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官報に毎日載る破産・合併・解散の公告を取引先の名簿と照らし、当てはまる取引先と申出の期限を与信の担当に知らせる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

毎日発行される官報から、法人の破産手続開始・合併・解散の公告を取り出し、取引先の名簿と照らします。当てはまった取引先について、届出や異議の期限と売掛金の残高を並べ、与信の担当に知らせます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
商社/建設/物流/製造
対象部門
営業/財務
対象業務
内容確認・チェック/情報検索
主な課題
人手が足りない/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
エージェント
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
25h/月
AI導入後
5h/月
想定削減
80%
年間削減
240h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 毎朝、官報発行サイトで当日の本紙と号外を開く
  2. 目次から、破産、特別清算、合併、解散などの公告の欄を探す
  3. 公告に載った会社名を1件ずつ読み、取引先の名簿をスプレッドシートの検索で引く
  4. 名前が似た取引先があれば、所在地を見比べる。判断がつかなければ、営業の担当に聞く
  5. 当てはまった取引先について、販売管理の仕組みで売掛金の残高と受注残を見る
  6. 公告から期限(債権の届出の期間、異議を述べられる期間)を書き写し、財務部長と営業の担当にメールで知らせる
  7. 期限を与信の管理表に書く
導入後(After)
  1. 自動官報サービスセンターから届く当日の官報のPDF(または担当者が保存したPDF)を、ワークフローが取り込む
  2. 自動PDFから文字を取り出し、公告を1件ずつに分け、破産・特別清算・合併・解散などの種類の言葉で絞る
  3. 自動公告の会社名を正規化し、取引先の名簿と突き合わせて候補を作る
  4. 自動前日分の法人番号の変更の情報(閉鎖、商号・所在地の変更)を取り、取引先の法人番号と照らす
  5. 自動エージェントが、候補ごとに道具で名簿・法人番号の情報・残高を引き、同じ会社かを確かめ、公告の種類と期限を原文の箇所付きで取り出す
  6. 自動午前10時に、当てはまった取引先と要確認の候補の一覧を与信の担当に通知する。0件の日も「0件」と送る
  7. 人与信の担当が、一覧の「一致」と「要確認」を原文と見比べて確かめる
  8. 人確かめた先について、営業の担当と財務部長に知らせ、出荷の扱い・債権の届出・異議の要否を決める
  9. 自動期限の5営業日前に、対応の記録が無い先を通知する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 毎朝、官報発行サイトで当日の本紙と号外を開く
  2. 目次から、破産、特別清算、合併、解散などの公告の欄を探す
  3. 公告に載った会社名を1件ずつ読み、取引先の名簿をスプレッドシートの検索で引く
  4. 名前が似た取引先があれば、所在地を見比べる。判断がつかなければ、営業の担当に聞く
  5. 当てはまった取引先について、販売管理の仕組みで売掛金の残高と受注残を見る
  6. 公告から期限(債権の届出の期間、異議を述べられる期間)を書き写し、財務部長と営業の担当にメールで知らせる
  7. 期限を与信の管理表に書く

(a)毎朝の確認に1時間以上かかる。 公告の数が多い日は、名前を1件ずつ名簿で引くだけで時間がなくなります。月末や決算の時期は公告が増え、担当者の出張や休みの日は確認が抜けます。

(b)似た名前で取り違える。 「株式会社〇〇」と「〇〇株式会社」、旧商号のまま名簿に残っている取引先、支店の住所で登録している取引先。名前だけで見ると、見落としと取り違えの両方が起きます。

(c)期限が公告の中に埋もれる。 合併の公告には異議を述べられる期間、解散の公告には債権を申し出る期間、破産の公告には破産債権の届出の期間が書かれています。どれも書き方が違い、書き写しを誤ると、届け出の機会をなくします。

