外注した動画を資産にする5工程|受け取り方で決まる

「外注して作った動画を、別の用途にも使えるのか分からない」「編集し直したいと伝えたら、追加の費用がかかると言われた」——制作を外部に頼んだ企業が後から気づく問題です。納品されたものが、そのまま自社のものになるとは限りません。契約に書かれた譲渡の範囲が、後からできることを決めます。この記事では、受け取り方の五工程を整理します。
カメ先生外注した映像はね、費用を払った側のものになると思われがちだが、権利の扱いは契約に書いた範囲でしか動かないんだ。
カメ子書いていない場合は、どうなるのでしょうか。
カメ先生制作した側に残る。だから編集し直したいと言うと、そこで改めて許諾の話になる。よくある行き違いでね。
カメ子先に決めておく話なのですね。契約に入れる項目を知りたいです。
- 費用を払っても、契約に書かなければ著作権は制作した側に残る
- 27条と28条の権利は、特に書かないと譲渡されないという推定がある
- 素材データ、第三者の素材、出演者の許諾。この3つを納品物に含める
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納品されたら自社のもの、という思い込み
動画の外注が当たり前になったぶん、契約の中身を確かめずに発注する場面が増えました。見積りの金額と納期だけを見て決裁が下り、契約書は先方のひな形をそのまま使う。この流れが、数年後の制約を作ります。
最初に、いちばん多い誤解を解きます。対価を払ったことと、著作権が移ることは、別の話です。物を買う感覚で考えると、この区別がつきません。
動画の制作は、物の売買ではなく、仕事を頼む契約です。できあがった映像のファイルは受け取れますが、その映像を使う権利がどこまで移るかは、契約の書き方で決まります。
何も書かなければ、著作権は制作した側に残ります。発注側は、契約で認められた範囲で使える、という位置づけになります。その範囲が書かれていなければ、後から解釈の争いになります。
実務では、揉めるのは納品の直後ではありません。1年後、2年後に、別の用途に使いたくなったときです。展示会で流したい、営業資料に切り出したい、海外向けに字幕を付けたい。
そのたびに制作会社に連絡し、追加の費用を払う。関係が良好なうちはそれで回りますが、担当者が変わったり、会社がなくなったりすると、身動きが取れなくなります。
防ぐ方法は簡単です。発注の前に、権利の扱いを1行決めておく。それだけで、この先の面倒がほぼ消えます。
映像の著作者は誰になるのか
誤解を解いたところで、では誰が権利を持っているのかを確かめます。ここが分かっていないと、契約書で誰から誰へ移すべきなのかが決められません。少し込み入った話になりますが、押さえるべき結論は「発注した会社ではない」の一点です。
次に、法律上の考え方を押さえます。動画は、著作権法でいう映画の著作物として扱われるのが一般的です。この種類には、独特の決まりがあります。
著作者になるのは、演出、撮影、美術など、全体的な形づくりに創作的に関わった人です。監督や撮影の担当者が、ここに当たります。
ただし、これらの人が製作者に対して製作への参加を約束している場合、著作権は製作者に帰属するという規定があります。ここでいう製作者は、多くの場合は制作会社です。
つまり、通常の発注では、現場の担当者ではなく制作会社に権利が集まる形になります。発注した会社ではありません。
自社の社員が撮影して編集した場合は、話が変わります。職務として作られた著作物であれば、一定の条件のもとで会社が著作者になります。外注と内製で、出発点が違うということです。
だから、外注する場合は「移す」手続きが要ります。自然に移るものではありません。この一点を理解しておけば、契約書のどこを見ればよいかが分かります。
譲渡の書き方で結果が変わる
では、契約書にどう書けばよいのか。この節がこの記事でいちばん実務的な部分です。書き方ひとつで、数年後にできることが変わります。法務に確認するときも、ここを指して聞けば話が早く進みます。
権利を移す場合、契約に譲渡の条項を入れます。ここで注意が要るのが、書き方です。「著作権を譲渡する」と書くだけでは、全部は移りません。
著作権法には、27条と28条という規定があります。27条は、翻案などによって新しい著作物を作る権利。28条は、そうしてできた二次的な著作物を利用することに関する原著作者の権利です。
この2つは、契約に特に書かなければ譲渡の対象に含まれないと推定されます。「著作権のすべてを譲渡する」と書いても、この2つは相手に残る扱いになります。法律が、そう推定すると定めているためです。
そのため「27条および28条の権利を含む」と、条文の番号を挙げて書きます。実務でいう特掲です。契約書の文言としては1行ですが、この1行の有無で結果が変わります。
