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社内システムの担当者が交代するときに、メール・Teams・チケット・運用手順書から、定常作業・契約と更新の時期・未解決の課題・ベンダーの連絡先を引継ぎ書にまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社内システムの主担当が替わるときに、前任者のメール・Teams・チケット・運用手順書から、定常作業・契約の更新時期・未解決の課題・ベンダーの窓口を引継ぎ書の下書きにまとめます。前任者は白紙から書かず、下書きを直して後任と読み合わせます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/商社/製造/金融
対象部門
情報システム
対象業務
書類作成/要約
主な課題
属人化している/引き継ぎができていない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
属人化解消/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
48h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
63%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 情報システム部長が付け替えを決め、前任者に引継ぎ書の作成を頼む
  2. 前任者が、そのシステムに関するメールと Teams のやり取りを、過去1年ほど遡って読み直す
  3. 問い合わせのチケットから、対応中のものと、繰り返し起きている問い合わせを拾う
  4. 台帳と契約書から、契約の更新日・ライセンス・証明書の期限・ベンダーの窓口を書き出す
  5. 運用手順書を開き、定常作業(月次のアカウントの棚卸、バックアップの確認など)を一覧にする
  6. 引継ぎ書を書く
  7. 後任と読み合わせ、聞かれたことを書き足す
導入後(After)
  1. 人情報システム部長が付け替えを決め、引継ぎのフォルダ(システムの番号を名前にする)を作る
  2. 人前任者が、対応中のチケットの一覧を書き出してフォルダに置く
  3. 【人/AI】 前任者が、自分の Copilot に決まった頼み方で、そのシステムに関するメールと Teams のやり取りから未解決の事項・約束・期限の記載を出典付きで拾わせ、結果をフォルダに置く
  4. 【人/AI】 前任者が、引継ぎ用のエージェントにシステムの番号を伝えて、引継ぎ書の下書きを作らせる
  5. 【AI】 台帳・契約書・手順書・チケットの一覧・3番の結果から、定常作業・期限・未解決の課題・窓口・権限を拾い、期限の食い違いと「前任者に聞くこと」を並べる
  6. 人前任者が下書きを直し、「前任者に聞くこと」に答え、認証情報の記載の扱いを決める
  7. 人前任者と後任が読み合わせ、管理者の権限を付け替え、台帳の主担当を書き換える
各工程の詳しい説明を読む
  1. 情報システム部長が付け替えを決め、前任者に引継ぎ書の作成を頼む
  2. 前任者が、そのシステムに関するメールと Teams のやり取りを、過去1年ほど遡って読み直す
  3. 問い合わせのチケットから、対応中のものと、繰り返し起きている問い合わせを拾う
  4. 台帳と契約書から、契約の更新日・ライセンス・証明書の期限・ベンダーの窓口を書き出す
  5. 運用手順書を開き、定常作業(月次のアカウントの棚卸、バックアップの確認など)を一覧にする
  6. 引継ぎ書を書く
  7. 後任と読み合わせ、聞かれたことを書き足す

(a)遡るのに時間がかかる。 2番は、前任者が自分のメールを件名や取引先の名前で検索し、1通ずつ開いて読む作業です。1年分のやり取りは数百通になり、どれが今も効いている話かを見分けるのに半日かかります。 異動の直前で本人の業務も詰まっている時期です。

(b)期限が漏れる。 契約の更新、ライセンスの追加購入の締め、証明書の更新は、年に1回しか来ないので前任者の記憶にも薄く、引継ぎ書から落ちやすい項目です。 後任が気づくのは、ベンダーから更新の案内が来たときか、証明書が切れて利用者から問い合わせが来たときです。

(c)約束が前任者の頭にしか無い。 「次の版の更新は年度末まで待つとベンダーに伝えてある」「この部署だけは例外でライセンスを2つ持たせている」。メールやチャットで決めた約束は、台帳にも手順書にも載っていません。 引継ぎ書に書かれなければ、後任は同じ交渉をやり直します。

