Pardotは残すか移すか?|AI機能で決める移行判断

「Pardotはもうすぐ終わるらしいから、早く次に移らないといけない」「新しいAI機能を使うには、全部を作り直して乗り換えるしかない」。MAの担当者の間で、こうした話がよく出回っています。どちらも、半分は当たっていて、半分は公式の説明と合いません。セールスフォースの公式ブログは、2025年7月の時点でPardot(現在の名前はアカウント・エンゲージメント)を引退させないと説明し、2026年9月時点でも終了日の公式な告知は見当たりません。一方で、新しいAI機能への投資は、後継の「マーケティング・クラウド・ネクスト」の側に集まっています。つまり、問題は終わるかどうかではありません。本当は、自社の業務にその新しいAI機能が要るかどうかで、残すか移すかが決まります。この記事では、6つの軸で両者を比べ、移行の判断を整理します。
カメ先生Pardotは終わると思われがちなんだけど、公式は引退させないと説明していて、更新も続いているんだ。ただ、新しいAI機能は後継のマーケティング・クラウド・ネクストの側で作られている。
カメ子終わらないのに移る理由があるのは、新しいAI機能を使いたい場合ということですか。
カメ先生そう。しかも今のPardotの契約のまま、後継の機能の一部を並べて使える道も用意されている。だから、残すか移すかは二択に見えて、実際は間に段階があるんだ。現行のメールや規則の棚卸しはAIに手伝わせていいけれど、どこまで移るかをAIに判断させてはいけないよ。
カメ子全部移すか、何も変えないかの二択ではないんですね。
- Pardotの終了日は公式に発表されていないが、新しいAI機能は後継のマーケティング・クラウド・ネクストに入っている
- 今の契約のまま後継の機能を並べて使える道があり、残すか移すかの間に段階がある
- 判断はAI機能の要否、データの置き場所、作り直しの量、費用、担い手、時期の6つの軸で比べる
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「Pardotはもうすぐ終わる」は公式の説明と合わない
まず、よく聞く誤解から確かめます。Pardotが終わるという話は、名前が変わったことと、後継の製品が発表されたことが重なって広まったものと考えられます。セールスフォースは、2025年7月15日の公式ブログで、アカウント・エンゲージメントの利用者に新しい機能を届けることを説明し、その中でアカウント・エンゲージメントは引退させないと明言しています。
本稿の執筆時点である2026年9月に、セールスフォースの公式ブログ、公式ヘルプ、公式ニュースを確かめた範囲では、Pardotの提供終了の日付や、新規の受付を止めるといった告知は見当たりませんでした。ただし、製品の方針は変わりうるものです。「終わらない」と言い切るのではなく、「終了の告知は出ていない」という状態として扱い、判断の前に最新の公式情報と担当営業の説明を確かめます。
一方で、「何も変わらない」わけでもありません。2026年6月3日の公式ニュースでは、見込み客を見つけて育てるエージェント、コンテンツを作るエージェント、キャンペーンの目標から施策を組み立てるエージェントなどが発表されましたが、そこで名前が挙がっているのはマーケティング・クラウド・ネクストの側で、Pardotへの言及はありませんでした。新しい機能の発表の中心は、後継の側にあります。
つまり、Pardotは「急いで逃げ出さなければならない製品」でも「このまま何も考えなくてよい製品」でもありません。今の機能で業務が回っているなら、急いで移る必要はない。ただし、新しいAI機能を業務に取り入れたいなら、後継の側を検討することになる。判断の起点は、終了の噂ではなく、自社がAI機能をどう使いたいかです。
名前の整理:Pardot、アカウント・エンゲージメント、ネクスト
比較に入る前に、名前を整理しておきます。混乱の多くは、同じものが複数の名前で呼ばれていることから生まれています。Pardotは、セールスフォースが提供している法人向けのMAの製品で、現在の正式な名前は「マーケティング・クラウド・アカウント・エンゲージメント」です。社内では今もPardotと呼ぶ人が多く、この記事でも両方を同じものとして扱います。
マーケティング・クラウド・ネクストは、2025年6月の催しで発表された、セールスフォースのマーケティングの次の世代の製品です。公式の説明では、セールスフォースの基盤の上に直接作られ、データを束ねる「データ360」と、AIのエージェントの仕組みである「エージェントフォース」を中核に置いています。データ360は、以前はデータクラウドと呼ばれていたもので、公式の資料でも両方の名前が混在しています。
