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売買仲介で内見を終えた購入検討客の動きを毎日追い、連絡が止まった客に次の物件の提案とフォロー連絡の下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

売買仲介で内見を終えた購入検討客のうち、連絡が一定の日数止まっている客を毎朝拾い出します。客ごとにAIが顧客管理と物件の一覧を自分で引き、止まっている理由の区分、次に出す物件、連絡の下書きを担当者へ渡します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
不動産/建設
対象部門
営業
対象業務
情報検索/書類作成
主な課題
営業フォローが追いつかない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
エージェント
主な効果
品質標準化/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
80h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
75%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当者が、顧客管理で自分の担当する内見済み・未申込の客を一覧にする
  2. 最終連絡日を見て、しばらく連絡していない客を選ぶ
  3. 1人ずつ、反響の内容、内見した物件と内見のメモ、これまでの連絡を読み返す
  4. 客が何を待っているのか、何が合わなかったのかを思い出す
  5. 物件の一覧を開き、条件に合う新着物件と、価格が下がった物件を探す
  6. メールの文面を書き、送る。電話をかけることもある
  7. 送った内容と次に連絡する日を顧客管理に記録する
導入後(After)
  1. 自動毎朝7時、物件の一覧と顧客管理の更新が終わったあとに処理が始まる(水曜は動かさない)
  2. 自動内見済み・未申込で、最終連絡からの日数が客の段階ごとの基準を超えた客を抜き出す
  3. 自動断りの意思を示した客、連絡を望まない客、他社で決めた客を外す
  4. 自動客1人ごとにAIのステップを動かす
  5. 自動AIが必要な記録を自分で引く(連絡の履歴、内見した物件の現在の状況、条件に合う物件)
  6. 自動止まっている理由の区分と根拠、次に出す物件、連絡の下書き、次回の連絡日の案を返す
  7. 自動提案された物件が一覧にあり、販売中であることを確かめる
  8. 自動担当者ごとの確認一覧に書き出し、Gmail に下書きを作る
  9. 人担当者が朝のうちに一覧を読み、区分と根拠を確かめる
  10. 人下書きを直して自分で送るか、電話に切り替えるかを決める。送らない判断もある
  11. 人顧客管理に連絡の結果と次回の連絡日を記録する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当者が、顧客管理で自分の担当する内見済み・未申込の客を一覧にする
  2. 最終連絡日を見て、しばらく連絡していない客を選ぶ
  3. 1人ずつ、反響の内容、内見した物件と内見のメモ、これまでの連絡を読み返す
  4. 客が何を待っているのか、何が合わなかったのかを思い出す
  5. 物件の一覧を開き、条件に合う新着物件と、価格が下がった物件を探す
  6. メールの文面を書き、送る。電話をかけることもある
  7. 送った内容と次に連絡する日を顧客管理に記録する

(a)連絡が途切れたことに気づかない。 土日は内見の案内、平日は契約と引き渡しの準備で埋まり、内見後の客の見直しは手が空いたときにしかできません。 事前審査の結果を聞くはずだった客に3週間連絡しておらず、その間に他社で申し込んでいた、ということが起きます。

(b)客の準備待ちと関心の低下が区別できない。 最終連絡から20日経った客が2人いても、1人は自宅の売却査定を待っているだけで、もう1人は別の地域で探し始めているかもしれません。記録を読み返さないと区別がつかず、読み返す時間が無いので同じ文面を送ります。

(c)次に出す物件が、合わなかった理由とずれる。 「北側の道路が気になる」と言って決めなかった客に、同じ価格帯で幹線道路沿いの物件を送ってしまいます。物件を探すときに、合わなかった理由を見直していないからです。