(d)認証情報が引継ぎ書に紛れ込む。 急いで書いた引継ぎ書に、管理画面のパスワードやベンダーから届いた初期の認証情報がそのまま貼られることがあります。引継ぎ書は部内の共有フォルダに置かれ、多くの人の目に触れます。

  1. 【人】 情報システム部長が付け替えを決め、引継ぎのフォルダ(システムの番号を名前にする)を作る
  2. 【人】 前任者が、対応中のチケットの一覧を書き出してフォルダに置く
  3. 【人/AI】 前任者が、自分の Copilot に決まった頼み方で、そのシステムに関するメールと Teams のやり取りから未解決の事項・約束・期限の記載を出典付きで拾わせ、結果をフォルダに置く
  4. 【人/AI】 前任者が、引継ぎ用のエージェントにシステムの番号を伝えて、引継ぎ書の下書きを作らせる
  5. 【AI】 台帳・契約書・手順書・チケットの一覧・3番の結果から、定常作業・期限・未解決の課題・窓口・権限を拾い、期限の食い違いと「前任者に聞くこと」を並べる
  6. 【人】 前任者が下書きを直し、「前任者に聞くこと」に答え、認証情報の記載の扱いを決める
  7. 【人】 前任者と後任が読み合わせ、管理者の権限を付け替え、台帳の主担当を書き換える

3番目が、この設計の分かれ目です。 Copilot は、利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。前任者のメールと個人のチャットを読めるのは前任者の Copilot だけで、後任や部長が代わりに拾うことはできません。 だから、この手順は前任者が異動する前に必ず済ませます。

7番目の権限の付け替えは、人が行います。 引継ぎ書には付け替えが要る権限の一覧を載せますが、管理者のロールを外す・付ける操作は、部長の承認を経て人が行います。

02今回想定するシステム構成

構成図
付け替えの決定 → 引継ぎのフォルダ(システムの番号)を作る
   ▼
前任者の Copilot(自分のメール・Teams から、未解決の事項・約束・期限の記載を出典付きで拾う)
   │  結果を引継ぎのフォルダへ
   ▼【トリガー】フォルダに素材がそろう
Microsoft Copilot(Agent Builder で作る引継ぎ用のエージェント)
   │  知識:引継ぎのフォルダ(SharePoint。チケットの一覧・前任者の素材)
   │        運用手順書と契約書のライブラリ(SharePoint)
   │        システム台帳(SharePoint のリスト。読むだけ)
   │        引継ぎ書の様式と、書かないことの手引
   ├──▶ 定常作業と頻度、手順書の場所
   ├──▶ 契約・ライセンス・証明書の期限(台帳と契約書の値/メールの記載)
   ├──▶ 未解決の課題と、ベンダーとの約束
   ├──▶ ベンダーの窓口と、付け替えが要る管理者の権限
   └──▶ 前任者に聞くこと/認証情報らしき記載の場所
   ▼【前任者が直し、後任と読み合わせる】
引継ぎ書を確定/権限の付け替えと台帳の更新は人が行う
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot。前任者の Copilot と、Agent Builder で作る引継ぎ用のエージェント)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
文書の置き場SharePoint(引継ぎのフォルダ、運用手順書と契約書のライブラリ)-
台帳SharePoint のリスト(システム台帳)-
チケット問い合わせのチケットの仕組み(対応中の一覧を書き出す)-

新しく足すのは、情報システム部12名の Copilot のライセンスと、引継ぎ用のエージェントだけです。 チケットの仕組みには手を入れず、一覧を書き出すだけにします。

エージェントは Agent Builder で作ります。 知識として SharePoint のファイル・フォルダ・サイトを100ファイルまで、SharePoint のリストを1つまで、端末から埋め込むファイルを20まで指定できるとされています。システム台帳のリストを知識に入れれば、台帳の期限と、メールに書かれた期限を並べて比べられます。

メールは、エージェントの知識に入れません。 Agent Builder でメールを知識にすると、範囲を絞れず、メールボックスのすべてのメールが知識になるとされ、エージェントを共有した相手は作った人のメールを知識として使えないともされています。前任者のメールは、前任者本人の Copilot で拾い、結果だけをフォルダに置きます(第7章)。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

