製品デモ動画をAIで作る5工程|使う場面まで設計する

「デモ動画を作ったのに、営業がほとんど使っていない」「展示会で流す用と商談で見せる用を、1本でまかなおうとしている」——製品の説明を動画にした企業でよく聞く話です。使われない原因は、動画の出来ではありません。どこで使うかを決める前に、作り始めていることにあります。この記事では、使う場面から逆算した設計と、制作の5工程を整理します。
カメ先生デモ動画はね、機能を全部見せたものが親切だと思われがちだが、実際に使われるのは場面ごとに切り分けた短いものなんだ。
カメ子場面というのは、展示会や商談といった違いのことでしょうか。
カメ先生そう。人が立ち止まる数秒で伝える動画と、相手が座って見る動画では、尺も見せる順番も別物になる。
カメ子1本で兼ねようとすると、どちらにも合わなくなるわけですね。
- デモ動画は1〜2分が主流。YouTubeでは20秒で半数が離脱するため、冒頭の設計が結果を左右する
- 使う場面を先に決める。展示会用の30秒、商談用の3分、サイト掲載用の90秒では構成が別物になる
- 台本と構成は生成AIで下書きできるが、見せる順番と省く判断は製品を知る人が持つ
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デモ動画は説明を省くための道具
デモ動画の役割を一言で言えば、人が毎回する説明を1回の制作に置き換えることです。この視点を持つと、何を入れるかの判断が変わります。宣伝物として作るのではなく、業務の中で繰り返し発生している作業を減らす道具として位置づけます。
実際の使い方として、商談時に営業がタブレットやノートPCに保存した映像を見せる形があります。普段から行っている商品説明やデモンストレーションを動画にしておけば、担当者による説明の差がなくなります。説明の上手い人と不慣れな人の差が、そのまま商談の質の差になっている状態を解消できます。新人が同席したときの教材にもなります。
この目的で作る場合、動画に求められるのは網羅性ではありません。毎回説明している内容のうち、最も時間がかかる部分だけを動画にするのが効率的です。全機能を紹介する動画は、作るのに時間がかかり、見られる場面も限られます。まず1つの場面に絞って作り、効果を確かめてから範囲を広げてください。
使う場面を先に決める
制作に入る前に決めるべきことは、機能の選定ではなく使う場面です。場面が決まれば、尺と構成はほぼ自動的に決まります。逆に場面を決めずに始めると、編集の途中で判断が揺れ、完成しても使われない動画になります。
場面は大きく4つあります。展示会やイベントで流す、営業が商談で見せる、サイトやLPに掲載する、問い合わせ後にメールで送る。このうち2つ以上を同時に狙うと、どちらにも合わない中途半端な動画になります。兼用したくなるのは自然ですが、それが失敗の入口です。
優先すべきは、いま最も困っている場面です。営業から「説明に時間がかかる」という声が出ているなら商談用、サイトの直帰率が高いなら掲載用。困っている場面が1つ決まれば、最初の1本の仕様は決まるということになります。決め方に迷うなら、営業に「どの説明を動画で代わりにしてほしいか」と聞くのが早いです。
決めた場面は、企画書の1行目に書いて関係者に共有します。制作の途中で「サイトにも置きたい」「展示会でも流したい」という要望が必ず追加されます。その要望を断るための根拠として、最初に決めた場面を明文化しておく必要があります。追加の場面は、1本目が完成してから切り出しで対応すると決めておけば、要望を拒まずに仕様の膨張を防げます。
場面別に変わる尺と内容
場面ごとに求められる仕様を整理します。この違いを知らずに1本で兼用しようとすると、どこでも使いにくい動画になります。次の表を、企画の最初に確認する資料として使ってください。
| 使う場面 | 尺の目安 | 音声 | 冒頭に置くもの |
|---|---|---|---|
| 展示会で流す | 30〜60秒 | なくても成立させる | 製品が何をするかの一文 |
| 商談で見せる | 2〜3分 | ナレーションあり | 相手の課題への言及 |
| サイトに掲載 | 60〜90秒 | 字幕必須 | 得られる結果 |
| メールで送る | 90秒〜2分 | ナレーションあり | 動画を見る理由 |
展示会用の特徴は、音が聞こえない前提で作ることです。会場は騒がしく、通りかかった人は最初から見ていません。どこから見ても内容が分かるループ構成にします。テロップで情報を持たせ、繰り返し流れても違和感がない作りが求められます。
