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新規事業の企画が出てきたときに、過去の検討資料と見送り・撤退の判断記録から似たテーマを探し、当時の前提と理由を根拠付きで経営企画の検討に使う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

新規事業の企画書が届いたときに、過去の検討資料と経営会議の判断記録から似たテーマを探し、当時の前提と見送りの理由を資料のページ付きで返します。経営企画は、過去の議論を踏まえたうえで一次検討を始められます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
対象業界
IT・SaaS/商社/製造/金融
対象部門
経営企画
対象業務
情報検索/比較検討
主な課題
判断に時間がかかる/引き継ぎができていない/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
判断支援/属人化解消/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
70%
年間削減
252h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 推進室の担当者が企画書を読み、事業の領域、顧客、技術、収益の見込みを整理する
  2. 文書管理システムで、領域や技術の言葉を変えながら過去の資料を全文検索する
  3. 出てきた資料を開き、同じテーマか、どの段階まで進んだかを読む
  4. 似たテーマがあれば、経営会議の議事録をさかのぼり、判断と理由を探す
  5. 撤退したテーマなら、共有フォルダの総括報告を探して読む
  6. 在籍の長い室員や、当時の事業部の担当者に経緯を聞く
  7. 過去の経緯を一次検討のメモにまとめる
導入後(After)
  1. 自動経営会議の資料と議事録が文書管理システムに登録されると、テーマの番号ごとに本文を取り出す
  2. 自動Claude が、判断ごとのカード(段階、結論、理由、当時の前提、再検討の条件、根拠のページ)の下書きを作る
  3. 人推進室の担当者が、カードの理由と前提を資料と照らして確定する
  4. 自動確定したカードを、埋め込みと一緒に検索基盤へ登録する
  5. 人担当者が企画書を受付フォームに登録する
  6. 自動企画書の要旨から、言葉の一致と文章の近さを組み合わせたハイブリッド検索で、過去のカードを最大50件集める
  7. 自動並べ直しのモデルで、企画書の要旨に対する近さを計算し直し、上位10件に絞る
  8. 自動Claude が、上位のテーマについて、当時の前提、結論、理由、再検討の条件を、資料の箇所を引用してまとめる
  9. 人担当者が引用の資料を開いて確かめ、今回の企画で前提がどう違うかを一次検討のメモに書く
各工程の詳しい説明を読む
  1. 推進室の担当者が企画書を読み、事業の領域、顧客、技術、収益の見込みを整理する
  2. 文書管理システムで、領域や技術の言葉を変えながら過去の資料を全文検索する
  3. 出てきた資料を開き、同じテーマか、どの段階まで進んだかを読む
  4. 似たテーマがあれば、経営会議の議事録をさかのぼり、判断と理由を探す
  5. 撤退したテーマなら、共有フォルダの総括報告を探して読む
  6. 在籍の長い室員や、当時の事業部の担当者に経緯を聞く
  7. 過去の経緯を一次検討のメモにまとめる

(a)似たテーマがあったかが分からない。 企画書の言葉と、過去の資料の言葉は違います。「工場の排熱を使った陸上養殖」と「未利用エネルギーを活用した水産事業」は同じ話ですが、全文検索では当たりません。

(b)見送りの理由が引き継がれない。 議事録には「継続審議」「見送り」と結論は書かれていますが、理由は会議資料の最後のページや、質疑の発言の中に散っています。 担当が替わると、理由を探す手がかりごと失われます。

(c)同じ議論を繰り返す。 5年前に「販路が無い」で見送ったテーマが、別の事業部から同じ形で持ち込まれ、経営会議で同じ質問が出て、同じ理由で止まることがあります。

(d)前提が古いまま引かれる。 逆に、覚えている人が「それは前に駄目だった」と言うと、そこで止まります。当時駄目だった前提が今も同じかは、確かめられないまま終わります。

取り込み(経営会議のたびと、撤退の総括のたび)

