
発表の中心にあるのが、エージェンティック・スタジオと呼ばれる作業場です。マーケターとAIが一緒に企画し、作り、個別化する場所と位置づけられ、20のAIエージェントとともに始まりました。企画の立案からコンテンツの移行、制作、テストまでの手間のかかる流れを自動化し、専門の知識がなくても自社用のエージェントや流れを組める、とされています。
既存の利用者にとって大事なのは、移り方です。発表は、エックスエム・クラウドの利用者にとって移行は不要で、データはそのまま引き継がれ、エージェンティック・スタジオと出来合いのエージェントをすぐに使えると説明しています。新しい契約や載せ替えの作業が要らないため、気づいたときにはエージェントが使える状態になっている会社もありえます。
体験基盤という考え方そのものの説明は、別の記事に譲ります。ここで押さえたいのは、SitecoreAIのエージェントが外付けの文章生成の道具ではなく、ページやコンテンツの項目を直接扱える場所に置かれていることです。だからこそ、案を作る範囲と保存する判断を分けておく必要が、ほかのAIより強く出てきます。
提供の経緯:2025年11月から2026年9月までの主な更新
SitecoreAIのエージェントまわりは、公式の更新履歴で月ごとに機能が加わってきました。自社の画面がどの段階の機能を前提にしているかを知るために、主な節目を表にまとめます。日付は公式の発表と更新履歴で確かめたものです。
| 日付 | 公式で確かめた内容 |
|---|---|
| 2025年11月4日 | SitecoreAIを発表。エックスエム・クラウドを土台に統合し、エージェンティック・スタジオと20のエージェントで始動 |
| 2026年2月27日 | 「アクション」を「チャット」に改称。成果物に確信度と出典を表示し、版を自動で残して並べて比べられるように |
| 2026年3月30日 | エージェントをページ・企画書・成果物・CSVに対して実行し、言語などの組み合わせごとに出力。自社用のエージェントの作り方も拡充 |
| 2026年7月3日 | 自由入力の指示で作成・更新・翻訳するとき、AIの変更案を現在の値と比べ、保存の前に承認・修正・却下できるように |
| 2026年9月22日 | エクスプローラーの画面が提供を終了し、ページ作成画面のコンテンツモードに置き換え |
この流れから読み取れるのは、機能が「作る」から「確かめる」へ広がってきたことです。2月には成果物に確信度と出典が付き、7月には保存の前に差分で確かめる仕組みが入りました。AIの出力を人が確かめる前提で機能が足されていると読むのが自然です。
9月の画面の入れ替えも見落とせません。これまでエクスプローラーでコンテンツを探して直していた担当者は、ページ作成画面のコンテンツモードに移ることになります。社内の手順書に古い画面名が残っていると、エージェントの話をする前に操作でつまずきます。手順書の画面名を先に直しておくのが、導入の前の小さな準備です。
エージェントは2種類:出来合いのものと、自社で組むもの
公式の日本語の手引き「エージェントの理解」によれば、SitecoreAIのエージェントは2種類に分かれます。よくある用途向けに用意された出来合いのエージェントと、自社の事情に合わせて作るカスタムのエージェントです。カスタムのほうはさらに、会話のように使う標準エージェントと、決まった工程を順に進めるワークフローエージェントに分かれます。
出来合いのエージェントの一覧には、翻訳と現地向けの書き換えを担う翻訳係、複数の読者や媒体に向けて一度に中身を作る一括生成、企画の要点をまとめる企画書づくり、ブログ記事の執筆、中身が想定読者の口調や関心に合っているかを見るペルソナの監査などが並んでいます。作る係と、確かめる係の両方が用意されている点は覚えておいて損はありません。
標準とワークフローのどちらを使うかについて、手引きは、AIの処理の複雑さと、人がどれだけ関わりたいかで決まると書いています。3月の更新では、ワークフローエージェントが標準エージェントを呼び出したり、外部のAPIを呼んだりできるようになりました。工程が長くなるほど、途中で人が止める場所を設計に組み込む必要が出てきます。
もう一つの特徴が、エージェント同士をつなげられることです。3月の更新履歴は、調べもの、コンテンツの生成、翻訳の順にエージェントを連ねる例を挙げています。便利な反面、前の工程の誤りが後の工程にそのまま流れます。つなげた工程のどこで人が見るかを、つなげる前に決めておくのが順番です。
エージェントに渡せる材料:ページ・企画書・CSV
