海外拠点のAI規程は揃えるか分けるか|国ごとに違う部分

海外拠点のAI規程は揃えるか分けるか|国ごとに違う部分

「本社で作ったAIの規程を英語にして各拠点へ配りました。半年経っても、現地から返ってくるのは受領しましたという返事だけです」「現地の法務から、この条項はこの国では守れないと言われました。どこをどう直せばよいのか、判断がつきません」——拠点が国をまたいだ会社で、規程を配った後に必ず出てくる2つの声です。詰まっているのは翻訳の精度ではありません。同じ文面のまま持ち込める部分と、現地の法令が先に決めているので持ち込めない部分が、1本の規程の中に混ざっています。この記事では、規程を揃えられる部分と揃えられない部分に割ったうえで、1本に統一する形と、共通部分に国別の付則を足す形を並べ、どちらを取るかを条件で決められるようにします。


カメ先生カメ先生

海外拠点の規程を揃えるか分けるかという問いは、たいてい全部揃えるか全部分けるかの2択で持ち込まれるんだ。でもね、1本の規程は均質じゃない。現地の法令に当たる部分と、当たらない部分が同じ文書の中に混ざっている。


カメ子カメ子

揃うところと揃わないところが、1本の中に同居しているということですか。


カメ先生カメ先生

そうなんだ。禁止する行為や申請の型は、どの国に持ち込んでも同じ文面で通ることが多い。一方で、個人データを国の外へ出してよいかや、従業員の利用状況をどこまで見てよいかは、会社が決める前に国のほうが決めているんだよ。


カメ子カメ子

先に割ってから、揃えるか分けるかを考える順番になるのでしょうか。


この記事のポイント
  • 規程は均質ではない。禁止事項・申請の型・記録の項目は揃い、データの越境・保存場所・使ってよいサービス・利用状況の監視は揃わない
  • 形は2つ。1本に統一する形と、共通部分に国別の付則を足す形。拠点の数と、現地に法務がいるかどうかで分かれる
  • 国ごとに改定の期日はずれる。最新の適用日を追う担当を現地に1人置き、本社は差分だけを受け取る

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目次

翻訳して配った規程が、現地で止まる理由

本社の規程を訳して配る方法が悪いわけではありません。止まるのは、規程の中に、訳せば通る文と、訳しても通らない文が混ざっているからです。現地の担当者は、どの文がどちらなのかを見分けられません。見分けられないので、全体をいったん保留にします。受領しましたという返事だけが返ってくるのは、この保留の姿です。

実際に止まる場所は毎回似ています。データをどこに置くか、誰の許可で国の外へ出せるか、どのサービスを使ってよいか、従業員がどう使っているかをどこまで見てよいか。いずれも、会社が方針を決める前に、その国の法令が先に枠を決めている領域です。ここに本社の文面をそのまま置くと、現地の法務は受け取れません。

  • 本社の規程を訳し、現地の法令に当たる条項もそのままの文面で各拠点へ配った
  • 現地の法務は、どの条項が自国の法令に当たるのかを判別できず、全体を保留にした
  • 保留のまま拠点は業務を続け、日本の様式の申請書は一度も使われないまま置かれた
  • 1年後の点検で、その拠点だけ申請の記録が1件も残っていないことが分かった

この止まり方が厄介なのは、誰も反対していないことです。現地は受領したと返し、本社は配り終えたと記録しています。止まっているのは、両方が相手の側で判断が済んだと思っている、誰の担当でもない部分です。だから、配った後に「どの条項が自国の法令に当たるか」を現地に返させる工程を、配布と同じ月のうちに入れます。返ってきた回答が、そのまま次に述べる割り方の材料になります。

先に範囲を決めておきます。この記事で扱うのは地理の軸だけです。同じ会社の拠点が国をまたいだとき、規程を揃えるのか分けるのかという選択です。別法人をどう縛るかという資本関係の話はこの記事では扱いません。日本国内で部門ごとにどう接ぐかという話も、軸が違うので扱いません。

