Perplexityの業務利用で決める線|訴訟中の回答の扱い方

「Perplexityは出典を付けて答えてくれるから、そのまま資料に使っても大丈夫だろう」「訴えられているのは提供元なのだから、使う側の会社には関係ない」。社内でAI検索を使う人が増えるにつれ、情報システムや法務の担当者のもとには、こうした受け止め方が届くようになりました。どちらも半分は当たっていて、出典が付くのは確かに便利で、訴訟の当事者は提供元です。けれども、出典が付いていることは、回答が正しいことの証明ではありません。本当は、原文を読みに行くための手がかりが付いているだけです。この記事では、Perplexityを業務で使うときに決めておく線を、4つの場面に分けて整理します。
カメ先生Perplexityは出典が並ぶから、回答をそのまま信じていいと思われがちなんだ。でも本当は、国内の新聞社から、記事と違う内容を記事の名前付きで表示していると訴えられている製品でもあるんだよ。
カメ子出典が付いていても、その出典に書いてあることと回答が一致しているとは限らない、ということですか。
カメ先生そう。だから業務で使うときは、下調べと出典の当たり付けまでに使い道を絞って、社外に出す前には人が原文を読む。この線を場面ごとに決めておくんだ。
カメ子使うか使わないかより、回答をどこまで持ち出してよいかを決めるほうが大事なんですね。
- Perplexityは読売・朝日・日経の新聞3社から、記事の無断利用などで東京地裁に提訴されている
- 法人版は問い合わせを学習に使わないが、個人の無料版やプロ版は既定で学習への利用が有効
- 回答は下調べと出典の当たり付けまでに使い、社外に出す前に人が原文を読んで確かめる
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Perplexityとは:出典を並べて答えるAI検索
Perplexityは、質問を入力すると、ウェブ上の情報を探して要約し、参照した出典を番号付きで並べて答えるAI検索のサービスです。検索結果の一覧から自分でページを開いて読む手間が省けるため、調べものの入口として業務で使う人が増えています。回答の文と出典の番号が結びついているので、どの文がどのページから来たかをたどれるのが特徴です。
提供の形は大きく2つに分かれます。個人が使う無料版と有料の版、そして会社が契約する法人向けの版です。法人向けには、エンタープライズ・プロ、さらに上位のエンタープライズ・マックスという契約があり、公式ヘルプではデータの扱いが個人向けと分けて説明されています。同社はAIを組み込んだブラウザのコメットも提供していますが、ブラウザ一般の確認の項目は別の記事で扱います。
業務利用の線を考えるとき、この製品には一般のAIの審査では拾いきれない固有の事情があります。一つは、国内の大手新聞社との訴訟が続いていること。もう一つは、個人向けと法人向けで、入力したデータの扱いが既定から違うことです。海外製のAIを審査する一般的な項目、たとえば契約の相手の国や越境の手続きは、別の記事にまとめているので、ここでは触れません。
この記事で扱うのは、審査を通した後の使い方の線です。Perplexityを使ってよいと決めた会社でも、回答をどこまで社内に広げ、どこまで社外に持ち出してよいかは別に決める必要があります。その線を、この製品に固有の2つの事情から引いていきます。
国内の新聞3社との訴訟:何が争われているか
2025年8月、国内の新聞3社がPerplexityの提供元を相手に訴えを起こしました。報道によれば、まず読売新聞グループが8月7日に提訴し、約21.68億円の損害賠償を求めました。続いて8月26日には、朝日新聞社と日本経済新聞社が共同で東京地方裁判所に提訴し、各22億円、計44億円の損害賠償を求めています。
| 原告 | 提訴日(報道による) | 請求額 | 主な求め |
|---|---|---|---|
| 読売新聞グループ | 2025年8月7日 | 約21.68億円 | 記事の利用の停止と損害賠償 |
