商談解析AIを営業に効かせる5工程|録画から勝ち筋を返す

「商談解析のツールを入れたものの、画面に並ぶ数字を誰も見ていない」「話す割合が高い営業ほど失注が多いと聞いても、自分たちの商談にどう当てはめればよいのか分からない」。商談の録画を分析する道具を入れた営業部門からは、こうした声が聞こえてきます。二つの声は、道具の性能ではなく、数字を受け取る側の段取りが空いたまま動き出している、という同じ所に行き着きます。海外の商談解析の提供元の一社は、10分以上の営業通話32万6千件あまりを分析し、成果の高い営業は商談の結果にかかわらず話す割合がほぼ一定で、成果の低い営業は10ポイントほど揺れていたと公表しています。こうした数字は手がかりにはなりますが、答えではありません。商談解析で足りないのは分析の精度ではありません。本当は、録画に何を問い、比べて見つけた違いをどこに戻すかを先に決める工程が欠けているのです。この記事では、ある営業部門の想定の例に沿って、商談解析AIを受注と失注の比較から研修と台本に戻すまでの5工程を整理します。
カメ先生商談解析の道具は、たくさんの録画に同じ物差しを当てて数えるのが得意なんだ。でも、その数字のどれが勝ち筋かまでは教えてくれない。比べ方を決めた人だけが、数字を読めるんだよ。
カメ子数字が出ているのに、そのままでは使えないということですか。
カメ先生そう。段階をそろえて受注と失注を比べ、違いが出た場面を人が録画で読んで、行動の言葉に直す。AIには文字起こしや話題の抜き出し、集計を任せるけれど、何を勝ち筋とみなすか、誰の評価に使うかは人が決めるんだ。
カメ子道具が出すのは材料で、型を作るのは録画を読む人なんですね。
- 商談解析AIは録画を束で数える道具で、勝ち筋を判定する道具ではない
- 問いを一つに絞り、段階と条件をそろえた束で受注と失注を比べてから数字を開く
- 違いは録画を読んで型に直し、研修と台本に戻して次の期に同じ比べ方で確かめる
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商談解析AIとは:録画をまとめて数える道具
商談解析AIは、オンライン商談や電話の録画・録音を文字に起こし、話し方や話題を数えて、たくさんの商談を横に並べて見られるようにする道具です。国内の提供元の一つは、オンライン会議の解析機能として、話す速さ、話す割合、話が重なった回数、話題の移り変わり、感情の分析を挙げています。製品によっては、質問の回数や沈黙の長さ、次回の約束が取れたか、競合や価格の話題が出たかを数えるものもあります。
一件ごとの議事録を作る道具と似ていますが、役割は違います。議事録は「この商談で何が決まったか」を残すもので、商談解析は「多くの商談を比べたときに何が違うか」を見るものです。一件の議事録作りと顧客管理の仕組みへの記録は別の記事で扱い、本稿は束で比べる使い方に絞ります。通話の最中に画面へ助言を出す使い方も、求められるものが違うので扱いません。
押さえておきたいのは、道具が出すのは数と文字であって、勝ち筋そのものではないことです。どの数を見て、何と比べ、違いをどう解釈するかは、使う側が決めます。この段取りを決めないまま導入すると、冒頭の声のように、画面の数字が誰にも読まれないまま積み上がっていきます。導入の費用を回収できるかどうかは、道具の選び方より、この段取りを先に作れるかで決まります。
数えられるものと、数えられないもの
商談解析が得意なのは、音声と文字から機械的に取り出せるものです。話す割合、話す速さ、一回の発言の長さ、質問の回数、話が重なった回数、特定の語が出たかどうか、といった項目は、同じ定義で全件を数えられます。人が録画を見返して数えると一件に一時間はかかる作業を、全件に同じ物差しで当てられるのが強みです。
一方で、数えられないものもあります。相手の決裁者が本当は誰か、相手の社内で予算がどれほど固いか、前回の商談から今回までに相手の社内で何があったか、といった録画の外にある事情は、音声には残りません。感情の分析も、声の調子や話す速さから推し量った値で、相手の本心を測ったものではありません。この限界を知らずに数字を読むと、録画の中の出来事だけで商談の結果を説明しようとしてしまいます。