(d)追客のやり方が担当者ごとに違う。 2週間ごとに連絡する担当者もいれば、半年放っておく担当者もいます。担当替えのときに、客の段階が引き継げません。

(e)価格の変更を伝え損ねる。 見送った物件が1か月後に値下がりしても、一覧の変更と客の記録を突き合わせる人がいません。

  1. 【自動】 毎朝7時、物件の一覧と顧客管理の更新が終わったあとに処理が始まる(水曜は動かさない)
  2. 【自動】 内見済み・未申込で、最終連絡からの日数が客の段階ごとの基準を超えた客を抜き出す
  3. 【自動】 断りの意思を示した客、連絡を望まない客、他社で決めた客を外す
  4. 【自動】 客1人ごとにAIのステップを動かす
  5. 【自動】 AIが必要な記録を自分で引く(連絡の履歴、内見した物件の現在の状況、条件に合う物件)
  6. 【自動】 止まっている理由の区分と根拠、次に出す物件、連絡の下書き、次回の連絡日の案を返す
  7. 【自動】 提案された物件が一覧にあり、販売中であることを確かめる
  8. 【自動】 担当者ごとの確認一覧に書き出し、Gmail に下書きを作る
  9. 【人】 担当者が朝のうちに一覧を読み、区分と根拠を確かめる
  10. 【人】 下書きを直して自分で送るか、電話に切り替えるかを決める。送らない判断もある
  11. 【人】 顧客管理に連絡の結果と次回の連絡日を記録する

10番目と11番目は、人の仕事として残します。 送るかどうかも、何を送るかも担当者が決めます。

AIが自分で行うのは「読む」ことだけです。 下書きや一覧への書き込みは、AIのステップのあとに置いた決まった手順のステップで行います。

02今回想定するシステム構成

構成図
【トリガー】毎朝7時(Schedule by Zapier、水曜は除外)
   ▼
Zapier ── 対象の客を抜き出す(物件の一覧と同じスプレッドシートの「追客対象」シート)
   │       ・最終連絡からの日数が基準を超えた客
   │       ・断り/連絡不要/他決を除外
   ▼
Looping by Zapier ── 客1人ずつ繰り返す(最大500回)
   ▼
AI by Zapier(ツール付き、Advanced の階層)
   │   道具(読むだけ):
   │   ・顧客管理の記録を引く(反響・内見・連絡の履歴)
   │   ・物件の一覧を検索する(条件・価格変更・販売状況)
   │   ・社内の追客ルール(ナレッジ)を読む
   │   返す項目:区分/根拠/次の物件/下書き/次回の連絡日
   ▼
Zapier ── 物件IDが一覧にあり販売中かを確かめる(Filter)
   ├──▶ 確認一覧(スプレッドシート)へ1行追加
   └──▶ Gmail に下書きを作成(送信はしない)
   ▼
【人】担当者が一覧と下書きを確認 → 自分で送る/電話する/送らない
   ▼
顧客管理へ結果を記録(担当者)
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Schedule by Zapier、Looping by Zapier)Make、n8n、Power Automate
生成AIAI by Zapier(ツール付きのAIステップ)Claude API、OpenAI API
顧客管理いま使っている不動産仲介向けの顧客管理同種の顧客管理
物件の一覧Google スプレッドシート(毎朝更新)Microsoft 365 の共有ファイル
下書きGmailOutlook

顧客管理と物件の一覧は、新しく足すものではありません。 新しく作るのは「追客対象」のシートと、担当者が見る確認一覧の2つです。

AIのステップには AI by Zapier を使います。 Zap の中に置くAIのステップで、プロンプトの入力、モデルの選択、出力項目、道具とナレッジの設定ができます。道具を足すと、AIは複数の道具を使って情報を集めてから結果を出すようになり、プロンプトに応じて、どの道具を何回呼ぶかを自分で決めます。 本記事が「エージェント」と呼んでいるのは、この動き方です。

以前の Zapier Agents ではなく AI by Zapier を選ぶのは、Zapier が Agents を AI by Zapier へ置き換えると案内しているからです(Agents の停止日は未定)。AI by Zapier なら、AIが自分で判断するステップと決まった手順のステップを1つの Zap に混ぜられます。

モデルの階層は Advanced 以上にします。 AI by Zapier には Standard(1倍のタスク)、Advanced(3倍)、Premium(5倍)、自社のキーを使う形(1倍)があり、Standard では道具を使えません。 月400件で客ごとに数回の道具の呼び出しが起きるので、費用を見て Advanced から始めます。1回の実行で75タスクに達すると、Zap が止まって続けるかの承認を求めます。 道具を呼びすぎる客がいれば、ここで気づけます。