もう一つ、「アカウント・エンゲージメント+」という上位版の名前も出てきます。2025年9月10日の公式ブログでは、既存の利用者が後継の機能を使うための上位の区分として紹介されています。Pardotの契約のまま後継の機能を足す形と、後継の製品へ本格的に移る形は別物なので、社内の会議で「ネクストに移る」と言うときは、どちらを指しているのかを最初にそろえておきます。
名前をそろえずに議論すると、ある人は「今の契約に機能を足す話」をしていて、別の人は「全部を作り直す話」をしている、という食い違いが起きます。見積もりの規模も工程もまったく違うため、決裁の段階で話が戻ることもあります。社内の資料には、使う名前と、その名前が指す範囲を最初の一枚に書いておくと、この食い違いを防げます。
新しいAI機能はどちら側に入っているか
残すか移すかを考えるうえで、いちばん大事なのが、新しいAI機能がどちら側で使えるかです。2025年7月の公式ブログでは、アカウント・エンゲージメントの利用者が使えるようになる機能として、エージェントフォースによるキャンペーンの作成、普通の文章で条件を書いて対象の集団を作る機能、ショートメッセージの配信、複数の種類の記録をまたいだ差し込み項目、規則による内容の出し分けが挙げられています。
ここで押さえておきたいのは、これらの機能はPardotの画面そのものに追加されるのではなく、後継の仕組みを並べて使う形で届くという点です。公式ブログでは、権限セットライセンスと呼ばれる仕組みで後継の機能を使えるようにすると説明されています。Pardotの中で作ってきたメールや自動化の規則が、そのまま新しいAI機能で動くわけではありません。
2026年6月に発表されたエージェントの群れも、後継の側の話です。見込み客を見つけて育てるエージェントは一般提供とされ、コンテンツを作るエージェントとキャンペーンの目標から組み立てるエージェントは試験提供の段階です。試験提供の機能は、提供の範囲や条件が変わる可能性があるため、移行の理由にするのは一般提供になってからが安全です。
この整理から言えるのは、「新しいAI機能を使いたいかどうか」がそのまま「後継の仕組みに触れるかどうか」になる、ということです。AI機能を使わないなら、Pardotの中だけで業務は続けられます。使いたいなら、少なくとも後継の仕組みを並べて使う段階には進むことになります。次の節では、その「並べて使う」範囲を確かめます。
移さなくても使える範囲——権限と追加のクレジット
公式ヘルプによると、アカウント・エンゲージメントの利用者は、既存の環境の一部として、後継のグロース版またはアドバンスト版の機能を権限セットライセンスで使えるとされています。新しい品目に契約を更新しなくても、この機能に触れられるという説明です。2025年9月の公式ブログでも、後継の機能は既存の環境と並べて用意され、作り直しは要らないと書かれています。
ただし、「無料で全部使える」という意味ではありません。2025年7月の公式ブログでは、エージェントフォースのキャンペーン作成にはAIのリクエストとメールのクレジットが、ショートメッセージにはその配信のクレジットが、記録をまたぐ差し込み項目にはデータ360のクレジットが必要だと説明されています。機能は並べて使えても、動かすたびに減るクレジットは別に要ると理解しておきます。
- AIのリクエストのクレジット:キャンペーン作成などのAI機能を動かすたびに減る
- メールとショートメッセージのクレジット:配信の量に応じて減る
- データ360のクレジット:取り込むデータの量と処理の頻度で減る
- 付いてくる無償の分を超えた分は、追加で購入する
データ360を使い始める手順も確かめておきます。公式ヘルプでは、既存の利用者はまず担当営業に連絡してデータ360の利用を申請する必要があるとされています。また、セールスフォースの「ファンデーションズ」を有効にすると、データ360と、配信やAIのクレジットの一部が追加の費用なしで付くと案内されています。付いてくる量を超えた分は、追加で購入します。
この「並べて使う」段階は、残すか移すかの間にある選択肢として重要です。Pardotで既存のメールや自動化を動かし続けながら、新しいキャンペーンの一部だけを後継の側で試すことができます。いきなり全部を移さず、AI機能が本当に役立つかを小さく確かめられるのが、この段階の価値です。
比べる軸は6つ——残す・並べて使う・移す
