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設備・車両・契約の増減にあわせて、損害保険の付保漏れと重複を毎月点検する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

資産台帳・車両管理表・受注データの毎月の異動を、保険証券から読み取った対象・補償・保険金額・免責金額・期間・特約と突き合わせ、保険に入っていない資産(付保漏れ)と、同じ損害が二重に見られている箇所(重複)の候補を一覧にします。入るかどうかの判断は人が行います。

サマリー
利用ツール
AWS Textract/Azure AI/ChatGPT/Claude/Gemini/Google Document AI/Make/n8n/Power Automate
対象業界
不動産/保険/建設/物流/製造
対象部門
総務/財務
対象業務
内容確認・チェック/台帳・マスタ管理
主な課題
属人化している/情報が見つからない/確認ミスが多い
AIで行う処理
抽出
主な効果
属人化解消/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
10h/月
AI導入後
3.5h/月
想定削減
65%
年間削減
78h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 会計や現場から「設備を入れた」「車を1台増やした」という連絡が総務に入る(入らないこともある)
  2. 総務が、固定資産台帳か車両管理表で、異動の内容(取得日、金額、設置場所)を確かめる
  3. 関係しそうな保険を思い出し、キャビネットの証券ファイルか共有フォルダのPDFを探す
  4. 証券を開き、保険の対象、補償される事故、保険金額、免責金額、保険期間、特約を読む
  5. その資産が対象の範囲に入りそうかを判断し、他の保険でも同じ損害を見ていないかを確かめる
  6. 判断が付かないところを、代理店にメールか電話で聞く
  7. 結果を手元のメモか、証券ファイルの付箋に残す(残らないこともある)
導入後(After)
  1. 【自動・初回と更新時】 保険証券のPDFをOCRにかけ、ページ・段落・表・選択マークと、その位置を取り出す
  2. 【AI・初回と更新時】 証券から対象・補償される事故・保険金額・免責金額・期間・特約を、該当箇所つきで読み取る
  3. 【人・初回と更新時】 総務が読み取り結果を証券と照らし、証券台帳として確定させる
  4. 自動毎月1日の朝、会計システム・車両管理表・契約台帳・受注システムから前月末との差分を取り、今月の異動30件を作る
  5. 自動異動日が保険期間に入っている証券だけに絞り、場所・登録番号・工事場所で突合キーを作る
  6. 【AI】 どの証券の対象の記載に当てはまり得るかを判定し、付保漏れ・重複・除外もれの候補を出す
  7. 自動候補を点検結果の一覧に追記し、総務へ通知する
  8. 総務が、候補の根拠になった証券の該当箇所を開いて確かめ、誤りを外す
  9. 財務が、残った候補の優先順位を決める
  10. 【人・代理店】 代理店に確認事項を送り、付保するか、重複を整理するかを決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 会計や現場から「設備を入れた」「車を1台増やした」という連絡が総務に入る(入らないこともある)
  2. 総務が、固定資産台帳か車両管理表で、異動の内容(取得日、金額、設置場所)を確かめる
  3. 関係しそうな保険を思い出し、キャビネットの証券ファイルか共有フォルダのPDFを探す
  4. 証券を開き、保険の対象、補償される事故、保険金額、免責金額、保険期間、特約を読む
  5. その資産が対象の範囲に入りそうかを判断し、他の保険でも同じ損害を見ていないかを確かめる
  6. 判断が付かないところを、代理店にメールか電話で聞く
  7. 結果を手元のメモか、証券ファイルの付箋に残す(残らないこともある)

問題は6つあります。

(a)異動が保険の担当者に届かない。 設備の購入は購買と会計で完結し、車両の増車は現場の判断で決まります。総務が知るのは、請求書が回ってきたときか、事故が起きたときです。

(b)証券を探す時間が、読む時間と同じくらいかかる。 8本の証券が紙とPDFの両方にあり、更新のたびに版が増えています。どれが今有効な版かを確かめるところから始まります。

(c)更新のたびに証券番号が変わる。 多くの保険では、更新時に新しい番号が振られます。去年の番号で探しても出てこないため、「同じ保険の続き」を人の記憶でつないでいます。

(d)対象の書き方が保険会社ごとに違う。 明細表で列挙する証券、「記名被保険者が所有・使用または管理する〜」と範囲で書く証券、別紙の目録に送る証券が混ざります。読み方を毎回切り替えることになります。

(e)重複は、2本を並べないと見えない。 賠償責任保険と工事保険、自動車保険と賠償責任保険は、補償される事故が一部重なります。1本ずつ順に読んでいる限り、重なりには気づきません。

