生成AIの指示文に作家の名前は入れない|画風をまねる前の線引き

「作風や画風には著作権がないと聞いたので、指示文に好きなイラストレーターの名前を入れて資料の挿絵を作っている」「〇〇風と書くのがいちばん狙いどおりの絵になるので、部署の中でその書き方が広まっている」。画像生成AIを業務で使い始めた現場で、こうした声を聞くことが増えました。作風そのものは守られない、という理解は、半分は正しいものです。けれども、そこから「だから作家名を入れても問題ない」へ進むと、一段飛ばしになります。問題は作風が守られるかどうかではありません。本当は、作家名を入れた指示文は、その作家の作品に寄せようとした記録として残り、出力もその作品の表現に近づきやすくなることが問題です。この記事では、指示文に作家名を入れない理由を原因から確かめ、画風を要素に分けて書く社内ルールと公開前の確認の仕方を整理します。
カメ先生作風や画風は、著作権の世界ではアイデアの側に置かれていて、それだけでは守られないんだ。文化庁がまとめた考え方にも、はっきりそう書いてある。
カメ子それなら、指示文に作家の名前を入れても、困ることはないんじゃないですか。
カメ先生そこが落とし穴でね。名前を入れた指示文は、その作家の作品を知っていて寄せようとした材料として読まれうるし、出てくる絵も作品そのものに近づきやすい。指示文から固有名詞を拾う作業はAIに手伝わせてもいいけれど、公開してよいかどうかは人が決めるんだよ。
カメ子守られない作風の話と、名前を入れる行為の話は、分けて考えないといけないんですね。
- 作風や画風はアイデアとして保護されないが、作家名を入れた指示文は依拠の材料として残りうる
- 著作権の外にも、提供元の規約、作家や愛好者からの批判、広告での誤認という別の問題がある
- 画風は線・色数・質感・構図などの要素で書き、指示文と生成物をセットで残して公開前に人が確かめる
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
「作風は守られないから大丈夫」はどこまで正しいか
著作権法が守るのは、考えや手法そのものではなく、具体的に表された表現です。文化審議会の著作権分科会の小委員会が2024年3月15日にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(以下、文化庁の考え方)も、この原則を確認し、著作権法は創作的な表現を保護し、思想、学説、作風等のアイデアは保護しないと整理しています。いわゆる表現とアイデアを分ける考え方です。
この原則に従えば、作風が似ていること自体は著作権の侵害になりません。ここまでは、冒頭の声のとおりです。ただ、そこから「作家名を入れても問題ない」と結論づけるまでには、少なくとも3つの飛躍があります。1つ目は、作風と表現の境目が作品ごとに引き直されること。2つ目は、作家名が作風だけでなく、その作家の具体的な作品を引き出す鍵として働きうること。3つ目は、著作権の外で起きる問題が残ることです。
この記事は、生成AIと著作権の総論、つまり似ているかどうかの判断や、学習の段階の扱いを広く解説するものではありません。その総論は当メディアの別の記事で扱っています。ここでは、指示文に実在の作家名を入れるという、1つの行為に絞って、何が起き、社内でどう線を引くかを見ていきます。
文化庁の考え方は、作風をどう書いているか
文化庁の考え方には、作風や画風に触れた記述がいくつかあります。最もはっきりしているのは、学習に使われた作品の権利者の利益を不当に害する場合の説明の中の一文で、「作風や画風といったアイデア等が類似するにとどまり、既存の著作物との類似性が認められない生成物は、これを生成・利用したとしても、既存の著作物との関係で著作権侵害とはならない」と書かれています。作風が似ているだけなら侵害ではない、という整理です。
