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社内システムの改修・設定変更を出すたびに、変更のチケットと仕様メモから、利用者に向けたお知らせ文(変わること・影響・対応が要ること・問い合わせ先)を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社内システムの改修や設定変更を出すたびに、変更のチケットと仕様メモから、利用者に向けたお知らせ文の下書きを作ります。変わること・影響・利用者がやること・問い合わせ先の4つを、毎回同じ並びでそろえます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/商社/製造/金融
対象部門
情報システム
対象業務
問い合わせ対応/書類作成
主な課題
問い合わせが多い/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
60%
年間削減
288h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 変更の担当者が、作業の日程が決まったチケットを開き、変更の内容と仕様メモを読み直す
  2. 利用者の側から見て、何が変わるのか、何をしなければならないのかを考える
  3. システムの利用部署の一覧を開き、お知らせを送る先を決める
  4. 過去のお知らせを探して書き方をまね、本文を書く
  5. 停止の時間、問い合わせ先、対応の期限を書き込む
  6. 必要に応じて部長に見てもらい、Teams のチャネルに投稿し、対象の部署へメールを送る
  7. 出した後に来た問い合わせに、ヘルプデスクが一件ずつ答える
導入後(After)
  1. 人変更の担当者が、作業の日程が決まったチケットについて、お知らせ用の入力欄(作業の日時・停止の有無・問い合わせ先)を埋める
  2. 人Microsoft 365 Copilot でお知らせ作成のエージェントを開き、チケットの内容と仕様メモを渡す
  3. 【AI】 利用者から見て変わることを取り出し、対応が要るかどうかを分ける
  4. 【AI】 システムと利用部署の一覧から、影響する部署の候補を挙げる
  5. 【AI】 書き方の基準と過去のお知らせにそろえて、Teams 用の短い本文とメール用の本文を作る
  6. 【AI】 チケットに書かれていなかった項目を【要確認】の一覧にする
  7. 【AI】 問い合わせ窓口向けの想定問答を作る
  8. 人担当者が【要確認】を埋め、本文を確かめて直す
  9. 人送る先を決め、Teams のチャネルに投稿し、対象の部署へメールを送る
  10. 人ヘルプデスクへ想定問答を渡す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 変更の担当者が、作業の日程が決まったチケットを開き、変更の内容と仕様メモを読み直す
  2. 利用者の側から見て、何が変わるのか、何をしなければならないのかを考える
  3. システムの利用部署の一覧を開き、お知らせを送る先を決める
  4. 過去のお知らせを探して書き方をまね、本文を書く
  5. 停止の時間、問い合わせ先、対応の期限を書き込む
  6. 必要に応じて部長に見てもらい、Teams のチャネルに投稿し、対象の部署へメールを送る
  7. 出した後に来た問い合わせに、ヘルプデスクが一件ずつ答える

(a)技術の言葉のまま出してしまう。 担当者はチケットの言葉で考えているので、「SSO の IdP 側の証明書を更新」「承認ルートの閾値を変更」がそのまま本文に入ります。書いた本人には正確でも、読む側には何が起きるのか分かりません。

(b)利用者がやることが書かれていない。 変更の内容は詳しいのに、「利用者の対応は不要です」なのか「再ログインが必要です」なのかが抜けていることがあります。一番読まれる一文が、一番抜けやすい一文です。 書く人の頭の中では当たり前なので、書く必要を感じません。

(c)書く人によって中身がばらばら。 停止の時間を書く人と書かない人、問い合わせ先を書く人と書かない人がいます。書き方の上手な担当者に頼む形になり、その人が休むと遅れます。