  1. 【自動】 経営会議の資料と議事録が文書管理システムに登録されると、テーマの番号ごとに本文を取り出す
  2. 【自動】 Claude が、判断ごとのカード(段階、結論、理由、当時の前提、再検討の条件、根拠のページ)の下書きを作る
  3. 【人】 推進室の担当者が、カードの理由と前提を資料と照らして確定する
  4. 【自動】 確定したカードを、埋め込みと一緒に検索基盤へ登録する

検索(企画を受け付けるたび)

  1. 【人】 担当者が企画書を受付フォームに登録する
  2. 【自動】 企画書の要旨から、言葉の一致と文章の近さを組み合わせたハイブリッド検索で、過去のカードを最大50件集める
  3. 【自動】 並べ直しのモデルで、企画書の要旨に対する近さを計算し直し、上位10件に絞る
  4. 【自動】 Claude が、上位のテーマについて、当時の前提、結論、理由、再検討の条件を、資料の箇所を引用してまとめる
  5. 【人】 担当者が引用の資料を開いて確かめ、今回の企画で前提がどう違うかを一次検討のメモに書く

3番目が、この設計の分かれ目です。 判断の理由は、議事録の質疑や資料の最後のページから読み取るもので、読み取り方で中身が変わります。 下書きはAIが作りますが、確定させるのは会議に同席した担当者です。会議の直後なら、どの発言が決め手だったかを本人が覚えています。

02今回想定するシステム構成

構成図
【取り込み】文書管理システム(経営会議の資料・議事録)/総括報告
   ▼【トリガー】資料と議事録の登録
AWS Lambda ── テーマ番号ごとに本文を取り出す
   ▼
Claude(Amazon Bedrock)── 判断のカード(前提・結論・理由・再検討の条件)
   ▼【人】会議に同席した担当者が確定
Amazon OpenSearch Service(判断のカードの索引)

【検索】受付フォーム(企画書の要旨)
   ▼
Amazon OpenSearch Service ── ハイブリッド検索(最大50件)
   ▼  検索パイプライン:rerank プロセッサー
Amazon Bedrock の並べ直しモデル(Amazon Rerank 1.0)── 上位10件
   ▼
Claude(Amazon Bedrock)── 資料の箇所を引用してまとめる
   ▼
担当者が確認 → 一次検討のメモへ
役割想定する製品代替候補
検索基盤Amazon OpenSearch Service(ハイブリッド検索と rerank プロセッサー)Azure AI Search、Vertex AI Search(Agent Search)
埋め込みAmazon Titan Text Embeddings V2(Amazon Bedrock)Cohere Embed、OpenAI の埋め込みモデル
生成AIClaude(Amazon Bedrock。カードの下書きと引用付きのまとめ)Gemini API、OpenAI API
連携AWS Lambda(取り込みと、まとめの呼び出し)AWS Step Functions
並べ直しAmazon Rerank 1.0(Amazon Bedrock)Cohere Rerank 3.5(Amazon Bedrock)
文書管理既存の文書管理システム―

この構成の要は、並べ直しです。 公開されているドキュメントでは、rerank プロセッサーは検索結果を受け取り、新しいスコアで並べ直す検索パイプラインの処理です。ml_opensearch の型ではクロスエンコーダーのモデルを使い、document_fields で並べ直しに使う項目、query_text または query_text_path で問いの文を指定します。

並べ直しのモデルは、Amazon Bedrock のものを OpenSearch から呼びます。 OpenSearch のチュートリアルでは、Bedrock の Rerank API を呼ぶコネクタを作り、モデルを登録し、rerank プロセッサーを持つ検索パイプラインを作る手順が示され、Amazon OpenSearch Service でも使えるとされています。Bedrock の対応表では、Amazon Rerank 1.0 と Cohere Rerank 3.5 はどちらもアジアパシフィック(東京)リージョンに対応しています。

