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自治体の補助金の担当が交付申請を確かめるときに、事業の内容が近い過去の交付事業の審査メモと実績報告を探し、対象経費の判断と当時の照会を根拠付きで返す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

自治体の補助金の担当が交付申請を確かめるときに、事業の内容が近い過去の交付事業を探します。経費ごとに対象とした・対象外とした判断と理由、当時の照会、確定のときの減額を、根拠の記録付きで示します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
対象業界
その他/自治体
対象部門
経理
対象業務
情報検索/比較検討
主な課題
判断に時間がかかる/引き継ぎができていない/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
判断支援/品質標準化/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
50h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
64%
年間削減
384h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 交付申請書と事業計画書、経費の内訳、見積書を受け取る
  2. 交付要綱に照らして、申請の要件と書類の不足を確かめる
  3. 経費の内訳で判断に迷う行について、補助金の台帳と共有フォルダから、似た事業を探す
  4. 見つけた事業の審査メモを開き、その経費をどう判断したか、照会したかを読む
  5. 実績報告と額の確定の記録を開き、その経費が最後まで対象だったかを確かめる
  6. 当時の交付要綱の版を確かめ、その後の改正で扱いが変わっていないかを見る
  7. 経費ごとの判断を審査メモに書き、必要なら申請者に照会し、決裁に回す
導入後(After)
  1. 人担当者が審査の画面で、補助金の種類を選び、事業計画の文章と経費の内訳を貼り付けて「前例を探す」を押す
  2. 自動検索基盤が、補助金の種類で絞り、事業計画と経費の文章に近い過去の文書を探す
  3. 自動見つかった文書を事業ごとにまとめ、事業ごとに審査メモ・実績報告・額の確定の記録を取り出す
  4. 自動事業ごとに、交付決定のときの交付要綱の版と、その後の改正の有無を改正の表で引いて印を付ける
  5. 自動生成AIが、事業ごとの記録を読み、今回の経費の行に近い経費について、判断・理由・照会・確定の結果を引用付きで並べる
  6. 人担当者が並べられた前例を読み、今回の経費との違いを確かめる
  7. 人担当者が交付要綱に照らして経費ごとの判断を決め、審査メモに書き、決裁に回す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 交付申請書と事業計画書、経費の内訳、見積書を受け取る
  2. 交付要綱に照らして、申請の要件と書類の不足を確かめる
  3. 経費の内訳で判断に迷う行について、補助金の台帳と共有フォルダから、似た事業を探す
  4. 見つけた事業の審査メモを開き、その経費をどう判断したか、照会したかを読む
  5. 実績報告と額の確定の記録を開き、その経費が最後まで対象だったかを確かめる
  6. 当時の交付要綱の版を確かめ、その後の改正で扱いが変わっていないかを見る
  7. 経費ごとの判断を審査メモに書き、必要なら申請者に照会し、決裁に回す

(a)似た事業が見つからない。 共有フォルダの検索は、ファイル名と言葉の一致でしか引けません。「EC サイト構築」「ネットショップ開設」「オンライン販売の仕組みづくり」は、同じ事業でも別々の言葉で書かれています。

(b)交付決定と確定がばらばらに残っている。 審査メモは交付決定の年度のフォルダに、実績報告は事業が終わった年度のフォルダにあります。交付決定の審査メモだけを見て「前は対象にした」と判断し、 確定のときに減額されていたことに気づかないことがあります。

(c)担当によって判断がそろわない。 同じ補助金の同じ経費で、ある担当は対象、別の担当は一部対象とする。前例を探す担当と探さない担当で、判断の根拠が違ってきます。 申請者からは「去年は対象になったと聞いた」と言われます。

(d)経緯が異動で失われる。 「この経費は、汎用性が高いので対象外とした」といった判断の理由は、長く担当した人の記憶にあり、審査メモには短くしか書かれていません。

  1. 【人】 担当者が審査の画面で、補助金の種類を選び、事業計画の文章と経費の内訳を貼り付けて「前例を探す」を押す
  2. 【自動】 検索基盤が、補助金の種類で絞り、事業計画と経費の文章に近い過去の文書を探す
  3. 【自動】 見つかった文書を事業ごとにまとめ、事業ごとに審査メモ・実績報告・額の確定の記録を取り出す
  4. 【自動】 事業ごとに、交付決定のときの交付要綱の版と、その後の改正の有無を改正の表で引いて印を付ける
  5. 【自動】 生成AIが、事業ごとの記録を読み、今回の経費の行に近い経費について、判断・理由・照会・確定の結果を引用付きで並べる
  6. 【人】 担当者が並べられた前例を読み、今回の経費との違いを確かめる
  7. 【人】 担当者が交付要綱に照らして経費ごとの判断を決め、審査メモに書き、決裁に回す