Looping by Zapier は、繰り返しを並列で動かし、1回の実行で最大500回までです。 ループのあとのアクションは繰り返しのたびに1タスクを使います。AI by Zapier と Looping は Professional、Team、Enterprise のプランで使え、Free プランでは組めません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎朝7時に、Schedule by Zapier の daily で動かします。 物件の一覧は毎朝6時台に更新が終わり、顧客管理には前日の連絡の記録が入っています。担当者が出社して最初に一覧を見られる時刻に、下書きがそろっている状態を作ります。

土日も動かし、定休日の水曜だけ止めます。 売買の購入検討客は、平日に勤めていて土日に連絡を返してくることが多く、土日の朝こそ下書きが要ります。 Schedule by Zapier には土日に動かすかどうかの設定(Trigger on weekends?)があるので、これを動かす側にし、水曜はトリガーの直後に置いた Filter で止めます。

時刻は Zapier アカウントのタイムゾーンに従い、指定した分きっかりに動く保証はありません。 指定時刻から数分以内に動く、という仕様です。最終連絡からの日数を「実行した時刻」から数えると、日付をまたいだときに1日ずれます。 判定の基準日をトリガーの日付から作り、以降の計算はすべてその日付で行います。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
追客対象の客客ID、担当者、段階、最終連絡日、基準日までの日数、次回の連絡予定日追客対象のシート
希望条件エリア・学区、価格の上限、間取り、広さ、築年数、こだわりの条件顧客管理
内見の記録内見日、物件ID、担当者のメモ(客の反応、合わなかった点)顧客管理
連絡の履歴日時、手段、要旨、客からの返事の要旨、客側の宿題(事前審査、売却査定など)顧客管理
物件の一覧物件ID、種別、価格、前回の価格、販売状況、所在のエリア、間取り、広さ、築年、特徴物件のスプレッドシート
追客のルール段階ごとの連絡の間隔、送ってよい時間帯、書いてはいけないことナレッジ(社内の文書)

質を決めるのは、内見の記録と連絡の履歴の「客側の宿題」です。 「事前審査の結果待ち」「自宅の査定を依頼中」と書かれていれば、AIは待っている客として扱えます。書かれていなければ、関心が離れた客と区別できません。 始める前に、内見のメモの書き方を「良かった点/合わなかった点/客側の宿題」の3行にそろえます。

名前、電話番号、メールアドレス、勤務先、年収は渡しません。 区分を付けるのにも物件を選ぶのにも要らないからです。客は顧客管理のIDで表し、下書きの宛名は後段のステップで差し込みます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
追客対象の客追客対象のシートZap の最初のステップで行を検索し、対象の行をまとめて取る
内見と連絡の記録顧客管理AIの道具として、客IDで記録を引く検索のアクションを登録する
物件の一覧物件のスプレッドシートAIの道具として、行を検索するアクションを登録する
追客のルール社内の文書AI by Zapier のナレッジとして接続する

追客対象のシートは、顧客管理から毎晩書き出します。 顧客管理の画面から抜き出すのではなく、段階、最終連絡日、次回の連絡予定日の3つの列を毎晩シートに写し、日数の計算はシートの側で行います。 AIに日付の引き算をさせないためです。

顧客管理の記録と物件の一覧は、AIの「道具」として渡します。 AI by Zapier の道具には、Zapier につながるアプリのアクション(CRMの記録を探す、スプレッドシートに行を足す、など)と、ナレッジの2種類があります。この構成で登録するのは、記録を探すアクションと行を検索するアクションだけです。 書き込むアクションは登録しません。

道具ごとに「実行前に承認を求める」設定があります。 作成・更新・削除のような扱いに注意が要る道具はオンにし、読むだけの道具はオフにする、というのが Zapier の案内です。この構成では道具がすべて読むだけなので、承認はオフのまま動かせます。 運用の途中で書き込みの道具を足したくなったら、その道具だけ承認をオンにしてください。オンにすると実行が止まり、メールの通知、Zap の画面の「Delayed」表示、Activity の「1 action needs your approval」で承認を求められます。