情報システム部長が付け替えを決め、引継ぎのフォルダを作ったことを起点にします。 フォルダの名前は、台帳のシステムの番号(例:SYS-087)にします。番号で呼ぶことで、エージェントがどのシステムの素材を使うかを取り違えません。

前任者が素材を拾う期限は、異動や退職の2週間前に置きます。 前任者のメールとチャットに触れられるのは、前任者のアカウントが使えるあいだだけです。最終日の前日に始めると、前任者に聞くことに答える時間が残りません。

1人が複数のシステムを手放すときは、期限の近いものから順に作ります。 台帳で契約の更新や証明書の期限が3か月以内に来るシステムを先にし、期限の遠いものは後に回します。 時間が足りなくなったときに落ちるのが、影響の小さいシステムになるようにするためです。

エージェントを動かすのは、前任者の手作業です。 フォルダに素材がそろったら、前任者がエージェントに「SYS-087 の引継ぎ書を作って」と頼みます。自動で動かす仕組みは作りません。素材がそろったかを判断できるのは前任者だけだからです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
前任者の素材そのシステムに関する未解決の事項・約束・期限の記載と、出典のメールやチャットの日付前任者の Copilot で拾い、引継ぎのフォルダへ
チケットの一覧対応中のチケットと、過去1年の問い合わせの件名と件数チケットの仕組みから書き出し
システム台帳ベンダー、契約の更新日、ライセンスの数と期限、証明書・ドメインの期限、副担当SharePoint のリスト
運用手順書定常作業の手順と頻度SharePoint のライブラリ
契約書契約期間、更新の通知の期限、窓口SharePoint のライブラリ
様式と手引引継ぎ書の欄、書かないこと(認証情報など)エージェントの知識(文書)

質を決めるのは、1行目の前任者の素材です。 台帳と手順書と契約書は、後任でも読めます。前任者にしか読めないのは、メールと個人のチャットの中の約束です。 この素材が薄いと、引継ぎ書は台帳を言い直しただけのものになります。

前任者の素材は、次の頼み方で拾います。 頼み方は部で1つに決め、前任者ごとに変えません。

SYS-087(経費精算のSaaS、ベンダーは△△社)について、
過去12か月の私のメールと Teams のやり取りから、次の4つを表にしてください。
1. まだ片付いていない事項(誰が、何を、いつまでに)
2. ベンダーや利用部門と取り決めたこと(例外の扱いを含む)
3. 期限の記載(契約、ライセンス、証明書、ドメイン、保守の終了)
4. 認証情報らしき記載(パスワードや復旧用のコードなど)がある場所。
   値は書かず、メールの日付と件名だけを書いてください。
それぞれ出典のメールまたはチャットの日付を付けてください。
推測で埋めないでください。

4番目で値を書かせないのが要点です。 認証情報そのものが素材のファイルに写ると、引継ぎのフォルダを見られる人すべてに広がります。場所だけを拾い、値は前任者がその場で保管庫へ移すか変更します。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
前任者の素材前任者が自分の Copilot で拾い、フォルダに置く約束・未解決の事項・期限の記載
チケットの一覧チケットの仕組みから書き出してフォルダに置く対応中の課題と、繰り返す問い合わせ
台帳エージェントの知識に、リストを指定する期限と窓口の正
手順書と契約書エージェントの知識に、ライブラリのURLを指定する定常作業と、契約の条件

前任者の素材は、Copilot の答えに付く出典ごと残します。 Outlook のメールのスレッドの要約は、番号付きの出典を付けることがあり、選ぶと元のメールに移るとされています。Teams のチャットの要約も、応答の最後の「Sources」から出典の投稿に移れるとされています。出典の日付を残しておけば、後任が後から元のやり取りを開けます。

Teams のチャットを拾うときは、期間を指定します。 Teams のチャットの Copilot は、指定しなければ30日間の履歴を既定の範囲にするとされています。1年前に決めた約束を拾うには、「過去12か月」と期間を書きます。

手順書と契約書のライブラリは、URLで指定します。 SharePoint のURLを指定すると、そのURLの下の階層も探すとされています。引継ぎのフォルダは、引継ぎが終わったら別の場所へ移します。 終わった引継ぎのフォルダが残っていると、別のシステムの素材が混ざります。