3月30日の更新で、エージェントは手元の材料に対して直接動くようになりました。更新履歴によれば、材料にできるのは、SitecoreAIのページ、企画書、これまでの成果物、そしてCSVのファイルです。選んだ材料を、言語などの条件ごとに処理し、組み合わせの数だけ出力を作ると説明されています。
この仕組みは、量が一気に増えることを意味します。たとえばページを3つ選び、言語を4つ指定すれば、出力は12件になる計算です。CSVに並べた取引先の一覧から、取引先ごとの中身を作るといった使い方も、更新履歴に例として挙がっています。材料を選ぶ一手で、確かめる件数が決まってしまうということです。
もう一つの入口が、チャットでの自由な指示です。2月の更新で、チャットは組み込みの道具を使って、画像の生成、記事や企画書の保存、ウェブ検索、SitecoreAIの中での操作ができるようになりました。材料を選ばなくても、言葉の指示だけで中身の作成や更新が始まります。
材料を渡すときに気をつけたいのは、渡したものがそのまま根拠になることです。古い仕様が残った企画書や、更新が止まった価格表を渡せば、エージェントはそれを正しいものとして使います。渡す前に材料の日付と持ち主を確かめることが、承認の手間を減らすいちばん確かな方法です。
差分の承認:保存の前に、現在の値と提案の値を並べる
2026年7月3日の更新で入ったのが、この記事の中心にある承認の仕組みです。更新履歴によれば、チャットで自由に指示して中身を作成・更新・翻訳するとき、画面にはAIが使った道具と、変更の案が表示されます。そして確認のカードで、現在の値と提案の値を比べ、提案を直す、個別の変更を飛ばす、依頼ごと断ることができます。
大事なのは、これが保存の前に起きることです。更新履歴は、何かが保存される前にAIの動きを確かめて変更案を承認できる、と説明しています。つまり、AIの案がそのまま項目に書き込まれるのではなく、人が確かめた分だけが保存される流れです。項目ごとに飛ばせるので、良い部分だけを採ることもできます。
一方で、この仕組みが止めるのは保存の手前までだという点も押さえておきます。保存した中身を公開するかどうかは、別の判断です。差分を承認した担当者と、公開を決める責任者が同じ人である必要はありませんし、ブランドや法務の確認が要るページなら、むしろ分けておくべきです。
確かめる側の助けになる機能もあります。2月の更新で、成果物には確信度と出典の参照が表示されるようになり、版が自動で残って並べて比べられるようになりました。出典の付いていない数字や言い切りは、承認の前に必ず元の資料と突き合わせるという決まりを置くと、確信度の表示を眺めるだけの承認になるのを防げます。
- 確認カードの流れは、2026年7月3日の更新履歴では、チャットで自由に指示して作成・更新・翻訳する場面について説明されている
- スペースでまとめて実行した出力の扱いは、使う機能ごとに公式の手引きで確かめる
- 保存の承認と、公開の承認は別の判断として運用の決まりに書き分ける
シナリオ1:新製品ページの下書き
最初の場面は、新しい製品のページをゼロから作る場合です。エージェントに渡すのは、社内で固まった企画書と、既存の製品ページのうち構成の手本にしたいものです。出来合いの企画書づくりやコンテンツ生成のエージェントを使えば、見出しの並びと本文の下書きまでは短い時間で揃います。
ここで人が書くべきなのは、製品の差別化の理由と、数字の入る箇所です。性能の値、価格、対応の範囲といった情報は、AIが材料から拾えたとしても、発売前に変わることがよくあります。数字の欄は空けたまま下書きを作らせ、製品の担当者が最後に埋めるやり方にすると、古い値が残る事故を防げます。
承認は2段に分けます。1段目は、ウェブ担当者が差分を見て構成と言い回しを整える段階です。2段目は、製品の責任者とブランドの担当者が、公開してよい表現かを確かめる段階です。1段目は確認のカードの中で済みますが、2段目は保存した後、公開の前に置きます。
この場面でありがちなのが、下書きの出来が良いほど確認が浅くなることです。文章が整っていると、中身の誤りに目が行きにくくなります。確かめる人には、文章の質ではなく「材料にない主張が入っていないか」だけを見てもらうと、短い時間でも抜けが減ります。
シナリオ2:多言語サイトの翻訳
2つ目は、日本語のページを複数の言語に展開する場面です。出来合いの翻訳係のエージェントは、ブランドの口調を保ちながら中身を他の言語に訳し、現地向けに書き換えると説明されています。3月の更新で、言語を条件として選んだページをまとめて処理できるようになったため、量のある翻訳ほど効果が出ます。
