SaaSのAI機能が勝手に有効になる原因|気づいて止める手順

「会議のソフトを開いたら、いつの間にか画面の横にAIの入口ができていて、社員がもう使っていた」「AIは許可制にしているはずなのに、文書のソフトに付いたAIは誰も申請していなかった」。情報システムや総務の担当者から、こうした声が増えています。どちらも、社員が勝手に新しい道具を入れたわけではありません。会社が契約して使っているソフトの側で、ある日AIの機能が加わっていたのです。問題は社員の行動ではありません。本当は、既に使っているソフトの変化を、会社が受け取って判断する仕組みが無いことです。この記事では、業務ソフトのAI機能が既定で有効になる原因を四つに分け、気づく仕組み、止めるか開けるかを決める手順、社員への周知までを整理します。
カメ先生会社が契約しているクラウドのソフトは、提供元の判断で中身が更新されていく。最近はその更新で、AIの機能が次々に加わっているんだ。
カメ子新しい機能なら、使う前に会社に確認が来るものではないのですか。
カメ先生そうとは限らない。既定で有効のまま届くこともあるし、告知が管理者の画面にしか出ないこともある。だから気づく仕組みを先に作る。AIには設定の洗い出しや、規約の差分の下読みを任せられるけれど、開けるかどうかの承認は人が持つんだ。
カメ子気づく仕組みと決める手順を、分けて持っておくのですね。
- 原因は四つ。更新が自動で届く・告知が管理者にしか届かない・既定値が有効・データの扱いが別の条項に書かれている
- 管理画面の変更履歴、提供元の告知の受け取り手、年次の棚卸しの三つで、全製品を横断して気づく
- 読むデータ・学習・保存先・追加料金の4つの問いで決める。AIは下読みまで、開ける承認は人が持つ
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使っているソフトに、ある日AIが入っている
会議、チャット、文書、表計算、顧客管理、デザインといった業務ソフトの多くは、いまやクラウドで提供されるSaaSです。SaaSは、買い切りのソフトと違って、提供元がいつでも中身を更新できます。会社が何もしなくても、ある朝ソフトを開くと新しい機能が加わっているのが、SaaSのふつうの姿です。この性質自体は、修正や改善がすぐ届くという利点でもあります。
ここ一、二年で目立つのは、その更新でAIの機能が加わる例です。会議の要約、メールの下書き、文書の要約、画面の横に出る対話の窓など、形はさまざまです。社員から見れば、見慣れたソフトの中にボタンが一つ増えただけなので、新しい道具を使い始めたという自覚が生まれにくいのが特徴です。会社がAIの利用を申請制にしていても、この形の利用は申請の網にかかりません。
その結果、会社のAIの利用の決まりと、実際に社員が使えるAIの範囲との間に、ずれが生まれます。決まりの上では許可したAIしか使っていないはずなのに、実際には十を超えるソフトの中でAIの機能が動いている、という状態です。このずれに誰も気づかないまま時間がたつことが、この記事で扱う問題の中心です。許可されていない外部のAIを社員が自分で使う問題は、許可外のAI利用を扱った記事で整理しています。
既定で有効になる例は、大手のソフトでも公式に書かれている
これは一部の小さなサービスだけの話ではありません。グーグルのワークスペースの管理者向けヘルプでは、メール・カレンダー・ドライブ・文書・表計算・スライド・会議・チャットなどの各サービスについて、ジェミニの機能の既定の設定は「オン」と書かれています。止めるには管理画面で設定を変える必要があり、そのためにはジェミニの設定を扱う管理者の権限が要ります。
同じヘルプには、見落としやすい一文もあります。あるアプリでジェミニをオフにしても、別のアプリのジェミニを使うと、そのアプリのデータに触れられる場合がある、という趣旨の記述です。一つのソフトで止めたつもりでも、別の入口からデータが読まれることがあるということで、ソフトごとの設定だけを見ていると気づけません。