台帳は、リスト自体のURLで指定します。 サイトを指定しても、そのサイトのリストは含まれないとされています。

チケットの一覧は、Excel の1枚のシートにまとめます。 エージェントは、Excel のデータが1つのブックの1枚のシートにあるときに最もよく答えるとされています。チケットの仕組みが ServiceNow なら、管理者が Copilot のコネクタを有効にし、エージェントの知識をチケットの分類で絞ることもできるとされています。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 台帳のその行を新しくする … 前任者が、契約の更新日とライセンスの数が今の値かを先に見ます
  2. チケットの一覧を書き出す … 対応中のものと、過去1年の件名を、システムの番号で絞って1枚のシートにします
  3. 前任者の素材を拾う … 決まった頼み方で拾い、出典の日付ごと Word に貼ってフォルダに置きます
  4. 認証情報の場所を片付ける … 素材に出た「認証情報らしき記載」の場所を開き、保管庫へ移すか変更します
  5. 複数のシステムを手放すときは、1件ずつ分ける … フォルダも素材もシステムの番号ごとに分けます

1番目を飛ばすと、台帳とメールの食い違いが大量に出ます。 食い違いは前任者に聞く項目になるので、台帳を先に直しておけば、聞く項目が本当に分からないものだけになります。

4番目は、引継ぎ書を作る前に済ませます。 引継ぎ書の下書きに「認証情報らしき記載あり」が残ったまま読み合わせに進むと、後任が元のメールを開いて値を見に行きます。 値は保管庫で引き継ぐもので、メールで引き継ぐものではありません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、素材と台帳から引継ぎ書の欄を埋め、食い違いと分からないことを並べることだけです。

拾うもの拾い方拾えないときの扱い
定常作業と頻度手順書から、作業名・頻度・手順書の場所手順書に無ければ「手順書なし」
期限台帳と契約書の値を写し、素材の記載を横に並べる値が違えば「要確認」
未解決の課題チケットの対応中のものと、素材の未解決の事項持ち主か期限が無ければ「要確認」
ベンダーとの約束素材の取り決めを、出典の日付付きで出典の無いものは書かない
窓口契約書と台帳の窓口、素材に出る担当者契約書と違えば両方を書く
権限前任者が持つ管理者の権限のうち、付け替えが要るもの手順書と台帳から分からなければ「前任者に聞く」
させないこと理由
認証情報の値を書く引継ぎ書は部内で広く読まれる
期限をメールの記載で上書きする台帳と契約書が正。食い違いは人が確かめる
出典の無い約束を書く後任が確かめようがない
契約を更新すべきかの判断決めるのは部長と利用部門
台帳や権限の変更人が行う

2行目がいちばん大事です。 台帳の更新日が「2026-03-31」、メールに「来年度から契約を2年に延ばしました」とあれば、AIは2年延ばした日付に書き換えがちです。どちらが正しいかは、契約書を開くまで分かりません。 両方を並べ、前任者に聞くことに回します。

定常作業は、頻度ごとに並べさせます。 毎日・毎週・毎月・四半期・年1回に分け、年1回の作業には「次はいつか」を台帳と手順書から添えさせます。 年1回の作業は、後任が最初の1年に必ず一度は初めて行う作業です。いつ来るかが引継ぎ書に書かれていれば、後任はその月の予定に先に入れられます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは情報システム部で、社内システムの主担当の引継ぎ書の下書きを作る立場です。
ユーザーが伝えたシステムの番号のフォルダと、システム台帳のその行、
運用手順書と契約書のうちそのシステムのもの、埋め込んだ様式と手引だけを見てください。
他のシステムの番号のフォルダは使わないでください。

【引継ぎ書の欄】
1. システムの概要(台帳から)
2. 定常作業(作業名、頻度、手順書の場所)
3. 期限(契約の更新、更新の通知の期限、ライセンス、証明書、ドメイン、保守の終了)
4. 未解決の課題(内容、持ち主、期限、出典)
5. ベンダー・利用部門との取り決め(内容、出典の日付)
6. 窓口(ベンダーの担当、利用部門の担当、副担当)
7. 付け替えが要る管理者の権限
8. 前任者に聞くこと