なぜこの2つが重要かというと、動画の再利用のほとんどが翻案に当たるためです。短く切り出す。字幕を付ける。別の音楽に差し替える。海外向けに吹き替える。どれも、元の映像を作り替える行為です。
特掲がないまま切り出しを作ると、その行為自体に相手の許諾が要ることになります。契約書を見返して、この1行があるかを確かめてください。
著作者人格権の扱い
譲渡の条項が整っても、まだ残る権利があります。この点を知らずに「全部の権利をもらった」と考えていると、編集の段階で足元をすくわれます。譲渡できない権利がある、というのが出発点です。
もうひとつ、譲渡できない権利があります。著作者人格権です。作った人の人格に関わる権利なので、契約で移すことができません。
含まれるのは、公表するかどうかを決める権利、名前を表示するかどうかを決める権利、そして意に反する改変を受けない権利です。
最後のものが、実務では効いてきます。編集して短くしたり、順番を入れ替えたりすると、作った側から「意に反する改変だ」と言われる可能性が残ります。
そこで、契約に不行使の条項を入れます。制作会社は発注者に対して著作者人格権を行使しない、また実際に作業した著作者にも行使させない、という書き方です。
後半の「著作者にも行使させない」が抜けている契約書をよく見ます。制作会社が約束しても、実際に撮影した人が別の会社の人であれば、その人の権利は残ったままです。
この点は、制作会社に確認すれば分かります。外部の撮影者や編集者を使っているか、その人たちとどういう契約を結んでいるか。答えられない相手は、権利の管理が弱いと考えてよいでしょう。
権利が残ると、何ができなくなるか
ここまでは条文の話でした。実務でどう困るのかを、具体的な場面で並べておきます。社内で必要性を説明するときは、条文よりもこの表を見せるほうが早く伝わります。
| やりたいこと | 権利が自社にある場合 | 制作会社に残る場合 |
|---|---|---|
| 展示会で流す | 自由にできる | 契約の範囲外なら許諾が要る |
| 30秒に切り出して投稿する | 自由にできる | 翻案に当たり、許諾が要る |
| 別の言語の字幕を付ける | 自由にできる | 翻案に当たり、許諾が要る |
| 取引先に渡して使ってもらう | 自由にできる | 第三者への提供は別途の合意が要る |
| 数年後に一部を作り直す | 自由にできる | 元の素材の提供から交渉になる |
表を見ると、制約が出るのは「作り替える」場面に集中しています。そのまま流すだけなら、多くの契約で使用が認められています。問題は、二次利用のほうです。
いまの動画の使われ方を考えると、この制約は重いものです。1本の動画を作ったら、短く切って投稿し、営業資料に埋め込み、展示会で流す。使い回すことを前提に作るのが普通になりました。
だから、発注の時点で「どこまで使いたいか」を書き出します。その一覧を制作会社に見せて、すべてを含む形で見積りをもらう。これが確実な進め方です。
見積りは、権利の範囲によって変わります。すべての権利を渡す形は高くなり、特定の用途だけを認める形は安くなる。その差を理解したうえで選べば、安いほうを選ぶ判断もあり得ます。
用途の一覧は、営業と広報の両方に聞いて作ります。制作を主導する部門だけで書くと、必ず抜けが出ます。展示会での上映、営業の端末での再生、採用の説明会、取引先への提供。部門をまたいで聞くと、想定していなかった使い道が2つ3つ出てきます。その時点で契約に含めておけば、追加の交渉は要りません。
素材データを受け取る意味
権利が整っても、物がなければ何もできません。ここからは、契約と並んで大切な「何を受け取るか」の話に移ります。権利は書面の話ですが、素材は現物の話です。どちらか片方だけでは、動画を資産として扱えません。
権利の話と並んで大事なのが、物としての受け取りです。編集済みの動画ファイルだけを受け取っても、作り替えはできません。
必要なのは、撮影したままの元の映像、編集の作業ファイル、使用した音源や図版のファイルです。これらがそろって、はじめて後から手を入れられます。
元の映像があると、できることが増えます。使われなかった場面から別の動画を作る。違う長さの版を作る。静止画として資料に使う。撮影の費用は、使われた場面の分だけではありません。
編集の作業ファイルは、扱いに注意が要ります。制作会社が使っている道具に依存するため、自社で開けないことがあります。受け取っても、開ける環境がなければ意味がありません。
それでも、形式と道具の名前は控えておいてください。別の会社に引き継ぐとき、どの道具で作られたかが分かれば、開ける相手を探せます。納品の書面に、使用した道具と版を書いてもらうだけで足ります。