(d)合併と商号の変更が名簿に反映されない。 取引先が合併で消えても、名簿は古い名前のまま残ります。次に公告が出たとき、名簿で引けなくなります。

  1. 【自動】 官報サービスセンターから届く当日の官報のPDF(または担当者が保存したPDF)を、ワークフローが取り込む
  2. 【自動】 PDFから文字を取り出し、公告を1件ずつに分け、破産・特別清算・合併・解散などの種類の言葉で絞る
  3. 【自動】 公告の会社名を正規化し、取引先の名簿と突き合わせて候補を作る
  4. 【自動】 前日分の法人番号の変更の情報(閉鎖、商号・所在地の変更)を取り、取引先の法人番号と照らす
  5. 【自動】 エージェントが、候補ごとに道具で名簿・法人番号の情報・残高を引き、同じ会社かを確かめ、公告の種類と期限を原文の箇所付きで取り出す
  6. 【自動】 午前10時に、当てはまった取引先と要確認の候補の一覧を与信の担当に通知する。0件の日も「0件」と送る
  7. 【人】 与信の担当が、一覧の「一致」と「要確認」を原文と見比べて確かめる
  8. 【人】 確かめた先について、営業の担当と財務部長に知らせ、出荷の扱い・債権の届出・異議の要否を決める
  9. 【自動】 期限の5営業日前に、対応の記録が無い先を通知する

7番目が、この設計の分かれ目です。 エージェントが「一致」と判定しても、取引を止めるかどうかを決める前に、公告の原文と名簿を人が見比べます。

6番目で0件の日にも知らせるのは、止まったことに気づくためです。 通知が来ない朝が、0件なのか、PDFが届かなかったのか。区別できないと、確認が抜けた日に誰も気づきません。

02今回想定するシステム構成

構成図
官報サービスセンター(電子媒体でのPDFの提供)
   └─ または【人】担当者が毎朝PDFを保存して所定のアドレスへ送る
   │
   ▼【トリガー】n8n の Gmail Trigger(ラベル「官報」)
n8n のワークフロー
   ├──▶ Extract From File(Extract From PDF)で文字を取り出す
   ├──▶ 公告を1件ずつに分け、種類の言葉で絞る
   ├──▶ 会社名を正規化して取引先の名簿と突き合わせ(候補)
   ├──▶ 国税庁 法人番号システム Web-API(前日分の変更の情報)
   ▼
AI Agent ノード(Tools Agent)+ Claude
   │  候補ごとに道具で引いて確かめる
   │   ・取引先の名簿を引く     ・法人番号の情報を引く
   │   ・残高と受注残を引く     ・過去の通知を引く
   ▼
一致/要確認/別の会社 + 公告の種類と期限(原文の箇所付き)
   ▼【トリガー】Schedule Trigger(毎朝10時、Asia/Tokyo)
与信の担当への通知 → 【人】原文と見比べて判断
役割想定する製品代替候補
ワークフローn8nMake、Zapier、Power Automate
生成AIClaude API(n8n の Anthropic Chat Model ノード)OpenAI API、Gemini API
連携国税庁 法人番号システム Web-API法人番号の基本3情報の差分ダウンロード
保管n8n の Data table(候補・通知・期限の記録)PostgreSQL
通知社内チャットメール

官報発行サイトを巡回する部品は、この構成にありません。 官報発行サイトの「ご利用に当たって」では、検索ロボットやクローラによるデータ収集等のサイトに負荷をかける行為を禁止しています。PDFは、官報サービスセンターから受け取るか、担当者が毎朝ブラウザで保存します。

官報サービスセンターの一覧のページには、官報発行サイトに掲載された官報のPDFファイルの提供に対応している事業者が書かれています。 東京官書普及株式会社(DVDまたはメール送付)と株式会社かんぽう(メール送付)です。料金と、毎日届けてもらえるかは、事業者に確かめます。 確かめられないうちは、担当者が毎朝保存する方式で始めます。

取引先の変化は、法人番号の側からも拾います。 国税庁の法人番号システム Web-API には、指定した期間の法人番号の指定、商号・所在地の変更、登記記録の閉鎖等の事由に係る情報を取得する機能があります。合併で消えた取引先や、清算が終わった取引先を、官報とは別の経路で見つけられます。