もう一つ、文字起こしの誤りも残ります。製品名や業界の用語、人名は聞き違えられやすく、「価格」の話題を数えたつもりが、言い換えや略語で漏れることがあります。数える語を決めるときは、自社の商談で実際に使われる言い回しを10件ほど読んで拾い、語の一覧を人が作ってから数えさせるのが確かです。「値段」「費用」「ご予算」「お見積り」のように、同じ話題の言い方を束ねておきます。
シナリオの前提:ある営業部門が導入したところから
ここからは、想定の例に沿って進めます。法人向けに業務用の仕組みを売る会社で、営業は15人、商談はほぼすべてオンラインで、録画は半年分たまっています。経営からは「せっかく入れたのだから勝ちパターンを出してほしい」と言われ、営業企画の担当者が一人で任されました。
担当者が最初にやりがちなのは、全商談の平均を出し、成績上位の営業の平均と比べることです。ところが、この比べ方では、上位の営業がたまたま条件の良い案件を多く持っていただけなのか、話し方が違うのかを区別できません。初回の顔合わせと条件を詰める商談が混ざった平均は、どちらの段階の姿も表していないのです。
そこで本稿では、次の5工程で進めます。工程の1と2で比べ方を決めてから、初めて数字を開くのが、この順番の要です。数字を先に開くと、目立つ数字に引っぱられて問いが後から作られ、結論ありきの比較になりがちです。
- 工程1 録画に問う問いを一つに絞る
- 工程2 比べる商談の束を、段階と条件をそろえて作る
- 工程3 受注と失注の束で違いを数える
- 工程4 違いが出た場面を録画で読み、型にして言葉にする
- 工程5 研修と台本に戻し、次の期に同じ比べ方で確かめる
工程1 問いを一つに絞る
最初の工程は、録画に何を問うかを一つに決めることです。「勝ちパターンを出す」では広すぎて、数える項目が決まりません。例の部門では、営業会議で困りごとを出し合い、「2回目の商談から提案に進めない案件が多い」という問いに絞りました。段階を一つ決めたことで、見る録画も数える項目も絞られます。
問いの立て方の目安は、営業の工程のどこで止まっているかを一つ名指しすることです。初回から2回目に進まないのか、提案の後に止まるのか、条件を詰める段階で失注するのか。顧客管理の仕組みに段階ごとの件数が残っていれば、どこで落ちる割合が高いかを先に見ておくと、問いの候補が自然に出てきます。失注の理由の分類や、比べる前に外れる条件の見つけ方は別の記事で扱っているので、ここでは商談の中の運びを問う形に限ります。
問いは営業部門の長と一緒に決め、文にして残しておきます。後の工程で「この数字も面白い」と別の指標に目移りしたとき、立ち返る場所になるからです。問いに関係しない数字は、今回は見ないと決めておくのも工程1の仕事です。画面にはたくさんの数字が並びますが、一度に全部を読もうとすると、どれも中途半端に終わります。
工程2 比べる商談の束をそろえる
次に、比べる商談の束を作ります。例の部門では、過去半年の「2回目の商談」の録画のうち、その後に提案へ進んだものと、進まずに止まったものを集めました。ここで大事なのは、二つの束の条件をそろえることです。商材、相手の会社の規模、新規か既存の顧客か、が大きく違うと、話し方の違いではなく案件の違いを見てしまいます。
件数は多いほど良いわけではありませんが、少なすぎると一人の営業の癖がそのまま結果になります。例では、進んだ束と止まった束をそれぞれ30件ほど、一人の営業に偏らないよう一人あたり数件までに抑えて集めました。同じ営業の中で、進んだ商談と止まった商談を比べられる形にしておくと、人の違いと話し方の違いを分けやすくなります。
束を作る作業では、顧客管理の仕組みの段階の記録と、録画の日付を突き合わせます。この突き合わせは手間がかかり、記録の付け忘れも見つかります。付け忘れの多い案件は、束から外して理由を残しておきます。外した件数を報告に書いておくと、結果を読む人が束の偏りを判断できます。束の一覧には、商談ごとに段階・商材・相手の規模・担当の営業・案件の入口を書いておき、後の工程で分けて見られるようにします。