7番目は、これまでと変わりません。 画面に出るのは過去の判断で、今回の判断ではありません。

3番目で事業ごとにまとめているのも意図してのことです。 文書のまま並べると、同じ事業の審査メモと実績報告が別々の行に出て、交付決定のときの判断と確定のときの結果を、担当者が自分で突き合わせることになります。

02今回想定するシステム構成

構成図
担当者の画面(補助金の種類・事業計画の文章・経費の内訳)
   ▼【トリガー】担当者が「前例を探す」を押す
AWS Lambda ── 定型の文言を除き、検索の条件を組む
   ▼
Amazon OpenSearch Service(審査メモ・実績報告・確定の記録の索引)
   ├─ more_like_this:事業計画と経費の文章に近い文書(Sudachi で分けた言葉)
   ├─ bool の filter:補助金の種類、年度の範囲
   └─ collapse + inner_hits:事業ごとに1行、審査メモ・実績報告・確定の記録を添える
   ▼
AWS Lambda ── 交付決定のときの要綱の版と、改正の有無を改正の表で引く
   ▼
Claude API(Citations)── 経費ごとの判断・理由・照会・確定の結果を引用付きで並べる
   ▼
担当者の画面(改正の印 → 経費ごとの前例 → 確定のときの減額 → 引用)
役割想定する製品代替候補
検索基盤Amazon OpenSearch Service(more_like_this、collapse、Sudachi)Azure AI Search、Vertex AI Search(Agent Search)
生成AIClaude API(Citations で記録の該当の記述を引用して並べる)OpenAI API、Gemini API
連携AWS Lambda(定型の文言の除去、改正の表の参照)AWS Step Functions
保管Amazon S3(審査メモと実績報告の写し、検索と参照の記録)―

補助金の台帳と共有フォルダは、残します。 この構成は審査メモと実績報告を読んで索引にするだけで、記録を書き換えません。 交付決定と額の確定の記録の正本は、これまでどおり文書管理の仕組みにあります。

事業計画の文章に近い文書は、more_like_this で探します。 公式のドキュメントでは、more_like_this は入力の文章や文書を分析して、それをよく特徴づける言葉を選び、その言葉を含む文書を探すとされています。キーワードを人が考えなくても、申請書の事業計画をそのまま入れれば、近い事業が引けます。

探した文書は、collapse で事業ごとにまとめます。 公式のドキュメントでは、collapse は指定した項目の値ごとに結果をまとめ、各まとまりの上位の文書だけを返すとされ、inner_hits でまとまりの中の文書を取り出せます。事業の番号でまとめ、その事業の審査メモ・実績報告・確定の記録を添えて返させます。

日本語の文章は、Sudachi で分けて索引にします。 Amazon OpenSearch Service の対応プラグインの一覧では、Sudachi Analysis が日本語向けに推奨とされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

担当者が審査の画面で「前例を探す」を押したことを起点にします。 経費の内訳の中で判断に迷う行がある申請に使います。すべての申請で自動に前例を出すと、要綱を読む前に前例を読む癖が付くので、担当者が必要と思ったときに押す形にします。

索引の更新は、決裁のたびに行います。 交付決定の決裁を経た審査メモ、額の確定の決裁を経た実績報告の審査の記録を、決まったフォルダに置くと、その文書だけを読み取って索引に入れます。

改正の表の更新は、交付要綱の改正のたびに担当課が行います。 改正された補助金・条項・対象経費の扱いと施行の日を表に書き足します。この表が古いと、第5章の4番目の印が付かなくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
今回の申請補助金の種類、事業計画の文章、経費の内訳(経費の名前・内容・金額)担当者の画面
審査メモ事業の番号、補助金の種類、年度、経費の行ごとの判断(対象・対象外・一部対象)と理由、照会と回答共有フォルダの審査メモ
実績報告の審査の記録事業の番号、経費の行ごとの確定の結果、減額した経費と理由共有フォルダの実績報告の写し
改正の表補助金の種類、交付要綱の版、施行の日、改正された対象経費の扱い担当課が作る表
定型の文言の一覧申請書の様式に必ず出る文言(「本事業は」「補助対象経費」など)担当課が作る一覧