ハイブリッドクエリは、候補を広めに集める役です。 サブクエリは最大5つで、スコアは検索パイプラインの正規化プロセッサーで1つにまとめられます。pagination_depth で、サブクエリごとにシャードから取る件数を1〜10,000の範囲で決められます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

取り込みと検索で、起点が別にあります。

取り込みは、経営会議の資料と議事録が文書管理システムに登録されたときです。 議事録は会議の数日後に登録されるので、資料の登録で下書きを作り始め、議事録の登録で理由と結論を足す2段階にします。撤退したテーマの総括報告は、共有フォルダの所定の場所に置かれたときに取り込みます。

過去15年分は、別に一括で取り込みます。 当時の担当者がいないテーマが多いので、カードに「未確認」の印を付け、検索結果で区別します。一括の取り込みは、最近5年分から始めます。 古いテーマほど前提が今と離れていて、引かれる頻度も低いからです。

検索は、担当者が受付フォームに企画を登録したときに動きます。 企画書の要旨の欄が空のときは動かさず、要旨を書いてもらうよう差し戻します。 企画書の全文から要旨を作らせると、何を軸に探したのかが担当者に見えなくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
経営会議の資料テーマ番号、段階、市場の見込み、収益の試算、提携先、リスク、結論の案文書管理システム
経営会議の議事録テーマ番号、結論、質疑の発言、条件付きの指示文書管理システム
総括報告撤退したテーマの経緯、撤退の理由、得られた知見共有フォルダ
判断のカード取り込み時に作る。段階、結論、理由、前提、再検討の条件、根拠の箇所検索基盤
企画の要旨(検索時)事業の領域、顧客、提供するもの、使う技術、収益の見込み受付フォーム

質を決めるのは、カードの「前提」と「再検討の条件」です。 前提は、市場の見込み、規制、技術の成熟度、自社の強み、提携先の5つの区分で持ちます。再検討の条件は、議事録に「○○が実現すれば再検討」と書かれている場合だけ入れます。 書かれていなければ空のままにします。

結論は決まった値に限ります。 go(次の段階へ)、hold(継続審議)、declined(見送り)、withdrawn(撤退)、merged(他のテーマへ統合)の5つです。議事録の書き方が「保留」「様子見」「当面見送り」とばらばらでも、カードでは5つにそろえます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
資料の本文(スライド単位)経営会議の資料前提と試算の箇所、引用する箇所
議事録の本文(発言単位)経営会議の議事録結論、理由、条件付きの指示
総括報告の本文(節単位)共有フォルダ撤退の理由と知見
テーマ番号と機密区分文書管理システムの属性カードの結び付けと、検索できる人の制限

資料はスライド単位、議事録は発言単位で取り出します。 理由は、後で Claude に引用させるときの単位にするためです。スライド1枚、発言1つが、引用の1単位になります。

検索時には、企画の要旨から2つのサブクエリを作ります。 1つは領域と技術の言葉の一致、もう1つは要旨の文の埋め込みによる近さです。filter には機密区分を入れ、pagination_depth は50にします。ここでは広めに集め、絞り込みは並べ直しに任せます。

並べ直しには、カードの summary と reasons の項目を使います。 チュートリアルでは、document_fields に複数の項目を指定すると値が先に連結されてからモデルに渡されるとされています。テーマの要約と判断の理由を連結して渡し、企画の要旨に対して「同じ話をしているか」をモデルに測らせます。

検索パイプラインは、正規化と並べ直しを1本にまとめます。 正規化プロセッサーでハイブリッド検索のスコアをまとめ、そのあとの応答の処理として rerank プロセッサーを置きます。

{
  "phase_results_processors": [
    { "normalization-processor": {
        "normalization": { "technique": "min_max" },
        "combination": { "technique": "arithmetic_mean" } } }
  ],
  "response_processors": [
    { "rerank": {
        "ml_opensearch": { "model_id": "{rerank_model_id}" },
        "context": { "document_fields": ["summary", "reasons_text"] } } }
  ]
}