ただし、同じ文書は続けて、アイデアと創作的な表現の区別は「具体的事案に応じてケースバイケースで判断される」と書いています。そのうえで、特定のクリエイターの少量の作品群は、作風を共通して持つだけでなく、創作的な表現が共通する作品群になっている場合もあるとし、生成物にその作品群の創作的な表現が直接感じ取れる場合には、生成と利用が著作権侵害に当たりうるとしています。
この文書は、公表時点での小委員会の考え方を示したもので、法的な拘束力はないと冒頭で断っています。個別の生成物が侵害に当たるかは、最終的には事案ごとに判断されます。社内ルールを作るときは、この文書を「ここまでは安全」という線引きの表としてではなく、作風が似ているだけ、と言える範囲は思っているより狭いという注意書きとして読むほうが実態に合います。
作風と表現の境目は、作品ごとに引き直される
画風を言葉にすると、「目が大きい」「線が細い」「淡い色を使う」といった特徴になります。こうした特徴を1つずつ取り出せば、多くはアイデアの側に入ります。ところが実際の作品では、顔の輪郭の取り方、髪の束の描き方、服のしわの入れ方、背景の省き方が組み合わさって、その作家ならではの具体的な表現になっています。どこまでが作風で、どこからが表現かは、その組み合わせの中で決まります。
作家名で指示する使い方の問題は、この境目を利用者が操れないことです。「線は細く、色数は4色、背景は白で省く」と要素で書けば、利用者は自分が求めた特徴の範囲で止まれます。作家名を書くと、作風の部分と表現の部分をまとめてAIに渡すことになり、出力のどこまでが作風の共通にとどまるかを、利用者の側では調整できません。
もう一つの難しさは、公開前に「作風が似ているだけだ」と判断するには、その作家の作品をよく知っている必要があることです。作家名を入れて絵を作った担当者が、その作家の代表作の構図や人物を知らなければ、出力が特定の作品に寄っていても気づけません。知っている担当者であれば、今度は次の節で見る依拠の問題が重くなります。
作家名は「依拠」の材料として残る
著作権の侵害が成り立つには、既存の作品と似ていること(類似性)に加えて、既存の作品をもとにしたこと(依拠性)が必要です。文化庁の考え方は、生成AIを使った場合の依拠性について、利用者が既存の作品を知っていた場合の例として、既存の作品そのものを入力する場合と、「既存の著作物の題号などの特定の固有名詞を入力する場合」を挙げています。
作家名は作品の題名そのものではありません。しかし、特定の作家の作品群を指し示す固有名詞であることに変わりはなく、指示文にその名前があれば、利用者がその作家の作品を知っていて、寄せようとしたことを示す材料として読まれうると考えられます。仮に出力が特定の作品と似てしまったとき、指示文に作家名があることは、「たまたま似た」という説明を難しくします。
文化庁の考え方は、利用者が既存の作品を知らなかった場合でも、その作品がAIの学習に使われていれば、通常は依拠があったと推認されうるとしています。つまり、名前を入れなくても似れば問題になりうるうえに、名前を入れればさらに説明しにくくなる、という関係です。後の節で指示文を記録として残すことを勧めますが、作家名入りの指示文を残せば、その記録自体が不利な材料になるという矛盾が起きます。だからこれは記録の仕方の問題ではなく、最初から書かない問題なのです。
名前を入れると、出力はその作家の作品に近づいていく
「〇〇風」と書くと狙いどおりの絵が出やすいのは、画像生成AIが学習の過程で、作家の名前と、その作家の作品に見られる特徴の結びつきを覚えているためと考えられます。名前は、線や色の傾向だけでなく、その作家がよく描く題材、人物の造形、構図の癖までをまとめて呼び出す鍵のように働きます。狙いどおりに感じるのは、それだけ作品に近いものが出ているからでもあります。
