オウンドメディアの続行を決める5工程|感情で決めない基準

オウンドメディアの続行を決める5工程|感情で決めない基準

立ち上げた直後は、記事を公開すること自体が成果でした。本数が積み上がるだけで前に進んでいる感覚があります。ところが公開が30本を超えたあたりから、社内で出る質問が変わります。これはいつまで続けるのか、続けて意味があるのか。半年たったメディアに問われるのは施策の良し悪しではなく、続行するかどうかの判断そのものです。この記事では、感情や社内の空気で決めずに続行を判断する5つの工程を整理します。


カメ先生カメ先生

メディアを半年続けた会社から、決まって来る相談があるんだ。


カメ子カメ子

更新が大変になってきた、という話ですか。


カメ先生カメ先生

それもある。だが多いのは「やめる理由も続ける理由も説明できない」という相談だ。見ている数字が立ち上げのときと同じままなんだ。


カメ子カメ子

言われてみると、最初に決めた指標をずっとそのまま追っていました。


この記事のポイント
  • 成果が出はじめるまでの相場は6か月から1年で、立ち上げ期にCV数だけで判断すると材料が足りなくなる
  • 続行判断は、目的の再確認・指標の入れ替え・運用規模の調整・3案の比較・次の判断日の設定という5工程で進める
  • 選択肢は続行と撤退の2つではなく、規模を縮めて続けるという3つ目を必ず並べて比べる

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目次

半年たつと判断の材料が変わる

立ち上げの時期は、やることが決まっているぶん判断に迷いがありません。設計して、書いて、公開する。この繰り返しがそのまま進捗になります。数字を見なくても前に進んでいる実感があります。

状況が変わるのは、公開の本数が積み上がってからです。記事は増えたのに問い合わせが目に見えて増えない、という状態が半年前後で必ず訪れます。ここで社内の関心が本数から成果に移ります。

困るのは、質問が変わったのに見ている指標が変わっていない点です。立ち上げ期に決めた本数の目標を追い続けたまま、成果を問われる時期に入っている状態が起きます。これでは答えようがありません。

さらに、この時期には運用側の余力も落ちています。本業を抱えた担当が片手間で回している体制では、最初の数か月は気合いで動いても、繁忙期が来れば更新が止まります。数字と体制の両方が同時に問われます。

つまり半年という時点は、続けるか否かを判断する時期というより、判断の仕組みを入れ替える時期だと考えたほうが実態に合います。この記事はその入れ替えの手順を扱います。

実際の現場では、この入れ替えが起きないまま2年目に入る例が多くあります。本数の目標だけが残り、達成しても評価されず、未達だと責められるという状態になります。担当者の意欲が落ちるのはこの段階です。

判断の仕組みを入れ替えるという言い方をするのは、続行の是非を毎回その場で議論する形をやめるためです。何をどの水準で見るかを先に決めておけば、判断そのものは短時間で終わります。議論に時間がかかっているなら、決めるべきは結論ではなく基準のほうです。

感情で決めてしまう理由

続行の判断が感情に寄る理由は、担当者の性格ではなく構造にあります。仕組みを直せば判断は落ち着きます。

1つ目の理由は、判断の材料が用意されていないことです。アクセスの数字は見られるのに、その数字がどの水準なら合格なのかが決まっていません。基準がないと、印象で語るしかなくなります。

2つ目は、判断の場が用意されていないことです。定例の議題は今月の公開記事と進行状況で埋まります。続けるかどうかという議題は、誰かが不満を口にしたときに突発的に持ち出されます

3つ目は、判断が担当者の評価と結びついて見えることです。撤退の提案は自分の仕事を否定する提案に見えるため、担当者からは出しにくくなります。逆に上位者からは唐突に出ます。

この3つは、基準を決め、判断の場を定例に組み込み、選択肢を3つに増やすだけで大きく変わります。感情を抑えようとするより、感情が入る隙を減らすほうが早いということです。