【厳守事項】
- 期限は台帳と契約書の値を写してください。前任者の素材に別の記載があれば、
  横に並べて「要確認」とし、どちらかに寄せないでください。
- 取り決めは、出典の日付があるものだけを書いてください。
- パスワード、復旧用のコード、アクセスキーなどの値は書かないでください。
  素材にそれらしい記載の場所があれば「認証情報らしき記載あり(日付)」とだけ書いてください。
- 契約を更新すべきか、ベンダーを替えるべきかの意見を書かないでください。
- 分からない項目は空欄にせず、「前任者に聞くこと」に質問の形で書いてください。
- すべての行に、根拠にした文書の名前か出典の日付を付けてください。

この指示は、エージェントの指示として Agent Builder に書いておきます。 前任者はシステムの番号を伝えるだけにします。毎回指示を貼り直すと、人によって欄が変わり、後任が読みにくくなります。

「分からない項目は質問の形で」としているのは、空欄が見落とされるからです。 空欄は読み合わせで読み飛ばされますが、「保守の終了日は契約書に無い。延長の見込みは」と質問になっていれば、前任者は答えます。

Step7

出力形式を固定する

エージェントには、欄ごとの表で返させます。 システムへの自動登録をしないため、JSON ではなく、前任者が直して後任とそのまま読み合わせられる形にします。

【期限】
| 項目 | 台帳・契約書の値 | 素材の記載 | 状態 | 根拠 |
| 契約の更新日 | 2027-03-31 | 「2年契約に延長」(2026-02-10 メール) | 要確認 | 台帳/素材 |
| 更新の通知の期限 | 満了の90日前 | - | 確定 | 契約書 第12条 |
| SSO の証明書 | 2027-01-15 | - | 確定 | 台帳 |

【未解決の課題】
| 内容 | 持ち主 | 期限 | 出典 |
| 承認経路の変更(営業部) | ベンダー | 11月末 | 2026-09-03 チャット |

【前任者に聞くこと】
・契約は2年に延長したか。延長なら台帳の更新日を直す
・認証情報らしき記載あり(2026-04-12 メール「管理者アカウント発行のお知らせ」)

1つ目の理由は、期限の値と素材の記載を別の列に置けることです。 台帳の値が正しいのか、メールの記載が新しいのかを、前任者が1行ずつ選べます。

2つ目は、すべての行に根拠が付くことです。 後任が引継ぎの後で迷ったとき、元のメールや契約書の条項に戻れます。 根拠の無い行が無いことは、前任者が下書きを信用してよいかの目安にもなります。

3つ目は、「前任者に聞くこと」が独立した欄になることです。 読み合わせの議題は、この欄そのものです。欄が空になった時点で、読み合わせは終わります。

付け替えが要る権限の欄は、手続きの一覧として使える形にします。 管理画面の名前、前任者が持つロール、後任に付けるロール、前任者から外すか残すか、の4列です。「外すか残すか」を空欄にしておき、読み合わせの場で部長が決めます。 副担当として残すのか、完全に外すのかは、システムの重さで変わるからです。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
引継ぎのフォルダエージェントの知識にURLを指定前任者の素材とチケットの一覧を読む
手順書と契約書のライブラリエージェントの知識にURLを指定定常作業と契約の条件を読む
システム台帳エージェントの知識にリストを指定期限と窓口を読む。書き込まない
引継ぎ書前任者が様式の Word に貼って整える後任と読み合わせ、フォルダに確定版を置く

この構成には、自動で書き込む連携がありません。 台帳の主担当の書き換えも、管理者の権限の付け替えも、前任者と後任が読み合わせの後に行います。権限の付け替えをワークフローで自動にしないのは、誤って外せばシステムの管理者がいなくなるからです。

確定した引継ぎ書は、台帳のその行からリンクします。 台帳に「引継ぎ書」の列を足し、確定版のURLを入れておきます。次にこのシステムが付け替えられるとき、前回の引継ぎ書が素材の1つになります。 引継ぎのたびに一から遡る必要がなくなり、前回からの差分だけを拾えば済むようになります。

