各部署のAIバナー制作を任せる方法|制作窓口に戻す所を決める

「営業が勝手にAIで作ったバナーを、展示会の案内に使っていた」「人事の採用告知の画像が、会社の色とまるで違う」。制作やブランドを預かる担当から、こうした声を聞く機会が増えました。多くの場合、最初に出てくる対策は「部署で作るのを禁止する」か「気にせず任せる」のどちらかです。けれども、この問題は禁止か放任かの二択ではありません。本当は、各部署に任せてよい物と、制作窓口に戻す物の境目を先に決めておくことが要点です。この記事では、任せる範囲と戻す範囲の分け方と、任せた後も崩れないための仕組みを、運用に落とす順番で整理します。
カメ先生画像を作る道具が手軽になって、制作の担当を通さずにバナーを作れる人が一気に増えたんだ。これを全部止めようとすると、隠れて作る人が増えるだけになりやすい。
カメ子じゃあ、部署で作った画像は全部そのまま出していいんですか。
カメ先生そうじゃない。社内向けの案内のように任せてよい物もあれば、広告や数字をうたう画像のように必ず制作の窓口に戻す物もある。その線を先に引いて、AIには色やロゴの当てはめの一次点検まで手伝わせる。出してよいかを決めるのは人だよ。
カメ子作ってよい物の線と、戻す物の線を先に決めておくわけですね。
- 一律の禁止は隠れた制作を増やすだけ。任せる・条件付き・戻すの3つに分ける
- 広告出稿、ロゴや製品写真の加工、人物の生成画像、数字や効果をうたう表現は制作窓口に戻す
- 承認済みテンプレート、使ってよい道具、公開前の軽い確認、置き場の管理で任せた後も崩さない
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各部署が自分でバナーを作り始めている
以前は、バナー1枚を作るにも制作の担当か外部の制作会社に頼むのが普通でした。画像編集の道具を使いこなせる人が限られていたからです。いまは、デザインツールに生成AIの機能が組み込まれ、文章で指示すれば背景や挿絵ができ、テンプレートを選べば文字を差し替えるだけで形になります。営業、人事、事業部の担当者が、自分の業務の合間に告知画像を作れるようになりました。
作られている物は幅広いものです。営業はセミナーや展示会の案内、商談後に送る資料の表紙、SNSに載せる事例紹介の画像を作ります。人事は採用イベントの告知、社内報の見出し画像、福利厚生の案内を作ります。事業部は新しいサービスの紹介や、取引先向けの説明会の案内を作ります。どれも急ぎで、制作の窓口に頼むと数日待つことが多かった物です。
制作の担当から見ると、依頼が減って助かる面と、知らないうちに会社の名前で画像が出回る不安の両方があります。問題になるのは、作ること自体ではなく、どの画像が誰の確認を経て世に出たのかが分からなくなることです。この記事の出発点は、各部署が作ることを前提にして、その中で制作の窓口が握る所を絞り込むことにあります。
境目を決める前に、いまどの部署がどんな画像をどれくらい作っているかを一度数えておくと、話が具体的になります。会社のSNSのアカウント、メールの配信の履歴、セミナーの申込の画面を過去3か月分さかのぼり、制作の窓口を通っていない画像を拾い出します。数えてみると、同じ種類の告知が部署ごとに別々の形で作られていることが多く、どの種類からテンプレートを作ればよいかの手がかりにもなります。
一律に禁止しても止まらない理由
最初に検討されがちなのが、制作の担当以外がバナーを作るのを一律に禁止する方法です。しかし、禁止しても現場の急ぎの用件はなくなりません。翌週の説明会の告知を今日中に出したい営業は、制作の窓口の順番を待たずに、個人の端末で無料の道具を使って作ることになります。禁止は制作をなくすのではなく、見えない所へ移すだけになりがちです。
見えない所で作られた画像は、社内の誰も把握していません。どの道具で作ったか、生成した画像の利用条件はどうなっていたか、ロゴは正しいデータを使ったかが、あとから確かめられなくなります。問題が起きたときに、同じ道具で作った他の画像を洗い出すこともできません。