(d)送る先を決めるのに時間がかかる。 どの部署がどの機能を使っているかは、担当者の記憶に頼っています。広く送れば読まれなくなり、狭く送れば漏れます。

  1. 【人】 変更の担当者が、作業の日程が決まったチケットについて、お知らせ用の入力欄(作業の日時・停止の有無・問い合わせ先)を埋める
  2. 【人】 Microsoft 365 Copilot でお知らせ作成のエージェントを開き、チケットの内容と仕様メモを渡す
  3. 【AI】 利用者から見て変わることを取り出し、対応が要るかどうかを分ける
  4. 【AI】 システムと利用部署の一覧から、影響する部署の候補を挙げる
  5. 【AI】 書き方の基準と過去のお知らせにそろえて、Teams 用の短い本文とメール用の本文を作る
  6. 【AI】 チケットに書かれていなかった項目を【要確認】の一覧にする
  7. 【AI】 問い合わせ窓口向けの想定問答を作る
  8. 【人】 担当者が【要確認】を埋め、本文を確かめて直す
  9. 【人】 送る先を決め、Teams のチャネルに投稿し、対象の部署へメールを送る
  10. 【人】 ヘルプデスクへ想定問答を渡す

8番目が、この設計の分かれ目です。 AIが出すのは下書きで、日時と対象が正しいかを確かめるのは変更の担当者です。【要確認】が残ったままのお知らせは出さない、という決まりを最初に置きます。 1番目の入力欄は、この構成のために足す唯一の作業です。 ここが空だと、AIには根拠がありません。

02今回想定するシステム構成

構成図
Jira の変更チケット(変更内容・作業日時・お知らせ用の入力欄)
SharePoint の仕様メモ
   │
   ▼【トリガー】担当者がエージェントを開き、チケットと仕様メモを渡す
Microsoft 365 Copilot(Agent Builder で作るお知らせ作成のエージェント)
   │   指示:書き方の基準、出力の並び、埋めてはいけない項目
   │   知識:① 過去のお知らせの手本(SharePoint のフォルダ)
   │         ② システムと利用部署の一覧(SharePoint リスト)
   │         ③ 書き方の基準と言い換えの表(アップロードしたファイル)
   ▼
下書き:Teams 用の本文 + メール用の本文 + 影響する部署の候補
       +【要確認】の一覧 + 想定問答
   ▼【人が確かめて直す】
Teams のチャネルへ投稿/Outlook で対象の部署へ送信
   ▼
ヘルプデスクへ想定問答を渡す(SharePoint の想定問答のページ)
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft 365 Copilot(Agent Builder で作るお知らせ作成のエージェント)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
連携Microsoft 365 Copilot connectors(Jira のプロジェクトに絞った接続)Azure DevOps Work Items の接続
保管SharePoint(手本のフォルダ、利用部署の一覧、想定問答)OneDrive
配信Teams のチャネルと Outlook社内ポータル

新しく足すのは、お知らせ作成のエージェントと、手本のフォルダと、利用部署の一覧だけです。 Jira にも Teams にも書き込みません。投稿と送信は、これまでどおり担当者が行います。

エージェントは Agent Builder で作ります。 Agent Builder は Microsoft 365 Copilot の宣言型エージェントを作る仕組みで、公開資料では組織の基準に合わせた文章の指導をするエージェントが用途の例に挙がっています。SharePoint の内容などを専用の知識として指定でき、使う前や共有する前に試すことができます。

知識の上限が、手本の選び方を決めます。 1つのエージェントに指定できるのは、SharePoint のファイル・フォルダ・サイトが100ファイルまで、SharePoint リストが1つまで、端末からアップロードするファイルが20ファイルまでとされています。過去のお知らせを全部入れることはできません。 読みやすかったと評判のものを、変更の種類(画面の変更、停止、設定変更、廃止)ごとに選んで100件の枠に収めます。

利用部署の一覧は、SharePoint リストにします。 リストは最大20,000行、生のテキストで50MBまでとされ、システム×機能×利用部署を1行ずつ持たせれば収まります。

チケットは、最初は担当者が貼り付けます。 Agent Builder は外部のサービスとつなぐ操作の作成に対応していないとされ、つなぐなら Copilot Studio へ写すよう案内されています。一方で、管理者が有効にした Copilot connectors を知識として加えることはでき、Jira はプロジェクトで範囲を絞れるとされています。第9章の本格構成で、この接続を使います。

ライセンスで使える知識が変わります。 従量課金を有効にしていない Copilot Chat のエージェントでは、SharePoint のデータ、アップロードしたファイル、Copilot connectors を知識にできないとされています(第11章)。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