Step9

人が確認する

  1. 期限の「要確認」を片付ける … 契約書を開き、正しい値を台帳に反映します
  2. 取り決めの出典を開く … 今も効いている約束かを前任者が判断し、終わったものは消します
  3. 認証情報の記載が片付いたかを見る … 保管庫へ移したか、変更したかを確かめます
  4. 前任者に聞くことに答える … 答えを引継ぎ書の該当の欄に書き込みます
  5. 後任と読み合わせる … 権限の一覧を見ながら、その場で付け替えの手続きを始めます

確認は、止まったときの影響の大きさで順番を決めます。 期限、権限、未解決の課題、取り決めの順に見ます。期限を誤れば、証明書が切れてシステムが止まるからです。

2番目の取り決めは、前任者にしか判断できません。 1年前に決めた例外の扱いが今も続いているのか、すでに終わったのかは、記録だけでは分かりません。終わった約束を残すと、後任は不要な例外を守り続けます。 前任者は、取り決めの1行ずつに「継続」か「終了」を付けます。

目標は、1件あたり確認と読み合わせを合わせて135分です。 前任者の素材の確認に40分、期限の照合に30分、引継ぎ書の手直しに35分、読み合わせに30分という配分です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
前任者がすでに退職していた素材を拾えない。台帳・手順書・チケットだけで作り、ベンダーに経緯を聞く
台帳の行が古く、食い違いが大量に出る前処理の1番に戻り、台帳を先に直す
素材に認証情報の値が写ってしまったそのファイルを消し、値を変更する
手順書が無いシステム定常作業は「手順書なし」で出る。引継ぎ後の最初の作業を手順書づくりにする
複数のシステムの素材が混ざるフォルダをシステムの番号ごとに分け直す
副担当も同時に替わる経緯を知る人がいなくなる。部長が付け替えの時期をずらす
ベンダーの窓口が契約書と違う両方を書き、後任がベンダーに確かめる
期限がすでに過ぎていた引継ぎの前に気づけたことになる。部長に上げ、その場で更新の手続きを始める
利用部門の担当者の個人情報が素材に多い引継ぎに要らない情報は素材から消す。窓口の名前と部署だけを残す
前任者が素材の頼み方を変えた欄がそろわず下書きが薄くなる。決まった頼み方で拾い直す

1行目を防ぐのは、付け替えを決めた時点で前任者の素材の期限を決めることです。 退職の申し出から最終日までの短い期間に、他の引継ぎと重なって素材を拾う時間が取れないことがよくあります。

Step11

記録を残す

  • 前任者の素材(出典の日付付き)と、チケットの一覧
  • エージェントが出した引継ぎ書の下書きの原文
  • 前任者が直した箇所 … どの欄を、なぜ直したか(期限の誤り/古い約束/拾い漏れ)
  • 確定した引継ぎ書と、読み合わせの日付、権限を付け替えた日付
  • 認証情報の記載を片付けた記録(場所と、移したか変更したか。値は残さない)

直しの記録で「期限の誤り」が多いなら、直すべきは台帳です。 引継ぎのたびに台帳の古さが見つかるのは、台帳の更新が担当者任せになっているからです。

04実装レベルの3段階

最小構成:前任者の Copilot で素材を拾い、台帳と手順書を添付して引継ぎ書を作らせる / 素材の抽出と引継ぎ書の下書き
半自動化:上記+Agent Builder のエージェントに、引継ぎのフォルダ・手順書と契約書・台帳・様式を持たせ、決めた指示で下書きを作らせる / 引継ぎ書、期限の食い違い、前任者に聞くこと
本格構成:上記+チケットの仕組みのコネクタを知識に加え、読み合わせの後に台帳の主担当の書き換えをワークフローで申請する / チケットの書き出しと台帳の更新の申請まで