エージェントには Claude を使います。 名前の表記ゆれ、旧商号、支店の住所といった「同じ会社か」の判断は、規則だけでは書き切れません。ただし、判断の材料は道具が返す名簿と法人番号の情報に限ります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

トリガーは2つです。官報のPDFが届いたときと、毎朝の通知です。

届いたときに動く側は、n8n の Gmail Trigger です。ノードのフィルタには、ラベル、Gmail の検索式、既読・未読、送り主の指定があります。官報サービスセンターの送り主と、担当者がPDFを送るアドレスに、Gmail の側でラベル「官報」を付け、そのラベルで絞ります。 既読の状態は既定の「未読のみ」のままにし、処理が終わったら既読にします。

担当者が保存する方式なら、官報の発行(午前8時30分)の後に、本紙と号外のPDFを保存して所定のアドレスへ送ります。 1日1回、人がブラウザで開いて保存する操作で、巡回ではありません。

毎朝の通知は Schedule Trigger で、営業日の午前10時に動かします。ワークフローのタイムゾーンは Asia/Tokyo にします。10時までにその日のPDFが取り込まれていなければ、「本日分の官報が未着」と通知します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
当日の官報のPDF本紙・号外。発行日と号官報サービスセンターのメール、または担当者が保存したもの
取引先の名簿取引先コード、法人番号、正式な商号、旧商号、本店の所在地、営業の担当者スプレッドシートを Data table に写したもの
法人番号の変更の情報法人番号、変更の事由(閉鎖、商号の変更、所在地の変更)、変更の日法人番号システム Web-API
残高と受注残取引先ごとの売掛金残高、受注残、手形の期日販売管理の仕組みの毎晩の書き出し
過去の通知過去に知らせた公告と、行った対応Data table

質を決めるのは、名簿の法人番号の列です。 法人番号が埋まっていれば、法人番号の変更の情報との照合は機械で確実に済みます。空欄の取引先は、名前と所在地でしか照らせず、「要確認」が増えます。 最初の準備は、名簿の法人番号を埋めることです。

旧商号の列は、合併や商号の変更のたびに足していきます。 公告には、合併で消える会社の商号が書かれます。名簿に旧商号を残しておけば、名前が変わった取引先の過去の公告とも結び付けられます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
官報のPDFGmail Trigger(ラベル「官報」)公告の原文
PDFの文字Extract From File の Extract From PDF公告の切り出し
法人番号の変更の情報HTTP Request で法人番号システム Web-API(取得期間を指定する機能)閉鎖・商号・所在地の変更
1社分の法人の情報同 Web-API(法人番号を指定する機能。変更履歴も)エージェントの道具
名簿・残高・過去の通知Data tableエージェントの道具

法人番号システム Web-API の利用には、アプリケーションIDが要ります。 国税庁のページでは、発行に費用は掛からないものの、2週間から1か月程度かかるとされています。最初の週に申請しておきます。Web-API の機能では全件のデータは取得できないとされているので、名簿の法人番号の埋め直しには、基本3情報のダウンロードを別に使います。

取得期間を指定する機能は、前営業日の分を毎朝1回だけ呼びます。 所在地や法人種別の条件で絞り込めるので、取引先の多い都道府県に絞ることもできます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. PDFの確認 … 発行日と号が当日のものか、本紙と号外がそろっているかを確かめます
  2. 文字の取り出し … PDFから文字を取り出し、取り出せた文字が極端に少ないページは、画像化された記事と見なして読みません
  3. 公告の切り出し … 見出しと罫線の位置で、公告を1件ずつに分けます
  4. 種類の言葉で絞る … 「破産手続開始」「特別清算開始」「合併公告」「解散公告」「債権申出の催告」などの言葉を含むものだけを残します
  5. 会社名の正規化 … 「株式会社」「(株)」の位置、全角と半角、スペースをそろえます
  6. 候補の作成 … 正規化した会社名で名簿の商号と旧商号を引き、一致または部分一致したものを候補にします
  7. 法人番号の照合 … 前日分の変更の情報に、名簿の法人番号と一致するものがあれば、候補に加えます

