GA4のMCPサーバーとは?|公式版で取れる数字

「GA4の公式のMCPサーバーが出たなら、画面を開かずにAIに数字を聞けば済むのでは」「つないだら、広告の費用まで含めて全部答えてくれるのだろうか」。GA4とAIアシスタントを直接つなぐ話題が広がるにつれ、こうした期待を聞く機会が増えました。期待そのものは的外れではありません。グーグルは実際に、ギットハブで公式の接続口を公開しています。ただ、公開されている中身を読むと、GA4のMCPサーバーは、何でも答える窓口ではありません。本当は、読むだけの7つの道具を手元のパソコンで動かす、実験版の接続口です。この記事では、公式版で取れる数字と取れない数字を、4つの場面に分けて整理します。
カメ先生GA4をAIにつなぐと、画面で見られる数字は全部AIから聞けると思われがちなんだ。でも公式版が持っている道具は7つだけで、どれも読むだけなんだよ。
カメ子道具の数が決まっているなら、聞いても答えが返らない質問もある、ということですか。
カメ先生そう。それに、同じ数字でも画面とずれる場面がある。しきい値や「その他」にまとめられた行が、応答の側でどう扱われたかを見ないといけないんだ。
カメ子つなぐ前に、何が取れて何が取れないかを知っておくほうが先なんですね。
- GA4のMCPサーバーは、グーグルが公開した実験版の接続口で、手元のパソコンで動かし、読むだけの7つの道具を持つ
- 標準レポート・ファネル・リアルタイムは取れるが、広告の管理画面の費用や、画面で作った探索そのものは取れない
- しきい値・その他の行・時間帯の違いで画面とずれるため、報告に載せる数字は画面で確かめ、解釈は人が決める
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GA4のMCPサーバーとは、外のAIからGA4を読む接続口
GA4のMCPサーバーは、グーグルのアナリティクスの開発チームが、ギットハブの公式の場所で公開している接続の仕組みです。MCPは、AIアシスタントが外部のデータや道具を使うための共通の取り決めのことで、この仕組みを入れると、対応するAIアシスタントから、日本語の質問でGA4のデータを読み出せるようになります。開発者向けの案内ページは、データと会話する、データにアクセスできる独自のエージェントを作る、といった使い方を挙げています。
案内ページに載っている質問の例は、「昨日のユーザー数は何人だったか」「昨日よく売れた商品は何か」といった素朴なものです。AIアシスタントは、この質問を受けて、どの道具をどの条件で呼び出すかを自分で組み立て、GA4から返ってきた数字をもとに答えます。担当者が画面で期間を選び、項目を並べ替えていた作業を、会話の形で頼めるようになる、というのが一番の変化です。
GA4の画面の中にも、質問に答えるAIアシスタントの機能があります。この記事で扱うのは、それとは別に、GA4の外にあるAIアシスタントからデータを読みに行く仕組みです。画面の中のAIへの聞き方は別の記事で扱っています。外からつなぐと、ほかの資料や別のデータと並べて考えさせられる一方で、つなぐ準備と、誰の権限で読ませるかの管理が自社の側に生じます。
また、MCPという取り決めそのものや、社内のシステムをAIにどこまで触らせるかという一般論も、別の記事で整理しています。この記事では、GA4の公式版に絞り、公開されている中身から、取れる数字と取れない数字を見ていきます。「つなげるか」より先に「つないで何が取れるか」を確かめるのが、この記事の順番です。
公式版の位置づけ:実験版で、手元のパソコンで動かす
公開の場所の表題には、実験版であることがはっきり書かれています。利用の条件はアパッチ2.0という、改変や再配布を認めるオープンソースの許諾で、無償で使えます。一般提供の製品として保証や窓口が付くものではない、という前提で扱う必要があります。一般提供に切り替わる日付は、今回の調査では公式の記載を確かめられませんでした。