| 朝日新聞社 | 2025年8月26日 | 22億円 | 記事の複製・送信の差し止め、保存した記事の削除、社名や記事を表示した虚偽の回答の差し止め |
| 日本経済新聞社 | 2025年8月26日 | 22億円 | 朝日新聞社と共同で同上 |
朝日新聞社と日本経済新聞社の主張は、大きく2つです。1つは、自社のサイトでクローラーに記事の利用を断る指示を出していたのに、それを無視して記事を複製し、回答として送っているという、著作権の侵害の主張です。もう1つは、記事と異なる誤った情報を、新聞社の名前や記事を示しながら表示しており、新聞社の信用を傷つけているという、不正競争の主張です。
この訴訟は係争中で、2026年9月の時点で判決が出たという報道は確認できませんでした。どちらの主張が認められるかは、裁判所が判断することです。この記事は、どちらが正しいかを論じるものではありません。結論が出ていない段階で、利用する会社が回答をどう扱うかを決めるための材料として、争点を押さえておきます。
訴訟が、使う会社に投げかけていること
訴えられているのは提供元で、利用している会社ではありません。それでも、この訴訟は使う側に2つの問いを投げかけています。1つ目は、回答の中に、新聞社が利用を断っている記事の中身が入っている可能性があるということです。回答を資料に書き写せば、その中身を自社の資料として外に出すことになります。
2つ目は、回答の要約が原文と一致しない可能性です。原告の新聞社は、記事と違う情報が記事の名前付きで表示されていると主張しています。この主張が認められるかどうかとは別に、出典が付いた回答であっても、要約の段階で意味が変わることは、AI検索の仕組み上ありうることです。出典の名前が信頼できる媒体であるほど、読む人は中身まで信じてしまいます。
この2つを合わせると、使う会社が気をつけるべきことが見えてきます。回答をそのまま社外に出すと、原文と違うかもしれない内容を、有名な媒体の名前を借りて自社が発信する形になりかねません。提案書を受け取った顧客は、出典の新聞名を見て内容を信じ、その先の判断に使うかもしれません。
だから線を引く軸は、Perplexityを使うかどうかではなく、回答をどこまで持ち出すかになります。社内で下調べに使い、自分の理解を深めるための使い方と、回答の文章や数字を社外の資料に写す使い方は、分けて考えます。前者の多くは許せても、後者には条件が要ります。
「出典が付いているから正しい」という誤解
冒頭の誤解に戻ります。出典が付いていることで、回答が正しく見えるのは自然なことです。けれども、出典の番号が示しているのは、AIがそのページを参照したということまでで、そのページに回答どおりのことが書いてあるという保証ではありません。
起きうるずれは、いくつかの形があります。原文の数字を別の年のものと取り違える、原文の条件付きの記述から条件を落とす、複数の出典の内容を1つの文にまとめて、どの出典にも書いていない結論を作る、といったものです。特に有料の記事の場合、利用者は原文を開けないことが多く、ずれに気づく機会そのものがありません。
出典が本当に存在するか、書いてある内容が回答と同じか、古い版を最新として出していないか、といった確かめ方の手順は、AIが出す出典の裏取りを扱った別の記事にまとめています。この記事では、Perplexityの回答を社外に出すかどうかの線を引く段階で、原文を人が読んだかどうかを分かれ目にすることだけを押さえます。
もう一つ付け加えると、原文が読めない出典は、社外の資料の根拠には使わないと決めておくのが安全です。有料の記事の中身を、回答の要約を通じて資料に書くことは、原文を確かめていないうえに、提供元が係争中の記事の中身をそのまま使うことにもなります。読めない出典は、当たり付けの手がかりにとどめます。
法人版と個人版で、データの扱いが違う