ナレッジには、追客のルールを書いた社内の文書を1つだけつなぎます。 Google ドライブや Microsoft SharePoint などをつなげ、同期は96,000語までです。毎日変わる物件や記録は道具で引き、変わらないルールだけをナレッジにします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 対象の客の抜き出し … 内見済み・未申込で、最終連絡からの日数が段階ごとの基準を超えた客を取ります。基準は「客側の宿題あり」が14日、「条件の見直し中」が10日、「宿題なし」が7日、のように段階で変えます
  2. 除外の適用 … 断りの意思を示した客、連絡を望まないと言った客、他社で決めた客、申込済みの客を外します。この除外はAIに任せず、シートの列で機械的に行います
  3. 次回の連絡予定日の確認 … 担当者が予定日を入れていて、その日がまだ来ていない客は外します。担当者が自分で決めた予定を、AIが追い越さないためです
  4. 基準日の固定 … トリガーの日付から基準日を作り、すべての日数をその日付で数えます

2番目をAIにさせないことが大事です。 「もう連絡しないでください」と言った客を、AIが「関心が離れた客」と読んで物件を出す下書きを作ると、下書きの段階でも事故の元になります。

3番目は、担当者の判断を優先する仕組みです。 「年明けに改めて連絡します」と約束した客に12月に下書きが出ると、毎朝それを消す作業が生まれます。

Step5

AIに処理させる

客1人ごとに、次の4つをさせます。

(1)必要な記録を引く

客の状況の手がかり引く記録
連絡の履歴に客側の宿題がある宿題の内容と、客が示した時期
内見のメモに「価格」がある内見した物件の現在の価格と、前回の価格
内見のメモに条件の不一致がある条件に合う販売中の物件(内見済み・紹介済みは除く)
記録が少ない反響の内容と希望条件

どの記録を引くかはAIが決めますが、引いた記録は必ず根拠として書き出させます。 根拠の無い区分は、担当者が確かめようがありません。

(2)止まっている理由の区分を付ける

区分見分け方下書きの方向
waiting_customer_task客側の宿題(事前審査、売却、家族の相談)が記録にあり、その時期が過ぎている宿題の進み具合を尋ねる。物件は出さないか1件まで
condition_mismatch合わなかった点が記録にあり、それを満たす物件が一覧にある合わなかった点を満たす物件を出す
price_changed内見した物件か、条件の近い物件の価格が下がった価格の変更を知らせる
no_reason_recorded合わなかった点も宿題も記録に無い物件を出さず、検討の状況を尋ねる
undetermined記録が矛盾している、記録がほとんど無い人が見る

waiting_customer_task を区分として置いたことが、この構成のいちばんの工夫です。 事前審査の結果を待っている客に新しい物件を3件送ると、「こちらの事情を分かっていない」と受け取られます。待っている客には、待っていることを踏まえた一言を送ります。

no_reason_recorded には物件を出させません。 理由が分からないまま物件を出すと、第3章の(c)のずれをAIが再現するだけです。

(3)次に出す物件を選ぶ

物件の一覧から、販売中で、内見済み・紹介済みでなく、合わなかった点を満たすものを最大3件選ばせます。物件ごとに、合わなかった点のどれを満たすのかを1文で書かせます。

(4)連絡の下書きと次回の連絡日の案を作る

区分ごとの方向に沿って下書きを作らせます。催促や値引きの約束に読める表現は書かせません。 次回の連絡日は、区分と追客のルールから案を出させ、決めるのは担当者です。

Step6

指示内容を固定する

あなたは住宅の売買仲介会社で、内見を終えた購入検討客への
フォロー連絡を準備する担当者の補佐です。
下の客について、使える道具で必要な記録を引き、
止まっている理由の区分、次に出す物件、連絡の下書きを作ってください。

