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葬儀社のスタッフが宗派ごとの儀礼の手引きと過去の施行の記録を Vertex AI Search で検索し、遺族の質問への答えの根拠を、菩提寺に確かめる項目と分けてそろえる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

遺族から儀礼や準備について聞かれたとき、宗派ごとの手引きと過去の施行の記録を検索し、答えの根拠を担当者の画面にそろえます。手引きの一般の扱いと、寺院ごとの指示と、菩提寺に確かめる項目を分けて出します。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
その他
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
問い合わせが多い/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/教育コスト削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
96h/月
AI導入後
32h/月
想定削減
67%
年間削減
768h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 遺族から質問を受ける。その場で分かることは答える
  2. 分からないことは「確かめてお伝えします」と言って控室を出る
  3. 手引きの PDF をタブレットで開き、宗派と項目を探して読む
  4. 手引きに書かれていなければ、施行の報告書を寺院の名前で探す
  5. 見つからなければ、社内のチャットでベテランの担当者に聞くか、電話する
  6. 答えをまとめ、寺院に確かめたほうがよいことがあれば、寺院に電話するか遺族に寺院へ聞いてもらう
  7. 遺族に答える
導入後(After)
  1. 人遺族から質問を受ける。その場で分かることは答える
  2. 人分からないことは、タブレットの画面に施行の番号を入れ、質問を短く打ち込んで送る
  3. 自動中継の処理が、施行の台帳から宗派・寺院・地域を引く
  4. 自動答えない項目(お布施の額・戒名の位・宗教上の解釈)に当たる質問は、検索に回さず「菩提寺に確かめる」の印を返す
  5. 自動Vertex AI Search の answer メソッドが、その宗派・地域の手引きから答えを引用付きで返す
  6. 自動search メソッドが、同じ寺院の過去の施行の記録を先に、同じ宗派の記録を次に一覧で返す
  7. 自動中継の処理が、手引きの答え、寺院の過去の指示、菩提寺に確かめる項目を3つの欄に分けて画面に出す
  8. 人担当者が引用の原文と寺院の過去の指示を見て、遺族に答える。寺院に確かめる項目は、寺院に電話するか遺族に伝える
  9. 人施行が終わったら、寺院から受けた指示を施行の報告書の決まった欄に書く
各工程の詳しい説明を読む
  1. 遺族から質問を受ける。その場で分かることは答える
  2. 分からないことは「確かめてお伝えします」と言って控室を出る
  3. 手引きの PDF をタブレットで開き、宗派と項目を探して読む
  4. 手引きに書かれていなければ、施行の報告書を寺院の名前で探す
  5. 見つからなければ、社内のチャットでベテランの担当者に聞くか、電話する
  6. 答えをまとめ、寺院に確かめたほうがよいことがあれば、寺院に電話するか遺族に寺院へ聞いてもらう
  7. 遺族に答える

(a)宗派と項目を探すのに時間がかかる。 3番で、手引きは宗派ごとに数十ページあります。質問の言葉と手引きの見出しが合わず、「清め塩」を聞かれて「通夜」の項目を最後まで読むこともあります。

(b)寺院ごとの指示が見つからない。 4番の施行の報告書は、施行ごとのワープロの文書で、寺院の名前で探しても、表記がばらばらで見つかりません。 「〇〇寺」「〇〇山〇〇寺」「〇〇寺さん」が混ざります。

(c)先輩に電話する。 5番が、若手の担当者の答えの多くを支えています。ベテランの担当者も別の施行の最中で、電話がつながるまで遺族を待たせます。 夜の通夜の前は、全員が忙しい時間です。

(d)答えてはいけないことに答えてしまう。 お布施の額を聞かれ、過去の施行の話から「このくらいの方が多いです」と答えてしまう担当者がいます。寺院との関係にも、遺族の寺院への信頼にも響きます。