揃えるか分けるかの前に、規程を7つの部分に割る

最初にやることは、揃えるか分けるかを決めることではありません。手元の規程を、揃う部分と揃わない部分に割ることです。割らずに議論すると、1つの条項の話で全体の方針が決まってしまいます。越境の話でもめた結果、全部を国別にする、というのがよくある結末です。

割ると、揃う部分が3つ、揃わない部分が4つに分かれます。揃うのは、禁止する行為、申請の型、記録に残す項目の3つです。揃わないのは、データを国の外に出せるか、どこに保存するか、使ってよいサービスと表示の求め、そして従業員の利用状況をどこまで見てよいかの4つです。次の7本で1つずつ見ます。

割る作業そのものは半日で終わります。手元の規程を条項の単位で読み、その条項が「会社が決めたこと」なのか「国が決めていること」なのかを二択で印を付けていくだけです。判断に迷う条項が出たら、印を付けずに残します。残った条項だけを、現地の法務に1度まとめて確かめます。1条ずつ都度聞くと、確かめる往復だけで数か月かかります。

この割り方が使える理由も添えておきます。揃う3つは、会社が自分の意思で決めている事柄です。揃わない4つは、国の法令が先に決めている事柄です。日本では2025年5月28日にAIの推進に関する法律が成立し、同年9月1日に全面施行されましたが、欧州連合・中国・韓国では、義務や表示の求めを伴う法令が相次いで施行されています。国が決めている部分は、本社の意思では動かせません。

揃う部分①:禁止する行為

どの国の拠点でも同じ文面で通るのが、やってはいけないことの一覧です。顧客から預かった情報を許可のない場所に入れない、未公開の情報を外部のサービスに投げない、出てきた内容を確かめずに社外へ出さない。これらは国の法令に依存せず、会社が自分の意思で決めている禁止です

揃えることに利点もあります。禁止事項が拠点ごとに違うと、拠点をまたぐ業務で必ず事故が起きます。日本の担当が送った資料を、現地の担当が現地では許されている使い方で処理する。禁止の線が拠点で違うと、線をまたぐ瞬間に誰も違反していないのに問題が起きます

ただし、書き方には一つ条件を付けます。禁止の理由を1行添えることです。理由が書いていない禁止は、現地では「本社の都合」として扱われ、守られる強さが落ちます。理由が書いてあれば、現地で似た場面に出会ったときに、書かれていない行為についても判断が付きます。

揃う部分②:申請の型

2つ目は、何かを使いたいときに出す申請の形です。誰が、何を、どういう業務で使いたいのか。どの情報を入れるのか。誰が承認するのか。この型は国が変わっても同じにできます。承認する人が誰になるかは拠点ごとに違ってよく、型そのものは揃えられます。

型を揃える実利は、集計にあります。拠点ごとに様式が違うと、全社でいま何が使われているのかを数えられません。同じ欄が同じ順番で並んでいれば、機械で並べ替えるだけで済みます。様式が違う拠点が1つあるだけで、集計は手作業に戻ります。

運用の注意も1つ。申請の様式は揃えても、承認の階段の数まで揃えようとすると、拠点の規模の差で必ず無理が出ます。5人の拠点に3段階の承認を持ち込むと、承認者が申請者を兼ねます。揃えるのは欄の並びまでにして、誰が承認するかは拠点に決めさせます。

揃う部分③:記録に残す項目

3つ目は、使ったときに残す項目です。誰が、いつ、どの業務で、何を入れて、何を受け取ったか。残す項目を揃えておくと、後から拠点をまたいで確かめられます。項目が違うと、同じ問いに答えるために拠点ごとに別の作業が要ります。

ここで注意が要るのは、残す項目は揃えられても、残した記録をどこに置くかと、誰が読めるかは揃わないことです。置き場所は次の章で扱う保存場所の話に、読める人は最後の章で扱う利用状況の監視の話につながります。項目と置き場所を同じ議論にすると、項目まで国別になります。

保存する期間も、項目とは別に考えます。項目は揃えて、期間は拠点ごとに幅を持たせる形が現実的です。最短の期間だけを本社が決め、それより長くするかどうかは拠点に任せます。最長を本社が決めると、現地の法令で長く持つ必要がある場合に食い違います。