2番目は、意図して読まない部分を作っています。 官報発行サイトでは、特定の個人を対象とした処分に係る記事等は、プライバシーへの配慮のため画像化してテキストの抽出や検索を困難にしているとされています。この構成は、画像化された記事を光学的に読み取ることをしません。 個人事業主の取引先は、信用調査会社のサービスで見ます。

6番目で候補を作るのは、エージェントに全部の公告を読ませないためです。 数十件の公告を毎日エージェントに渡すと、関係の無い公告まで「似ている」と判断し始めます。候補を作るところまでは、規則で絞ります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、候補1件ごとに、同じ会社かを道具で確かめ、公告の種類と期限を原文の箇所付きで取り出すことです。

組み立てるもの中身
照合の結果一致/要確認/別の会社と、その根拠(法人番号、所在地、旧商号のどれで確かめたか)
公告の種類破産手続開始/特別清算開始/合併(消滅する側か、存続する側か)/解散/その他
期限と日付破産債権の届出の期間、債権者集会の期日、異議を述べられる期間、債権を申し出る期間を、原文の箇所付きで
残高道具が返した売掛金残高と受注残
道具中身呼ぶ場面
find_customer正規化した名前・旧商号・所在地で名簿を引き、取引先コードと法人番号を返すすべての候補
get_corporate_info法人番号を指定して、法人番号システムから商号・所在地・変更履歴を返す名簿に法人番号があるとき
get_exposure取引先コードで売掛金残高・受注残・手形の期日を返す一致または要確認のとき
get_past_alerts同じ取引先の過去の通知と対応すべての候補

同じ会社かの判断は、次の順で行わせます。 名簿に法人番号があれば、法人番号システムの商号・所在地の履歴と公告の商号・所在地を見比べます。法人番号が無ければ、所在地が市区町村まで一致するかを見ます。 どちらでも確かめられなければ「要確認」です。

させないこと理由
取引を止めるか、債権を届け出るかの判断財務部長と営業が決める
期限の計算や読み替え公告に書かれた期間を写す。公告の日から数えて出さない
名前だけでの「一致」似た名前の別会社で取引を止める失敗は、取り返しがつかない
画像化された記事の読み取り個人を対象とした記事への配慮を外さない
名簿への書き込み道具に書き込みの操作を持たせない

2行目が見落とされやすい失敗です。 合併の公告では、会社法が異議を述べられる期間を1か月以上と定めていますが、実際の期間は公告に書かれた日付で決まります。 「1か月後」と計算させると、公告より短い期限で動くか、逆に期限を過ぎます。

Step6

指示内容を固定する

AI Agent ノードの System Message に次を入れます。

あなたは商社の与信管理の担当として、官報の公告が自社の取引先のものかを確かめ、
公告の種類と期限を取り出す立場です。

【同じ会社かの確かめ方】
- まず find_customer で名簿を引いてください。
- 名簿に法人番号があれば get_corporate_info を呼び、公告の商号・本店の所在地と、
  法人番号の情報の商号・所在地(変更履歴を含む)を見比べてください。
- 法人番号が無ければ、公告の本店の所在地と名簿の所在地が市区町村まで一致するかを
  見てください。
- 名前だけが一致し、所在地も法人番号も確かめられないときは、
  match を "needs_review" にしてください。"match" にしないでください。

【公告から取り出すもの】
- 公告の種類(bankruptcy / special_liquidation / merger / dissolution / other)。
  合併では、取引先が消滅する側か存続する側かも書いてください。
- 期限と日付は、公告に書かれた日付をそのまま写し、
  根拠にした原文を quote に入れてください。
- 期限を計算しないでください。公告の日から何日後、のように数えないでください。
  公告に期限が書かれていなければ、deadline を空にし、deadline_missing を true にしてください。

【書かないこと】
- 取引を止めるべきか、債権を届け出るべきかを書かないでください。
- 残高は get_exposure が返した値だけを書いてください。
- 公告に書かれていない事情(業績の悪化など)を推測で書かないでください。

