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建設現場の足場を作業開始前に点検した写真から、手すり・中さん・幅木・壁つなぎの欠けや外れの候補を見分けて、点検表の下書きと是正の依頼を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

足場の作業開始前点検で撮った写真から、手すり・中さん・幅木・壁つなぎの欠けや外れの候補を区画ごとに拾います。区画の台帳の「付いているはずの設備」と照らし、点検表の下書きと、足場の専門工事会社への是正の依頼の下書きを作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
不動産/建設/製造
対象部門
品質管理
対象業務
内容確認・チェック/記録・議事録作成
主な課題
人手が足りない/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
画像認識
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
36h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
67%
年間削減
288h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 点検者が、作業を始める前に区画ごとに足場を見て回り、写真を撮ってチェックリストに印を付ける
  2. 異常があれば、その場で足場の会社に直してもらう
  3. 工事担当が、写真とチェックリストを受け取り、点検表のスプレッドシートに区画ごとに書き写す
  4. 工事担当が、写真を見直して、チェックリストの印と食い違いがないかを確かめる
  5. その場で直らなかったものは、足場の会社への是正の依頼を書き、一覧に足す
  6. 安全品質部が、週に一度、点検表と是正の一覧を見直す
導入後(After)
  1. 人点検者が、作業を始める前に区画ごとに足場を見て回り、決めた撮り方で写真を撮って現場のフォルダに入れる
  2. 人異常があれば、その場で足場の会社に直してもらう(これまでどおり)
  3. 自動Make のシナリオが写真を拾い、区画の台帳から足場の種類と「付いているはずの設備」を引く
  4. 自動Gemini API が、写真ごとに4つの設備の状態の候補と写真の上の位置を返す
  5. 自動シナリオが、台帳と照らして区画ごとの区分を付け、点検表の下書きと是正の依頼の下書きを作る
  6. 人工事担当が、「欠けの候補」「見えない」の区画だけ写真で確かめ、点検者のチェックリストと突き合わせて点検表を確定する
  7. 人是正が要るものは、工事担当が依頼を確定して足場の会社に送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 点検者が、作業を始める前に区画ごとに足場を見て回り、写真を撮ってチェックリストに印を付ける
  2. 異常があれば、その場で足場の会社に直してもらう
  3. 工事担当が、写真とチェックリストを受け取り、点検表のスプレッドシートに区画ごとに書き写す
  4. 工事担当が、写真を見直して、チェックリストの印と食い違いがないかを確かめる
  5. その場で直らなかったものは、足場の会社への是正の依頼を書き、一覧に足す
  6. 安全品質部が、週に一度、点検表と是正の一覧を見直す

(a)書き写しが多い。 1つの現場で数十の区画があり、「異常なし」の区画も、異常なしであることを点検表に書いています。 写真のファイル名と区画が合っていないことも多く、どの写真がどの区画かを探すところから始まります。

(b)見落としが写真の見直しまで分からない。 点検者が印を付け忘れた区画、手すりが外されたまま印は「良」になっている区画は、4番目で写真を見直したときに初めて見つかります。忙しい朝ほど、この見直しが省かれます。

(c)是正の依頼が出しっぱなしになる。 依頼を書いた後、直ったかどうかの記録が付かないまま一覧に残り続けるものがあります。安全品質部が週に一度問い合わせて、ようやく閉じられます。

(d)見えなかったことが記録に残らない。 養生シートの内側の幅木や、資材で隠れた手すりも、チェックリストでは「良」と同じ印になります。見ていない設備を、見た設備と区別する手がかりがありません。

  1. 【人】 点検者が、作業を始める前に区画ごとに足場を見て回り、決めた撮り方で写真を撮って現場のフォルダに入れる
  2. 【人】 異常があれば、その場で足場の会社に直してもらう(これまでどおり)
  3. 【自動】 Make のシナリオが写真を拾い、区画の台帳から足場の種類と「付いているはずの設備」を引く
  4. 【自動】 Gemini API が、写真ごとに4つの設備の状態の候補と写真の上の位置を返す
  5. 【自動】 シナリオが、台帳と照らして区画ごとの区分を付け、点検表の下書きと是正の依頼の下書きを作る
  6. 【人】 工事担当が、「欠けの候補」「見えない」の区画だけ写真で確かめ、点検者のチェックリストと突き合わせて点検表を確定する
  7. 【人】 是正が要るものは、工事担当が依頼を確定して足場の会社に送る