最小構成では、添付の手間が毎回かかります。 台帳と手順書と契約書を毎回会話に添付するので、確かめるための段階です。 半自動化で、1件360分が135分程度になり、この段階が本記事の想定です。 台帳と手順書がエージェントの知識に入っているので、前任者は素材を置いて番号を伝えるだけになります。 本格構成でも、権限の付け替えは自動にしません。 自動にするのは台帳の主担当の書き換えの申請までで、承認と権限の操作は人に残します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
12 名
月間件数
8 件
1件あたり現在時間
360 分
1件あたり導入後時間
135 分
現在  8件 × 360分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 8件 × 135分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
63%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価4,500円)
162万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 社内システムと業務SaaSを数十〜百数十件抱え、1つのシステムを主担当1名が見ている情報システム部。異動・退職・役割の見直しで担当の付け替えが毎月のように起き、引継ぎのたびに前任者がメールとチャットを遡って書類を作っている IT企業・メーカー・金融機関・商社。前任者と後任が Microsoft 365 Copilot(現在の名称は Microsoft Copilot)を使え、システム台帳を SharePoint のリストで持っている場合。
向いていない
  1. 管理するシステムが数件で、担当の付け替えがほとんど起きない場合。運用の記録と契約の期限が IT サービス管理のツールの中で完結し、引継ぎがツール上の担当の変更だけで済む場合。前任者がすでに退職していて、本人のメールとチャットに Copilot で触れられない場合。なお、管理者の権限の付け替えと契約の更新の判断は人が行います。この構成は引継ぎ書の下書きを助けるもので、判断は代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 次に付け替えるシステムを1つ選ぶ
  2. 前任者が、自分の Copilot に第7章の頼み方で、そのシステムの素材を拾わせる
  3. 台帳のその行と、運用手順書と契約書を Copilot との会話に添付し、「引継ぎ書の8つの欄を埋めて。期限は台帳と契約書の値を写し、メールの記載が違えば両方を書いて」と頼む
  4. 前任者がこれまでどおり作った引継ぎ書と並べる
  5. 期限の取り違え、約束の拾い漏れ、認証情報の写り込みを数える

最初の2件は、必ず従来の引継ぎ書と並べてください。 比べるのは文章の上手さではなく、期限と約束を落としていないかです。

出てきた内容判断
期限と約束が拾え、根拠も付いているエージェントに進む
期限をメールの記載で書き換えた指示を強め、エージェントの指示に固定する
認証情報の値が写った頼み方の4番目を見直す。値を変更する
約束が拾えない期間の指定と、システム名・ベンダー名の書き方を見直す

4行目は、頼み方で直ることが多いです。 やり取りの中ではシステムの正式名ではなく、ベンダー名や略称で呼ばれています。頼み方に、呼び名を並べて書きます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
後任が前任者のメールを拾えない閲覧の権限がある人の Copilot にしか見えない。 前任者が異動の前に拾う
メールを知識に入れると範囲が絞れないエージェントにメールを入れず、前任者の素材として置く
期限をメールの記載で書き換える台帳と契約書を正とし、食い違いは両方を並べる
認証情報が素材に写る頼み方で値を書かせず、場所だけを拾う
1年前の約束が拾えないTeams のチャットは既定で30日。期間を指定する
他のシステムの素材が混ざるフォルダをシステムの番号で分け、終わったら移す
台帳が知識に入らないサイトではなく、リストのURLを指定する
チケットの一覧が読まれにくい1枚のシートにまとめる
権限の付け替えが漏れる引継ぎ書の欄にし、読み合わせの場で手続きを始める
終わった約束が引継ぎ書に残る取り決めの1行ずつに「継続」か「終了」を前任者が付ける
前回の引継ぎ書が生かされない確定版のURLを台帳に入れ、次の引継ぎの素材にする

上の2行が、この構成に固有のつまずきです。 どちらも「誰の Copilot に何が見えるか」から来ています。前任者の素材という中間の文書を置くことで、見える範囲の問題を手順で解きます。

3行目と4行目は、引継ぎ書の信用に関わります。 期限を書き換えた下書きや、認証情報が写った素材が一度でも出ると、前任者は下書きを信用せず、結局すべてを自分で確かめ直します。 最初の数件で、指示と頼み方を固めてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社内システムの構成、契約の条件、ベンダーの担当者の連絡先、問い合わせの内容、前任者のメールとチャットです。メールとチャットには、認証情報や利用者の個人情報が紛れていることがあります。