変更の担当者が、作業の日程が決まったチケットについてエージェントを開くことを起点にします。 チケットが作られた時点ではなく、日程が決まった時点にするのは、お知らせに一番大事な日時がそれまで決まらないからです。 日程が決まる前に書くと、日時の欄が【要確認】のまま下書きが残り、出す直前に書き直すことになります。

自動では動かしません。 チケットの状態が変わったら自動で下書きを作る、という作り方もできますが、改修・設定変更のうち利用者に知らせる必要があるものは一部です。知らせるかどうかの判断を先に担当者がしてから、エージェントを開きます。 知らせなくてよい変更まで下書きが出ると、出さない下書きを捨てる手間が増えます。

出す日の目安を、変更の種類ごとに決めておきます。 画面が変わるものは作業の5営業日前、停止を伴うものは3営業日前、といった目安です。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
変更のチケット件名、変更の内容、対象のシステムと機能、作業の日時、確認の結果Jira
お知らせ用の入力欄停止の有無と時間、利用者の対応の有無、問い合わせ先、出す日の希望Jira のチケットに足した欄
仕様メモ変更前と変更後の画面・設定・規則の違いSharePoint
過去のお知らせの手本変更の種類ごとに選んだ、読みやすかったお知らせSharePoint のフォルダ
システムと利用部署の一覧システム、機能、利用部署、部署の連絡先SharePoint リスト
書き方の基準と言い換えの表本文の並び、使わない言葉と言い換え、日時の書き方アップロードしたファイル

質を決めるのは、2行目のお知らせ用の入力欄です。 チケットの本文は作業の記録なので、利用者に関わることが散らばっています。停止の時間、利用者の対応、問い合わせ先の3つは、担当者に欄として書いてもらいます。 AIに本文から探させると、見落としたときに「無い」のか「書いていない」のかが分かりません。

言い換えの表は、この構成でいちばん効く知識です。 「IdP」「閾値」「キャッシュをクリア」「SSO」のような言葉と、利用者向けの言い方(「社内のログイン画面」「この金額以上」「ブラウザの履歴を消す」「1回のログインで複数のシステムに入れる仕組み」)を並べた表です。部署で使われている言い方に合わせて、ヘルプデスクが育てます。

Step3

データの取得方法を決める

最小構成と半自動化では、担当者がチケットの内容をエージェントへ貼り付けます。 Jira の画面からチケットの本文と入力欄を写し、仕様メモは SharePoint のファイルを添付します。貼り付けは1件1分ほどで、チケットの中で何を渡すかを担当者が選べる利点があります。社外の取引先の名前や、セキュリティの設定値のように、お知らせに関係のないものを渡さずに済みます。

取るものどこから何に使うか
チケットの本文と入力欄Jira(貼り付け、または Copilot connectors)変わること、日時、対応の有無
仕様メモSharePoint(添付)変更前と変更後の違い
手本のお知らせエージェントの知識(SharePoint のフォルダ)本文の並びと言い回し
利用部署エージェントの知識(SharePoint リスト)影響する部署の候補
書き方の基準と言い換えの表エージェントの知識(アップロードしたファイル)使わない言葉の置き換え

手本と利用部署の一覧は、エージェントの知識として持たせます。 毎回添付するのではなく、エージェントを作るときに一度指定すれば、担当者は意識しなくて済みます。 SharePoint に新しく置いたファイルは、使えるようになるまで数分かかることがあり、その間は「Preparing」と表示されるとされています。手本を入れ替えた直後に試すときは、表示が消えてから確かめます。

本格構成では、Copilot connectors で Jira のチケットを知識に加え、プロジェクトを指定して範囲を絞ります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. お知らせ用の入力欄を埋める … 停止の有無と時間、利用者の対応の有無、問い合わせ先。空のまま渡すと、【要確認】が多い下書きになります
  2. チケットの本文から、お知らせに関係のないものを外す … 取引先の担当者名、設定の値そのもの、作業者の名前、確認の手順の細部
  3. 仕様メモの版を確かめる … 古い版を添付すると、変わる前の仕様でお知らせが書かれます。ファイル名か本文の先頭に版と日付を入れる決まりにします
  4. 複数のチケットをまとめるかを決める … 同じ日に同じシステムで3件の変更がある場合、お知らせは1本にまとめます。まとめるときは、チケットを全部同時に渡します
  5. 利用部署の一覧が最新かを、月に1回見直す … 一覧が古いと、送る先の候補が古くなります