動かし方にも特徴があります。この仕組みは、グーグルのサーバーの上で動くのではなく、利用者の手元のパソコンで、パイソンのプログラムとして動かします。公開の説明では、パイソンの3.10以上と、パイソンのプログラムを個別の環境に入れる道具を使う手順が示されています。つまり、使う人のパソコンに準備が要り、そのパソコンが止まれば接続も止まります。
開発者向けの案内ページは、2025年9月16日に更新された版を確認しました。そこでは、設定の手順はギットハブの説明と動画に任せ、ページ自体は何ができるかの紹介にとどめています。手順の細部は公開の場所の説明が正で、更新されることもあるため、社内の手順書は公開の場所の説明を写すのではなく、リンクと確認した日付で残すほうが安全です。
対応するAIアシスタントとしては、ジェミニのコマンドライン版、ジェミニの開発支援の製品、クロードの開発者向けの製品が例に挙がっています。MCPに対応した製品なら理屈のうえではつなげますが、例に挙がっていない製品で動くかどうかは、自社で試して確かめるしかありません。実験版である以上、業務で頼る前に、止まっても困らない範囲から始めるのが前提になります。
- 実験版のため、道具の一覧や手順は予告なく変わることがある。社内の手順書には確かめた日付を残す
- 一般提供の時期は、今回の調査では公式の記載を確かめられなかった
- 対応するAIアシスタントの例に挙がっていない製品は、自社で試して動作を確かめる
使える道具は7つ、どれも読むだけ
公開されている説明によると、この仕組みが持つ道具は7つです。大きく分けると、アカウントやプロパティの情報を返すもの、レポートを実行するもの、リアルタイムの数字を返すものの3種類になります。AIアシスタントは、質問の中身に応じてこのどれかを選んで呼び出します。7つにない操作は、どう頼んでも実行できません。
| 道具の種類 | 返すもの | 使いどころ |
|---|---|---|
| アカウント概要の一覧 | 使う人がアクセスできるアカウントとプロパティ | どのプロパティを読めるかの確認 |
| プロパティの詳細 | プロパティの設定の情報 | 時間帯・通貨などの前提の確認 |
| グーグル広告とのリンクの一覧 | つながっている広告アカウント | 広告との突き合わせの前提の確認 |
| 標準のレポート | 期間・項目・指標を指定した集計 | 週次・月次の数字、流入元別の比較 |
| ファネルのレポート | 段階ごとの通過と離脱 | 申し込みまでの落ち込みの把握 |
| カスタムの項目と指標 | 自社で定義した項目と指標の一覧 | 独自の指標を聞く前の確認 |
| リアルタイムのレポート | 直近の短い時間の利用状況 | 配信直後の反応の確認 |
開発者向けの案内ページは、この仕組みが読み取りの依頼だけに対応し、GA4の構成や設定は変えられないと明記しています。認証のときに求める範囲も、読み取り専用の範囲です。イベントの定義を直す、キーイベントを付け替える、データ保持の期間を変える、といった作業は、AIに頼んでもこの経路ではできません。
読むだけという性質は、安心材料であると同時に限界でもあります。設定を誤って壊す心配はありませんが、読める範囲の数字は、使う人のアカウントに見えている全部です。売上や顧客の属性に近い数字も、権限があれば読めます。読むだけだから何でもつないでよい、とはならず、どのプロパティを誰に読ませるかは別に決める必要があります。
つなぐまでに要るもの:クラウドの準備と認証
公開の説明に沿うと、つなぐまでの準備は大きく3段階です。まずグーグルのクラウドのプロジェクトで、GA4の管理用のAPIとデータ用のAPIを有効にします。次に、読み取り専用の範囲で認証を行い、手元のパソコンに認証情報を置きます。最後に、使うAIアシスタントの設定ファイルに、この仕組みを起動する設定を書き足します。画面の操作だけで完結する準備ではありません。
GA4の管理用のAPIとデータ用のAPIを、使うプロジェクトで有効にします。どのプロジェクトを使うかは情報システムの担当者と決めます。