質を決めるのは、審査メモと実績報告が同じ事業の番号で結べるかです。 補助金の台帳の事業の番号を、審査メモと実績報告の両方に必ず持たせます。 番号の無い古い記録は、台帳の申請者と年度で番号を割り当て、割り当てたことを印で残します。

定型の文言の一覧は、more_like_this の精度を決めます。 申請書の様式に必ず出る言葉は、どの申請にも同じように出るので、事業の中身ではなく様式の近さで文書が並びます。 一覧の言葉を stop_words に入れて、特徴づける言葉の候補から外します。

Step3

データの取得方法を決める

審査メモ・実績報告の審査の記録を、それぞれ索引の1件にします。 項目は、事業の番号(キーワード)、補助金の種類(キーワード)、年度(数値)、記録の種類(審査メモ・実績報告)、事業計画の要約と経費の文章(Sudachi で分ける文章)、経費の行の一覧に分けます。

検索の要求は、おおよそ次の形です。

{
  "size": 8,
  "query": {
    "bool": {
      "filter": [
        { "term": { "program": "shop-renovation" } },
        { "range": { "fiscal_year": { "gte": 2021 } } }
      ],
      "must": {
        "more_like_this": {
          "fields": ["plan_text", "expense_text"],
          "like": "{今回の事業計画と経費の内訳の文章}",
          "min_term_freq": 1,
          "min_doc_freq": 2,
          "max_query_terms": 40,
          "stop_words": ["本事業", "補助対象経費", "事業計画"]
        }
      }
    }
  },
  "collapse": {
    "field": "project_id",
    "inner_hits": { "name": "records", "size": 4, "sort": [{ "record_type": "asc" }] }
  }
}

min_term_freq を1にしているのは、既定の2のままだと短い文章で何も引けないからです。 公式のドキュメントでは、min_term_freq は入力の中でこの回数より少なく出る言葉を無視するもので、既定は2です。経費の内訳の「エアコン」「看板」は1回しか出ないことが多く、既定のままだと、いちばん大事な経費の言葉が候補から落ちます。 min_doc_freq(既定5)、max_query_terms(既定25)、minimum_should_match(既定30%)も、件数を見ながら決めます。

前の年度にも申請のあった事業者の継続の申請では、like に文章と文書を並べます。 公式のドキュメントでは、like には自由な文章と、索引にある文書を組み合わせて渡せるとされています。前年度の同じ事業の審査メモを like に足すと、その事業と内容の近い他の事業も一緒に引けます。反対に、unlike に渡した文章や文書の言葉は、近さの判断に使われないとされています。様式の説明の文章を unlike に入れる方法もありますが、まずは stop_words で足ります。

collapse の項目は、キーワードの型にします。 公式のドキュメントでは、collapse はキーワードか数値の項目に使えるとされています。また、返る総件数はまとめる前の件数で、まとまりの数ではないとされているので、画面に出す件数は返ってきた事業の数から数えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 記録を文字にする … PDF の審査メモと実績報告から文字を取り出し、取り出せないものは読み取りをかけます。経費の行の表は、表の形を保って取り出します
  2. 事業の番号を結ぶ … 補助金の台帳を引き、審査メモと実績報告に同じ事業の番号を付けます
  3. 当時の要綱の版を割り当てる … 交付決定の日から版を割り当てます
  4. 経費の行を分ける … 経費の行ごとに、名前・内容・判断・理由を分け、Citations で引けるようにブロックに分けて保管します
  5. 申請者を特定する項目を外す … 事業者名・代表者名・住所・口座は索引の文章から外し、事業の番号から台帳をたどれるだけにします
  6. 今回の入力から定型の文言を除く … 担当者が貼り付けた文章から、定型の文言の一覧の言葉を除いてから検索します

2番目を軽く見ないでください。 審査メモと実績報告が結べないと、collapse で事業ごとにまとめても、交付決定のときの判断と確定のときの結果が別の事業として並びます。 この構成の中心が崩れます。

