新しい広告媒体は試すべきか?|見極める5つの問い

新しい広告媒体は試すべきか?|見極める5つの問い

「新しい広告面を提案されたのですが、試すかどうかの決め手がありません」「去年いくつか試したのに、良かったのか悪かったのか、いまも言えません」——出稿する媒体を検討しているBtoBの担当者から届く声です。根が深いのは二つ目のほうで、出す前に何も決めていなかったことが、終わったあとの言葉にそのまま出ています。新しい媒体を試すかどうかは、出してみてから決まるものではありません。本当は、出す前に答えを出しておける問いが5つあり、そこで結論の大半が決まっています。この記事では、その5つの問いと、答えを出す順番、試す枠の出どころ、そしてAIに任せてよい範囲を整理します。


カメ先生カメ先生

新しい媒体を試すかどうかっていう相談はね、たいてい出したあとの成果の見方の話になるんだ。でも実際に決着がついているのは、出す前に何を決めていたかのほうなんだよ。


カメ子カメ子

出す前って、何を決めておくんですか。やってみないと分からないから試すんじゃないんですか。


カメ先生カメ先生

やってみないと分からないのは結果だよ。届く相手がそこにいるか、いまの媒体と重なっていないか、どれだけ出せば判断できるか——この三つは出す前に調べられるんだ。調べずに出すと、結果が出ても読めない。


カメ子カメ子

結果が出ても読めない、ですか。その、出す前に調べられる分から先に聞かせてください。


この記事のポイント
  • 新しい媒体を試すかどうかは、出す前に答えを出しておける5つの問いでほぼ決まる
  • 「まず少額で」が失敗するのは、判断できる量に届かないまま期間だけが過ぎるから
  • AIに任せるのは重なりの点検と仮説出しまで。出す出さないの決めは人がやる

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目次

試すかどうかは、出したあとではなく出す前に決まる

新しい広告面の提案を受けたとき、多くの現場では「まず出してみて、数字を見てから決める」という進め方になります。ところが半年後に振り返ると、出した事実は残っているのに、良かったのか悪かったのかを言えないことが少なくありません。数字が足りなかったのではなく、その数字をどう読むかを出す前に決めていなかったからです。読み方が決まっていない数字は、後からいくら眺めても結論になりません。

出す前に答えを出しておける問いは、大きく5つあります。届いていない相手がそこにいるか、いまの媒体と重なっていないか、いくら出せば判断できるか、何の数字で見るか、やめるときに何が残るか。この5つは、どれも出稿してからでないと分からない種類の問いではありません。媒体資料と自社の過去の配信実績、それに社内の台帳があれば、机の上で答えが出ます。

逆に言えば、この5つに答えられないまま出した配信は、結果がどう出ても次につながりません。成果が良ければ「たまたま当たった」で終わり、悪ければ「相性が悪かった」で終わる。試すかどうかの見極めは、出したあとの分析ではなく、出す前の設計の話です。まず5つの問いと、それぞれで何を決めるのかを一覧で押さえておきます。

問い出す前に決める答えの形決めずに出すと起きること
①いま届いていない人がそこにいるかその媒体の読者や登録者のうち、自社の相手に当たる層と、その規模の見当反応はあるのに商談にならない配信が続く
②いまの媒体と重なっていないかすでに出している媒体と、見ている人が重なる度合いの見当同じ人に二重に払うだけで、届く人が増えない
③いくら・何週間で判断できるか判断に要る成果の件数と、そこから逆算した金額と期間少額のまま数字が溜まらず、判断できずに終わる
④何の数字で見るか媒体の管理画面ではなく、自社の台帳に残る数字を一つ管理画面の数字だけが良く、売上につながらない
⑤やめるとき何が残るか撤退の線と、やめても手元に残るもの惰性で続くか、いきなり止めて何も残らない

