Media > AI活用ユースケース > 営業 > 営業が顧客へ送る見積の案内メールの下書きを、送る前に見積書の金額・納期・型番・有効期限と照らして校正し、食い違いと言い回しの直しを返す

営業が顧客へ送る見積の案内メールの下書きを、送る前に見積書の金額・納期・型番・有効期限と照らして校正し、食い違いと言い回しの直しを返す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

営業担当が顧客へ送る見積の案内メールの下書きを、送る前に添付の見積書PDFと見積の台帳に照らして読みます。金額・納期・型番・有効期限の食い違いと、誤字や言い回しの直しを箇所ごとに返します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
商社/製造
対象部門
営業
対象業務
内容確認・チェック
主な課題
人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
70%
年間削減
672h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 販売管理の仕組みで見積書を作り、PDFで出す
  2. 見積の台帳に、見積番号・版・顧客・合計金額・有効期限を書く
  3. 前に同じ種類の見積を送ったメールを開き、本文を写して新しいメールの下書きを作る
  4. 合計金額・型番・納期・有効期限を、見積書から本文に書き写す
  5. 営業事務か上長に、下書きとPDFを転送して読み合わせを頼む
  6. 読み合わせた人が、本文の数字と見積書を1つずつ指で追って確かめ、直す箇所を返す
  7. 営業担当が直して、顧客へ送る
導入後(After)
  1. 人営業担当が下書きを書き、見積書PDFを添付して、点検用のアドレスへ送る
  2. 自動ワークフローが点検用のアドレスへの着信を拾い、本文と添付を取り出す
  3. 自動件名と本文から見積番号を拾い、見積の台帳から最新の版・合計金額・有効期限を引く
  4. 自動生成AIが下書きと見積書PDFを読み比べ、食い違い・取り違え・誤字と言い回しを箇所ごとに挙げる
  5. 自動台帳の値と見積書の値を機械で比べ、添付が最新の版かを確かめる
  6. 自動点検の結果を「必ず直す」と「直したほうがよい」に分けて、営業担当へ返信する
  7. 人営業担当が結果を読み、直して顧客へ送る
  8. 人「必ず直す」が出たものと、金額が一定額を超えるものだけ、営業事務か上長が読み合わせる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 販売管理の仕組みで見積書を作り、PDFで出す
  2. 見積の台帳に、見積番号・版・顧客・合計金額・有効期限を書く
  3. 前に同じ種類の見積を送ったメールを開き、本文を写して新しいメールの下書きを作る
  4. 合計金額・型番・納期・有効期限を、見積書から本文に書き写す
  5. 営業事務か上長に、下書きとPDFを転送して読み合わせを頼む
  6. 読み合わせた人が、本文の数字と見積書を1つずつ指で追って確かめ、直す箇所を返す
  7. 営業担当が直して、顧客へ送る

(a)書き写した数字が見積書と違う。 税抜と税込の取り違え、桁の打ち間違い、数量を変えた版の合計を前の版のまま書く。本文の数字は見積書から書き写すので、どこかで1つずれます。 読み合わせで見つかるのは、ずれが大きいものだけです。

(b)前の顧客の社名が残る。 3番で前のメールの本文を写すため、宛名は直しても、本文の途中の「〇〇様向けの仕様で」のような箇所に前の顧客の社名が残ります。 他社の名前と取引の内容が書かれたメールを顧客に送ることになり、金額の誤りよりも重い失敗です。

(c)添付の版を取り違える。 版を変えた見積書のファイル名が似ているため、本文は第3版の数字なのに、添付は第2版のPDFということが起きます。読み合わせの人は、添付が最新かどうかまでは見ていません。

(d)読み合わせが続かない。 1件10分でも、月480件で80時間です。営業事務の3名には本来の受発注の仕事があり、忙しい日から読み合わせが省かれます。 省かれた日に限って、急ぎの見積が多く、誤りも多くなります。