エージェントに渡すのは、訳す元のページと、社内の用語集です。製品名や機能名の訳し方が決まっていないと、ページごとに違う訳語が出てきます。用語集を先に作り、材料と一緒に渡すことで、承認の場面で直す箇所が大きく減ります。7月の確認カードは提案を直せるので、用語の揺れは承認の中でも拾えます。
人が持つべきなのは、その国の法規や表示に触れる箇所の確認です。保証の書き方、価格の表示、健康や安全に関わる表現は、訳が正しくても国ごとに意味が変わります。こうした箇所は、現地の担当者か、その言語で法務を確かめられる人の承認を経てから公開します。
翻訳の一般的な失敗の型は別の記事で扱っているので、ここでは承認の持ち方だけに絞ります。差分の承認は、言語ごとに担当を決めておくのが基本です。1人がすべての言語を承認すると、読めない言語の差分を形だけ通すことになります。読めない言語の差分は承認しないという線を最初に引いておきます。
シナリオ3:既存ページの一括更新
3つ目は、社名の変更や制度の改定に合わせて、既存の多くのページを一度に直す場面です。3月の更新履歴は、スペースと呼ばれる作業の場を一括更新やコンテンツの生成のために作れると説明しています。複数のエージェントを選び、対象の項目と条件を1か所で設定できます。
この場面で最も大事なのは、対象の範囲を材料の選び方で絞ることです。一括更新は、1回の指示で直す件数が多い分、誤りも同じ数だけ広がります。最初は10件ほどに絞って試し、差分の傾向を見てから対象を広げると、想定外の書き換えに早く気づけます。
承認の単位にも工夫が要ります。確認カードは個別の変更を飛ばせるので、直すべき箇所だけを採り、それ以外は飛ばすという使い方ができます。ただ、件数が多いと1件ずつ見る集中力が続きません。担当者を複数に分け、1人が一度に見る件数の上限を決めておきます。
一括更新で人が書くのは、何をどう直すかという置き換えの決まりそのものです。「旧社名を新社名に」だけでは、引用や過去の沿革の記述まで書き換わってしまいます。変えてはいけない箇所の例を決まりに書き添えてから渡すと、差分の中に紛れ込む誤った書き換えが減ります。
シナリオ4:キャンペーン用の派生ページ
4つ目は、1つの元になるページから、業界別や読者別の派生ページを作る場面です。出来合いの一括生成のエージェントは、複数の読者や媒体に向けて中身を一度に作ると説明されています。CSVに業界や読者の区分を並べて渡せば、区分ごとの下書きがまとめて出てきます。
エージェントに渡すのは、元のページ、区分ごとの読者像、そして使ってよい事例や数字の一覧です。派生ページでは、区分に合わせた具体例をAIが補おうとして、材料にない事例や効果の数字を作ってしまうことがあります。使ってよい事例を一覧で渡し、それ以外を書かせない指示を添えます。
人が確かめる焦点は、表示の規制に触れる言い回しです。業界別に訴求を強めるほど、効果を言い切る表現や、他社と比べる表現が入りやすくなります。キャンペーンのページは公開の期間が短く、急いで出すことが多いため、法務の確認を省かない期限の決め方を先に決めておきます。
出来合いのペルソナの監査のエージェントを使えば、派生ページが想定読者の口調に合っているかを見てもらうこともできます。ただし、監査の結果はあくまで参考です。監査のエージェントが合格と返しても、公開の判断はキャンペーンの責任者が持ちます。確かめる係のAIも、判断はしないという位置づけは同じです。
4つの場面を1枚にまとめる:渡す範囲と承認者
ここまでの4つの場面を、エージェントに渡すもの、差分を承認する人、人が書く箇所の3つの軸で並べます。社内で運用を始めるときは、この表を自社の部署名に置き換えて使うと、誰が何を持つかの話し合いが短くなります。
| 場面 | エージェントに渡すもの | 差分を承認する人 | 人が書く・決める箇所 |
|---|---|---|---|
| 新製品ページの下書き | 企画書、手本にする既存ページ | ウェブ担当者 | 差別化の理由、数字の欄、公開の可否 |
| 多言語サイトの翻訳 | 元のページ、用語集 | 言語ごとの担当者 | 法規や表示に触れる箇所、公開の可否 |
| 既存ページの一括更新 | 対象ページ、置き換えの決まり | 複数の担当者で分担 | 変えてはいけない箇所の例、対象の範囲 |
| キャンペーンの派生ページ | 元のページ、読者像、使ってよい事例 | キャンペーンの担当者 | 効果の表現、比較の表現、法務の確認 |
表を見ると、どの場面でも、差分を承認する人と公開を決める人が分かれていることが分かります。確認カードの承認は保存の判断であり、公開の判断はその後にあります。保存の承認と公開の承認を別の人に持たせることで、1人の見落としがそのまま外に出るのを防げます。