文化庁の考え方は、特定のクリエイターの少量の作品だけで追加の学習をさせ、その作家の作風を容易にまねられるようにする行為についても、懸念が示されていると記しています。こうした追加の学習をさせた配布物は、作家名の指示よりもさらに作品に寄った出力を出すことを目的に作られています。社内ルールでは、作家名を指示文に入れないことと並べて、特定の作家に寄せるために作られた追加の学習の配布物を業務で使わないことも決めておくと、抜け道が残りません。
作家名を外した指示に慣れていない部署では、「名前を外すと思った絵が出ない」という反発が出ます。これは、作家名がそれだけ多くのことを代わりに指定していた証拠でもあります。外したあとに欲しい特徴を要素で書き足していけば、ほとんどの用途では業務に足りる絵になります。書き足し方は後の節で表にまとめます。
提供元の側も、作家名の指示を止め始めている
文化庁の考え方は、生成AIの開発や提供を行う事業者が取り入れている技術的な措置の例として、現存するアーティストの氏名などを指定した指示や、既存の作品と創作的な表現が共通した生成物を作らせようとする指示を拒否する技術を挙げています。作家名の指示は、提供元の側でも止めるべき使い方として扱われ始めているということです。
具体的な例では、対話型AIの大手であるオープンAIが、2025年3月末に画像生成の機能を刷新した際、存命の作家の画風での生成を求める指示には応じない方針を説明したと報じられています。一方で、スタジオ全体に共通するような広い作風は対象外としています。提供元ごとに線の引き方は違い、同じ提供元でも方針は改められます。ツールが指示を受け付けたことは、使ってよいことの保証にはならない点に注意が必要です。
利用規約の面でも、多くの提供元は、他人の権利を侵害する使い方を禁止事項として挙げています。また、提供元が用意する著作権の補償は、似せる指示をした場合などに対象から外れうるため、作家名入りの指示で作った画像では補償を当てにできないことがあります。補償が外れる条件の詳細は、当メディアの別の記事で整理しています。
著作権の外で起きること1 作家や愛好者からの批判
作家名の指示には、法律の判断とは別の問題もあります。文化庁の考え方自体が、生成AIを使う側の懸念として、法的には侵害にならない場合まで侵害だと非難される炎上の危険を挙げています。作家名を入れて作った絵であることが知られれば、法的に問題がないと説明できる場合でも、会社の姿勢そのものが問われます。
作家名入りで作ったことが外に知られる経路は、思ったより多くあります。担当者が作り方を社外の勉強会や交流サイトで紹介する、制作を委託した先が指示文を公開する、絵柄が似ていることに作家本人や愛好者が気づき、作り方を推測される、といった具合です。法人向けの企業であっても、取引先や採用の候補者はその会社の発信を見ています。
批判を受けたときに、「作家の名前を入れて作りました」という事実は擁護しにくいものです。作風はアイデアだから守られない、という説明は法的には筋が通っていても、作家の仕事の機会を奪う懸念を抱く人たちには届きにくいでしょう。文化庁の考え方も、作風が似た生成物が大量に作られることで、クリエイターの仕事が奪われるという懸念の声を紹介しています。説明できる作り方をしておくことが、いちばんの備えになります。
著作権の外で起きること2 広告での誤認と作家の利益
広告や販促の素材に、特定の作家の画風に寄せた絵を使うと、見た人がその作家が描いた、あるいは作家がその会社を応援していると受け取るおそれがあります。作家の絵柄は、その作家の評判や人気と結びついています。本人が関わっていない広告にその絵柄だけが使われれば、作家の評判を借りて注目を集めたように見えることになります。
文化庁の考え方は、作風が似ているだけで著作権の侵害に当たらない場合でも、故意や過失によって第三者の営業上の利益や人格的な利益を侵害するときは、不法行為や人格権の侵害の責任を負う場合がありうるとしています。広告で作家の評判を借りたと受け取られる使い方は、この議論に近づく場面です。どこから責任が生じるかは事案によりますが、少なくとも広告の素材では避けたほうがよい使い方です。