アプリケーションの既定の認証情報という仕組みで、読み取り専用の範囲を指定して認証します。個人の利用者として認証する方法と、サービスアカウントになりすます方法があります。
パイソンの3.10以上を用意し、公開の説明の手順で仕組みを入れます。
使うAIアシスタントの設定ファイルに起動の設定を書き、プロジェクトの識別子などを渡します。最後にアカウント概要の一覧を聞き、読めるプロパティが想定どおりかを確かめます。
認証には2つの道があります。1つは、使う本人のグーグルのアカウントで認証する方法で、この場合、本人がGA4で見られるプロパティは全部読めることになります。もう1つは、サービスアカウントという、人ではない専用のアカウントになりすまして読む方法です。こちらは、そのアカウントに付けたプロパティだけに絞れるため、読ませる範囲を狭く保ちやすくなります。
準備の段階で詰まりやすいのは、クラウドのプロジェクトの権限です。APIを有効にする操作には、そのプロジェクトで相応の権限が要ります。マーケの担当者が自分で進めようとして止まることが多いため、最初から情報システムの担当者と組んで進めるのが近道です。接続を審査するときに見る項目の一般論は、別の記事で詳しく扱っています。
誰のアカウントで読ませるかで、見える範囲が決まる
この仕組みは、認証したアカウントの権限をそのまま使ってGA4を読みます。アカウント概要の道具が返すのも、そのアカウントがアクセスできるアカウントとプロパティです。つまり、AIが読める範囲は、仕組みの設定ではなく、認証したアカウントの権限で決まります。管理者の権限を持つ人の個人のアカウントでつなぐと、その人が見られる全部のプロパティが、AIからも読める状態になります。
代理店や制作会社から複数の顧客のプロパティを預かっている会社では、この点が特に重要です。担当者の個人のアカウントには、複数の顧客のプロパティがぶら下がっていることがよくあります。そのままつなげば、ある顧客の分析を頼んだつもりで、別の顧客の数字がAIの会話に混ざるおそれがあります。預かっている数字の扱いは、顧客との取り決めにも関わります。
現実的な分け方は、用途ごとに読ませるプロパティを決め、サービスアカウントにはそのプロパティの閲覧の権限だけを付けることです。自社サイトの週次の数字を見るためだけにつなぐなら、自社サイトのプロパティの閲覧だけで足ります。編集や管理の権限は、この仕組みには不要です。読み取り専用の範囲で認証していても、元のアカウントの権限を狭くしておくほうが、何かあったときの影響が小さく済みます。
もう一つ決めておきたいのは、誰のパソコンで動かすかです。手元で動く仕組みなので、担当者が異動したり、パソコンを入れ替えたりすると、接続が止まります。認証情報もそのパソコンに残ります。動かすパソコンと、認証情報を置く場所、止めるときの手順を、つなぐ前に一枚にまとめておくと、あとで迷いません。
シナリオ1:週次の数字をAIに聞く
最もよくある使い方は、毎週の定例で出す数字をAIに聞く場面です。「先週と前の週のユーザー数、セッション数、キーイベントの数を、流入元ごとに並べて」と頼むと、AIは標準のレポートの道具を呼び出し、2つの期間を指定して集計を返します。期間・項目・指標の組み合わせで表せる数字は、この道具でおおむね取れます。
取れる数字の例は、期間ごとのユーザー数やセッション数、ページごとの表示回数、流入元やキャンペーンごとのキーイベントの数などです。自社で作ったカスタムの項目や指標も、名前を確かめたうえで指定できます。先にカスタムの項目と指標の道具で一覧を出させてから、「この名前の指標で集計して」と頼むと、名前の取り違えが減ります。
取れないのは、画面の探索で自分が組んだレポートそのものです。探索で作った分析を呼び出す道具は、7つの中にありません。同じ集計をしたいなら、探索で使っている項目と指標、絞り込みの条件を言葉にして渡し、標準のレポートとして組み直させることになります。画面に残した注釈のような、数字でない情報も読めません。