2つ目の固有の事情は、データの扱いです。公式ヘルプの説明では、個人向けの無料版、プロ版、マックス版では、AIのデータ保持の設定が既定で有効になっており、検索のデータがPerplexityのAIの改良に使われうる状態から始まります。利用者がアカウントの設定で、自分で止めることはできます。
一方、法人向けのエンタープライズ・プロについて、公式ヘルプは、問い合わせの情報がPerplexityのモデルの学習に使われることはないと説明しています。さらに、外部のAIの提供元との契約でも、法人のデータで学習させることを禁じているとしています。同じ製品でも、どの契約のアカウントで使ったかで、入れたデータの行き先が変わるということです。
| 項目 | 個人向け(無料・プロ・マックス) | 法人向け(エンタープライズ・プロなど) |
|---|---|---|
| 学習への利用 | 既定で有効。アカウント設定で本人が止められる | 問い合わせを学習に使わないと説明 |
| 会話に付けたファイル | 公式で要確認 | 7日で自動的に削除 |
| スペースに上げたファイル | 公式で要確認 | 自動では消えない(暗号化して保管) |
| 保持期間の設定 | 本人の設定の範囲 | 50席以上か上位契約1席で、期間の設定と強制削除ができる |
| 会社による管理 | 会社の管理の外 | 管理者が組織として設定できる |
表の中身は、2026年9月に公式ヘルプの説明で確かめた範囲です。契約の内容は変わることがあるので、社内の規程に書き写すときは、確かめた日付を添えます。表で見てほしいのは、個人向けの版は本人の設定しだいで、会社からは設定を確かめられないという点です。会社の管理の外にあるアカウントで業務の情報を扱うことが、いちばんの問題になります。
法人版の保存期間と、管理者が決めること
法人版を契約する場合も、決めておくことがあります。公式ヘルプによれば、会話に付けたファイルは7日で自動的に削除されますが、スペースと呼ばれる共有の作業場所に上げたファイルは、自動では期限切れになりません。資料を上げて何度も質問できるのは便利ですが、上げたものは残り続けます。
このため、スペースに上げてよい資料の範囲を決めます。公開済みの資料や、社内で広く共有している資料なら問題は小さいでしょう。顧客の名前が入った資料、契約の条件が書かれた資料、未発表の計画は、法人版であっても上げない、と決めておくのが安全です。上げた資料を定期的に見直し、不要になったものを消す担当も置きます。
保持期間を会社で決められる条件もあります。公式ヘルプは、エンタープライズ・プロを50席以上、または上位のエンタープライズ・マックスを1席以上契約している組織は、独自の保持期間を設定し、いつでも強制的に削除できると説明しています。自社の席数がこの条件に届くかどうかで、保存期間を会社で決められるかどうかが変わるので、契約の前に確かめます。
法人版の管理者が誰になるかも決めます。情報システムの担当が持つのが一般的ですが、使う部門の管理者に任せる場合は、スペースの見直しと利用者の追加や削除の手順を渡しておきます。退職や異動のときに、法人版のアカウントを止める手順を、ほかの業務の仕組みと同じ流れに入れておくと、抜けが起きにくくなります。
- 会話に付けたファイルは7日で消えるが、スペースに上げたファイルは自動では消えない(2026年9月時点の公式ヘルプの説明)
- 保持期間を会社で決められるのは、エンタープライズ・プロ50席以上か、エンタープライズ・マックス1席以上の組織
- 法人版でも、顧客の名前や契約の条件、未発表の計画はスペースに上げないと決めておく
線を引く3つの区分:許す・条件付き・止める
ここから場面ごとの線に入ります。場面は無数にありますが、判断の区分は3つにまとめられます。そのまま許す、条件を付けて許す、止める、の3つです。場面ごとにどの区分に入るかを決めて、社内の決まりに書いておきます。
区分を決める軸は2つです。1つは、どのアカウントで使うか。法人版なら入れた情報が学習に使われない前提に立てますが、個人版では本人の設定しだいです。もう1つは、回答をどこへ持ち出すか。自分の頭の中や社内のメモにとどめるのか、社外に出す資料に書き写すのかで、求める確かめの深さが変わります。