工程3 受注と失注の束で違いを数える
束がそろったら、ようやく数字を開きます。二つの束で、話す割合、質問の回数、一回の発言の長さ、次の約束が取れたか、価格や競合の話題が出た時点、を並べます。平均だけでなく、ばらつきも見ます。平均が同じでも、片方の束だけ極端な商談が混ざっていることがあるからです。
| 項目 | 数え方の例 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 話す割合 | 営業が話した時間を、商談の時間で割る | 段階と商材で基準が変わる。部門の中の同じ段階で比べる |
| 質問の回数 | 疑問の形の発言を数える | 確認の短い質問と、掘り下げる質問が混ざる。抜き取って中身を読む |
| 一回の発言の長さ | 途切れずに話した最も長い時間 | 実演や見積もりの説明では長くなって当然。場面を分けて見る |
| 次の約束 | 終わりの数分に、日時や宿題の合意があるか | 取れたかだけでなく、誰が何をするかまで決めたかを見る |
| 価格・競合の話題 | 決めた語が最初に出た時点 | 語の一覧に漏れがあると数え落とす。一覧を先に人が作る |
例の部門では、止まった束のほうが、商談の前半で営業が話す割合が高く、相手の業務を掘り下げる質問が少ない傾向が出ました。ただし、この段階ではまだ「傾向がある」だけです。次の二つの節で扱う読み違いを確かめてから、工程4に進みます。
数字の集計はAIや道具に任せてかまいません。ただし、集計に使った定義、つまり何を質問と数えたか、どの語を価格の話題としたかは、表の横に必ず書き添えます。定義の書かれていない数字は、次の期に同じ比べ方ができないからです。道具の設定が更新されて数え方が変わることもあるので、集計した日付も残します。
ばらつきを見るときは、平均に加えて、真ん中の値と、上下の端にある数件を確かめます。例の部門では、止まった束の話す割合の平均を押し上げていたのが、実演の途中で通信が切れて営業が一人で説明し続けた3件だと分かりました。端の数件は、数字を外す前に必ず録画で見ると決めておくと、道具の不具合や特殊な商談を、話し方の違いと取り違えずに済みます。
読み違い1 話す割合は業種と段階で変わる
商談解析でいちばん引用されやすいのが、話す割合です。先の海外の提供元は、分析した通話で営業側が話していた割合は平均で6割ほどだったと公表しています。こうした数字は目安として広く紹介されていますが、その提供元の顧客の通話を集めたもので、業種も言語も商談の進め方も自社とは違います。自社の商談にそのまま当てはめるのは危ういです。
話す割合は、商談の段階でまったく違う姿になります。初回の聞き取りでは相手に多く話してもらうのが自然ですが、製品の実演や見積もりの説明では、営業が長く話すのが当たり前です。業種によっても違い、仕組みが複雑な商材ほど説明の比重は大きくなります。段階の混ざった全体の平均と、外の数字を比べても、何も言えません。
同じ提供元は、成果の高い営業は商談の結果にかかわらず話す割合がほぼ一定で、成果の低い営業は10ポイントほど揺れていたとも述べています。この見方を借りるなら、一つの理想の値を目指すより、同じ段階の商談で、自分の話す割合がどれだけ揺れているかを見るほうが、個人にも部門にも使いやすい数字になります。揺れの大きい商談を録画で見返すと、相手に合わせて話し方を変えたのか、準備不足で説明が長引いたのかが見えてきます。前者なら揺れは腕の良さの表れで、後者なら準備の手順を見直す材料になるので、揺れの大きさだけで良し悪しを決めないようにします。
読み違い2 相関を勝ち筋と言い切らない
止まった束で質問が少なかった、という結果が出ても、「質問を増やせば提案に進める」とは言い切れません。相手がもともと乗り気でなく、話が広がらなかったので質問も出なかった、という逆向きの関係もありえます。数字が示すのは、二つのことが一緒に起きやすいという関係までで、どちらが原因かは録画の数からは分かりません。