検索のときは、要求の拡張の欄で query_text に企画の要旨を渡します。並べ直しに使う問いの文と、ハイブリッド検索の問いの文を同じ要旨にそろえます。 片方だけ要旨を短くすると、集めた候補と並べ直しの基準がずれます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. テーマ番号での結び付け … 資料、議事録、総括報告をテーマ番号で結びます。番号の無い古い資料は、題名と会議の日付から候補を出し、人が結び付けます
  2. 判断ごとの分割 … 1つのテーマの複数の判断を、時期ごとに別のカードにします。最新の判断だけを残すと、途中の段階で止まった理由が消えます
  3. 定型の表紙と目次の除去 … 会議資料の表紙、目次、免責のスライドを除きます
  4. 金額と数値の単位をそろえる … 「億円」「百万円」「M円」を同じ単位にします。市場の見込みは、何年時点の見込みかを一緒に持ちます
  5. 並べ直しに渡す文の長さをそろえる … summary と reasons を連結した文が長すぎないよう、要約は400字程度に収めます
  6. 機密区分の付与 … 経営会議の資料は、文書管理システムの機密区分をカードに写します

4番目の「何年時点の見込みか」を軽く見ないでください。 「市場規模300億円」という前提は、2015年の見込みか2023年の見込みかで意味が変わります。年が無い数値は、今回の企画と比べられません。

2番目も同じくらい効きます。 実証まで進んで撤退したテーマは、調査段階の「進める」判断と、実証後の「撤退」判断の両方が今回の企画の材料になります。前者は何が魅力だったか、後者は何が誤算だったかを示します。

Step5

AIに処理させる

AIの仕事は2か所です。取り込み時のカードの下書きと、検索結果のまとめです。

場面させること
取り込み資料と議事録から、段階、結論、理由、当時の前提(5区分)、再検討の条件を取り出し、根拠の箇所を付ける
検索上位のテーマについて、当時の前提、結論、理由、再検討の条件を、資料の箇所を引用してまとめる
検索今回の企画の要旨に書かれた前提と、当時の前提を区分ごとに並べる
させないこと理由
前提が変わったかの判断市場や規制が今どうなっているかは、担当者が別に調べて確かめる
企画を進めるかの提案一次検討の結論は推進室と経営会議が決める
記録にない理由の推測「おそらく投資額が大きすぎた」と書くと、記録にない理由が経緯として残る
結論の読み替え議事録の結論をそのまま5区分に当てる。「実質的には見送り」と読まない
当時の担当者の評価誰の判断が正しかったかは、この構成の目的ではない

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 当時の前提「規制で個人向けの販売ができない」と並べると、AIは「現在は規制緩和により可能になっている可能性があります」と付け足したくなります。その一言は、確かめていない現状を前提にして企画を前へ進めます。 現状を確かめるのは担当者で、まとめには当時の記録だけを書かせます。

Step6

指示内容を固定する

取り込み時(カードの下書き):

あなたは経営企画部で、新規事業の検討記録を整理する担当です。
渡された会議資料と議事録だけを根拠にしてください。推測で埋めないでください。

【取り出す項目】
- 段階:調査/実証/事業化判断/事業運営/撤退判断
- 結論:go / hold / declined / withdrawn / merged
- 理由:結論の理由として資料または議事録に書かれた文
- 当時の前提:市場の見込み/規制/技術の成熟度/自社の強み/提携先
  (数値は、何年時点の見込みかと一緒に)
- 再検討の条件:議事録に「○○なら再検討」と書かれている場合だけ
- 根拠の箇所:スライド番号、または発言の番号

【厳守事項】
- 理由が書かれていなければ「記載なし」としてください。推測しないでください。
- 前提の数値に年が書かれていなければ、年を空にしてください。
  会議の日付で埋めないでください。
- 再検討の条件が書かれていなければ空にしてください。
- 結論は議事録の書き方に従って5つのどれかにしてください。
  迷ったときは hold にし、迷った理由を書いてください。

