Media > AI活用ユースケース > 法務 > 法律事務所の事務職員から出る裁判所への提出書類の書式・部数・郵券・提出方法の質問に、事務所の事務手引と裁判所の公開資料を根拠にチャットで答え、判断の要るものを弁護士へ回す

法律事務所の事務職員から出る裁判所への提出書類の書式・部数・郵券・提出方法の質問に、事務所の事務手引と裁判所の公開資料を根拠にチャットで答え、判断の要るものを弁護士へ回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

事務職員が「この事件の準備書面は何部、どう出すか」「郵券は要るか」をチャットで聞くと、事件管理の記録から裁判所と提起日を引き、事務所の事務手引と裁判所の公開資料から根拠付きで答えます。期限や書面の中身に関わるものは担当の弁護士へ回します。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
その他/士業
対象部門
法務/総務
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
問い合わせが多い/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
対話
主な効果
対応スピード向上/属人化解消/教育コスト削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
70%
年間削減
252h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 事務職員が、事件と書面の種類を事務所内のチャットで事務局長に聞く
  2. 事務局長が、事件番号、裁判所、提起日、相手方の数、書面の種類を聞き返す
  3. 事務手引の該当する章を開き、裁判所の公開ページや予納郵便切手の一覧を確かめる
  4. 部数、郵券、提出の方法を事務職員に伝える
  5. 期限や書面の中身に関わる質問は、担当の弁護士に聞くよう伝える
  6. 手引に無いことは、裁判所の書記官室に電話で確かめる
  7. 答えた内容は、特に記録しない
導入後(After)
  1. 人事務職員が、事務所内の手続きチャットで質問する(例:「令和7年(ワ)第○号の準備書面、書証を3通付けて出したい。部数と出し方は」)
  2. 自動中継プログラムが、事件番号から事件管理の仕組みを引き、裁判所・提起日・担当弁護士を決める
  3. 自動提起日が2026年5月21日以降なら「新法」、前なら「旧法」の区分を付ける
  4. 自動質問を「書式」「部数」「費用」「提出方法」「期限」「その他」に分け、足りない条件(書面の種類、相手方の数、書証の通数)を選択肢で聞き返す
  5. 自動回す条件(期限の質問、書面の中身、手引にも裁判所の資料にも無い)に当たれば、答えを作らずに担当の弁護士か事務局長へ回す
  6. 自動新旧の区分と裁判所で絞り込み、Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが事務手引と裁判所の公開資料から根拠付きで答える
  7. 人事務職員は、根拠の手引の章と裁判所のページを確かめてから、書面を準備する
  8. 人担当の弁護士と事務局長は、回ってきた質問だけを見て判断する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 事務職員が、事件と書面の種類を事務所内のチャットで事務局長に聞く
  2. 事務局長が、事件番号、裁判所、提起日、相手方の数、書面の種類を聞き返す
  3. 事務手引の該当する章を開き、裁判所の公開ページや予納郵便切手の一覧を確かめる
  4. 部数、郵券、提出の方法を事務職員に伝える
  5. 期限や書面の中身に関わる質問は、担当の弁護士に聞くよう伝える
  6. 手引に無いことは、裁判所の書記官室に電話で確かめる
  7. 答えた内容は、特に記録しない

(a)新法と旧法を取り違える。 施行前の事件で、新しい事件と同じつもりでオンラインの手順を案内する。逆に、新しい事件で郵券を用意させる。事件の提起日を確かめずに答えると、どちらの取り違えも起きます。

(b)裁判所ごとの違いを覚えきれない。 書面の手続が残る事件では、予納郵便切手の額と組み合わせが裁判所ごとの一覧で決まります。事務局長は東京の一覧を覚えていますが、地方の簡易裁判所の事件では毎回PDFを探します。

(c)答えが記録に残らない。 同じ質問が毎月、別の事務職員から届きます。答えた内容が残らないので、手引も更新されません。

(d)判断の要る話が、手続きの質問に混ざる。 「この判決の控訴はいつまでに出せばよいか」は手続きの質問の形をしていますが、期限の起算は弁護士が送達の記録を見て決めることです。 事務局長が手引の一般的な期間だけで答えてしまうと、事件ごとの事情が抜けます。