もう一つの理由は、制作の窓口の手が足りないことです。各部署の小さな告知まで全部を引き受けていると、広告や製品の発表のように本当に専門の確認が要る案件が後回しになります。任せられる物を各部署に渡すことは、制作の窓口が、戻ってくるべき物に時間を使えるようにするための手段でもあります。
禁止のもう一つの副作用は、各部署が外部の制作会社やフリーランスに直接頼み始めることです。制作の窓口を通さない発注では、生成AIを使ったかどうか、素材の権利がどうなっているかを、誰も確かめないまま納品されます。社内で作らせない決まりが、社外での管理のない制作を生むことがあるわけです。任せる範囲を決めておけば、外に出すべき物と社内で済む物の区別も付けやすくなります。
任せる・条件付きで任せる・戻すを分ける物差し
境目を決めるときは、画像の種類ではなく、出たあとに困ることの大きさで分けます。見る人が社内か社外か、お金を払って広く配るか、会社の約束や数字が入っているか、他人の権利や法令の決まりに触れるか、の4つが物差しになります。この4つのどれにも当たらない画像は任せ、どれか一つに当たれば条件を付けるか、制作の窓口に戻します。
| 区分 | 主な例 | 条件・理由 |
|---|---|---|
| 任せる | 社内報や社内掲示の画像、承認済みテンプレートの文字と日付の差し替え、社内の勉強会の告知 | 見る人が社内に限られ、形が決まっている |
| 条件付きで任せる | 自社が主催するイベントやセミナーの告知、採用イベントの案内、事例紹介のSNS画像 | 承認済みテンプレートを使い、公開前に軽い確認を1回通す |
| 制作窓口に戻す | 広告として出稿する画像、ロゴや製品写真の加工、人物の生成画像、数字や効果をうたう表現、業界の表示規制に触れる物 | 出たあとの影響が大きく、専門の確認が要る |
表の真ん中の「条件付き」が、運用の中心になります。社外の人が見るけれど、形が決まっていて中身が告知にとどまる物です。ここを任せられるかどうかで、各部署の手間と制作の窓口の負担が大きく変わります。条件を承認済みテンプレートの利用と、公開前の軽い確認1回に絞っておくと、各部署は待たされずに済み、制作の窓口も要点だけを見られます。
表は一度作って終わりにせず、迷った事例が出るたびに例の欄へ書き足します。たとえば「取引先と共同で開くセミナーの告知」は、相手の会社のロゴが入るので戻す側になります。こうした判断を例として残すと、次に同じ迷いが出たときに各部署が自分で振り分けられるようになります。
任せてよい物:社内向けと、形の決まった差し替え
任せる側の代表は、社内の人だけが見る画像です。社内報の見出し、社内の勉強会や懇親会の案内、部署の目標を掲示する画像などは、仮に色が少しずれても社外の信用には響きません。ここまで制作の窓口が確かめていたなら、それは確認の手間をかけすぎていたと考えてよいでしょう。
もう一つは、承認済みテンプレートの差し替えです。毎月の定例セミナーの告知のように、配置や色やロゴの位置が決まっていて、変わるのは題名と日付と登壇者名だけ、という画像です。テンプレートの時点で確認が済んでいるので、差し替えた文字に誤りがないかを作った本人が確かめれば足ります。
ただし、社内向けでも注意が要る場面はあります。社内向けに作った画像が、そのまま取引先への説明資料やSNSに転用されることです。社内向けとして任せた画像を社外に出すときは、条件付きの区分に移る、という決まりを添えておきます。社内向けの画像の置き場を社外向けと分けておくと、転用に気づきやすくなります。
任せる側に入れた画像でも、生成AIで作った挿絵や背景を使うなら、会社として使ってよいと決めた道具で作ることだけは条件にします。社内向けだから何を使ってもよい、としてしまうと、個人の無料の道具で作った素材が置き場にたまり、あとで社外向けの画像に紛れ込むからです。任せる範囲の広さと、使う道具の決まりは、別々に考えておきます。