  1. 【人】 営業担当が下書きを書き、見積書PDFを添付して、点検用のアドレスへ送る
  2. 【自動】 ワークフローが点検用のアドレスへの着信を拾い、本文と添付を取り出す
  3. 【自動】 件名と本文から見積番号を拾い、見積の台帳から最新の版・合計金額・有効期限を引く
  4. 【自動】 生成AIが下書きと見積書PDFを読み比べ、食い違い・取り違え・誤字と言い回しを箇所ごとに挙げる
  5. 【自動】 台帳の値と見積書の値を機械で比べ、添付が最新の版かを確かめる
  6. 【自動】 点検の結果を「必ず直す」と「直したほうがよい」に分けて、営業担当へ返信する
  7. 【人】 営業担当が結果を読み、直して顧客へ送る
  8. 【人】 「必ず直す」が出たものと、金額が一定額を超えるものだけ、営業事務か上長が読み合わせる

8番目が、この設計の分かれ目です。 読み合わせを無くすのではなく、読み合わせる見積を絞ります。 全件を人が読み合わせる設計のままでは、80時間はほとんど減りません。

5番目を生成AIではなく機械の比較にしているのも、意図してのことです。 添付が最新の版かどうかは、台帳の版の番号と見積書に印字された版の番号が同じかどうかで決まります。文字列の一致で決まることを、生成AIに判断させる理由はありません。

02今回想定するシステム構成

構成図
営業担当が下書き+見積書PDFを点検用のアドレスへ送る
   │
   ▼【トリガー】点検用アドレスへのメールの着信(ラベル「見積点検」)
Make
   ├──▶ 添付の取り出し(PDFのみ)
   ├──▶ Google スプレッドシート(見積の台帳)── 最新の版・合計・有効期限
   ├──▶ Claude API(Files API にPDFを上げる)
   ├──▶ Claude API ── 下書きと見積書の読み比べ(構造化出力)
   │       ① 金額・数量・単価  ② 型番・品名  ③ 納期  ④ 有効期限・支払条件
   │       ⑤ 宛先・社名の残り  ⑥ 添付への言及  ⑦ 誤字・言い回し
   ├──▶ 台帳の版と見積書の版の比較(機械)
   ▼
営業担当への返信(必ず直す/直したほうがよい)
   ▼
【人】直して顧客へ送る(必要なものだけ読み合わせ)
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakeZapier、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(下書きと見積書PDFの読み比べ)OpenAI API、Gemini API
台帳Google スプレッドシート(見積の台帳)Airtable
メールGmail(点検用のアドレスと、営業担当への返信)Outlook

見積書の作成と見積の台帳は、いま使っているものをそのまま使います。 この構成は見積書も台帳も書き換えません。読んで比べて、結果を営業担当に返すだけです。 足す準備は、点検用のアドレスを1つ作ることと、台帳に「版」の列があることを確かめることです。

読み比べの中心は、Claude API の PDF の読み取りです。 PDF の中の文字と表と図を読むことができ、PDF は URL、base64、Files API の file_id の3つの渡し方があります。PDF の読み取りは画像としての理解に頼っているため、画像の読み取りと同じ制約を受けるとされています。パスワード付きや暗号化された PDF は扱えません。

PDF は Files API に上げてから file_id で渡します。 Make の Anthropic Claude のアプリには Upload a File のモジュールがあり、Files API はいまは一般提供で、ベータのヘッダーは要りません。上げたファイルはワークスペースの中のどの API キーからも参照できるため、点検用のワークスペースを分け、点検が終わったら削除します。 読み比べは、構造化出力を使うために Make an API Call で Messages API を呼びます。Make のアプリの説明に、構造化出力の設定が書かれていないためです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

点検用のアドレスへのメールの着信を起点にします。 営業担当は、顧客へ送る前の下書きを、宛先だけ点検用のアドレスにして送ります。下書きフォルダを見張る方法も考えられますが、営業担当が書きかけの下書きまで点検に回ってしまいます。 「点検に出す」という操作を1つ挟むことで、書き終えたものだけが回ります。

Make の Gmail の Watch emails は、ラベル、送信元、件名、含む語で絞り込め、添付のあるメールだけに絞ることもできます。点検用のアドレスに届くメールに Gmail のフィルタで「見積点検」のラベルを付け、そのラベルの添付付きのメールだけを見張ります。 送信元は社内のドメインだけに絞り、社外から届いたメールは点検しません。