  1. 【人】 事務職員が、事務所内の手続きチャットで質問する(例:「令和7年(ワ)第○号の準備書面、書証を3通付けて出したい。部数と出し方は」)
  2. 【自動】 中継プログラムが、事件番号から事件管理の仕組みを引き、裁判所・提起日・担当弁護士を決める
  3. 【自動】 提起日が2026年5月21日以降なら「新法」、前なら「旧法」の区分を付ける
  4. 【自動】 質問を「書式」「部数」「費用」「提出方法」「期限」「その他」に分け、足りない条件(書面の種類、相手方の数、書証の通数)を選択肢で聞き返す
  5. 【自動】 回す条件(期限の質問、書面の中身、手引にも裁判所の資料にも無い)に当たれば、答えを作らずに担当の弁護士か事務局長へ回す
  6. 【自動】 新旧の区分と裁判所で絞り込み、Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが事務手引と裁判所の公開資料から根拠付きで答える
  7. 【人】 事務職員は、根拠の手引の章と裁判所のページを確かめてから、書面を準備する
  8. 【人】 担当の弁護士と事務局長は、回ってきた質問だけを見て判断する

3番目が、この設計の分かれ目です。 新法か旧法かは、事件管理の仕組みにある提起日と施行日の比較で決まり、AIの判断は入りません。 AIに任せると、質問の文に「mints」とあれば新法、「郵券」とあれば旧法と読み、事務職員の思い込みをそのまま答えに映します。

5番目で期限を回すのも、意図してのことです。 新法の事件では、システムで送達を受けた書類の送達の効力は、閲覧した時、ダウンロードした時、通知から1週間を経過した時のうち早い時に生じると裁判所が説明しています。いつ閲覧したかは事件ごとの記録で、一般的な説明から期限を出せる話ではありません。

02今回想定するシステム構成

構成図
事務所内の手続きチャット(事務職員)
   ▼【トリガー】質問の送信(職員の ID 付き)
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 事件管理の仕組み:事件番号 → 裁判所・提起日・担当弁護士
   ├──▶ 提起日と施行日の比較 → 新法/旧法
   ├──▶ 質問の種類の判定 → 聞き返しの選択肢
   ├──▶ 回す条件 → 担当弁護士/事務局長の待ち行列
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── answer メソッド
   │  データストア:事務所の事務手引+裁判所の公開資料
   │               (手続案内、新法の概要、mints の案内、予納郵便切手の一覧)
   │               +過去の質疑
   │  絞り込み:regime/court/doc_type/topic
   ▼
中継プログラム ── 根拠の文書の新旧と裁判所が事件と合っているかを確かめる
   ├──▶ 回答・根拠を返す
   └──▶ 答えられない・区分が合わない → 事務局長の待ち行列
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、チャット・事件管理の仕組み・検索・待ち行列をつなぐ)Node.js で同じものを書く
認証事務所の ID 基盤(職員の ID でログイン)Google の ID
保管Cloud Storage(事務手引と裁判所の資料の原本とメタデータ)─

事件管理の仕組みは、新しく足すものではありません。 中継プログラムは事件番号から裁判所・提起日・担当弁護士を読むだけで、依頼者の名前や事件の中身は引きません。 最初の準備は、事務手引の章を新法・旧法・共通に分け直すことです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、出典を付けられます。前のセッションの ID を渡すとやり取りを続けられ、質問の言い換えは既定で有効です。回答の文ごとに根拠の強さのスコアを返す設定と、スコアの低い回答を落とす設定があります。

裁判所の公開資料の土台は、新法の概要のページです。 改正民訴法等は2026年5月21日に施行され、弁護士などの訴訟代理人等はオンラインによる手続が義務化されています。手数料は原則としてペイジーを利用して現金で納付し、郵便費用は申立手数料に一本化されたため納付する必要がなくなりました。オンラインで訴えを提起したり送達を受けたりできるのは施行以降に提起する訴え等に限られ、施行前に提起された訴えは引き続き書面で審理と送達が行われます。書類の提出と受け取りには、民事裁判書類電子提出システム(mints)を使い、事前のアカウントの登録が要ります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、事務職員が手続きチャットに質問を送ったことです。 チャットは事務所の ID でログインした職員だけが使え、質問した職員と、事件の担当弁護士を記録に残します。