(f)担当者1人の頭の中にしか無い。 どの保険が何を見ているかを知っているのは、総務の担当者だけです。異動や退職で、その知識は失われます。

  1. 【自動・初回と更新時】 保険証券のPDFをOCRにかけ、ページ・段落・表・選択マークと、その位置を取り出す
  2. 【AI・初回と更新時】 証券から対象・補償される事故・保険金額・免責金額・期間・特約を、該当箇所つきで読み取る
  3. 【人・初回と更新時】 総務が読み取り結果を証券と照らし、証券台帳として確定させる
  4. 【自動】 毎月1日の朝、会計システム・車両管理表・契約台帳・受注システムから前月末との差分を取り、今月の異動30件を作る
  5. 【自動】 異動日が保険期間に入っている証券だけに絞り、場所・登録番号・工事場所で突合キーを作る
  6. 【AI】 どの証券の対象の記載に当てはまり得るかを判定し、付保漏れ・重複・除外もれの候補を出す
  7. 【自動】 候補を点検結果の一覧に追記し、総務へ通知する
  8. 【人】 総務が、候補の根拠になった証券の該当箇所を開いて確かめ、誤りを外す
  9. 【人】 財務が、残った候補の優先順位を決める
  10. 【人・代理店】 代理店に確認事項を送り、付保するか、重複を整理するかを決める

自動化されるのは「証券を読み取る」「異動を拾う」「期間で絞る」「突合キーを作る」「候補を並べる」の5つです。残るのは、候補が本当かを証券で確かめることと、保険をどうするかを決めることです。 保険会社や代理店のシステムには一切書き込まず、契約の申込や変更は、これまでどおり代理店を通じて人が行います。

証券台帳の確定に人を挟むのは、ここが全体の土台になるからです。 読み取りが1か所ずれると、その証券が関わる候補がすべてずれます。8本の証券を最初に1回確定させれば、あとは更新のときだけ同じ作業をします。

02今回想定するシステム構成

構成図
保険証券(PDF・スキャン)          資産台帳 / 車両管理表 / 契約台帳 / 受注システム
   │【証券が増えた・更新されたとき】       │ 月初にCSVを出力
   ▼                                     ▼
Azure AI Document Intelligence      前月末との差分 = 今月の異動(30件)
   │  ページ・段落・表・選択マーク・該当箇所の座標
   ▼
Claude API ── 証券の読み取り
   │  対象/補償される事故/保険金額/免責金額/期間/特約 + 該当箇所(JSON)
   ▼
証券台帳(スプレッドシート)── 証券番号の系列をつなぐ列を持つ ──【人が確定】
   │
   ▼【トリガー】毎月1日 7:00(n8n の Schedule Trigger)
n8n のワークフロー
   ├──▶ 異動日が期間内の証券に絞り、場所・登録番号・工事場所の突合キーを作る
   ├──▶ Claude API ── 付保漏れ・重複・除外もれの候補(JSON)
   └──▶ 点検結果の一覧へ追記 → チャットで通知
   │
   ▼
総務が証券の該当箇所を開いて確かめる ──【人】
   ▼
財務が優先順位を決める ──【人】 → 代理店へ確認・見直しを依頼 ──【代理店】
役割想定する製品代替候補
ワークフローn8nMake、Power Automate
OCRAzure AI Document IntelligenceGoogle Document AI、AWS Textract
処理Claude APIOpenAI API、Gemini API

点検結果の一覧と証券台帳はスプレッドシート(Google スプレッドシートまたはExcel)に置き、通知はチャット(Slack、Microsoft Teams)かメールに送ります。これらは保管先と通知先であり、構成の中身を左右しません。

Azure AI Document Intelligence を置いているのは、証券の「どこに書いてあるか」まで返すためです。 レイアウトモデル(prebuilt-layout)は、ページ、段落、選択マーク、表、図、セクションを取り出し、段落や表のセルに境界の座標が付きます。この座標があるので、読み取った値がどの位置の記載かを、後から画面で示せます。 段落には title sectionHeading などの役割も付くため、ヘッダーを本文と区別できます。

選択マークを読めることも、証券では効きます。 特約の欄がチェック式の証券では、selectedunselected かを信頼度つきで返します。手書きかどうかの判定(isHandwritten)も返るため、手書きの追記がある箇所には、人が見る印を付けられます。