  1. 引継ぎのフォルダの権限を絞る … Copilot は、利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされています。引継ぎのフォルダは前任者・後任・部長だけが見られるようにし、権限の設定がそのまま Copilot の見える範囲になることを前提にします
  2. 認証情報を引継ぎ書で渡さない … 値は保管庫で引き継ぎます。素材に写った場合は、ファイルを消すだけでなく値を変更します
  3. エージェントに機微なファイルを埋め込まない … 埋め込んだファイルは、エージェントにアクセスできる人なら誰でもその情報にアクセスできるとされています。埋め込むのは様式と手引だけにします
  4. AIに契約や権限の判断をさせない … 更新すべきか、権限を誰に渡すかは部長と後任が決めます
  5. 出力をそのまま信じない … Microsoft は、生成AIの応答が100%事実であることは保証されないとし、ほかの人に送る前に利用者が判断して見直すよう求めています

Copilot に送ったプロンプトと応答は、基盤のモデルの学習に使われないとされています。

誤りが起きた場合のリスクは、期限の漏れによるシステムの停止です。 証明書やドメインが切れれば、利用者全員の業務が止まります。期限の「要確認」を契約書で片付ける手順だけは、省かないでください。

10まず何から始めるか

1週目:台帳と手引を整える

システム台帳の期限の列(契約の更新日、更新の通知の期限、ライセンス、証明書、ドメイン)が埋まっているかを見ます。あわせて、引継ぎ書の様式と、書かないことの手引を作ります。

2週目:前任者の素材の頼み方を決める

第7章の頼み方を部の標準にし、次に付け替えるシステムの前任者に試してもらいます。 認証情報の記載の場所が出たら、その場で片付けます。

3週目:最小構成で引継ぎ書を作る

1件のシステムで、最小構成の引継ぎ書を作り、従来の引継ぎ書と並べて期限と約束の漏れを数えます。

4週目:エージェントを作る

Agent Builder で引継ぎ用のエージェントを作り、様式と手引を埋め込み、手順書と契約書のライブラリと台帳のリストを知識に指定します。指示は第7章の例から始めます。

2か月目: その月の付け替えすべてをこの流れに乗せ、前任者の直しを記録します。3か月目以降: 1件360分が何分になったかを実測し、引継ぎのたびに見つかった台帳の古さを集計します。引継ぎの後に「聞いていなかった期限」が出なくなった時点で、この構成は定着です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。メール・予定表・チャット・会議などの組織のデータに基づいて応答を作ること。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すこと。プロンプトと応答が基盤のモデルの学習に使われないこと。生成AIの応答が100%事実とは保証されないことMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-08
Agent Builder の知識として、SharePoint のファイル・フォルダ・サイトを100ファイルまで、リストを1つまで、埋め込むファイルを20まで指定できること。URLの下の階層も探すこと。サイトを指定してもリストは含まれないこと。メールは範囲を絞れず、共有した相手は作った人のメールを使えないこと。Excel は1枚のシートで最もよく答えること。ServiceNow Tickets のコネクタを分類で絞れ、管理者の有効化が要ること。埋め込んだファイルはエージェントにアクセスできる人なら誰でも情報にアクセスできることMicrosoft Learn: Add knowledge sources to an agent in Agent Builder2026-10-08
Teams のチャットの Copilot が、指定しなければ30日間の履歴を既定の範囲にすること。期間を指定できること。応答の「Sources」から出典の投稿に移れることMicrosoft サポート: Use Copilot in Teams chats and channels2026-10-08
Outlook でメールのスレッドを Copilot で要約できること。要約に番号付きの出典が付き、選ぶと元のメールに移ることMicrosoft サポート: Summarize an email thread with Copilot2026-10-08

認証情報の引継ぎの方法と、引継ぎの素材をどれだけ保存するかは、情報システム部長と情報セキュリティの担当が決めてください。 本記事は Microsoft の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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