広告に使う写真とロゴの許諾を取る方法|掲載事故を防ぐ備え

「導入事例に載せる写真やロゴを、どこまで許諾を取ればよいのか分からない」「口頭で了解を得ただけで進めてしまっている」——制作物を作るたびに曖昧なまま進みやすい部分です。許諾は取ったかどうかではなく、どの範囲でどこまでという形で残す必要があります。使う媒体や期間が変われば、同じ素材でも改めて確認が要ります。この記事では、確認すべき項目と残し方を整理します。
カメ先生素材の許諾はね、了解をもらったかどうかの話に見えて、実際は『どこまで使ってよいか』を決める作業なんだ。
カメ子一度もらえば、どの媒体でも使えるのではないでしょうか。
カメ先生そうとは限らない。自社サイト向けの了解を広告に転用すると、話が違うとなることがある。範囲を書き残しておく。
カメ子範囲を決めて記録するのですね。どの項目を確かめるべきか知りたいです。
- 確認するのは著作権・肖像権・商標の3点。1つの素材に複数が同時に関わる
- 社員が写る写真も同意が必要。同意の範囲を明確にして記録を残す
- 公開前の点検を工程として組み込み、確認した記録を保管する
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公開直前に止まる広告
最初に、実際に起きる事態を確認します。防げる問題であることが分かります。
配信の直前に確認が入り、素材が使えないと判明する。制作の期間が無駄になり、配信の開始が遅れます。予定していた時期に間に合わないこともあります。
原因は、確認の工程が制作の後ろにあることです。素材を選ぶ段階で確認していれば、作り直しは発生しません。
さらに深刻なのが、確認されないまま配信されてしまう場合です。権利者から連絡が入り、配信の停止と対応が必要になります。金銭的な請求に至ることもあります。
公開されている事例では、著作権や商標に関する問題で広告の取り下げに至ったものがあります。企業の名前とともに記録が残ります。
影響は、その広告だけに留まりません。同じ素材を使った他の資料やサイトも確認が必要になります。
対処の手間は、事前の確認より圧倒的に大きくなります。
以降では、確認すべき観点を整理し、工程として組み込む方法を見ていきます。
素材に関わる権利
確認の観点を整理します。1つの素材に複数の権利が同時に関わる点が要点です。
| 観点 | 対象 | 確認すること |
|---|---|---|
| 著作権 | 写真・イラスト・文章・音楽 | 作った人が誰か、利用の許諾の範囲 |
| 肖像権・パブリシティ権 | 写っている人 | 本人の同意、使う範囲と期間 |
| 商標権 | ロゴ・社名・製品名 | 権利者の許諾、写り込みの有無 |
| 不正競争防止法に関わる表示 | 他社の表示と紛らわしい形 | 誤認を招く表現になっていないか |
| 契約上の制約 | 素材のサービスの規約、業務委託の契約 | 使える媒体・期間・範囲の制限 |
1枚の写真に、これらが同時に関わります。社員が製品を持っている写真であれば、撮影者の著作権、社員の肖像権、製品や背景に写り込んだ商標のすべてが対象です。
したがって、素材ごとに3点を確認する形が実務的です。誰が作ったか、誰が写っているか、何が写り込んでいるかの3つを順に見ます。
この3点を確認する習慣ができれば、大半の問題は防げます。
判断に迷う場合は、使わないという選択が最も安全です。代替の素材は用意できます。
写真の許諾・撮影者の権利
1つ目の観点です。誰が撮ったかによって扱いが変わります。
社内で撮影した写真であれば、著作権は自社にあるか、撮影した社員にあります。業務として撮影した場合の扱いは、雇用の契約や就業の規則によって決まります。
外部に依頼して撮影した場合は、契約の内容を確認します。著作権が譲渡されているか、利用の許諾を受けているだけかで、使える範囲が変わります。
許諾のみの場合は、使える媒体と期間が定められていることがあります。サイトでの使用は許諾されているが、広告での使用は別の合意が必要という契約は珍しくありません。
この確認は、契約書を見れば分かります。制作会社やカメラマンとの契約書が保管されているかを確認してください。
契約書が見つからない場合は、相手に確認を取ります。口頭の合意しかない場合は、この機会に文書にしておく価値があります。
過去に撮影した写真を再利用する場合も、同じ確認が必要です。使用の期間が過ぎている可能性があります。
期間の定めがある素材は、期限を管理する必要があります。
社員が写る写真の同意
2つ目の観点です。社内の人物であっても、同意が必要になります。
写っている本人の同意を得ます。社員であることは、無条件に使用できる根拠になりません。
同意を得る際は、範囲を明確にします。使う媒体、掲載の期間、加工の可否、退職した場合の扱いを含めます。