戻す物1:広告として出す画像と、数字や効果をうたう表現
お金を払って広く配る広告の画像は、制作の窓口に戻します。広告は見る人の数が桁違いに多く、配信を止めても一度見られた画像は取り消せません。媒体ごとの審査の基準や、配信面ごとの大きさの決まりもあり、各部署の担当者がそこまで押さえるのは現実的ではありません。出稿の予算がかかる画像は、作り手が誰であっても窓口を通すと決めておきます。
数字や効果をうたう表現も同じ扱いです。「導入企業数〇社」「作業時間を半分に」「業界初」のような言葉は、景品表示法の優良誤認表示にあたらないかを、根拠の資料と合わせて確かめる必要があります。生成AIに見出しの案を出させると、根拠のない強い言い回しが、もっともらしく混ざることがあります。各部署の担当者が良かれと思って採用してしまう前に、数字や比較の言葉が入った画像は必ず戻す、という線を引いておきます。
価格や割引、期間限定の特典を載せる画像も戻す側です。条件の書き漏れは有利誤認表示の問題につながります。社員や関係者の感想を載せる画像も、広告であることが分かりにくい形になると、2023年10月に施行されたステルスマーケティングの規制に触れるおそれがあります。こうした判断は、制作の窓口と法務の確認に回すほうが安全です。
戻す物2:ロゴと製品写真の加工
ロゴは会社の顔そのものです。各部署の担当者が画像を作るとき、ウェブサイトから拾った解像度の低いロゴを使ったり、背景に合わせて色を変えたり、縦横の比率を崩したりすることがあります。生成AIの機能でロゴを含む画像を作り直させると、ロゴの形そのものが少し変わって出てくることもあります。ロゴに手を加える作業は、どんな小さな変更でも戻す側に入れます。
製品写真の加工も同じです。背景を差し替える、映り込みを消す、といった作業は手軽にできるようになりましたが、生成の機能で写真を補うと、製品の形や画面の表示が実物と違う形に描き足されることがあります。実物と違う製品の画像を社外に出せば、誤解を招く表示になりかねません。製品写真は、撮影した元の写真をそのまま使うか、制作の窓口が加工した版だけを使うと決めます。
各部署に渡すのは、加工の済んだ製品写真とロゴのデータ一式です。ロゴは背景の色ごとに使う版を用意し、製品写真は切り抜きの済んだ版を置いておきます。手元に正しい素材があれば、各部署がロゴや写真を自分で加工する理由そのものがなくなります。
戻す物3:人物の生成画像と、業界の表示規制に触れる物
生成AIで作った人物の画像も、制作の窓口に戻します。実在しない人物を、利用者や社員であるかのように見せれば、見る人に誤解を与えます。実在の人物に似てしまえば、肖像やパブリシティの問題にもなります。アドビの生成AIの利用指針でも、他者へのなりすましや、誤解を招く内容の拡散は禁止事項として挙げられています。人物を入れたいときは、許諾を得て撮影した写真か、制作の窓口が用意した素材を使います。
業界ごとの表示の決まりに触れる画像も戻す側です。健康食品や化粧品、医療に関わる商材であれば薬機法、金融商品であれば金融の広告の決まり、不動産であれば業界の表示の決まりが関わります。こうした商材を扱う事業部では、告知画像のつもりでも効能や利回りの言葉が入りやすいので、商材そのものを理由に、その事業部の社外向け画像は全部戻すという決め方もあります。
どこまでを業界の規制に触れる物とするかは、各部署の担当者に判断させません。判断を任せると、急いでいる人ほど「これは大丈夫だろう」と考えやすいからです。戻す条件は、画像に入る言葉と素材の種類で機械的に決めておき、各部署は条件に当たったら迷わず戻す、という形にします。
仕組み1:承認済みテンプレートと素材一式を渡す