【公告】
発行日:{issue_date} / 号:{issue_no} / ページ:{page}
本文:{notice_text}
【候補になった理由】{candidate_reason}

「名前だけなら needs_review」を書かないと、ほぼ必ず match になります。 公告の商号と名簿の商号が一字一句同じなら、エージェントは自信を持って一致と書きます。全国に同じ商号の会社があることは、名簿の中からは見えません。

「期限を計算しない」と「無ければ空にする」を組で書くのは、片方だけだと抜け道があるからです。 計算を禁じるだけだと、「おおむね1か月以内」のように、計算ではない形で期限らしいものを書きます。

Step7

出力形式を固定する

Tools Agent の「Require Specific Output Format」を有効にし、Structured Output Parser をつなぎます。 次の形のJSONで受け取ります。

{
  "issue_date": "",
  "page": "",
  "notice_type": "bankruptcy | special_liquidation | merger | dissolution | other",
  "merger_role": "absorbed | surviving | none",
  "customer_code": "",
  "corporate_number": "",
  "match": "match | needs_review | different",
  "match_basis": "corporate_number | address | former_name | name_only",
  "dates": [
    { "kind": "claim_filing | objection | creditor_meeting | claim_notice | other",
      "date_text": "", "quote": "" }
  ],
  "deadline_missing": false,
  "exposure": { "receivable": 0, "order_backlog": 0, "as_of": "" },
  "notes": ""
}

1つ目の理由は、match と match_basis を分けられることです。 「一致」でも、法人番号で確かめたものと所在地で確かめたものでは重みが違います。name_only の一致は、ワークフローの規則で必ず needs_review に落とします。 エージェントの判定を規則で上書きできるようにしておきます。

2つ目は、date_text と quote で期限を原文のまま持てることです。 期限を日付の型に直すのはワークフローの側で行い、直せなかったものは人に回します。 和暦の書き方や「本公告掲載の翌日から」のような書き方を、エージェントに解釈させません。

3つ目は、exposure.as_of で残高の時点が分かることです。 前の晩の書き出しが失敗していれば、時点が古いことが一覧の上で分かります。

一覧の優先度付ける条件(ワークフローの規則)
至急match かつ破産・特別清算で、売掛金残高か受注残がある
高match で、期限が10営業日以内
要確認needs_review、または deadline_missing が true
記録のみdifferent(同じ名前の別会社だったもの)
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
GmailGmail Trigger(ラベル「官報」・未読)官報のPDF
官報のPDFExtract From File(Extract From PDF)文字の取り出し
法人番号システム Web-APIHTTP Request(道具としても使う)変更の情報と1社分の情報
取引先の名簿・残高・過去の通知Data table(道具。読み取りのみ)照合と残高
社内チャット通知毎朝の一覧、至急の即時通知、期限前の通知

取引先の名簿へは書き込みません。 合併や商号の変更が分かっても、名簿を直すのは与信の担当です。エージェントの判定で名簿が書き換わると、誤った一致がそのまま次の照合の土台になります。

営業の担当へは、自動では知らせません。 与信の担当が確かめた先だけを知らせます。似た名前の別会社の破産で営業が慌てて取引先に電話をかけるような事態を防ぎます。

Step9

人が確認する

与信の担当が見るのは、毎朝10時の一覧です。

  1. 「至急」を最初に見る … 破産・特別清算で残高や受注残がある先。公告の原文と名簿を見比べ、同じ会社と確かめたら、その日のうちに財務部長と営業に知らせます
  2. 「要確認」を見る … 名前だけで当たったものは、法人番号を調べて名簿に足します。ここで埋めた法人番号が、翌日からの照合を確かにします
  3. 期限を原文で確かめる … quote を読み、期限の日付が原文どおりかを見ます
  4. 対応を決めて記録する … 出荷の扱い、債権の届出、異議の要否を財務部長と営業で決め、記録します
  5. 名簿を直す … 合併で消えた取引先、商号の変わった取引先の旧商号と法人番号を名簿に足します