  1. 【人】 遺族から質問を受ける。その場で分かることは答える
  2. 【人】 分からないことは、タブレットの画面に施行の番号を入れ、質問を短く打ち込んで送る
  3. 【自動】 中継の処理が、施行の台帳から宗派・寺院・地域を引く
  4. 【自動】 答えない項目(お布施の額・戒名の位・宗教上の解釈)に当たる質問は、検索に回さず「菩提寺に確かめる」の印を返す
  5. 【自動】 Vertex AI Search の answer メソッドが、その宗派・地域の手引きから答えを引用付きで返す
  6. 【自動】 search メソッドが、同じ寺院の過去の施行の記録を先に、同じ宗派の記録を次に一覧で返す
  7. 【自動】 中継の処理が、手引きの答え、寺院の過去の指示、菩提寺に確かめる項目を3つの欄に分けて画面に出す
  8. 【人】 担当者が引用の原文と寺院の過去の指示を見て、遺族に答える。寺院に確かめる項目は、寺院に電話するか遺族に伝える
  9. 【人】 施行が終わったら、寺院から受けた指示を施行の報告書の決まった欄に書く

8番目が、この設計の分かれ目です。 画面に出るのは答えの下書きではなく、手引きのどこに何が書いてあるかと、その寺院が前に何と言ったかです。遺族に何をどう伝えるかは、担当者が決めます。

9番目で、寺院の指示が次の検索の材料になります。 報告書の書き方を変えるのは、この構成のいちばん地味な作業ですが、ここが埋まらないと、6番目の一覧がいつまでも薄いままです。

02今回想定するシステム構成

構成図
担当者の質問(施行の番号・質問の文)
   ▼【トリガー】タブレットの画面で送信
中継の処理(Python。Cloud Run)
   │   施行の台帳から宗派・寺院・地域を引く(読み取りのみ)
   │   答えない項目の語を確かめる
   ▼
Vertex AI Search(Agent Search)
   ├── answer メソッド ── その宗派・地域の手引きの項目から、答え(引用つき)
   └── search メソッド ── 同じ寺院、同じ宗派の過去の施行の記録の一覧
   │   データストア:儀礼の手引き(宗派×項目)、施行の記録(施行×寺院の指示)
   ▼
中継の処理 ── 3つの欄に分ける(手引き/寺院の過去の指示/菩提寺に確かめる)
   ▼
タブレットの画面(宗派・寺院/手引きの答えと引用の原文/過去の指示の一覧/確かめる項目)
   ▼
【担当者が遺族に答え、寺院に確かめる】
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドと search メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)―
連携中継の処理(Python。Cloud Run で動かし、画面・施行の台帳・検索をつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(手引きの項目ごとの写し、施行の記録、質問と答えの記録)―

施行の台帳には、読みにいくだけで書き込みません。 宗派や寺院が打合せの途中で変わることがありますが、台帳を直すのはいまどおり担当者です。新しく作るのは、手引きを宗派と項目ごとに分ける作業、施行の報告書の寺院の指示の欄、タブレットの画面です。

この仕組みを使うのは、施行の担当者だけです。 遺族や参列者の画面には出しません。遺族に見せるのは、担当者が原文を確かめて伝えた内容だけです。 仕組みの答えをそのまま遺族に見せると、手引きの一般の扱いが葬儀社の決めたことのように受け取られます。

土台は、Vertex AI Search の answer メソッドです。 公式ページでは、answer メソッドは検索の結果から回答を作り、回答の文ごとに出典を示す引用を付けられるとされています。前置き(preamble)で口調や詳しさを指定できるとされています。公式ページには、Vertex AI Search が Agent Search へ改称中である旨の記載があります。

データストアの場所は、global を基本にします。 公式ページでは、global の場所は応答の速さと機能のそろい方の点で勧められていて、ほかに us と eu の複数リージョンがあるとされています。日本のリージョンはありません。 施行の記録には寺院の名前と地域が載るので、故人と遺族の名前は記録に入れずに取り込みます。 公式の言語の一覧では、日本語(ja-JP)は検索の機能と回答の両方に対応とされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

施行の担当者が、タブレットの画面に施行の番号を入れ、質問を打ち込んで送信したことを起点にします。 質問の文は「清め塩は使うか」「四十九日の準備」のように短くて構いません。施行の番号を入れずに質問の文だけで検索すると、すべての宗派の手引きが混ざるからです。 事前相談のように施行の番号が無いときは、宗派と地域を画面で選びます。

