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昇降機の保守会社が点検の記録と部品の交換履歴を Claude に渡し、次の点検で見る箇所と部品の更新の提案書の下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

保守管理システムから書き出した建物ごとの点検の記録・部品の交換履歴・故障の呼出の記録を Claude に渡し、次の点検で重点的に見る箇所と、部品の更新を提案する理由の下書きを作ります。下書きの一文ごとに、根拠にした記録の番号が付きます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
その他/不動産/建設
対象部門
営業
対象業務
書類作成/集計・分析
主な課題
営業フォローが追いつかない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
120h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
67%
年間削減
960h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 今月提案書を出す建物の一覧を、契約の更新月と臨時の依頼から作る
  2. 建物ごとに保守管理システムを開き、直近1年分の点検の記録を号機ごとに画面で追う
  3. 部品の交換履歴と故障の呼出の記録を別の画面で開き、同じ箇所の不具合が続いていないかを見る
  4. 機種と製造年から、製造業者の部品の供給の状況を一覧で調べる
  5. 要観察・要是正が続いている箇所と、交換の時期が近い部品を書き出す
  6. 提案書の雛形に、建物の概要、点検の所見、次回の重点箇所、部品の更新の提案と理由を書く
  7. 単価表から概算の金額を引いて書き入れ、技術の責任者に見せて直す
  8. 所有者・管理会社へ送り、説明の日程を調整する
導入後(After)
  1. 自動毎月1日に、今月提案書を出す建物の一覧を、契約の更新月と臨時の依頼の表から作る
  2. 自動建物ごとに、保守管理システムから直近1年分の点検の記録・部品の交換履歴・呼出の記録を書き出す
  3. 自動スクリプトが記録を号機・部位ごとにまとめ、判定が続いた回数と最後の交換日を数える
  4. 自動機種と製造年から、部品の供給の状況の一覧を引いて付ける
  5. 自動Claude API に渡し、次回の重点箇所と更新の提案理由の下書きを、記録の番号付きのJSONで受け取る
  6. 自動スクリプトが記録の番号の実在と、数えた回数との一致を確かめ、合わない文を落とす
  7. 自動単価表から概算の金額を、供給の状況の一覧から供給終了の予定を差し込み、提案書の雛形に流し込む
  8. 人営業が下書きを読み、建物の事情(予算の時期、管理組合の総会)に合わせて直す
  9. 人技術の責任者が、重点箇所と更新の提案の中身を確かめて承認する
  10. 人所有者・管理会社へ送り、説明の日程を調整する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 今月提案書を出す建物の一覧を、契約の更新月と臨時の依頼から作る
  2. 建物ごとに保守管理システムを開き、直近1年分の点検の記録を号機ごとに画面で追う
  3. 部品の交換履歴と故障の呼出の記録を別の画面で開き、同じ箇所の不具合が続いていないかを見る
  4. 機種と製造年から、製造業者の部品の供給の状況を一覧で調べる
  5. 要観察・要是正が続いている箇所と、交換の時期が近い部品を書き出す
  6. 提案書の雛形に、建物の概要、点検の所見、次回の重点箇所、部品の更新の提案と理由を書く
  7. 単価表から概算の金額を引いて書き入れ、技術の責任者に見せて直す
  8. 所有者・管理会社へ送り、説明の日程を調整する

(a)記録を読み返す時間がいちばん長い。 2番と3番で、1棟に号機が3台あれば、毎月の点検の記録が36回分、それに交換履歴と呼出の記録が加わります。画面を行き来して「同じ箇所の指摘が何回続いたか」を数える作業が、提案書の文章を書く時間より長くかかっています。

(b)提案の厚みが担当者で違う。 ベテランは「戸の開閉の不具合が3か月で2回、ドアスイッチの調整の記録が4回」と記録から根拠を拾って書きますが、経験の浅い担当は「経年により更新をおすすめします」とだけ書きます。所有者から見ると、同じ会社なのに提案の説得力がまるで違います。

(c)更新の提案が後手に回る。 忙しい月は、提案書を出す建物を契約の更新月の建物だけに絞り、故障が続いている建物への臨時の提案が後回しになります。部品の供給終了が近い機種の所有者に、予算を組む時間を残して知らせられないことがあります。