ここからは、残すか移すかを比べる軸を整理します。先に見たとおり、選択肢は二択ではなく、Pardotのまま残す、Pardotを残して後継の機能を並べて使う、後継へ本格的に移す、の3つに分けて考えると判断しやすくなります。比べる軸は、AI機能の要否、データの置き場所、作り直しの量、費用の見え方、社内の担い手、時期の6つです。
| 軸 | Pardotのまま残す | 残して並べて使う | 後継へ本格的に移す |
|---|---|---|---|
| AI機能 | 新しいAI機能は使わない | 一部の施策で試す | 業務の中心で使う |
| データの置き場所 | 今のまま | データ360に一部を取り込む | データ360が前提になる |
| 作り直しの量 | なし | 試す施策の分だけ | メール・フォーム・規則・点数の設計まで |
| 費用の見え方 | 今の契約の月額 | 月額に加えてクレジットの消費 | 契約の区分とクレジットの消費 |
| 社内の担い手 | 今の担当者 | 今の担当者と新しい仕組みに慣れた人 | データと基盤に詳しい人が要る |
| 時期の決め方 | 決めなくてよい | 試す施策の時期で決める | 繁忙期と契約の更新で決める |
表を見ると分かるとおり、真ん中の「残して並べて使う」は、両端の中間の負担で、AI機能の効き目を確かめられる選択肢です。多くの会社にとって、最初に検討すべきはこの段階でしょう。いきなり右端を選ぶと、AI機能が自社の業務に合わなかったときに、作り直した分が無駄になります。
一方で、真ん中の段階を長く続けると、2つの仕組みを同時に運用する負担が積み重なります。見込み客の記録がどちらにあるか、どちらの配信が送られたかを追う手間が増えるからです。並べて使う期間には、終わりの目安を最初に決めておくことで、ずるずると二重運用が続くのを防げます。以降の節で、軸を一つずつ見ていきます。
軸1:AI機能が要る業務を名指しできるか
最初の軸は、新しいAI機能が自社のどの業務に要るのかを、具体的に名指しできるかどうかです。「AIが使えたほうがいい」という一般的な期待では、移行の理由になりません。キャンペーンの企画から配信までの時間を短くしたい、対象の集団を作る作業を営業企画の人でもできるようにしたい、といった形で、業務と困りごとを結びつけて書き出します。
書き出すときは、今その業務に誰が何時間かけているかを添えると、比較の材料になります。例えば、月に数本のキャンペーンを作るのに担当者が毎回まる一日かけているなら、エージェントフォースのキャンペーン作成で短くなる余地があるかもしれません。一方で、配信の本数が少なく、今の手順で困っていないなら、AI機能のために移る理由は弱くなります。
注意したいのは、AI機能が代わりにやるのは下書きや組み立てまでだという点です。公式の発表でも、エージェントはマーケターが決めた条件や目標にもとづいて動くとされています。条件と目標を決め、出てきた案を確かめるのは人の仕事のまま残るので、「AIで人手が要らなくなる」という前提で費用を比べると、判断を誤ります。
業務を名指しできない場合は、残す側に傾けて考えるのが自然です。名指しできる業務が1つか2つなら、真ん中の「並べて使う」段階で試すのが向いています。複数の業務で明確な効果が見込め、しかも今の仕組みでは実現できないなら、本格的な移行を検討する価値があります。AIに判断させるのではなく、この書き出しを材料に責任者が決めます。
軸2:データの置き場所がデータ360前提に変わる
2つ目の軸は、データの置き場所です。Pardotでは、見込み客の記録や行動の履歴は、主にPardotの中と、つながっているセールスフォースの顧客管理の記録に置かれてきました。後継の仕組みでは、データ360が中核に入ります。公式ヘルプでも、Pardotの見込み客のデータをデータ360に取り込む手順が案内されています。
データ360が前提になると、データの持ち方の考え方が変わります。ウェブの行動、問い合わせ、商談の記録、外部の仕組みのデータを束ね、そのうえで対象の集団を作ったり、AIに材料として渡したりする形です。新しいAI機能の多くは、データ360に束ねられたデータを材料にして動くため、取り込むデータの範囲と質が、AI機能の出来を左右します。
ここで確かめたいのは、自社のデータがどこにあり、どのくらい整っているかです。同じ会社が表記の違いで別々に登録されている、古い見込み客が大量に残っている、といった状態のまま取り込むと、AIが作る対象の集団もずれます。データ360への取り込みは、データの整理とセットで考える必要があります。整理の手間を見積もらずに移行を決めないことが大切です。