マイクロソフトの公式の管理者向け文書では、対話型のAIである「コパイロットチャット」が、対象の利用者の大半で既定でピン留めされると書かれています。そして、ピン留めを外してもコパイロットチャットへの入口がなくなるわけではなく、別の入口から使える場合があること、利用を止めるにはブロックという別の操作が要ることが説明されています。「表示を消す」と「使えなくする」が別の操作になっている例です。
さらに、マイクロソフトは2026年5月15日の管理者向けの告知で、文書の共有の場であるシェアポイントに付くコパイロットを、6月中旬から「管理者が外さない限り表示される」形の試験提供として展開すると案内しました。対象はコパイロットの有償の利用権を持つ利用者で、会社全体か、サイトごとに外す操作は、命令文を打ち込む管理用の道具で行うとされています。試験提供の段階から、既定で有効の形で届く例です。
原因1:更新が自動で届き、契約の更新とは関係がない
一つ目の原因は、SaaSの更新が、会社の契約の更新の時期とは関係なく届くことです。年間契約のソフトでも、契約の途中で機能は何度も変わります。会社が契約の内容を確かめるのは年に一度の更新のときだけ、という運用だと、その間に加わったAIの機能は、次の更新まで誰の目にも触れません。
しかも、AIの機能の追加は、多くの場合、段階的に届きます。一部の会社から順に届く、試験提供として先に届き、後から正式提供になる、といった形です。同じソフトでも、自社にいつ届くかは提供元の案内を読まないと分かりません。更新の時期を会社が選べない以上、届いた後に気づく仕組みが要るということになります。
提供元の側では、更新の予告をしていることが多いものの、その予告は数十件の更新の案内の中の一件にすぎません。AIに関わる更新だけを拾い出す仕組みがないと、予告が出ていても実質的には見えていないのと同じです。提供側の更新全般に、会社としてどう備えるかは、AIの変更管理を扱った記事でも整理しています。
原因2:告知が管理者の画面にしか届かない
二つ目の原因は、更新の告知が、管理者の画面や管理者宛てのメールにしか届かないことです。マイクロソフトの場合、管理者向けの告知は「メッセージセンター」という管理画面の一角にまとまって出ます。管理者の権限を持つ人が画面を開かない限り、告知は誰にも読まれません。
ここで起きやすいのが、管理者の権限を持つ人と、AIの利用の決まりを作る人が別の部署にいる状態です。情報システムの担当者は管理画面を見ていても、それがAIの利用の決まりに関わる更新かどうかを判断する立場にない。一方、決まりを作る総務や法務の担当者は、管理画面を見る権限を持たない。告知を読む人と、判断する人が分かれていると、告知は読まれても判断の場に届きません。
さらに、小さな会社では、管理者の権限を契約した時の担当者一人だけが持っていて、その人が異動した後、誰も管理画面を開いていない、ということも珍しくありません。管理者宛てのメールの宛先が、既にいない人のアドレスのままになっている例もあります。告知の宛先そのものが生きているかを、まず確かめる必要があります。
原因3:既定値が有効で、止めても入口が残る
三つ目の原因は、AIの機能の既定値が「有効」になっていることです。前の節で見たように、大手のソフトでも既定でオンの例が公式に書かれています。既定でオンの機能は、会社が何も決めなかったときに、社員が使える状態で残るということです。何も決めないことが、結果として「開ける」を選んだことになります。
しかも、止めるための操作が一つとは限りません。表示を消す設定、機能を止める設定、特定の部署だけに開ける設定、別のアプリからの読み取りを止める設定が、それぞれ別の画面にあることがあります。マイクロソフトの例のように、表示を消しても別の入口から使える場合もあります。一つの設定を変えただけで「止めた」と報告しないことが大切です。