6番目が、この設計の分かれ目です。 工事担当が写真を開くのは、「欠けの候補」と「見えない」の区画だけです。「設備あり」の区画は一覧で確かめます。全部の写真を開き直す設計にすると、②の時間はほとんど減りません。

2番目は変わりません。 点検者が異常を見つけたら、その場で直すのが先です。AIの結果を待ってから作業を始める流れにはしません。 AIの結果は、点検者の見落としを同じ日のうちに拾い直すために使います。

02今回想定するシステム構成

構成図
点検者(スマートフォン)
   │  区画ごとに決めた向きで撮影。ファイル名に現場・区画・面
   ▼ Google ドライブの現場のフォルダ
【トリガー】Make の Watch Files in a Folder
Make
   ├── Download a File ── 写真の取り出し
   ├── 区画の台帳 ── 足場の種類・付いているはずの設備
   ├──▶ Google Gemini AI の Make an API call
   ▼
Gemini API ── 4つの設備の状態の候補・位置(box_2d)
   ▼
Make ── 台帳との照合 → 区画ごとの区分
   ▼
点検表の下書き / 是正の依頼の下書き
   ▼
【工事担当が「欠けの候補」「見えない」の区画を写真で確かめる】
   └──▶ 足場の会社へ是正の依頼
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(足場の写真から4つの設備の状態の候補を判定)Claude API、OpenAI API
連携Make(写真の検知、呼び出し、台帳との照合、下書きの作成)Power Automate、n8n
連携Google スプレッドシート(区画の台帳、点検表、是正の依頼の一覧)Microsoft Lists
保管Google ドライブ(現場ごとの写真のフォルダ)社内のファイルサーバー
撮影点検者のスマートフォン現場のタブレット

つなぎには Make を使います。 Google Drive のモジュールの Watch Files in a Folder は、選んだフォルダにファイルが作られたか変更されたときにシナリオを動かします。Download a File でファイルを取り出し、Google Gemini AI のアプリの Make an API call で、出力の形を指定した呼び出しを組みます。Gemini AI のアプリは、API キーを登録した接続を作って使います。

写真を見る土台は、Gemini API の画像理解です。 対応する形式は PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF で、1回のリクエストに複数の画像を入れられます。 画像を直接入れる場合は、指示などと合わせたリクエスト全体が20MBまでです。位置は [ymin, xmin, ymax, xmax] の形で、0から1000に正規化した座標で返せます。この座標を、工事担当が写真のどこを見ればよいかの印に使います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

写真が現場のフォルダに入ったことを起点にします。 Make の Watch Files in a Folder が新しい写真を拾い、シナリオが動きます。点検は作業の始まる前の30分ほどに集中するので、シナリオの実行の間隔は15分ごとにし、朝のうちに結果がそろうようにします。

1つの区画の写真がそろってから処理します。 ファイル名を「現場コード_日付_区画_面」とし、区画の台帳にある区画のうち、写真が入った区画から順に処理します。決まりは1区画1〜2枚で、建物の側の壁つなぎが写らない区画は、建物側から1枚足します。

点検の終わりを、点検者が報告します。 点検者がチェックリストを写真に撮ってフォルダに入れた時点を、その日の点検の終わりとみなします。その時点で写真が1枚も無い区画を「撮り漏れ」として一覧に出します。 写真の無い区画は、点検されていない区画かもしれません。点検の結果より先に、この一覧を工事担当に見せます。

足場の組立て・変更の後と悪天候の後の点検は、印を変えて同じフォルダに入れます。 ファイル名に「組立後」「悪天候後」の印を付け、点検表の別の欄に下書きを作ります。 規則上、こちらは項目が多く、記録の保存も求められるためです(後述)。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
足場の写真区画ごとの写真。現場・日付・区画・面・撮った点検者現場のフォルダ
区画の台帳区画の番号、層、面、足場の種類(わく組・くさび緊結式など)、付いているはずの設備、壁つなぎの位置区画の台帳
点検者のチェックリスト区画ごとの印と、その場で直した内容チェックリストの写真、または点検表の入力欄
是正の依頼の一覧開いている依頼と、依頼した区画・日付是正の依頼の一覧