見張る間隔は5分にします。 営業担当は点検の結果を待ってから送るため、ここが遅いと送るのが遅れます。結果の返信は、点検に出してから数分で届く想定です。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
下書き件名、本文、顧客へ送るときの宛先(本文の先頭に書く決まり)点検用アドレスに届いたメール
見積書PDF(見積番号と版、宛先、明細、合計、納期、有効期限、支払条件)メールの添付
見積の台帳見積番号、最新の版、顧客名、合計金額(税抜・税込)、有効期限Google スプレッドシート
顧客の一覧顧客の正式な社名と、よく使われる略称Google スプレッドシート
社内の表記の決まり社名の敬称、金額の書き方(税抜・税込の明記)、納期の書き方営業部で用意する一覧

質を決めるのは、下の2つです。 顧客の一覧が無ければ、本文に残った前の顧客の社名を「社名らしい語」としか見分けられません。一覧と照らすから、「この顧客ではない社名」として挙げられます。

社内の表記の決まりは、言い回しの直しの基準になります。 「金額は税抜と税込を必ず併記する」「納期は『ご発注から〇週間』と書き、日付で約束しない」のような決まりがあれば、言い回しの直しが、好みではなく社内の決まりに沿ったものになります。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどのモジュールで
本文と添付点検用アドレスGmail の Watch emails と List email attachments and media
最新の版と合計見積の台帳Google Sheets の Search Rows(見積番号で引く)
顧客の一覧と表記の決まり別のシートGoogle Sheets の Search Rows
PDF の file_idFiles APIAnthropic Claude の Upload a File
読み比べの結果Messages APIAnthropic Claude の Make an API Call

見積番号は、件名から先に探し、無ければ本文から探します。 正規表現で社内の見積番号の形(たとえば「Q-」で始まり、末尾に「-版の番号」が付く形)を拾います。見積番号が見つからないものは、点検を止めて営業担当に返します。 台帳と照らせないまま読み比べだけをしても、版の取り違えを拾えないからです。

Upload a File について、Make のアプリの説明には受け付けるファイルの形式が書かれていません。 Files API 自体は PDF を document のブロックで扱えるので、最初に1件のPDFで上げて file_id が返るかを確かめてから組みます。 動かなければ、Make an API Call で /v1/files へ直接上げます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 添付を PDF だけに絞る … 見積書以外の添付(仕様書や図面)が付いていることがあります。ファイル名に見積番号を含む PDF を見積書とし、それ以外は読み比べに渡しません
  2. 見積書が1つかを確かめる … 見積書の PDF が2つ以上あれば、版の違うものが混ざっています。点検を止めて、営業担当に返します
  3. パスワードを確かめる … 見積書にパスワードを付ける顧客向けの運用がある場合、そのままでは読めません。点検にはパスワードを付ける前の PDF を送る決まりにします
  4. 本文の引用と署名を落とす … 前のやり取りへの返信として見積を送る場合、本文の下に顧客のメールが引用されています。引用を残すと、顧客が書いた数字を食い違いとして挙げてしまいます
  5. 顧客を決める … 本文の先頭に書いた顧客へ送るときの宛先から、顧客の一覧の正式な社名を引きます

4番目を落とすと、指摘の半分が引用の中から出ます。 顧客が「前回は〇〇円でした」と書いていれば、それは見積書と違って当然の数字です。点検するのは、営業担当が書いた部分だけです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、下書きの本文に書かれた事柄を見積書と1つずつ照らし、食い違いと書き方の問題を箇所ごとに挙げることだけです。

見るもの照らし方種類
金額(小計・消費税・合計)本文の数字と、見積書の数字。税抜か税込かの書き方必ず直す
数量・単価本文に書いた数量と単価が、見積書の明細と同じか必ず直す
型番・品名本文の型番が、見積書の明細にあるか。1文字の違いも挙げる必ず直す
納期本文の納期の書き方と、見積書の納期の欄必ず直す
有効期限・支払条件本文と見積書の欄必ず直す
宛先と社名本文の社名が、送る先の顧客と同じか。ほかの社名が残っていないか必ず直す
添付への言及「添付の見積書」と書いて添付が無い、見積番号が違う必ず直す
誤字・敬称・表記の決まり社内の表記の決まりに沿っているか直したほうがよい
言い回し意味が曖昧な文、約束と読める文(「必ず間に合います」など)直したほうがよい