揃わない部分①:データを国の外に出せるか

ここからが揃わない側です。1つ目は、個人に関するデータを国の外へ出してよいかどうかです。この判断は、会社の方針より先に、国の法令が枠を決めています。本社がどう書いても、現地の法令が許さなければ通りません。

欧州との間には、通り道が1つあります。欧州委員会は2019年1月23日に日本に対する十分性を認定しました。アジアの国では初めての認定です。ただし、認定の範囲は個人情報保護法の対象範囲に限られ、公的分野は含まれていません。認定があるから何でも出せる、という読み方はできません。

実務上の書き方は決まります。規程の本文には「国の外へ出す前に、出し先の国と手続きを確かめる」とだけ書き、どの国からどの国へ出せるかは別の一覧に持たせます。一覧にしておけば、法令が変わったときに規程を改定せずに一覧だけを差し替えられます。規程の本文に国名を書き込むと、1か国の変更で全社の改定手続きが要ります。

一覧に持たせる項目も決めておきます。出し先の国、出してよい情報の種類、必要な手続き、確かめた日付、確かめた人の5つです。確かめた日付を入れるのが要点で、これがないと、いつの時点の法令に基づく一覧なのかが分かりません。1年以上さかのぼる日付が並んでいる行は、使う前に確かめ直す対象です。確かめた人を名前で入れておくと、疑問が出たときに聞きに行けます。

揃わない部分②:どこに保存するかの指定

2つ目は、データをどこに置くかです。国によっては、特定の種類の情報を国内に置くことを求める仕組みがあります。この求めは、使う道具の選択肢そのものを狭めます。本社が選んだ道具が、その国では選べないということが起こります。

保存場所の指定が厄介なのは、使う人からは見えないところで効くからです。画面の見た目は同じで、裏側で情報がどこに置かれるかだけが違います。現地の担当者が違反していることに気づかないまま使い続ける、という形になります。だから、この部分は規程の文面ではなく、使える環境を分けることで担保します

環境で担保すると、規程の側は短くできます。「保存場所の求めがある国では、本社が用意した拠点別の環境を使う」とだけ書きます。文面で守らせるのではなく、守らないことができない状態を先に作ります。文面だけで守らせようとすると、守っているかどうかを確かめる作業が毎月発生します。

揃わない部分③:使ってよいサービスと、表示の求め

3つ目は、どのサービスを使ってよいかと、AIが作ったものであることをどう示すかです。ここは国の法令の動きが最も速い領域です。本社が作った一覧をそのまま各国に配ると、配った翌月には合わなくなっていることがあります

確かめられている施行時期を並べます。欧州連合の人工知能に関する規則は2024年8月1日に発効し、禁止される使い方に関する条項は2025年2月2日から、汎用目的のモデルに関する条項は2025年8月2日から適用が始まりました。2026年8月2日からは透明性の義務に関する条項の適用が始まります。中国では生成人工知能サービス管理暫行弁法が2023年7月10日に公布され2023年8月15日に施行、人工知能生成合成コンテンツの識別に関する弁法が2025年3月7日に公布され2025年9月1日に施行されています。韓国では人工知能の発展と信頼基盤の構築に関する基本法が2024年12月26日に国会で可決され、2026年1月22日に施行されました。

この並びから読めることは1つです。表示の求めは、国ごとに始まる時期が違うだけで、向かっている方向は同じです。だから規程には「AIが作ったものを社外に出すときは、その旨を示す」と共通で書き、示し方と対象範囲の細かさだけを国別の一覧に持たせます。共通の文は方向だけを書き、時期と細かさは一覧で持つ、という分け方にします

揃わない部分④:従業員の利用状況をどこまで見てよいか

4つ目が、実務で最ももめる部分です。誰が何に使ったかを会社が見ることの扱いは、国によって前提が違います。日本の感覚で書いた条項が、そのままでは通らない国があります。ここを本社の文面で押し切ると、現地の従業員代表との関係が壊れます。

日本国内で守る内容も、確かめておきます。個人情報保護委員会は、従業者を対象とするモニタリングを実施する際の留意点として、目的をあらかじめ特定して社内規程等に定め従業者に明示すること、実施に関する責任者とその権限を定めること、実施に関するルールをあらかじめ策定して運用者に徹底すること、定めたルールに従って適正に行われているかを確認することの4つを挙げています。あわせて、重要事項等を定めるときは、あらかじめ労働組合等に通知し必要に応じて協議を行うことが望ましいとされています