任せる範囲を広げるほど、各部署の手元に置く素材の質が効いてきます。最初に用意するのは、よく作られる画像の種類ごとの承認済みテンプレートです。セミナーの告知、採用イベントの案内、事例紹介の画像、社内報の見出しなど、各部署からの依頼の多かった物から順に作ります。テンプレートには、ロゴの位置と大きさ、使う色、書体、文字を入れてよい枠を決めておきます。
デザインツールの中には、こうした決まりを道具の側で守らせる機能を持つものがあります。たとえばキャンバの公式ヘルプでは、管理者が使える色をブランドの色だけに、書体をブランドの書体だけに制限できること、テンプレートの中で編集できる部分を固定できること、特定のテンプレートから作ったデザインは承認を得るまでダウンロードも公開もできないようにできることが説明されています。こうした機能は契約の種類によって使える範囲が違うので、自社の契約で何ができるかを先に確かめておきます。
テンプレートと並べて、ロゴの各版、切り抜き済みの製品写真、許諾の取れた人物写真、背景に使ってよい画像を素材一式として置きます。色やロゴの決まりをまとめたブランドの規定があれば、その要点を1枚にして添えます。規定の項目の立て方は別の記事で扱っているので、ここでは、各部署が読むのは規定の全文ではなく、テンプレートと素材そのものだという点だけ押さえておきます。
仕組み2:使ってよい道具と、生成画像の利用条件
各部署がばらばらの道具で画像を作ると、生成した画像の利用条件もばらばらになります。そこで、会社として使ってよい道具を決め、会社の契約のアカウントで使ってもらいます。個人の無料のアカウントで作った画像は、利用条件が会社の契約と違ったり、作った画像が本人の退職とともに消えたりするからです。
利用条件で必ず確かめるのは、生成した画像を商用に使えるかどうかです。アドビの利用指針では、生成AI機能の出力は一般に営利目的で使えるとされる一方、商用に使えないと指定されたベータ版の機能で作った物は個人使用に限られると書かれています。同じ道具の中でも、機能によって扱いが違うことがあるわけです。使ってよい道具を決めるときは、道具の名前だけでなく、使ってよい機能まで書き出しておきます。
提供元が権利の補償を用意している場合も、補償の対象になる契約や使い方には条件があり、条件から外れた使い方では補償が受けられないことがあります。補償があるから何を作っても大丈夫、とは考えないことです。利用指針でも、生成物を確かめる判断は利用者に求められています。
- 使ってよい道具と機能の一覧は、制作の窓口か情報システムの担当が持ち、提供元の規約の改定に合わせて見直す
- 個人のアカウントで作った画像は、社外向けには使わない決まりにする
- 道具を追加したい部署は、申請して一覧に入れてもらう形にする
仕組み3:公開前の軽い確認の窓口
条件付きで任せる画像には、公開前に1回だけ軽い確認を通します。ここでいう軽い確認は、制作の窓口がデザインを直すことではありません。テンプレートから外れていないか、ロゴと色が正しいか、戻すべき言葉が入っていないか、の3点を見るだけです。1件あたり数分で済む範囲に絞ることで、各部署を待たせない確認になります。
確認の受け付け方は、共有のチャットの専用の場所か、デザインツールの承認の機能のどちらかにまとめます。受け付けの場所が複数あると、どれが確認済みか分からなくなるからです。返事の期限も決めておきます。たとえば「午前中に出した物はその日のうちに返す」と決めておけば、各部署は告知の日程から逆算して作れます。
確認で戻すと決めた画像には、戻す理由を一言添えて返します。「数字の根拠が要るので窓口で作ります」「人物の画像なので素材を差し替えます」のように、どの条件に当たったかを伝えます。理由が伝われば、次からは各部署が作る前に気づけるようになり、確認で戻す件数そのものが減っていくようになります。
急ぎの例外も決めておきます。当日の朝に告知を出したいのに、確認の窓口の担当が不在ということは起こります。そのときは、承認済みテンプレートの文字だけを差し替えた物に限って、公開した後に確認を回してよいという逃げ道を用意します。例外を認めずにおくと、急ぎの案件ほど確認を飛ばす習慣が付くからです。例外で出した物は、確認で戻すと決まれば、すぐに差し替えるか取り下げます。