それでも受け取る価値はあります。別の会社に作業を頼むとき、作業ファイルがあれば一から作り直さずに済むためです。納品物の一覧に、必ず入れておいてください。
保管の容量も見込んでおきます。元の映像は、完成品の何十倍もの容量になります。受け取る前に、どこに置くかを決めておかないと、担当者の外付けの記録装置に入ったまま行方不明になります。
第三者の素材の権利処理
譲渡の条項も素材の受け取りも整えたのに、それでも使えないことがあります。原因は、動画のなかに他人の素材が入っているためです。動画の権利と、その中身の素材の権利は別に管理されています。
動画には、制作会社が作っていない素材が混ざります。音楽、効果音、映像素材、図版、書体。これらは、それぞれ別の権利者がいます。
契約で著作権を譲り受けたとしても、移るのは制作会社が持っている権利だけです。第三者の素材については、使用の許諾の範囲がそのまま残ります。
ここが、権利を譲り受けたのに使えない、という事態の原因です。動画そのものの権利は自社にあるのに、中に入っている音楽の許諾が特定の用途に限られている、という形です。
防ぐには、納品のときに使用素材の一覧をもらいます。素材の名前、入手先、許諾の範囲、期限。この4項目が書かれた一覧があれば、後から確かめられます。
書体も忘れられがちです。字幕やテロップに使った書体には、それぞれ使用の条件があります。映像への埋め込みが認められているか、商用の利用に制限がないかを、一覧に含めてもらってください。
定額の素材のサービスを使っている場合は、期限に注意します。契約が続いているあいだは使えるが、解約すると過去に作った作品も使えなくなる、という条件のものがあります。
一覧をもらうときは、素材ごとに許諾の期限を書いてもらってください。期限のない買い切りなのか、契約が続く限りなのかで、その動画を何年使えるかが決まります。期限のある素材が含まれているなら、台帳にその日付を書き写しておきます。
出演者の許諾は別の話
素材と並んで、もうひとつ別枠で管理すべきものがあります。映っている人の権利です。これは著作権とはまったく別の枠組みで、制作会社との契約をいくら整えても解決しません。
社員やお客様が映る動画では、出演者の許諾が別に必要です。著作権とは別の、肖像に関する権利の話です。
確かめるのは3点です。使う範囲、使う期間、そして途中でやめたいと言われたときの扱い。この3つが書面に残っていないと、後から動けなくなります。
期間を決めていない許諾は、実務でいちばん困ります。出演した社員が退職したあと、その動画を使い続けてよいのか。判断の根拠が何もない状態になります。
お客様に出てもらった場合は、さらに慎重に扱います。取引が終わったあとも公開を続けるかどうかは、許諾の文面に書いておかないと判断できません。
許諾の書面は、制作会社に任せきりにしないでください。書面の控えは、自社でも保管します。制作会社が保管しているだけだと、数年後に取り寄せられないことがあります。
- 出演の許諾は、範囲・期間・撤回の扱いの3点を必ず書面に残す
- 退職者が映る動画は、退職時の扱いをあらかじめ決めておく
- 許諾の控えは、動画の素材と同じ場所に保管する
契約に入れる項目一覧
ここまでの話を、契約書に落とし込む形にまとめます。法務の担当に相談するときは、この一覧を渡せば話が通ります。自社にひな形がある場合は、この項目が抜けていないかを照らし合わせてください。
- 著作権その他の知的財産権が、対価の支払いをもって発注者に移ること
- 移る権利に27条および28条の権利を含むこと(特掲)
- 著作者人格権を行使せず、著作者にも行使させないこと
- 納品物に、元の映像と編集の作業ファイルを含めること
- 使用した第三者の素材の一覧と、その許諾の範囲を提出すること
- 出演者の許諾の書面の写しを提出すること
- 納品後の保管期間と、素材の再提供の条件
最後の項目は見落とされがちです。制作会社が元の素材をいつまで保管するかを決めておかないと、2年後に問い合わせたときには消えている、という事態が起きます。
保管を依頼する場合、費用がかかることもあります。自社で受け取って保管するほうが確実です。納品の時点で受け取り、社内の共有の置き場に入れるのを原則にしてください。
この一覧を、発注の見積り依頼に添付します。対応できるかどうかを、金額と一緒に答えてもらう。対応できない項目があれば、その理由を聞けば実力が見えます。
発注から納品までの5工程
項目がそろったら、実際の進め方に落とします。契約の話は、発注のどの段階で持ち出すかで通りやすさが変わります。見積りを取ったあとに条件を足すと、追加の費用として跳ね返ってきます。