(d)提案書に書いた根拠を後から追えない。 書き手が記録のどこを見て書いたかは、提案書には残りません。所有者から「いつの点検でそう分かったのか」と聞かれると、もう一度記録を探し直すことになります。

  1. 【自動】 毎月1日に、今月提案書を出す建物の一覧を、契約の更新月と臨時の依頼の表から作る
  2. 【自動】 建物ごとに、保守管理システムから直近1年分の点検の記録・部品の交換履歴・呼出の記録を書き出す
  3. 【自動】 スクリプトが記録を号機・部位ごとにまとめ、判定が続いた回数と最後の交換日を数える
  4. 【自動】 機種と製造年から、部品の供給の状況の一覧を引いて付ける
  5. 【自動】 Claude API に渡し、次回の重点箇所と更新の提案理由の下書きを、記録の番号付きのJSONで受け取る
  6. 【自動】 スクリプトが記録の番号の実在と、数えた回数との一致を確かめ、合わない文を落とす
  7. 【自動】 単価表から概算の金額を、供給の状況の一覧から供給終了の予定を差し込み、提案書の雛形に流し込む
  8. 【人】 営業が下書きを読み、建物の事情(予算の時期、管理組合の総会)に合わせて直す
  9. 【人】 技術の責任者が、重点箇所と更新の提案の中身を確かめて承認する
  10. 【人】 所有者・管理会社へ送り、説明の日程を調整する

9番目を省かないことが、この設計の前提です。 提案書は所有者が修繕の予算を組む材料になり、中身の正しさの責任は保守会社が負います。 AIの下書きは、技術の責任者が読む時間を短くするためのもので、読む工程そのものを消すためのものではありません。

6番目をプログラムで行うのも、意図してのことです。 「要観察が4回続いた」とAIが書いても、スクリプトが数えた回数が3回なら、その文は落とします。数えるのはプログラム、文章にするのはAIと分けておくと、数字の誤りが提案書に残りません。

02今回想定するシステム構成

構成図
保守管理システム(点検の記録・部品の交換履歴・呼出の記録)
   │  建物ごとに直近1年分を書き出す
   ▼【トリガー】毎月1日の定時実行(提案対象の一覧)
Python のスクリプト
   ├──▶ 号機・部位ごとのまとめ(判定の続いた回数、最後の交換日)
   ├──▶ 部品の供給の状況の一覧を引く(機種・製造年)
   └──▶ 記録に番号を振る(INS-/PRT-/CALL-)
   ▼
Claude API(Messages API、構造化出力)
   │   ① 次回の点検で重点的に見る箇所と理由
   │   ② 部品の更新を提案する箇所と理由
   │   ③ 提案書の所見の文章
   ▼
Python のスクリプト ── 記録の番号の実在・回数の一致の確認
   ▼
単価表・供給の状況の差し込み → 提案書の雛形(文書)
   ▼
【営業が直す → 技術の責任者が承認】
   ▼
所有者・管理会社へ送付
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(Messages API、構造化出力)OpenAI API、Gemini API
集計Python(記録のまとめ、番号の照合、雛形への差し込み)Google Apps Script
保管保守管理システム、社内のファイルサーバー(提案書と記録の控え)Google ドライブ
文書提案書の雛形(Word 形式)Google ドキュメント

保守管理システムには書き込みません。 点検の記録は点検員が入れたものが正で、この構成は読むだけです。提案書の控えと、そのとき渡した記録は、ファイルサーバーに建物ごとに残します。

構造化出力は、Claude API の output_config.format に type: "json_schema" とスキーマを置いて使います。 オブジェクトには additionalProperties: false を付ける必要があり、数値の minimum・maximum、文字列の minLength・maxLength には対応していません。 対応しない指定を入れると400のエラーになるので、件数や回数の上限はスキーマではなく、受け取った後のスクリプトで確かめます。

応答の stop_reason も見ます。 max_tokens で止まったときは出力が途中で切れてスキーマに合わないことがあり、refusal のときも合わないことがあるとされています。どちらも提案書に流さず、建物を「要再実行」に回します。