商談用は逆に、相手が集中して見ている前提で作れます。冒頭で相手の課題に触れる構成が有効です。同じ製品でも、見る人の集中度が違えば構成は変わるという理解が、場面別の設計の出発点になります。集中度の低い場面ほど、短く、テロップを多くします。
長さの目安と離脱の現実
尺の決め方には目安があります。デモ動画は1分から2分程度のものが多く、この範囲が実務的な標準です。社内の合意を得るときも、この目安があると議論が短くなります。
この長さになる理由は離脱です。YouTubeでは20秒で半数のユーザーが離脱するという傾向があり、冒頭の20秒で飽きさせない構成が必須になります。3分の動画を作っても、最後まで見る人は少数です。長い動画を作った労力の大半が、見られない部分に費やされることになります。
長い動画を作る必要がある場合は、分割を検討します。3分の動画1本より、1分の動画3本のほうが見られます。尺は伝えたい量ではなく、見られる量で決めるという判断です。短くする作業は、何を省くかを決める作業でもあります。省く判断ができないまま撮り始めると、必ず長くなります。
構成の型
デモ動画の構成には型があります。課題提示から次の行動までを一直線に並べる形です。この型に沿って組めば、初めて作る場合でも大きく外しません。
順番は、課題の提示、製品による解決の実演、得られる結果、次の行動の案内です。この順番を守ると、機能の説明が「なぜ必要か」とセットで伝わります。逆に、機能から始める構成は、聞き手が理解する前に情報が流れていきます。作り手は製品に詳しいため、この順番を飛ばしがちです。
実演の部分では、寄りと引きの使い分け、動きの見せ方に工夫が必要です。複雑な仕組みはCGやテロップで補います。画面を見ただけでは分からない部分にだけ補助を足すのが基本で、全編にテロップを敷き詰めると読むだけで疲れます。補助が必要な箇所は、台本を書く段階で印を付けておきます。
制作の5工程
場面と構成が決まったら、次の5工程で進めます。1本目は撮影よりも前工程に時間がかかりますが、2本目以降はこの前工程が資産になって短縮されます。
どの場面で誰に見せるか、動画を見た後に何をしてほしいかを一文で書きます。ここが曖昧だと以降の判断がぶれます。
実演する操作を3つ以内に決めます。全機能を入れないと決めることが、この工程の目的です。
話す内容と画面の動きを並べて書きます。1分あたり300文字程度が話せる量の目安です。
画面収録とナレーションを分けて録ります。字幕を入れ、必要な箇所にテロップを足します。
商談で使い、営業から「どこで止められたか」を聞き取ります。次の版に反映します。
この5工程のうち、2番目が最も難しく、最も効きます。見せる範囲を絞る判断は、製品を知っている人しかできません。外部に制作を依頼する場合も、ここは社内で決めてから渡します。ここを渡さずに依頼すると、網羅的で長い動画が返ってきます。
5番目を省略すると、動画は作った時点で止まります。実際に使った人からの声が、次の改善の材料になります。1本目は完成品ではなく試作と考えると、修正への抵抗が下がります。営業が途中で止めて説明を足している箇所は、その部分の説明が足りていない証拠です。
台本づくりで生成AIを使う
5工程のうち、生成AIが効くのは3番目の台本です。ここは文章を組む作業であり、下書きの生成が向いています。白紙から書き始めるより、たたき台を直す形のほうが早く終わります。
使い方は、製品の説明資料と決めた構成、想定する視聴者を渡して、話す言葉の草稿を作らせる形です。資料をそのまま読み上げる文章ではなく、話し言葉として聞ける形に変換させる指示が要点です。書き言葉のまま読むと、動画では硬く聞こえ、耳で追えません。
尺の調整にも使えます。1分あたり300文字程度という目安があるため、「90秒に収まる450文字で」と条件を付けて出させると、後の編集が楽になります。文字数を指定して出させると、収録後に尺が合わないという手戻りが減るという実務的な利点があります。収録してから長すぎると気づくのが、最も損な進め方です。
加えて、構成案の複数パターンを出させる使い方も有効です。課題起点、結果起点、比較起点といった切り口ごとに構成を出させ、営業に見せて選んでもらう。選ぶ材料が複数あると、社内の議論が具体的になります。1案だけ持っていくと、良し悪しの議論にならず、感想の交換で終わります。
画面収録の実務
ソフトウェア製品のデモでは、画面収録が中心になります。ここでの工夫が、分かりやすさを大きく変えます。編集で直せない要素が多いため、収録前の準備が効きます。
まず、画面の解像度と表示倍率を決めます。そのままの解像度で録ると、文字が小さすぎて視聴者が読めません。ブラウザの表示倍率を上げ、必要な部分だけが映る状態で録ります。スマートフォンで見られる前提なら、さらに大きくします。