検索時(引用付きのまとめ):

あなたは経営企画部の担当者が、新しい企画の一次検討をするのを助ける担当です。
渡された過去の資料だけを根拠にしてください。

【今回の企画の要旨】{proposal}
【過去のテーマ】文書として渡します(スライド・発言ごとに区切ってあります)

【書くこと】
1. テーマごとに、段階、結論、理由
2. テーマごとに、当時の前提(5区分)と、今回の要旨に書かれた前提の並び
3. 記録に再検討の条件があれば、その条件

【厳守事項】
- 前提が今も同じか、変わったかを書かないでください。
- 今回の企画を進めるべきかを書かないでください。
- 記録にない理由や経緯を書かないでください。
- 「未確認」の印のあるテーマは、その旨を必ず書いてください。
- 似たテーマがなければ「似た過去のテーマは見つかりませんでした」と書いてください。

検索時の資料は、カスタムコンテンツの文書として渡します。 Claude の引用機能では、カスタムコンテンツの文書は渡したブロックをそのまま使い、それ以上分けないとされ、引用にはブロックの番号の範囲(0から数える)が付きます。 スライド1枚、発言1つを1ブロックにしておけば、引用から「何枚目のスライド」「何番目の発言」へそのまま戻れます。

取り込み時のカードはJSONで返させ、検索時のまとめは引用付きの文で返させます。 ドキュメントでは、引用と構造化出力を同時に指定すると400エラーになるとされているからです。

Step7

出力形式を固定する

取り込み時のカードは、次の形のJSONで受け取ります。

{
  "theme_id": "NB-2019-014",
  "decision_id": "NB-2019-014-D2",
  "meeting_date": "2021-06-17",
  "stage": "実証",
  "result": "go | hold | declined | withdrawn | merged",
  "reasons": [{ "text": "", "source": "minutes#12" }],
  "premises": {
    "market": [{ "text": "", "as_of_year": null, "source": "slide#5" }],
    "regulation": [],
    "technology": [],
    "strength": [],
    "partner": []
  },
  "revisit_conditions": [{ "text": "", "source": "" }],
  "summary": "",
  "confidentiality": "",
  "status": "unverified"
}

1つ目の理由は、前提を5区分に分けて持てることです。 検索時に、今回の企画の要旨と区分ごとに並べられます。区分が決まっていないと、「市場」と「顧客」と「需要」が別々に書かれ、並べられません。

2つ目は、as_of_year で前提の時点を残せることです。 年が空の前提は、画面で灰色にして「時点不明」と出します。

3つ目は、source で根拠の箇所を項目ごとに持てることです。 担当者がカードを確定するとき、理由の1つずつについて、スライドか発言の該当箇所を開けます。

検索結果の画面には、次の表を出します。

区分当時の前提(テーマ NB-2019-014、2021年)今回の企画の要旨
市場の見込み国内300億円(2020年時点の見込み)国内450億円(出典は企画書)
規制個人向けの販売に許可が要る記載なし
提携先販路を持つ提携先が見つからず地域の商社と協議中

右の列は企画書の要旨をそのまま写し、左の列はカードから写します。 どちらもAIに書き換えさせません。「記載なし」の行が、今回の企画で確かめることの一覧になります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
文書管理システム登録の通知、または毎晩の一覧の取得経営会議の資料と議事録
共有フォルダ所定の場所への保存の検知総括報告
Claude(Amazon Bedrock)Lambda からの呼び出しカードの下書きと引用付きのまとめ
Amazon OpenSearch Service索引への登録と、ハイブリッド検索+並べ直し判断のカードの検索
Amazon Bedrock(並べ直しのモデル)OpenSearch の ML コネクタ経由上位10件への並べ直し
受付フォーム企画の登録と、一次検討のメモへの書き出し検索の起点と、結果の保存