この構成の土台は、国土交通省の「昇降機の適切な維持管理に関する指針」(平成28年2月19日公表)です。 指針は、保守点検業者が保守点検契約に基づき、所有者に対して保守・点検の結果(不具合情報を含む)を文書等により報告すること、契約の範囲を超える修理や機能更新が必要と判断した場合はその理由等を文書等で十分に説明すること、所有者が助言を求めた場合その他必要に応じて適切な提案や助言を行うことを、保守点検業者の責任として契約で明確にするとしています。提案書は、この「理由の説明」と「提案」を形にしたものです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月1日の定時実行を起点にします。 対象は、その月に契約の更新月を迎える建物と、臨時の提案の依頼の表に入っている建物です。臨時の依頼は、営業や技術の責任者が「故障が続いている」「定期検査で指摘があった」「管理会社から相談があった」と思った時点で表に1行足します。

点検の記録が入るたびに動かす形にはしません。 提案書は年に1回の契約の節目と、臨時の相談に合わせて出すもので、点検のたびに下書きが届いても営業は使えません。下書きが積み上がって誰も読まない状態のほうが危険です。

月の途中で急ぎの依頼が入ったときは、建物の番号を指定して同じ処理を手で動かせるようにしておきます。定時の処理と手で動かす処理は、同じスクリプトの入口を2つにするだけで、中身を分けません。分けると、片方だけ直し忘れます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
点検の記録点検日、号機、点検項目、判定(良/要観察/要是正/要修理)、点検員の所見の文保守管理システム
部品の交換履歴交換日、号機、部品の名称、交換の理由、交換した者保守管理システム
故障の呼出の記録受付日時、号機、症状、原因、処置、復旧までの時間保守管理システム
号機の情報機種、製造業者、製造年、設置年、用途、停止階の数保守管理システム
部品の供給の状況機種・部品ごとの供給終了の予定、代替の部品の有無製造業者からの通知を登録した一覧
建物の事情所有者の種類(管理組合・オーナー)、修繕の予算を組む時期、前回の提案と回答営業の顧客台帳

質を決めるのは、点検員の所見の文と、前回の提案と回答です。 判定の記号だけでは「要観察」の中身が分かりません。所見に「ロープに素線切れ1本」「戸の閉まりが遅い」と書かれているかどうかで、提案の理由の具体さが決まります。前回の提案に所有者が「来年度に検討」と答えていれば、今年の提案はその続きとして書く必要があります。

部品の供給の状況は、AIに調べさせません。 製造業者からの通知を受け取った時点で、担当が一覧に登録しておきます。AIが「この機種は部品の供給が終わっています」と書くと、根拠のない一文が所有者の判断を動かします。

Step3

データの取得方法を決める

保守管理システムから、建物ごとに直近12か月分の記録を CSV で書き出します。システムに API が無ければ、画面の書き出しの機能で作ったファイルを決まったフォルダに置く運用にして、スクリプトはそのフォルダを読みます。保守管理システムの製品ごとに書き出し方が違うので、ここは利用環境に応じた個別の作業になります。

取るものどこから何に使うか
点検の記録保守管理システムの書き出し部位ごとの判定の推移と所見
部品の交換履歴同上最後の交換日、同じ部品の交換の回数
故障の呼出の記録同上同じ症状のくり返し
部品の供給の状況表計算の一覧供給終了の予定の差し込み
単価表表計算の一覧概算の金額の差し込み
前回の提案と回答顧客台帳提案の続きとしての書き方

記録には、スクリプトが番号を振ります。 点検の記録は INS-、交換履歴は PRT-、呼出の記録は CALL- に続けて通し番号を付け、AIにはこの番号で引用させます。保守管理システムの内部の番号をそのまま使わないのは、桁が長く、AIが写し間違えやすいからです。 振った番号と元の記録の対応は、スクリプトが表で持ちます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 号機・部位ごとのまとめ … 点検項目を「巻上機・ブレーキ」「主ロープ」「ドア装置」「制御盤」「かご室」「乗場」などの部位にまとめ、判定ごとの回数を数えます
  2. 続いた回数の計算 … 同じ部位で「要観察」以上が何回続いたか、最初と最後の点検日はいつかを、スクリプトが数えます
  3. 交換からの経過の計算 … 部品ごとに最後の交換日からの月数を出します
  4. 呼出のくり返しの検出 … 同じ号機で同じ症状の呼出が12か月に2回以上あれば印を付けます
  5. 所見の文の整理 … 点検員の所見から、作業員の氏名や携帯の番号など、提案に要らない個人の情報を取り除きます
  6. 建物を特定する情報の置き換え … 建物名と所在地は建物の番号に置き換え、提案書に流し込むときに戻します
  7. 分量の確認 … 号機の多い建物は記録が長くなるので、号機ごとに分けて呼び、最後にまとめます