この場面での落とし穴は、「先週」の読み方です。週の始まりを日曜とするか月曜とするか、プロパティの時間帯で区切るかで、集計の範囲が変わります。AIには、使った期間の開始日と終了日を、日付で書かせるようにします。定例の資料と同じ区切りになっているかを、数字より先に確かめるのが早道です。
シナリオ2:ファネルの落ち込みを聞く
次の場面は、資料請求や問い合わせまでの段階のどこで離脱が多いかを聞く使い方です。ファネルのレポートの道具を使えば、段階ごとの通過の数と、次の段階に進まなかった数を返させられます。「サービスのページを見た、料金のページを見た、フォームを開いた、送信した」のように、段階を言葉で並べて渡すのが基本です。
注意したいのは、段階の定義をAIが組み立てる点です。「料金のページを見た」を、ページの住所の一部が一致したものとするか、完全に一致したものとするかで、数字は変わります。段階を直前の段階の直後に限るか、間に別の操作が挟まってもよいかでも変わります。AIに段階の条件を判断させず、条件を書かせて人が確かめるようにします。
取れるのは、指定した期間の段階ごとの人数と離脱の数、そして項目で分けた内訳です。たとえば、端末の種類ごとに分ければ、スマートフォンだけ落ち込みが大きい、といった傾向は読み取れます。一方で、なぜ落ちたのかという理由は、数字からは出てきません。フォームの項目が多いのか、料金の表示が分かりにくいのかは、人が画面を見て考えることです。
ファネルの問いは、AIにとって答えやすい一方で、もっともらしい理由まで添えてくる問いでもあります。「料金のページで離脱が多いのは、価格が高いと感じられているためと考えられます」のような説明が返ってきたら、それは数字ではなく推測です。報告に載せるのは段階ごとの数字までにとどめ、理由の仮説は人が別に立てて、画面や聞き取りで確かめます。
シナリオ3:広告の成果と突き合わせる
3つ目は、広告の成果をGA4の数字と突き合わせる場面です。ここは期待と中身の差が大きいところです。7つの道具のうち広告に関係するのは、グーグル広告とのリンクの一覧を返す道具だけで、広告の管理画面にある費用、入札、検索語句などを直接読む道具はありません。広告の管理画面の数字そのものは、この仕組みでは取れないと考えてください。
取れるのは、GA4の側に記録されている数字です。広告から来た人のセッション数、キャンペーンごとのキーイベントの数、流入元と媒体の組み合わせごとの集計などは、標準のレポートで返せます。リンクの一覧の道具を使えば、そのプロパティがどの広告アカウントとつながっているかを確かめられるため、突き合わせの前提をそろえるのには役立ちます。
費用対効果を出したい場合は、費用の数字を広告の管理画面から別に書き出し、GA4から取ったキーイベントの数と人が並べることになります。このとき、広告の側とGA4の側では、成果の数え方も、成果を付ける日付も違うことに気をつけます。同じキャンペーンの成果の数が一致しないのは珍しいことではなく、どちらの数を報告に使うかは社内で決めておくべき事柄です。
この場面でAIに任せてよいのは、GA4の側の集計を取り出し、キャンペーンの名前ごとに並べるところまでです。広告の側の数字を推測で補わせたり、両方の数字の差を「計測の誤り」と決めつけさせたりしないようにします。差がある理由は、数え方の違いか、設定の問題か、本当の計測漏れかで対応が違うため、人が切り分けます。
シナリオ4:配信直後の反応をリアルタイムで見る
4つ目は、メールの配信やお知らせの公開の直後に、どれくらいの人が来ているかを見る場面です。リアルタイムのレポートの道具を使うと、直近の短い時間の利用状況を返させられます。データ用のAPIの説明によると、対象になるのは今から30分前までの範囲で、有料版のアナリティクス360では60分前までです。