問い① いま届いていない人が、本当にその媒体にいるか

新しい媒体を試す理由は、突き詰めると一つです。いまの媒体では届いていない相手に届くから。逆に、いま届いている相手に別の経路でもう一度届くだけなら、それは新しい媒体の話ではなく、いまの媒体の出し方を変える話になります。最初に確かめるのは、その媒体の向こう側に、自社がまだ触れていない層がいるかどうかです。

確かめ方は、媒体の母集団を見ることです。BtoB向けの媒体を選ぶときは、その媒体の利用者の母集団、つまり読者層や登録会員の属性を出稿前に確認しておくことが要る、と媒体選定の解説では繰り返し指摘されています。会員数や月間の閲覧数といった総量の数字ではなく、業種、役職、企業の規模といった内訳を見ます。内訳を出せない媒体は、この段階で判断材料が足りていません。

ここで気をつけるのは、いるかいないかではなく、何人くらいいるかまで踏み込むことです。自社の相手に当たる層が母集団の数パーセントしかいないなら、届く総量は媒体の規模とは比例しません。母集団の大きさではなく、母集団のうち自社の相手に当たる部分の大きさを見ます。その見当がついて、はじめて次の問いに進めます。

媒体資料の数字を、自社の相手の数に読み替える

媒体資料に並ぶ数字は、媒体側の数字です。登録者数、月間の閲覧数、配信通数——いずれもその媒体の大きさを示していますが、自社にとっての大きさではありません。読み替えの手順は単純で、母集団の総数に、自社の相手に当たる層の割合をかけて、実際に届く可能性のある人数を出すだけです。

割合が資料に書かれていないときは、媒体の担当者に内訳を聞きます。業種別、従業員規模別、役職別のどれかで内訳が出せれば、おおよその見当はつきます。出せないと言われた場合、それ自体が情報です。内訳を出せない媒体は、配信した後に「どの層に届いたか」も出せないことが多く、④の問いでも同じところで困ります。

読み替えた人数は、目標の件数と並べて見ます。届く可能性のある人数が、目標に対して桁の単位で足りないなら、その媒体を試す価値は薄いと分かります。逆に十分な規模があるなら、次に重なりを見ます。この読み替えは、提案を受けたその日のうちに終わる作業です。

  • 媒体の総量の数字と、自社の相手に当たる人数は、別の数字として記録しておく
  • 内訳を出せない媒体は、配信後の内訳も出せないことが多い
  • 読み替えた人数は、あとで実績と突き合わせられるように残しておく

問い② いまの媒体と、見ている人が重なっていないか

新しい媒体を足しても、届く人がほとんど増えないということが起こります。理由は重なりです。同じ人が複数の媒体を使っているため、新しい媒体に出しても、すでにいまの媒体で届いていた人にもう一度届いているだけ、という状態になります。この重なりは、出す前に媒体の性格からある程度の見当がつきます

見当のつけ方は、人の集まり方を見ることです。検索から来る人、仕事上のつながりの場にいる人、業界の専門媒体を読む人——この三つは重なる部分がありますが、集まる動機が違います。動機が同じ媒体を足すと重なりが大きく、動機が違う媒体を足すと重なりは小さくなります。すでに出している媒体と動機が同じなら、重なりを疑ってかかります。

実際、複数の媒体を並行して使っている人は決して少なくないため、新しい媒体を追加しても純増がほとんど取れないことがある、と重なりの計測を扱う解説でも指摘されています。とくに表示回数に対して払う形の配信では、重なった分がそのまま二重の支払いになります。足した媒体の分だけ届く人が増える、という前提はいったん外して考えます

重なりは「純増」で見る

重なりを扱う考え方に、純増したリーチという見方があります。施策を実施したあとに届いた人数から、実施する前に届いていた人数を引いた差、つまり新しく触れた人だけを数えるという見方です。すでに触れていた人を差し引くので、足した媒体が本当に届く範囲を広げたのかが見えます。

数え方の例として、テレビと動画共有の場を組み合わせた場合が挙げられています。動画側の到達が三割あっても、そのうち三分の一がすでにテレビを見ていた人なら、純増として評価されるのは二割になります。同じ三割でも、中身によって意味が変わるということです。重なりの大きい媒体は寄せる額を減らし、重なりが小さく純増の取れる媒体に寄せる、という判断がここから出てきます。