【使える道具】
- 顧客管理の記録を引く(反響、内見、連絡の履歴)
- 物件の一覧を検索する(販売状況、価格、前回の価格、条件)
- 追客のルール(ナレッジ)

【進め方】
1. まず連絡の履歴と内見の記録を引き、客側の宿題と、合わなかった点を確かめる
2. 合わなかった点か価格の記載があるときだけ、物件の一覧を検索する
3. 区分を決め、その根拠にした記録の文をそのまま写す
4. 区分に合う下書きを作る

【区分】次の5つのいずれか。これ以外を作らないでください。
waiting_customer_task / condition_mismatch / price_changed /
no_reason_recorded / undetermined

【厳守事項】
- 記録に書かれていないことを推測で補わないでください。
  「事前審査に通らなかったのだろう」「他社で決めたのだろう」と書かないでください。
  記載がなければ「不明」としてください。
- 最終連絡からの日数を自分で計算しないでください。
  下に与えた日数の値をそのまま使ってください。
- 物件は、物件の一覧で販売状況が「販売中」のものだけを出してください。
  内見済み・紹介済みの物件ID(下に与えます)は出さないでください。
- 物件は最大3件。物件ごとに、合わなかった点のどれを満たすかを1文で書いてください。
  満たす点を書けない物件は出さないでください。
- 区分が no_reason_recorded のときは、物件を出さないでください。
- 根拠を写せない区分は undetermined にしてください。
- 下書きに、値引きの約束、「今だけ」「早く決めないと」のような
  急かす表現、他の客の検討状況を書かないでください。
- 下書きに、客の年収、勤務先、ローンの審査結果の推測を書かないでください。
- 客の名前は書かず、宛名は「{宛名}」のままにしてください。
- 下書きは300字以内、です・ます調にしてください。

【基準日】{base_date}
【客ID】{customer_id} 【担当者】{agent_name}
【段階】{stage} 【最終連絡からの日数】{days_since_contact}
【内見済み・紹介済みの物件ID】{excluded_property_ids}

「日数を自分で計算しない」を必ず入れます。 計算を任せると、定休日や基準日の扱いが客ごとに変わります。数えるのはシート、判断するのがAIという分担を崩さないためです。

「満たす点を書けない物件は出さない」は、第3章の(c)への対策です。 理由を書かせずに選ばせると、価格帯だけで選んだ物件が並びます。

Step7

出力形式を固定する

AI by Zapier の出力項目として、次の項目を定義します。

{
  "base_date": "",
  "customer_id": "",
  "category": "waiting_customer_task | condition_mismatch | price_changed | no_reason_recorded | undetermined",
  "evidence": [
    { "source": "contact_log | viewing_note | property_list", "date": "", "quote": "" }
  ],
  "customer_task": { "content": "", "expected_by": "" },
  "proposals": [
    { "property_id": "", "status": "", "price": 0, "previous_price": 0, "reason": "" }
  ],
  "draft_subject": "",
  "draft_body": "",
  "next_contact_suggestion": "",
  "needs_human": { "value": false, "reason": "" }
}

構造化する理由は、後段で決まった手順に分けるからです。 category が文章に埋もれていると、確認一覧で区分ごとに並べられません。proposals が項目として分かれていれば、物件IDが一覧にあって販売中かを Filter で確かめられます。

evidence の quote には、記録の文をそのまま写させます。 担当者は一覧の上でこの1文を読めば、区分が妥当かをすぐ判断できます。根拠がないと、結局顧客管理を開き直すことになり、工数が減りません。

出力項目が定義されていないと、AI by Zapier はまとめた1つの出力を返します。 後段のステップで項目ごとに使うので、出力項目は必ず定義します。 プロンプトから出力項目を自動で作る機能もありますが、名前と種類は手で確かめて固定します。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
追客対象のシートZapier のスプレッドシート連携対象の客を検索して取得する
顧客管理AIの道具(記録を探すアクション)客IDで反響・内見・連絡の履歴を引く。読むだけ
物件の一覧AIの道具(行を検索するアクション)販売状況・価格・条件を引く。読むだけ
確認一覧Zapier のスプレッドシート連携区分、根拠、物件、下書き、次回の連絡日の案を1行で追加
GmailZapier の Gmail 連携担当者のアカウントに下書きを作る。送信はしない
社内チャットZapier の連携担当者ごとに、その朝の件数を知らせる