さらに踏み込んで、広告の文面に「人気作家〇〇風のイラスト」とうたう例も見られます。作家の名前を指示文に入れるだけでなく、宣伝の文句として使えば、作家との関係を誤解させる度合いは一段と強くなります。作家名は指示文にも、広告の文面にも出さない。この2つを同じ決まりの表と裏として扱っておきます。
画風は、名前ではなく要素に分けて書く
作家名を外したあとに狙いの絵を出すには、その作家名が代わりに指定していた特徴を、要素に分けて書き出します。書き出す要素は、線、色、質感、形、構図、光の6つが基本です。1つずつ言葉にしていくと、自社が本当に欲しかった絵の条件が見えてきます。
| 要素 | 書き方の例 | 決めるときのこつ |
|---|---|---|
| 線 | 輪郭は細い一定の太さ、内側の線は描かない | 輪郭線の有無と、太さが一定か強弱があるかをまず決める |
| 色 | 色数は4色まで、低い彩度、主色は紺と薄い黄 | 色数の上限を数で書くと、ばらつきが減る |
| 質感 | 紙に描いた水彩のにじみ、平らな塗り | 技法の一般的な呼び名(水彩、切り絵、鉛筆の素描)は使ってよい |
| 形 | 頭身は低め、目は点、手は単純な形 | 人物の比率と、どこまで省くかを先に決める |
| 構図 | 正面からの視点、人物は左寄せ、右に余白 | 文字を載せる場所を空けるなら、余白の位置を書く |
| 光 | 柔らかい光、影は薄く一方向 | 影の濃さを書かないと、出力ごとに雰囲気が変わる |
要素で書く利点は、権利の面だけではありません。作家名で指示した絵は、提供元の方針の変更や、AIの版の更新で急に出なくなることがありますが、要素の組み合わせは、自社の絵柄の仕様として残しておけば、いつでも同じ方向の絵を出し直せます。資料や記事の挿絵に統一感を持たせたい部署ほど、要素の組み合わせを1枚にまとめて共有しておく価値があります。
技法の一般的な呼び名は、特定の人を指す固有名詞ではないので、使ってかまいません。ただし、ある作家や集団と強く結びついた技法の呼び名や、その作家の代表作の題名を含む言い回しは、名前を入れるのと同じ働きをします。迷ったときは、その語で検索して、特定の作家や作品ばかりが出てくるかどうかを確かめます。
名前を消しても残る固有名詞
作家名だけを消しても、同じ働きをする語が指示文に残ることがあります。作品の題名、キャラクターの名前、アニメや漫画の制作会社の名前、「〇〇の作品の△△の場面のように」という言い回しは、いずれも特定の作品群を呼び出します。「あの有名な映画の、あの場面のような」と遠回しに書いても、AIが特定の作品を思い浮かべて出力するなら、効き目は作家名と変わりません。
見落としやすいのは、参照画像です。多くの画像生成AIは、文章の指示と一緒に画像を入力できます。文化庁の考え方は、依拠が認められる例として、既存の作品そのものを入力する場合を挙げています。作家の作品の画像を「この雰囲気で」と添えて入力するのは、作家名を書くよりも直接的です。参照画像には、自社で撮った写真や、自社に権利のある素材だけを使うと決めておきます。
すでに亡くなった作家の名前はどうか、という質問もよく出ます。著作権の保護期間は原則として作者の死後70年で、それを過ぎた作品は著作権の面では自由に使えます。それでも、作家の名前で絵柄を借りた広告は、評判を借りたと受け取られる点では同じです。社内ルールは「保護期間の切れた作家は可」と分けるより、実在の作家の名前は一律に入れないとしたほうが、現場で迷わずに済みます。
- 作家名を「〇〇のような雰囲気」に言い換える:名前が残っていれば、効き目も記録の意味も変わらない
- 作品の題名やキャラクターの名前で代用する:特定の作品群を直接呼び出すので、作家名より寄りやすい
- 作家の作品の画像を参照に添える:既存の作品そのものの入力にあたり、最も説明がつかない
社内ルールに落とす4つの決めごと