また、会社全体の既定と、部署ごとの設定の関係にも注意が要ります。グーグルのワークスペースでは、組織の部門やグループの単位で設定を変えられるとヘルプに書かれています。会社全体でオフにしても、ある部門だけ以前の設定が残っていてオンのまま、という食い違いは、設定を一つずつ見ないと気づけません。
AIの機能そのものだけでなく、その機能が外へ問い合わせる動きにも既定値があります。マイクロソフトの管理者向け文書では、コパイロットチャットが答えを良くするために外部の検索の仕組みへ検索語を送ることがあり、その可否を決める方針を管理者が設定しなければ、ウェブの検索は既定で使える状態になると説明されています。機能を開けるか止めるかとは別に、機能が社外へ何を送るかの既定値も、止める操作の一覧に加えておく必要があります。
原因4:データの扱いが、別の条項や別の文書に書かれている
四つ目の原因は、AIの機能に関わるデータの扱いが、ソフト本体の契約とは別の条項や別の文書に書かれていることです。例えば、AIの機能の利用については追加の条件が定められていたり、AIの処理のために別の事業者にデータが渡る旨が別の文書に書かれていたりします。ソフト本体の契約を確かめたときには無かった条件が、AIの機能の追加とともに加わることがあります。
会社として気にすべき点は、主に三つです。入力や処理されたデータがAIの学習に使われるか、データがどこに保存され、どれくらいの期間残るか、処理のために別の事業者に渡るか、です。企業向けの契約では学習に使わないと定めている提供元も多いものの、それが新しいAIの機能にも同じように当てはまるかは、文書で確かめないと分からないのが実情です。
さらに、AIの機能が無料で届くとは限りません。最初は無料の試験提供として届き、後から有償の追加契約が要るようになる例や、使った量に応じて料金がかかる例もあります。入力した内容を学習させない設定をどこで確かめるかは、学習させない設定の確認項目を扱った記事で詳しく整理しているので、本稿では「確かめる項目の一つ」として扱います。
気づかないまま放っておくと、何が起きるか
四つの原因が重なると、会社のAIの利用の決まりは、実態と合わない紙になっていきます。具体的に起きやすいことを挙げておきます。どれも、社員に悪意がなくても起きる点が厄介です。
- 社外の相手との会議が自動で要約され、要約が参加者全員に送られていた
- 顧客の個人情報を含む表を、表計算のソフトに付いたAIに要約させていた
- 無料の試験提供のつもりで使っていた機能が、後から有償になり請求が増えた
- AIの利用は申請制という決まりが、申請の無いAIの利用で実質的に崩れていた
- 取引先から「御社はどのAIを使っていますか」と聞かれ、答えられなかった
最後の例は、今後増えていくと考えられます。取引先の中には、委託先や取引先にAIの利用の状況を尋ねたり、契約でAIの利用に条件を付けたりする会社が出てきています。自社で使えるAIの一覧を答えられない状態は、取引の信頼にも関わるということです。
もう一つ見落とせないのは、社員の側の混乱です。「会社の決まりではAIは申請制と聞いたが、会社のソフトに最初から付いているAIは使ってよいのか」という問いに、担当者が答えられないと、慎重な社員は使わず、慣れた社員は使う、という差が生まれます。決まりのあいまいさは、使う人と使わない人の差として現場に出るので、原因への手当てと同時に、社員への説明も整える必要があります。
気づく仕組み1:告知の受け取り手を決め、管理画面の変更履歴を見る
ここからは対策です。最初にやるのは、各ソフトの管理者向けの告知を、誰が受け取るかを決めることです。管理者の権限を持つ人の一覧を作り、管理者宛てのメールの宛先が、部署の共有のアドレスになっているかを確かめます。個人のアドレスではなく、部署で読むアドレスに告知を集めると、異動で途切れることがなくなります。