Step5

AIに処理させる

探すのとまとめるのは検索基盤、改正の印は改正の表から規則で付けます。生成AIには、事業ごとの記録を読ませ、今回の経費の行と比べやすい形に並べさせます。

させること中身
近い経費の対応今回の経費の行ごとに、過去の事業の近い経費の行を挙げる
当時の判断と理由その経費を対象・対象外・一部対象とした判断と理由
照会と回答申請者に照会した内容と、その回答
確定のときの結果実績報告の審査で減額した、対象外とした経費と理由
させないこと理由
今回の経費を対象とするかの判断交付要綱に照らして担当課が判断し、決裁で決める
前例の判断の正しさの評価当時の判断の是非は、この検索の役割ではない
改正の有無の判断改正の表から規則で付ける
記録に無い理由の補完理由が書かれていなければ「記載なし」

させないことの1行目が、この構成でいちばん大事な線引きです。 近い事業でエアコンの更新費を対象にしていれば、生成AIは「今回も対象となる可能性があります」と書きたくなります。 それを読めば、要綱を読む前に結論が決まります。

させることの4行目は、第3章の(b)への手当てです。 交付決定のときは対象、確定のときに減額、という前例は、今回の申請者に、実績報告で何を出してもらうかを先に伝える材料になります。

させることの1行目で、経費の名前の違いを越えます。 今回の「空調設備の更新」と過去の「エアコン入替工事」は、言葉が違っても同じ経費です。検索で事業を引いたあと、経費の行どうしの対応を付けるのは生成AIに任せます。 ただし、対応を付けた根拠として、過去の経費の行の原文を必ず引用させます。名前だけで対応を付けた行は、担当者が原文で内容を確かめます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは市の補助金の担当課で、交付申請を審査する担当者に
過去の交付事業の記録を示す立場です。
渡した文書(過去の事業の審査メモと実績報告の審査の記録)だけを
根拠にしてください。

【今回の申請】補助金の種類 {program}
【今回の経費の内訳】{expense_lines}
【過去の事業】事業ごとに文書として渡します。各文書のタイトルには
  事業の番号、交付決定の年度、要綱の版、改正の印が付いています。
  本文は経費の行ごとのブロックに分かれています。

【やること】
1. 今回の経費の行ごとに、過去の事業の近い経費の行を挙げる
2. その経費の当時の判断(対象・対象外・一部対象)と理由を書く
3. 照会した内容と回答があれば書く
4. 実績報告の審査で減額・対象外とした経費があれば、理由を書く

【厳守事項】
- 今回の経費が対象になるか、ならないかを書かないでください。
  「可能性があります」「同様に」とも書かないでください。
- 過去の判断は、その事業の判断としてだけ書いてください。
- 改正の印が付いた事業は、最初に「交付決定の後に要綱の改正あり」と
  書いてください。
- 記録に書かれていない理由を推測で補わないでください。
  無いものは「記載なし」と書いてください。
- 事業者名や個人の名前を書かないでください。

「可能性があります」を禁じないと、ほぼ必ず書きます。 断定を禁じるだけでは、言い方を和らげて同じ結論を書きます。結論の方向そのものを書かせないように、言い回しまで塞ぎます。

事業の文書は、Citations を有効にしたカスタムの内容の文書として渡します。 公式のドキュメントでは、カスタムの内容の文書は渡したブロックがそのまま引用の単位になり、ブロックの番号で引用の箇所が返り、引用の箇所は渡した文書を必ず指すとされています。経費の行を1ブロックにして渡し、どの経費の行を根拠にしたかを番号で受け取ります。 また、Citations は1回の要求の中のすべての文書で有効にするか、すべてで無効にするかのどちらかとされているので、事業の文書はすべて有効にして渡します。

Step7

出力形式を固定する

Citations は構造化出力と併用できません。 公式のドキュメントでは、文書で Citations を有効にしたまま output_config.format を指定すると、400のエラーになるとされています。そのため、生成AIからは引用付きの文章で受け取り、Lambda が次の形のJSONに組み直して画面に流し込みます。

{
  "application_id": "",
  "expense_lines": [
    {
      "this_line": "店舗の空調設備の更新",
      "precedents": [
        {
          "project_id": "R05-SR-0142",
          "program_version": "2023",
          "amended_after": false,
          "decision": "一部対象",
          "reason_quote": "",
          "inquiry_quote": "",
          "settlement": "確定時に一部減額",
          "settlement_quote": "",
          "citation": { "document_index": 0, "start_block_index": 3, "end_block_index": 4 }
        }
      ]
    }
  ],
  "no_precedent_lines": [""]
}