リアルタイムで使える項目と指標は、通常のレポートより限られています。公式の説明は、使えるのは一部だけで、詳しくは専用の一覧を見るよう案内しています。分の範囲も、1回の問い合わせで2つまでです。「配信から2時間のページ別の閲覧数を、リアルタイムで出して」と頼んでも、30分より前の分はこの道具では取れません。
この性質から、リアルタイムの道具は、配信の直後に反応があるかどうかを確かめる用途に向いています。たとえば、「直近30分で、今回の案内のページを見ている人はいるか、どの国や地域からか」といった確認です。配信の成果の評価には向きません。成果を見るなら、翌日以降に標準のレポートで、期間を決めて集計し直します。
よくある誤りは、リアルタイムの数字をそのまま日次の数字として報告に書くことです。直近30分の人数は、日次の集計の一部にすぎず、集計の仕方も通常のレポートとは違います。リアルタイムの数字は速報として扱い、確定の数字は標準のレポートと画面で確かめてから載せる、と社内で決めておくと混乱しません。
画面の数字と合わない3つの場面
この仕組みで取った数字が、GA4の画面の数字と合わないことがあります。原因の多くは、仕組みの誤りではなく、データ用のAPIが返す数字の性質にあります。APIの応答には、報告の作られ方を示す付帯情報が付いており、公式の説明から、ずれにつながる代表的な印を3つ挙げられます。数字が合わないときは、先に付帯情報の印を確かめるのが順番です。
1つ目は、しきい値です。付帯情報に、報告がしきい値の対象になったことを示す印があり、公式の説明は、この印が付くと最小の集計の条件を満たすデータだけが返り、条件に満たないデータは欠けることがあるとしています。性別や年齢のような属性を組み合わせた集計や、人数の少ない区分で起きやすく、画面では見えていた行が、APIの応答では消えていることがあります。しきい値の仕組み自体は別の記事で詳しく扱っています。
2つ目は、「その他」にまとめられた行です。組み合わせの種類が非常に多い報告では、一部の組み合わせが「その他」の行にまとめられ、付帯情報にその印が付きます。ページの住所と流入元を掛け合わせたような細かい集計で起きやすく、上位の行の合計が全体と合わなくなります。サンプリングされた場合も、使ったイベントの割合が付帯情報に入ります。
3つ目は、時間帯と通貨です。付帯情報には、プロパティの今の時間帯と、報告に使った通貨も入ります。プロパティの時間帯が日本の時間でない場合、日付の区切りが画面の想定とずれることがあります。道具の応答にこれらの付帯情報がどこまで含まれ、AIに渡されるかは版によって違う可能性があるため、AIに「しきい値やその他の行の印が付いていたか」を書かせ、書けない場合は画面で確かめます。
APIの割り当て量:聞きすぎると止まる
データ用のAPIには、1つのプロパティあたりの使える量が決まっています。公式の説明では、量はトークンという単位で数えられ、通常のプロパティでは1日20万トークン、1時間4万トークンです。同じプロジェクトから同じプロパティへの問い合わせは、1時間1万4千トークンまで、同時に投げられる問い合わせは10件までとされています。有料版の360では、それぞれおおむね10倍の量が割り当てられています。
AIアシスタントは、1つの質問に答えるために、道具を何度も呼び出すことがあります。条件を変えて集計をやり直したり、期間を分けて取り直したりするためです。人が画面を操作するより問い合わせの回数が増えやすく、長い期間を細かい項目で集計させると、1回で使う量も大きくなります。複数の担当者が同じプロパティで同時に使えば、量はさらに早く減ります。
割り当ての量は、同じプロパティを読んでいるほかの仕組みと分け合う点にも注意が要ります。社内のダッシュボードや、ほかの集計の道具が同じプロパティのデータ用のAPIを使っていれば、AIの問い合わせでその分が減ります。1時間の量を使い切ると、AIの側だけでなく、ほかの仕組みの集計まで止まることがあります。