遺族が続けて聞くときは、同じ会話として続けます。 公式ページでは、前の問い合わせのセッションの ID を渡すと続きとして問えるとされています。「では、浄土真宗のときはどうか」と足すと、宗派を変えた答えが出るようにします。 ただし、続きで宗派を変えたときは、中継の処理が絞り込みの条件も変えます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問施行の番号、質問の文(故人や遺族の名前を入れない)、担当者タブレットの画面
施行の情報宗派、寺院の番号、地域、日程、式の形(仏式・神式・キリスト教式・無宗教)施行の台帳
寺院の一覧寺院の番号、正式な名前、呼ばれ方(「〇〇寺さん」など)、宗派、地域本部の表
儀礼の手引き宗派×項目ごとの文、版、寺院に見てもらった日データストア
施行の記録施行の年月、寺院の番号、宗派、地域、項目、寺院の指示、遺族に答えた内容データストア
答えない項目の一覧お布施・戒名・法名・院号・解釈などの語と、返す案内の文本部の表

質を決めるのは、寺院の一覧と、施行の記録の「寺院の指示」の欄です。 寺院の一覧に呼ばれ方を入れておくと、報告書に「〇〇寺さん」と書かれていても、同じ寺院の記録として拾えます。 施行の記録は、報告書の文をそのまま入れずに、項目ごとに「寺院の指示」と「遺族に答えた内容」を分けて1件の文書にします。

施行の記録からは、故人と遺族の名前、喪主の続柄、病気や亡くなった事情の記載を外して入れます。 検索に要るのは、どの寺院がどの項目で何と言ったかだけです。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
儀礼の手引き宗派ごとの文書を、項目ごとに分けて Cloud Storage へ写すデータストアの中身
施行の記録施行の報告書の寺院の指示の欄。項目ごとに1件の文書にデータストアの中身
施行の情報施行の台帳の施行の番号での読み取り宗派・寺院・地域の決定
答えと一覧answer メソッドと search メソッドの応答タブレットの画面

手引きは、宗派と項目ごとに1つの文書に分け、メタデータに宗派・項目・地域・版を持たせます。 公式ページでは、非構造のデータのメタデータは JSON Lines(NDJSON)のファイルで、各行に id、structData(または jsonData)、Cloud Storage の文書を指す content の mimeType と uri を持たせるとされています。手引きの1項目は、たとえば次の1行にします。

{"id": "guide-shinshu-hongwanji-tsuya-v4",
 "structData": {"doc_kind": "guide", "sect": "shinshu_hongwanji",
                "topic": "tsuya", "region": "all", "guide_ver": "v4",
                "reviewed": "2026-06-10"},
 "content": {"mimeType": "application/pdf", "uri": "gs://<bucket>/guide/shinshu_hongwanji/tsuya_v4.pdf"}}

施行の記録は doc_kind を case にし、temple(寺院の番号)、sect、region、topic、case_month を持たせます。 地域の慣わしのメモは doc_kind を local にし、region に地域を入れます。公式ページでは、取り込めるのは TXT・JSON・Markdown・PDF・HTML・DOCX などで、ファイルの上限は200MB、一度に100,000ファイルまで取り込めるとされています。手引きを紙からスキャンした PDF は、データストアを作るときにレイアウトの解析を有効にすることが勧められています。

チャンクの設定は、データストアを作るときに決めます。 公式ページでは、文書のチャンク分けはデータストアを作った後に入れたり切ったりできないとされています。チャンクの大きさの既定は500トークン(100〜500)で、見出しをチャンクに含める設定(includeAncestorHeadings)は既定で無効です。手引きは「通夜」「焼香」のような見出しの下に短い文が並ぶので、見出しを含める設定を有効にします。 見出しが無いチャンクは、どの項目の話かが分からなくなるからです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 施行の情報を引く … 施行の番号から宗派・寺院の番号・地域・式の形を引きます。番号が無ければ、画面で選ばれた宗派と地域を使います
  2. 式の形の確かめ … 無宗教の式なら、手引きの検索に回さず、自社の無宗教の式の進め方の手引きだけを対象にします
  3. 答えない項目の確かめ … 質問の文に、答えない項目の一覧の語(お布施・御布施・戒名・法名・院号など)があれば、検索に回さず案内の文を返します
  4. 寺院の決定 … 寺院の番号が無く、呼ばれ方の文字だけがあるときは、寺院の一覧で1つに決まるときだけ使います
  5. 絞り込みの条件を作る … 手引きの答えの条件と、過去の施行の一覧の条件を、別々に作ります