次に、管理画面の変更の記録を見る習慣を作ります。多くの業務ソフトには、管理画面の設定が、いつ、誰によって、どう変わったかを残す記録の機能があります。提供元の更新で新しい設定の項目が加わったときにも、そこから気づけることがあります。週に一度、決まった曜日に、主要なソフトの告知の欄と変更の記録を開くと決めておくと、見る人が変わっても続きます。
告知の欄を開いたときに、全部を読む必要はありません。AIに関わる更新を拾えれば十分です。題名や本文に、AI、要約、下書き、アシスタント、エージェント、各社のAIの製品名といった語が含まれる告知だけを抜き出して読みます。この抜き出しの作業は、AIに手伝わせることもできます。ただし、抜き出された告知を読んで、自社に影響があるかを判断するのは人です。
気づく仕組み2:提供元の更新情報を購読し、判断する人に回す
管理画面の告知に加えて、提供元が公開している更新情報のページや、製品のブログ、変更の予定表を購読しておきます。管理画面の告知は、既に届いた変更や直前の予告が中心ですが、公開の更新情報には、数か月先の予定が載っていることがあります。先の予定が分かれば、届く前に判断を済ませられるのが利点です。
購読した情報は、読む人と判断する人を分けて回します。情報システムの担当者がAIに関わる更新を拾い、一行の要約を付けて、AIの利用の決まりを管理する担当者に回す、という流れです。回す先は、決まりを管理する人のほかに、個人情報の扱いを見る担当、契約を見る担当も含めておくと、原因4のデータの扱いの変化を見落としにくくなります。
回す頻度は、週に一度のまとめで十分な場合が多いものの、「既定でオンのまま届く」「数日以内に届く」と書かれた告知だけは、その日のうちに回すと決めておきます。届いてからでは、社員が使い始めた後の対応になり、止める判断が重くなるからです。
回すときの一行の要約は、形をそろえておくと判断が速くなります。例えば「製品名/加わる機能/届く日/既定の状態(オンかオフか)/読むデータ/料金の変化/告知の原文へのリンク」の七項目を一行に並べる形です。項目の埋め方をAIに下書きさせる場合も、既定の状態と届く日は告知の原文の該当箇所を添えさせ、空欄のまま回すことを許します。推測で埋めた一行は、判断を誤らせるからです。
気づく仕組み3:年に一度、全製品を横断して棚卸しする
週ごとの見張りに加えて、年に一度、会社が契約している業務ソフトの全部を横断して、AIの機能の有無と設定の状態を棚卸しします。見張りは告知が出たものしか拾えませんが、棚卸しなら告知を見落としたものや、部署が独自に契約したソフトも拾えます。棚卸しで一覧にする項目を表にまとめます。
| 項目 | 確かめること | 確かめる場所の例 |
|---|---|---|
| 製品と契約者 | どの部署が、どの名義で契約しているか | 契約の一覧・請求の明細 |
| AIの機能の有無 | AIの機能が加わっているか、その名前 | 提供元の更新情報・管理画面 |
| 既定の状態 | 有効か無効か、誰に開いているか | 管理画面の設定 |
| 止め方 | 表示を消す操作と、使えなくする操作が別か | 管理者向けヘルプ |
| 読むデータ | どのファイル・会話・顧客情報を読むか | 製品の説明・管理者向けヘルプ |
| 学習と保存 | 学習に使われるか、保存先と期間 | データの扱いの文書・契約の条項 |
| 料金 | 無料か、追加の契約か、使った量に応じるか | 料金の表・契約 |
| 会社の判断 | 開ける・止める・一部だけ開ける、判断した日と人 | 社内の台帳 |
表の最後の行「会社の判断」が、棚卸しのいちばん大切な欄です。判断の欄が空の製品は、既定のまま放置されているということで、次の節の手順で判断を済ませます。判断した日と判断した人を書いておくと、次の棚卸しのときに、判断の後に届いた変化だけを見ればよくなります。
棚卸しの対象の洗い出しには、請求の明細を使うのが確実です。部署や個人の経費で契約されたソフトは、管理者の一覧に載っていないことがあります。AIツールの費用の棚卸しと同じ時期に行うと、契約の一覧を作る手間を一度で済ませられます。