対策は、使い方の側で決めます。長い期間は月単位にまとめて聞く、項目を必要なものに絞る、同じ質問を繰り返さない。定例の数字は、毎回AIに聞き直すより、決まった形で1回取り出して保存し、比較はその保存したものに対して行わせるほうが、量の面でも数字のぶれの面でも安定します。エラーが続いたら、割り当ての量を疑います。
取れる数字・取れない数字の早見表
ここまでの4つの場面を、取れる数字と取れない数字に分けて並べます。社内で使い始める前に、この表を配っておくと、「なぜ答えてくれないのか」という問い合わせを減らせます。取れない数字を無理に聞くと、AIがもっともらしい推測で埋めるおそれがある点も、合わせて伝えておきます。
| 場面 | 取れる数字 | 取れない数字・注意 |
|---|---|---|
| 週次の数字 | 期間ごとのユーザー数・セッション数・キーイベント、流入元別、カスタムの指標 | 画面の探索で組んだレポートそのもの、注釈 |
| ファネル | 段階ごとの通過と離脱、端末などの内訳 | 離脱の理由。段階の条件はAIが組むので書かせて確かめる |
| 広告との突き合わせ | GA4に記録された広告経由のセッションとキーイベント、広告とのリンクの有無 | 広告の管理画面の費用・入札・検索語句 |
| リアルタイム | 直近30分(360は60分)の利用状況の一部の項目 | 30分より前の分、日次の確定の数字 |
| 設定 | プロパティの詳細、カスタムの項目と指標の一覧 | 設定の変更は一切できない |
表の右の列にある項目が必要な場合は、この仕組みとは別の手段を使います。探索の分析は画面で行い、広告の費用は広告の管理画面から書き出します。長い期間の生のデータが要るなら、ビッグクエリへの書き出しという別の仕組みがあり、これは別の記事で扱っています。1つの接続ですべてを済ませようとしないことが、使い始めの混乱を防ぎます。
表は、公開されている道具の一覧をもとにしています。実験版であるため、道具が増えたり、名前が変わったりする可能性があります。社内に配る表には、確かめた日付を入れ、半年に一度など決まった頻度で公開の場所の説明と照らし合わせて更新します。
実験版を業務で使う条件
実験版を業務で使うかどうかは、禁止か全面解禁かの二択にしないほうが扱いやすくなります。現実的なのは、止まっても業務が回る用途に限って使うという線です。定例の数字の一次の取り出しや、仮説を立てる前の当たり付けは、止まっても画面で代わりができます。一方で、毎朝自動で数字を取り出して社外に送るような、止まると困る使い方には向きません。
社内で決めておきたい条件は、次の4つです。使う人と動かすパソコン、読ませるプロパティと付ける権限、報告に載せる前の確かめ方、止まったときの代わりの手段です。この4つを1枚にまとめ、情報システムの担当者の確認を受けてから使い始めます。接続の審査で見る項目の一般論は別の記事にありますが、GA4の場合は特に、読ませるプロパティの範囲が中心の論点になります。
- 管理者の権限を持つ人の個人のアカウントでつなぎ、全部のプロパティが読める状態にする
- 代理店が複数の顧客のプロパティを1つのアカウントで読ませ、会話の中に別の顧客の数字が混ざる
- リアルタイムの人数を、そのまま日次の成果として報告に書く
- 広告の費用をAIに推測で補わせ、費用対効果を出したことにする
- 担当者のパソコンだけで動かし、異動や入れ替えで接続が止まっても誰も気づかない
もう一つ、会話の記録の扱いも決めておきます。AIアシスタントに読ませたGA4の数字は、会話の記録として、そのAIアシスタントの側に残ることがあります。どのAIアシスタントを使ってよいか、会話の記録をどう扱うかは、GA4の接続とは別に、社内のAIの利用の決まりに従います。GA4の数字を、許可されていないAIに読ませないという一文を、使い方の決まりに入れておくと明確です。
AIに任せる範囲と、人が決める範囲
この仕組みでAIに任せてよいのは、数字の取り出しと、一次の読み取りまでです。期間や項目を指定した集計を取り出す、前の週との差を並べる、落ち込みの大きい段階を挙げる。ここまでは、AIが画面を操作する手間を肩代わりしてくれる範囲です。担当者は、画面を行き来する時間を、数字の意味を考える時間に回せます。