そのまま流す、切り出す、字幕を付ける、取引先に渡す。想定する用途をすべて書き出します。
譲渡の範囲、特掲、人格権の不行使、納品物の一覧。これらを条件として提示して見積りを取ります。
ひな形をそのまま使わず、譲渡と納品物の条項を声に出して確かめます。曖昧な語は書き換えます。
動画のファイルだけでなく、元の映像、作業ファイル、素材の一覧、許諾の写しがそろっているかを確認します。
保管の場所、権利の範囲、出演者の許諾の期限を台帳に書き、次の担当者に引き継げる形にします。
1番目を飛ばすと、あとの工程がすべて曖昧になります。「一応すべての権利をもらっておく」という進め方でも構いませんが、その分だけ見積りは上がります。
3番目の読み合わせは、面倒でも省かないでください。契約書のひな形は、制作会社に有利な形になっていることがあります。権利が制作会社に留保される条項が、目立たない形で入っている例もあります。
納品物のチェックリスト
工程のうち、実務でいちばん抜けやすいのが納品時の確認です。完成した動画を見て満足してしまい、その他の納品物を確かめないまま検収を通してしまう。検収が終わったあとに請求するのは、想像以上に難しくなります。
受け取りの当日に確かめる項目を並べます。この場で確かめないと、後から請求するのが難しくなります。
- 完成した動画(想定する解像度と形式で再生できるか)
- 字幕のファイル(映像に焼き込まれていない、別のファイルの形)
- 撮影したままの元の映像
- 編集の作業ファイル
- 使用した音源と図版のファイル、およびその一覧
- 出演者の許諾の書面の写し
- 納品物の一覧と、権利の範囲を記した書面
2番目の字幕のファイルは、意外と重要です。映像に焼き込まれた字幕は、後から直せません。別のファイルとして受け取っておけば、誤字の修正も、別の言語への差し替えもできます。
チェックの結果は、その場で書面に残します。受領の書類に、納品物の一覧と照合した旨を書いて署名する。不足があれば、その場で期限を切って請求します。
受け取ったファイルは、必ず一度開いて再生してください。容量だけを見て確認した気になり、後で開いたら壊れていた、という事故が実際に起きます。
買い取りと使用許諾の使い分け
ここまで、権利を譲り受ける前提で書いてきました。ただし、それが常に最善とは限りません。用途がはっきり限られているなら、安く済ませて、その分を制作の質に回す判断もあります。
権利をすべて譲り受ける形が、常に正解とは限りません。費用が上がるためです。用途が限られているなら、使用許諾の形で足りることもあります。
判断の目安は、その動画を何年使うかです。1回限りの説明会で流すだけなら、許諾で十分です。数年にわたって使い回すなら、譲り受けるほうが安く済みます。
もうひとつの目安が、作り替える可能性です。切り出しや字幕の追加を予定しているなら、特掲つきの譲渡か、翻案を認める許諾のどちらかが必要です。
許諾の形にする場合は、範囲を具体的に書いてもらいます。「自社の広報活動での使用」といった曖昧な書き方では、展示会や取引先への提供が含まれるかが分かりません。
媒体、期間、地域、二次利用の可否。この4点を書いておけば、迷う場面はほとんどなくなります。
費用が変わる理由を理解しておく
条件を出すと、たいてい見積りが上がります。そこで諦めるか、値切るかの二択になりがちですが、第三の道があります。なぜ上がるのかを理解して、相手にとって痛くない条件に組み替える方法です。
権利の条件を厳しくすると、見積りは上がります。理由を知っておくと、交渉がしやすくなります。
制作会社の側から見ると、権利を手放すことは、その作品を実績として使いにくくなることを意味します。自社の紹介に載せられない、という制約が生まれます。
この点は、条件を分けることで折り合えます。権利は発注者に移すが、制作会社が自社の実績として紹介することは認める。この一文を入れると、金額が下がることがあります。
素材の提供も同じです。元の映像を渡すと、作業ファイルの整理に手間がかかります。その分の作業費を見積りに含めてもらえば、話は通ります。
大切なのは、無償で当然と考えないことです。必要なものを明示し、その分の費用を払う。この形にすれば、制作会社との関係も長続きします。
やってはいけない進め方
実際に相談を受けた事例から、繰り返し出てくる失敗の型を並べます。いずれも、発注の段階では小さな省略に見えたものです。問題が表に出るのは、たいてい1年以上たってからです。
- ひな形の契約書を読まずに押印する
- 口頭で「自由に使ってよい」と言われたことを根拠に、二次利用を進める
- 納品物の確認をせず、完成した動画だけを受け取る
- 元の素材の保管を制作会社に任せきりにする
- 出演者の許諾を口頭で済ませ、期間を決めない