また、人が書く箇所は、どの場面でも「事実」と「責任」に関わる部分です。数字、法規、比べる表現、公開の可否は、AIの案の出来にかかわらず人が持ちます。AIに任せるのは下書き、翻訳、一括更新の案までで、その先は人の仕事だと表の外にも書いておきます。
ブランドの声は最初から知らない:渡しておく前提
公式の手引きには、見落とされやすい一文があります。既定では、エージェントは組織の声の調子やブランドの決まり、事業の前提を理解していない、というものです。エージェントは、設定と文脈として渡された情報をもとに、どう振る舞い、どの情報を使うかを決めると書かれています。
手引きは、使い始める前にやっておくことを挙げています。設定の画面で、エージェントが一貫して使う道具、スキル、スキーマ、ひな形を選ぶこと。好みに合わせてシグナルと呼ばれる文脈を設定すること。そして、エージェントごとに指示やスキーマ、ひな形を整えることです。準備の差が、そのまま承認で直す量の差になります。
3月の更新では、データの型の定義であるスキーマと、HTMLのひな形を、管理者が全体で管理して複数のエージェントで使い回せるようになりました。2月の更新では、チャットでブランドの素材の組み合わせを選べるようになっています。部署ごとに指示を書き散らすより、共通の前提を管理者が1か所で持つほうが、出力の揺れは小さくなります。
ここで決めておきたいのが、前提を書く人と直す人です。ブランドの決まりが変わったのに、エージェントに渡している前提が古いままだと、すべての出力が古い決まりで作られます。前提の文書に持ち主と見直しの時期を書いておくことで、承認の場面で同じ指摘を繰り返さずに済みます。
誰が作り、誰が使えるか:役割と公開範囲
エージェントを誰が作り、誰が使えるかも、渡す範囲の一部です。公式の手引きによれば、使える操作は、エージェンティック・スタジオの中での役割と、ビルダーのライセンスの有無で変わります。権限に応じて、カスタムのエージェントを作る、既存のものを複製して手を加える、設定を書き出して取り込む、設定を編集する、といった操作ができます。
2月の更新では、管理者がエージェントの公開範囲を、非公開、公開、特定の人と共有の3つから設定できるようになりました。エージェントの一覧も、自分のもの、共有されたもの、すべての3つに分けて表示されます。作ったエージェントを誰に開くかを管理者が握れる作りです。
運用の目安として、作る人は少なく、使う人は広くするのが扱いやすい形です。指示や前提を書き換えられる人が多いと、同じ名前のエージェントの振る舞いがいつの間にか変わります。作る権限はウェブの運用の責任者と数人に絞り、ほかの担当者には共有されたエージェントを使ってもらいます。
スペースに協力者を招く機能にも目を配ります。2月の更新で、共有のスペースに協力者を招くと、成果物と文脈がメンバー全員に見えるようになりました。社外の制作会社を招く場合は、スペースに置いた企画書や未公開の情報も見えることになります。招く前に、そのスペースに置く材料を選び直します。
日本語の手引きの読み方:自動翻訳の注意書き
SitecoreAIには、利用者向けの日本語の手引きがあります。エージェントの理解、作り方、公開範囲の管理、困ったときの対処まで、主要な項目が日本語で読めるのは、国内の担当者にとって助かる点です。一方で、各ページの冒頭には、翻訳がAIによって自動で行われたという注意書きがあります。
注意書きは、原文と異なる表現や解釈が含まれる場合があり、正確で公式な情報は英語の原文を参照するよう求めています。実際に、画面のメニュー名が英語のまま残っている箇所や、機能名が訳語と画面で一致しない箇所があります。設定の手順や権限の説明は、英語の原文と突き合わせてから社内の手順書に写すのが安全です。
もう一つの読み方の注意は、更新の速さです。前の節で見たように、機能は月単位で加わり、画面の名前も変わります。手引きのページを印刷して配るより、社内の手順書には公式のページへの参照と、確かめた日付を添えておくほうが、古い説明が残り続けるのを防げます。
手引きの横には、公式の資料をもとに答えるAIの質問窓口も置かれています。ただ、窓口自身が、答えは不完全または不正確なことがあり、公式の助言として扱わないよう注意書きを添えています。AIの答えは手がかりにとどめ、根拠となる手引きのページを必ず開いて確かめるという使い方に徹します。
導入の段取り:4つの場面から1つ選んで始める
エージェントの運用は、4つの場面を一度に始めるより、1つに絞って型を作るほうがうまく進みます。ここでは、導入の段取りを5つの手順で示します。
まずは件数が読めて、誤りの影響が小さい場面から始めます。多くの会社では、既存ページの一括更新のうち、対象を10件ほどに絞った試行が扱いやすい入口です。