3番目の期限は、必ず原文で見ます。 破産の公告には、届出の期間、債権者集会の期日、調査の期間など複数の日付が並びます。どの日付が自社の動くべき期限かを取り違えると、届出の機会をなくします。

目標は、1日15分です。 当てはまる先が0件の日は、一覧を開いて0件と未着でないことを確かめるだけで終わります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
10時までにPDFが届かない「未着」と通知し、担当者が官報発行サイトから保存して送る
文字が取り出せないページがある画像化された記事と見なして読まない。件数を一覧に出す
公告の切り出しが崩れた切り出せなかったページを一覧に出し、人が読む
名前だけで当たったneeds_review に落とす。法人番号を調べて名簿に足す
期限が書かれていない、または日付に直せないdeadline_missing を立てて人に回す
法人番号システムが応答しない法人番号の照合を飛ばし、所在地での照合だけにして、その旨を一覧に出す
残高の書き出しが前の晩に失敗した残高の時点が古いことを一覧の先頭に出す
訂正の公告が出た元の公告の通知に「訂正あり」を付け、期限を引き直す

最後の行は見落とされがちです。 公告の内容に訂正が出たとき、元の公告の期限のまま管理表に残ると、訂正後の期限を逃します。

Step11

記録を残す

  • 取り込んだ官報のPDF(発行日・号)と、取り出した文字
  • 候補ごとのエージェントの入力、呼んだ道具とその結果、出力のJSON
  • そのとき使った名簿の版と、残高の時点
  • 与信の担当が直した照合の結果と期限、直す前の値
  • 財務部長と営業が決めた対応と、決めた日

3つ目の「名簿の版」は、取りこぼしを説明するために残します。 「なぜこの取引先の公告に気づかなかったのか」と聞かれたとき、その日の名簿に旧商号や法人番号が入っていたかを確かめられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:担当者がPDFを保存し、公告と名簿の数行を生成AIの画面に貼って確かめさせる / 1件ずつの照合と期限の取り出し
半自動化:上記+n8n でPDFを取り込み、公告を切り出して名簿と突き合わせ、候補の一覧を出す / 公告の切り出しと候補づくり
本格構成:上記+法人番号の変更の情報を取り込み、エージェントが道具で確かめて期限と残高まで並べる / 取り込みから一覧と期限の管理まで

半自動化で、1日75分が35分ほどになります。 公告を探す①と、名簿を1件ずつ引く②の大半が候補の一覧に置き換わりますが、候補ごとに同じ会社かを確かめ、期限と残高を調べる作業は人に残ります。 本格構成で15分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、名前だけで候補になる取引先が一通り見えます。その法人番号を埋めてからエージェントをつなぐと、「要確認」の数が最初から少なく済みます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
20 件
1件あたり現在時間
75 分
1件あたり導入後時間
15 分
現在  20件 × 75分 ÷ 60 = 25 時間/月
導入後 20件 × 15分 ÷ 60 = 5 時間/月
月間削減時間
20h
削減率
80%
年間削減時間
240h
年間金額換算(時間単価3,500円)
84万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 掛け売りの取引先が数百社あり、与信の担当が官報の破産・合併・解散の公告を毎日目で追っている、または忙しさで追い切れていない商社・メーカー・建設会社・物流会社。取引先の名簿に法人番号を持たせられる場合。官報のPDFを毎日受け取る手段(官報サービスセンターの電子媒体での提供、または担当者による保存)を用意できる場合。
向いていない
  1. 取引先が数十社で、信用調査会社の通知で足りている場合。取引先の多くが個人事業主の場合(個人を対象とした記事は画像化されており、この構成では読まない)。官報発行サイトをプログラムで巡回して取得しようとしている場合(サイトの利用ルールで禁じられている)。なお、与信の見直し、出荷の停止、債権の届出をするかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去1か月で、取引先に関係した破産・合併・解散の公告を思い出せるだけ集める(営業から聞いたものも含める)
  2. その日の官報のPDFを、官報発行サイトから担当者が保存する(発行から90日間は全体を閲覧・ダウンロードできる)
  3. 手元の生成AIの画面に、公告の本文と、取引先の名簿のうち候補になりそうな数行を貼る
  4. 「この公告の会社が名簿のどの取引先か、商号と所在地で確かめてください。所在地で確かめられなければ要確認としてください。公告の種類と期限を、原文の箇所付きで取り出してください。期限を計算しないでください」と指示する
  5. 当時の担当者の判断と、出てきた期限を突き合わせる