ここまでの原因を踏まえると、社内ルールで決めることは4つに絞れます。長い規程を書く必要はありません。画像生成AIを使う全員が、作業の手を止めずに守れる形にすることが大切です。
実在の作家・イラストレーター・写真家の名前、作品の題名、キャラクターの名前、制作会社の名前を指示文に入れない。作家の作品の画像を参照に使わない。
線・色・質感・形・構図・光の6要素の書式を配り、部署ごとによく使う組み合わせを登録しておく。
採用した画像ごとに、指示文の全文と参照画像、使ったツール、作った日、人が手を入れた箇所を残す。
社外に出す画像は、作った人以外が特定の作家や作品に似ていないかを見る。広告など露出の大きいものは法務や知財の担当に回す。
例外の扱いも決めておきます。ある作家の絵柄がどうしても必要なら、その作家本人に制作を依頼するか、作家と契約して許諾を得るのが筋です。作家の絵柄が欲しいときの正しい入口は、指示文ではなく依頼と契約だと、ルールの冒頭に書いておくと趣旨が伝わります。
ルールの持ち主も決めます。広報やブランドの担当が持つのか、法務が持つのかで、改定の速さが変わります。画像生成AIの提供元の方針は変わりやすいので、年に一度は見直す日を決め、そのときに提供元の規約の変更点も確かめます。
指示文と生成物をセットで残す
指示文と生成物を一緒に残しておくのは、あとから作り方を説明できるようにするためです。作家や愛好者から「〇〇さんの絵に似ている」と指摘されたとき、指示文に作家名がなく、要素だけで書いたことを示せれば、少なくとも意図して寄せたのではないことを説明する材料になります。記録がなければ、説明は担当者の記憶に頼るしかありません。
残す項目は、指示文の全文、参照に使った画像、使ったツールの名前と版、作った日と担当者、候補として出た画像と採用した画像、人が手を入れた箇所、公開した場所と日付です。採用しなかった候補も残すと、どの出力を避けたかが分かり、似すぎを確かめて外したことの証拠にもなります。
置き場は、案件ごとのフォルダに「指示文」と「生成物」を並べるだけで十分です。専用の管理の仕組みを入れる前に、まずは保存の形をそろえることから始めます。
ファイルの名前も決めておくと、あとで探す手間が減ります。たとえば案件の番号と作った日を先頭に付け、同じ番号の指示文と画像が並ぶようにします。公開した画像に差し替えや取り下げがあったときも、同じ番号で記録をたどれば、どの指示文から作ったかがすぐに分かります。
- 指示文は画面の写しではなく、文字のまま保存する。あとで固有名詞を検索できるようにするため
- ツールによっては作った履歴が一定期間で消える。公開する画像は手元に書き出しておく
- 保存の期間は、少なくともその画像を公開している間とする。公開を終えたあとの扱いは法務と決める
公開前の似すぎ確認は、作った人以外が見る
公開前の確認は、作った本人ではなく、別の人が行います。作った本人は、狙った絵が出たことに満足していて、似すぎに気づきにくいからです。確認する人は、その分野の絵柄に詳しい人が向いています。社内にいなければ、制作を依頼しているデザイナーに見てもらう方法もあります。
確かめ方は3つあります。1つ目は、画像での逆引き検索で、似た絵が出てこないかを見ること。2つ目は、出力を見て思い浮かぶ作家の作品と並べ、人物の造形や構図が重なっていないかを見ること。3つ目は、「特定の作家の作品に似ていると言われたら、作り方を説明できるか」を自問することです。3つ目に自信を持って答えられない画像は、使わない判断に傾けます。
似ていると感じたときの選択肢は、使わない、人が描き直す、要素を変えて作り直す、の3つです。広告、商品の包装、展示会の大きな看板のように露出の大きいものは、判断を法務や知財の担当に回します。似ているかどうかの最終判断を、AIに任せないことも決めておきます。AIが「似ていません」と答えても、それは判断の根拠になりません。
AIに任せるのは、固有名詞の検出と言い換え案まで