質を決めるのは、区画の台帳の「付いているはずの設備」です。 労働安全衛生規則は、墜落のおそれのある箇所に設ける設備を足場の種類で分けています。わく組足場では、交さ筋かいに高さ15cm以上40cm以下の桟か高さ15cm以上の幅木などを組み合わせる形か、手すりわく。それ以外の足場では、手すり等と中桟等です。 どちらの形かが台帳に無いと、中さんが写っていない区画を欠けとするかどうかが決まりません。

足場の種類と、その区画で写るはずの設備の名前は、AIに渡します。 写真の中の何を探せばよいかが分かり、手すりわくの横の部材を中さんと答えるような取り違えが減ります。 一方、前日の結果と点検者の印はAIに渡しません。「前日は欠けあり」と渡せば、今日も見つけようとして、直った手すりを欠けと答えることがあります。

Step3

データの取得方法を決める

Make のシナリオが、次の順に集めます。

取るものどこから何に使うか
写真Download a FileAIに渡す
現場・日付・区画・面ファイル名台帳の引き当て
足場の種類・付いているはずの設備区画の台帳AIへの補足と、欠けの判定
点検者の印点検表の入力欄AIの答えとの食い違いの検出
開いている是正の依頼是正の依頼の一覧同じ区画への重複の依頼を防ぐ

写真は Download a File で取り出したものを base64 にして、Make an API call の本文に入れます。 1区画あたり1〜2枚なので、リクエスト全体20MBの上限には通常届きません。本文の response_format に後で示す出力形式のスキーマを入れます。API キーは Make の接続の側に持たせて、シナリオの本文には書きません。

壁つなぎの位置は、AIに渡しません。 台帳で「この区画には壁つなぎがある」と分かっていても、それを渡すと、写っていない壁つなぎを「ある」と答えやすくなります。 位置を使うのはシナリオで、AIの答えが not_visible なら、台帳の位置と合わせて「建物側から撮り直し」の印を付けます。

点検者の印は、AIの答えが返ってから並べます。 先に印を渡すと、AIは印に合わせて答えを寄せ、食い違いを見つけるという目的そのものが消えます。 印と答えを突き合わせるのは、どちらも出そろった後のシナリオの仕事です。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 枚数と名前の確認 … 区画の番号が台帳にあるか、同じ区画の写真が重なっていないかを見ます
  2. 向きの補正 … 写真の向きの情報で、横倒しの写真を正しくします
  3. 写りの確認 … 逆光で部材が黒くつぶれた写真、ぶれた写真は「撮り直し」とします
  4. 人の写り込みの確認 … 作業者の顔がはっきり写った写真は、AIに送らず点検者に返します
  5. 大きさの調整 … 長辺が大きすぎる写真は縮めます。幅木と床材の境目が潰れない大きさを残します
  6. 点検者の印の取り出し … 同じ区画の印を、食い違いの検出のために取り出しておきます

4番目は、この題材で欠かせません。 点検は作業の前ですが、足場の上や下を人が通ることはあります。 撮るときに人の少ない向きを選ぶ決まりにし、写り込んだ写真はAIに送りません。足場の写真に写る人は、点検の対象ではないからです。

3番目の逆光は、外部足場を見上げて撮ると起きます。 手すりや中さんは細い部材で、空を背景にすると見分けにくくなります。足場の内側の作業床から、面に沿って撮る決まりにすると、手すり・中さん・幅木が1枚に収まります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、写真ごとに、4つの設備について次の答えを返すことだけです。

設備答え方判断できないときの扱い
手すり(手すりわくを含む)present / missing / detached / not_visible / uncertain資材やシートで隠れていれば not_visible
中さん(交さ筋かい・下桟を含む)同上同上
幅木同上床の上の資材で隠れていれば not_visible
壁つなぎ同上建物の側が写っていなければ not_visible

missing と detached と uncertain のときは、写真の番号と box_2d を返させます。 missing は部材を取り付ける位置に部材が無いもの、detached は部材が片側だけ外れて垂れている・ずれているものです。工事担当は、印の付いた位置を見るだけで済みます。

させないこと理由
法令の基準を満たすかの判定判断は点検者と事業者が行う
高さ・すき間の寸法の判定写真から寸法は確かめられない
補修が要るかどうかの判断点検者が現地で決める
緊結部の緩み・腐食の判定写真に写らないか、触って確かめるもの
写っている人についての記述点検に要らない