この2つの軸で見ると、「法人版で使い、社内にとどめる」は多くの場合そのまま許せます。「法人版で使い、社外に出す」は条件付きです。「個人版で業務の情報を入れる」は止めます。区分の判断は、使う人ではなく、会社が先に決めておくことが大切です。その場で使う人に判断させると、忙しいときほど線が緩みます。
次の4つの場面は、実際に社内で起きやすいものを選んでいます。自社の使い方に近い場面から読んでください。どの場面にも当てはまらない使い方が出てきたら、2つの軸に当てはめて区分を決め、決まりに書き足していきます。
場面1:競合調査の下調べに使う
最初の場面は、競合の会社の動きや、市場の概況を調べる下調べです。競合がどんな製品を出しているか、最近どんな発表をしたかを、Perplexityで調べて全体をつかむ使い方です。法人版を使い、入力するのが公開情報だけなら、そのまま許してよい場面です。
許す理由は、入力する情報に社外秘が含まれず、回答を自分の理解のために使うからです。回答をもとに、どの発表や資料を読むべきかの当たりを付け、実際にはその原文を読んで調べを進めます。AI検索が最も役に立つのは、この当たり付けの段階です。何十ものページを開く前に、読むべき数本を絞れます。
ただし、入力の仕方には注意が要ります。「当社が来期に出す新製品と競合の製品を比べて」のように、質問の中に自社の未発表の情報を入れると、下調べの範囲を超えます。質問には公開されている情報だけを書くことを、決まりに入れておきます。自社の計画との比較は、回答を読んだ後に社内で行います。
調べた結果を社内の報告にまとめるときは、回答の文章を貼るのではなく、原文で確かめた事実だけを書きます。社内の報告でも、次の人がそれをもとに社外の資料を作るかもしれないからです。報告に「AI検索で当たりを付け、原文で確認」と一行添えておくと、後から読む人が根拠の強さを判断できます。
場面2:提案書に出典付きの数字を載せる
2つ目の場面は、提案書や営業資料に、市場の規模や調査の数字を出典付きで載せる使い方です。Perplexityに聞けば、数字と出典がすぐに出てきます。この場面は条件付きで許す区分に入ります。条件は、回答の数字ではなく、原典で確かめた数字を載せることです。
具体的には、回答に出てきた出典をたどり、調査を出した団体や官公庁の原典を開いて、数字と調査の年と対象を自分の目で確かめます。回答が新聞記事を出典にしている場合は、その記事が引いている元の調査を探し、そちらを出典として書きます。提案書に書く出典は、Perplexityでも新聞記事の要約でもなく、原典にします。
新聞記事そのものが原典である場合、たとえば記者の独自の取材による数字であれば、その記事を読める状態で確かめてから、引用の決まりに従って書きます。有料の記事で原文が読めないなら、その数字は提案書に使いません。係争中の記事の中身を、要約を通じて自社の資料に写すことは避けるのが安全です。
回答の文章を、そのまま提案書の文章として使うことも止めます。言い回しを整えるために下書きとして参考にするのはよいとしても、回答の文をそのまま社外に出さないことを決まりにしておきます。引用の要件や出所の書き方の一般論は、引用の原則を扱った別の記事を参照してください。
場面3:社員が個人版に社内資料を貼る
3つ目の場面は、社員が自分の個人のアカウントで、社内の資料や顧客とのやり取りを貼り付けて要約させる使い方です。便利さから、悪気なく起きやすい場面です。この場面は止めます。業務の情報を、会社の管理の外にあるアカウントに入れることになるからです。
止める理由は、個人向けの版ではAIのデータ保持が既定で有効になっていることにあります。本人が設定を止めていれば学習には使われませんが、会社からはその設定を確かめられません。設定を止めていたとしても、入れた情報が会社の契約の外にある、という問題は残ります。法人版のように、会社が保持期間を決めたり、削除させたりもできません。