加えて、比較の対象がないことも判断を難しくします。自社のメディアの数字が良いのか悪いのかを、他に比べるものがない状態で語ることになります。他社の公開事例は条件が違い、業界平均は自社の規模と合いません。

比較対象がないときは、他社ではなく自社の過去と比べてください。3か月前の同じ指標、前年の同じ月、公開した記事1本あたりの平均流入。この3つは条件が揃っているため、比較の意味があります。外部の数字を持ち込むより、自社の推移のほうが判断の根拠になります。

成果が出るまでにかかる時間の相場

判断の前に、時間の相場を共有しておく必要があります。ここが揃っていないと、そもそも早すぎる判断になります。

検索からの流入で成果を狙う設計の場合、成果が見えはじめるまでに6か月から1年ほどかかるのが一般的です。検索エンジンがサイトを評価し、記事が上位に表示されるまでの時間が必要になるためです。

特に最初の3か月は、動きがほとんど出ません。公開直後の記事が検索結果で位置を得るまでには数か月の待ちがあり、その間の数字はほぼ動かないと考えておきます。ここで焦って判断すると必ず撤退側に傾きます。

裏を返せば、公開から3か月未満の記事しかない状態では、成果の有無を判断する材料がまだ存在しません。判断できるのは、記事の質と公開の速度という工程側の指標だけです。

社内に説明するときは、この相場を先に伝えておいてください。半年後に成果を聞かれる前提を共有していれば、半年後の会話が突発的にならずに済みます。

ただし、この相場は検索からの流入を主にした設計の場合の話です。展示会で配る資料の受け皿として使う、既存顧客への説明を楽にする、営業が商談で見せる。こうした用途なら、公開した翌週から効果が確認できます

用途によって時間の見積もりが変わるということは、判断の期限も変わるという意味です。検索で新規の接点を作る目的なら1年は待つ必要があり、営業の補助が目的なら3か月で判断できます。目的と期限をセットで決めておくと、待つべき時期に焦らずに済みます。

立ち上げ期にCV数で判断すると詰まる

失敗の型として最も多いのが、立ち上げ期にCV数をKPIに据えてしまうことです。理由を具体的に見ておきます。

問題は数字の少なさです。流入がまだ小さい時期にCV数を見ると、月に数件という水準になり、増減が偶然と区別できません。1件動いただけで倍になったり半分になったりします。

BtoBの問い合わせフォームでは、コンバージョン率は0.5%から2%程度が一般的な範囲で、慎重な検討が必要な商材では1%前後が現実的な線とされています。月間の流入が1,000に届かない段階では、CVは1桁で止まります。

この状態で改善の判断をしようとすると、根拠のない施策変更が続きます。数が少ない指標を追いかけると、原因が分からないまま毎月方針が変わる運用になります

逆に、KPIを過剰に細かく設定するのも判断を鈍らせます。指標が多すぎると、どれを優先するかで議論が止まります。フェーズごとに見る指標を絞るほうが機能します。

数字で確かめると分かりやすくなります。月間の流入が800、CV率が1%なら、月のCVは8件です。ここから1件減っても増えても、施策の影響か偶然かは区別できません。判断に足る水準になるのは、月20件を超えたあたりからです。

では立ち上げ期に何を見るのか。答えは工程側の指標です。計画した本数を公開できているか、公開までにかかる日数が延びていないか、扱うテーマが設計から外れていないか。これらは月ごとに動きが出るため、改善の判断ができます。成果ではなく実行を測る段階だと考えてください。

フェーズごとに指標を切り替える

では何を見るのか。運用の段階によって、見る指標を入れ替えていくのが基本の形です。

段階主に見る指標この段階で見ない指標
立ち上げ期(1〜3か月)公開記事の本数、公開の遅れの有無CV数、売上への貢献
初期(3〜6か月)本数に加えてPV数、UU数CV数の増減率
中期(6〜12か月)検索順位、回遊率、直帰率、滞在時間月単位のCV増減
活用期(12か月以降)目標ページへの遷移数、CV数、商談化数本数そのもの