この4つは、実は各国でも形を変えて共通しています。目的を先に決める、責任者を決める、ルールを決める、守られているか確かめる。揃えられるのは、この4つの枠のほうです。枠は揃え、見てよい範囲の広さと、従業員代表への手続きは拠点に決めさせます。範囲を本社が決めると、決めた範囲が最も厳しい国に合わせることになり、他の国で必要な調査ができなくなります。

揃う部分と揃わない部分を、1枚に並べる

ここまでの7つを1枚にします。3列目の「本社が持つもの」と4列目の「拠点が決めるもの」を分けて書くのが要点です。この2列が空欄のまま配ると、現地は全部を本社の決定として受け取り、判断を返してこなくなります。

規程の部分揃うか揃わないか本社が持つもの拠点が決めるもの
禁止する行為揃う禁止の一覧と、禁止の理由の1行現地の言い回しへの置き換えのみ
申請の型揃う申請の欄の並びと様式承認する人と、承認の段数
記録に残す項目揃う残す項目の一覧と、保存の最短期間置き場所と、最短より長くするかどうか
データを国の外に出せるか揃わない確かめる手続きがあるという1文出し先の国ごとの可否と手続きの一覧
どこに保存するか揃わない拠点別の環境を用意することその国で使う環境の指定
使ってよいサービスと表示揃わない示すという方向の1文対象範囲と示し方、適用の時期
利用状況をどこまで見てよいか揃わない目的・責任者・ルール・確認の4つの枠見てよい範囲と、従業員代表への手続き

表を作ったあとに、1つだけ確かめます。3列目に書いた「本社が持つもの」が、どれも1行か1つの一覧に収まっているかです。本社の持ち分が長文になっている行は、拠点が決めるべきことを本社が抱え込んでいます。抱え込んだ分だけ、改定のたびに全拠点の確認が要ります。

表にない事柄が出たときの決め方も添えます。判断は1問で足ります。その事柄について、現地の法令が何かを定めているかどうか。定めているなら揃わない側、定めていないなら揃う側です。迷ったら現地の法務に「これを定めた法令はありますか」とだけ聞きます。どう書くべきかを先に聞くと、答えが返るまでに時間がかかります。

形①:1本に統一する — 効く条件と、必ず起きること

1つ目の形は、1本の規程にすべてを書き込み、国の違いは条項の中に例外として書き添える形です。効くのは、拠点の数が少なく、業務の中身が拠点をまたいで似ている場合です。3拠点程度で、同じ製品を同じ売り方で扱っているなら、1本のほうが速く回ります。

利点は、探す場所が1つで済むことです。現地の担当者が迷ったときに開く文書が1つなので、参照の間違いが起きません。改定も1回で終わります。版の食い違いが起きないという点で、1本の形はいちばん事故が少ない形です。

必ず起きることも書いておきます。条項の中の例外が増えると、本文が読めなくなります。「ただし、◯◯国においては」という但し書きが3つ重なった条項は、どの国の担当者にとっても自分に関係のある部分が探しにくくなります。但し書きが1つの条項に3つ以上ついたら、その条項は分ける合図です

形②:共通部分に国別の付則を足す — 効く条件と、必ず起きること

2つ目の形は、揃う部分だけを共通の1本にして、揃わない部分を国ごとの付則に出す形です。効くのは、拠点が4つ以上あるか、現地に法務の担当がいる場合です。現地に判断できる人がいないと、付則が作られないまま空欄で残ります。

利点は、改定の範囲が小さく済むことです。1つの国の法令が変わっても、その国の付則だけを直せば終わります。共通部分は動かないので、他の拠点の確認も要りません。法令の動きが速い領域を付則に出しておくと、改定の回数が増えても手間は増えません。