文書管理システムには書き込みません。 一次検討のメモは受付フォームの側に持ち、経営会議の資料に過去の経緯を載せるかは担当者が決めます。

Step9

人が確認する

  1. カードを確定する … 会議の直後に、同席した担当者が理由と前提を資料と照らして確かめます。hold に迷った理由が書かれたカードは、必ず議事録の原文を読みます
  2. 引用の箇所を開く … 一次検討のメモに書く過去の経緯は、引用のスライドか発言を開いて確かめたものだけにします
  3. 前提の今を調べる … 「記載なし」の行と、当時の前提が今回と違う行について、市場や規制の今の状況を担当者が調べます
  4. 当時の担当者に聞くかを決める … 経緯が記録だけで分からないテーマは、在籍していれば当時の担当者に聞きます

1件あたり45分を目安にします。 上位10件のまとめを読み、似たテーマ2〜3件の引用箇所を開き、前提の表を見ながら一次検討のメモを書く時間です。3番目の現状の調査は、一次検討そのものの作業として、この45分の外に置きます。

4番目は、記録の限界を補うための確認です。 経営会議の記録には、会議の外で決まったこと(事業部長の判断で実証を打ち切った、提携先から断られた)が残っていないことがあります。まとめの中で「理由:記載なし」が続くテーマは、記録が足りないテーマです。 当時の担当者に聞いて分かったことは、カードに追記して確定し直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
資料にテーマ番号が無い題名と会議の日付から候補を出し、担当者が結び付ける
議事録に理由が書かれていないreasons を「記載なし」にし、会議資料の結論の案の箇所を参照として残す
前提の数値に年が無いas_of_year を空にし、画面で「時点不明」と出す
並べ直しのモデルの呼び出しに失敗したハイブリッド検索の順のまま上位10件を出し、その旨を表示する
候補が0件機密区分以外の絞り込みを外して再検索。それでも0件なら「見つからなかった」と記録
機密区分の外のテーマが候補に入る文書レベルのセキュリティで検索時点で除外。まとめには渡さない
企画の要旨が空検索を動かさず、要旨の記入を依頼する

上から3行目までが、取り込みの失敗の大半です。 どれも会議の記録の書き方の問題で、議事録の様式に「理由」と「再検討の条件」の欄を足すと、大半はなくなります。

Step11

記録を残す

  • 取り込んだ資料と議事録の番号、取り込んだ日時、担当者がカードで直した項目
  • 検索のたびの企画の要旨、ハイブリッド検索の候補、並べ直しの前と後の順位
  • Claude に渡した資料の箇所と、返ってきたまとめと引用
  • 担当者が一次検討のメモに使ったテーマと、使わなかったテーマ
  • 一次検討の結論と、その後の経営会議の結論

2つ目で並べ直しの前後の順位を残すのは、並べ直しが効いているかを測るためです。 担当者が使ったテーマが、並べ直しで上がってきたものか、もともと上にあったものかを数えます。効いていなければ、document_fields に渡す項目を見直します。

最後の行は、この構成の価値を測る材料になります。 過去の経緯を踏まえた企画が、経営会議で同じ理由で止まらなくなったか。同じ理由で止まり続けるなら、まとめが読まれていないか、前提の確かめが足りていません。

04実装レベルの3段階

最小構成:手で作った30件の表と、AIサービスに資料を貼ってまとめさせる / 最近のテーマでの試し
半自動化:上記+カードの下書きを Claude で作り、担当者が確定する。検索はカードの全文検索だけ / カードの作成と、言葉の一致での検索
本格構成:上記+埋め込みとハイブリッド検索、並べ直し、カスタムコンテンツでの引用付きのまとめ、機密区分の制限 / 企画の登録から、根拠付きの比較表が出るまで