止めるだけでは、使いたい気持ちは残ります。同じことを法人版でできるようにしておくと、個人版に流れる理由が減ります。止める決まりと、代わりに使える場所の案内を、同時に出すのが効果的です。法人版を用意できない場合は、社内で認めている別のAIの製品を案内します。
すでに個人版に貼ってしまった社員がいた場合の対応も決めておきます。責めるより先に、何を貼ったかを申告してもらい、顧客の情報が含まれていれば、社内の情報の事故の手順に沿って扱います。申告した人を責める運用にすると、次から誰も申告しなくなります。申告を受ける窓口は、情報システムか法務に置きます。
場面4:配った端末や社員の端末に入っていた
4つ目の場面は、会社が配った端末や、社員が業務で使う端末に、Perplexityのアプリやブラウザが入っていた、という場面です。社員が自分で入れた場合もあれば、別の製品に付いてきた場合もありえます。入っていることと、業務で使ってよいことは別なので、条件付きの区分として扱います。
まず確かめるのは、どのアカウントで使っているかです。法人版のアカウントでサインインしているなら、ほかの場面と同じ線で扱えます。個人のアカウントや、サインインしない状態で使っているなら、場面3と同じく、業務の情報を入れることは止めます。アプリが入っているだけで使われていないなら、残すか消すかを会社の方針で決めます。
ブラウザのコメットのように、閲覧中のページを読んで操作まで代わりに行う製品は、要約だけの使い方より確かめることが増えます。AIブラウザを社内で使う前の確認の項目は、別の記事で扱っているので、ここでは「ブラウザとして入っていたら、別の審査に回す」とだけ決めておきます。端末に何が入っているかの数え方も、端末の台帳を扱った別の記事を参照してください。
この場面で大切なのは、見つけたときの流れを先に決めておくことです。誰が見つけ、誰に知らせ、誰が区分を決めるか。社員向けには「入っていたら使う前に情報システムに知らせる」と一文で伝えておけば、判断が現場でばらばらになることを防げます。
社外に出す資料へ書き写すときの手順
4つの場面のうち、最も判断に迷うのが、回答の中身を社外の資料に使うときです。ここでは、条件付きで許す場合の手順を決めておきます。手順を踏んだ記録が残っていることを、社外に出す条件にすると、線が守られやすくなります。
回答から、読むべき出典と、確かめるべき数字の候補を拾います。回答の文はこの時点で手放します。
出典をたどり、調査の元の発行者の資料を開きます。原文が読めない出典は、ここで候補から外します。
数字、年、対象、条件を原典から写します。回答に書かれていた数字とずれていたら、原典の方を使います。
資料の作成の記録に、どの原典を誰がいつ確かめたかを残します。レビューの担当が記録を見て承認します。
社内の決まりに書く文言は、短くしておくと守られます。たとえば「Perplexityの回答は下調べと出典の当たり付けに使う。社外に出す資料には、回答の文と数字を写さず、原典で確かめたものだけを書く。原文が読めない出典は使わない」の3文です。長い規程より、3文の決まりのほうが現場で思い出されます。
レビューの担当は、資料の作成者と別の人にします。同じ人が作って確かめると、回答の数字を原典で確かめたつもりになっていても、見落としに気づけません。提案書の承認の流れにすでにレビューがあるなら、その確認の項目に「AI検索の回答をそのまま使っていないか」を1行足すだけで済みます。
やりがちな失敗
Perplexityを業務で使うときに起きやすい失敗を挙げます。どれも、線を決めていないか、決めた線が現場に伝わっていないことから起きます。
- 出典の新聞名を見て安心し、回答の数字をそのまま提案書に載せる
- 有料の記事が出典で原文が読めないのに、回答の要約を根拠として書く
- 法人版を契約したのに、社員が慣れた個人版で業務の資料を貼り続ける