もう一つ、データの置き場所が変わると、社内の情報管理の決まりとの関係も見直しが要ります。どのデータをデータ360に取り込んでよいか、誰が見られるか、AIの材料として使ってよい範囲はどこまでかを、情報管理の担当と確かめます。MAと顧客管理の連携の設計そのものは別の記事で扱っているので、ここでは「置き場所が変わることで見直しが要る」ことを押さえておいてください。
軸3:作り直しの量——メール・フォーム・規則・点数
3つ目の軸は、作り直しの量です。後継へ本格的に移る場合、Pardotで作ってきた資産を新しい仕組みに合わせて作り直す必要が出てきます。公式ヘルプでは、Pardotのコンテンツを後継のキャンペーン用に準備する手順が案内されていますが、すべてが自動で移るわけではありません。どの資産がどのくらいあるかで、作業の量は大きく変わります。
棚卸しの対象は、主に4つです。メールの型と配信の履歴、フォームと入力の後の動き、自動化の規則と育成の流れ、見込み客の点数の付け方です。長く使ってきたPardotでは、作った人がすでに異動していて、なぜその規則があるのか誰も説明できない、ということも珍しくありません。使われていない資産を先に洗い出し、移さないものを決めると、作り直しの量を減らせます。
点数の付け方は、特に注意がいります。Pardotの点数や評価の仕組みは、後継の仕組みでは考え方が違う部分があり、移すと点数の意味が変わることがあります。点数を付け直す順番や、付け直しの間に営業へ渡す線を保つ方法は、MAの乗り換えで点数が消える原因を扱った別の記事にまとめています。本稿では、点数も作り直しの量に含めて見積もる、という点だけ押さえておきます。
真ん中の「並べて使う」段階なら、作り直しは試す施策の分だけで済みます。例えば、新製品の案内のキャンペーンだけを後継の側で作り、既存の育成の流れはPardotで動かし続ける、といった形です。作り直しの量が大きいほど、並べて使う段階で効果を確かめてから移る意味が大きいと言えます。
軸4:費用の見え方——月額からクレジットの消費へ
4つ目の軸は費用です。Pardotの費用は、これまで版ごとの月額で見えていました。後継の仕組みでは、月額に加えて、AIのリクエスト、配信、データ360のクレジットといった、使った分だけ減る費用が加わります。費用が「契約の区分」と「使った量」の2つで決まる形に変わるため、今と同じ見方で比べると、見落としが出ます。
参考として、2025年9月10日の公式ブログでは、アカウント・エンゲージメント+の月額が米国向けに示されていました。グロースが1,250ドル、プラスが2,750ドル、アドバンストが4,400ドルで、いずれも連絡先1万件までとされ、プレミアムは15,000ドルで7万5千件までです。これは米国向けの公式の表示で、日本での価格や条件は契約の経路で変わるため、必ず担当営業の見積もりで確かめます。
クレジットの費用は、見積もりが難しい部分です。AIのリクエストがどのくらい減るかは、キャンペーンをいくつ作るか、何回作り直させるかで変わります。データ360のクレジットも、取り込むデータの量と処理の頻度で変わります。見積もりの前に、月にどのくらいのキャンペーンを作り、どのくらいのデータを扱うかの見込みを立て、その数字を担当営業に渡して試算してもらいます。
ファンデーションズで付いてくる無償の分で、どこまで賄えるかも確かめます。試す段階では無償の分で足りても、本格的に使い始めると超えることがあります。費用を比べるときは、試す段階の費用と、本格的に使う段階の費用を分けて出すと、決裁の場で「最初の見積もりと違う」と言われずに済みます。
軸5:社内の担い手——誰が新しい仕組みを回すか
5つ目の軸は、社内の担い手です。Pardotの運用は、多くの会社でマーケ部門の担当者が1人か2人で回しています。メールを作り、フォームを整え、規則を組み、点数を見直す、という仕事です。後継の仕組みでは、これに加えて、データ360の取り込みの設定、データの整理、AIのエージェントの条件の設定といった、基盤に近い仕事が加わります。
この基盤に近い仕事は、今のPardotの担当者だけでは手が回らないことがあります。セールスフォースの管理者や情報システムの担当、あるいは外部の支援会社の力を借りることになるかもしれません。誰がデータ360を設定し、誰がAIのエージェントの条件を決めるかを、移行の前に割り振っておきます。割り振れないなら、それ自体が「今は移る時期ではない」というサインになります。