退職後の扱いは、必ず決めておいてください。退職した社員の写真が広告に使われ続ける状態は、本人からの申し出につながります。
同意は書面で残します。口頭の了解では、後から範囲が争いになります。
撮影の際にまとめて同意を得る運用が効率的です。撮影の案内に同意の書面を添え、参加者に署名してもらう形です。
集合写真の場合は、写っている全員が対象になります。参加者の一覧と照合してください。
なお、後ろ姿や手元だけであれば、個人を特定できないため扱いが変わります。ただし判断は慎重に行ってください。
顔が判別できる場合は、同意を得る前提で進めるのが安全です。
同意を得る文面には、どの範囲で使うかを具体的に書きます。自社サイト、広告、印刷物、展示会のパネル、営業の資料といった媒体を列挙する形が確実です。
将来の用途が読めない場合は、追加の際に改めて確認する前提で、範囲を狭く設定しておく方法もあります。広く設定して後から問題になるより、狭く始めるほうが安全です。
同意を撤回された場合の手順も決めておきます。掲載を止める範囲と、対応にかかる期間を把握しておけば、申し出があったときに慌てません。
顧客のロゴと社名の掲載
3つ目の観点です。BtoBの広告で頻繁に問題になる部分です。
取引先のロゴを掲載するには、許諾が必要です。ロゴは商標として登録されていることが多く、無断の使用は権利の侵害にあたる可能性があります。
契約書に掲載に関する条項がある場合は、その範囲を確認します。サイトへの掲載は認められていても、広告での使用は別に合意が必要な場合があります。
許諾を得る際は、掲載の形式も確認します。ロゴの色や比率を変えないこと、指定された形式を使うことを求められる場合があります。
多くの企業は、ロゴの使用に関する指針を持っています。許諾を得る際に、その指針を受け取ってください。
社名だけを文字で記載する場合も、許諾を得るのが安全です。取引の事実を公開されたくない企業もあります。
許諾が取れない場合は、業種と規模で示します。製造業を中心に導入という記述でも、実績の輪郭は伝わります。
なお、一度得た許諾も、期限や条件を確認してください。契約が終了した取引先のロゴを掲載し続ける状態は避けます。
掲載している一覧は、年に一度見直す運用にしてください。
取引先の名前を出せる範囲は、契約によって異なります。秘密の保持に関する条項がある場合、取引の事実そのものが対象になっていることがあります。この場合は、業種の表記でも慎重に判断してください。
許諾を得る相手も確認します。担当者の口頭の了解では足りない場合があり、広報や法務の部門の確認が必要になることがあります。相手の社内の手続きにも時間がかかります。
したがって、許諾の依頼は早い段階で行ってください。配信の直前に依頼すると、間に合いません。
写り込みを確認する
最も見落とされやすい部分です。撮影した写真では、必ず確認が必要になります。
背景に写り込んだ看板やロゴは、商標に関わります。他社のロゴがはっきり写っている写真を広告に使うと、権利の侵害にあたる可能性があります。
屋外での撮影では、この確認が特に重要です。店舗の看板、看板広告、車体の表示、通行人の衣服のロゴなどが写り込みます。
社内での撮影でも同じです。使っている機器の製品名、画面に表示されたソフトの画面、書棚に並んだ書籍の背表紙が写り込みます。
対処は、撮影の時点で片付けることです。撮影する範囲から他社の表示を外すか、映らない角度を選びます。
撮影後に気付いた場合は、加工で消す方法もあります。ただし作業の手間がかかり、不自然になることもあります。
人が写り込む場合も注意します。通行人の顔が判別できる状態であれば、肖像に関わります。
撮影の前に、確認する項目を一覧にして現場に持参してください。
この一手間が、後の作り直しを防ぎます。
素材サービスの利用範囲
購入した素材についても、確認が必要です。買ったから自由に使えるとは限りません。
素材のサービスから購入した場合、得られるのは利用の許諾です。使用料を支払っても、著作権が自社に移るわけではありません。
許諾の範囲は、サービスごとに定められています。使える媒体、掲載の規模、加工の可否、再配布の禁止といった条件があります。
広告での使用には、追加の条件が付く場合があります。特に、屋外の大型の掲出や、印刷の部数が多い媒体では別の契約が必要になることがあります。
人物が写っている素材では、追加の制約があります。特定の文脈での使用が禁止されている場合があり、内容によっては使えません。
複数のサービスから購入している場合は、それぞれの条件を確認します。同じ条件だと思い込むと、違反が生じます。
購入の記録は保管してください。どの素材をどの条件で購入したかが分かる状態にします。
契約が終了したサービスの素材は、使用を続けられない場合があります。解約の際に条件を確認してください。