ブランドの決まり、用語集、使ってよい事例の一覧を用意し、管理者がスキーマやひな形とあわせて設定します。材料には日付と持ち主を書き添えます。
差分を確認カードで承認する人と、保存した中身の公開を決める人を分けて名前で決めます。ブランドと法務の確認が要る場面では、その担当者も並べます。
最初の出力は全件を差分で確かめ、直した箇所の種類を記録します。同じ直しが続くなら、前提の文書か指示を直します。
差分の直しが落ち着いたら対象を広げます。前提の文書とエージェントの設定を見直す時期を、月に1回などと決めておきます。
手順の中で最も時間をかけるべきなのは、2つ目の前提と材料の準備です。ここを急ぐと、4つ目の試行で直す箇所が増え、結局は人の手間が膨らみます。準備に1週間かけて、承認の手間を毎回減らすという考え方で臨みます。
つまずきやすい使い方
エージェントの導入で起きやすい失敗を挙げます。どれも、機能の不足ではなく、渡す範囲と承認の持ち方の決め忘れから起きています。
- 確認カードの承認を、そのまま公開の承認として扱ってしまう
- ページと言語を大量に選び、確かめきれない件数の出力を一度に作らせる
- 用語集やブランドの決まりを渡さず、承認のたびに同じ言い回しを直している
- 読めない言語の差分を、1人の担当者がまとめて承認している
- エージェントを作れる人が多く、同じ名前のエージェントの振る舞いが変わっていく
- 日本語の手引きの自動翻訳を、原文と突き合わせずに社内の手順書へ写している
中でも影響が大きいのが、1つ目です。確認カードで差分を承認した時点で、仕事が終わったと感じやすくなります。けれども、そこで止まっているのは保存の手前までです。公開の前の確認を省いた結果、ブランドや表示の問題がそのまま外に出れば、AIを入れた意味が薄れてしまいます。
失敗を防ぐいちばん簡単な方法は、どの場面で誰が何を承認するかを、1枚の表にして運用の担当者全員に配ることです。前の節の表をそのまま使えば、始める前の話し合いの叩き台になります。
よくある質問
エックスエム・クラウドを使っていますが、SitecoreAIに移る作業は要りますか
2025年11月4日の公式の発表では、エックスエム・クラウドの利用者にとって移行は不要で、データはそのまま引き継がれ、エージェンティック・スタジオと出来合いのエージェントをすぐに使えると説明されています。契約の細かな扱いは、担当の窓口で確かめてください。
AIの変更案は、承認しなくても保存されることがありますか
2026年7月3日の更新履歴によれば、チャットで自由に指示して作成・更新・翻訳するときは、確認カードで現在の値と提案の値を比べ、承認した分が保存される流れです。ほかの実行の方法での扱いは、使う機能ごとに公式の手引きで確かめてください。
翻訳はエージェントに任せきりにできますか
出来合いの翻訳係のエージェントは、ブランドの口調を保ちながら訳し、現地向けに書き換えると説明されています。ただし、法規や表示に触れる箇所は国ごとに意味が変わるため、その言語で確かめられる人の承認を経てから公開してください。
日本語の手引きだけで設定を進めても大丈夫ですか
日本語の手引きはAIによる自動翻訳で、各ページの冒頭に、正確な情報は英語の原文を参照するよう注意書きがあります。権限や設定の手順は、原文と突き合わせてから社内の手順書にしてください。
CMSそのものの選び方も知りたいのですが
この記事は、SitecoreAIのエージェントに渡す範囲と承認の持ち方に絞っています。CMSを比べて選ぶ観点は、別の記事で扱っています。
まとめ
SitecoreAIは、エックスエム・クラウドを土台に、コンテンツの管理、顧客データ、個別化、検索を1つにした基盤で、2025年11月4日に発表されました。エージェントは、2026年3月の更新でページ、企画書、CSVを材料に言語ごとの出力をまとめて作れるようになり、7月には変更案を現在の値と並べて確かめ、保存の前に承認や却下ができるようになっています。新製品ページの下書き、多言語サイトの翻訳、既存ページの一括更新、キャンペーンの派生ページのどの場面でも、AIに任せるのは下書き、翻訳、一括更新の案までです。数字、法規、比べる表現、公開の可否は人が持ち、差分を承認する人と公開を決める人を分けておきます。まずは1つの場面を選び、ブランドの決まりと用語集を前提として渡すところから始めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
コンテンツ制作・SEOにAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