見落としやすいのは、第三の事情です。たとえば、紹介から来た案件は相手の関心が高く、質問も多く、提案にも進みやすい、ということがあります。この場合、質問の多さは紹介という入口の結果で、話し方の効果ではありません。案件の入口、相手の規模、担当した営業の経験年数は、少なくとも束の中で分けて見ておきます。
そのうえで、数字の違いは仮の勝ち筋として扱います。確かめる方法は、工程5で台本に入れ、次の期に同じ比べ方でもう一度数えることです。一度の比較で得た違いを、全社の研修の正解として配らないことが、この工程の約束です。報告の資料にも「傾向」「仮説」と書き、言い切る表現を避けておくと、後で外れたときに引き返しやすくなります。
工程4 違いを型にして言葉にする
数字で見つかった違いは、そのままでは営業の行動になりません。「前半の話す割合を下げる」と言われても、何をすればよいか分からないからです。工程4では、進んだ束の録画から、該当する場面を人が実際に見て、違いを行動の言葉に直します。
例の部門では、進んだ束の中から10件を選び、商談の前半15分の文字起こしを営業企画と上位の営業二人で読みました。すると、進んだ商談では、2回目の冒頭で前回の聞き取りの要点を営業が短く読み上げ、「この理解で合っていますか」と確かめてから、相手の業務の流れを一つずつ聞いていく運びが多いと分かりました。数字は場面を探す道具で、型を作るのは録画を読む人です。止まった束からも数件を読み、同じ運びが無いことを確かめておくと、型の確からしさが上がります。
型は、場面・一言・理由の三点で書きます。たとえば「2回目の冒頭で、前回の要点を三つに絞って読み上げ、相手に直してもらう。相手の言葉で前提をそろえると、後半の提案が相手の業務に結びつくため」。理由まで書いておくと、型が合わない案件で営業が自分で判断できます。AIには、該当しそうな場面の抜き出しと、読み合わせで出た発言の整理を手伝わせます。
工程5 研修と台本に戻し、次の期で確かめる
型ができたら、研修と台本に戻します。例の部門では、2回目の商談の台本の冒頭に型を一行で足し、週に一度の営業会議で、実際の録画から型どおりの場面と、型から外れた場面を一つずつ見る時間を15分取りました。新しく入った営業には、型の元になった録画を教材として見せます。
2回目の商談の台本の冒頭に、場面・一言・理由を一行で書き足します。台本全体は書き換えず、足した行が分かるように印を付けます。
週に一度、型どおりの場面と型から外れた場面を一つずつ流し、どこが違ったかを話し合います。誰の録画かは本人の了承を取ってから使います。
工程2と同じ条件で、次の期の2回目の商談の束を作り、提案に進んだ割合と、型の場面が出た割合を並べます。
効いた型は残し、効かなかった型は消すか場面の選び方を直します。変えた理由と日付を型の横に書き残します。
確かめるときは、型が出た商談で進む割合が上がっていれば、型を残します。変わらなければ、型を捨てるか、場面の選び方を見直します。効かなかった型を消すことも、工程5の成果です。期ごとの見直しは、問いを変えるきっかけにもなります。2回目の壁が下がったら、次は提案の後で止まる案件を問いにする、という具合に工程1に戻り、一つの段階ずつ潰していくほうが営業の負担も少なく済みます。
マーケに戻す:よく出る質問と懸念を記事と資料に
商談の録画には、営業の話し方だけでなく、顧客が何を聞き、何を心配しているかが残っています。束で見ると、同じ質問や懸念が、業種や規模を越えて何度も出てくることが分かります。これはマーケティングの側にとって、読者の問いを知る材料になります。
例の部門では、2回目の商談で出た相手の質問を抜き出して束ね、出た回数の多い10個を一覧にしました。「既存の仕組みとの連携にどれくらい手間がかかるか」「導入の途中で担当者が替わったらどうなるか」といった質問は、そのまま記事の題材と、商談の前に送る資料の項目になります。商談で毎回答えている質問を、商談の前に読める形にしておくと、商談の時間を相手の固有の事情に使えます。
渡すときは、顧客の会社名や発言者が分からない形にします。マーケに渡すのは、質問の中身と出た回数、出た段階までです。録画そのものや、特定の顧客の発言をそのまま記事に使うことはしません。記事や資料を出した後は、同じ質問が商談で減ったかを次の期の束で見ると、マーケ側の手当てが効いたかも確かめられます。