2番目と3番目が、この構成でいちばん大事な前処理です。 回数と経過月数をAIに数えさせると、36回分の記録から「要観察が4回」を数え間違えても、文章は自然に読めてしまいます。 数字はスクリプトが出し、AIにはその数字を文章に入れることだけをさせます。

6番目は、外部に渡す情報を減らすためです。 提案の文章を作るのに、建物の名前と住所は要りません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、まとめた記録を読んで、次の3つを記録の番号付きで書き出すことだけです。

書き出すもの中身根拠に求めるもの
次回の重点箇所次の点検で特に見てほしい部位と、見てほしい点要観察以上の判定、または呼出のくり返しの記録の番号
部品の更新の提案更新を提案する部品と、その理由点検の所見、交換履歴、呼出の記録の番号
所見の文章建物の昇降機の1年の状態を、所有者に分かる言葉で上の2つで引用した番号の範囲

提案の強さは3段階に分けて書かせます。 「次回の点検で確認」「1年以内の更新を検討」「早めの更新を検討」です。どの段階にするかの目安は自社で決めて指示に書き、AIはその目安に当てはめて書くだけにします。目安が無いと、同じ記録でも呼ぶたびに強さが変わります。

させないこと理由
安全に運行できるかの判断技術の責任者と点検員が現地で判断すること
使用の停止の判断・提案指針でも、不具合の確知時の使用中止などは所有者と保守点検業者が講じる措置。下書きに入れない
金額の記載単価表からプログラムが差し込む
部品の供給終了の予定の記載製造業者からの通知の一覧からプログラムが差し込む
記録に無い劣化の推測「この年数なら摩耗が進んでいるはず」を書かせない
法令の適合の判断既存不適格かどうか、定期検査の結果の評価は書かない

5行目がいちばん起きやすい失敗です。 製造から25年の機種を渡すと、記録に何も書かれていなくても「経年により巻上機の劣化が進んでいると考えられます」と書きます。年数だけを根拠にした提案は、所有者から見て営業の売り込みと区別がつきません。 記録に無いことは書かない、と明記します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは昇降機の保守会社で、契約先の建物の所有者に出す提案書の下書きを作る担当です。
渡された記録だけを根拠に書いてください。記録に無いことを推測で書かないでください。

【書くもの】
1. focus_points:次回の点検で重点的に見る箇所(部位、見る点、理由)
2. renewal_proposals:部品の更新の提案(部品、提案の強さ、理由)
3. summary_text:この建物の昇降機の1年の状態の説明(所有者向け、400字以内)

【提案の強さ(level)の選び方】
- check_next ...... 次回の点検で確認する。要観察が1〜2回
- consider_1y ..... 1年以内の更新を検討。要観察以上が3回以上続く、
                    または同じ症状の呼出が2回以上
- consider_soon ... 早めの更新を検討。要是正・要修理の判定が続く、
                    または同じ部品の交換が12か月に2回以上
回数は「集計」に書かれた数字をそのまま使ってください。自分で数え直さないでください。

【厳守事項】
- すべての理由の文に、根拠にした記録の番号(INS-/PRT-/CALL-)を
  evidence_ids に入れてください。番号の無い理由は書かないでください。
- 製造年・設置年からの年数だけを理由にしないでください。
  年数に触れるときは、必ず記録の番号のある所見と組み合わせてください。
- 金額、部品の供給終了の時期、製造業者の対応は書かないでください。
  後で別の表から差し込みます。
- 安全に運行できるか、使用を止めるべきかは書かないでください。
- 法令に適合しているか、定期検査の結果をどう評価するかは書かないでください。
- 点検員の所見の文を引用するときは、quote にそのまま写してください。
  言い換えたり、程度を強めたりしないでください。
- 前回の提案への回答が「検討中」「来年度」なら、その続きとして書いてください。
- 記録が少なく提案できる箇所が無ければ、配列を空にしてください。
  無理に提案を作らないでください。