2番目を省かないでください。 チケットは作業者のための記録で、利用者が知らなくてよいこと、知られてはいけないことが混ざっています。 認証まわりの変更なら、設定の値そのものは外に出すものではありません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、チケットの事実を利用者の行動に置き換えて、決まった並びの下書きにすることです。 作業の手順や技術的な理由を説明させるのではありません。

させること中身根拠が無いときの扱い
変わることを取り出す利用者から見て、画面・操作・規則のどこが変わるか利用者に見える変化が無ければ「利用者の画面と操作は変わりません」と書く
対応の要否を分ける対応が要る/知っておくだけ/対応は不要入力欄が空なら【要確認】
日時と停止を書く作業の日時、停止の時間、使えなくなる機能チケットに無ければ【要確認】。推測で書かない
影響する部署の候補を挙げる利用部署の一覧から、対象のシステムと機能で引く一覧に無い機能なら「一覧に該当なし」
言い換える言い換えの表にある言葉を利用者向けの言い方に表に無い専門用語は残し、一覧に挙げる
想定問答を作る利用者が聞きそうな質問と、チケットに書かれた範囲の答え答えがチケットに無ければ「担当者に確認」

右端の列が、この構成でいちばん大事な決まりです。 お知らせの下書きを作らせると、生成AIはそれらしい日時や「再ログインは不要です」のような一文を補って、文章を完成させようとします。書かれていないことを書くと、間違ったお知らせが整った文章で出ます。 補わずに【要確認】と出させ、それを担当者への聞き返しにします。

させないこと理由
お知らせを出すかどうかの判断出さなくてよい変更もある。担当者と部長が決める
送る先の確定一覧が古いことがある。候補までにする
日時・停止の時間・期限の補完間違った日時は、書かないより悪い
変更の理由の説明の創作チケットに理由が無ければ書かない
想定問答の答えの補完答えの無い質問は、担当者に確認として残す
Teams への投稿とメールの送信人が確かめてから出す

4行目は起きやすい失敗です。 「セキュリティ強化のため」「利便性向上のため」と書かせると、理由が実際と違っていても、もっともらしく読めてしまいます。 チケットに書かれた理由だけを使わせます。

Step6

指示内容を固定する

エージェントの指示(Agent Builder の指示の欄)に、次のように書きます。

あなたは情報システム部で、社内システムの改修・設定変更を利用者に知らせる
お知らせ文の下書きを作る担当です。読む人は、システムに詳しくない社員です。

【使ってよい材料】
- 担当者が貼り付けたチケットの本文と、お知らせ用の入力欄
- 担当者が添付した仕様メモ
- 知識として登録された、過去のお知らせの手本、システムと利用部署の一覧、
  書き方の基準と言い換えの表
これ以外の情報で、日時・対象・手順を補わないでください。

【本文の並び(必ずこの順)】
1. 件名:【システム名】変わること(日付)
2. 何が変わるか(利用者から見た変化を2〜3文)
3. いつから(日時。停止がある場合は停止の時間と使えない機能)
4. あなたがすること(対応が要る/知っておくだけ/対応は不要 のどれか)
5. 変わらないこと(利用者が心配しそうな点で、変わらないもの)
6. 問い合わせ先