Claude API を置いているのは、証券の言い回しを読み分けるためです。 「記名被保険者が所有、使用または管理する車両」のような範囲の記載は、文字列の一致では扱えません。n8n を置いているのは、月1回の起動、証券ごとの繰り返し、表の参照、AIの呼び出し、一覧への追記を、画面上で1本につなげられるためです。Make や Power Automate でも同じ流れは組めます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は3つに分けます。

(1)毎月1日の朝7時(定例の点検)。 n8n の Schedule Trigger は、秒・分・時・日・週・月の間隔か Custom(cron式)で起動を指定できます。月の間隔では、起動の間隔、起動する日(Trigger at Day of Month)、時、分を決めます。ここでは1か月ごと、1日、7時、0分にします。その月に存在しない日(2月30日など)は起動しないとされているため、月末ではなく1日を選びます。

タイムゾーンの設定と、ワークフローの公開を必ず確かめてください。 起動時刻はタイムゾーンの設定に左右されます。また、スケジュールで動かすには公開(有効化)が要ります。保存しただけでは動かず、翌月に何も出ていないことで気づきます。

(2)証券が増えた・更新されたとき(証券の読み取り)。 指定のフォルダに証券PDFが置かれたら、読み取りの流れだけを動かします。更新で証券番号が変わるため、この経路で必ず台帳を差し替えます。

(3)大きな異動があったとき(臨時の点検)。 新しい拠点を借りた、規模の大きい工事を受注した、といった件は、月初を待たずに総務が手動で実行します。月次だけだと、月末の異動は最長1か月、無保険のまま置かれます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
保険証券保険会社、証券番号、種類、保険の対象、補償される事故、保険金額、免責金額、期間、特約共有フォルダのPDF、紙をスキャンしたPDF
証券台帳証券番号、保険会社、代理店、種類、期間、前年の証券番号、確定日総務が作る表
固定資産の異動資産番号、名称、資産区分、取得日・除却日、取得価額、設置場所会計システムのCSV
車両の異動登録番号、車種、用途、使用の本拠、増車日・減車日、所有形態(自社・リース)車両管理表
物件の異動物件名、住所、用途、契約開始日・終了日、借主の負担範囲契約台帳
工事の受注工事名、工事場所、請負金額、工期、工種、元請・下請の別受注システムのCSV
前月までの点検結果過去の候補と、総務・財務・代理店の判断点検結果の一覧

証券台帳の「前年の証券番号」の列が、この構成の要です。 この列が無いと、同じ保険の続きであることを機械でたどれません。異動のデータは前月末との差分で作り、会計システムから「異動一覧」を直接出せるならそれを使います。リース資産は固定資産台帳に載らないことがあるため、リース契約の一覧も別に見ます。

Step3

データの取得方法を決める

証券PDF: 共有フォルダ(SharePoint、Google ドライブ)に「保険証券」のフォルダを作って置き、n8n から取得して Azure AI Document Intelligence のレイアウトモデルに送ります。紙しか無い証券は、この時点でスキャンします。

読み取りの出力形式: outputContentFormatmarkdown を指定すると、抽出結果をMarkdown形式で受け取れます。証券の明細表を表の形のまま受け取れるため、保険の対象の一覧が崩れません。 あわせてJSON側の paragraphstables も保持します。ここにページ番号と座標が入っており、該当箇所を示すために使います。 約款や別紙の目録が綴じ込まれている証券では、pages でページ範囲を指定し、本体だけを切り出して渡します。

台帳と受注データ: 月初にCSVを出力します。APIがあればそちらでも構いませんが、月1回30件ならCSVで十分です。 住所の表記ゆれ(「1丁目2番3号」と「1-2-3」)をそろえ、車両は登録番号から記号を抜き、工事は工事場所の住所と工期を突合キーにします。この正規化は機械で行います。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 有効な証券だけに絞る … 異動日が保険期間に入っている証券だけを残します。期間外の証券を渡すと、去年の証券で候補が作られます
  2. 保険の種類で粗く絞る … 車両の増減は自動車保険と賠償責任保険、物件の賃借は火災保険と賠償責任保険、工事の受注は工事保険と賠償責任保険、というように関係し得る種類だけにします
  3. 選択マークと手書きの整理 … 特約欄のチェックを名称と selected / unselected の組にします。信頼度が低いものと手書きの行は「不明」に倒し、人が見る印を付けます
  4. 表記の正規化 … 金額の単位、全角数字、住所の表記をそろえ、表示用には原文を残します
  5. 比率の計算 … 保険金額と取得価額の比率を機械で計算し、AIには数字を渡すだけにします
  6. 前回の判断の突き合わせ … 同じ資産について前回「対象外でよい」と判断されていれば、その結果を一緒に渡します