並べて使う段階は、担い手を育てる期間としても使えます。小さな施策で後継の仕組みに触れておけば、本格的に移るときに、社内にある程度の経験が残ります。いきなり本格的に移ると、慣れない仕組みを慣れない担当者が回すことになり、配信の事故が起きやすくなります。
もう一つ、AI機能を使う場合は、出てきた案を確かめる人も必要です。エージェントが作ったキャンペーンの案や対象の集団を、誰がどの基準で確かめるのかを決めておきます。AIが作った配信を、人が確かめないまま送る運用にしないことは、担い手の割り振りの中で最初に決めておきたい点です。
軸6:時期の決め方——繁忙期と契約の更新
6つ目の軸は時期です。Pardotの終了日が発表されていない以上、時期を外から決められることは今のところありません。だからこそ、自社の都合で時期を決める必要があります。決めるときの手がかりは、大きく2つです。業務の繁忙期と、契約の更新の時期です。
繁忙期は、配信の本数が増える展示会やウェビナーの前後、年度末の案内などが当たります。この時期に移行の作業を重ねると、配信の事故が起きたときの影響が大きくなります。移行や並べて使う段階の開始は、配信が少ない時期に置き、繁忙期は今の仕組みで乗り切るのが基本です。
契約の更新の時期は、費用の面から大事です。後継の区分へ移るなら、更新のタイミングに合わせるほうが、二重の支払いを避けやすくなります。更新の数か月前には担当営業に見積もりを頼み、試す段階の結果が出ているようにしておくと、判断の材料がそろいます。逆に、更新の直前に慌てて決めると、試す時間がないまま大きな判断をすることになります。
終了の告知が出た場合は、時期の決め方が変わります。そのときは、告知された日付から逆算して、棚卸し、試す段階、本格的な移行の順に計画を引き直します。今のうちに棚卸しだけでも済ませておけば、告知が出ても慌てずに済みます。終了の告知を待つ間にできる準備は、棚卸しです。
残ると決めたときに補うもの
6つの軸で比べて、Pardotのまま残ると決めた場合も、何もしなくてよいわけではありません。残ると決めたからこそ、補っておくものがあります。1つ目は、公式情報の定期的な確認です。終了や方針の変更の告知が出たときに気づけるよう、公式のリリースノートや担当営業からの案内を、決まった担当者が確かめる流れを作ります。
2つ目は、資産の棚卸しを今のうちに済ませておくことです。残ると決めても、いずれ移る日が来る可能性はあります。そのとき、使われていないメールの型や規則が大量に残っていると、作り直しの量が膨らみます。残ると決めた時点で棚卸しをして不要なものを整理しておけば、Pardotの運用自体も軽くなります。
3つ目は、AI機能の代わりをどう持つかです。後継の新しいAI機能を使わない代わりに、メールの文面の下書きや、対象の集団の条件の整理を、社内で認められた別のAIの道具で手伝わせる、という補い方があります。その場合も、見込み客の個人の情報を外部のAIに渡さないなど、情報管理の決まりの範囲で使います。
4つ目は、見直しの時期を決めておくことです。残ると決めた判断は、そのときの条件にもとづくものです。半年や1年ごとに、6つの軸をもう一度見直す日を決めておくと、条件が変わったときに判断を更新できます。残るという判断にも、見直しの日付を付けておくと、惰性で残り続けることを防げます。
移すと決めたときに先に決める順番
後継へ移ると決めた場合、あるいは並べて使う段階から本格的な移行に進む場合は、セールスフォースの仕組みならではの順番があります。配信ツールの移行の一般的な段取りとは別に、データ360と権限セットライセンスが絡む部分を先に片付ける必要があるからです。公式ヘルプの案内をもとに、先に決める順番を並べます。
担当営業に連絡し、データ360と必要なクレジットの利用を申請します。ファンデーションズを有効にするかどうかもここで決めます。
Pardotの見込み客のうち、どの範囲をデータ360に取り込むかを、情報管理の担当と決めます。
既存の育成の流れではなく、新しく始めるキャンペーンを1つ選び、後継の側で作ります。
公式ヘルプの手順に沿って、Pardotのメールやフォームのうち移すものを後継のキャンペーン用に準備します。
どの施策が後継で安定して動いたら、Pardotの対応する規則を止めるかを決めます。
この順番で大事なのは、既存の育成の流れから移すのではなく、新しく始める施策から後継の側で作ることです。既存の流れを途中で移すと、配信の重複や抜けが起きやすくなります。新しい施策なら、後継の側だけで始まり、後継の側だけで終わるため、二重運用の混乱が起きにくくなります。