購入した素材を加工する場合も、条件を確認します。加工が禁止されている素材、加工の範囲が定められている素材があります。切り抜き、色の変更、文字の重ねが該当するかを見てください。
素材の点数が多い契約では、使った素材の記録が特に重要になります。契約が終了した後に、どの素材がその契約で取得したものかが分からなくなります。取得の時点で記録してください。
生成した素材の扱い
近年の論点です。現時点での考え方を整理します。
生成された素材であっても、確認は必要です。既存の作品と似た表現になっている場合、著作権に関わる問題が生じる可能性があります。
特に注意すべきは、特定の作風や、既存の登場人物に近い表現です。意図せず似たものが出てくる場合があり、目で確認する工程が必要になります。
文字が含まれる場合も確認します。実在する社名やロゴに似た文字列が生成されることがあり、そのまま使うと商標に関わります。
使っている仕組みの利用の条件も確認します。商用の利用が認められているか、生成物の権利の扱いがどうなっているかは、サービスごとに異なります。
人物が写っているように見える素材では、実在の人物に似ていないかを確認します。判断が難しい場合は使用を避けてください。
社内の方針として、生成した素材の確認の手順を決めておく価値があります。誰が確認し、何を見るかを明示します。
この領域の扱いは変化しています。半年ごとに方針を見直してください。
音楽と書体も確認の対象
写真とロゴに注意が向きやすい一方で、見落とされるのが音楽と書体です。動画の広告では、いずれも必ず関わります。
音楽には著作権に加えて、演奏や録音に関する権利があります。楽曲そのものの権利と、その演奏を録音したものの権利が別に存在します。
素材のサービスから購入した音源であっても、使える範囲を確認します。動画の本数、配信する媒体、期間に制限が付いている場合があります。
有名な楽曲を使う場合は、個別の許諾が必要になります。手続きに時間と費用がかかるため、企画の段階で判断してください。
書体も権利の対象です。有料の書体には利用の条件があり、映像への埋め込みや商用の利用が別の契約になっている場合があります。
無料で公開されている書体でも、商用の利用が認められているかを確認します。用途によって条件が分かれているものがあります。
外部に制作を依頼した動画では、使われている音源と書体の一覧を提出してもらいます。納品物の中身を把握していないと、後から確認できません。
ナレーションを外部に依頼した場合も、使用の範囲を確認します。声にも権利が関わります。
記録の残し方
許諾を得たら、記録を残します。ここが後の確認を支えます。
素材の名称、取得の経路、権利者、許諾の範囲、期限を1行で記録します。表計算の1枚で足ります。
社員の同意書、顧客からの許諾、外注先との契約書を1か所に保管します。素材の記録から参照できる状態にします。
使用の期間が定められている素材は、期限を記録します。期限の1か月前に確認する仕組みを作ります。
どの広告、どの資料、どのページで使っているかを記録します。問題が起きた際に、差し替えの範囲が分かります。
配信の前に、使用する素材が記録にあるか、許諾の範囲に収まっているかを確認します。
期限が切れた素材、契約が終了した取引先のロゴ、退職した社員の写真を確認し、差し替えます。
4つ目の記録が、事故の際に効きます。問題のある素材が見つかったとき、使用している場所の一覧がなければ、全部を探すことになります。
記録の様式は簡単なものにしてください。詳細な管理の仕組みを作って放置されるより、1枚の表を1年続けるほうが役に立ちます。
公開前の点検体制
確認を工程として組み込みます。個人の注意に頼らない形にします。
- 素材ごとに、作った人・写っている人・写り込みの3点を確認したか
- 社員が写る素材について、同意の記録があるか
- 顧客のロゴと社名について、許諾の記録があるか
- 素材のサービスの利用条件に、広告での使用が含まれるか
- 生成した素材について、既存の作品や商標に似ていないか確認したか
- 使用の期間が定められている素材の期限が切れていないか
- 確認した人と日付を記録したか
この点検は、企画と法務の両方の目を通すのが望ましい形です。公開されている実務の指針でも、複数人での相互の確認が推奨されています。
すべての広告に法務の確認を求めると、運用が回りません。素材を新しく使う場合だけ確認を必須にし、既に確認済みの素材の再利用は簡略化する形が現実的です。
確認済みの素材の一覧を持っておくと、この判断が速くなります。
点検の記録は、確認した人と日付だけで足ります。詳細な報告書は不要です。
点検の対象は、広告だけではありません。資料、サイトのページ、展示会のパネル、営業の提案書のいずれも同じ確認が必要です。広告だけを厳しく点検しても、他の経路から問題が生じます。