止めるか開けるかは、4つの問いで決める
AIの機能に気づいたら、止めるか、開けるか、一部だけ開けるかを決めます。判断の軸は、四つの問いにまとめられます。一つ目は「何のデータを読むか」、二つ目は「学習に使われるか」、三つ目は「どこに保存され、どれくらい残るか」、四つ目は「追加の料金がかかるか」です。四つの問いに答えられないうちは、開けないのが原則です。
一つ目の読むデータは、最も影響が大きい問いです。会議の要約なら会議の音声と参加者の発言、文書のAIならその社員が見られるすべての文書、顧客管理のAIなら顧客の情報を読みます。AIは、その社員が見られるものを読めることが多いので、社内の共有の設定が緩いと、本来見るべきでない情報がAIの答えに出てくることがあります。二つ目と三つ目は、提供元の文書で確かめ、確かめられなければ確かめられないと台帳に書きます。
四つ目の料金は、見落とされがちですが大切です。無料の試験提供として届いた機能を開けると、正式提供のときに有償に切り替わり、社員が既に業務で頼っているので止められない、という状態になりがちです。開ける判断のときに、有償になった場合に続けるかどうかも決めておくと、後で迷わずに済みます。
決める手順:いったん止めてから、目的のある部署に開ける
判断の手順は、次の五つの段階に分けると進めやすくなります。ポイントは、既定でオンの機能を、判断が済むまでいったん止めておくことです。止めることで社員に不便が出る場合もありますが、判断が済まないまま使われ続けるより、影響は小さく済みます。
判断が済んでいない機能は、表示を消す操作と使えなくする操作の両方を確かめて止めます。止めたことを、影響する部署に短く知らせます。
読むデータ・学習・保存先と期間・追加料金を、提供元の文書で確かめて台帳に書きます。確かめられない項目は空欄にせず「確かめられない」と書きます。
どの部署が、どの業務で、何のために使いたいかを聞きます。目的がはっきりしない場合は、開ける理由がまだ無いと判断します。
目的のはっきりした部署だけに、期間を区切って開けます。社外の相手が入る会議や、顧客の情報を扱う業務は、別に条件を決めます。
試した結果と、問題が出なかったかを確かめ、全社に広げるか、その部署だけにするか、閉じるかを決め、判断した日と人を台帳に書きます。
手順の中で、AIに手伝わせてよいのは、管理画面の設定の洗い出し、提供元の文書から四つの問いに関わる箇所を抜き出す下読み、前の版の文書との差分の要約までです。AIに「この機能は開けて問題ない」と判断させないことを決めておきます。AIの下読みは、どの文書のどの箇所を根拠にしたかを必ず添えさせ、人がその箇所を読んで確かめます。一つの製品を全社に開けるときの細かな設計は、ワークスペースのAIを全社に開ける範囲を扱った記事で整理しています。
社員への周知は、機能の名前ではなく業務の場面で書く
止めるにしても開けるにしても、社員への周知が要ります。周知の文面でよくある失敗は、機能の名前と設定の内容だけを並べることです。社員の多くは機能の名前を覚えていないので、「〇〇の機能を無効にしました」と書かれても、自分のどの作業に関わるのか分かりません。「会議の後に自動で届いていた要約は、今後届きません」のように、業務の場面で書くと伝わります。
周知には、三つの要素を入れます。何が変わったか(業務の場面で)、なぜ変えたか(一文で)、使いたい場合はどこに相談するか、です。特に三つ目が無いと、使えなくなった社員が、個人で契約した別のAIに流れることがあります。止めるときこそ、相談の窓口と代わりの道筋を一緒に書くことが、許可外の利用を増やさないためのこつです。
開ける場合の周知では、使ってよい業務と、入れてはいけない情報を具体的に書きます。例えば「社内の会議の要約には使ってよい。社外の相手が入る会議では、相手に伝えてから使う」「顧客の個人情報を含む表には使わない」といった書き方です。周知の文面の下書きをAIに作らせるのは構いませんが、何を許し何を禁じるかは、決まりを管理する担当者が書き込みます。