3番目は、検索の前に止めることに意味があります。 答えない項目の質問を検索に回すと、過去の施行の記録に担当者が書いた「お布施は〇〇くらいとのこと」の一文が引かれることがあります。 記録に入れる前に外しますが、外し漏れがあっても画面に出ないように、検索そのものに回しません。

絞り込みの条件は、たとえば次のようになります(公式ページの書き方による)。

filter(手引きの答え。浄土真宗本願寺派、〇〇地域):
  doc_kind: ANY("guide", "local") AND sect: ANY("shinshu_hongwanji", "all")
  AND region: ANY("all", "area_03")
filter(過去の施行の一覧。同じ寺院):
  doc_kind: ANY("case") AND temple: ANY("T0127")
filter(過去の施行の一覧。同じ宗派で別の寺院):
  doc_kind: ANY("case") AND sect: ANY("shinshu_hongwanji") AND NOT temple: ANY("T0127")

公式ページでは、ANY は指定した値のどれかに完全に一致するときに真になり、AND・OR・括弧と、NOT による否定で組み合わせられるとされています。絞り込みに使う項目は、スキーマの画面でインデックス可能にしておく必要があります。

Step5

AIに処理させる

answer メソッドにさせるのは、その宗派と地域の手引きの項目から、質問に当たる扱いを、手引きの言葉のまま引用付きで短くまとめることだけです。 寺院の過去の指示は、answer メソッドの答えに入れず、search メソッドの一覧として別に出します。

返させるもの中身返せないときの扱い
手引きの扱い用意するもの、進め方、時期見つからなければ「手引きに記載なし」
宗派による違い手引きに書かれた、ほかの宗派との違い書かれていなければ出さない
寺院に確かめるべきと書かれた点手引きの「菩提寺に確認」の記載原文のまま引用する
地域の慣わし地域のメモに書かれた扱い見つからなければ出さない
させないこと理由
寺院の過去の指示を答えに混ぜる寺院ごとに違い、手引きと食い違うことがある
「この宗派ではこうしなければならない」と言い切る最後は菩提寺の指示に従う
お布施の額や戒名の位に触れる葬儀社が答えることではない
教義や作法の意味を解釈する寺院が説明することである
遺族の事情に当てはめて勧める担当者が遺族と話して決める

1行目がいちばん大事です。 answer メソッドに手引きと施行の記録の両方を渡すと、「〇〇寺では清め塩を使わないので、この宗派でも使いません」のように、1つの寺院の指示を宗派の扱いとして書くことがあります。 答えの絞り込みを doc_kind の guide と local に限り、施行の記録は search メソッドの側にだけ置きます。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの前置き(preamble)を次のようにします。

あなたは葬儀社の施行の担当者のための、儀礼の手引きの資料係です。
検索で見つかった手引きの項目と地域の慣わしのメモだけを根拠に、
次の順で短く答えてください。

1. 手引きの扱い(用意するもの、進め方、時期)
2. 手引きに書かれた、宗派による違い
3. 手引きに「菩提寺に確認」と書かれている点
4. 地域の慣わし(メモに書かれているときだけ)

守ること:
- 手引きの言葉のまま書いてください。言い換えないでください。
- 「しなければならない」「してはいけない」と言い切らないでください。
  手引きにそう書かれていても、「手引きでは〜とされています」と書いてください。
- お布施の額、戒名・法名の位、教義や作法の意味について書かないでください。
- 遺族の事情に当てはめて、どうするとよいかを勧めないでください。
- 宗派と項目と手引きの版を、各項目の末尾に括弧で書いてください。
- 見つからない項目は「記載なし」と書いてください。
- 検索結果に無いことを書かないでください。