半自動化では、言葉の違う同じテーマが拾えません。 本格構成で埋め込みと並べ直しを足すと、「陸上養殖」と「水産事業」のような言い換えが近いものとして上がってきます。 本記事の想定は本格構成です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
12 件
1件あたり現在時間
150 分
1件あたり導入後時間
45 分
現在  12件 × 150分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 12件 × 45分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
21h
削減率
70%
年間削減時間
252h
年間金額換算(時間単価5,500円)
139万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 社内提案制度や事業部からの持ち込みで、新規事業の企画が毎月10件以上経営企画に届く中堅・大企業。過去10年以上の新規事業の検討資料、経営会議の判断記録、撤退時の総括が文書管理システムや共有フォルダに残っているが、似たテーマを過去に検討したかを担当者の記憶で確かめている場合。見送ったテーマが、担当の交代のあと同じ形で何度も持ち込まれている場合。AWS を社内の基盤として使っている場合。
向いていない
  1. 新規事業の企画が年に数件で、過去のテーマも数十件しかない場合。過去の判断の理由が記録に残っておらず、経営会議の議事録に結論しか書かれていない場合。企画の評価を外部のコンサルティング会社に一任している場合。なお、企画を進めるか、どの条件で再検討するかの判断は経営企画と経営会議に残ります。

07最小構成で試す方法

  1. 最近5年分の経営会議から、新規事業のテーマを30件選ぶ
  2. 30件について、結論、理由、当時の前提、再検討の条件を手で表にする
  3. 最近の企画を10件選び、その一次検討のメモに過去のどのテーマが書かれていたかを控える
  4. 手元のAIサービスに、企画1件の要旨と、表から近そうなテーマ5件の資料の該当ページを貼り付け、前提と理由をまとめさせる
  5. 在籍の長い室員に、まとめと当時のメモを見比べてもらう
出てきた内容判断
当時のメモに無かった似たテーマが挙がる取り込みと検索基盤の構築に進む
テーマは似ているのに、室員が「前提がまるで違う」と言う前提の区分が足りない。 区分を足して表を作り直す
まとめに「現在は状況が変わっている」の一言が混ざる指示の書き方で直る。構成は有効

1行目が出ることは珍しくありません。 言葉の違う同じテーマは、全文検索では見えていなかったからです。

2行目が出たときは、区分を足す前に、室員が何を見て「違う」と言ったかを聞いてください。 顧客が法人か個人か、自社の工場の設備を使うかどうか、といった軸が出てくることがあります。その軸が、前提の区分に足りなかったものです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
最新の判断だけをカードにする判断ごとに分ける。 途中で止まった理由が消える
前提の数値に年が無い年を空にして「時点不明」と出す。会議の日付で埋めない
AIが「今は状況が変わっている」と付け足す指示で禁じる。現状は担当者が調べる
並べ直しに要約だけを渡す理由も連結して渡す。document_fields の複数項目は連結される
ハイブリッド検索で候補を絞りすぎるpagination_depth を広めにし、絞り込みは並べ直しに任せる
引用とJSONの出力を同時に指定する400エラーになる。 取り込みはJSON、検索は引用付きの文に分ける
議事録の結論の書き方がばらばら5つの値にそろえ、迷ったものは hold と理由を残す
並べ直しのモデルを使えない地域で組む対応表で地域を確かめる。東京は両モデルとも対応

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、過去の判断を「今から見た結論」に縮めてしまうという同じ誤りです。判断は時期ごとに、前提は時点と一緒に持ってください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 経営会議の資料と議事録、未公表の事業の構想、収益の試算、提携先との協議の内容、撤退の判断の経緯です。経営のもっとも機密性の高い情報です。