BtoBの配信で、この純増を厳密に測るのは簡単ではありません。それでも、出す前に重なりが大きそうか小さそうかの見当をつけておくだけで、結果の読み方が変わります。重なりが大きいと見込んだ媒体で申込が取れたなら、新しく届いた分ではなく、いままでの経路で届いていた人が別の入口から入っただけかもしれない、と疑えるようになります。

厳密に測らなくても、手元でできる確かめ方はあります。新しい媒体から来た問い合わせの一覧と、すでに自社が名前を持っている企業の一覧を突き合わせる。重なりが大きければ、取れた件数の多くは、いままでの経路でもいずれ届いていた相手です。突き合わせ自体は配信が終わってからでもできますが、突き合わせる側の一覧を出す前に用意しておかないと、終わってから作ることになります

問い③ 最低いくら、何週間あれば判断できるか

三つ目の問いが、実務では一番効きます。その媒体で良し悪しを言うために、最低いくら使い、何週間回す必要があるのか。ここで押さえておくのは、配信の仕組みそのものが、一定の件数を超えないと本来の動きをしないという点です。

目安は媒体側が示しています。大手の検索広告では、自動での最適化をかけるなら、過去1か月でキャンペーン単位の成果が30件以上あることが推奨されています。同じ媒体のテスト機能を使うには、過去30日間の成果が50件以上必要とされています。大手の交流サイトの広告では、広告のまとまりごとに1週間で50件以上が必要とされています。BtoBのテストでは、月30万から50万円程度の予算と2、3か月の期間を見込むという指摘もあります。

この数字は、そこまで使わないと成果が出ないという意味ではありません。そこに届かない量では、出た数字が偶然かどうかを分けられないという意味です。判断できる最低量は、次の順で出します。順番を入れ替えると、出せる金額に合わせて件数のほうを妥協することになります。

STEP1
その媒体で見る成果を一つに決める

問い合わせなのか、資料の請求なのか、商談の設定なのかを一つに絞ります。複数を同時に追うと、どの数字で判断するかが最後まで決まりません。

STEP2
判断に要る件数を決める

媒体側が示す最適化の目安を下限に置き、自社で単価のぶれを許せる件数を決めます。数件では単価がぶれるので判断に使えません。

STEP3
想定の獲得単価をかけて必要な金額を出す

いまの媒体の実績から、この媒体でありそうな獲得単価の幅を置き、件数にかけて必要額を出します。幅の上限側で計算します。

STEP4
出せる期間に割り、出せないなら試さない

必要額を、配信の仕組みが動くだけの期間に割ります。月あたりの額が枠を超えるなら、今期はその媒体を試さないと決めます。

「まず少額で」が失敗する理由

新しい媒体の話が出ると、たいてい「まずは少額で試そう」という結論になります。慎重な判断に見えますが、③の問いに照らすと、この決め方は多くの場合うまくいきません。少額で回した結果は、良くても悪くても判断に使えないからです。

起きることは決まっています。成果が数件しか出ないので単価がぶれる。ぶれた単価を見て思ったより高いと判断し、止める。あるいは数件のうち一件が良い商談につながって当たりだと判断し、増額する。どちらも根拠のない判断です。さらに、量が足りないと配信の仕組みが最適化に入らないため、その媒体の実力ではなく、学習が終わっていない状態の数字を見ていることになります。

  • 判断に要る件数を出さないまま、出せる金額のほうから逆算して決める
  • 期間だけ長く取って、月あたりの金額を下げる(件数が溜まらず学習も進まない)
  • 数件の成果から獲得単価を計算して、いまの媒体と並べて比べる
  • 最初の一週間の数字を見て、増額や停止をその場で決める
  • 同じ枠を複数の媒体に割って、どれも判断できない量にする