約款のページは、前処理の段階で外します。 免責事由、通知義務、比例てん補、告知事項の条文は読ませません。証券の欄に「約款による」「別紙のとおり」と書かれている項目は「約款参照」とし、代理店への確認事項に回します。

Step5

AIに処理させる

機械(コード)にさせること:

処理内容
異動の抽出前月末との差分から、取得・除却・増車・減車・賃借・返還・受注・完了を拾う
期間の判定異動日が保険期間に入っているか
種類の絞り込み異動の種類から、関係し得る保険の種類を選ぶ
突合キーと比率住所・登録番号・工事場所の正規化と、保険金額と取得価額の比
引用の検証AIが引用した文字列が、証券の読み取り結果に実在するか

生成AI(Claude API)にさせること:

処理内容
証券の読み取り対象、補償される事故、保険金額、免責金額、期間、特約と、それぞれの該当箇所
対象の範囲の解釈「構内の什器備品一式」「所有、使用または管理する車両」が何を指し得るか
当てはめ異動した資産が、どの証券の対象の記載に当てはまり得るか
重複・除外もれ同じ損害を2本で見ていそうな組み合わせ、除却したのに明細に残っていそうなもの
確認事項の文案代理店に聞くべきことを、そのまま送れる文にする

させないことを、先に決めておきます。

  • 保険に入るべきかどうかの判断
  • いまの補償で足りているかどうかの判断
  • 「補償されます」「補償されません」という断定
  • 約款の免責事由、通知義務、比例てん補、告知の要否の解釈
  • 保険金額が過大・過少であるという断定

最後の1つは、特に線を引いてください。 保険金額が資産の価値に見合っているかは、再調達価額で見るのか時価で見るのかといった評価の基準で変わります。AIには比率の数字を並べさせるだけにし、「過大」「過少」という言葉を使わせません。

Step6

指示内容を固定する

(A)証券の読み取り

あなたは損害保険の証券を読み取る担当者です。
下の証券のテキスト(ページ番号と段落番号つき)から、指定した項目だけを書き出してください。

【厳守事項】
- 値は証券の文字列をそのまま写し、言い換え・要約・推測をしないでください。
  補償されるかどうか、保険が十分かどうかの判断もしないでください。写すだけです。
- 値ごとに source_ref を付け、page(ページ番号)、block(段落番号または表の行と列)、
  quote(該当箇所の原文)を書いてください。quote は一字一句そのまま写してください。
- 書かれていない項目は "記載なし"、読み取れなかった欄は unreadable に入れてください。
- 約款の条文(免責事由、通知義務、比例てん補、告知事項)は読み取らないでください。
  欄に「約款による」「別紙のとおり」とある項目は値を "約款参照" とし、
  agent_questions に代理店へ確認する項目として書いてください。
- 特約は証券に名称が印字されているものだけを書き、
  チェック欄の印が読み取れない場合は checked を "不明" にしてください。
- 金額は、単位と、1事故あたりか保険期間中かの別を、証券の表記のまま写してください。

【読み取る項目】
保険会社 / 証券番号 / 保険の種類 / 保険期間(始期・終期)
保険の対象(明細表があれば1行ずつ。範囲で書かれていればその文のまま)
補償される事故 / 保険金額(項目ごと) / 免責金額(項目ごと) / 特約(名称とチェックの有無)

【手書きと判定された箇所】{handwritten_blocks} 【選択マーク】{selection_marks}
【証券のテキスト】{policy_text}

(B)異動との突き合わせ

あなたは、会社の資産・車両・契約の異動が、いまの保険証券の対象に入っているかを点検する担当者です。
下の異動1件について、付保漏れの候補と重複の候補を挙げてください。

【厳守事項】
- あなたが出すのは候補です。保険に入るべきか、いまの保険で足りているかを判断しないでください。
- 「補償されます」「補償されません」と断定しないでください。書けるのは
  「証券の対象の記載に当てはまる可能性がある/当てはまらない可能性がある」までです。
- 根拠には必ず証券の該当箇所(policy_no、page、quote)を引用してください。
  引用は与えた読み取り結果からそのまま写し、証券に無い文言を作らないでください。
- 証券の文面だけで決められない場合は status を "要確認" にし、
  agent_questions に代理店へ聞く文を書いてください。免責事由、通知義務、比例てん補、
  告知の要否も判断せず、agent_questions に回してください。
- 重複の候補は、同じ損害が2本以上の証券で見られている可能性がある組み合わせを挙げ、
  どちらを解約すべきかは書かないでください。
- amount_ratio は与えられた比率の数字をそのまま書き写し、
  「過大」「過少」「妥当」という言葉を使わないでください。
- 当てはまる証券が1本も無い場合は no_matching_policy を true にしてください。
  無理にどれかの証券へ結び付けないでください。
- 判断に必要な情報が異動側に無い場合は data_gaps に書いてください。