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 写真を見せると、AIは「手すりの高さが足りない」「床材のすき間が広い」と書きます。写真の遠近では、寸法は確かめられません。 寸法の点検は点検者が現地で行い、AIには「付いているか」までを答えさせます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは、建設現場の足場を作業開始前に点検した写真を見て、墜落防止の設備が写っているかを書き出す立場です。
同じ区画の写真を1〜2枚渡します。写真に見えるものだけを答えてください。

【この区画の情報】足場の種類:{scaffold_type}  写るはずの設備:{expected_items}

【設備】
handrail(手すり。手すりわくを含む)、midrail(中さん。交さ筋かい・下桟を含む)、
toeboard(幅木)、wall_tie(壁つなぎ)

【設備ごとに答えること】
- status:present / missing / detached / not_visible / uncertain
- missing と detached と uncertain のときは、photo_no と box_2d と、見えたものを短く note に
迷ったときに present を選ばないでください。

【厳守事項】
- 資材・養生シート・他の部材に隠れて見えない部分は not_visible にしてください。
  見えない部分を present にも missing にもしないでください。
- 部材を取り付ける位置に部材が無いことがはっきり見えるときだけ missing にしてください。
- 手すりの高さ、床材のすき間など、寸法について何も書かないでください。
- 法令の基準を満たすか、補修が要るかを書かないでください。
- 緊結部の緩みや腐食を推測しないでください。
- 写真に写っている人について、何も書かないでください。

「見えない部分を present にも missing にもしない」を明記しないと、AIはどちらかに寄せます。 養生シートの向こうの手すりは、写真によっては「ある」とも「無い」とも見えるからです。見えないことを答えにする not_visible を用意し、どちらにも寄せさせません。

「部材が無いことがはっきり見えるときだけ missing」を入れているのは、空振りの是正を減らすためです。 写真の端で切れているだけの手すりを missing と答えると、足場の会社に無駄な手間をかけます。

Step7

出力形式を固定する

構造化出力で、区画ごとに次の形のJSONを受け取ります。

{
  "site_id": "S12",
  "section_id": "3F-北-05",
  "checks": [
    { "item": "handrail | midrail | toeboard | wall_tie",
      "status": "present | missing | detached | not_visible | uncertain",
      "photo_no": 1,
      "box_2d": [0, 0, 0, 0],
      "note": "" }
  ],
  "retake_needed": false
}

設備と状態を enum にして、決めた値以外を返させません。 Gemini API の構造化出力は、/v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定し、enum と required が使えます。ただし、JSONとして正しくても値が正しいとは限らないため、アプリケーションの側で値を確かめるよう案内されています。 シナリオで、4つの設備がすべて返っているか、missing に box_2d があるかを確かめ、欠けていれば「確認が要る」にします。

区分は、シナリオが台帳と照らして決めます。

区分条件の例
欠けの候補台帳で付いているはずの設備が missing か detached
印との食い違い点検者の印が「良」で、AIが missing / detached
見えない付いているはずの設備が not_visible か uncertain
設備あり付いているはずの設備がすべて present
台帳外台帳で付かないはずの設備についての答え(区分には使わない)

「印との食い違い」を別にしているのは、(b)の見落としを拾うためです。 点検者が「良」と付けた区画でAIが欠けを答えたら、工事担当が写真を見て、当日のうちに点検者に確かめます。 どちらが正しいかは、写真と現地で決めます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google ドライブWatch Files in a Folder、Download a File写真の検知と取り出し
区画の台帳・点検表Google スプレッドシートのモジュール台帳の読み取りと、下書きの列への書き込み
Gemini APIGoogle Gemini AI の Make an API call4つの設備の状態の判定
是正の依頼の一覧Google スプレッドシート依頼の下書きの追加と、開いている依頼の照合

点検表には、下書きの列だけに書きます。 点検の結果の列は、点検者の印と工事担当の確認で埋めます。是正の依頼も、下書きを一覧に足すだけで、足場の会社へは工事担当が送ります。 シナリオから外へは何も送りません。

区画の台帳は読み取りだけです。 写真で「この区画は手すりわくだった」と分かっても、台帳は書き換えません。足場の変更は計画図の側で直し、台帳はそこから作り直します。