この段階で確かめたいのは、名前だけで一致としないかと、期限を原文どおりに写せるかです。

出てきた内容判断
所在地で確かめ、期限を原文どおり写した名簿の法人番号を埋め、ワークフローに進む
名前だけで一致とした、期限を計算した指示の書き方で直る。構成は有効
名簿に所在地も法人番号も無く確かめられない名簿の整備が先。 AIの問題ではない

3行目は、古い取引先ほど出ます。 ここで分かった取引先から、法人番号を埋めていきます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
名前が同じ別会社を一致とする名前だけの一致は規則で要確認に落とす。 法人番号を埋める
期限を公告の日から計算する原文の日付をそのまま写させ、無ければ空にさせる
官報発行サイトを巡回しようとする利用ルールで禁じられている。 電子提供のPDFか、人が保存したPDFだけを入口にする
画像化された記事を読み取ろうとする読まない。個人を対象とした記事への配慮を外さない
公告の切り出しが崩れる切り出せなかったページを一覧に出して人が読む
合併で消えた取引先が名簿で引けない旧商号の列を持たせ、法人番号の変更の情報で拾う
PDFが届かなかった日に気づかない0件の日も通知し、10時に未着を知らせる
アプリケーションIDが間に合わない最初の週に申請する。それまでは所在地での照合で動かす

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 前者は関係の無い会社の破産で取引を止め、後者は届出の機会をなくします。どちらも、もっともらしい一覧の形で出てくるので、規則で止めます。

3行目と4行目は、作り始めに決めておきます。 自動にしたくなると、サイトの巡回や画像の読み取りに手を伸ばしたくなります。入口と読む範囲を、最初から利用ルールに合わせて固定します。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 官報の公告(法人の商号・所在地、破産管財人の氏名などを含む)、取引先の名簿(法人番号、商号、所在地、営業の担当者)、取引先ごとの売掛金残高と受注残です。

  1. 官報の個人の記事を集めない … 官報発行サイトは、個人を対象とした処分に係る記事を画像化し、90日経過後は閲覧できなくするなどの対策をとっています。この構成は画像化された記事を読まず、法人の公告だけを扱います
  2. 公告から得た個人情報を外へ出さない … 官報発行サイトのページでは、官報の記事から取得した個人情報を本人の同意なくウェブサイト等に掲載することは個人情報保護法の規定に抵触する可能性があると注意しています。一覧は与信の担当と関係者の中だけで使います
  3. サイトを巡回しない … 検索ロボットやクローラによるデータ収集は禁じられています。入口は電子提供のPDFと、人が保存したPDFだけにします
  4. 加工した情報を官報のように見せない … 官報発行サイトのコンテンツの利用条件では、編集・加工した情報を官報に掲載されたかのような態様で公表・利用してはならないとされています。一覧には「官報の公告をもとに自社で作成」と書きます
  5. 取引の判断を自動にしない … 出荷の停止、債権の届出、異議の申述は財務部長と営業が決めます。誤った一致で取引を止めると、取引先との関係に直接ひびきます
  6. 外部のAIへ渡す範囲を絞る … 生成AIに渡すのは、候補の公告と、道具が返す名簿の該当行と残高までです。名簿全体や販売管理のデータを渡しません

誤りが起きた場合のリスクは、関係の無い会社の公告で取引を止めることと、取引先の公告を見落として期限を逃すことの2つです。 前者は名前だけで一致とすると起き、後者は名簿の旧商号と法人番号が欠けていると起きます。どちらも名簿を整えることで減らせるので、そこを最初の仕事にします。