右端の列は、AIに選ばせません。項目で決まります。 金額の食い違いを「直したほうがよい」に入れられると、一覧の下のほうに回って読み飛ばされます。 何を「必ず直す」とするかは、指示の側で項目ごとに固定します。

最後の行の「約束と読める文」は、言い回しの中でいちばん大事な指摘です。 「必ず間に合わせます」「この価格で据え置きます」のような文は、見積書に書いていない約束を、メールで加えたことになります。AIは挙げるだけで、約束してよいかは営業担当と上長が決めます。

させないこと理由
本文を書き直した全文を返すこと営業担当がどこを直されたか分からなくなる
見積書の側の誤りを判断すること見積書は販売管理の仕組みの値。疑わしければ挙げるだけ
金額を計算し直して正しい値を決めること正しい値は見積書と台帳にある。AIの計算を正にしない
値引きや納期の約束の可否営業担当と上長の判断

1行目を禁じるのは、全文を返させると、直す必要の無い文まで書き換わるからです。 営業担当が顧客に合わせて選んだ言い回しが、気づかないうちに消えます。返すのは箇所と直し方だけにします。

Step6

指示内容を固定する

あなたは専門商社の営業部で、顧客へ送る前の見積の案内メールを点検する係です。
メールの本文と添付の見積書(PDF)を読み比べ、直す箇所を挙げてください。
本文を書き直した全文は返さないでください。

【必ず直す(must_fix)として挙げるもの】
1. 本文の金額(小計・消費税・合計)が見積書と違う。税抜・税込の書き方が無い、
   または見積書と逆
2. 本文の数量・単価が見積書の明細と違う
3. 本文の型番・品名が見積書の明細に無い(1文字の違いも挙げる)
4. 本文の納期・有効期限・支払条件が見積書と違う
5. 本文に、送る先の顧客({customer_name})以外の社名が書かれている
6. 本文の見積番号が見積書と違う。「添付」と書いているが見積書の話と合わない

【直したほうがよい(suggest)として挙げるもの】
7. 誤字、敬称の誤り、社内の表記の決まり({style_rules})に沿わない書き方
8. 意味が曖昧な文。見積書に書かれていない約束と読める文

【厳守事項】
- 本文に書かれていない項目は、点検しないでください。
  見積書にある項目が本文に無いことは、指摘しないでください。
- 金額を自分で計算し直して、正しい値を決めないでください。
  本文と見積書の数字が違うことだけを挙げてください。
- 見積書の側が誤っていると思っても、見積書を正として扱い、
  「見積書の値も確認してください」と note に書くだけにしてください。
- draft_text には本文の該当箇所を、quote_text には見積書の該当箇所を、
  そのまま写してください。
- severity は上の番号で決まります。自分で変えないでください。
- 約束してよいか、値引きしてよいかを書かないでください。
- 引用された顧客のメールは点検の対象外です。

【送る先の顧客】{customer_name}(よく使う略称:{customer_aliases})
【メールの件名】{subject}
【メールの本文】{draft_body}
【見積書】添付の PDF

「本文に無い項目は点検しない」を明記しないと、指摘が見積書の項目の数だけ並びます。 見積書には明細が何十行もあり、本文に書いたのはそのうちの主な型番だけです。書いていない型番について「本文に記載がありません」と並ぶと、読む気が無くなります。

「見積書を正とする」も同じ理由です。 見積書の消費税の端数の扱いを疑って本文の数字を正しいとする指摘が出ると、営業担当はどちらを直せばよいか分からなくなります。 正はいつも見積書と台帳の側に置きます。

Step7

出力形式を固定する

次の形の JSON を構造化出力で受け取ります。

{
  "quote_no_in_draft": "Q-2610-0412-3",
  "quote_no_in_pdf": "Q-2610-0412-3",
  "issues": [
    {
      "severity": "must_fix",
      "category": "amount",
      "draft_text": "合計金額は1,284,000円です",
      "quote_text": "合計(税込)1,412,400",
      "note": "本文に税抜・税込の記載が無く、見積書の税込の合計と違う"
    },
    {
      "severity": "must_fix",
      "category": "other_customer_name",
      "draft_text": "〇〇工業様向けの仕様と同じく",
      "quote_text": "",
      "note": "送る先の顧客と違う社名"
    }
  ]
}

category は amount / quantity_price / part_no / delivery / validity_terms / other_customer_name / quote_ref / typo_style / wording のどれかにします。