必ず起きることは2つあります。1つは、共通部分と付則のどちらにも書かれていない事柄が出ること。もう1つは、共通部分と付則が矛盾することです。前者は「どちらにもない場合は共通部分の考え方に従う」と先に書いて防ぎます。後者は、付則が共通部分より厳しい方向にのみ書ける、という制約を置いて防ぎます。緩める方向の付則を許すと、共通部分が意味を失います。

付則の分量にも目安を置いておきます。共通部分より長い付則ができた国は、その国だけ別の規程にするかどうかを考える段階です。付則が長くなる理由は、たいてい共通部分に書かれた前提が、その国では成り立っていないことにあります。付則を足し続けるより、共通部分の前提を見直すほうが早く収まります。付則の長さは、共通部分の出来を測る物差しにもなります。

どちらを取るかを分ける3つの問い

2つの形のどちらを取るかは、次の3つで決まります。1つ目、拠点は4つ以上あるか。3つ以下なら1本の形で足ります。4つ以上になると、但し書きの数が読める限界を超えます。この数は、条項1本あたりの但し書きが3つを超えるかどうかの目安から来ています。

2つ目、現地に、法令を読んで判断できる人がいるか。いないなら1本の形を取ります。付則の形は、現地に判断する人がいることを前提にしています。いないまま付則の形にすると、付則が空欄のまま運用が始まり、結局その国だけ規程がない状態になります。

3つ目、拠点ごとに業務の中身が違うか。製造だけの拠点と、販売と開発の両方を持つ拠点では、扱う情報の種類が違います。違うなら付則の形です。3つのうち2つ以上が当てはまれば付則の形、それ以外は1本の形にします。3つとも当てはまらないのに付則の形を選ぶと、文書の数だけが増えます。

3問の答えは時期によって変わります。拠点が3つのときに1本の形で始め、5つになった時点で付則の形へ移す、という移り方が普通です。移すときは、揃わない4つに当たる条項を抜き出して付則へ移すだけで済みます。最初に割って印を付けてあれば、移す作業は1日で終わります。割っていないと、どの条項を抜くのかという議論から始めることになり、そこで数か月が消えます。

改定が国ごとにずれたときの合わせ方

どちらの形を取っても、必ず起きるのが改定のずれです。国ごとに法令の期日が違う以上、全拠点の規程が同じ日に揃うことはありません。揃えようとすると、最も遅い国に合わせることになり、早い国が期日を過ぎます。

実際に期日が動いた例もあります。欧州連合の人工知能に関する規則では、高リスクに分類される用途に関する義務の適用時期が、2026年に入って後ろにずらされました。いったん決まった期日であっても、動くことがあるという前提で運用を組みます。期日を規程の本文に書き込んでいると、動くたびに改定が要ります。

STEP1
現地の担当が、変更を1行で本社に上げる

何の法令が、いつから、どの部分に当たるのか。この3つだけを書かせます。解説や対応案は求めません。

STEP2
本社は、揃う部分に当たるかどうかだけを判定する

揃う3つに当たるなら共通部分の改定、揃わない4つに当たるならその国の付則の改定です。判定は1日で返します。

STEP3
付則の改定なら、その国だけで進める

他の拠点への通知は、改定が終わってから一覧で流します。改定の前に全拠点へ諮ると、1か国の変更が全社の議題になります。

STEP4
共通部分の改定なら、適用日を国ごとに分けて設定する

同じ日に全拠点で切り替えようとしないことです。最も早い国から順に適用し、遅れる国は理由と目標の日を記録します。

STEP5
四半期に一度、各拠点の版と適用日の一覧を作り直す

どの拠点がどの版で動いているかを一覧にします。一覧を作らないと、古い版で動いている拠点に誰も気づきません。

  • 法令の期日は動くことがある。規程の本文には期日を書かず、別の一覧で持つ
  • 各国の適用日は、現地の官報や監督機関の公表で確かめる。日本語の解説記事だけで判断しない
  • 版の一覧には、拠点名・版・適用日・次の見直し予定日の4つを並べる

現地の担当を誰にするか

最後に体制です。必要なのは、法令を読める人ではなく、変わったことに気づける人です。読んで解釈するのは本社か外部の専門家でよく、現地に置くのは変化を拾って1行で上げる役割です。この役割を法務の経験者に限ると、拠点によっては誰も置けません。