マウスの動きも意識します。素早く動かすと目で追えません。クリックする前に一瞬止める、動かす速度を落とす。視聴者の目がついてこられる速度で操作するだけで、理解しやすさが変わります。操作に慣れた人が録ると、必ず速くなりすぎます。自分では遅いと感じる速度が、視聴者には適切です。
収録は区切って録るほうが確実です。一連の操作を一度で通そうとすると、途中で間違えたときに最初から録り直しになります。操作の単位ごとに分けて録り、編集でつなぐ形にすれば、失敗した部分だけを撮り直せます。あわせて、画面上で入力する文字はあらかじめ用意しておきます。収録中に打ち間違えると、その部分を丸ごと録り直すことになります。
ナレーションと字幕
音声と字幕の扱いは、使う場面によって変わります。両方を用意しておくと、複数の場面で使い回せます。後から足すより、最初から両方を前提に作るほうが手間が少なくなります。
ナレーションは、生成AIの音声合成でも実用的な水準になっています。録り直しが容易なため、台本を修正したときの対応が早くなります。人が読む場合、修正のたびに録音の予定を組む必要があり、細かい直しが後回しになります。製品名の読み方だけは、事前に指定しておく必要があります。
字幕は必須と考えてください。移動中や職場で音を出せない状況で見られることが多く、音声だけに頼ると内容が伝わりません。字幕があれば音声なしでも成立する状態にしておくのが安全です。展示会用に転用するときも、字幕があればそのまま使えます。
見せてはいけないもの
画面収録では、意図せず出してはいけない情報が映り込みます。公開後の回収はできないため、公開前の確認項目として押さえておきます。
- 実在する顧客名や担当者名:管理画面のデータに実際の企業名が残っているケースが多い
- 個人情報を含むデータ:メールアドレス、電話番号、住所。テスト用データに差し替える
- 社内の別システムの通知:収録中に届くチャットやメールの通知が画面に映る
- 未公開の機能や価格:開発中の画面が映り、公開前の情報が出てしまう
これらを防ぐには、収録専用の環境を用意するのが確実です。デモ用のデータを入れたアカウントを作り、通知を切った状態で録る。準備に30分かかりますが、公開後の回収は不可能です。ブラウザのブックマークバーや拡張機能のアイコンも映ります。
公開前の確認は、収録した本人以外が行います。作った人は見慣れているため、映り込みに気づきません。別の人が最後まで通して見る工程を必ず入れることを手順に組み込んでください。一時停止しながら画面の隅まで確認する形が確実です。
1本を複数の尺に展開する
場面ごとに作り直すのは非効率です。1本の素材から複数の尺を作る前提で収録しておくと、後の展開が早くなります。収録は1回、編集を複数回という考え方です。
方法は、収録時に長い版を録り、そこから短い版を切り出す形です。2分の商談用を作ってから、そこから30秒の展示会用を切り出す。逆の順序では素材が足りず、追加の収録が必要になります。長い版を作る段階で、短い版に使う部分を意識して録っておくと後が楽です。
切り出す際は、短い版に合わせて冒頭を録り直します。展示会用は音なしで成立させる必要があるため、テロップの追加が必要です。素材は共通、冒頭と字幕は場面ごとに作り直すという分担が効率的です。編集プロジェクトは場面ごとに分けて保存しておきます。
公開先の選び方
完成した動画をどこに置くかで、できることが変わります。3つの選択肢があり、目的によって答えが変わります。全部に置く必要はありません。
YouTubeに置く場合は、検索経由の流入が期待でき、埋め込みも容易です。ただし関連動画に他社の動画が表示され、視聴者が離れる経路ができます。自社サイトの動画配信サービスに置く場合は、視聴の途中で離脱されにくく、誰がどこまで見たかというデータを詳細に取れます。リード情報と結びつけたい場合はこちらが向きます。
商談用に限るなら、ファイルとして営業に配る形もあります。通信環境に依存せず再生でき、公開する必要もありません。公開する必要のない動画を公開しない、という選択も設計の一部です。競合に見せたくない内容を含む場合、この判断が重要になります。
YouTubeに置く場合は、限定公開という選択もあります。URLを知っている人だけが見られる状態にすれば、検索には出ずに埋め込みや共有ができます。サイトに埋め込みたいが検索結果には出したくない、という要件はこの設定で満たせます。ただし、URLが流出すれば誰でも見られる状態であることは前提として理解しておく必要があります。完全に閉じたい場合は、視聴に登録を求める配信サービスを使います。
効果の測り方
デモ動画の効果は、再生数では測れません。使う場面ごとに見る指標が違います。作る前に、何が変われば成功かを決めておいてください。