【建物の情報】{building}
【号機の情報】{units}
【集計(部位ごとの判定の回数、交換からの月数、呼出のくり返し)】{aggregates}
【点検の記録(番号付き)】{inspections}
【部品の交換履歴(番号付き)】{parts}
【故障の呼出の記録(番号付き)】{calls}
【前回の提案と回答】{last_proposal}

「自分で数え直さない」を書かないと、AIは記録を読んで回数を数え直し、集計と違う数字を書きます。 どちらが正しいかを人が確かめる手間が増えるだけなので、数字の出どころを1つに決めます。

「無理に提案を作らない」も大事な一文です。 提案書の下書きを頼まれると、AIは何かしら提案を書こうとします。記録に問題の無い建物に更新の提案が並ぶと、提案書全体の信用が落ちます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "building_id": "B-0412",
  "focus_points": [
    { "unit": "1号機", "part": "ドア装置",
      "check": "かごの戸の閉まりの速さと、ドアスイッチの接点の状態",
      "reason": "直近6回の点検のうち4回で戸の閉まりの遅れの所見があり、同じ症状の呼出が2回ある",
      "evidence_ids": ["INS-031", "INS-037", "CALL-004", "CALL-009"],
      "quote": "かご戸閉まり遅れ。調整実施" }
  ],
  "renewal_proposals": [
    { "unit": "1号機", "part": "ドアスイッチ", "level": "consider_1y",
      "reason": "調整で一時的に改善するが、閉まりの遅れの所見と呼出がくり返されている",
      "evidence_ids": ["INS-031", "INS-037", "CALL-004", "CALL-009"] }
  ],
  "summary_text": "",
  "no_proposal_reason": ""
}

1つ目の理由は、evidence_ids をプログラムで確かめられることです。 スクリプトは、すべての番号が渡した記録に実在するか、level が集計の回数と目安に合っているかを確かめます。実在しない番号を含む文と、目安に合わない強さの提案は、提案書に流さず「要確認」に回します。

確かめること合わないときの扱い
evidence_ids がすべて実在するその提案を落とし、「要確認」に記録
level が集計の回数と目安に合う強さを人が決め直す
quote が元の所見に文字どおりある引用を外し、番号だけ残す
提案に金額・供給の時期の文字が無いその文を落とす

2つ目は、提案書の雛形に機械的に流し込めることです。 focus_points は「次回の点検の重点」の表へ、renewal_proposals は「更新のご提案」の表へ、そこに単価表の金額と供給の状況の一覧の予定を同じ行に差し込みます。AIが書いた文と、表から差し込んだ数字が、雛形の上で別の列に分かれるので、所有者に出す前に技術の責任者がどこを確かめればよいかがはっきりします。

3つ目は、no_proposal_reason で「提案なし」を正しく扱えることです。 記録に問題の無い建物では、配列を空にし、理由(「1年間の点検で要観察以上の判定なし」など)を書かせます。提案が無いことも、所有者への報告として意味があります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
保守管理システム書き出したCSVの読み取り点検の記録・交換履歴・呼出の記録・号機の情報
部品の供給の状況の一覧表計算の読み取り機種・部品ごとの供給終了の予定
単価表表計算の読み取り部品の更新の概算の金額
Claude APIAPI呼び出し重点箇所・更新の提案・所見の文章の下書き
提案書の雛形スクリプトで流し込み建物ごとの下書きの文書を作る
顧客台帳読み取りと、送付後の記録前回の提案と回答、今回の送付日

どこにも自動で送りません。 提案書の下書きはファイルサーバーの「今月の下書き」のフォルダに置き、営業と技術の責任者に一覧で知らせるところまでです。所有者への送付は、承認の済んだものを営業が手で行います。

保守管理システムにも書き込みません。提案の結果(所有者の回答、受注したか)は、営業が顧客台帳に入れます。次の年の提案は、この回答を「前回の提案と回答」として読み込んで続きを書きます。

Step9

人が確認する

下書きは全件、2人が読みます。 営業が建物の事情に合わせて直し、技術の責任者が中身を確かめます。提案書は所有者の予算に関わるので、確認を件数で間引く設計にはしません。