AIのステップのあとに Filter を置き、提案された物件IDを物件の一覧で引き直します。 販売状況が商談中か成約済みなら、その物件を下書きから外して needs_human を立てます。

Gmail には下書きを作るだけで、送信のアクションは置きません。 下書きは担当者の受信箱に入り、担当者が開いて直して送ります。送信のアクションを Zap に入れないことで、設定の誤りで客にメールが飛ぶ経路そのものを無くします。

顧客管理への書き戻しはしません。 区分や下書きの記録は確認一覧に残し、顧客管理には担当者が連絡の結果を書きます。顧客管理にAIの推測が混ざると、次の判定の材料が汚れるからです。

Step9

人が確認する

担当者が、その朝の確認一覧を必ず見ます。 下書きは担当者が開かない限り客に届かないので、確認を省くと単に何も起きません。

確認することなぜ
区分と根拠の1文区分が違えば、下書きの方向がまるごと違う
waiting_customer_task の宿題の時期客が示した時期を過ぎていても、事情が変わっていることがある
提案された物件担当者だけが知っている客の事情(言葉にしていない好み)がある
下書きの言い回しその客との距離感に合うか、急かしに読めないか
undetermined と needs_human の全件記録の書き方か、ルールを直す材料になる

電話に切り替える判断も、ここで行います。 下書きは「何を尋ねるか」のメモとしても使えます。

一覧は担当者ごとに分け、undetermined と price_changed を上に置きます。 同じ客について前回出した区分と連絡の結果を横に並べると、先週尋ねたことを今週また尋ねる下書きにすぐ気づけます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
顧客管理の記録が引けないその客を undetermined にし、下書きを作らない。推測で区分を付けない
物件の一覧の更新が終わっていない一覧の更新日時を最初に確かめ、古ければその日の処理を止めて知らせる
提案した物件が商談中・成約済みFilter で外し、needs_human を立てる
内見済みの物件が提案に混ざるFilter で外す。繰り返すならプロンプトの除外の書き方を見直す
断りの記録があるのに対象になった除外の列の付け忘れ。その日のうちに列を直し、下書きを消す
区分以外の値が返ったundetermined として扱い、確認一覧の上に出す
AIのステップが失敗したその客だけを失敗として一覧に残し、他の客の処理は続ける
担当者が休みの日店長が一覧で件数を見て、急ぐものだけ引き取る

いちばん大事なのは、断りの記録の扱いです。 断りを示した客への下書きは、送らなければ実害は無いように見えますが、担当者が忙しい朝に流れで送ってしまう危険があります。 除外の列は、この構成でいちばん先に整える列です。

失敗した客は確認一覧に「失敗」として1行残し、翌朝の対象に戻します。

Step11

記録を残す

  • 基準日、対象の客、区分、根拠の1文、提案した物件、下書きの本文(確認一覧)
  • 担当者が下書きを送ったか、直したか、送らなかったか、電話に切り替えたか
  • 担当者が区分を変えた事例と、その理由
  • 提案した物件への客の反応(内見の申込、問い合わせ、反応なし)
  • AIのステップがどの道具を何回呼んだか(Zap の実行履歴)
  • undetermined の件数と、原因の内訳

AI by Zapier は実行のたびに知識がリセットされ、前回を覚えていません。 前回の区分や連絡の結果を踏まえさせるには、確認一覧の記録を次回の入力として渡します。

3つ目の「担当者が区分を変えた事例」が、いちばん役に立つ記録です。 no_reason_recorded を waiting_customer_task に直したなら、宿題が記録に書かれていなかったということで、内見のメモの書き方を直す材料になります。