- 権利の条件を厳しくしつつ、費用は据え置きで要求する
2番目は、関係が良好なうちは問題になりません。担当者が変わったときに、根拠が何もないことに気づきます。口約束は、その人が会社を辞めた瞬間に消えます。
6番目は、意外と多い失敗です。条件だけを厳しくして、相手が黙って受けた場合、どこかで手を抜かれることになります。権利は費用と交換するもの、という前提で進めてください。
3番目の確認漏れは、その場で数分かければ防げます。納品の打ち合わせに、一覧を印刷して持って行く。それだけで、あとの数年が変わります。
受け取った後の保管と台帳
契約も納品も適切に済ませたのに、3年後に「あの動画の素材はどこですか」と聞かれて誰も答えられない。これも、実際によくある終わり方です。権利を持っていても、在り処が分からなければ使えません。
最後は、受け取ったものをどう管理するかです。権利をきちんと取得しても、どこに何があるか分からなければ、使えないのと同じです。
台帳に書く項目は、多くありません。動画の名前、制作した年月、権利の範囲、素材の保管場所、出演者の許諾の期限。この5つで足ります。
出演者の許諾の期限は、必ず入れてください。期限が近づいたら、更新するか、公開を止めるかを判断します。台帳に書いていないと、期限が過ぎたことに誰も気づきません。
保管の場所は、社内の共有の置き場に統一します。容量が大きいので、置き場を分けたくなりますが、分けた瞬間に探せなくなります。
担当が変わるときは、台帳を引き継ぎの資料に含めます。動画は数年使う資産なので、担当者2代分をまたぐことを前提に管理してください。
台帳は、動画だけの専用のものを作らないほうが続きます。資料や画像を含めた制作物の一覧に、動画の行を足す形にします。見る頻度の高い表に混ぜておけば、更新も自然に行われます。
年に一度、台帳を上から確かめる日を決めておくと、なお確実です。出演の許諾の期限、素材の契約の状態、保管の場所。この3つを見るだけなら、10本あっても1時間で終わります。この1時間が、突然の差し替えや公開停止を防ぎます。
用語のミニ解説
最後に、社内や制作会社との打ち合わせで使う言葉を整理します。用語の意味がそろっていないと、契約書の読み合わせに時間がかかります。この4語を共有しておけば、条項の議論が短くなります。
映画の著作物
著作権法における分類のひとつで、動画はこれに当たるのが一般的です。演出、撮影、美術など全体的な形づくりに創作的に関わった人が著作者になります。製作への参加を約束している場合は、著作権が製作者に帰属する規定があります。
特掲
契約で、条文の番号を挙げて特に記載することを指します。27条(翻案などの権利)と28条(二次的な著作物の利用に関する原著作者の権利)は、特に記載しなければ譲渡されないと推定されるため、この書き方が必要になります。
著作者人格権
公表するかどうか、名前を表示するかどうか、意に反する改変を受けないかに関する権利です。譲渡できないため、契約では行使しない旨と、実際の著作者にも行使させない旨を定めます。
二次利用
完成した動画を、当初の目的以外に使うことを指します。短く切り出す、字幕を付ける、別の媒体で流す、取引先に渡すなど。作り替えを伴うものは翻案に当たるため、権利の範囲を先に決めておく必要があります。
まとめ
外注した動画は、費用を払っただけでは自社のものになりません。契約に書かなければ著作権は制作した側に残り、使える範囲は契約に書かれた分だけになります。この前提を知っているかどうかで、2年後の自由度が変わります。
契約で押さえるのは3点です。著作権が対価の支払いをもって移ること。27条と28条の権利を含むと特に書くこと。そして著作者人格権を行使せず、著作者にも行使させないこと。
納品では、完成した動画に加えて、元の映像、作業ファイル、使用素材の一覧、出演者の許諾の写しを受け取ります。受け取ったら台帳に記録し、出演の許諾の期限を書いておく。ここまでやって、はじめて動画が会社の資産になります。
なお、権利をすべて譲り受ける形が常に正解ではありません。1回の説明会で流すだけなら、使用許諾の形で十分です。判断の目安は、何年使うかと、作り替える可能性があるかの2点。この2つに当てはまるなら、譲渡の形にしたほうが結局は安く済みます。
最後に、既存の動画についても一度だけ棚卸しをしてください。手元にある動画の契約書を出して、譲渡の条項と特掲の有無を確かめる。使えるものと、許諾が要るものを分けておけば、次に展示会や投稿の話が出たときに、その場で判断できます。調べるのは1本あたり5分ほどで、この作業をしておくと、企画の速度が目に見えて変わります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