営業個人の評価に使う危うさ
商談解析の数字は、営業一人ひとりについても出ます。そのため、導入すると「この数字を評価に使えないか」という声が出がちです。けれども、評価に結びつけた途端、数字は営業の行動を映す鏡ではなく、営業が合わせにいく目標に変わります。
- 話す割合を目標の値にした結果、必要な説明まで削り、相手に質問を浴びせる商談が増える
- 質問の回数を数えた結果、確認の短い質問で回数を稼ぐようになる
- 数字の悪い営業の録画を会議で名指しで流し、見張られていると受け取られて録画を嫌がるようになる
- 評価に響くと知った営業が、難しい商談ほど録画を止めたり、記録から外したりする
どれも、数字を動かすことが目的になり、商談そのものが悪くなる例です。見張りと受け取られると録画への協力が落ち、そもそもの材料が集まらなくなります。導入の最初に「商談解析の数字は個人の評価に使わない」と文章で宣言しておくのが、材料を守るいちばんの手です。
個人の育成に使うなら、本人が自分の録画を見て、自分で気づく使い方にとどめます。上長と一緒に見る場合も、数字を並べるのではなく、型の場面を一緒に探す形にします。誰の評価にどこまで使うかは、営業部門の長と人事が決め、道具やAIに任せないことです。
録音の同意と、録画を見られる人の範囲
商談を録画・録音するには、相手への告知と同意の取り方を先に決めておく必要があります。法的な整理と告知の言い方は別の記事で扱っているので、ここでは束で分析するときに加わる注意だけを書きます。
束で分析すると、一件の議事録よりも多くの人が録画に触れます。営業企画、上位の営業、研修の担当、マーケの担当と、見る人が増えるほど、顧客の発言が本来の目的の外に出やすくなります。誰がどの録画を見られるかを、役割ごとに先に決めておくことが要ります。分析の担当は束の録画を、マーケは抜き出した質問の一覧だけを、という分け方が一例です。
- 録画の保管期間を決め、期間を過ぎた録画は分析の束からも外す
- 顧客との秘密保持の取り決めで、録画の社内での使い道に条件が無いかを確かめる
- 分析のために外部の道具へ録画を渡すときは、学習に使われない設定か、契約の条件を確かめる
- 教材として社内で流す録画は、相手の会社名と個人名が映らない場面を選ぶ
見落としやすいのが、営業が異動や退職をした後の録画です。型の元になった録画を教材として残し続けるなら、本人の了承の範囲と、残す期間を決めておきます。教材に使う録画は一覧にして、使う理由と期限を書いておくと、保管期間を過ぎた録画が教材の中にだけ残る、という抜けを防げます。
AIに任せる範囲と、人が決める範囲
ここまでの工程で、AIの使いどころは、文字起こし、話題の抜き出し、項目ごとの集計、該当場面の抜き出しまでです。どれも、決めた定義に沿って大量の録画に同じ物差しを当てる作業で、人がやると時間がかかりすぎる部分です。
| 作業 | AIに任せる | 人が決める |
|---|---|---|
| 文字起こし | 全件を起こす | 用語の聞き違いを抜き取りで直す |
| 話題の抜き出し | 決めた語の出現を数える | 数える語の一覧 |
| 集計 | 束ごとの平均とばらつきを出す | どの束とどの束を比べるか |
| 場面の抜き出し | 候補の場面と時刻を出す | 型にするかどうか |
| 勝ち筋の判断 | 任せない | 録画を読んで仮の型を決める |
| 評価への使用 | 任せない | 使わないことを宣言し、例外を決める |
AIに要約させると、「この商談の勝因は」と言い切る文を出してくることがあります。こうした文は、根拠の場面が添えられていなければ使いません。AIには必ず、元の発言と時刻を根拠として添えさせる、根拠のない結論は採らない、と決めておきます。
AIに判断させないのは、何を勝ち筋とみなすかと、誰の評価に使うかの二つです。人が確認する範囲も先に決めておきます。例の部門では、文字起こしの聞き違いは毎期20件を抜き取って直し、型の元になった場面はすべて人が録画で見直す、という線を引きました。
よくある質問
録画が少ない部門でも始められますか?