任せるときは、答えと一緒に根拠を書かせます。どの道具を呼び出したか、期間の開始日と終了日、使った項目と指標、絞り込みの条件、しきい値などの印の有無。この5つが書かれていれば、人が同じ条件で画面を開き、数字を確かめられます。根拠が書けない数字は、報告に使わないと決めておくと迷いません。
一方で、数字をどう解釈するか、次に何をするかは人が決めます。AIに判断させないのは、原因の説明、施策の良し悪しの評価、予算の配分の三つです。ファネルの場面で見たように、AIは推測の理由を添えがちです。推測は仮説としては使えても、決定の根拠にはなりません。どこまでをAIの答えで済ませ、どこから人が確認するかの範囲を、使い始める前に決めておきます。
報告に載せる数字は、画面で確かめてから載せます。すべての数字を確かめる必要はなく、結論を左右する数字を2つか3つ選んで、画面と一致するかを見れば十分です。一致しなければ、しきい値やその他の行、期間の区切りのどれかを疑います。AIに取り出させ、人が確かめ、人が解釈する、という分担を崩さないことが、この仕組みを長く使うための条件です。
よくある質問
GA4のMCPサーバーは無料で使えますか
仕組み自体はオープンソースの許諾で公開されており、無償で使えます。ただし、データ用のAPIには1つのプロパティあたりの割り当ての量があり、つなぐAIアシスタントの利用料は別にかかります。仕組みが無償でも、使う側の費用と量の制約はあると考えてください。
AIからGA4の設定を変えられますか
変えられません。開発者向けの案内ページは、読み取りの依頼だけに対応し、構成や設定は編集できないと明記しています。設定の変更は、これまでどおり画面で、権限を持つ人が行います。
GA4の画面の中のAIアシスタントとは何が違いますか
画面の中のAIは、GA4の中で完結して質問に答える機能です。この仕組みは、GA4の外にあるAIアシスタントからデータを読みに行く接続口で、ほかの資料と並べて考えさせられる一方、準備と権限の管理が自社の側に生じます。
パソコンに詳しくない担当者でも使えますか
準備には、クラウドのプロジェクトでAPIを有効にする操作や、パイソンの環境を整える作業が含まれます。担当者が一人で進めるのは難しい場合が多いため、準備は情報システムの担当者と組んで行い、使うのは準備の済んだ環境から、という分け方が現実的です。
取った数字が画面と違うときは、どちらを信じればよいですか
報告に載せるのは画面で確かめた数字です。違いが出たら、しきい値の印、その他の行へのまとめ、期間の区切り、時間帯の4点を確かめます。多くの場合は条件の違いで説明でき、AIに使った条件を書かせれば、どこで違ったかを突き止められます。
まとめ
GA4のMCPサーバーは、グーグルがギットハブで公開している、外のAIアシスタントからGA4のデータを読むための公式の接続口です。実験版で、手元のパソコンで動かし、アカウント概要、プロパティの詳細、広告とのリンク、標準のレポート、ファネル、カスタムの項目と指標、リアルタイムの7つの道具を持ち、どれも読むだけです。週次の数字やファネルの通過、GA4の側の広告経由の成果、直近30分の反応は取れますが、広告の管理画面の費用や、画面の探索そのものは取れません。しきい値やその他の行、時間帯の違いで画面とずれることもあります。読ませるプロパティと権限を絞り、AIには根拠を書かせ、報告に載せる数字は画面で確かめ、解釈は人が決める。まずは自社サイトのプロパティの閲覧の権限だけを付けたアカウントでつなぎ、先週の定例の数字が画面と一致するかを確かめるところから始めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
データ分析にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