事件番号を必須にします。 新法か旧法か、どの裁判所かを決めるためです。訴えを起こす前の事件で番号がまだ無いときは「提起前」を選び、提起する裁判所を選択肢で選ばせて、新法として扱います。 施行日のあとに提起する訴えは、すべて新法の事件になるからです。

1件の質問は、1つのセッションで最後まで続けます。 「では証拠説明書も一緒に出すなら」のような続けての質問は同じセッションでつなぎ、別の事件の話は新しいセッションで始めます。 前の事件の新旧の区分が言い換えの中に残るからです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問事務職員が打った質問の文、選んだ聞き返しの値チャット
職員の情報氏名、担当している弁護士事務所の ID 基盤
事件の情報事件番号、裁判所、事件の種類、提起日、担当弁護士(依頼者名と中身は引かない)事件管理の仕組み
事務手引書面ごとの書式、部数、綴じ方、提出の手順、mints の操作の手順事務所の共有フォルダ
裁判所の公開資料新法の概要、mints の案内、各裁判所の手続案内、予納郵便切手の一覧裁判所のウェブサイト
過去の質疑事務局長が答えた内容と、書記官室に確かめた結果事務局の記録
回す条件の表質問の種類ごとに、聞き返す項目と選択肢、答えずに回す値事務局長が作る表

質を決めるのは、事務手引の分け方です。 手引の多くは施行前に書かれ、部数や郵券の章は旧法の事件の話です。 章ごとに「旧法」「新法」「共通」の区分を付け、新法の章は施行のあとに書き足します。区分の無い章は、どちらの事件にも引かれてしまいます。

裁判所の予納郵便切手の一覧は、旧法の事件にだけ使います。 高松高等裁判所の手続案内は、郵便費用の一本化は令和8年5月21日以降に提起された新法適用事件のみに適用されるとし、それ以外の事件については予納郵便切手の一覧を示しています。一覧には「新法適用事件を除く」と書かれており、そのまま区分のメタデータになります。

Step3

データの取得方法を決める

事務手引・裁判所の公開資料・過去の質疑は、Cloud Storage に置いてデータストアに取り込みます。 文書ごとのメタデータに、区分(新法/旧法/共通)、裁判所、文書の種類、話題、取得日を持たせます。

取るものどこから何に使うか
区分(新法/旧法/共通)メタデータ事件の区分に合う記載だけに絞る
裁判所メタデータ予納郵便切手の一覧と手続案内を、その裁判所のものに絞る
文書の種類(手引/裁判所/質疑)メタデータ根拠の表示の順
話題(書式/部数/費用/提出方法)メタデータ質問の種類に合う記載だけに絞る

裁判所の公開資料は、事務局が月に一度取り直します。 事件のある裁判所の手続案内と予納郵便切手の一覧のPDFを保存し、取得日をメタデータに付けます。 前の月と内容が変わっていれば、事務局長が差分を見て手引の該当箇所を直します。

絞り込みの式は、区分と裁判所で書きます。 項目を索引可能にしておけば、regime: ANY("old", "common") AND court: ANY("osaka-d", "all") のように、旧法の事件なら旧法と共通の記載、その裁判所と全裁判所に共通の資料だけを引けます。新法の事件では regime: ANY("new", "common") にします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 手引を章ごとに分ける … 書面の種類と話題の見出しで分けます
  2. 章に区分を付ける … 旧法・新法・共通のどれかを付けます。迷う章は事務局長が決めます
  3. 新法の章を書き足す … mints での提出、書証の写しに代わるPDFの提出、ペイジーでの納付の手順を手引に足します
  4. 裁判所の資料を取り込む … 新法の概要、mints の案内、事件のある裁判所の手続案内と予納郵便切手の一覧を取り込みます
  5. 過去の質疑を整える … 依頼者名と事件の中身を消し、区分と裁判所と答えた日付を付けます
  6. 見出しを断片に含める … データストアの作成時に分割を有効にし、includeAncestorHeadings を有効にします

2番目が、この構成でいちばん効きます。 部数の章のように、旧法の事件だけの話を「共通」にすると、新法の事件にも紙の部数の案内が返ります。 迷う章は「旧法」にしておき、新法の事件で記載が見つからなければ事務局長へ回るほうが安全です。