【厳守事項】
- 日時、停止の時間、対応の期限、問い合わせ先が材料に無いときは、
  【要確認:何が無いか】と書いてください。推測で埋めないでください。
- 「対応は不要です」は、入力欄に対応不要と書かれているときだけ書いてください。
  入力欄が空なら【要確認:利用者の対応の有無】と書いてください。
- 変更の理由は、チケットに書かれているときだけ書いてください。
  「セキュリティ強化のため」などを補わないでください。
- 言い換えの表にある言葉は、表の言い方に置き換えてください。
  表に無い専門用語は残し、unreplaced_terms に挙げてください。
- 設定の値、サーバー名、作業者の名前、取引先の名前を本文に書かないでください。
- 影響する部署は、システムと利用部署の一覧にあるものだけを候補にしてください。
- 想定問答の答えが材料に無いときは、answer を「担当者に確認」にしてください。
- お知らせを出すべきか、誰に送るべきかの結論は書かないでください。

【出力】指定のJSONの形で返してください。

担当者が会話の欄に入れるのは、次の一文と材料だけです。

次のチケットについて、お知らせの下書きを作ってください。
【チケット】{チケットの本文と、お知らせ用の入力欄を貼り付け}
【仕様メモ】{添付}
【まとめるチケット】{同じ日に出すチケットがあれば、ここに続けて貼る}

「対応は不要です」を条件付きにしているのが、この指示の要です。 何も言わないと、利用者の対応が書かれていないチケットから「特に対応は不要です」と書きます。読む側にとって一番安心させる一文が、根拠なしに入ることになります。 入力欄に書かれているときだけ許します。

エージェントは指示に従いますが、知識の外を完全に遮断はしません。 「指定したソースのみを使用する」の設定は、指定した知識を優先させるもので、一般的な知識を遮断するものではないとされ、より厳しく制御するなら Copilot Studio を使うよう案内されています。この構成では、【要確認】の一覧と担当者の確認で補います。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで返させ、担当者が読む画面では本文とそれ以外を分けて表示します。

{
  "ticket_ids": ["ITCHG-1234"],
  "system": "経費精算",
  "change_type": "rule_change | screen_change | outage | retirement | setting_change",
  "user_action": "required | awareness | none | unknown",
  "teams_post": "",
  "mail_body": "",
  "subject": "",
  "affected_departments": [
    { "department": "", "reason": "", "source": "利用部署の一覧の行" }
  ],
  "needs_confirmation": [
    { "field": "outage_time", "note": "チケットに停止の時間の記載がない" }
  ],
  "unreplaced_terms": [""],
  "faq": [
    { "question": "", "answer": "", "basis": "チケットまたは仕様メモの該当箇所" }
  ]
}

1つ目の理由は、needs_confirmation を本文から切り離せることです。 本文の中に【要確認】が埋もれていると、確かめ漏れが起きます。一覧として外に出せば、空になるまで出さない、という決まりが守れます。

2つ目は、user_action で読む側の扱いを変えられることです。 required のものはメールの件名の先頭に【要対応】を付け、awareness のものは Teams のチャネルだけにする、といった分け方ができます。unknown は、入力欄が空だったということで、そのまま出してはいけない印です。

user_action出し方の目安
requiredTeams のチャネル+対象の部署へメール。件名に【要対応】
awarenessTeams のチャネルのみ
none出すかを担当者が判断。出さない場合も記録は残す
unknown出さない。担当者が入力欄を埋めてからやり直す

3つ目は、faq の basis で想定問答の根拠を確かめられることです。 根拠の無い答えはヘルプデスクを誤らせます。basis が空の答えは、ヘルプデスクへ渡す前に担当者が埋めます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Jira貼り付け(本格構成では Copilot connectors で知識に加える)チケットの本文と入力欄を読む
SharePointエージェントの知識手本、利用部署の一覧、仕様メモ
Teams担当者が投稿「社内システムのお知らせ」チャネル
Outlook担当者が送信対象の部署へのメール
SharePoint の想定問答のページ担当者が貼り付けヘルプデスクが参照する

この構成から、どこにも自動で書き込みません。 Agent Builder で作ったエージェントは、公開資料では Teams のグループチャットや1対1のチャットでは使えないとされています。エージェントは Microsoft 365 Copilot の画面で開き、出てきた本文を担当者がチャネルとメールに貼ります。 自動で投稿させない理由は、第13章で書きます。