1つ目の理由は、経費の行ごとに前例を並べられることです。 担当者が迷っているのは事業全体ではなく経費の行なので、今回の行の右に、過去の近い行の判断と理由が並ぶ形にします。

2つ目は、settlement を交付決定の判断と並べられることです。 交付決定で対象、確定で減額という前例は、画面で色を変えて出します。

3つ目は、no_precedent_lines で前例の無い経費を一覧にできることです。 前例が無い経費は、係長や前任者に確かめる経費として先に分かります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
担当者の画面庁内の画面申請の文章と経費の内訳を受け取り、前例を表示する
共有フォルダ読み取り決裁された審査メモと実績報告の審査の記録を取り込む
補助金の台帳読み取り事業の番号を結ぶ
Amazon OpenSearch Service検索の API近い文書を探し、事業ごとにまとめる
改正の表読み取り交付決定のときの版より後の改正を引く
Claude APIAPI呼び出し経費ごとの判断と結果を引用付きで並べる

審査メモと補助金の台帳には書き込みません。 今回の審査メモは、これまでどおり担当者が書き、決裁を経て保存します。前例の画面から審査メモを作れる作りにすると、過去の理由をそのまま写した審査メモが増えます。

Step9

人が確認する

担当者が前例を読み、今回の判断は交付要綱に照らして担当者が行い、決裁を受けます。

  1. 改正の印を見る … 改正の後の事業を先に読み、改正の前の事業は今の要綱での扱いを確かめる前提で読みます
  2. 確定のときの結果を見る … 交付決定で対象、確定で減額の前例があれば、その理由を読みます
  3. 前例の無い経費を確かめる … no_precedent_lines の経費は、係長に確かめます
  4. 今回の判断を審査メモに書く … 参照した前例の事業の番号を書きます
  5. 照会が要れば申請者に照会する … 前例の照会の内容を参考に、担当者が文面を書きます

2番目を省かないでください。 確定のときの減額は、交付決定の判断より後の、証拠書類を見たうえでの結論です。前例の判断を読むときは、交付決定と確定の両方を見て初めて、その経費がどう扱われたかが分かります。

4番目の「参照した前例の番号」を必ず残してください。 次の担当がこの審査メモを前例として読んだとき、どの前例を見て判断したかをたどれます。 異動で経緯が失われるのを防ぐ、いちばん安い手当てです。

目標は、1件9分です。 前例を読み、改正の印と確定の結果を確かめ、今回の経費との違いを書き出すまでの時間です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
近い事業が1件も無い「前例なし」と表示し、係長の確認を求める
審査メモはあるが実績報告が無い「確定の記録なし」と表示する。事業が終わっていないか、結べていない
交付決定のときの要綱の版が推定「版は推定」と表示する
改正の表が改正に追いついていない表の最終更新日を表示し、施行の日より前なら警告する
定型の文言だけで近い文書が並ぶ定型の文言の一覧に足し、検索し直す
経費の行の対応が付かない「近い経費なし」とし、事業全体の前例だけを示す
引用の箇所が経費の行と合わない引用を表示せず、記録を開いて確かめるよう示す
検索基盤か生成AIが応答しない「表示できない」と出し、これまでの探し方に戻す

2行目の見分けが大事です。 確定の記録が無いのが、事業がまだ終わっていないからか、記録が結べていないからかで、前例としての重さが変わります。 台帳の確定額の欄を見て、どちらかを表示に添えます。

Step11

記録を残す

  • 今回の申請の補助金の種類と、検索に使った文章(定型の文言を除いた後)
  • 返した事業の番号、要綱の版、改正の印
  • 生成AIに渡した文書と、返ってきた文章と引用の全文
  • 担当者が開いた記録と、審査メモに書いた参照した前例の番号
  • 改正の表を参照したときの表の最終更新日
  • 検索の設定(min_term_freq などの値)と定型の文言の一覧の版

4行目は、判断の経緯を後から追うためです。 申請者から「去年は対象だったのに」と問われたとき、どの前例を見て、どの改正を踏まえて判断したかを説明できます。

最後の行は、検索の設定を直したときに、前と後で出る前例がどう変わったかを比べるためです。 設定を変えた日が分からないと、同じ申請で前例が変わった理由を説明できません。