この切り替えを事前に決めておくと、判断の会話が噛み合います。今どの段階にいるかを先に合意し、その段階の指標だけで議論する形にします

切り替えの時期は月数だけで決めず、実際の数字も見てください。流入がまだ月数百の水準なら、6か月を過ぎていても初期の指標で判断するほうが現実的です

段階を上げるときは、下の段階の指標を完全に捨てないでください。本数が落ちれば、半年後の流入が落ちます。主に見る指標を移すだけで、工程の指標は最低限を維持します。

中期に入ったときの指標選びには補足が要ります。検索順位は記事単位で見て、全体の平均では見ないでください。狙った語で10位以内に入った記事が何本あるかという数え方のほうが、次に何を直すかにつながります。

回遊率や滞在時間は、良し悪しの絶対的な基準がない指標です。他社と比べても意味がありません。自社の記事の中で上位と下位を比べ、上位の記事に共通する構成を探す使い方をしてください。数字の水準を追うのではなく、記事の差を見つける道具として使う指標です。

続行判断の5工程

ここから本題の手順に入ります。全体を先に置いておきます。1回あたり半日から1日で終わる作業量です。

STEP1
当初の目的を文字にして突き合わせる

立ち上げのときに何のために始めたのかを書き出し、いま追っている数字がその目的に対応しているかを確認します。

STEP2
見ている指標をフェーズに合わせ直す

現在の段階を判定し、その段階で見るべき指標に入れ替えます。合わない指標は定例の資料から外します。

STEP3
運用の規模を実際の工数に合わせる

かけられる時間を実測し、その時間で回る本数と体制に計画を書き直します。理想の本数ではなく実測に合わせます。

STEP4
続行・縮小・撤退を同じ様式で比較する

3つの案について、必要な工数、費用、想定される成果、やめた場合の損失を同じ形式で並べます。

STEP5
次の判断日と条件を決めて記録する

次にこの判断をやり直す日付と、そのときに何がどうなっていれば続行かを文章で残します。

この5工程の順番には意味があります。目的の確認を飛ばして数字の比較から始めると、そもそも何を成果と呼ぶかで議論が止まります

また、比較を先にすると撤退か続行の二択になりがちです。工程3で規模の調整を先に済ませておくと、縮小という3つ目の案が自然に候補に入ります

進め方としては、工程1から3を担当者が事前に済ませ、工程4と5を関係者が集まった場で行う形が回ります。資料を作る作業と判断する作業を分けると、会議の時間が短くなります

初回は工程1に時間がかかります。始めた理由が文書に残っていない場合、当時の関係者に聞き取る作業が入ります。ここを面倒に感じて飛ばすと、以降の工程がすべて根拠を失います。2回目からは前回の記録を更新するだけなので、半日で終わるようになります。

工程1:当初の目的を文字にする

最初の工程は、始めた理由を文章で書き出すことです。記憶にあるつもりでも、書くと人によって違うことが分かります。

よくあるのは、目的が複数混在しているケースです。問い合わせを増やす、採用の応募者に会社を知ってもらう、既存顧客への説明を楽にする。この3つはどれも正当ですが、追う指標が違います

混在したままだと、判断のたびに軸が入れ替わります。問い合わせが増えないという指摘に、採用に効いていると答える会話は、どちらも正しいのに前に進みません

書き出したら、優先順位を1つだけ決めてください。2番目以降は副産物として扱い、判断の材料には使わないと決めるだけで議論が短くなります

この作業は関係者が集まって行う必要があります。担当者が一人で書いた文章は、上位者の記憶と食い違います。30分の会議で十分なので、口頭ではなく文字にしてください。

書き方には型があると早く終わります。誰のどんな困りごとに対して、何を提供し、その結果として自社の何を増やしたいのか。この3つを1文ずつ書くだけで足ります。長い企画書は必要ありません。

書いた文章と現状の記事一覧を並べると、ずれが見えます。想定した読者と違う層に向けた記事が並んでいる、扱う範囲が広がって主題がぼやけている、といった状態がここで判明します。指標の議論に入る前に、この照合を済ませてください。