最後の「旧側を止める条件」は、先に文章で決めておきます。例えば「後継の側で3か月、配信の事故がなく、配信の数字が以前と同じ水準で取れたら、Pardotの対応する規則を止める」といった形です。止める条件を決めずに移すと、Pardotの規則が動き続けて二重に配信されることがあります。
AIに任せる棚卸しと見積もり、人が決めること
残すか移すかの判断の中で、AIに手伝わせてよいのは、現行の資産の棚卸しと、移行の作業量の見積もりの下書きまでです。例えば、Pardotから書き出したメールの型、フォーム、自動化の規則の一覧をAIに渡し、似たものをまとめる、最後に使われた日付で並べる、移すと作り直しが要りそうなものに印を付ける、といった作業は、AIの得意なところです。
作業量の見積もりの下書きも、AIに作らせることができます。棚卸しの一覧をもとに、メールの型1つあたり、規則1つあたりの作業時間の目安を人が決め、それをかけ合わせて全体の見積もりの叩き台を作らせます。このとき、見積もりの根拠となった一覧と、1つあたりの目安の出どころを必ず書かせると、人が確かめやすくなります。
一方で、残すか移すかを決めるのは責任者です。AIは、一覧を整理したり、数字をかけ合わせたりすることはできても、自社の業務にAI機能がどれだけ要るか、担い手を確保できるか、費用を正当化できるかを判断する立場にはありません。AIが出した見積もりを、そのまま決裁の資料の結論にしないようにします。
人が確認する範囲も、先に決めておきます。棚卸しの一覧から、実は使われている規則が漏れていないか、止めてよいとされた規則が営業の側で頼りにされていないかを、Pardotの担当者と営業の担当者が確かめます。AIの棚卸しは材料で、止める判断は人がするという線を、作業の最初に共有しておきます。
判断の前に確かめる項目一覧
最後に、残すか移すかを決める前に確かめておきたい項目を一覧にします。会議の前にこの一覧を埋めておくと、話がAI機能への期待だけで進むのを防げます。埋められない項目があれば、その項目を調べることが次の作業になります。
- Pardotの終了や方針の変更について、最新の公式情報と担当営業の説明を確かめたか
- 新しいAI機能が要る業務を、業務名と今かかっている時間で名指しできるか
- 権限セットライセンスで並べて使える範囲と、必要なクレジットの種類を確かめたか
- データ360の利用の申請と、取り込むデータの範囲を情報管理の担当と話したか
- メール・フォーム・規則・点数の棚卸しを済ませ、移さないものを決めたか
- 試す段階と本格的に使う段階の費用を、分けて見積もったか
- データ360の設定とAIのエージェントの条件を決める担い手を割り振ったか
- 繁忙期と契約の更新の時期を並べ、移行を始める時期の候補を出したか
- 並べて使う期間の終わりの目安と、旧側を止める条件を文章で決めたか
あわせて、判断の場でよく起きる失敗も並べておきます。どれも、項目一覧を埋めずに話を進めたときに起きやすいものです。
- 終了の噂を理由に、試す段階を飛ばして本格的な移行を決める
- AI機能への期待だけで移行を決め、名指しできる業務がない
- 月額だけで費用を比べ、クレジットの消費を見積もりに入れていない
- 並べて使う段階の終わりを決めず、二重運用が1年以上続く
まとめ
Pardot(現アカウント・エンゲージメント)は、2025年7月に公式が引退させないと説明し、2026年9月時点でも終了日の公式な告知は確認できません。一方で、エージェントフォースを使ったキャンペーン作成などの新しいAI機能は、後継のマーケティング・クラウド・ネクストの側に入っています。今の契約のまま後継の機能を権限セットライセンスで並べて使う道もあり、選択肢は、残す、残して並べて使う、本格的に移す、の3つです。比べる軸は、AI機能が要る業務を名指しできるか、データの置き場所がデータ360前提に変わること、作り直しの量、クレジットを含めた費用、社内の担い手、繁忙期と契約の更新に合わせた時期の6つです。棚卸しと見積もりの下書きはAIに手伝わせてかまいませんが、残るか移るかは責任者が決めます。まずは、Pardotの中にあるメール・フォーム・規則の一覧を書き出し、最後に使われた日付を並べるところから始めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
リード獲得・育成の打ち手として、ウェビナーの集客と運営でお困りですか?
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