【候補の種類】付保漏れ(対象にも当てはまらない)/重複(2本以上で見られている)/
除外もれ(除却・減車・返還したものが明細に残っている)

【今日の日付】{today} 【異動の内容】{movement}
【異動日に有効な証券の読み取り結果】{policies}
【機械で計算した比率】{ratios} 【前回の判断】{previous_decision}

「そのまま写す」と「作らない」を繰り返している理由は、証券に無い補償を書かせないためです。 保険の文書は言い回しが定型的なので、生成AIは「それらしい」条文を書けてしまいます。それを総務が読んで安心することが、この業務で最も避けたい誤りです。「要確認」という逃げ道も必ず用意してください。 決められないものを決められないと言わせるほうが、代理店への確認は速く進みます。

Step7

出力形式を固定する

(A)証券の読み取り

{
  "policy_no": "",
  "insurer": "",
  "agency": "",
  "policy_type": "火災保険 | 賠償責任保険 | 工事保険 | 自動車保険 | 動産総合保険 | 機械保険 | その他",
  "period_from": "",
  "period_to": "",
  "insured_objects": [{"description": "", "location": "", "source_ref": {}}],
  "covered_events": [{"description": "", "source_ref": {}}],
  "sum_insured": [{"item": "", "amount_text": "",
                   "basis": "1事故あたり | 保険期間中 | 1敷地内 | 記載なし", "source_ref": {}}],
  "deductible": [{"item": "", "amount_text": "", "source_ref": {}}],
  "endorsements": [{"name": "", "checked": "あり | なし | 不明", "source_ref": {}}],
  "agent_questions": [],
  "unreadable": []
}
// source_ref は共通で {"page": 0, "block": "", "quote": ""}

(B)異動との突き合わせ

{
  "movement_id": "",
  "movement_type": "資産の取得 | 資産の除却 | 車両の増車 | 車両の減車 | 物件の賃借 | 物件の返還 | 工事の受注 | 工事の完了",
  "no_matching_policy": false,
  "candidates": [
    {
      "kind": "付保漏れの候補 | 重複の候補 | 対象からの除外もれの候補",
      "policy_no": "",
      "status": "当てはまる可能性がある | 当てはまらない可能性がある | 要確認",
      "reason": "",
      "source_ref": {"policy_no": "", "page": 0, "quote": ""},
      "amount_ratio": "",
      "priority": "高 | 中 | 低"
    }
  ],
  "agent_questions": [],
  "data_gaps": []
}

Claude API では、output_config.formattype: "json_schema" とスキーマを渡すと、応答をスキーマに沿った形に制約できます。policy_type basis checked kind status priorityenum で固定します。 表記が毎回変わると、一覧での絞り込みができなくなるためです。ただし文字列の長さや数値の範囲の制約はスキーマでは使えないとされているため、quote が空でないことは後段の処理で確かめます。

source_ref の検証を必ず入れてください。 quote の文字列が、その page の読み取り結果に実際に含まれるかを機械で確かめ、含まれなければ候補を捨てます。証券に無い文言を根拠にした候補を、総務に見せないためです。

Step8

システムへ連携する

点検結果の一覧をスプレッドシートに作ります。1行を1つの候補にします。

中身
点検日 / 異動ID / 異動の種類基本情報
対象(資産名・車両・物件・工事名)異動データから
候補の種類 / 優先度AIの判定
証券番号 / 保険会社 / 代理店証券台帳から
証券の該当箇所 / 判定の理由source_refreason
保険金額と取得価額の比機械の計算値(目安)
総務の確認人が入れる(妥当/誤り/保留)
財務の判断人が入れる(代理店に確認/対応不要/継続検討)
代理店の回答 / 結果人が入れる(回答日と内容、付保した/整理した/対応不要)

代理店への確認事項は、代理店ごとに別のシートにまとめます。 3社に分かれているため、1社ずつの確認票にしたほうがそのまま送れます。AIが書いた文案をそのまま送らず、総務が読んでから送ってください。