04実装レベルの3段階

最小構成:1補助金の記録を集めて手でAIの画面に渡し、近い前例を挙げさせる / 1補助金・1件ごとの前例探し
半自動化:上記+審査メモと実績報告を索引にし、事業計画の文章で近い事業を探して事業ごとにまとめる / 前例の検索
本格構成:上記+要綱の版と改正の印、経費の行ごとの前例と確定の結果を引用付きで並べる / 検索と版の確認、経費ごとの整理

半自動化で、①の12分が5分ほどになります。 事業ごとにまとまって出るようになりますが、経費の行を探して読む作業と、版の確認は残ります。 本格構成で経費の行ごとの前例と改正の印を画面の中で済ませ、1件9分にします。この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を使うと、事業の番号で結べない記録と、理由の書かれていない審査メモの多さが見えてきます。それを補ってから経費の行ごとのまとめを足すほうが、根拠の無いまとめが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
25 分
1件あたり導入後時間
9 分
現在  120件 × 25分 ÷ 60 = 50 時間/月
導入後 120件 × 9分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
32h
削減率
64%
年間削減時間
384h
年間金額換算(時間単価3,000円)
115万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 中小企業の設備導入、創業、商店街の催し、空き店舗の活用、地域団体の活動など、年間を通じて随時受け付ける補助金を複数持ち、毎月まとまった数の交付申請を審査している市区町村。審査メモと実績報告が年度ごとのフォルダに散らばり、似た事業で対象経費をどう判断したかを探すのに時間がかかっている場合。担当が2〜3年で異動し、前任者の判断の経緯が引き継がれていない場合。
向いていない
  1. 補助金が1〜2種類で、交付の件数が年に数十件の場合。審査メモを残しておらず、交付決定の通知と申請書しか記録が無い場合(先に審査メモの書き方をそろえるのが先です)。なお、今回の申請の経費を補助の対象とするかの判断と交付の決定は、交付要綱に照らして担当課が行い、決裁を経て決まるもので、この構成はそれを代わりに行いません。

07最小構成で試す方法

  1. 申請の多い補助金を1つ選ぶ(空き店舗の改装など)
  2. その補助金の過去3年の審査メモと実績報告を20事業分集め、事業者名を外す
  3. 最近の申請を3件選び、事業計画と経費の内訳を書き出す
  4. 手元のAIサービスに20事業分の記録と3件の申請を渡し、「申請の経費の行ごとに、過去の事業の近い経費を挙げ、当時の判断と理由、確定のときの結果を書いてください。今回の経費が対象かは書かないでください」と指示する
  5. 出てきた前例を、その補助金を長く担当した人に見てもらう

3件は必ずやってください。 索引を作る前に、「審査メモに、経費ごとの判断の理由が読める形で残っているか」を確かめます。

出てきた内容判断
長く担当した人が見るのと同じ前例が挙がり、理由も読めた索引と画面の仕組みに進む
前例は挙がるが、審査メモに理由が書かれていない審査メモの書き方をそろえるのが先。構成は有効
今回の経費が対象かまで書いてしまう指示の書き方で直る。結論を書かせない指示を強める

2行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、判断の経緯が担当の記憶にしか無かった理由が分かったということです。 その場合は、今日からの審査メモに、経費の行ごとの「判断の理由」の欄を足してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
生成AIが今回の経費の判断を書く指示で禁じ、「可能性があります」も禁じる
交付決定と確定が別の事業として並ぶ事業の番号で結び、collapse でまとめる
短い経費の言葉が検索に効かないmin_term_freq の既定は2。 1に下げる
様式の定型の文言で文書が並ぶstop_words に定型の文言を入れる
改正の前の判断が今の判断に見える版と改正の印を判断より先に表示する
collapse の件数を事業の数と取り違える総件数はまとめる前の件数。返った事業の数で数える
Citations と構造化出力を一緒に使って失敗する引用付きの文章で受け取り、プログラムでJSONに組み直す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 1行目は「前例が結論に見える」、2行目は「前例の半分しか見えない」誤りで、どちらも、担当者が要綱を読む前に判断の形が決まってしまう点で同じです。