仕組み4:置き場と版の管理
各部署が作った画像は、会社の共有の置き場に集めます。個人の端末やメールの添付に散らばっていると、同じ画像の古い版が使われ続けたり、問題が見つかったときに差し替えられなかったりします。置き場は、部署ごとのフォルダではなく、画像の用途ごとに分けておくと、ほかの部署が同じ種類の画像を探すときにも使えます。
ファイル名には、用途、作った部署、日付、版の番号を入れる決まりにします。たとえば「セミナー告知_営業部_2026年10月_第2版」のような形です。あわせて、生成AIで作った部分があるか、どの道具で作ったかを、置き場の説明欄か一覧の表に書いておきます。あとで道具の利用条件が変わったときに、影響のある画像を洗い出せるからです。
古くなった画像の扱いも決めておきます。イベントが終わった告知、ロゴが変わる前の画像、担当者が異動した部署の画像は、置き場の中で「使用終了」の場所に移します。消してしまうと、公開した事実を後から確かめられなくなるので、移して残す形がよいでしょう。
置き場に集める情報として、もう一つ加えたいのが公開先の記録です。同じ画像が、SNS、メール、ウェブサイトのお知らせ、印刷した案内など、複数の場所に載ることがあります。画像に誤りが見つかったとき、どこに載せたかが分からなければ、差し替えが漏れることになります。一覧の表に、公開した場所と日付を作った本人が書き足す決まりにしておけば、差し替えの手間は大きく減ります。
AIに任せるのは展開と、色・ロゴ・禁止表現の一次点検まで
各部署が画像を作る場面で、生成AIが役に立つのは2つです。1つは、承認済みテンプレートからの展開です。同じ告知を、SNS用の正方形、メールに載せる横長、印刷用の縦長のように、大きさ違いで作り分ける作業は手間がかかります。テンプレートの決まりを保ったまま大きさを変える作業は、AIの機能や道具の自動調整に任せやすい作業です。
もう1つは、公開前の一次点検です。作った画像と、その画像に入れた文字を渡して、ブランドの規定に照らして気になる所を拾い出させます。点検させる項目は、色、ロゴの扱い、戻す条件に当たる言葉の3つに絞ります。
次の告知画像の文字と、使った色の一覧を、下の決まりに照らして点検してください。
・使ってよい色:(ブランドの色の一覧を貼る)
・ロゴ:決められた版以外を使っていないか、縦横の比率を変えていないか
・戻す言葉:数字、割合、「初」「最」「一番」に近い言い回し、効果をうたう言葉、価格や割引
結果は、項目/気になる所/そう判断した理由(一文)の表にしてください。
公開してよいかどうかは書かず、気になる所だけを候補として挙げてください。
この点検の結果は、候補の一覧であって判定ではないことを徹底します。AIは色の近さを見誤ったり、画像の中の文字を読み違えたりします。逆に、根拠のない強い言い回しを見落とすこともあります。AIに「問題なし」と言わせてそのまま公開する使い方はせず、根拠を書かせたうえで、公開してよいかは、作った本人と確認の窓口の人が決めるという線を運用の決まりに書いておきます。
制作チームの役割は、作る人から整える人へ
各部署に任せる範囲が広がると、制作の担当の仕事の中身が変わります。1枚ずつ画像を作る時間が減り、代わりにテンプレートを作る、素材を整える、確認の窓口を回す、という仕事が増えます。作り手から、各部署が迷わず作れる土台を整える人へと役割が移るわけです。
この変化は、制作の担当にとって負担にも機会にもなります。テンプレートを1つ作れば、各部署で何十枚もの画像がその形で作られます。質の高いテンプレートを作ることの効果は、1枚の画像を作るよりずっと大きくなります。一方で、テンプレートの出来が悪いと、崩れた画像が何十枚も出回ることになるので、テンプレート作りには以前より手間をかける価値があります。