6番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成のあとでは有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。 予納郵便切手の一覧の表は、見出しが無いとどの事件の種類の額か分かりません。 分割の大きさは100〜500トークンで、既定は500です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、決まった区分と裁判所の事務手引と公開資料から、書面の書式・部数・費用・提出の方法の記載を見つけ、事務職員が準備する順に並べて返すことです。 区分を決めること、回すかどうかは、中継プログラムが行います。

要素中身根拠
提出の方法mints か書面か、書面なら持参か郵送か手引、裁判所の資料
書式と部数書面の形、副本や書証の写しの扱い手引
費用手数料の納め方、旧法の事件なら予納郵便切手裁判所の資料
根拠の場所手引の章、裁判所のページと取得日全部

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session質問ごとのセッション聞き返しと続けての質問をつなぐ
includeCitations有効手引の章と裁判所のページを付ける
ignoreLowRelevantContent有効手引と資料に無い話に答えない
ignoreNonAnswerSeekingQuery有効あいさつや雑談で検索しない
groundingSpec の filteringLevelFILTERING_LEVEL_HIGH根拠の弱い回答を出さない
filter区分、裁判所、話題別の区分と別の裁判所の記載を混ぜない
preamble下の指示答え方の規則を与える
させないこと理由
新法か旧法かを決める提起日と施行日の比較で決める
提出の期限を数える送達の効力の時期など、事件の記録で弁護士が決める
書面の中身や出すかどうかの判断弁護士が決める
手数料の額を計算する訴額による。裁判所の早見表で人が確かめる
別の裁判所の一覧で補う額と組み合わせが裁判所ごとに違う

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 手引に「準備書面は期日の1週間前までに」のような一般的な記載があると、モデルは期日から引いた日付を親切に書きます。 期限の質問は回す条件で拾い、指示でも日付を書かせません。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは法律事務所の事務局長として、
事務職員から、裁判所に出す書面の書式・部数・費用・提出の方法の質問に答えます。
読むのは、書面の準備をしている事務職員です。短く答えてください。

【前提】
検索の文の最初に、事件の区分(新法/旧法)、裁判所、事件の種類、
書面の種類、相手方の数、書証の通数が並んでいます。
区分と裁判所はすでに決まっています。その区分と裁判所の記載だけを使って答えてください。

【答え方】
1. 最初に、提出の方法を書いてください。
2. 次に、書式と部数、添えるものを、手引の手順の順に書いてください。
3. 費用の質問には、納め方を書いてください。額は裁判所の資料の表の値をそのまま書いてください。
4. 根拠にした手引の章と、裁判所のページの名前を書いてください。

【厳守事項】
- 検索結果の文書に書かれていることだけで答えてください。
  一般的な知識や他の裁判所の扱いで補わないでください。
- 区分を変えないでください。新法の事件に郵券を、旧法の事件にオンラインの手順を案内しないでください。
- 提出の期限や日付を書かないでください。期限の話は「担当の弁護士へ回します」とだけ書いてください。
- 書面の中身や、出すべきかどうかを書かないでください。
- 手数料の額を計算しないでください。
- 該当する記載が見つからないときは、
  「手引と裁判所の資料に該当する記載が見つかりません。事務局長へ回します」
  とだけ書いてください。

「区分を変えない」を具体的な取り違えの形で書いているのが、この指示の要です。 区分を検索の文で渡すだけでは、「共通」の章に旧法の話が混ざっていたときに、モデルはそれを新法の事件にも当てはめます。 起こりうる取り違えの形を名指しで禁じ、後段の検査でも拾います。

検索の文は、中継プログラムが組み立てます。 例えば「区分:旧法、裁判所:大阪地方裁判所、事件の種類:通常訴訟、書面:準備書面、相手方:2名、書証:3通。部数と出し方は」のように、条件を先に並べ、事務職員の質問の文を最後に足します。 事件番号と依頼者名は渡しません。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが次の形に整えて、チャットと記録に渡します。

{
  "inquiry_id": "",
  "session_id": "",
  "staff_id": "",
  "case": { "case_no_hash": "", "court": "", "case_type": "", "filed_date": "", "regime": "new | old | pre_filing", "lawyer_id": "" },
  "category": "format | copies | fees | filing_method | deadline | other",
  "conditions": { "document_type": "", "opponents": 0, "exhibits": 0 },
  "status": "answered | escalated | skipped",
  "escalate_reason": "deadline | content | not_in_sources | regime_mismatch | court_mismatch | case_not_found | skipped | user_request | none",
  "answer_text": "",
  "refs": [ { "doc_type": "manual | court | qa", "regime": "", "court": "", "title": "", "section": "", "fetched": "", "uri": "" } ],
  "feedback": "resolved | escalated_after | wrong | none"
}