工程2:指標を入れ替える

2つ目の工程は、定例で見る数字の差し替えです。前の章の表をそのまま使えます。

手を動かす順序は、まず現在の段階を判定することです。公開本数、公開からの経過月数、月間の流入をそろえて見て、どの段階に該当するかを1つ選びます

次に、その段階の指標だけを残した資料の形を作ります。使わない指標を資料から物理的に消すことが重要で、載っている数字は必ず誰かが言及します

差し替えのときには、比較の基準も一緒に決めてください。前月比だけを見ると季節の波に振られるため、前年同月や3か月移動平均を併記します。立ち上げ2年目以降であれば前年比が使えます。

なお、指標を入れ替えると数字が悪く見えることがあります。これは実態が悪化したのではなく、見る場所が変わったためです。差し替えの初回は、その旨を明記して混乱を防いでください。

資料の枚数も同時に減らしてください。指標を絞ったのに資料の分量が変わらないなら、削ったはずの数字がどこかに残っています。1枚に収まる形が最も読まれ、議論の焦点も揃います。

差し替えの作業自体は、生成AIに任せやすい部分です。既存の資料と新しい指標の一覧を渡し、新しい様式の雛形を作らせる程度なら数分で終わります。ただし、どの指標を残すかの判断は渡さないでください。判断の基準を外に出すと、次の月に理由が説明できなくなります。

工程3:運用の規模を工数に合わせる

3つ目の工程は、計画の本数を実際に使える時間に合わせることです。ここが続行の成否をいちばん左右します。

最初にやるのは工数の実測です。直近3か月に、企画、執筆、確認、公開、修正のそれぞれに何時間かけたかを記録から拾い出します。記録がなければ担当者の申告でかまいません。

実測すると、多くの場合は計画を下回っています。月4本の計画に対して実際は月2本しか出ていないなら、計画を月2本に直すのが正しい対応です。本数を守れという指示は状況を悪くします。

規模を縮めるときは、本数以外も見直します。1本あたりの文字数、公開前の確認の段数、扱うテーマの範囲。この3つを絞ると、同じ工数でも公開が安定します

外注を使っている場合は、費用と工数の両方を見ます。外注に出しても社内の確認工数が減っていないなら、そこが詰まりの位置です。確認の段数を減らす交渉が先になります。

工数を測るときは、書く時間以外を必ず含めてください。テーマを決める打ち合わせ、事実確認の調べもの、社内の確認の待ち時間、公開後の修正。実務ではこの周辺のほうが時間を食います

片手間の運用であることを前提に組み直すのも有効です。担当者が本業を持っている体制なら、繁忙期に更新が止まることは避けられません。年間の本数を平均で割るのではなく、忙しい月は0本と決めて計画に書き込んでおくと、止まったことが失敗として扱われなくなります。

工程4:3つの案を同じ様式で比べる

4つ目の工程が比較です。ここで初めて、続けるかやめるかの話に入ります。

比較の観点続行(現状規模)縮小して続行撤退
月あたりの工数実測どおり必要半分程度に圧縮保守のみ
月あたりの費用現状維持外注分を削減サーバー費のみ
6か月後の想定順位と流入の伸び継続伸びは緩やかだが継続既存記事の順位が徐々に低下
失うもの他施策に回す工数扱えるテーマの幅蓄積した記事の流入と再開コスト

この形式で並べる目的は、撤退にも費用と損失があることを可視化することです。やめれば費用がゼロになると考えると、判断が撤退に偏ります。

既存記事の流入は、更新を止めても即座に消えるわけではありません。しばらくは残りますが、情報が古くなるにつれて順位は下がり、競合の新しい記事に置き換わっていきます

再開のコストも忘れないでください。一度止めたメディアを再開する場合、体制を組み直し、古い記事を全部見直す作業から始まります。止めるより始め直すほうが重い作業です。