「手引きでは〜とされています」と書かせるのは、担当者が遺族にそのまま読み上げることがあるからです。 言い切った文を読み上げると、手引きの一般の扱いが葬儀社の決めたことのように伝わります。 主語を手引きに置いた文なら、担当者も「菩提寺さんにも確かめましょう」と続けやすくなります。

あわせて、answer メソッドの設定を次のようにします。

設定値理由
引用(includeCitations)有効文ごとに出典を示させる
関連性の低い内容の無視(ignoreLowRelevantContent)有効関係の薄い項目から無理に答えさせない
根拠の支持による絞り込み(groundingSpec の filteringLevel)FILTERING_LEVEL_HIGH から試す支えの弱い答えを外す。指定しないと絞り込みが掛からない
答えを求めない問い・敵対的な問いの無視有効雑談や答えを求めない入力に答えを作らない
回答の言語(answerLanguageCode)ja日本語で答えさせる
絞り込み(searchSpec の filter)前処理で作った手引きの答えの条件その宗派と地域

公式ページでは、支持が基準に届かない答えは返されず、理由として LOW_GROUNDED_CONTENT が返るとされています。引用の位置(startIndex・endIndex)は UTF-8 のバイト単位で数えられているので、日本語の答えに宗派と版を差し込むときは、文字の位置に直してから使います。

Step7

出力形式を固定する

中継の処理が、応答と施行の情報を次の形にそろえてタブレットの画面に渡します。

{
  "question_id": "",
  "case_no": "",
  "ceremony_type": "buddhist",
  "sect": "shinshu_hongwanji",
  "temple": { "id": "T0127", "name": "" },
  "region": "area_03",
  "guide_answer": "",
  "skipped_reason": "",
  "citations": [
    { "sentence": "", "doc_id": "", "topic": "", "guide_ver": "", "quote": "" }
  ],
  "temple_cases": [
    { "case_month": "", "topic": "", "instruction": "", "scope": "same_temple | same_sect" }
  ],
  "ask_temple": [ "" ],
  "no_answer_topic": false,
  "session_id": ""
}

1つ目の理由は、guide_answer と temple_cases を別の欄に持てることです。 画面の上に手引きの答えと引用の原文、下に「〇〇寺の過去の指示(2件)」を出し、担当者が両方を見比べて、食い違いに気づけます。 食い違えば、寺院の指示を先に遺族に伝え、手引きは参考にとどめます。

2つ目は、scope で、同じ寺院の指示か別の寺院の指示かを見分けられることです。 same_sect は「同じ宗派の別の寺院の例。この寺院に確かめる」と出し、別の寺院の指示を、この施行の寺院の指示として伝えないようにします。

3つ目は、ask_temple を答えと別に持てることです。 手引きに「菩提寺に確認」と書かれた点と、no_answer_topic が真のときの案内を並べ、担当者が寺院に電話するときに聞くことを一覧で持てます。 画面は、たとえば次のようになります。

【施行 2026-1043】浄土真宗本願寺派/〇〇寺/〇〇地域
質問:通夜の後、清め塩は使うか

手引きの扱い:手引きでは、清め塩は用いないとされています(本願寺派・通夜・v4)
  引用:「…清め塩は用いない。会葬礼状に添えない旨を…」
〇〇寺の過去の指示(2件)
  2026年5月 通夜:清め塩は使わない旨を会葬者に案内してほしい
  2025年11月 通夜:会葬礼状の清め塩は外す
寺院に確かめる点:なし
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
タブレットの画面中継の処理の API質問の受け取りと結果の表示
施行の台帳施行の番号での読み取り(読み取りのみ)宗派、寺院、地域、式の形
寺院の一覧・答えない項目の一覧本部のファイルの読み取り寺院の決定と、検索に回さない質問
Vertex AI Searchanswer メソッドと search メソッドの API答え、引用、過去の施行の一覧
Cloud Storage手引きの項目ごとの写し引用した箇所の原文の表示
施行の報告書施行の後に担当者が書く新しい施行の記録の追加