Step9

人が確認する

すべての区画で、工事担当の確定を通します。 写真を開く区画は区分で絞ります。

  1. 「印との食い違い」を最初に見る … 写真で確かめ、欠けが写っていればその日の作業の前か途中で、点検者に現地を見直してもらいます
  2. 「欠けの候補」を見る … 点検者がその場で直した記録があるかを確かめ、無ければ是正の依頼を確定します
  3. 「見えない」をまとめる … 翌日の点検で撮り方を変える区画の一覧にします
  4. 「設備あり」は一覧で確定する … 下書きを流し見て、まとめて確定します

1番目を省かないでください。 点検者が「良」とした区画で手すりが外れているなら、その区画ではもう作業が始まっているかもしれません。 写真で確かめた時点で、現場に連絡するまでを1つの手順にします。

目標は、360件をならして1件2分です。 「設備あり」ばかりの日は一覧で数十秒、「印との食い違い」がある日は写真を開いて数分かかります。

是正の依頼は、閉じるまで追います。 依頼を出した区画は翌日以降の写真で状態を見て、present が返ったら「直った候補」として工事担当に出します。 閉じるのは、工事担当が写真で確かめてからです。

最初の1か月は、工事担当がこれまでどおり全部の写真を見直し、AIの区分と並べます。 工事担当が欠けと見た区画に、AIが候補を出していたかを照らします。出していなかった区画は、撮り方か指示の書き方を直す材料です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
区画の番号が台帳に無い処理せず工事担当に知らせる。足場の変更で区画が増えたかを疑う
区画の写真が無い「撮り漏れ」の一覧に出す
逆光・ぶれで見えない「撮り直し」。翌日の点検で撮り方を変える
人がはっきり写っているAIに送らず点検者に返す
養生シートで設備が見えないnot_visible で「見えない」。シートの内側から撮る決まりを足す
壁つなぎが写らない台帳の位置と合わせて「建物側から撮り直し」
足場の解体が始まった区画台帳で「解体中」にし、区分を付けない
同じ区画への依頼が開いている新しい依頼を作らず、開いている依頼に写真を足す
Gemini API が応答しないその区画は「未処理」。工事担当がこれまでどおり写真を見る

「未処理」と「見えない」を「設備あり」に混ぜないでください。 混ぜると、見ていない区画が見た区画と同じ印になり、(d)の問題がそのまま残ります。

Step11

記録を残す

  • 区画ごとの写真と、撮影日時、撮った点検者
  • AIの答え(設備ごとの状態・位置・メモ)
  • 区分と、そのとき使った台帳の版
  • 工事担当が直した区分と、確定した日
  • 是正の依頼と、直ったことを確かめた写真と日付
  • 組立て・変更の後と悪天候の後の点検の結果、点検者の氏名、補修の内容

最後の行は、規則が求める記録です。 足場の組立て・一部解体・変更の後と悪天候の後の点検では、点検の結果と点検者の氏名、補修などを行ったときはその内容を記録し、足場を使う仕事が終わるまで保存することが求められています。点検表の別の欄に分け、毎日の点検の記録と混ぜません。

点検表の下書きは、たとえば次の形にします。

【足場の作業開始前点検】S12 現場 2026-10-12(点検者 ○○)
 3F-北-05 くさび緊結式  手すり present/中さん detached(写真1 右下)→ 欠けの候補
 3F-北-06 くさび緊結式  幅木 not_visible(資材で隠れる)→ 見えない
 4F-東-02 わく組        すべて present → 設備あり
 撮り漏れ:5F-西-01、5F-西-02

04実装レベルの3段階

最小構成:写真と足場の種類を手でAIの画面に貼り、設備ごとに答えさせる / 1区画ごとの見直し
半自動化:上記+フォルダを起点に Make で呼び出し、答えを点検表の下書きに書き出す / 全部の区画の書き写し
本格構成:上記+台帳と照らして区分を付け、点検者の印との食い違いと是正の依頼の下書きを出す / 書き写し・見直し・依頼の下書きまで