少額から始めること自体が悪いのではありません。判断できる最低量を先に出し、その額が出せないなら今期は試さないと決めるのが正しい順番です。出せる金額から逆算して「この額でできる範囲で」と決めると、判断できない配信に予算を払い続けることになります。小さく始めて広げるという進め方は、検証できるだけの量が確保できている場合にだけ成り立ちます。

問い④ 成果をどの数字で見るか

四つ目は、何を見て良し悪しを言うかです。ここで落ちやすいのが、その媒体の管理画面に出る数字だけで判断してしまうことです。表示回数、クリック率、クリック単価——これらは配信が動いているかを見る中間の数字であって、出稿の目的そのものではありません。

BtoBの広告では、クリック率やクリック単価は中間の指標でありゴールではない、と繰り返し言われます。見るべきは、商談化した割合や受注まで追えているか、そして取れた問い合わせのうち狙った属性がどれだけ含まれているか、です。件数だけを見ていると、質の低い問い合わせが増えて営業の負荷になり、数字の上では良い媒体が現場では嫌われる、という食い違いが起きます。

出す前に決めるのは、この見る数字を絞ることです。主に見る数字を一つ、補助で見る数字を二つまでにしておくと、結果が出たときに解釈が割れません。獲得単価の相場は業種によって幅があり、一件あたり1万から5万円程度という目安が示されることもありますが、他社の相場と比べるより、自社のいまの媒体の実績と並べるほうが判断しやすくなります。

狙った属性がどれだけ含まれているかは、数え方を先に決めておきます。取れた問い合わせのうち、業種、企業の規模、役職の三つが条件に合うものを数え、全体に対する割合を出す。この割合は、件数が少ない段階でも傾向が読めるところが利点です。③の最低量に届く前の途中経過として見るぶんには使えますが、この数字だけで止める判断はしません。件数が溜まるまでは、あくまで見込みの確認に留めます。

媒体の管理画面に出る数字と、自社に残る数字

管理画面の数字と自社の台帳の数字は、一致しません。計測の仕組みも、数える単位も、期間の切り方も媒体ごとに違うためです。新しい媒体を試すときは、出す前に自社の台帳側で受け取れる形を作っておきます。作っていないと、配信が終わってから突き合わせができません。

具体的には三つです。その媒体から来た問い合わせだと分かる印を、入口に付けておくこと。付いた印が営業側の記録まで引き継がれること。引き継がれた記録で、商談まで進んだかを後から数えられること。この三つが通っていれば、媒体の管理画面がどう数えていても、自社の側で同じ物差しで比べられます。

この用意は、配信を始めてからでは間に合いません。印を付ける仕組みを後から入れても、それ以前の問い合わせには付いていないからです。試すと決めた時点で最初に着手するのは、配信の設定ではなく受け取り側の用意です。ここを飛ばすと、④の問いに答えたつもりで答えられていない状態になります。

問い⑤ やめるときに何が残るか

五つ目は、終わり方の話です。試した配信は、いつか止まります。良くて続ける、悪くて止める、どちらにしても止めた時点で手元に何が残るのかを、出す前に見ておきます。残るものが多い媒体は、成果が振るわなくても投資として意味が残ります。

残るものは、たとえばこうです。作った素材や原稿が、他の媒体でもそのまま使えるか。その媒体を通じて得た連絡先が、配信を止めた後も自社の資産として残るか。母集団の内訳や反応の傾向が、次の媒体選びの材料になるか。逆に、止めた瞬間に何も残らない形もあります。媒体側の仕組みの中だけに情報が溜まり、取り出せない場合がそれにあたります。

もう一つ見ておくのが、乗り換えの手間です。設定や連携に時間をかけた媒体ほど、止める判断が鈍ります。かけた手間が大きいほど、やめにくくなるという性質があるので、手間の大きい媒体ほど、始める前に撤退の線をはっきりさせておく必要があります。

やめる線を、出す前に三段階で決めておく

撤退の線は、続けるか止めるかの二択で考えると決まりません。実際の設計では、目標との乖離の度合い、その状態が続いた日数、積み上がった成果の件数という三つの条件を組み合わせ、青信号、黄信号、赤信号のように三段階で先に確定しておく、という組み方が紹介されています。