証券台帳への書き込みは、読み取りの流れからのみ行います。 点検で「証券の対象に書かれていない」と分かっても、台帳は直しません。台帳は証券の写しだからです。

Step9

人が確認する

確認は3段に分けます。

総務(毎月): 候補の根拠になった証券の該当箇所を開き、引用が証券のとおりかを確かめます。ページ番号と座標が残っているため、証券PDFの該当ページをその位置で開けます。

財務(毎月): 残った候補の優先順位を決めます。材料は、資産の金額、事故が起きたときの影響、保険料の見込みです。 全部を代理店に投げると回答が遅くなるため、月に数件に絞ります。

代理店(都度): 対象に入るかどうか、約款上の扱い、通知義務の有無を確認します。ここが最終の判断です。 社内で「入っているはず」と結論を出さないでください。

確認を速くするための設計が効きます。

  • 証券の該当箇所を、証券PDFのページと位置で開けるようにする
  • 同じ資産についての前回の判断を、候補の横に出す
  • 「対応不要」と判断した理由を残し、翌月以降は同じ候補を下げて表示する
  • 優先度の高い候補を、一覧の最上部に固定する

3つ目が効きます。 除却した設備や、リース会社が保険を付けている機械は、毎月同じ候補として出続けます。判断の履歴が無いと、毎月同じことを調べ直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
証券PDFにパスワードが掛かっている読み取り前に解除する。解除できなければ代理店に解除版を依頼する
証券のスキャンが傾いている・薄い傾きの角度と読み取りの信頼度を見て、低いページは人が見る一覧へ
保険の対象が「別紙目録のとおり」目録のPDFを別に読み取る。目録が無ければ「約款参照」として代理店へ
特約のチェックや手書きの追記が読み取れないchecked を "不明" にし、その証券は総務が目で確かめる
更新で証券番号が変わった「前年の証券番号」でつなぐ。つながらない証券は総務が手で結ぶ
異動日に有効な証券が1本も無い保険が切れている可能性。その日のうちに総務へ通知する
AIの引用が読み取り結果に無いその候補を捨て、件数だけ記録する
会計システムのCSVが出ていない差分が取れないため処理を止め、総務へ通知する
工事の受注データに工事場所が無いdata_gaps に入れ、候補を作らずに人へ回す

n8n では、失敗したときの通知を別のワークフローに任せられます。 Error Trigger ノードを最初に置いたワークフローを作り、本体の設定(Workflow Settings)の「Error workflow」に指定します。そのワークフローには、実行ID、実行のURL、エラーメッセージ、どのノードで失敗したか、実行モード、リトライの情報が渡ります。 通知にこれを載せると、担当者は実行のURLから失敗した箇所を直接開けます。

エラーワークフローは手動ではテストできず、自動の実行が失敗したときにだけ起動します。 Stop And Error ノードを使うと自分で決めた条件で実行を失敗させられるので、「証券の読み取りが3本以上失敗した」「有効な証券が1本も無い異動が出た」といった、処理は通るが人が気づくべき状態も通知に乗せられます。

Step11

記録を残す

この記録は、保険の見直しを代理店と話すときの材料になります。

  • 各証券の読み取り結果と、総務が確定させた日、読み取れなかった欄
  • 月ごとの異動の件数と、候補の件数(種類別)
  • 候補ごとの、総務の確認、財務の判断、代理店の回答、最終の結果
  • 代理店へ確認した項目と、回答までの日数。AIの引用が一致しなかった件数
  • 異動が起きてから、付保や整理が完了するまでの日数

「異動から付保までの日数」を必ず残してください。 設備を入れてから保険の対象に入るまで何日かかるかが分かると、購買や現場の手続きに「総務への連絡」を組み込む根拠になります。 種類ごとの件数の推移も見てください。重複の候補が多いなら、保険の設計そのものを代理店と見直す時期です。

04実装レベルの3段階

最小構成:証券と異動を生成AIの画面に貼り付け、読み取りと突き合わせをさせる / 読み取りと突合
半自動化:証券をOCRにかけて読み取り、月次で異動を取り込み、候補を一覧に出すまで / 異動の取り込みと候補の作成
本格構成:上記+更新時の証券の差し替え+代理店への確認票の作成+異動から付保までの日数の記録 / 確認の進み具合まで