この役割が制度上も必要になる場合があります。韓国の人工知能の発展と信頼基盤の構築に関する基本法では、一定の要件を満たす事業者について、韓国に拠点がなくても国内の代理人を指定する義務があるとされています。拠点がない国であっても、窓口を置く必要が出ることがあるという前提を持っておきます

上げてもらう1行の書式も、先に渡しておきます。法令の名前、適用が始まる日、当たりそうな部分の見当。この3つだけです。書式を渡さないと、報告は解説の形で届き、読む側の負担が増えます。負担が増えた報告は、翌四半期から来なくなります。3つの欄に収まる形にしておくことが、報告を続けさせるいちばんの手当てです。

置き方の実務も決めておきます。1拠点に1人、名前で決めます。部署名で決めると、担当が変わったときに引き継がれません。その人の仕事は、四半期に一度、自国の法令の変化を1行で上げること。上げるものがなければ「なし」と上げます。なしという報告が来ない拠点は、見ていない拠点です。

よくある質問

拠点が2つだけでも、揃う部分と揃わない部分に割る必要はありますか

割る作業は必要ですが、文書を2つにする必要はありません。2拠点なら1本の形で足ります。割る目的は文書を分けることではなく、どの条項が現地の法令に当たるのかを、改定のときに探せるようにしておくことだからです。1本の中で、揃わない部分に印を付けておくだけでも効果があります。

現地の法令が分からない国の拠点は、どう扱えばよいですか

分からない状態のまま揃う側に入れないことです。当面は、その国での業務を揃う3つの範囲に限り、揃わない4つに当たる使い方は止めておきます。分からないことを、当たらないことと同じ扱いにしないのが要点です。確かめられるまでの間は、範囲を狭めておくほうが安全です。

規程の改定を、AIに下書きさせてもよいですか

下書きまでは任せてよく、当たるか当たらないかの判定はAIに判断させないと決めておきます。任せてよいのは、現地から上がった変更の1行を、揃う3つと揃わない4つのどこに当たるかの候補として並べる作業までです。候補には必ず、どの法令のどの部分に基づくのかを根拠として書かせます。根拠が書かれていない候補は使いません。そのうえで、人が確認する範囲を先に決めます。揃う側に入れる判断、付則に書く文面の確定、そして現地の法務に確かめるかどうかの判断。この3つは人が行うと最初に線を引き、それ以外は任せてよいことにします。線を引いてから任せると、任せた範囲が後から広がりません。

現地の従業員に、規程をどう伝えればよいですか

共通部分と自国の付則を、1つの文書にまとめた形で渡します。共通部分だけを渡して付則は別、という渡し方をすると、付則のほうが読まれません。伝えるときに合わせて、利用状況を見ることがある旨と、その目的・責任者・手続きを明示します。運用を始める前に伝えるのが順番で、始めてから伝えると最初の1件が通知なしになります。

規程を英語で1本作って、各国語に訳す必要はありますか

訳す言語は、その国で従業員に就業に関する事柄を伝えるときに使っている言語に合わせます。判断の材料は、読ませたい相手が誰かです。読むのが現地の管理職だけなら共通語で足りることもありますが、全従業員に守らせる内容なら、現地の言語で渡します。守らせたい内容を、読めない言語で渡している状態が最も危うい状態です。

まとめ

海外拠点の規程が現地で止まるのは、翻訳が悪かったからではありませんでした。1本の規程の中に、会社が自分で決めている部分と、国の法令が先に決めている部分が混ざっていたからです。揃うのは禁止する行為・申請の型・記録に残す項目の3つ、揃わないのはデータの越境・保存場所・使ってよいサービスと表示・利用状況をどこまで見てよいかの4つでした。拠点が4つ以上あるか、現地に判断できる人がいるか、業務の中身が違うか。この3問のうち2つ以上が当てはまれば、共通部分に国別の付則を足す形を取ります。そして、期日は動くという前提で、規程の本文に日付を書かないことです。まずは手元の規程を7つの部分に割り、揃わない4つに印を付けるところから始められます。現地に1人ずつ、変化を1行で上げる担当を名前で置くのも、同じ週に手を付けられます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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