チケットへの書き戻しもしません。 どのお知らせを出したかは、担当者がチケットに投稿のリンクを貼ることで残します。

Step9

人が確認する

下書きは、すべて変更の担当者が確かめます。 見るところは決まっています。

  1. needs_confirmation を空にする … 日時、停止の時間、対応の期限、問い合わせ先。空にならないうちは出しません
  2. 日時を、チケットの作業の日時と突き合わせる … 曜日と時刻まで見ます。下書きの日時がチケットと1文字でも違えば、チケットを正とします
  3. 「あなたがすること」を読む … 自分が利用者だったら、これを読んで何をするかが分かるかを見ます
  4. 送る先を決める … affected_departments の候補を見て、足すか削るかを決めます
  5. 想定問答の basis を見る … 根拠の無い答えを直します
  6. 部長に回すかを決める … 停止を伴うもの、全社に出すもの、規則が変わるものは、部長が見ます

2番目を省かないでください。 下書きの日時は、チケットの日時を写したものですが、まとめたチケットの日時を取り違える、曜日を付け間違える、ということが起こります。 お知らせの誤りで一番重いのが日時です。

目標は、1件をならして16分です。 下書きの確認と直しに10分、【要確認】を埋めるのに4分、貼り付けと投稿に2分という見込みです。needs_confirmation が毎回多いなら、入力欄の埋め方を見直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
入力欄が空のまま渡されたuser_action が unknown。出さずに担当者が欄を埋める
チケットに利用者への影響が書かれていない「利用者に見える変化の記載なし」と返させる。担当者が仕様メモを足す
利用部署の一覧に機能が無い「一覧に該当なし」。担当者が送る先を決め、一覧に1行足す
言い換えの表に無い専門用語が残るunreplaced_terms に出す。担当者が本文を直し、表に足す
同じ日に複数のチケットまとめて渡し、1本のお知らせにする。ticket_ids に全部入る
作業の日時が変わった前のお知らせの訂正として作り直す。件名に【日程変更】を付ける
作業が中止になった中止のお知らせを作る。前のお知らせのリンクを付ける
緊急の変更(障害の対応など)このエージェントを使わない。障害の連絡は別の手順で出す
パスワード付きのファイルを添付した知識として使えない。保護を外したものを添付する

下から2行目を、運用の最初に決めてください。 障害やセキュリティの事故の連絡は、出す内容と時期を部長や関係部署と詰めるもので、下書きの速さより正確さと判断が先です。 このエージェントは、計画された変更のお知らせに限ります。

Step11

記録を残す

  • 出したお知らせの本文(Teams の投稿とメール)と、もとのチケットの番号
  • エージェントが出したJSON(下書き、needs_confirmation、affected_departments、faq)
  • 担当者が直した箇所 … 日時、送る先、言い換え、「あなたがすること」の一文
  • 出した日時と、送った部署
  • お知らせを出した後の問い合わせの件数と内容(ヘルプデスクが、お知らせごとに記録する)
  • unreplaced_terms の月ごとの集計

3つ目の「直した箇所」が、指示と手本を直す材料になります。 毎回同じところを直しているなら、指示か手本のどちらかに問題があります。

5つ目の問い合わせの記録は、お知らせの出来を測る唯一の物差しです。 同じ質問が多く来たお知らせは、想定問答か本文のどちらかに抜けがあります。その質問を、次のお知らせの想定問答の手本にします。

04実装レベルの3段階

最小構成:Microsoft 365 Copilot の画面に、基準とチケットを毎回貼る / 1件ごとの下書き
半自動化:上記+Agent Builder でエージェントを作り、手本・利用部署の一覧・言い換えの表を知識に持たせる / 下書き、送る先の候補、想定問答
本格構成:上記+Copilot connectors で Jira のチケットを知識に加え、チケット番号だけで下書きを出す / チケットの読み込みまで