始められますが、比べる束は小さくなります。受注と失注で数件ずつしか無いうちは、数字の比較より、工程4の読み合わせを先にやるほうが得るものが多いでしょう。進んだ商談と止まった商談を数件ずつ読み、違いの仮説を立てておき、録画がたまってから数字で確かめる順番にします。
海外の製品と国内の製品で、何を比べればよいですか?
日本語の文字起こしの精度、使っているオンライン会議の道具や電話との連携、顧客管理の仕組みとの連携は、製品ごとに違います。提供元の説明だけで決めず、試用の期間に自社の録画を数件入れて、製品名や業界の用語がどれだけ正しく起こされるかを確かめます。録画の保管場所と学習への利用の条件も、契約の前に確かめておきます。
失注の理由の分析とは何が違いますか?
失注の理由の分析は、負けた案件がなぜ負けたかを分類し、相手への聞き取りで確かめる活動です。本稿で扱ったのは、商談の中の運び、つまり同じ段階の商談で話し方や確かめ方に何の違いがあるかを録画から見る使い方です。両方を持っていれば、理由の分類で見えた弱い段階を、商談解析の問いに据える、という組み合わせ方ができます。
電話の商談にも使えますか?
使えます。国内の提供元の一つは、電話向け、オンライン会議向け、対面の会話向け、コールセンター向けと、製品を分けて出しています。ただし、電話と会議では商談の長さも運びも違うので、同じ束に混ぜず、別々に比べます。電話は画面の共有が無いぶん、説明を言葉だけで運ぶことになり、話す割合が高く出やすい点にも気をつけます。
比べた結果は、営業にどう伝えればよいですか?
数字の表を配るより、型と、その元になった録画の場面を一緒に見せるほうが伝わります。例の部門では、営業会議で型を一行で示し、進んだ商談の場面を2分ほど流してから、各自が次の週の商談で一度だけ試す、という形にしました。「全員でこう話せ」ではなく「この場面で一度試してみて」と頼むほうが、現場の反発も少なく、試した結果の声も集まります。
まとめ
商談解析AIは、録画を文字に起こし、話す割合や質問の回数、話題の出現を数えて、多くの商談を並べて見るための道具です。勝ち筋を判定する道具ではありません。効かせるには、問いを一つの段階に絞る、段階と条件をそろえた束を作る、受注と失注の束で違いを数える、違いが出た場面を録画で読んで型にする、研修と台本に戻して次の期に同じ比べ方で確かめる、の5工程で進めます。数字を読むときは、話す割合が業種と段階で変わること、相関を勝ち筋と言い切れないことを忘れず、違いは仮の型として扱います。録画から抜き出した質問と懸念は、会社名を外してマーケに渡し、記事と資料に回します。数字を営業個人の評価に使わないと先に宣言し、録画を見られる人を役割ごとに決めておきます。AIに任せるのは文字起こし・話題の抜き出し・集計までで、何を勝ち筋とみなすか、誰の評価に使うかは人が決めます。まずは営業会議で、いちばん止まりやすい段階を一つ名指しするところから始めてみてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
リード獲得・育成の打ち手として、ウェビナーの集客と運営でお困りですか?
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