1つ目の理由は、refs の regime と court を検査に使えることです。 根拠の文書の区分が事件の区分と合わない(旧法の事件に新法だけの記載)、または裁判所が別の裁判所のものなら、回答を出さずに回します。 文の読み方に頼らずに取り違えを止められます。

2つ目は、category の deadline を回答と分けて数えられることです。 期限の質問が多い弁護士の事件は、事務職員と弁護士のあいだで期限の伝え方が決まっていないことが分かります。期日台帳の運用を見直す材料になります。

3つ目は、feedback で手引の不足が見えることです。 wrong や not_in_sources が続く話題は、手引の章を書き足す候補の一覧になります。答えが記録に残らなかった(c)の問題が、ここで解けます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
事務所内の手続きチャット事務所内向けの画面質問を受け、聞き返しと回答を表示する
事務所の ID 基盤ログイン職員を決める
事件管理の仕組み読み取り(事件番号で照会)裁判所・提起日・担当弁護士を引く
Agent Searchanswer メソッドの呼び出し手引と裁判所の資料から回答を作る
担当弁護士・事務局長の待ち行列書き込み回す質問を、事件の条件と一緒に載せる
問い合わせの記録書き込み質問・条件・回答・評価を残す

mints には、つなぎません。 書面の提出とアカウントの操作は事務職員と弁護士が行い、チャットは手順の案内までです。 事件管理の仕組みの照会のしかたは製品によって違い、この部分は個別の実装が必要です。

Step9

人が確認する

事務職員は、回答を読んだあと、根拠の手引の章と裁判所のページを確かめてから書面を準備します。 回答の上には、事件の裁判所と、新法か旧法かの区分を並べて表示します。

  1. 区分を見る … 事件の提起日と区分が、自分の理解と合っているかを確かめます
  2. 費用の額を見る … 予納郵便切手の額は、裁判所の一覧の取得日とあわせて確かめます
  3. 評価を付ける … 解決した/回した/誤り、を選びます

1番目を軽く見ないでください。 同じ依頼者の事件でも、施行の前に起こした本訴と後に起こした別訴では、出し方がまったく違います。 事件番号を打ち間違えると区分が変わるので、画面に事件の裁判所と提起日を必ず出します。

担当の弁護士は、回ってきた期限と中身の質問だけを見ます。 事務局長は、手引と資料に無い質問を書記官室に確かめ、答えを過去の質疑として取り込みます。 取り込むときは、確かめた裁判所と区分と日付を必ず付けます。書記官室の答えは、その裁判所のその時点の扱いであって、他の裁判所に広げてよいものではないからです。

目標は、180件をならして1件3分です。 チャットで解決した質問の記録の確認と、回ってきた質問を事務局長と弁護士が判断する時間の平均です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
事件番号が見つからない打ち直しを促し、見つからなければ答えを作らず case_not_found で回す
期限の質問答えを作らず deadline で担当の弁護士へ回す
書面の中身や出すかどうか答えを作らず content で担当の弁護士へ回す
民事執行の申立て引き続き書面で申し立てる手続きのため、旧法と同じ扱いの手引の章で答える
根拠の区分が事件と合わない回答を出さず regime_mismatch で回す
別の裁判所の資料が混ざる回答を出さず court_mismatch で回す
予納郵便切手の一覧の取得日が古い回答に取得日を出し、事務局が取り直すまで「確かめてください」と添える
検索の呼び出しが失敗する「回答を作れませんでした」と表示し、事務局長の連絡先を示す

4行目は、新法の施行のあとも残る書面の手続きです。 裁判所は、民事執行については引き続き裁判所に書面で申し立てる必要があるとし、令和10年6月までに順次デジタル化される予定と説明しています。事件管理の仕組みの事件の種類で分け、手引の章にも区分を付けます。