半自動化の時点で、20分が8〜9分程度になります。 証券を探す時間と読む時間が消えるためです。本格構成で7.0分になりますが、減るのは確認票を作る手間と、前回の判断を探す手間です。 まず半自動化をおすすめします。 月30件という件数では、本格構成まで作り込んでも削減できる時間は限られます。先に効くのは、証券8本を読み取って台帳にする最初の一度の作業です。 ここが終われば、毎月の点検は表の突き合わせに変わります。 本格構成の価値は、時間ではなく記録にあります。 異動から付保までの日数と、代理店への確認の進み具合が残るため、更新の商談で「この1年で何が漏れていたか」を数字で話せます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
30 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
7 分
現在  30件 × 20分 ÷ 60 = 10 時間/月
導入後 30件 × 7分 ÷ 60 = 3.5 時間/月
月間削減時間
6.5h
削減率
65%
年間削減時間
78h
年間金額換算(時間単価4,000円)
31万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 火災保険、賠償責任保険、工事保険、自動車保険、動産総合保険などを、別々の時期に別々の代理店を通じて契約している企業。固定資産台帳、車両管理表、契約台帳、受注システムが別々にあり、設備の取得や車両の増減、倉庫の賃借、工事の受注が月に数十件発生する場合。保険証券がPDFかスキャンで揃っていて、証券台帳を作る手間を最初に一度だけかけられる場合。
向いていない
  1. 保険が1〜2本で、対象が包括的に書かれており、資産が増えても証券を見直す必要がない場合。証券が紙だけで、スキャンする体制も予定も無い場合。代理店が1社で、資産や車両の異動を月次で代理店へ共有する仕組みが既にでき、付保漏れが実際に起きていない場合。保険の要否や補償の当否そのものを機械に決めさせたい場合(この構成は候補を出すまでで、判断はしません)。

07最小構成で試す方法

  1. 証券8本のうち、火災保険・賠償責任保険・自動車保険の3本を選び、PDFを用意する
  2. 3本を生成AIの画面に貼り付け、(A)のプロンプトで対象・補償・保険金額・免責金額・期間・特約を書き出させる
  3. 総務が、書き出された内容を証券と1行ずつ照らして直し、3本ぶんの証券台帳を作る
  4. 直近3か月の異動から20件を選び、1件ずつ(B)のプロンプトに貼り付けて候補を出させる
  5. 出た候補を、総務が証券の該当箇所で確かめる

見るのは次の3点です。

見る点判断
読み取りのうち、直す必要があった箇所の数1本あたり数か所を超えるなら、証券の様式ごとに渡し方を変える
引用が証券の文言と一致しているか一致しないものがあれば、機械での検証を必ず入れる
総務が知っていた付保漏れを、拾えたか拾えないなら、対象の読み取りが粗い可能性

3つ目のために、試す前に総務が「これは入っていないはず」という資産を2〜3件書き出しておいてください。 AIの結果と突き合わせると、取りこぼしの原因が分かります。

ワークフローを作らずに、ここまでは試せます。所要は2〜3日です。月30件・証券8本という規模なら、この最小構成のまま毎月続けることもできます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
証券の様式が保険会社ごとに違い、読み取りがそろわない明細表の証券と範囲記載の証券で、渡し方と項目の取り方を分ける
更新で証券番号が変わり、去年の候補とつながらない証券台帳に「前年の証券番号」の列を作り、系列でつなぐ
期限切れの証券で候補が作られる異動日が保険期間に入っている証券だけに前処理で絞る
AIが証券に無い補償を書く引用を機械で検証し、一致しないものを捨てる
「補償されます」と断定した文が出るプロンプトで断定を禁じ、status を3つの値に固定する
保険金額の過大・過少をAIが判断してしまう比率は機械で計算し、AIには数字を写させるだけにする
約款の話が候補に混ざる約款のページを前処理で外し、確認事項として代理店へ回す
同じ候補が毎月出続ける判断の履歴を候補の横に出し、証券台帳に理由を残す
夜中や想定外の時刻に動くタイムゾーンの設定を確かめる
翌月になっても何も出ていないワークフローを公開(有効化)したかを確かめる
リース資産の保険の負担者が分からないリース契約書の保険条項を、人が確認する項目として出す

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 保険証券(保険会社、証券番号、保険料、契約者と被保険者の情報)、固定資産台帳、車両管理表、契約台帳、受注データ(工事名、工事場所、請負金額)。公開情報はほとんど含まれません。