指示文の点検は、生成AIが役に立つ作業です。部署で使われている指示文を集めて渡し、実在の人名、作品名、キャラクター名、制作会社名が含まれていないかを拾い出させます。あわせて、見つかった固有名詞を要素の書き方に言い換える案を出させると、書き直しの手間が減ります。
次の画像生成の指示文を点検してください。
1. 実在の作家・イラストレーター・写真家の名前、作品の題名、キャラクターの名前、制作会社の名前が含まれていれば、すべて抜き出してください。
2. それぞれ、固有名詞だと判断した理由を一文で書いてください。判断に迷うものは「要確認」としてください。
3. 抜き出した語を使わずに、線・色・質感・形・構図・光の6要素で書き直した案を1つ出してください。
出力は、抜き出した語/理由/判断(固有名詞・要確認)/書き直し案 の表にしてください。
点検の結果には、見落としも誤りも混ざります。AIが知らない作家の名前は拾えませんし、一般の言葉を固有名詞と取り違えることもあります。だから理由を書かせ、要確認の語は人が検索して確かめます。書き直し案も、そのまま使うのではなく、欲しい絵に合っているかを担当者が見て直します。
人が確認する範囲も、先に決めておきます。社外に出す画像の指示文は全件を人が見る、社内の資料に使う画像は月に一度、抜き取りで見る、という具合です。AIの役割は拾い出しと言い換えの下書きまでで、その画像を公開してよいかは人が決めるという線を、ルールの中に書いておきます。
よくある質問
作家名を入れずに「〇〇さんのような雰囲気で」と書くのはどうですか?
名前が指示文に残っている以上、作家名を入れるのと同じです。出力が作家の作品に寄る点も、記録として残る点も変わりません。欲しい雰囲気を、線や色数や質感の要素に分けて書き直してください。
社内の資料にしか使わないなら、作家名を入れてもよいですか?
社内での利用であっても、業務での複製は著作権の問題から外れるわけではないと考えておくほうが安全です。社内の資料は、提案書や説明会の資料として社外に出ていくことも多く、あとから作り直すのは手間がかかります。使い道で分けず、最初から作家名を入れないほうが運用は簡単です。
ツールが作家名の指示を受け付けたなら、問題はないのでは?
ツールの側の制限は、提供元がそれぞれの方針で決めているもので、法的な判断や、批判を受けないことを保証するものではありません。制限のかけ方はツールによって違い、方針が変わることもあります。受け付けたかどうかではなく、社内のルールで判断します。
特定の作家の絵柄をどうしても使いたいときは?
その作家に制作を依頼するか、許諾を得る契約を結びます。契約の条件は相手ごとに違うので、依頼の段階で、使う媒体と期間、生成AIを使うかどうかも含めて取り決めます。
まとめ
作風や画風はアイデアとして著作権では保護されず、似ているだけなら侵害にはならない、というのが文化庁の考え方の整理です。けれども、作風と表現の境目は作品ごとに引き直され、特定の作家の作品の創作的な表現が出力に現れれば侵害に当たりえます。作家名を入れた指示文は、その作家の作品に寄せようとした材料として残り、出力も作品に近づきやすくなります。提供元も作家名の指示を止め始めており、補償が外れることもあります。著作権の外でも、作家や愛好者からの批判、広告での誤認という問題が残ります。社内では、実在の作家名・作品名・キャラクター名を指示文に入れない、画風は線・色・質感・形・構図・光の要素で書く、指示文と生成物をセットで残す、公開前に作った人以外が似すぎを確かめる、の4つを決めます。AIには固有名詞の拾い出しと言い換え案までを任せ、理由を書かせて人が確かめ、公開してよいかは人が決めます。まずは部署で使われている指示文を集め、作家名が入っているものがいくつあるかを数えるところから始めてみてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