04実装レベルの3段階

最小構成:書き出した記録と物件の一覧を生成AIに貼り、区分と物件と下書きを出させる / 区分と下書き
半自動化:毎朝の起動、対象の抜き出し、AIのステップが記録と物件を自分で引き、確認一覧と Gmail の下書きまで / 材料集めから下書きまで
本格構成:上記+前回の区分と連絡の結果を入力に含め、区分ごとの申込の割合を毎月集計し、基準の日数を見直す / 追客の運用全体

半自動化で、1件12分が3分になります。 記録を読み返す時間と物件を探す時間が消え、残るのは区分と根拠の確認、物件の確認、下書きの手直しです。本記事の想定はこの段階です。 本格構成で足すのは、時間ではなく精度を上げるものです。 区分ごとの申込の割合を見ると、基準の日数が早すぎるか遅すぎるかが分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
10 名
月間件数
400 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  400件 × 12分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 400件 × 3分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
75%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 中古マンション・中古戸建・新築戸建の売買仲介を複数店舗で行い、内見まで進んだ購入検討客を1人の担当者が数十人ずつ抱えている会社。検討期間が数か月に及び、住宅ローンの事前審査や自宅の売却といった客側の準備を待つあいだに連絡が途切れやすい場合。顧客管理に内見の記録と連絡の履歴が残っており、自社で扱える物件の一覧を毎日更新している場合。
向いていない
  1. 内見後の購入検討客が1人あたり数人で、担当者が全員の状況を覚えていられる場合。内見の記録が顧客管理に残っておらず、客の反応が担当者の手帳にしかない場合(先に記録の書き方をそろえる必要がある)。賃貸の仲介で、物件が数日で埋まり、検討期間が短い場合(週ごとの見直しで足りることが多い)。客への連絡の可否を取得時に確かめておらず、追客の連絡そのものに同意の裏付けが無い場合。

07最小構成で試す方法

  1. 担当者2名を選び、それぞれの内見済み・未申込の客から10人ずつ、計20人を選ぶ(事前審査待ちの客と、条件が合わなかった客を両方入れる)
  2. 20人分の内見のメモと連絡の履歴を、名前と連絡先を伏せて書き出す
  3. 物件の一覧のうち、販売中の物件だけを書き出す
  4. 手元の生成AIの画面に、1人分の記録と物件の一覧を貼り、第7章のプロンプトから道具の部分を除いたものを指示する
  5. 出てきた区分と物件と下書きを、担当者自身の判断と突き合わせる
見る点判断
事前審査待ちの客が waiting_customer_task になるかならないなら、宿題の書き方が記録に足りない
物件ごとの「満たす点」の1文が妥当か妥当ならワークフローに進む
下書きが急かしに読めないか1通でも読めたら、禁止の例文を足す
根拠の1文が記録から写されているか写されていない区分は使えない

1つ目がいちばんの見どころです。 宿題が書かれていない客が多ければ、内見のメモを3行にそろえるところから始めます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
事前審査待ちの客に物件が3件届く宿題を記録に書く。waiting_customer_task では物件を1件までにする
理由の分からない客に的外れな物件が出るno_reason_recorded では物件を出さない
商談中の物件が提案されるFilter で物件の一覧を引き直す
断った客に下書きができる除外をAIに任せず、シートの列で落とす
担当者の約束した連絡日をAIが追い越す次回の連絡予定日がまだ来ていない客を外す
日数が1日ずれる基準日をトリガーの日付から作る。実行時刻で数えない
下書きが急かしに読める禁じる言い回しを例文で示す
Standard の階層で道具が動かない道具は Advanced 以上で使える
前回と同じ質問を繰り返す前回の区分と結果を入力に渡す。AIは前回を覚えていない
送信のアクションを足したくなる足さない。下書きまでにする

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 区分を付けてから物件を選ぶ順序を、プロンプトの「進め方」で固定してください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 購入検討客の希望条件、内見の記録、連絡の履歴、そして客側の宿題として記録される住宅ローンの事前審査の状況や、いまの住まいの売却の予定です。家計と家族の事情に踏み込む情報が含まれます。