社内の複数の部署が素材を使う場合は、共通の一覧を持つ形が効率的です。確認済みの素材を共有すれば、同じ確認を繰り返さずに済みます。
この一覧には、使ってはいけない素材も記録します。過去に問題が生じた素材、期限が切れた素材を明示しておけば、再利用を防げます。
外注する場合の確認
制作を外部に依頼する場合の注意です。任せきりにすると、確認が抜けます。
依頼の時点で、素材の権利についての扱いを取り決めます。使用する素材の権利を確認する責任がどちらにあるかを明示してください。
納品された素材について、出どころを確認します。どの素材サービスから取得したか、撮影したものか、生成したものかを一覧で提出してもらう形が確実です。
成果物の著作権の扱いも決めます。譲渡されるのか、利用の許諾のみか。許諾のみの場合、使える媒体と期間を確認します。
外注先が別の会社に再委託している場合は、その先まで確認が及ぶかを確かめてください。
契約書に、権利の侵害があった場合の責任の分担を書いておく方法もあります。ただし、責任の分担があっても対応の手間は自社に発生します。
したがって、事前の確認を省略しないでください。責任の所在は、確認を省く理由にはなりません。
外注先に渡す素材についても、自社が権利を確認する必要があります。
やってはいけない使い方
問題になる使い方を挙げます。悪意がなくても発生します。
- 検索で見つけた画像を、出どころを確認せずに使う
- 取引先のロゴを、許諾を得ずに実績として掲載する
- 社員の写真を、同意の範囲を確認せずに広告に転用する
- 退職した社員が写る素材を、そのまま使い続ける
- 素材サービスの利用条件を確認せず、広告に使用する
- 背景に他社の看板やロゴが写り込んだ写真を使う
- 生成した素材を、既存の作品との類似を確認せずに使う
最も多いのが、1つ目です。検索の結果に表示された画像は、自由に使えるものではありません。出どころと条件を確認する必要があります。
3つ目の転用も頻繁に起きます。サイト用に撮影した写真を、広告に使う際は同意の範囲を確認してください。
これらは、素材を選ぶ段階での確認によって防げます。制作の後ろに確認を置くと、手戻りが発生します。
確認の工程を、制作の前に置いてください。
納品の際に、使用した素材の一覧を成果物と一緒に受け取る取り決めにしてください。後から問い合わせると、担当者が変わっていて確認できない場合があります。
問題が起きたときの対応
万一の場合の手順も決めておきます。慌てて対応すると、判断を誤ります。
最初に行うのは、該当する素材を使っている場所の特定です。広告、サイト、資料、印刷物のすべてを確認します。記録があれば、この作業は数分で終わります。
次に、配信と掲載を停止します。判断を待つ間も掲載が続くと、影響が広がります。
そのうえで、事実関係を確認します。どの素材が、どの権利に関わり、許諾の状況がどうだったかを整理します。
権利者から連絡が来ている場合は、社内の管理の部門に共有します。個別の担当者が直接やり取りすると、意図しない合意が生じることがあります。
対応の記録は残します。同じ問題を繰り返さないための材料になります。
再発の防止としては、確認の工程の見直しを行います。どの段階で見落としたかが分かれば、手順を改善できます。
この記録が、社内の方針を更新する根拠になります。
運用に組み込む
最後に、継続的な運用の形を整理します。
確認を工程に組み込みます。素材を選ぶ段階で3点を確認し、記録に残す。この2つを制作の手順に含めれば、日常的に機能します。
見直しは年に一度行います。期限が切れた素材、契約が終了した取引先のロゴ、退職した社員が写る素材を差し替えます。
方針の更新は半年ごとに検討します。生成した素材の扱いのように、考え方が変化している領域があります。
社内への周知も必要です。広告を作る人だけでなく、資料を作る人、サイトを更新する人も同じ確認を行う必要があります。
確認の一覧を1枚にまとめ、共有の場所に置いてください。
- 判断に迷う素材は使わないでください。代替の素材を用意するほうが、確認の手間より軽く済みます
- 許諾の書面は1か所に保管し、素材の記録から参照できる状態にしてください
まとめ
広告の素材は、3つの観点から同時に確認します。誰が作ったか、誰が写っているか、何が写り込んでいるか。この3点を素材ごとに見る習慣が、事故の大半を防ぎます。
社員が写る写真も、顧客のロゴも、同意と許諾が必要です。範囲と期間を明確にし、書面で記録を残してください。
そして、確認の工程を制作の前に置きます。素材を選ぶ段階で確認すれば、公開直前の作り直しは発生しません。まずは現在使っている素材の記録の有無を確認してください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