寺院への連絡は、いまどおり担当者が電話で行います。 画面の ask_temple を見ながら聞き、寺院から受けた答えは施行の報告書の寺院の指示の欄に書きます。 書いた内容は、週に1回、本部が名前を外したことを確かめてからデータストアに足します。

Step9

人が確認する

  1. 宗派と寺院を確かめる … 画面に出た宗派と寺院が、遺族の話と合っているかを確かめます。宗派の派まで合っているかを見ます
  2. 寺院の過去の指示を先に見る … 同じ寺院の指示があれば、手引きより先にそちらを伝える候補にします
  3. 手引きの答えを引用の原文で確かめる … 原文を開き、答えが原文の言葉どおりかを見ます
  4. 寺院に確かめる点を拾う … ask_temple に出た点を、寺院に電話するか、遺族に「菩提寺さんにお聞きください」と伝えます
  5. 答えない項目の質問は、寺院へつなぐ … お布施の額などは、担当者からも答えません

1番目を省かないでください。 浄土真宗の本願寺派と大谷派は、手引きの中で扱いが分かれる項目があります。派を取り違えると、引用は正しくても答えが違います。

目標は、480件をならして1件4分です。 宗派と寺院を見て、原文を開き、過去の指示と見比べて遺族に答える時間です。本部の施行の管理は、毎月「手引きに記載なし」になった質問を数えます。 同じ質問が続くなら、手引きに足す項目です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
施行の番号が無い・宗派が未定画面で宗派と地域を選ばせる。未定なら検索せず、遺族に宗派を確かめる
寺院の一覧に無い寺院同じ宗派の一覧だけを出し、寺院の一覧に足す依頼を本部に送る
答えが作られなかった(支持が低い)答えを出さず、過去の施行の一覧だけを出す
手引きと寺院の過去の指示が食い違う両方を並べ、寺院の指示を優先する候補にする。手引きの見直しを本部に知らせる
お布施・戒名の質問検索に回さず、菩提寺に確かめる案内だけを返す
菩提寺が無い遺族手引きの答えだけを出し、寺院の紹介の流れを担当者が案内する
無宗教・その他の宗教の式自社の進め方の手引きだけを対象にする。手引きが無ければ検索しない
検索が応答しないいまどおり手引きの PDF を開き、ベテランの担当者に聞く

4行目は、手引きを育てる機会です。 食い違いが同じ項目で続いたら、本部がその宗派の寺院に手引きを見直してもらいます。

Step11

記録を残す

  • 質問(施行の番号、質問の文、担当者、日時)と、当てはめた宗派・寺院・地域
  • 絞り込みの条件、answer メソッドと search メソッドの応答の全文、そのときの手引きの版
  • 答えない項目として止めた質問
  • 担当者が遺族に伝えたことと、寺院に確かめたかどうか
  • 寺院から受けた答え(施行の報告書の寺院の指示の欄)

2つ目で手引きの版を残すのは、見直した後でも、前の答えの根拠をたどれるようにするためです。

04実装レベルの3段階

最小構成:手引きの PDF を手でAIの画面に渡し、質問に答えさせる / 1つの宗派の手引きからの答え
半自動化:上記+データストアに手引きを入れ、宗派と地域で絞って answer メソッドで答える / 宗派の絞り込みと引用付きの答え
本格構成:上記+施行の台帳から宗派と寺院を引き、施行の記録を search メソッドで一覧にし、答えない項目を前で止める / 寺院ごとの指示の一覧と、答えない項目の扱い