1つ目の理由は、severity で返信の並びを決められることです。 must_fix を上に、suggest を下にして返信を組み立てます。must_fix が0件なら、件名に「点検済み」と付けて返します。

2つ目は、draft_text と quote_text で営業担当がすぐ直せることです。 本文のどこを、見積書のどこと比べたかが並ぶので、PDF を開いて探し直す時間がかかりません。

3つ目は、quote_no_in_pdf を台帳と機械で比べられることです。 台帳の最新の版と違えば、AIの指摘とは別に「添付が最新の版ではありません」を must_fix の先頭に足します。版の比較は、ワークフローの側の条件分岐で行います。

構造化出力のスキーマでは、severity と category を列挙の型にし、additionalProperties は false にします。構造化出力は、数値の上限・下限や文字列の長さの制約に対応していないため、件数や長さの確かめはワークフローの側で行います。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Gmail(点検用アドレス)Watch emailsラベル「見積点検」の添付付きのメールを拾う
GmailList email attachments and media添付の PDF を取り出す
見積の台帳・顧客の一覧Google Sheets の Search Rows最新の版、合計、顧客の社名を引く
Claude APIUpload a File / Make an API CallPDF を上げ、読み比べ、終わったら削除
GmailReply to an email点検の結果を、送ってきた営業担当だけに返す

返信は Reply to an email で、送信元の営業担当だけに返します。 返信の方法には「送信元だけに返す」の設定があります。下書きの本文に顧客のアドレスが書かれていても、顧客へは何も送りません。 この構成が顧客へ送るものは、1つもありません。

点検が終わったら、上げた PDF を Files API から削除します。 Make an API Call で DELETE /v1/files/{file_id} を呼びます。上げるときに期限を付けることもでき、期限は1時間から90日の間で決めます。削除し損ねたときの備えとして、1時間の期限も付けておきます。

Step9

人が確認する

営業担当は、すべての点検の結果を読みます。 点検の結果は、直す箇所の一覧です。直すのも送るのも営業担当です。

  1. must_fix を全部直す … 直したら、もう一度点検に出します。2回目で must_fix が0件になってから送ります
  2. suggest を読んで選ぶ … 直すかどうかは営業担当が決めます
  3. 読み合わせに回すかを決める … 次のどれかに当たるものは、営業事務か上長に読み合わせを頼みます
読み合わせに回すもの理由
1回目の点検で other_customer_name が出た本文を前のメールから写している。ほかにも残っている可能性がある
合計金額が社内で決めた額を超える誤ったときの影響が大きい
wording で約束と読める文が挙がった約束してよいかは上長が決める
新しい顧客への最初の見積顧客の社名や担当者の名前を、まだ誰も確かめていない

目標は、480件をならして1件3分です。 点検に出して結果を読むのに1分、直してもう一度点検に出すのに1分、読み合わせに回る一部の見積の時間をならして1分という内訳です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
見積番号が見つからない点検を止め、「件名か本文に見積番号を書いてください」と返す
見積番号が台帳に無い点検はするが、「台帳に無い見積番号です」を must_fix の先頭に置く
添付が無い、見積書の PDF が2つ以上点検を止めて返す
パスワード付き・暗号化された PDF読めない。パスワードを付ける前の PDF を送るよう返す
PDF がスキャンの画像で文字が粗い読み取りが不確かになる。「見積書の数字を目で確かめてください」と添えて返す
Claude API が失敗する・JSON が返らない「点検できませんでした。読み合わせに回してください」と返す。点検済みと見えるものを返さない
社外のアドレスから届いた点検せず、何も返さない