10まず何から始めるか

1週目:入口と申請

法人番号システム Web-API のアプリケーションIDを申請します。官報サービスセンターの事業者に、官報のPDFを毎日電子媒体で受け取れるか、料金はいくらかを問い合わせます。決まるまでは、担当者が毎朝保存する方式で始めます。

2週目:過去の公告で試す

過去1か月で取引先に関係した公告を集め、手元の生成AIの画面で照合と期限の取り出しを試します。名前だけで一致としないか、期限を原文どおり写せるかを最優先で見ます。

3週目:名簿を整える

取引の大きい順に、名簿の法人番号と旧商号を埋めます。法人番号は基本3情報のダウンロードを使って引き当てます。

4週目:n8n で候補の一覧までをつなぐ

Gmail Trigger、PDFの文字の取り出し、公告の切り出し、名簿との突き合わせまでを作り、候補の一覧を毎朝通知します。この時点ではエージェントをつながず、確かめるのは担当者です。

2か月目: 法人番号の変更の情報の取り込みとエージェントをつなぎ、needs_review の数を毎週数えます。3か月目以降: 1日75分が何分になったかを実測します。「要確認」がほとんど出なくなり、期限の通知から対応の記録までが毎朝の一覧で回るようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
官報が毎日午前8時30分に官報発行サイトへの掲載をもって発行され、発行から原則90日間は全体を無料で閲覧・ダウンロードできること。特定の個人を対象とした処分に係る記事等を画像化し、テキスト抽出・検索を困難にし、90日経過後は閲覧できなくすること。コンテンツに PDL1.0 が適用され、加工した情報を官報に掲載されたかのような態様で公表・利用してはならないこと。官報の記事から取得した個人情報を本人の同意なく掲載することが個人情報保護法に抵触する可能性があること。検索ロボットやクローラによるデータ収集等を禁止していること官報発行サイト: ご利用に当たって2026-10-13
官報サービスセンターのうち、東京官書普及株式会社(DVD又はメール送付)と株式会社かんぽう(メール送付)が、官報発行サイトに掲載された官報のPDFファイルの提供に対応していること官報発行サイト: 官報サービスセンター一覧2026-10-13
令和7年4月1日から官報が電子化され、官報発行サイトに掲載される電子データが正本となったこと内閣府: 官報について2026-10-13
法人番号システム Web-API に、法人番号を指定する機能(変更履歴を含む)、取得期間を指定して法人番号の指定・商号や所在地の変更・登記記録の閉鎖等の情報を取得する機能、法人名を指定する機能があること。全件データは取得できないこと。アプリケーションIDが必要で、発行は無料、2週間から1か月程度かかること国税庁: 法人番号システム Web-API2026-10-13
清算株式会社が債権者に一定の期間内に債権を申し出るべき旨を官報に公告し、その期間は2か月を下ることができないこと(第499条)。吸収合併で存続株式会社等が異議を述べることができる旨等を官報に公告し、その期間は1か月を下ることができないこと(第799条)。消滅株式会社等の債権者も異議を述べられること(第789条)e-Gov 法令API: 会社法2026-10-13
裁判所が破産手続開始の決定と同時に破産債権の届出の期間等を定め(第31条)、決定の主文・破産管財人・定めた期間等を公告すること(第32条)。この法律の公告は官報に掲載してすること(第10条)e-Gov 法令API: 破産法2026-10-13
Gmail Trigger のフィルタに、ラベル、Gmail の検索式、既読・未読(既定は未読のみ)、送り主の指定があることn8n Docs: Gmail Trigger node2026-10-13
Extract From File ノードに Extract From PDF などの操作があり、入力のバイナリの項目名の既定が data であることn8n Docs: Extract From File2026-10-13
Tools Agent に System Message、Max Iterations(既定10)、Return Intermediate Steps、Require Specific Output Format(Structured Output Parser 等をつなぐ)があることn8n Docs: Tools AI Agent node2026-10-13

取引を止めるか、債権を届け出るか、異議を述べるかは、財務部長・営業と、必要に応じて顧問弁護士とで決めてください。 本記事は上記のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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