半自動化で、①の手引きを探す時間が無くなります。 ただし、②の寺院の指示を探す時間とベテランへの電話は残ります。本格構成で1件4分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、寺院ごとの指示が、ベテランの頭の中から施行の記録に移るからです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
12 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  480件 × 12分 ÷ 60 = 96 時間/月
導入後 480件 × 4分 ÷ 60 = 32 時間/月
月間削減時間
64h
削減率
67%
年間削減時間
768h
年間金額換算(時間単価2,800円)
215万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 自社の会館や公営の斎場で、仏式を中心に神式・キリスト教式も含めて月に数十件の葬儀を施行し、宗派ごとの作法や地域の慣わしを、ベテランの担当者の経験と紙の手引きに頼って遺族に答えている葬儀社。担当者の入れ替わりがあり、若手の担当者が遺族から聞かれたことを、その場で先輩に電話して確かめている場合。過去の施行の記録に、寺院から受けた指示と遺族とのやり取りが残っている場合。Google Cloud を使っている、または使い始められる場合。
向いていない
  1. 施行が月に数件で、担当者が全員ベテランで手引きを覚えている葬儀社。宗派ごとの手引きを持っておらず、作るための寺院への確かめもできない場合(根拠の無い答えを返す仕組みになります)。遺族や参列者が自分で質問を打ち込む窓口として使う場合(この構成は担当者だけが使う前提です)。なお、お布施の額、戒名・法名の付け方、宗教上の解釈、寺院の指示が手引きと違うときのどちらに従うかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. よく施行する宗派を2つ選び、その手引きの PDF を用意する
  2. 過去3か月に遺族から聞かれた質問を、ベテランの担当者から30問聞き取る(宗派で答えが違う質問、寺院で違う質問、お布施の質問を入れる)
  3. 手元のAIサービスに手引きの PDF を1つずつ渡し、「この手引きに書かれていることだけで答えてください。手引きの言葉のまま書き、どの項目に書かれていたかを示してください。書かれていなければ『記載なし』と答えてください。お布施の額や戒名には答えないでください」と指示して30問を聞く
  4. 答えを、ベテランの担当者が実際に遺族に答えた内容と突き合わせる

30問は必ずやってください。 組む前に、「手引きの言葉のまま答えられるか」と「答えない項目に答えないか」を確かめます。

出てきた内容判断
ベテランの答えと手引きの答えが合ったデータストアの作成に進む
手引きに無いことを一般の知識で答えた前置きの書き方と、支持による絞り込みで直る。構成は有効
ベテランの答えが手引きに無い手引きが先。 寺院の指示か地域の慣わしなら、施行の記録か地域のメモに足す

3行目が多く出るのが普通です。 ベテランの答えの多くは、寺院ごとの指示と地域の慣わしの記憶から来ています。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
1つの寺院の指示を宗派の扱いとして答える答えの絞り込みを手引きと地域のメモに限り、施行の記録は一覧にだけ出す
本願寺派と大谷派を取り違える宗派の値を派まで分け、画面の上に出して担当者が確かめる
別の寺院の指示を、この寺院の指示として伝えるscope で同じ寺院か別の寺院かを分けて出す
お布施の質問に過去の記録から答える答えない項目の語で、検索の前に止める
見出しの無いチャンクで項目が分からない見出しを含める設定を有効にする(既定は無効。作った後に変えられない)
寺院の名前の表記がばらばらで拾えない寺院の一覧に呼ばれ方を入れ、番号で持つ
手引きの版が古いまま寺院に見てもらった日を持たせ、食い違いが続いたら見直す
施行の記録に名前が残る記録に入れる前に本部が確かめる

上の4行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、誰が決めたことかが違う情報を、1つの答えに混ぜることから出ています。 手引きは葬儀社がまとめた一般の扱い、施行の記録は寺院の指示、答えない項目は寺院が答えることで、それぞれを画面の別の欄に置くことが、この構成のすべてです。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 宗派、寺院の名前と指示、地域、施行の年月、遺族との打合せでの質問と答えです。故人と遺族の名前、亡くなった事情は、記録に入れません。

  1. 施行の記録から個人を外す … 故人と遺族の名前、喪主の続柄、病気や事情の記載を外してから取り込みます。外したことを本部が確かめてからデータストアに足します
  2. 担当者だけが使う … 遺族や参列者が自分で質問する窓口にはしません。遺族に伝えるのは、担当者が原文を確かめた内容だけです
  3. 宗教上の判断を代替しない … 答えは手引きの記載の引用にとどめ、作法の意味や、どうすべきかの判断は寺院に委ねます
  4. お布施と戒名に触れない … 検索の前に止め、過去の記録の金額の話が画面に出る経路を作りません
  5. 寺院の指示の扱いを寺院と話しておく … 寺院から受けた指示を記録して次の施行で使うことを、付き合いのある寺院に伝えておきます
  6. データストアの場所を整理する … 日本のリージョンは無く、global か us・eu に置くことになります。会社の個人情報の扱いの決まりに照らします