  1. 「要確認」に回った提案を先に見る … 実在しない番号、目安に合わない強さ、引用の食い違いがあったもの。多くは記録の書き方の揺れで、記録を見れば数分で決まります
  2. 根拠の記録を開いて確かめる … 提案の一文ごとに付いた番号から、元の点検の記録に飛べるようにしておきます。番号があるので、1年分を最初から読み返す必要がありません
  3. 提案の強さを決める … AIの level は目安の当てはめです。現地を知る点検員の意見を聞き、技術の責任者が最終の強さを決めます
  4. 建物の事情に合わせて直す … 管理組合の総会の時期、予算の締めに合わせて、提案の順番と書き方を営業が直します
  5. 直した内容を記録する … どの提案を消したか、強さをどう変えたかを残します

2番目が、この構成で時間が減る理由です。 これまで30分かけていた読み返しが、番号の付いた記録を開いて確かめる数分に変わります。逆に言えば、番号を確かめずに承認すると、この構成は危険になります。

目標は、120件をならして1件20分です。 号機の多い建物や故障の多い建物は30分を超え、記録に問題の無い建物は10分で終わります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
書き出したCSVが無い・列が足りないその建物を処理せず、「書き出し待ち」として営業に知らせる
点検の記録が12か月分そろわない新規の契約の建物など。そろっている期間だけで作り、提案書に期間を明記する
所見の文が空ばかり判定の記号だけで重点箇所を出し、更新の提案は作らない
機種が供給の状況の一覧に無い供給の欄を空にし、「製造業者への確認が必要」と入れる
実在しない記録の番号が出たその提案を落とし「要確認」に回す
stop_reason が max_tokens号機ごとに分けて呼び直す
stop_reason が refusal提案書に流さず、建物を「要再実行」に回して人が見る
API が応答しない3回まで間をおいて再試行し、だめなら翌日に回す
前回の提案の記録が無い前回の欄を空にし、初めての提案として書く
安全に関わる所見がある(要修理の判定など)提案書の流れとは別に、その日のうちに技術の責任者へ知らせる

最後の行を、提案書の流れに乗せないことが大事です。 提案書は月に1回の流れで、所有者に届くまでに何日もかかります。安全に関わる所見は、提案書を待たずに保守の側で対応します。 この構成が見つけた時点で、別の通知に分けます。

Step11

記録を残す

  • 建物ごとに、そのとき渡した記録の書き出しファイルと、振った番号との対応表
  • Claude API への指示の全文と、返ってきたJSONの全文
  • スクリプトの確かめの結果(落とした提案と理由)
  • 営業と技術の責任者が直した内容(消した提案、変えた強さ、書き足した文)
  • 所有者へ送った提案書の最終版と送付日
  • 所有者の回答と、受注したかどうか

1つ目を残すのは、所有者から「いつの点検でそう分かったのか」と聞かれたときに答えるためです。 提案書の番号から、当時の記録にそのまま戻れます。保守管理システムの記録が後で直されても、提案したときに見ていた記録が残ります。

4つ目は、指示を直す材料になります。 技術の責任者が毎回同じ種類の提案を消しているなら、指示の目安が自社の考えと合っていません。3か月分の直しの記録を見て、目安を見直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:記録を手で書き出して画面に貼り、提案の下書きを作らせる / 1棟ごとの提案の下書き
半自動化:上記+スクリプトで記録をまとめて番号を振り、API で呼んで一覧に書き出す / 集計と下書きの一覧化
本格構成:上記+毎月の定時実行、番号と回数の確かめ、単価表と供給の状況の差し込み、雛形への流し込みまで行う / 提案書の下書きの全体