  1. 機密区分を検索に反映させる … Amazon OpenSearch Service の細かなアクセス制御では、文書レベルのセキュリティで、役割に対応付けたクエリに合う文書だけを検索で返せます。 役員限りの資料から作ったカードは、推進室の全員には出しません
  2. 細かなアクセス制御は、有効にしたあと無効にできない … 有効化には HTTPS、保存時の暗号化、ノード間の暗号化が必要です。構築の最初に有効にします
  3. 提携先の名前の扱いに気をつける … 協議中に終わった提携先の名前と条件は、相手との秘密保持の約束の対象であることがあります。 カードに写す範囲を、法務と決めてから取り込みます
  4. 企画を進めるかの判断をAIに寄せない … この構成が出すのは、過去の判断と前提の記録までです。今回の企画を進めるか、前提が変わったかは推進室と経営会議が決めます

誤りが起きた場合のリスクは、古い前提で企画を止めてしまうことと、見るべきでない経営の資料が見えることの2つです。 前者は前提を時点付きで並べることで、後者は文書レベルのセキュリティで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:カードの項目を決める

在籍の長い室員と一緒に、前提の5区分、結論の5つの値、再検討の条件の書き方を決めます。

2週目:30件の表と10件の企画で試す

最近5年分のテーマ30件を手で表にし、最近の企画10件で、AIサービスに前提と理由をまとめさせます。当時のメモと比べ、見落としていた似たテーマが出てくるかを見ます。

3週目:下書きの指示を作る

同じ30件の資料と議事録を Claude に読ませてカードを下書きし、手で作った表と比べます。理由を推測で埋めていないか、前提の年を会議の日付で埋めていないかを最優先で見ます。

4週目:経営会議のたびの取り込みを始める

次の経営会議から、同席した担当者の確認付きでカードをためます。議事録の様式に「理由」と「再検討の条件」の欄を足します。

2か月目: OpenSearch Service の索引を作り、細かなアクセス制御を有効にして、ハイブリッド検索と並べ直しを足します。3か月目以降: 過去分を最近5年から順に一括で取り込み、引用付きのまとめと比較表を足します。一次検討のメモに過去の経緯と前提の比較表が必ず付き、経営会議で同じ理由で止まる企画がなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
rerank プロセッサーが検索結果を新しいスコアで並べ直すこと。ml_opensearch の型がクロスエンコーダーのモデルを使い、model_id・document_fields・query_text または query_text_path を指定することOpenSearch Documentation: Rerank processor2026-10-06
Bedrock の並べ直しモデルをコネクタで呼び、モデルを登録し、rerank プロセッサーの検索パイプラインを作る手順。Amazon OpenSearch Service でも使えること。document_fields の複数の項目が連結されてから渡されることOpenSearch Documentation: Reranking search results using Amazon Bedrock models2026-10-06
Amazon Rerank 1.0(amazon.rerank-v1:0)と Cohere Rerank 3.5(cohere.rerank-v3-5:0)が ap-northeast-1 に対応していることAmazon Bedrock: Supported Regions and models for reranking2026-10-06
ハイブリッドクエリのサブクエリが最大5つで、検索パイプラインでスコアを1つにまとめること。pagination_depth が1〜10,000であることOpenSearch Documentation: Hybrid query2026-10-06
正規化プロセッサーが検索のフェーズの結果の処理で、正規化の既定が min_max、組み合わせの既定が arithmetic_mean であることOpenSearch Documentation: Normalization processor2026-10-06
文書レベルのセキュリティが役割のクエリに合う文書だけを返すこと。細かなアクセス制御の有効化に HTTPS・保存時の暗号化・ノード間の暗号化が必要で、有効にしたあと無効にできないことAmazon OpenSearch Service: Fine-grained access control2026-10-06
カスタムコンテンツの文書が渡したブロックをそのまま使い、引用にブロックの番号の範囲(0から数える)が付くこと。引用と構造化出力を同時に指定すると400エラーになること。Amazon Bedrock で使えることClaude Docs: Citations2026-10-06

今回の企画を進めるか、当時の前提が今も同じかは、経営企画と経営会議で決めてください。 本記事は公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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