  1. 請負金額と取引先の情報 … 受注データには、工事名から取引先が分かるものが含まれます。必要なのは工事場所、工期、工種、請負金額の規模です。取引先名が不要なら渡す前に外してください
  2. 保険料と料率 … 証券には保険料が印字されています。使うのは対象・補償・保険金額・免責金額・期間・特約であり、保険料は読み取る必要がありません。 前処理で欄ごと外せます
  3. 個人情報 … 車両管理表には使用者の氏名が、証券には役員の氏名が入ることがあります。照合に不要な列は渡さないでください
  4. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます。証券と資産の一覧は、会社の資産構成そのものです
  5. 接続の権限 … 会計システム、車両管理表、契約台帳、受注システムには、読み取り専用の権限で接続します
  6. 証券の保管場所 … 読み取り前後のPDFを置くフォルダの閲覧者を、総務・財務に限ります。共有リンクを作らない運用にしてください
  7. 誤った安心を与えないこと … 出力は候補であり、保険の効力を保証しません。一覧の各行と画面に「候補です。補償の可否は代理店の確認によります」と明記してください。 「一覧に出ていないから大丈夫」と読まれることが、最も危険な誤解です
  8. 自動実行してよい範囲 … 証券の読み取り、異動の取り込み、絞り込み、候補の作成、一覧への追記、通知までです。保険の申込・変更・解約、代理店への送信、台帳の書き換えは人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、証券に無い補償を根拠にして「入っている」と判断してしまうこと、逆に誤った候補で不要な保険を増やすこと、資産構成や請負金額が外部へ出ることです。1番目が最も重いため、引用の検証と、代理店の確認を最終段に置く設計を外さないでください。

10まず何から始めるか

1週目:証券を集めて、揃っているかを確かめる

契約している保険を代理店ごとに洗い出し、今有効な証券がPDFで揃っているかを確認します。紙しか無いものはスキャンし、パスワードの掛かっているPDFは解除版を依頼します。 ここで「あるはずの証券が見つからない」ことが分かる場合があります。

2週目:3本の証券で読み取りを試す

火災保険・賠償責任保険・自動車保険の3本で、最小構成を試します。総務が読み取り結果を証券と1行ずつ照らし、直した箇所を数えます。 様式ごとの癖が分かります。

3週目:残りの証券を読み取り、証券台帳を作る

8本ぶんの読み取りを終え、総務が確定させます。「前年の証券番号」の列を必ず作ってください。 あわせて、各システムから月末時点のデータを出力する手順を決めます。

4週目以降: 直近3か月の異動で突き合わせを試し、出た候補を総務と財務で確かめます。このとき出た付保漏れの候補が、最初の成果になります。 代理店への確認票を作り、3社に送ります。

2か月目以降: n8n で月次の半自動化を組みます。証券が更新されたときの差し替えの手順を、同時に決めてください。 更新は年に数回しかないため、手順が無いと次の更新で台帳が古くなります。

6か月目以降: 候補の種類ごとの件数と、異動から付保までの日数を振り返ります。付保漏れの候補が特定の部門から続けて出るなら、購買や現場の手続きに「総務への連絡」を組み込みます。 ここまで来ると、この仕組みは漏れを見つける道具から、漏れが生まれない手続きを決める道具になります。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-24/最終更新:2026-09-24
確認した内容情報源確認日
起動の間隔を秒から月まで、または cron式で指定できること。月の間隔では日(1〜31)・時・分を指定し、その日が無い月には起動しないこと。公開が必要で、タイムゾーンの設定が実行時刻に影響することn8n Docs: Schedule Trigger2026-09-24
Error Trigger を置いたワークフローを本体の設定の「Error workflow」に指定すると失敗時に起動し、実行ID、実行のURL、エラーメッセージ、失敗したノード、実行モード、リトライの情報を受け取れること。手動ではテストできないことn8n Docs: Error Trigger2026-09-24
Stop And Error ノードで、決めた条件のときに実行を失敗させてエラーワークフローを起動できることn8n Docs: Handle errors gracefully2026-09-24
レイアウトモデル(prebuilt-layout)がページ・段落・選択マーク・表・図・セクションを抽出し、段落や表のセルに境界の座標が付くこと。選択マークが selected / unselected と信頼度で、手書きが isHandwritten で返ること。outputContentFormat に markdown を、pages にページ範囲を指定できること。パスワード保護のPDFは解除が必要なことMicrosoft Learn: ドキュメント レイアウト分析2026-09-24
output_config.formattype: "json_schema" とスキーマを渡すと応答を制約できること。enum が使えること。文字列の長さと数値の範囲の制約は使えないことClaude Docs: Structured outputs2026-09-24

保険証券の様式、保険の対象の書き方、特約の欄の作りは、保険会社と契約の内容によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 個別の保険で補償されるかどうか、約款上の扱い、保険金額が適切かどうかは、この仕組みでは判断しません。必ず保険会社または代理店に確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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