三段階にすると、途中で打てる手が増えます。二択だと「まだ様子を見る」か「止める」しかありませんが、三段階なら、黄信号の段階で配信の中身を作り直す、届ける範囲を絞る、金額を落として続ける、といった選択肢が入ります。止める、縮める、作り直すの三つに分けておくと、二択に持ち込まずに済みます。

この線は、出したあとに決めると必ず甘くなります。使った金額と手間が判断に入ってくるためです。線を引けるのは、まだ一円も使っていない時点だけです。決めた線を当てはめるのは、③で出した最低量に届いたあとからです。最低量に届く前の数字で止めるのは、判断ではなく気分になります。

なお、ここで扱うのは、これから試す一本について出す前に引いておく線です。すでに出している媒体をどう整理するかは、また別の話になります。増やす側の判断と、抱えている本数を絞る判断は、見る材料も決め方も違うので、同じ場で混ぜないほうがうまくいきます。

試す枠を年間予算のどこから出すか

5つの問いに答えられても、金が出なければ試せません。実務でよく起きるのは、いまの配信が計画どおり回っているときほど予算に余りがなく、新しい媒体の話が年度末まで持ち越される、という状態です。試す枠は、年間の予算を組む時点で先に切り出しておきます。なお、予算が増えたときに増えた分をどこへ寄せるかは別の話で、ここで決めるのは、増えても増えなくても毎年確保しておく枠のほうです。

切り出し方は二つあります。年間の広告予算のうち一定の割合を、最初から「まだ出していない媒体に使う枠」として確保しておく形。もう一つは、いまの配信で毎月出る使い残しを、その枠に寄せる形です。前者は計画性がありますが、使わないと余ります。後者は無駄が出ませんが、月によって額がぶれるので、③で出した最低量に届かない月が生まれます

金額の見当を持っておくと、枠の大きさを決めやすくなります。媒体ごとの月あたりの予算の目安として、次のような幅が示されています。ここに挙がっているのは相場であって自社の必要額ではありませんが、枠がこの下限にも届かないなら、その媒体は今期の候補から外すという使い方ができます。

媒体の種類月あたりの予算の目安最低の出稿額
検索連動の広告10万〜100万円定めなし(日あたり数百円から)
大手の交流サイトの広告10万〜100万円定めなし(日あたり数百円から)
仕事上のつながりの場の広告30万〜300万円日あたり1,000円程度
短文投稿の場の広告10万〜100万円定めなし
業界の専門誌1回あたり50万〜500万円10万円から
交通広告100万〜1,000万円数十万円から

同時に何本まで試してよいか

複数の媒体を一度に試したくなりますが、本数には上限があります。上限を決めるのは予算の総額ではなく、③で出した最低量です。試す本数は、確保した枠を最低量で割った数より多くできません。枠が最低量の二本分しかないなら、二本までです。三本に割ると、三本とも判断できない量になります。

もう一つの制約が、見る人の数です。新しい媒体は、設定、素材の用意、途中の調整、受け取り側の突き合わせと、いまの媒体より手がかかります。同時に走らせる本数が増えるほど、一本あたりに割ける時間が減り、どれも中途半端な運用になります。運用の担当が一人なら、同時に走らせるのは一本が現実的です。

本数を絞ると、順番の問題が出ます。どれから試すかは、5つの問いの答えが一番はっきりしている媒体から、と決めておくと迷いません。答えが埋まらない媒体は、順番が後になるのではなく、埋まるまで試さないという扱いにします。埋まらないまま順番だけ前に来る、という事態を防げます。

AIの使いどころと、AIに決めさせない範囲

この一連の作業で、AIが効くところははっきりしています。一つは②の重なりの点検です。いま出している媒体と、候補の媒体それぞれについて、集まっている人の性格、流入の動機、属性の内訳を並べた表を作らせ、重なりそうな組み合わせを挙げさせる。並べる作業と、見落としの指摘は機械のほうが速いです。