AIに任せる範囲と、人が持つ判断を分けておく
ここまでの対策の中で、AIが役に立つ作業は少なくありません。告知の中からAIに関わる更新を抜き出す、提供元の長い文書から四つの問いに関わる箇所を拾う、前の版との差分を要約する、棚卸しの表の下書きを作る、周知の文面を業務の場面で書き直す、といった作業です。量の多い読み物を下読みさせることに、AIは向いています。
一方で、人が持つべき判断ははっきりさせておきます。機能を開けるかどうか、どの部署に開けるか、社外の相手が入る場面でどう扱うか、有償になったときに続けるか、の四つです。AIの下読みは、根拠の箇所を必ず添えさせ、根拠の箇所が文書の中に見当たらない要約は採りません。AIは文書に書かれていないことを、もっともらしく補って書くことがあるからです。
また、AIに管理画面の設定を直接変えさせることもしません。設定の変更は、影響する社員の数が多く、誤って広く開けてしまうと取り返しがつきにくい操作です。AIには変更の案と、その根拠を出させ、変更の操作は管理者の権限を持つ人が、判断の記録を残したうえで行います。
- 各社の管理画面の名前や設定の場所は、提供元の更新で変わる。手順書には確かめた日付を書く
- 本稿で挙げた製品の挙動は、各社の公式の管理者向け文書で確かめた範囲。自社の契約の種類で違うことがある
- 生成AIのサービスそのものの利用規約の改定への備えは、規約改定を扱った記事で整理している
ミニ用語解説
この記事に出てきた言葉のうち、社内で意味がずれやすいものを短くまとめます。周知の文面や台帳を作るときの言葉合わせに使ってください。
既定値:会社が何も設定しなかったときの状態のこと。既定値が「有効」の機能は、何もしなければ社員が使える状態で残ります。管理者向けの告知:提供元が、管理者の画面や管理者宛てのメールで出す更新の案内。社員には届かないことが多く、読む人を決めておかないと誰も読みません。
試験提供:正式に提供する前に、一部または全部の利用者に先に届ける段階のこと。管理者が外さない限り届く形のものもあり、後から有償に切り替わることもあります。棚卸し:会社が契約している業務ソフトとAIの機能を、年に一度など決まった時期に洗い出し、状態と会社の判断を一覧にする作業のこと。
ピン留め:ソフトの画面の決まった場所に、機能の入口を固定して表示すること。ピン留めを外しても、機能そのものが使えなくなるとは限りません。学習に使う:入力や処理されたデータを、提供元がAIの改良のために使うこと。使わないと契約で定めている場合も、新しい機能に同じ条件が当てはまるかは文書で確かめます。
まとめ
SaaSのAI機能が勝手に有効になる原因は、四つに分けられます。更新が契約の時期と関係なく自動で届くこと、告知が管理者の画面にしか届かないこと、既定値が有効で止めても別の入口が残ること、データの扱いが別の条項や文書に書かれていることです。大手のソフトでも、AIの機能の既定がオンであることや、表示を消す操作と使えなくする操作が別であることが、公式の管理者向け文書に書かれています。対策は、告知の受け取り手を部署のアドレスに決めて週に一度変更の記録を見ること、提供元の更新情報を購読して判断する人に回すこと、年に一度全製品を横断して棚卸しすることです。気づいたら、読むデータ・学習・保存先・追加料金の4つの問いに答えるまでいったん止め、目的のある部署に試しに開けてから広げます。AIには告知の抜き出しや文書の下読みを任せ、根拠の箇所を添えさせますが、開けるかどうかの承認は人が持ちます。まずは、契約している業務ソフトの管理者宛てのメールの宛先が、いまも読まれるアドレスになっているかを確かめるところから始めてみてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
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