  1. AIへ渡す範囲を限る … 名前、連絡先、勤務先、年収はAIのステップに渡しません。客IDで処理し、宛名は後段で差し込みます
  2. ローンの審査の推測をさせない … 「審査が通らなかったのでは」という推測は、下書きにも根拠にも書かせません。事実として記録にあることだけを扱います
  3. 連絡の同意を確かめる … 追客の連絡は、客がそれを受け取ることに同意している前提です。連絡を望まないと言った客は、除外の列で確実に落とします
  4. 送信は人が行う … 送信のアクションを Zap に入れません。判定の誤りが客に届く前に、必ず担当者を通ります
  5. 書き込みの道具をAIに持たせない … 書き込みが必要になったら、その道具だけ実行前の承認をオンにします
  6. 確認一覧の閲覧範囲を限る … 客ごとの事情が並ぶので、閲覧は担当者と店長に限ります

誤りが起きた場合のリスクは、待っている客を急かして関係を損なうことと、関心が離れた客に的外れな物件を送ることの2つです。 どちらも区分の誤りから起きるので、担当者が根拠の1文を読んでから送る運用を崩さないでください。

10まず何から始めるか

1週目:内見のメモをそろえる

「良かった点/合わなかった点/客側の宿題」の3行で書いてもらいます。今週からの内見だけで十分です。

2週目:除外の列を作る

追客対象のシートに、断り・連絡不要・他決・申込済みの列を作り、担当者に埋めてもらいます。この列が埋まるまで、ワークフローは動かしません。

3週目:20人で試す

第8章の手順で20人を試します。下書きは送らず、違和感のある表現を禁止事項に足します。

4週目:担当者2名で動かす

Schedule、Looping、AI by Zapier、確認一覧、Gmail の下書きをつなぎ、担当者2名の客だけで毎朝動かします。

2か月目: 全担当者に広げ、undetermined の件数と原因を毎週見て、メモの書き方と基準の日数を直します。3か月目以降: 区分ごとに、その後の内見の申込や問い合わせにつながった割合を見て、基準の日数を見直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-05/最終更新:2026-10-05
確認した内容情報源確認日
AI by Zapier が Zap に AI のステップを足す機能で、プロンプト・モデル・出力項目・道具とナレッジを設定できること。階層が Standard(1倍、道具は使えない)/Advanced(3倍)/Premium(5倍)/自社のキー(1倍)であること。出力項目を定義しないと1つの出力を返すこと。ナレッジの同期が96,000語までであること。Professional / Team / Enterprise で使え Free では使えないこと。実行のたびにAIの知識がリセットされることZapier Help: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-05
道具にアプリのアクションとナレッジがあること。AIが道具を何回呼ぶかをプロンプトに応じて決めること。道具ごとの「実行前に承認を求める」設定、作成・更新・削除にはオン、読むだけはオフという案内。承認待ちがメール・Delayed 表示・Activity で示されること。実行履歴に呼んだ道具と結果が残ることZapier Help: Add tools to your AI by Zapier step2026-10-05
Zapier が Agents を AI by Zapier へ置き換えること。Agents の停止日は未定であること。AI by Zapier で判断するステップと決まった手順のステップを1つの Zap に混ぜられることZapier Help: Migrating from Agents to AI by Zapier2026-10-05
2026年6月15日から AI by Zapier が階層ごとの料金(Standard 1倍/Advanced 3倍/Premium 5倍)になること。1回の実行で75タスクに達すると Zap が止まり承認を求めることZapier Help: AI by Zapier new model-based pricing2026-10-05
Looping by Zapier の繰り返しが並列で動くこと。1回の実行で最大500回であること。ループのあとのアクションが繰り返しごとに1タスクを使うこと。Free では使えないことZapier Help: Understanding Looping by Zapier2026-10-05
Schedule by Zapier の間隔の選び方、日次の「Trigger on weekends?」の設定、タイムゾーンがアカウントの設定に従うこと、指定した分きっかりの発火を保証せず数分以内に動くことZapier Help: Schedule Zap workflows2026-10-05

物件の広告表示や、追客の連絡に関する同意の扱いは、自社の宅地建物取引業の運用と個人情報の取り扱いの方針に従ってください。 この部分は自社の規程に応じた個別の確認が必要です。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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