表に書く数字は、精度より揃っていることを優先してください。3案すべてを同じ前提で見積もれば、絶対値がずれていても比較の判断はできます。片方だけ厳しく見積もると、その案が不利になります。

この表を作るときに、続行の案を2つに分けたくなることがあります。テーマを変える、書き手を変える、といった案です。その場合は縮小と並べて4案にせず、続行の中の選択肢として扱ってください。並べる案が増えると、比較そのものが目的になって結論が出なくなります。

工程5:次の判断日を決めて記録する

最後の工程は、判断を1回で終わらせないための仕込みです。ここを省くと、同じ議論が数か月後にまた突発的に起きます。

決めることは2つです。次にこの判断をやり直す日付と、そのときに何がどうなっていれば続行とするかの条件です。日付は3か月後か6か月後が扱いやすい間隔になります。

条件は数字で書いてください。流入が伸びていればという書き方では、次回また印象の議論になります。対象の指標と水準を明記します。

記録の置き場所も決めます。議事録の中に埋めると次回に探せません。1枚のファイルにして、定例の資料から必ずたどれる場所に置いてください

この記録があると、担当者が交代しても判断の経緯が引き継げます。半年ごとに追記していけば、そのまま運用の履歴になります。

条件の書き方には注意点があります。1つの指標だけで条件を作ると、その指標だけを追う運用になります。流入の水準と、公開の実行状況の2つを並べておくと、無理な運用で数字を作る動きが起きにくくなります。

判断日を待たずに前倒しする条件も決めておくと安全です。担当者が異動する、予算が削られる、競合が同じ領域に大量の記事を出してきた。こうした事情が起きたときは、次の判断日を待たずにこの5工程をやり直してください。前倒しの条件がないと、状況が変わったのに前回の結論に縛られます。

縮小という選択肢を軽く見ない

3つの案の中で、実務でいちばん有効なのに軽視されるのが縮小です。理由と使い方を整理します。

軽視される理由は、中途半端に見えることです。やるかやらないかを決めたい場では、規模を半分にするという案は結論を先送りしているように受け取られます

しかし実態は逆です。縮小は、蓄積した記事の流入を保ちながら、工数を他の施策に回せる唯一の選択肢です。撤退では流入を失い、現状維持では工数が空きません。

縮小の具体的な形は複数あります。新規の公開を止めて既存記事の更新だけにする、テーマを1領域に絞る、月の本数を落として1本の質を上げる。目的によって選び分けます。

特に、既存記事の更新だけに絞る形は費用対効果が高くなりやすい形です。すでに検索結果に位置を持つ記事の情報を新しくする作業は、新規記事より短時間で効果が出ます。

更新に絞る場合の選び方も決めておきます。順位が10位から20位あたりで止まっている記事が、最も動かしやすい対象です。すでに評価されているため、内容を足すだけで上がることがあります。

縮小を選んだときは、社内への伝え方にも配慮が必要です。規模を落とすという説明だけでは、失敗として受け取られます。何を残し、何を止め、空いた工数をどこに回すのかを同時に示してください。工数の行き先が明示されていれば、縮小は撤退ではなく配分の変更として扱われます。

撤退を決めたときに残すもの

比較の結果として撤退を選ぶことも、当然あります。その場合の後始末を決めておきます。

最初に決めるのは記事の扱いです。削除するのか、公開したまま更新を止めるのか、別の場所に移すのか。削除は流入をゼロにするため、理由がない限り選ばないでください。

公開を残す場合は、最低限の保守を決めます。リンク切れの確認と、事実が古くなった記述への追記だけは続けると、残った流入が長く保てます

社内資料としての活用も検討します。営業が使える説明資料や、採用面談で渡せる会社紹介として、書いた記事を転用できる場合があります。書いたものを捨てる必要はありません。

そして、撤退の理由を記録に残してください。数年後に同じ議論が起きたとき、前回なぜやめたのかが分かるだけで検討が早く済みます。

記事の削除を選ぶ場合は、順序に注意が必要です。まとめて消すとサイト全体の評価に影響が出ることがあります。流入がある記事は残し、流入がゼロで内容も古いものから段階的に整理してください。