最小構成では、担当者ごとに貼る基準が違い、下書きの質がそろいません。 確かめるための段階です。 半自動化で、この記事の想定の16分になります。 書き方の基準と手本がエージェントの中にあるので、担当者はチケットを貼るだけになります。送る先の候補と想定問答が出るのも、この段階からです。 本格構成で減るのは、貼り付けの1分ほどです。 その代わり、チケットの中から何を渡すかを担当者が選べなくなるので、チケットに書いてよいことの決まりを先に作ります。 半自動化で3か月ほど回してから決めてください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
10 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
40 分
1件あたり導入後時間
16 分
現在  60件 × 40分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 60件 × 16分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
24h
削減率
60%
年間削減時間
288h
年間金額換算(時間単価3,500円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 勤怠・経費精算・営業支援・社内ポータル・認証まわりなど、社内向けのシステムを情報システム部門が十数個以上抱え、改修や設定変更のたびに利用者へのお知らせを書いている会社。変更の中身はチケットに残っているのに、お知らせを書くのが担当者ごとにばらばらで、出した後に「何をすればいいのか」という問い合わせが続いている場合。Microsoft 365 を全社で使っており、過去のお知らせと書き方の基準を SharePoint に置ける場合。
向いていない
  1. 社内向けのシステムが数個しかなく、変更が月に数件で、担当者が慣れた書き方ですぐ書き終えている場合。変更の内容がチケットにも仕様メモにも残っておらず、口頭とチャットだけで進んでいる場合。セキュリティの事故の対応や、障害の報告のように、出す内容を法務や経営と詰める必要がある連絡。なお、お知らせを出すかどうか、誰に出すか、いつ出すかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月出したお知らせから10件を選ぶ(問い合わせが多かったものを半分入れる)
  2. その10件のもとのチケットと仕様メモを集める
  3. 書き方の基準を1枚にまとめる(本文の並び、日時の書き方、問い合わせ先の書き方)
  4. Microsoft 365 Copilot の画面で、基準とチケットを貼り付け、「この並びで利用者向けのお知らせの下書きを作ってください。チケットに書かれていない日時・停止の時間・対応の有無は【要確認】と書いてください」と指示する
  5. 出てきた下書きを、実際に出したお知らせと並べ、ヘルプデスクの2名に読んでもらう

10件は必ずやってください。 エージェントを作る前に、「チケットから利用者の言葉に置き換えられるか」と「書かれていないことを埋めないか」を確かめます。

出てきた内容判断
問い合わせの多かったお知らせより、分かりやすいと言われたエージェントを作る段階に進む
チケットに無い日時や「対応は不要」を補った指示の書き方で直る。構成は有効
【要確認】ばかりで、下書きにならないチケットに利用者への影響が書かれていない。 入力欄を作るのが先

3行目が出ることは珍しくありません。 その場合は、Jira のチケットにお知らせ用の入力欄を足し、次の月の10件で同じことをしてください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
日時や停止の時間をそれらしく補う指示で【要確認】と書かせ、needs_confirmation に出させる
根拠なく「対応は不要です」と書く入力欄に書かれているときだけ許す。空なら unknown
変更の理由を創作するチケットに理由が無ければ書かせない
技術の言葉が残る言い換えの表を知識に入れ、残った言葉を unreplaced_terms に出す
手本が多すぎて知識に入らないSharePoint のファイルは100ファイルまで。変更の種類ごとに選ぶ
利用部署の候補が古い一覧を月に1回見直す。組織変更の後は必ず
設定値や作業者の名前が本文に出るチケットから外して渡す。指示でも禁じる
障害の連絡にも使ってしまう計画された変更に限る。障害の連絡は別の手順
ライセンスの無い担当者が SharePoint の知識を使えない誰にライセンスを付けるか、従量課金にするかを先に決める
自動で投稿させたくなる下書きまでにする。 投稿と送信は人が行う

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、書かれていないことを書くという同じ性質から出ています。【要確認】が出ることを、正しい動きとして扱ってください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社内システムの変更の内容、作業の日時、仕様メモ、利用部署の一覧です。認証まわりの変更では、設定の値やサーバーの名前がチケットに含まれることがあります。