3行目と4行目は、使い始めてすぐに出ます。 前例が出ない、出ても様式が似ているだけ、という声が出たら、検索の設定と定型の文言の一覧を疑ってください。 生成AIの指示を直しても、渡す文書が的外れなら結果は良くなりません。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 過去の申請の事業計画、経費の内訳と金額、審査の判断と理由、照会と回答です。申請者には個人事業主も含まれ、事業の計画は外に出せない情報です。

  1. 判断と決裁を人に残す … 補助金適正化法は、交付の決定の前に、書類等の審査と必要に応じた現地調査で、目的と内容が適正か、金額の算定に誤りがないか等を調べるとしています。自治体の補助金でも、この調べと判断は担当課が行い、決裁で決めます。 この構成が出すのは過去の判断です
  2. 索引から申請者を外す … 事業者名・代表者名・住所・口座を文章から外し、事業の番号だけを持たせます
  3. 外部へ渡す範囲を決める … 生成AIに渡すのは事業ごとの経費の行と理由だけです。庁内の生成AIの利用の取り決めと、データの扱いの条件を確かめます
  4. 見られる人を絞る … 前例の画面は補助金の担当課に限り、他の課の補助金の記録は見られないようにします
  5. 申請者への説明に前例を使わない … 「去年は対象だった」への答えは、今の要綱に基づく判断として伝え、過去の他の事業の内容は示しません

誤りが起きた場合のリスクは、改正の前の判断を写すことと、確定のときの減額を見落として対象と判断することの2つです。 前者は改正の印で、後者は事業ごとのまとめで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:審査メモの書き方を足す

今日からの審査メモに、経費の行ごとの判断の理由と、事業の番号を書く欄を足します。あわせて、改正の表の様式と、更新の担当を決めます。

2週目:1補助金で試す

空き店舗の改装の補助金で、過去3年の20事業分の記録と最近の3件の申請を手元のAIサービスに渡し、近い前例を挙げさせます。長く担当した人に見てもらい、今回の判断まで書いていないかを最優先で確かめます。

3週目:記録を事業の番号で結ぶ

過去の審査メモと実績報告に、補助金の台帳から事業の番号を割り当てます。結べなかった記録の割合を数えます。 定型の文言の一覧も、このときに作ります。

4週目:索引を作る

1補助金の記録を Amazon OpenSearch Service に入れ、事業計画の文章で探して事業ごとにまとめる画面を作ります。この時点では生成AIのまとめを付けず、半自動化として使ってもらいます。

2か月目: 改正の印と、経費の行ごとのまとめを足します。3か月目以降: 補助金を広げ、「前例なし」の経費の件数を毎月数えます。1件25分が何分になったかを実測した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
補助金等の交付の申請があったときに、書類等の審査と必要に応じて行う現地調査等により、法令と予算に違反しないか、補助事業の目的と内容が適正か、金額の算定に誤りがないか等を調査して交付の決定をすること(第6条)。補助事業者が完了のときに実績報告書を出すこと(第14条)。実績報告の審査で交付の決定の内容と条件に適合するかを調査して額を確定すること(第15条)e-Gov 法令API: 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律2026-10-08
more_like_this が入力を分析して特徴づける言葉を選び、それを含む文書を探すこと。対象の項目が text か keyword であること。min_term_freq(既定2)、min_doc_freq(既定5)、max_query_terms(既定25)、minimum_should_match(既定30%)、stop_wordsOpenSearch Documentation: More like this2026-10-08
collapse が項目の値ごとに結果をまとめて各まとまりの上位の文書を返すこと。項目が keyword か数値であること。総件数がまとめる前の件数であること。inner_hits でまとまりの中の文書を取り出せることOpenSearch Documentation: Collapse search results2026-10-08
Amazon OpenSearch Service の対応プラグインで Sudachi Analysis が日本語向けに推奨されていることAmazon OpenSearch Service: Plugins by engine version2026-10-08
Citations で引用が渡した文書を必ず指すこと。カスタムの内容の文書ではブロックが引用の単位になりブロックの番号で返ること。1回の要求の中のすべての文書で有効か無効かにそろえること。Citations と構造化出力(output_config.format)を併用すると400のエラーになることClaude Docs: Citations2026-10-08

今回の申請の経費を補助の対象とするかは、最新の交付要綱と自治体の規則に照らして、担当課の判断と決裁で決めてください。 本記事は公開仕様と法令で確認できた範囲だけを扱っており、自治体の補助金の手続きは各自治体の規則で定められています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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