最小構成では、毎日の360件をさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件6分が4分程度になります。 書き写しは無くなりますが、台帳との照合と依頼の作成が手で残ります。 本格構成で2分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、②の見直しと③の依頼の下ごしらえが規則で行われるためです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の下書きを1か月見ると、「見えない」が多い面と、撮り方の合わない現場が分かります。そこを直してから区分を付けるほうが、工事担当が一覧を信用します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
360 件
1件あたり現在時間
6 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  360件 × 6分 ÷ 60 = 36 時間/月
導入後 360件 × 2分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
24h
削減率
67%
年間削減時間
288h
年間金額換算(時間単価3,500円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 同時に十数か所の現場で足場を使い、作業開始前の点検の写真は集まっているが、点検表への書き写しと写真の見直し、足場の専門工事会社への是正の依頼が、現場の担当者の手作業になっている総合建設会社。工場や倉庫の改修で外部足場を使う発注者側の施設管理の部署にも当てはまります。区画ごとにどの設備が付いているはずかを、足場の計画図から台帳にできる場合。
向いていない
  1. 足場を使う現場が年に数か所で、点検表を担当者が目で見て足りる場合。つり足場が中心の現場(設備の写り方が違い、点検の項目も異なります)。作業者を写さずに撮る決まりを現場に通せない場合。なお、法令が求める点検者による点検そのもの、補修の要否の判断、足場の組立て等の後の点検は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の点検の写真から、是正の依頼を出した区画と出さなかった区画を合わせて30区画選ぶ
  2. その30区画の写真を用意する(人がはっきり写っていないもの)
  3. 手元の Gemini の画面に、1区画分の写真と足場の種類を貼り付ける
  4. 「手すり、中さん、幅木、壁つなぎについて、付いているか、無いか、外れているか、見えないかを答え、無い・外れている場合は場所を示してください。寸法や法令の基準については書かないでください。隠れて見えない部分は見えないと答えてください」と指示する
  5. 当時の点検者の印と、是正の依頼の記録と突き合わせる

試すときも、会社で使ってよいと決めた有料の枠で行います。

出てきた内容判断
是正を頼んだ区画で欠けの候補が出ている台帳の作成とシナリオに進む
隠れた部分を「無い」と答える指示の書き方で直る。構成は有効
遠すぎて部材が見分けられない撮り方が先。 AIの問題ではない

3行目は、足場の外から全体を撮った写真でよく出ます。 1枚に何層も写すと、細い部材は見分けられません。区画ごとに作業床から撮る決まりにすると、点検者が見る位置と写真の位置がそろいます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
隠れた部分を「無い」「ある」と答えるnot_visible を用意し、どちらにも寄せさせない
手すりわくの部材を中さんと取り違える足場の種類と写るはずの設備を渡す
中さんの無い区画を欠けとする欠けかどうかは台帳と照らして規則で決める
手すりの高さなどの寸法を書く寸法について書かせない。寸法は点検者が現地で見る
逆光で細い部材がつぶれる作業床から面に沿って撮る決まりにする
壁つなぎが写らない台帳の位置と合わせて建物側から撮り直す
作業者が写った写真を送ってしまう人の少ない向きで撮り、写り込みは送らない
前日の結果を渡して、直った設備を欠けとする前日の結果はAIに渡さず、比較はシナリオで行う
是正の依頼が開いたまま残る翌日以降の写真で状態を見て「直った候補」を出す
区画が増えても台帳が古いまま足場の変更の届けの流れで台帳を作り直す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、写真に見えるものと「あるべきもの」を混ぜることから起きます。AIには見えるものだけを答えさせ、あるべきものは台帳に持たせれば、足場の種類が増えても指示は変わりません。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 足場と建物の写真、区画の台帳、点検表、点検者の名前、是正の依頼です。写真には、作業者や、建物の中・隣の建物が写り込むおそれがあります。

  1. 人を写さない、写った写真を送らない … 撮る向きを決め、作業者の顔がはっきり写った写真はAIに送りません。AIへの指示でも、人について何も書かせません
  2. 規約の年齢の条件を確かめる … Gemini API の規約は18歳以上の利用を条件とし、18歳未満を対象とする、または18歳未満が利用しうるサービスでの利用を禁じています。 この構成を使うのは社員と点検者だけです。協力会社の作業者に広く使わせる仕組みに広げる場合は、改めて規約を確かめてください
  3. 有料の枠で使う … 無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあるとされています。有料の枠では、プロンプトや応答を製品の改善に使わず、限った期間だけ記録するとされています
  4. 保存される場所を確かめる … 有料の枠でも、内容はどの国でも一時的に保存・キャッシュされうるとされています。発注者との契約で写真の扱いに条件がある工事(官公庁の工事、工場の内部など)は、先に条件を確かめます
  5. 点検をAIに寄せない … 規則は、事業者が点検者を指名して作業開始前に点検させ、異常を認めたときは直ちに補修することを求めています。注文者が行う点検にも、点検者の指名が求められています。 この構成が出すのは、写真に見えた欠けの候補と記録の下書きまでで、AIの答えを理由に点検者の点検や補修を省かないでください
  6. 記録の保存を分ける … 組立て・変更の後と悪天候の後の点検の記録は、足場を使う仕事が終わるまで保存することが求められています。下書きのまま確定していない記録を、保存すべき記録として扱わないでください