Step11

記録を残す

  • 質問の文、選んだ聞き返しの値、日時、質問した職員
  • 事件管理の仕組みから引いた裁判所・事件の種類・提起日・区分(事件番号はハッシュで残す)
  • 中継プログラムが組み立てた検索の文と、使った絞り込みの式
  • answer メソッドの応答の全文(回答、出典、根拠のスコア、回答しなかった理由)
  • 回す・回さないの判定と、その理由、事務局長と弁護士が最終的に答えた内容
  • 根拠にした裁判所の資料の取得日

最後の行は、裁判所の資料が変わったときに効きます。 予納郵便切手の一覧が改められたあとで、古い一覧で答えた質問を拾い出せるようにしておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:手引と裁判所の資料を手元のAIサービスに読み込ませ、事務局長が条件を貼って聞く / 該当する章とページの検索
半自動化:上記+データストアを作り、事務局長が質問を受けながら検索画面で聞く / 区分と裁判所で絞った根拠付きの回答
本格構成:上記+事務職員がチャットで直接聞き、事件の照会、区分の決定、聞き返し、回す判断を行う / 質問の受け付けから回答・引き継ぎまで

半自動化で、1件10分が6分程度になります。 探す時間は縮みますが、聞き返しと、事務局長が全件を受ける形が残ります。本格構成で3分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、事件番号から区分と裁判所が決まり、事務局長が回ってきたものだけを見るからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、手引の章の区分の付け方を事務局長が確かめます。区分を誤った章が残ったまま事務職員に開くと、取り違えた案内が直接届きます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  180件 × 10分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 180件 × 3分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
21h
削減率
70%
年間削減時間
252h
年間金額換算(時間単価3,000円)
76万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 弁護士が10名前後以上いて、事務職員が複数の裁判所の事件を受け持つ法律事務所。改正民事訴訟法の全面施行の前に提起した事件と後に提起した事件が並んで動いており、書面の出し方や郵券の要否が事件によって違う状態の場合。提出の手順を事務局長などのベテランの事務職員が覚えていて、若手の質問がその人に集まっている場合。事務所の事務手引をすでに文書で持っている場合。
向いていない
  1. 弁護士が1〜2名で、事務職員が全事件の手続きを把握している場合。事務所に事務手引が無く、手順が口伝えだけの場合(根拠にする文書が無いので、まず手引を書くのが先です)。提出期限の計算や、出す書面の中身の判断までAIに任せたい場合(この構成は手引と裁判所の資料の該当箇所を示すだけで、期限と中身は担当の弁護士が決めます)。

07最小構成で試す方法

  1. 過去3か月に事務局長に届いた質問から30件を選ぶ(新法の事件と旧法の事件を半分ずつ、地方の裁判所の郵券の質問を数件入れる)
  2. その30件について、事務局長がどう答えたかを聞き取る
  3. 事務手引、新法の概要のページ、事件のある裁判所の予納郵便切手の一覧を、手元のAIサービスに資料として読み込ませる
  4. 区分と裁判所と書面の種類を貼り、「添付の資料だけを根拠に、出し方と部数を答えてください。区分を変えず、期限は書かないでください」と指示する
  5. 出てきた回答を、事務局長の回答と突き合わせる
出てきた内容判断
事務局長と同じ答えが出たデータストアの構築に進む
新法の事件に郵券を案内した指示の書き方と区分の検査で直る。構成は有効
手引に新法の記載が無く答えられない手引を書き足すのが先。 検索の問題ではない

3行目が出たら、 新法の事件の手順を手引に書き足す作業が要ると分かったということです。事務局長が mints での提出を1件ずつ手順に起こし、同じ30件で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
新法の事件に郵券を案内する区分で絞り込み、根拠の区分を検査する
旧法の事件にオンラインの手順を案内する同上。手引の章の区分を見直す
期限の日付を書く期限の質問は回し、指示でも日付を禁じる
別の裁判所の予納郵便切手の一覧で答える裁判所で絞り込み、根拠の裁判所を検査する
民事執行に新法の手順を案内する事件の種類で分け、書面の手続きの章を引く
予納郵便切手の一覧が古い月に一度取り直し、取得日を回答に出す
一覧の表がどの事件の額か分からない作成時に includeAncestorHeadings を有効にする。後から変えられない
手引に新法の記載が無い事務局長が新法の章を書き足す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、手引や資料としては正しい記載を引いているのに、その事件には当てはまらないという失敗です。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 事務所の事務手引、裁判所の公開資料、過去の質疑、事件の裁判所・事件の種類・提起日・担当弁護士、事務職員の質問の文です。質問の文には、依頼者の名前や事件の中身が書かれることがあります。