もう一つが、過去の配信実績から当たりの仮説を出すところです。これまでの配信で、どの属性の相手が、どの訴求で、どの時期に反応したかを読ませ、新しい媒体で最初に当てる仮説を並べさせます。ここでも、出させるのは仮説であって結論ではありません。どの実績のどの行から出した仮説かを必ず書かせます。根拠の行を示せない仮説は、候補から外します。

一方で、出す出さないの決めはAIにさせません。理由は二つあります。営業の体制や来期の商材、社内の合意といった、実績の数字に出ていない条件が判断に効くこと。そしてもう一つ、決めをAIに渡すと、結果が悪かったときに誰も振り返らなくなることです。

人が確認する範囲も、先に決めておきます。全部を検算すると続きません。実務で回るのは、母集団の内訳、重なりの見立て、最低量の計算という三つについて、人が元の資料に当たって確かめるという線です。この三つが崩れていると、あとの判断がすべてずれます。

よくある質問

提案された媒体を、その場で断ってよいですか

断って構いません。ただし、断る理由を5つの問いのどれかに紐づけて伝えると、次の提案の質が変わります。「母集団の内訳が出ないので判断できない」「いまの媒体と重なりが大きそう」と返せば、媒体側が内訳や重なりの材料を持ってくることがあります。その場で答えを出さず、5つの問いを埋めて回答すると伝えるのが、双方にとって早い進め方です。

いまの媒体の成果が落ちているときこそ、新しい媒体を試すべきですか

落ちている原因によります。母集団を掘り尽くして届く相手がいなくなったのなら、①の問いに合うので試す意味があります。素材が古びた、訴求が合わなくなったといった原因なら、新しい媒体に移っても同じことが起きます。原因を切り分けてからでないと、媒体を変えたことが原因の特定を邪魔します

試した媒体の成果が悪かったら、失敗ですか

③の最低量まで出したうえで悪かったのなら、失敗ではなく判断です。その媒体は自社に合わないと言い切れるようになったのだから、次の候補を選ぶ材料が増えています。失敗と呼ぶべきなのは、最低量に届かないまま止めて、合うとも合わないとも言えない状態のほうです。

判断できる金額がどうしても出せないときは、どうしますか

試す媒体を減らして、一本に集めます。二本を半分ずつで出すより、一本を最低量まで出したほうが、その年に増える情報は多くなります。それでも足りないなら、今期は見送り、枠を来期に積みます。判断できない配信に払うより、払わずに待つほうが安いという前提で考えます。

媒体の担当者が出してくる成果の見込みは、どこまで信じてよいですか

見込みの数字そのものより、その数字の出どころを聞きます。同業他社の実績なのか、媒体全体の平均なのか、机の上の計算なのか。出どころが同業他社の実績なら、その企業の商材の単価が自社と近いかを確かめます。単価が一桁違えば、同じ配信量でも成り立ち方が変わるからです。出どころを答えられない見込みは、③の計算には使いません。

まとめ

新しい広告媒体を試すかどうかの要点は、出す前に答えを出しておける5つの問いを埋めてから出す、という順番に尽きます。①いま届いていない相手がその媒体の母集団にいるかを、総数ではなく自社の相手に当たる部分の大きさで見る。②いまの媒体と見ている人が重なっていないかを、足した分だけ増えるという前提を外して見る。③判断に要る成果の件数から逆算して最低いくら何週間かを先に出し、その額が出せないなら今期は試さないと決める。④見る数字を一つに絞り、媒体の管理画面ではなく自社の台帳に残る形を出す前に作っておく。⑤やめたときに何が残るかを見たうえで、撤退の線を一円も使っていない時点で三段階で引いておく。試す枠は年間の予算を組む時点で切り出し、同時に走らせる本数は枠を最低量で割った数までに抑える。AIには重なりの点検と、過去の実績からの仮説出しを任せてよいものの、出す出さないの決めはさせず、仮説には必ず根拠の行を書かせる。まずは、いま提案を受けている媒体について、母集団の内訳を出してもらうところから始めてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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