商談用なら、営業からの聞き取りが最も確実です。説明にかかる時間が短くなったか、相手の質問の質が変わったかを聞きます。数字より、使っている人の実感が判断材料になります。3人に聞いて全員が「使っている」と答えれば成功です。
サイト掲載用なら、動画のある頁とない頁での滞在時間や次の行動の差を見ます。メール送付用なら、視聴した相手の商談化率を見ます。測る指標は「使う場面で何が変わるはずか」から決めるのが基本です。再生数だけを追うと、判断を誤ります。10回の再生で3件の商談が生まれれば、それは成功した動画です。
測る前に決めておくべきなのは、比較の対象です。動画を置く前の数字を記録していなければ、置いた後の数字が良いのか悪いのか判断できません。掲載の1か月前から、対象頁の滞在時間と次の行動を記録しておきます。商談用なら、営業に説明時間を1週間だけ計測してもらいます。手間のかかる作業ですが、この記録がないまま完成させると、効果の議論が印象論になります。
更新をどう回すか
製品の画面は変わります。動画を作ったあと、更新の運用を決めておかないと、使えない動画が残り続けます。古い画面のデモを見せると、かえって信頼を損ないます。
更新の判断基準は、映っている画面が現在の画面と違うかどうかです。ボタンの位置が変わった程度なら使い続けられますが、操作の流れが変わったら作り直しが必要です。四半期に1度、営業に「まだ使えるか」を確認する運用にすると判断が遅れません。
この負担を軽くするには、更新頻度の高い画面を映さない設計が有効です。製品の見た目が変わりやすい部分は、あえて動画に入れないという判断もあります。あわせて、台本と収録環境を残しておけば、作り直しの時間は半分以下になります。
- 台本、収録設定、使ったテスト用データは1か所に保存しておく
- 動画のファイル名に収録日を入れておくと、古い版が混在しても判別できる
社内で承認を得るための材料
デモ動画の制作は、外注する場合は費用が発生し、内製する場合は工数が発生します。どちらにしても社内の承認が必要になるため、説明の材料を用意しておくと話が早く進みます。感覚的な必要性を訴えるより、置き換わる作業量を示すほうが通ります。
最も伝わるのは、いま人がかけている時間の合計です。営業が同じ説明を何回して、1回に何分かけているか。1回15分の説明を月40回しているなら、月10時間がその説明に使われている計算になります。動画で半分が省けるなら、月5時間が別の仕事に回ります。この計算を営業に確認して数字を出せば、判断材料になります。
あわせて、動画がない状態で起きている問題も挙げます。担当者による説明の差、通信環境に左右される画面共有、展示会での説明待ちの列。費用の話をする前に、いま何が起きているかを数字と事実で並べると、投資の判断がしやすくなります。1本目は最小限の範囲で作り、効果を確認してから2本目の予算を求める進め方が現実的です。
よくある質問
外注と内製のどちらがいいですか?
1本目は内製で試すことを勧めます。画面収録とナレーション、字幕までは市販のツールで対応でき、専門的な編集技術は必要ありません。使う場面が固まり、繰り返し作る見通しが立った段階で、品質を上げたい部分だけを外注する形が無駄がありません。最初から外注すると、仕様が固まっていないまま発注することになります。
実写の撮影は必要ですか?
ソフトウェア製品なら、画面収録とテロップで成立します。実写が必要になるのは、機械や設備のように動きを見せる必要がある製品です。人が映る映像を入れると、担当者の異動や退職のたびに作り直しが必要になるため、長く使う前提なら映さない選択も合理的です。
何本くらい用意すべきですか?
使う場面ごとに1本、が出発点です。商談用の1本を作り、そこから展示会用を切り出す。この2本で当面は足ります。機能が多い製品でも、最初から機能別に何本も作る必要はありません。1本を使ってみて、営業から「この部分だけの動画が欲しい」という声が出た時点で追加してください。
まとめ
製品デモ動画は、作ることより使う場面を決めることが成果を左右します。展示会用の30秒、商談用の2〜3分、サイト掲載用の90秒では、尺も音声の扱いも冒頭の構成も別物になります。1〜2分を標準とし、冒頭20秒で離脱を止める。見せる操作は3つ以内に絞り、台本は生成AIで下書きして話し言葉に整える。収録では顧客名や個人情報の映り込みを別の人が確認し、長い版から短い版を切り出す形で複数の場面に展開する。効果は再生数ではなく、使う場面で何が変わったかで測ってください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