6行目の書き方が大事です。 失敗したときに何も返さないと、営業担当は「指摘が無かった」と受け取って送ります。失敗は失敗として、はっきり返します。

Step11

記録を残す

  • 点検に出したメールの ID、営業担当、見積番号、顧客、受け取った日時
  • 台帳から引いた最新の版と合計、見積書から読んだ版
  • Claude API が返した JSON の全文と、営業担当に返した返信
  • 2回目以降の点検で、同じ見積番号の must_fix が0件になった日時
  • category ごとの件数と、営業担当ごとの件数
  • Files API の file_id と、削除した日時

category ごとの件数は、どこで誤りが起きているかを見るためです。 other_customer_name が多いなら、前のメールを写す書き方そのものをやめ、見積の案内のひな形を作るほうが早く減ります。

04実装レベルの3段階

最小構成:本文と見積書を手で生成AIの画面に貼り、直す箇所を挙げさせる / 1件ごとの読み比べ
半自動化:上記+点検用アドレスへの着信で読み比べを動かし、結果を営業担当へ返す / 読み比べと結果の返信
本格構成:上記+見積の台帳と顧客の一覧を引き、版の取り違えとほかの社名の残りを拾い、読み合わせに回すものを決める / 点検の全体と、読み合わせる見積の絞り込み

最小構成では件数がさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件10分が5分程度になります。 読み比べは自動になりますが、台帳の版との照合と、ほかの社名の確認は人に残り、読み合わせも全件のままです。本格構成で3分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、読み合わせを全件から一部に絞れるのが、台帳と顧客の一覧を引けるようになってからだからです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
10 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  480件 × 10分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 480件 × 3分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
56h
削減率
70%
年間削減時間
672h
年間金額換算(時間単価3,200円)
215万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 機械部品・電子部品・資材などを扱う専門商社で、営業担当が見積書をPDFで作り、案内のメールに金額や納期を書き写して顧客へ送っている場合。送る前に上長や営業事務が目で読み合わせる決まりがあるが、件数が多く、忙しい日には省かれている場合。見積の台帳を Google スプレッドシートで持ち、メールが Gmail である場合。
向いていない
  1. 見積をすべて受発注の仕組みの画面から送り、メールに金額を書き写すことが無い場合。見積の件数が月に数十件で、上長の読み合わせで足りる場合。見積書が紙やスキャンの画像で、文字としての PDF になっていない場合。なお、値引きや納期の約束をしてよいか、その価格で出してよいかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月送った見積の案内メールから30件を選ぶ(うち数件は、読み合わせで誤りが見つかったと分かっているものを入れる)
  2. その30件について、読み合わせでどこを直したかを聞き取る
  3. メールの本文と見積書の PDF を、手元の生成AIの画面に1件ずつ貼る
  4. 第7章の指示を少し短くして渡し、直す箇所を挙げさせる
  5. 出てきた指摘を、読み合わせで直した箇所と見比べる

30件は必ずやってください。 ワークフローを組む前に、「本文と見積書の食い違いを拾えるか」と「指摘が多すぎないか」を確かめます。

出てきた内容判断
読み合わせで直した箇所が全部出たワークフローに進む
本文に無い項目まで指摘が並んだ指示の書き方で直る。構成は有効
見積書の表を読み違えた見積書の PDF の作り方を確かめる。 画像の PDF なら文字の PDF にする

2行目は、ほぼ必ず出ます。 指摘の数を絞る指示が効くかを、この30件で確かめておくと、運用に入ってから「指摘が多くて読まない」ことになりません。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
本文に無い項目まで指摘が並ぶ「本文に無い項目は点検しない」を明記する
金額の食い違いが言い回しの指摘に埋もれるseverity を項目で固定し、must_fix を上に並べる
引用された顧客のメールの数字を指摘する引用を落としてから渡す
添付が古い版でも気づかない台帳の最新の版と、見積書に印字された版を機械で比べる
前の顧客の社名を見落とす顧客の一覧で、送る先以外の社名として挙げさせる
AIが計算し直した値を正しいとして返す計算を禁じ、正は見積書と台帳に置く
失敗したときに何も返らず、点検済みと思って送る失敗ははっきり返す
上げた PDF がワークスペースに残る点検後に削除し、1時間の期限も付ける
書きかけの下書きまで点検に回る下書きフォルダではなく、点検用アドレスへの送信を起点にする