最小構成では件数がさばけません。 1棟ずつ貼り付けるので、月120件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件60分が35分程度になります。 読み返しと集計は自動になりますが、番号の確かめ、金額と供給の状況の転記、雛形への貼り込みが手作業で残ります。本格構成で20分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、番号の確かめと表の差し込みが、提案の1行ごとの手作業だからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を2か月見ると、所見の文が空になりがちな点検員と、供給の状況の一覧に無い機種が先に分かります。そこを直してから本格構成に進むほうが、「要確認」が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
20 分
現在  120件 × 60分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 120件 × 20分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
80h
削減率
67%
年間削減時間
960h
年間金額換算(時間単価3,500円)
336万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 数百台から千台規模のエレベーターの保守を請け負い、点検の結果を保守管理システムや表計算に1項目ずつ記録している独立系・地域の保守会社。建物ごとの部品の更新の提案を、ベテランの技術営業が記録を読み返して書いており、担当によって提案の厚みや出す時期がばらつく場合。点検の記録をCSVなどで書き出せ、短いスクリプトを書ける人が社内にいる場合。
向いていない
  1. 保守の台数が数十台で、担当者が建物ごとの状態を覚えていて提案書をすぐ書ける場合。点検の結果が紙の点検表にしか残っておらず、項目ごとの判定をデータとして書き出せない場合(先に記録を電子化するか、手書きの点検表を読み取る仕組みを先に入れる)。なお、昇降機が安全に運行できるかの判断、使用を止めるかの判断、修理の要否と時期の最終判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 去年提案書を出した建物から10棟を選ぶ(故障の多かった建物と、問題の少なかった建物を両方入れる)
  2. その10棟について、保守管理システムから1年分の記録を書き出す
  3. 記録に手で番号を振り、手元の Claude の画面に建物ごとに貼り付ける
  4. 「この記録だけを根拠に、次回の点検で重点的に見る箇所と、部品の更新を提案する箇所を、根拠の記録の番号付きで挙げてください。記録に無いことは書かないでください。金額は書かないでください」と指示する
  5. 出てきた下書きを、去年ベテランが書いた提案書と並べて読み比べる

10棟は必ずやってください。 スクリプトを書く前に、「記録から根拠付きで提案を組み立てられるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
ベテランの提案書と同じ箇所を、同じ根拠で挙げたスクリプトとの連携に進む
年数だけを理由にした提案が混ざる指示の書き方で直る。構成は有効
所見の文が短すぎて理由が書けない点検員の所見の書き方を揃えるのが先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 「要観察」の記号だけで所見の文が空の記録は、AIにも人にも理由が書けません。点検員に「何がどうだったか」を一言書いてもらうだけで、提案書の厚みが変わります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
年数だけを理由にした提案が出る記録の番号のない理由を禁じ、スクリプトで落とす
AIが回数を数え直して集計と食い違う数字はスクリプトが出し、「自分で数え直さない」を指示に書く
実在しない記録の番号が出る番号の実在を必ず照合し、合わない提案は「要確認」へ
所見の引用が言い換えられているquote を元の所見と文字どおり照らし、合わなければ外す
問題の無い建物にも提案が並ぶ「無理に提案を作らない」を明記し、no_proposal_reason を持たせる
提案の強さが呼ぶたびに変わる強さの目安を回数で書き、目安に合うかをスクリプトで確かめる
スキーマに maximum を入れて400になる数値の制約は非対応。受け取った後に確かめる
金額が下書きに混ざる金額を書かないよう指示し、数字と円の文字を後段で検知する
供給の状況の一覧が古い製造業者からの通知を受けた担当が、その日に登録する決まりにする
所見の文が空ばかり点検員に一言の所見を書いてもらう運用を先に整える
安全に関わる所見が提案書の流れに乗って遅れる要修理の判定は別の通知に分け、その日に技術の責任者へ
承認が形だけになる根拠の記録を開いたかを確認の記録に残す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「それらしく読めるが根拠と合わない」という同じ形をしています。根拠を番号と数字でプログラムに確かめさせているかどうかで、提案書として出せるかが決まります。

下の2行も、早いうちに効いてきます。 提案書の流れは月に1回なので、安全に関わる所見を同じ流れに乗せると、知らせが何週間も遅れます。 最初から別の通知にしてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 建物ごとの昇降機の点検の結果、故障の記録、部品の交換の履歴、所有者の種類と修繕の予算の時期、そして点検員の所見の文です。所見には作業員の氏名などが混ざることがあります。