  1. 依頼者と事件の中身を検索に渡さない … 中継プログラムは事件番号と依頼者名を検索の文に入れず、記録には事件番号をハッシュで残します。画面にも「依頼者の名前や事件の中身は書かないでください」と表示します。 弁護士の守秘義務に関わる情報を、外部のサービスの記録に残さないためです
  2. 期限をAIに数えさせない … 期限は送達の記録と期日から弁護士が決めます。期日台帳の運用は別に持ちます
  3. 区分を規則で決める … 新法か旧法かは提起日と施行日の比較で決め、AIの読み取りに頼りません
  4. mints の操作をAIにさせない … 提出とアカウントの操作は人が行います。裁判所は、mints にマイナンバーカードを決してアップロードしないよう注意しています。手順の案内にもこの注意を入れます
  5. 問い合わせの記録の保存の期間を決める … 手引の見直しに使える期間だけ残し、期間を過ぎたら消します

誤りが起きた場合のリスクは、区分や裁判所を取り違えて書面の出し方を誤ることと、期限を誤って伝えることの2つです。 前者は絞り込みと根拠の検査で、後者は回す条件と書き方の禁止で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:手引の章に区分を付ける

事務手引の章ごとに、旧法・新法・共通のどれかを付けます。新法の章が足りない話題を一覧にし、事務局長が書き足す順番を決めます。

2週目:30件で試す

過去3か月の質問から30件を選び、手元のAIサービスに手引と裁判所の資料を読み込ませて、区分と裁判所を条件として渡して聞きます。新法の事件に郵券を案内していないか、期限の日付を書いていないかを最優先で見ます。

3週目:回す条件の表を決める

「期限」「書面の中身」「手引と資料に無い」を中心に、聞き返す項目と回す値を表にし、パートナーの弁護士の承認を取ります。

4週目:データストアを作る

区分・裁判所・話題のメタデータと分割・見出しの設定を決めて取り込みます。事務局長が検索画面で使い、自分の回答と比べます。

2か月目: 中継プログラムとチャットを作り、事務職員の数名で試します。回った理由を毎週数えます。3か月目以降: 全員に広げ、1件10分が何分になったかを実測します。事務局長に届く質問が、手引に無いものと書記官室に確かめるものだけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドが前のセッションの ID でやり取りを続けられ、質問の言い換えが既定で有効なこと。includeCitations、ignoreLowRelevantContent、ignoreNonAnswerSeekingQuery、preamble、filter。groundingSpec の filteringLevel で根拠のスコアの低い回答を落とせること、文ごとに根拠のスコアが付くことGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-08
絞り込みの ANY()、比較の演算子、AND/OR、項目を索引可能にする必要があることGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-08
分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割は作成後に切り替えられないこと。レイアウトパーサーが表と見出しを検出することGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-08
改正民訴法等が令和8年5月21日に施行され民事訴訟手続が全面的にデジタル化されたこと。弁護士などの訴訟代理人等はオンラインによる手続が義務化されていること。手数料は原則ペイジーで現金納付、郵便費用は申立手数料に一本化されたこと。オンラインの提起と送達は施行以降に提起する訴え等に限られ、施行前の訴えは引き続き書面で審理・送達されること。システム送達の効力が閲覧・ダウンロード・通知から1週間経過のいずれか早い時に生じること。民事執行は引き続き書面で申し立て、令和10年6月までに順次デジタル化される予定であること裁判所: 改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要2026-10-08
mints が裁判所へインターネットで書類を提出し、裁判所から受け取るためのシステムであること。利用には事前のアカウントの登録が要ること。マイナンバーカードをアップロードしないよう注意していること裁判所: mintsについて2026-10-08
郵便費用の申立手数料への一本化は令和8年5月21日以降に提起された新法適用事件のみに適用されること。それ以外の事件について予納郵便切手額等一覧表(新法適用事件を除く)が示されていること高松高等裁判所: 手続案内2026-10-08

期限、書面の中身、個別の事件の手続きは、担当の弁護士の判断と、提出先の裁判所の書記官室の案内に従ってください。 本記事は Google Cloud と裁判所のウェブサイトで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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