役割の変化は、制作の担当の評価の仕方にも関わります。作った枚数で評価していると、各部署に任せるほど制作の担当の成果が減って見えます。テンプレートの利用数、確認の窓口の処理件数、戻した画像の件数の推移など、土台を整えた成果が見える数字を評価に加えておくと、任せる運用が長続きします。
整える人の仕事には、各部署の担当者に作り方を伝えることも含まれます。長い研修は要りません。テンプレートの使い方、戻す条件、確認の出し方を、30分ほどの短い説明会で各部署に一度伝え、録画を置き場に残しておきます。新しく異動してきた人が、説明会の録画と境目の表だけで作り始められる状態を目標にすると、説明の中身を絞り込めます。
定着させるための最初の3か月
仕組みを一度に全部そろえる必要はありません。依頼の多い画像から順に任せる範囲を広げ、迷った事例を表に足しながら回していきます。最初の3か月は、次のような順番が進めやすいでしょう。
任せる・条件付き・戻すの表を作り、各部署の責任者に説明します。戻す条件は言葉と素材の種類で書きます。
依頼の多かった3種類の画像からテンプレートを作り、ロゴと製品写真の正しい版と一緒に共有の置き場に置きます。
会社の契約の道具と使ってよい機能を一覧にし、公開前の軽い確認の受け付け場所と返事の期限を決めます。
確認で戻した画像の理由を集計し、表の例やテンプレートを直します。任せる範囲を広げるかもここで決めます。
3か月目の見直しでは、確認に回ってきた件数、戻した件数とその理由、各部署から出た「この種類も任せてほしい」という声を並べます。戻した理由が同じ条件に集中していれば、その条件を作る前に気づける形、たとえばテンプレートの注意書きにすることを考えます。見直しの結論は、表とテンプレートの更新という形で残すと、次の見直しで前回との違いが分かります。
やりがちな失敗
各部署に画像の制作を任せる運用で、よく見られるつまずきを挙げます。多くは、任せる範囲を決めずに始めたことか、任せたあとの確認を重くしすぎたことから起きています。
- 一律に禁止する:個人の端末や無料の道具で作る人が増え、どの画像が出回っているか分からなくなる
- 確認を重くしすぎる:軽い確認のはずが修正の指示の往復になり、各部署が確認を通さなくなる
- AIの点検で問題なしと出たら公開する:根拠のない強い言い回しや、少し変わったロゴを見落とす
- テンプレートを作ったまま放置する:ロゴや色の変更に追いつかず、古い形の画像が作られ続ける
2つ目の失敗は、制作の担当が丁寧であるほど起きやすいものです。軽い確認で見るのは3点だけと決め、デザインの好みの指摘は確認の場では返さない、という決まりにしておくと防ぎやすくなります。好みの話は、テンプレートを直す機会にまとめて反映します。
まとめ
営業や人事や事業部が生成AIで自分でバナーを作るのは、止めようとして止まるものではありません。一律に禁止すれば見えない所で作られ、放任すれば会社の名前で確認のない画像が出回ります。要点は、社内向けや承認済みテンプレートの差し替えのように任せてよい物、自社主催の告知のように条件付きで任せる物、広告として出す画像、ロゴや製品写真の加工、人物の生成画像、数字や効果をうたう表現、業界の表示規制に触れる物のように制作窓口に戻す物、の3つに分けることです。任せたあとも崩れないように、承認済みテンプレートと素材一式、使ってよい道具と機能、公開前の軽い確認の窓口、置き場と版の管理をそろえます。AIにはテンプレートからの展開と、色・ロゴ・禁止表現の一次点検までを任せ、公開してよいかは人が決めます。まずは直近3か月に各部署から出た画像を並べ、どれが任せる側でどれが戻す側だったかを表にするところから始めてみてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
広告・SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