  1. 建物を特定する情報を外に渡さない … 建物名と所在地は番号に置き換えてから渡します。昇降機の不具合の記録と建物名が結びついた一覧は、所有者にとって外に出したくない情報です
  2. 作業員の個人の情報を取り除く … 所見に混ざった氏名や連絡先は、前処理で消します。提案の文章を作るのに要りません
  3. 学習への利用の扱いを確かめる … Anthropic のプライバシーセンターでは、商用の製品(API を含む)の入力と出力を、既定ではモデルの学習に使わないとされています。フィードバックを送るなど自ら許可した場合は別とされているので、運用の決まりで扱いを決めておきます
  4. 安全の判断を下書きに入れない … 運行を続けてよいか、使用を止めるかは、点検員と技術の責任者が現地で判断します。AIの下書きにその判断が書かれていても、所有者に出しません
  5. 提案の中身の責任は保守会社が負う … 指針は、契約の範囲を超える修理や機能更新が必要と判断した場合に、その理由等を文書等で所有者に十分に説明することを保守点検業者の責任としています。下書きを作ったのがAIでも、説明の責任は変わりません
  6. 提案書と記録の控えを残す … 指針は、所有者が過去の作業報告書等を3年以上保存するとしています。保守会社の側でも、提案書と、そのとき根拠にした記録の控えを同じ期間以上残しておくと、所有者からの問い合わせに答えられます

誤りが起きた場合のリスクは、必要な更新の提案が漏れることと、根拠の無い更新の提案を出すことの2つです。 前者は安全に、後者は所有者との信頼に関わります。前者は「要確認」と安全の所見の別の通知で、後者は記録の番号の照合で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:10棟の記録を書き出す

去年提案書を出した建物から10棟を選び、保守管理システムから1年分の記録を書き出します。故障の多かった建物と、問題の少なかった建物を半分ずつ入れます。 書き出したファイルの列が、点検日・号機・項目・判定・所見に分かれているかを確かめます。

2週目:10棟で試す

記録に番号を振り、手元の Claude の画面で提案の下書きを作らせます。去年ベテランが書いた提案書と並べ、年数だけを理由にした提案が混ざっていないかを最優先で見ます。

3週目:提案の強さの目安を決める

「次回の点検で確認」「1年以内の更新を検討」「早めの更新を検討」を、判定の回数と呼出のくり返しで決める目安を、技術の責任者と文章にします。 あわせて、部品の供給の状況の一覧を、手元にある製造業者からの通知で埋めます。

4週目:記録のまとめと番号付けをスクリプトにする

保守管理システムの書き出しを読み、部位ごとの回数と交換からの月数を数え、番号を振るところまで作ります。この時点では Claude を呼ばず、集計の数字がベテランの数えた回数と合うかだけを見ます。

2か月目: Claude API を呼び、番号と回数の確かめを足して、下書きの一覧を出します。「要確認」の件数を毎週数えます。3か月目以降: 単価表と供給の状況の差し込み、雛形への流し込みを足し、1件60分が何分になったかを実測します。経験の浅い担当が書いた提案書を技術の責任者が直す量が、ベテランの提案書と変わらなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-26/最終更新:2026-10-27
確認した内容情報源確認日
国土交通省が平成28年2月19日に「昇降機の適切な維持管理に関する指針」と「エレベーター保守・点検業務標準契約書」を公表したこと。指針が所有者のなすべき事項と保守点検業者の選定の留意事項をまとめたものであること国土交通省: 「昇降機の適切な維持管理に関する指針」等を公表2026-10-26
保守点検業者の責任として、保守・点検の結果(不具合情報を含む)を文書等で報告すること、契約の範囲を超える修理や機能更新が必要な場合は理由等を文書等で十分に説明すること、所有者が助言を求めた場合等に適切な提案や助言を行うことを契約で明確にするとしていること。所有者が保守点検業者に作業報告書を提出させること。不具合を確知した場合に使用中止その他の必要な措置を講じること。過去の作業報告書等を3年以上保存すること。契約に作業報告書の提出時期や部品の修理・交換の範囲を盛り込むこと国土交通省: 昇降機の適切な維持管理に関する指針(PDF)2026-10-26
構造化出力が output_config.format(type: "json_schema")で使え、オブジェクトに additionalProperties: false が必要なこと。数値の minimum・maximum、文字列の minLength・maxLength に対応せず400になること。stop_reason が max_tokens・refusal のときに出力がスキーマに合わないことがあることClaude: Structured outputs2026-10-26
商用の製品(API を含む)の入力と出力を既定ではモデルの学習に使わないこと。フィードバックの送信など自ら許可した場合は別であることAnthropic Privacy Center: Is my data used for model training?2026-10-26

昇降機が安全に運行できるか、修理や更新をいつ行うかは、点検員と技術の責任者、そして所有者が決めてください。 本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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