  1. チケットから、お知らせに要らないものを外して渡す … 設定の値、サーバー名、作業者の名前、取引先の名前。お知らせに書かないものは、エージェントにも渡しません
  2. アップロードしたファイルは、エージェントを使える人全員が見られる … 公開資料では、ファイルを知識としてアップロードすると、エージェントを使える利用者はそのファイルの情報にもアクセスできるとされています。書き方の基準と言い換えの表のような、社内で共有してよいものだけを入れます
  3. SharePoint の知識は、既存の権限に従う … エージェントは、SharePoint と OneDrive のファイルの既存の権限と秘密度ラベルを守るとされています。手本のフォルダに、見せてはいけないお知らせを入れないでください
  4. 投稿と送信を自動にしない … お知らせの誤りは、日時と対象の誤りです。900名に間違った停止の時間が届くと、訂正のお知らせと問い合わせで、削減した時間より多くを失います
  5. お知らせを出すかどうか、誰に出すかは人が決める … この構成が出すのは下書きと候補です。出さない判断も含めて、担当者と部長が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、間違った日時や対象が整った文章で出ることと、利用者の対応が抜けることの2つです。 どちらも「書かれていないことを書かない」という同じ決まりで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:手本と書き方の基準をそろえる

先月から3か月分のお知らせを集め、ヘルプデスクの記録で問い合わせの少なかったものを、変更の種類(画面の変更、停止、設定変更、廃止)ごとに選びます。あわせて、本文の並びと日時の書き方を1枚の基準にまとめます。

2週目:10件で試す

第8章の手順で、10件のチケットから下書きを作らせます。実際に出したお知らせと並べ、チケットに無い日時や「対応は不要」を補っていないかを最優先で見ます。

3週目:Jira に入力欄を足す

停止の有無と時間、利用者の対応の有無、問い合わせ先の3つを、チケットの欄として足します。あわせて、利用部署の一覧を SharePoint リストにします。

4週目:エージェントを作る

Agent Builder でエージェントを作り、指示と知識(手本のフォルダ、利用部署の一覧、書き方の基準と言い換えの表)を入れます。最初は情報システム部の2〜3名で使い、needs_confirmation に何が出るかを毎回見ます。

2か月目以降: 部の全員で使い、直した箇所と問い合わせの件数を記録し、1件40分が何分になったかを実測します。問い合わせの多かった質問が想定問答に入るようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Agent Builder が Microsoft 365 の宣言型エージェントを作る仕組みで、組織の基準に合わせた文章の指導をするエージェントが用途の例であること。SharePoint の内容や Copilot connectors の情報を知識に指定でき、使う前や共有する前に試せること。作れる場所が microsoft365.com/chat、office.com/chat、Teams のデスクトップとWebで、モバイル版では作れないこと。外部のサービスとつなぐ操作の作成に対応せず、Copilot Studio へ写すよう案内されていること。Teams のグループチャットや1対1のチャットでは使えないことMicrosoft Learn: Agent Builder overview2026-10-06
知識の上限(SharePoint のファイル・フォルダ・サイトが100ファイル、SharePoint リストが1つ、アップロードするファイルが20ファイル)。リストの上限が20,000行と50MBで、添付ファイルの列が使われないこと。新しく置いたファイルが「Preparing」の間は使われないこと。既存の権限と秘密度ラベルを守ること。アップロードしたファイルの情報はエージェントを使える利用者全員が見られること。パスワード付きのファイルが使えないこと。Copilot connectors の Jira をプロジェクトで絞れること。「指定したソースのみを使用する」が優先であって遮断ではないことMicrosoft Learn: Add knowledge sources to an agent in Agent Builder2026-10-06
従量課金を有効にしていない Copilot Chat のエージェントでは、SharePoint のデータ、アップロードしたファイル、Copilot connectors の知識が使えず、従量課金か Microsoft 365 Copilot のライセンスが要ること。従量課金で SharePoint のファイルを知識にする場合、課金の設定を SharePoint のエージェントのサービスにつなぎ、利用者を割り当てたセキュリティグループに入れる必要があることMicrosoft Learn: Agent capabilities and licensing models2026-10-06

ライセンスと従量課金の条件は変わりやすい情報です。 導入の前に、自社の契約と管理者の設定で確かめてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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