誤りが起きた場合のリスクは、外れた手すりを見落とすことと、見えなかった区画を見たことにしてしまうことの2つです。 前者は not_visible を present に混ぜると起き、後者は「未処理」を「設備あり」に混ぜると起きます。どちらも、見えないことを記録に残すことで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:1つの現場で区画の台帳を作る

いま足場を組んでいる現場を1つ選び、計画図から区画ごとの足場の種類と付いているはずの設備、壁つなぎの位置を台帳にします。最初は1つの面だけでも構いません。

2週目:30区画で試す

先月の点検の写真から30区画を選び、手元の Gemini の画面で設備ごとに答えさせます。当時の点検者の印と是正の依頼の記録と突き合わせ、隠れた部分を「無い」「ある」と答えていないかを最優先で見ます。

3週目:撮り方と区分の規則を決める

点検者と、区画ごとの撮る向き・枚数・ファイル名の決まりを決めます。安全品質部と工事担当で、欠けの候補・食い違い・見えないの規則の表を作ります。

4週目:フォルダから下書きまでをつなぐ

Make で、Watch Files in a Folder から Make an API call までをつなぎ、点検表の下書きに書き出すところまで作ります。 区分はまだ付けず、工事担当の見直しと並べます。

2か月目: 台帳と照らして区分を付け、点検者の印との食い違いと是正の依頼の下書きを出します。3か月目以降: ほかの現場に広げ、1件6分が何分になったかを実測します。是正の依頼が閉じるまでの日数が縮み、安全品質部の週に一度の問い合わせが要らなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-12/最終更新:2026-10-13
確認した内容情報源確認日
足場の作業床で、墜落のおそれのある箇所に、わく組足場では交さ筋かいと高さ15cm以上40cm以下の桟もしくは高さ15cm以上の幅木等または手すりわく、それ以外の足場では手すり等と中桟等を設けること(第563条)。事業者が点検者を指名し、その日の作業を開始する前に足場用墜落防止設備の取り外しと脱落の有無を点検させ、異常を認めたときは直ちに補修すること。悪天候・中震以上の地震、組立て・一部解体・変更の後には、幅木等や壁つなぎ等の補強材の取付状態などを点検し、結果と点検者の氏名、補修の内容を記録して足場を使う仕事が終わるまで保存すること(第567条)e-Gov 法令API: 労働安全衛生規則2026-10-12
令和5年10月1日から、事業者と注文者が足場の点検を行う際に点検者の指名が必要になり、組立て等の後の点検で点検者の氏名の記録・保存が必要になったこと(安衛則第567条・第568条・第655条)。指名は書面・朝礼での口頭・メール等で行えること厚生労働省: 足場からの墜落防止措置が強化されます(リーフレット)2026-10-12
対応する画像の形式が PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF であること。画像を直接入れる場合、指示などと合わせたリクエスト全体が20MBまでであること。1回のリクエストに複数の画像を入れられること。位置を [ymin, xmin, ymax, xmax] の0〜1000の座標で返すことGemini API: Image understanding2026-10-12
構造化出力を /v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定すること。enum と required が使えること。JSONとして正しくても値はアプリケーションの側で検証するよう案内されていることGemini API: Structured output2026-10-12
18歳以上の利用を条件とし、18歳未満を対象とする、または利用しうるサービスでの利用を禁じていること。無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあること。有料の枠では製品の改善に使わず、限った期間だけ記録すること。どの国でも一時的に保存・キャッシュされうることGemini API Additional Terms of Service2026-10-12
Make の Google Gemini AI のアプリに Make an API call のモジュールがあり、API キーを登録した接続で使うことMake: Google Gemini AI2026-10-12
Make の Google Drive のアプリに、選んだフォルダでファイルが作られたか変更されたときに動く Watch Files in a Folder と、Download a File のモジュールがあることMake: Google Drive modules2026-10-12

点検の項目と記録の扱いは、労働安全衛生規則と自社の安全管理の規程で確かめてください。 本記事は法令の条文と厚生労働省のリーフレットで確認できた範囲を扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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