- スペースに上げた顧客の資料が、自動では消えないことを知らずに放置する
- 端末に入っていたアプリを、アカウントを確かめないまま業務で使わせる
このうち、最も気づきにくいのは2つ目です。回答の要約が読みやすく、出典も信頼できる媒体なので、原文を読めていないことを忘れてしまいます。資料のレビューのときに、出典の欄に新聞の有料の記事が並んでいたら、その記事を作成者が読めたかを一言確かめるだけで、多くは防げます。
3つ目の失敗も起きやすいものです。法人版を用意しても、使い慣れた個人版のほうが手元ですぐ開けるため、そちらを使い続ける人が出ます。法人版の案内を出すときに、個人版から乗り換える手順と、個人版で業務の情報を入れない理由を、1枚にまとめて配っておきます。
AIに任せる範囲と、人が確かめる範囲
ここまでの内容を、任せる範囲と人が持つ範囲に分けて整理します。Perplexityに任せてよいのは、下調べと、出典の当たり付けまでです。何を読めばよいかの候補を短い時間で並べる、という点で、AI検索は検索結果の一覧を自分で開いて回るより効率的です。
一方で、回答の中身が原文と一致しているかは、人が原文を読んで確かめます。AIに「この回答は正しいか」と聞き直しても、確かめたことにはなりません。AIに正しさを判断させず、根拠の原典を人が読むことを、使うときの決まりにしておきます。回答をそのまま社外に出さない、という線もここから来ています。
人が確認する範囲は、先に決めておきます。社内の下調べなら、回答を読んで当たりを付けるところまでで足ります。社内の報告なら、報告に書く事実を原文で確かめます。社外に出す資料なら、原典の確認と、別の人のレビューまで行います。確かめる深さを、回答の持ち出し先で決めるのが、この記事で引いた線の中心です。
訴訟の行方によっては、使い方の前提が変わる可能性もあります。判決や和解の報道が出たときに、社内の決まりを見直す担当を決めておくと安心です。見直しのときは、回答の扱いの線と、データの扱いの線を分けて確かめ直します。
ミニ用語解説
この記事で使った言葉を、社内の決まりに書くときの意味で短く整理しておきます。部署ごとに受け取り方がずれないよう、決まりの冒頭にこの用語の説明を置いておくと便利です。
出典の当たり付け
回答に並んだ出典から、原文を読むべきものを選ぶこと。回答の中身を信じることではなく、次に読むものを決める作業を指します。
原典
数字や事実を最初に発表した資料のこと。調査の発行者の報告書や官公庁の統計などで、それを引いた新聞記事やAIの回答は原典ではありません。
AIのデータ保持
個人向けの版で、検索のデータをAIの改良に使うかどうかを決める設定。公式ヘルプでは既定で有効とされ、アカウントの設定で本人が止められます。
スペース
資料を上げて繰り返し質問できる共有の作業場所。法人版でも、上げたファイルは自動では期限切れにならないと公式ヘルプで説明されています。
社内の決まりでは、特に「出典」と「原典」を分けて書くようにしてください。出典は回答が参照したもの、原典は数字を最初に出したものと分けておくと、どちらを確かめるべきかで迷わなくなります。
まとめ
Perplexityは、出典を並べて答えるAI検索として業務で役に立つ一方、2025年8月に読売新聞グループ、朝日新聞社、日本経済新聞社から、記事の無断利用や記事と異なる内容の表示を理由に提訴され、係争が続いています。また、個人向けの版は学習への利用が既定で有効で、法人版とはデータの扱いが違います。線を引く軸は、どのアカウントで使うかと、回答をどこへ持ち出すかの2つです。競合の下調べは法人版で許し、提案書の数字は原典で確かめることを条件に許し、個人版への社内資料の貼り付けは止め、端末に入っていたものはアカウントを確かめてから扱う。まずは、社内の決まりに回答の扱いの3文を書き足し、法人版と個人版の違いを利用者に伝えるところから始めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