誤りが起きた場合のリスクは、寺院の指示と違うことを遺族に伝えることと、葬儀社が答えるべきでないことに答えることの2つです。 前者は手引きと寺院の指示を混ぜると起き、後者は答えない項目を検索に回すと起きます。どちらも、情報を誰が決めたかで欄を分けることと、検索の前に止めることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:30問を聞き取る

ベテランの担当者から、過去3か月に遺族から聞かれた質問を30問聞き取り、そのとき何と答えたか、根拠が手引きか寺院の指示か地域の慣わしかを書き出します。答えない項目の一覧も、この週に作ります。

2週目:手引きを分け、最小構成で試す

よく施行する2つの宗派の手引きを項目ごとに分け、版と寺院に見てもらった日を付けます。手元のAIサービスで30問を聞き、手引きに無いことを答えていないかを最優先で見ます。

3週目:施行の報告書の欄と寺院の一覧を作る

施行の報告書に、寺院の指示を項目ごとに書く欄を足します。寺院の一覧に呼ばれ方の列を足します。付き合いのある寺院に、指示を記録して使うことを伝えます。

4週目:データストアを作る

見出しを含めるチャンクの設定で、手引きと地域のメモのデータストアを作り、宗派と地域で絞った answer メソッドを試します。この時点では、施行の記録はまだ入れません。

2か月目: 直近1年の施行の報告書から寺院の指示を拾い直し、名前を外して施行の記録として入れ、search メソッドの一覧を足します。3か月目以降: 中継の処理と施行の台帳をつなぎ、若手の担当者から使い始めます。ベテランの担当者への電話が目に見えて減った時点で、この構成は運用に乗ったと言えます。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-29/最終更新:2026-10-29
確認した内容情報源確認日
answer メソッドが検索の結果から回答を作り、文ごとの引用(includeCitations)を付けられること。前置き(preamble)で口調や詳しさを指定できること。ignoreLowRelevantContent、ignoreAdversarialQuery、ignoreNonAnswerSeekingQuery、answerLanguageCode を指定できること。groundingSpec の filteringLevel が FILTERING_LEVEL_LOW/FILTERING_LEVEL_HIGH で、指定しないと支持による絞り込みが掛からないこと。基準に届かないと LOW_GROUNDED_CONTENT で答えが返らないこと。引用の位置が UTF-8 のバイト単位であること。セッションの ID で続きを問えること。searchSpec の filter で絞れること。Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であることGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-29
絞り込みの式で ANY が値のどれかに完全に一致するときに真になり、AND・OR・括弧・NOT で組み合わせられること。絞り込みに使う項目をインデックス可能にすることGoogle Cloud: Filter custom search for structured or unstructured data2026-10-29
非構造のデータのメタデータを NDJSON で id・structData(または jsonData)・content の mimeType と uri で持たせること。取り込める形式が TXT・JSON・Markdown・PDF・HTML・DOCX など、ファイルの上限が200MB、一度に100,000ファイルまでであること。スキャンした PDF にはデータストア作成時にレイアウトの解析を有効にすることが勧められることGoogle Cloud: Prepare data for ingesting2026-10-29
文書のチャンク分けをデータストアの作成後に入れたり切ったりできないこと。チャンクの大きさの既定が500トークン(100〜500)で、includeAncestorHeadings の既定が無効であることGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-29
global の場所が応答の速さと機能のそろい方の点で勧められ、複数リージョンとして us と eu があることGoogle Cloud: Agent Search locations2026-10-29
日本語(ja-JP)が検索の機能と回答(Answers and follow-ups)の両方に対応とされていることGoogle Cloud: Languages2026-10-29

宗派ごとの作法と儀礼の扱いは、手引きを作るときと見直すときに、付き合いのある寺院に確かめてください。 本記事は上の公式の情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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