ドメインの扱いも決めておきます。別のドメインで運用していたなら、契約を切ると記事にたどり着けなくなります。自社サイトの下に移してから更新を止めるほうが、蓄積が残ります。移設には作業が発生するため、撤退を決めた時点で工数として見積もっておいてください。

判断を誤らせる指標の見方

最後に、判断の場で見かける危うい数字の扱いを挙げます。ここに当てはまっていないかを確認してください。

  • 公開3か月未満の記事しかない状態でCV数の増減を根拠にしている
  • 月間のCVが数件しかない状態で、前月比のパーセントで良し悪しを語っている
  • PV数だけを見て、検索順位や滞在時間といった中身の指標を見ていない
  • 他社の成功事例の数字を、自社の規模や業種を考えずに目標にしている
  • 撤退した場合の費用と損失を計算せず、続行の費用だけを問題にしている

この5つは、いずれも数字そのものは正しいのに使い方が誤っている例です。数字を集めることより、その数字で何を判断できるかを先に決めるほうが重要です

特に他社事例の扱いには注意が必要です。公開されている成功事例は成功したから公開されており、同じ条件で再現できるとは限りません

生成AIに分析を頼む場合も同じです。数字を渡せば読み取りは速くなりますが、どの水準を合格とするかは自社で決めるしかありません。基準のない分析は、もっともらしい文章を増やすだけです。

もう1つ加えるなら、平均値だけで語らないことです。記事ごとの流入は大きく偏り、上位の数本が全体の半分以上を占めることが珍しくありません。平均を見ると全記事が同じ程度に貢献しているように見えてしまいます。上位と下位を分けて数え、下位の記事が多いなら、それは撤退の理由ではなく更新の対象が多いという意味になります。

判断の手順を仕組みにする

この5工程は、一度やって終わりにすると意味が薄れます。仕組みとして残す方法を整理します。

  • 続行判断を半年ごとの定例議題として、あらかじめカレンダーに入れておく
  • 工程1から5の記録を1つのファイルにまとめ、追記していく形にする
  • 現在の段階と見るべき指標の対応表を、定例資料の1枚目に固定で載せる
  • 判断の場には、運用の担当者と決裁する立場の両方が必ず出席する

この4つを決めるだけで、判断が突発的に起きなくなります。予定された議題として扱われることが、担当者が撤退案を出せる状態を作ります

記録の追記は数行でかまいません。前回の判断日、そのときの条件、今回の結果を並べるだけで、判断の履歴が読めるようになります

担当が交代するときは、この1枚を引き継げば足ります。運用の細かい手順書より、判断の履歴のほうが引き継ぎで効きます。

半年ごとの見直しを2回続ければ、続けるべきかどうかの感覚が社内に揃います。そこまで来れば、この手順は判断のためではなく計画のために使えるようになります。

最後に、この仕組みは他の施策にもそのまま使えます。SNSの運用、広告の出稿、イベントの出展。いずれも半年から1年の単位で続行を問われる施策であり、判断の材料と場が用意されていないという同じ問題を抱えています。1つの施策で手順を確立してから他に広げるのが現実的な進め方です。

まとめ

オウンドメディアの続行判断が難しいのは、施策の是非ではなく、判断の材料と場が用意されていないためです。半年たった時点で、見る指標を入れ替える必要があります。

成果が見えはじめるまでの相場は6か月から1年で、最初の3か月はほとんど動きません。立ち上げ期にCV数で判断すると、数が少なすぎて偶然と区別できません。段階ごとに指標を切り替えてください。

判断の手順は、目的の再確認、指標の入れ替え、運用規模の工数への調整、3案の比較、次の判断日の設定という5工程です。この順序を守ると、感情が入る隙が減ります。

そして、選択肢は続行と撤退の2つではありません。規模を縮めて続けるという3つ目を並べると、蓄積した流入を保ちながら工数を他に回せます。半年ごとの定例議題として仕組みに組み込むところから始めてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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