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも指摘の数の問題で、多すぎる指摘は、少なすぎる指摘と同じように読まれなくなります。 最初の1か月は、営業担当に「読まなかった指摘」を聞いて、指示を直してください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧客の社名と担当者の名前、型番、数量、単価と合計金額、納期、支払条件です。

  1. 単価は社外に出したくない情報として扱う … 見積書の単価は、競合に知られたくない情報です。使う API の契約で、送った内容が学習に使われるか、どれだけ保存されるかを導入前に確かめてください
  2. Files API のファイルはワークスペースの中で共有される … 上げたファイルは、同じワークスペースのどの API キーからも参照できます。点検用のワークスペースと API キーを分け、点検が終わったら削除します
  3. 顧客へは何も送らない … 結果は営業担当だけに返します。顧客へのメールの送信を、この構成の中に作らないでください
  4. 約束してよいかを AI に決めさせない … 「約束と読める文」を挙げるところまでです。値引きや納期の約束は、営業担当と上長の判断です
  5. 点検のログの閲覧範囲を絞る … 顧客ごとの単価が並ぶ記録です。営業部の中でも見られる人を決めます

誤りが起きた場合のリスクは、食い違いを見落とすことと、点検済みと誤解されることの2つです。 前者は指摘が多すぎて読まれないと起き、後者は失敗が黙って終わると起きます。指摘を絞ることと、失敗をはっきり返すことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:点検用のアドレスと顧客の一覧を用意する

点検用のアドレスを作り、Gmail のフィルタで「見積点検」のラベルを付けます。顧客の一覧に、よく使われる略称の列を足します。 見積の台帳に「版」の列があるかも確かめます。

2週目:30件で試す

先月の見積の案内メールから30件を選び、手元の生成AIの画面で読み比べをさせます。読み合わせで直した箇所が出るか、本文に無い項目まで並ばないかを見ます。

3週目:表記の決まりを書き出す

税抜・税込の書き方、納期の書き方、敬称の決まりを、営業部で1枚にまとめます。この1枚が、言い回しの直しの基準になります。

4週目:点検用アドレスから返信までをつなぐ

Make で点検用アドレスを見張り、PDF を上げて読み比べ、営業担当へ返すところまで作ります。この時点では読み合わせを全件で続け、AIの指摘と読み合わせの指摘を並べて見ます。

2か月目: 台帳の版との比較と、読み合わせに回す見積の絞り込みを足します。category ごとの件数を毎週数えます。3か月目以降: 1件10分が何分になったかを実測します。読み合わせを一部に絞っても、顧客から数字の食い違いを指摘されることが無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-13
確認した内容情報源確認日
Watch emails がラベル・送信元・件名・含む語で絞り込め、添付のあるメールだけに絞れること。List email attachments and media で添付を取り出せること。Reply to an email に送信元だけに返す設定があることMake: Gmail modules2026-10-13
Anthropic Claude のアプリに Create a Prompt、Upload a File、Make an API Call などがあり、接続に API キーを使うこと。Upload a File の受け付ける形式と、構造化出力の設定がページに書かれていないことMake: Anthropic Claude2026-10-13
Search Rows が条件に合う行を返すことMake: Google Sheets modules2026-10-13
Parse JSON がデータの構造で JSON を分け、項目を後のモジュールに当てられることMake: JSON2026-10-13
PDF の文字・表・図を読めること。URL・base64・Files API の file_id で渡せること。画像の読み取りと同じ制約を受けること。パスワード付き・暗号化された PDF が扱えないことClaude: PDF support2026-10-13
Files API が一般提供でベータのヘッダーが要らないこと。上げたファイルがワークスペースの中のどの API キーからも参照できること。DELETE /v1/files/{file_id} で削除でき、上げるときに1時間から90日の期限を付けられること。上げ下ろしと削除に料金がかからず、使った中身が入力のトークンとして数えられることClaude: Files API2026-10-13
構造化出力が output_config.format に json_schema を渡す形で一般提供されていること。数値・文字列の制約に対応していないことClaude: Structured outputs2026-10-13

値引きや納期の約束、価格の判断は、営業部の決まりと上長の判断に従ってください。 本記事は上の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1321)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次